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"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。

ロクガツのログ [探虫行]

7月7日現在、チバはまだ梅雨明けしませんが、いよいよ虫のトップシーズンに突入した感があります。

とは言え、6月に出会った中で、ログとして残しておきたい虫があるので記録しておきます。

その一つがこの子です。

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いつものように説明は本編で。

時は遡って6月13日、チバの天気はどん曇り。

というよりも、天気予報ではいつ雨が降り出してもおかしくない降水確率でした。

しかしHFの西風ちゃんたちが気になるので、逢えないとは思いながらも出かけることにしたのです。

前日の雨でHFは全体的にとてもモイスト。

ハンノキ林に向かって歩いて行くと、あぜ道に気が倒れ掛かっていました。

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近年、この斜面林の地盤がゆるくなっているようで、すでに何本かは伐採されていたのですが。

歩いてなら通ることができるので、谷津田の奥へと進みました。

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ハンノキ林の縁を流れる小さな用水路にカワトンボがいたので観察していると翅の開閉をしていました。

30秒に一度くらいのペースで開いてくれるので、カメラを向けてじっとチャンスを待ちました。

連写モードで撮影したのですが、結局開いているのが写っているのは最初の一枚か二枚目だけ。
(こういう時はプロキャプチャー機能を使えばよかったと後で気付く)

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ニホンカワトンボ ♂ (カワトンボ科)


それにしても、オレンジ翅のオスはやはり男前です。

そのまま林縁の畔を歩いていくと、やはりオレンジ系統の色あいがビビッドな子が。

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キマダラセセリ (セセリチョウ科)


少し前までは明るいオレンジ色だったベニシジミは夏色に。

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ベニシジミ 夏型 (シジミチョウ科)


ミゾソバの葉の上にはちょっと成長したバッタも。

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コバネイナゴ (バッタ科)


中学生ってとこかしら。

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ここまでハンノキ林の下草の上を丹念に見てきましたが、西風ちゃんの姿はありませんでした。

とっておきの観察ポイントに着いたので、ハンノキの葉の上もチェックしていると。

となりのクワの木の葉の上にいたのが扉の写真のテントウムシでした。

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ハラグロオオテントウ (テントウムシ科)


HFでは初観察なのでうれしいなぁと思いながら、クワの木を見上げていたらなんとそこには。

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クワキミキリ (カミキリムシ科)


これもHF初観察の子なのでじっくり撮影したいのですが、ちょっと高い位置にいてうまく撮れない。

別の枝の先を手で引っ張って、とまっている枝を引き下ろし、手乗りになってもらいました。

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同上


子供の頃は、近所の家の庭の木にもいたし、クワの木はどこにでもあるのに、とんと見なくなりました。

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肝心の西風ちゃんは見つけられませんでしたが、少し薄日が射してきたので時間を空けることに。

もう一度、ハンノキ林の縁の畔を歩いているとトンボたちを見つけました。

出始めでしょう、半熟のためメスだけど緑青色をしている個体。

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オオアオイトトンボ ♀ (アオイトトンボ科)


アカネ類も出てきたので撮ってあげなければ。

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アキアカネ ♂(トンボ科)


ぐるっと周り、元の西風ちゃん観察ポイントまで戻ってきました。

梢を見上げて凝視していると、まるで間欠泉のように時折明るい光が降り注ぎます。

そのたびに、出てこい出てこいと念を送るのですが通じてくれませんでした。

その間、すぐ傍のロープの上に陣取って、飛び立っては舞い戻りを繰り返していたトンボ。

テリトリーを守っているので警戒心が強く、なかなか撮らせてくれませんでしたがやっとこさ。

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オオシオカラトンボ ♂ (トンボ科)


もう少しだけ粘ったけれど、日が高くなってきたし午後は用事があったのであきらめて撤収することに。

数年前から実験的に植栽しているこの水草は定着したようです。

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デンジソウ


見た目は四葉のクローバーのようですが、シダの仲間なのだそう。

西風ちゃんはお出ましにならなかったけど、複数種を初観察できてよかった。

彼らも定着・繁殖していてほしい。

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この二日後、昼まで仕事をして一旦帰宅してから駅へと急ぎました。

虫の日の遠征時に果たせなかった探虫を場所を変えて果たそうと、また新幹線に乗ったのです。

前回はシズオカで今回はミエ。

まずは宿にチェックインして装備を整え、陽が沈む前にと急いで出発。

黄昏時の海岸線はこんな様子でした。

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まだ海水浴シーズンでもないし、釣り客の姿もなく、鳥すらいないさびしいフィールド。

20分ほど歩いて着いたポイントはこんな感じの荒れ地。

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松の木陰、林縁、ブッシュの縁にそってトラップを仕掛けていきました。

