"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
さよならベニシジミ号 [探虫行]
春はあっという間に過ぎていく。
そう覚悟はしているけれど・・覚悟しているからこそ焦燥感は高まるばかり。
でも忙しさも高止まりしていてどうしようもない。
そんな中、ベニシジミ号ラストランの日がやってきました。
予定よりも早く。
計画的ではなく、運よく休みになった4月10日、ラストランの日としました。
実験試料の採集がメインミッションですが、目的地はやっぱりカモガワに。
ベイトや採集道具を積み込んで、通勤時間帯を避けるためちょっと遅めに出発。
走りなれたいつものルート(R16~K24~R410)でクルリまで南下。
と、いつの間にかR410とR465をつなぐ久留里馬来田バイパスが開通していました。
最後の未開通区間、山滝野の峠の工事は5年くらいかかったと思います。
しばらくして山の中へ入り、採集ポイントに到着。
さっそくトラップの設置を開始。
約半年ぶりですが、周辺環境に大きな変化はなさそうでした。
気温はまあまあ高いものの、日差しがないのでどうなるか。
設置後はいつものように山道のパトロールに出発。
歩き始めてすぐ、この子たちがたくさんいるのがわかりました。
春の風物詩といえる虫たちは他にも。
ビロツリはすでにピークを過ぎているのか、数匹しか見かけませんでした。
ニワハンミョウは多数いましたが、このカラータイプはちょっとレア。
同じ種とは思えないですよね。
一頭のみ見かけたこのチョウもスプエフェといえるので、しばらく追いかけました。
しかし落ち着いてくれず、とまっても近づくとすぐに飛び立ちます。
とうとう林の中へと姿を消したので、撮影できたのは1ショットだけでした。
他に何かいないかと歩いていきますが、山の中は静か。
鳥のさえずりも、樹上を移動する猿の声も聞こえてこない日でした。
少し奥へと進むと、昔は田んぼだったのでしょう、細長い草地があります。
そこは上流側から徐々に湿地化しつつあったのですが、以前よりも水かさが増えていました。
ぼんやりと佇み、いい様子の湿地になりつつあるなぁと水面を眺めていると。
不意にコンチューターの針が振り切れました。
水中でゆらゆらと泳いでいる大勢のアカガエルのオタマたちの中に異質な影が見えたのです。
色も形もオタマたちとそっくりですが、泳ぎ方のリズムが違いました。
運のいいことに、どういう訳か、腰に提げていたのは携帯用の水網。
携帯用なので短いのですが、異質なやつはギリギリ届くところを泳いでいます。
そおっと網を伸ばし、水面に浮かぶのを待ってからザブッと掬うと・・
野生のシマゲンは久しぶりに見ました。
これは数時間後に室内で撮影した記念写真。
体長は1センチあまりしかありませんが、美しい装いのゲンゴロウだと思います。
川沿いにさらに奥へと歩き、山道が途絶えるところで引き返しましたが、虫影はありませんでした。
引き返す途中、これも春定番のチョウが目の前の枝にとまってくれました。
翅が傷んでいたので越冬個体だと思われます。
ハンミョウゾーンに突入すると、さっきのと同じ個体かもしれませんが、またレアタイプを見かけました。
大勢のニワハンミョウたちが歩く先から舞い上がる中、地面に何かが舞い降りました。
写真を撮ろうとカメラを近づけると殺気を感じたのか死んだふりをされてしまった。
しばらく待ちましたが生き返ってくれず。
元々は南西諸島に分布する南方系のハナムグリなのですが、ちょうど一年前もここで観察したような・・
分布拡大しているのかしら?