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きっとかかってくれるだろう、そう信じてまた30分ほど歩いて一旦宿に戻りました。

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シャワーして食事をして約2時間後、とっぷり日が暮れたのでトラップの様子を見に行きました。

懐中電灯とヘッドライトを点け、トラップの目印の番号順に見ていきつつ、地面を歩いていないかも注意。

しかし残念ながら本命は観察できませんでした。(訳あって本命の種名は記載できません)

入っていたのはゴミムシの仲間のみ。

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セアカヒラタゴミムシ (オサムシ科)


カエルの多重唱を聞きながら暗い夜道をまた30分以上かけて宿へ。(すでに二往復)

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翌早朝、そそくさと身支度し、期待に胸を膨らませつつ、また海へ向かいました。

前日とは打って変わっていい天気。

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朝早すぎるのか、釣り客も散歩する人もいません。

トラップを仕掛けた場所よりも少し先の様子を見に行きました。

TG20230616_021.jpg


ブッシュが深くてトラップを仕掛けるのはむずかしい環境が続いていました。

さあ、いよいよトラップの回収です。

セアカヒラタやキンナガはたくさん落ちていました。

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あと、写真を撮り忘れましたが、オオクビボソもいくつか。

そしてオサムシも。

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ミカワオサムシ ♂ (オサムシ科)


本命ではないですがうれしい初物。

これも一つだけでしたがうれしい外道。

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マイマイカブリ(ホンマイマイカブリ) ♀ (オサムシ科)


しかし、回収をしていくにつれて期待で膨らんでいた胸がしぼんでいきます。

そして、もれなく全てのトラップを回収しましたが、残念ながら本命はかかりませんでした。

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がっくり項垂れながら宿に戻って朝食をいただいてチェックアウト。

午後から仕事だったので7時半の電車に乗ってチバへと帰りました。




オマケ


ちょうどトラップを仕掛け終わったとき、さーっと俄か雨というか通り雨が降りました。

松の木陰でやり過ごしていたら、ほんの5分であがったのでトラップには影響ないと安心しました。

そして撤収しようと防波堤にあがったら、東の夕暮れ空に見事な自然の演出。

この虹をかけるために大道具さんがさっき雨を降らせたんだろうと空想しました。

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それはともかく、これは間違いなく吉兆だと信じたのでしたが・・




今日の湯加減

実は先週末、リベンジのリベンジに行ってきました。
結局、たった一匹の虫を見つけるのに新幹線に3回乗りました。
でも実は某メディアの取材の一環だったので、近い将来、番組として形になるかもしれません。
なので詳細が書けないのですが、解禁になったらあらためてお伝え(宣伝)します。
そのようなことも含めて、今シーズンはもろもろ今までにないほど忙しくしているところ。
働けるうちに働く、動けるうちに動こうと思います。



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アヨアン・イゴカー

>某メディアの取材の一環
素晴らしいですね。
by アヨアン・イゴカー (2023-07-09 12:56) 

いろは

こんにちは^^
キマダセセリ、翅が素敵ですね♪
目も可愛いです^^
ベニシジミは夏型に変わるのですね。
クワカミキリというのは初めて知りました。
先日ゴマダラカミキリを見かけました。
新幹線に3回も、お疲れ様でした。
番組、楽しみにしています。
by いろは (2023-07-09 17:26) 

kon(昆)

>アヨアン・イゴカーさん
きっと素晴らしい映像になっていると思います!

>いろはさん
セセリ類のチャームポイントですね♪
ベニシジミ号は通年同じですが・・^^;
まだちょっと先ですがお楽しみに。
by kon(昆) (2023-07-09 20:36) 

sakamono

ハラグロオオテントウというのですね。つやつやしていて、色あざやか
で、ちょっとずんぐりした体型がかわいい^^;。
「一匹の虫を見つけるのに新幹線に3回」すごいことですね。
by sakamono (2023-07-12 07:19) 

高和です。

あの時動いておけば、金言です。
突然動けなくなりますよ、ご用心!
戦闘機チャバネセセリ。大好きです。
by 高和です。 (2023-07-12 08:50) 

高和です

キマダラセセリさま、お名前を間違えました。お許しを。このお姿を標本に残すのは、難しいなあ。
by 高和です (2023-07-12 09:08) 

kon(昆)

>sakamonoさん
腹黒ですがとても大きくて美しいテントウムシです^^
4回目はなかったのでかえってホッとしています。

>高和です。さん
虫もいついなくなるかわかりませんしね・・
いるうち、行けるうちですね。
セセリの立体標本はやってみたいですが・・うまくいく気がしません笑
by kon(昆) (2023-07-12 22:17) 

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