トラップ設置場所の近くまで戻ってきたとき、シオヤトンボを見かけたのですがすぐに見失いました。
トラップの放置時間をかせぐこともかねて、お昼を食べにカモガワへ向けて出発。
R410の豊英と北風原(ならいはら)の峠を越えるまで車がいなくて気持ちよく走ることができました。
K34長狭街道に入って東へしばらく走るとカモガワのまんぼうに到着。
店に入ってマスターに挨拶しつつ、メニュー板に書いてあったミソ担々麺が気になって注文したら。
「できるけど、おまかせでもいい?」
と意外な返答。
「もちろんいいよ」
と言いつつも何かアイデアがあるのかなと想像が膨らみました。
シマゲンの記念写真を撮りながら待っていると出てきたのは・・
まったく予想できなかったあさりラーメン。しかも塩味。
まんぼうで塩味のラーメンを食べたのははじめてでした。
大盛りのあさりをパクついているとマスターがやってきたので、「どう?」と聞かれるかと思いきや。
「おいしいよね」
予想できなかったお茶目な言葉に笑っちゃいそうでした。
「この間、自分で作ってみたらおいしかったから」
とのことで、「メニューに加えれば?」と言うと、「1200円でも売れるかな?」と聞かれました。
こんなにあさり大盛りなら安いと思いましたが、肝心の「塩ベースのスープなんてあったの?」と質問。
「自分の分はある」
「それじゃあメニューに加えられないじゃん」
そんな他愛もないやりとりをしつつ、ベニシジミ号のラストランということを話して店をでました。
出発前に、まんぼう前でベニシジミ号の記念撮影。
マスターが見送りに出てきてくれたので、マスターとの写真も撮りました。
来た道を戻る道中も空いていて、スムースに山中に到着。トラップの巡回開始です。
天気はうす曇りのままで気温も上がらず、期待も薄いのですが・・
この子たちはどのトラップにもぽつぽつと来てくれていました。
カドマルエンマの姿が見えなくてざんねん。
また日を変えて来るのがよさそうでしたので、とっとと回収して撤収することに。
ラストランの記念にちょっと寄り道して、小湊鉄道の撮影スポットの一つで撮ったのが扉の写真です。
時刻表を調べていたわけではなかったけれど、運よく10分も待たずに来てくれました。
その後、もう一か所の有名スポットの飯給駅にも寄ってみたら、ごった返していたのでストップ&ゴー。
家路についてすぐ、養老川沿いの河川敷に降りられそうな入口を発見したので急きょ寄り道。
まさに河岸段丘というか、ボウソウでは珍しい平坦で広い砂地が広がっていました。
それこそハンミョウをはじめ何か虫たちがいるのではと、徘徊してみるも虫影はありませんでした。
とぼとぼとベニシジミ号へ戻る途中、砂地の端っこに咲いていた菜の花に一頭だけいてくれたのは。
なんと運命的なことかと思いつつも、ベニシジミ号のラストランは無事終了しました。
ベニシジミ号に乗り換えて間もない頃、甲信方面へツーリングに行ったときに撮った記念写真を。
もう10年も経ってしまったのか・・・お疲れさまでした。
今日の湯加減
そう覚悟はしているけれど・・覚悟しているからこそ焦燥感は高まるばかり。
でも忙しさも高止まりしていてどうしようもない。
そんな中、ベニシジミ号ラストランの日がやってきました。
予定よりも早く。
計画的ではなく、運よく休みになった4月10日、ラストランの日としました。
実験試料の採集がメインミッションですが、目的地はやっぱりカモガワに。
ベイトや採集道具を積み込んで、通勤時間帯を避けるためちょっと遅めに出発。
走りなれたいつものルート(R16~K24~R410)でクルリまで南下。
と、いつの間にかR410とR465をつなぐ久留里馬来田バイパスが開通していました。
最後の未開通区間、山滝野の峠の工事は5年くらいかかったと思います。
しばらくして山の中へ入り、採集ポイントに到着。
さっそくトラップの設置を開始。
約半年ぶりですが、周辺環境に大きな変化はなさそうでした。
気温はまあまあ高いものの、日差しがないのでどうなるか。
設置後はいつものように山道のパトロールに出発。
歩き始めてすぐ、この子たちがたくさんいるのがわかりました。
ニワハンミョウ (オサムシ科)
春の風物詩といえる虫たちは他にも。
ビロウドツリアブ (ツリアブ科)
ビロツリはすでにピークを過ぎているのか、数匹しか見かけませんでした。
ニワハンミョウは多数いましたが、このカラータイプはちょっとレア。
ニワハンミョウ(黒化型)(オサムシ科)
同じ種とは思えないですよね。
一頭のみ見かけたこのチョウもスプエフェといえるので、しばらく追いかけました。
しかし落ち着いてくれず、とまっても近づくとすぐに飛び立ちます。
ミヤマセセリ (セセリチョウ科)
とうとう林の中へと姿を消したので、撮影できたのは1ショットだけでした。
他に何かいないかと歩いていきますが、山の中は静か。
鳥のさえずりも、樹上を移動する猿の声も聞こえてこない日でした。
少し奥へと進むと、昔は田んぼだったのでしょう、細長い草地があります。
そこは上流側から徐々に湿地化しつつあったのですが、以前よりも水かさが増えていました。
ぼんやりと佇み、いい様子の湿地になりつつあるなぁと水面を眺めていると。
不意にコンチューターの針が振り切れました。
水中でゆらゆらと泳いでいる大勢のアカガエルのオタマたちの中に異質な影が見えたのです。
色も形もオタマたちとそっくりですが、泳ぎ方のリズムが違いました。
運のいいことに、どういう訳か、腰に提げていたのは携帯用の水網。
携帯用なので短いのですが、異質なやつはギリギリ届くところを泳いでいます。
そおっと網を伸ばし、水面に浮かぶのを待ってからザブッと掬うと・・
シマゲンゴロウ (ゲンゴロウ科)
野生のシマゲンは久しぶりに見ました。
これは数時間後に室内で撮影した記念写真。
同上
体長は1センチあまりしかありませんが、美しい装いのゲンゴロウだと思います。
川沿いにさらに奥へと歩き、山道が途絶えるところで引き返しましたが、虫影はありませんでした。
引き返す途中、これも春定番のチョウが目の前の枝にとまってくれました。
テングチョウ (テングチョウ科)
翅が傷んでいたので越冬個体だと思われます。
ハンミョウゾーンに突入すると、さっきのと同じ個体かもしれませんが、またレアタイプを見かけました。
ニワハンミョウ (黒化型)(オサムシ科)
大勢のニワハンミョウたちが歩く先から舞い上がる中、地面に何かが舞い降りました。
写真を撮ろうとカメラを近づけると殺気を感じたのか死んだふりをされてしまった。
しばらく待ちましたが生き返ってくれず。
アオヒメハナムグリ (コガネムシ科)
元々は南西諸島に分布する南方系のハナムグリなのですが、ちょうど一年前もここで観察したような・・
分布拡大しているのかしら?
トラップ設置場所の近くまで戻ってきたとき、シオヤトンボを見かけたのですがすぐに見失いました。
トラップの放置時間をかせぐこともかねて、お昼を食べにカモガワへ向けて出発。
R410の豊英と北風原(ならいはら)の峠を越えるまで車がいなくて気持ちよく走ることができました。
K34長狭街道に入って東へしばらく走るとカモガワのまんぼうに到着。
店に入ってマスターに挨拶しつつ、メニュー板に書いてあったミソ担々麺が気になって注文したら。
「できるけど、おまかせでもいい?」
と意外な返答。
「もちろんいいよ」
と言いつつも何かアイデアがあるのかなと想像が膨らみました。
シマゲンの記念写真を撮りながら待っていると出てきたのは・・
まったく予想できなかったあさりラーメン。しかも塩味。
まんぼうで塩味のラーメンを食べたのははじめてでした。
大盛りのあさりをパクついているとマスターがやってきたので、「どう?」と聞かれるかと思いきや。
「おいしいよね」
予想できなかったお茶目な言葉に笑っちゃいそうでした。
「この間、自分で作ってみたらおいしかったから」
とのことで、「メニューに加えれば?」と言うと、「1200円でも売れるかな?」と聞かれました。
こんなにあさり大盛りなら安いと思いましたが、肝心の「塩ベースのスープなんてあったの?」と質問。
「自分の分はある」
「それじゃあメニューに加えられないじゃん」
そんな他愛もないやりとりをしつつ、ベニシジミ号のラストランということを話して店をでました。
出発前に、まんぼう前でベニシジミ号の記念撮影。
マスターが見送りに出てきてくれたので、マスターとの写真も撮りました。
来た道を戻る道中も空いていて、スムースに山中に到着。トラップの巡回開始です。
天気はうす曇りのままで気温も上がらず、期待も薄いのですが・・
この子たちはどのトラップにもぽつぽつと来てくれていました。
フトカドエンマコガネ ペア (コガネムシ科)
カドマルエンマの姿が見えなくてざんねん。
同上 ♂
また日を変えて来るのがよさそうでしたので、とっとと回収して撤収することに。
ラストランの記念にちょっと寄り道して、小湊鉄道の撮影スポットの一つで撮ったのが扉の写真です。
時刻表を調べていたわけではなかったけれど、運よく10分も待たずに来てくれました。
その後、もう一か所の有名スポットの飯給駅にも寄ってみたら、ごった返していたのでストップ&ゴー。
家路についてすぐ、養老川沿いの河川敷に降りられそうな入口を発見したので急きょ寄り道。
まさに河岸段丘というか、ボウソウでは珍しい平坦で広い砂地が広がっていました。
それこそハンミョウをはじめ何か虫たちがいるのではと、徘徊してみるも虫影はありませんでした。
とぼとぼとベニシジミ号へ戻る途中、砂地の端っこに咲いていた菜の花に一頭だけいてくれたのは。
ベニシジミ (シジミチョウ科)
なんと運命的なことかと思いつつも、ベニシジミ号のラストランは無事終了しました。
オマケ
ベニシジミ号に乗り換えて間もない頃、甲信方面へツーリングに行ったときに撮った記念写真を。
もう10年も経ってしまったのか・・・お疲れさまでした。
今日の湯加減
別の病院でも検査してもらい、二次的な障害や疾病はないことがわかりました。
なので手術などはせず、保存療法を継続することに。
療法とはいっても、漢方薬を服用しつつ様子を見るということです。
怒涛の春休みシーズンがやっと過ぎ、仕事もひと段落したこともあり、ほっとしているところです。
ところで、実はベニシジミ号の跡継ぎはすでに納車されました。
まだ慣らし運転中ですが、とても気に入っています。
慣らしが終わった頃、足も万全になっていることを祈るばかり。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
あさりラーメンが出てくるとは、読みながらも想像してませんでした(笑)
ベニシジミ号のラストランにベニシジミが。
見送ってくれたのかしら。
足の具合、出歩くkonさんからすると
本当にストレスだったと思います。
まだ時間は掛かると思いますが、どんどん良くなりますように。
by リュカ (2024-04-21 08:06)
黒いニワハンミョウ、カッコいい!!
高和もお目にかかりたい。そこの産地特産なんでしょうか?
ベニシジミ号、お疲れさまでした。全走行距離はどのくらいでしたか?
by 高和です。 (2024-04-21 08:54)
>リュカさん
はじめてのメニューでした(メニューにのってないけど)
怪我や病気をすると健康と平常の大事さがわかりますね^^;
ベニシジミはベニシジミ号の化身だったのかもしれません・・
>高和です。さん
ブラックは特産ではありませんのでそちら方面でもいると思います
走行距離はたったの65000、年平均5000でした。
by kon(昆) (2024-04-21 15:57)
もうバイクを降りられてしまうのかと思いきや、もう2代目がいらっしゃるのですね。
2代目のお披露目採集レポート、楽しみにしています!
by 山健父 (2024-04-22 08:37)
ラストランでも良いところを掘ってますね。
納車されたバイクは何だろう?
楽しみ。
by 響 (2024-04-22 12:40)
>山健父さん
引き続きご愛読いただきありがとうございます♪
二代目ベニシジミ号ではなく新しい名前を考え中です^^
>響さん
余裕があれば持っておきたいくらい良いバイクでした。
今度のも良い相棒になりそうです♪
by kon(昆) (2024-04-24 20:49)
ビロウドツリアブ、かわいいですねー。見るたびに思います^^;。
こんな小さなゲンゴロウをオタマの中からよく発見しましたね!
模様が美しいです。ベニシジミ号、おつかれさまでした。
by sakamono (2024-04-25 23:14)
>sakamonoさん
ビロツリはもっとちゃんと撮ってあげたいのですが・・諸々余裕がなく・・
ベニシジミ号は最後まで元気でした!
by kon(昆) (2024-04-27 17:54)