"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
陸中遠征 ~後編~ [オサムシ]
後編は2日目の午後からのお話。
これまでは標高の低いところの森や林の物件を探していました。
この日の午後からは川の近くに行ってみようということになったのです。
そう、1日目の帰りの道中に予習をしたことを活かして。
前編の最後にたくさん採れたオサムシです。
コンビニで食料を調達し、前日の予習で周辺の林の植生などを確認した流域へ移動。
場所は決めていなかったのですが、川まで辿り着いたら橋の袂に脇道があったのでとりあえず突撃。
入口から砂利道で左手は川、右手は丘が続いていました。
川側の林の中に物件がちらほら見えてきたので、吟味する余裕もなく停車して突入。
ところが斜面の傾斜がきつくてほぼ突入不能。
ガードレール越しに叩ける物件もありましたが、どれも乾いていて固くて全員成果なし。
早々にあきらめて先へ進み、次に停車したのはこんな様子の場所。
水際までは行けませんでしたが、さっきの地点よりも川沿いの藪に入り易くて物件も多そう。
立ち枯れは少ないものの、倒木はぽつぽつとあったので片っ端から叩いていきました。
しかしここのも固くて、バチツルの歯が立たないものがほとんど。
優良物件と思しきものもポツポツあるのに何にも出ない。
しばらく粘って、本命ではないけれど、やっとそれらしいものを掘り当てました。
ほぼ全国に分布する普通種ですが、こんなに赤くて光沢の強い個体はチバでは見たことない気が。
やはり水際までは行けなかったし、そこに物件はなさそうに見えました。
ならばと、今度は丘側の斜面林に単独突入してみることにしました。
しかし、かなり傾斜がきつく、やっと登ってみても物件が少ないという。
ほとんど試掘もできないままに(ホントは成果があがらなかったから)皆に合図して一旦集合。
誰も本命は出せなかったものの、師匠がホソアカガネオサムシに混ざって別種を採ったとのこと。
川側の湿地の朽木から出したというのがこのオサムシ。
これを見て色めきたったのはTさん。
実はTさんとHくんと三人で、この虫を狙いに北関東方面へ遠征したこともありました。
そう、遠征のターゲットになるくらいのオサムシなのです。
(本来の本命はどこへやら)川沿いの湿地を探しに行こうと、車に乗り込みました。
せっかくなので川の反対側に行ってみようということで、橋を渡り川べりを探しました。
探すまでもなく、川へ向かって下る道があったので一も二もなく突入。
そこはおそらく緑地公園と思われ、駐車場があって車も何台か停まっていました。
しかも駐車場の目の前の原っぱの藪が刈り取られ、倒木もいくつか転がっている。
すぐにアタック開始。
するとさっそく朽木からTさんがクロナガオサを出し、これはいけると色めく面々。
ガンガン掘り続けますが、こちらは何も出ない。
と、割れ目からかなり大きくて黒い物体がちらっと見えたのでクロナガかと思いきや。
記念にお連れしましたがこの後も成果なし。
ただ、Hくんが一人だけ本命を出しました。でも、またしても足が欠けていたという・・嬉し悔し。
狭い原っぱだったので物件は当たり尽くしてしまい次へ行くことに。
上流の方に河川敷か川辺があるのではないかと車を走らせ、また下り道を見つけたので突入しました。
狭い荒れた道をしばらく進むも、川辺は現れず、ついには行き止まり。
後部打席の二人に左右後方を見てもらいながらしばらくバックしてUターン。
さらに上流へ走ってみることにしたのですが、いずれ道路は川から離れていくことに。
とにかく川に近づこうと、左折して農道に入り、水溜まりだらけの赤土の細い道を進むと・・
行く手をトラクターに阻まれました。
追い越すことは不可能なので、一旦停止していると、トラクターは牧草地の中へ進入しました。
それで先へは進めたのですが、すぐに道は途切れ、しかも川へのアプローチはなさそう。
仕方なくUターンして農道を引き返していると、右手を行くトラクターが何かをまき散らしている。
まるで荷台から後ろへ向かって泥の塊を噴射しているようでしたが、それはおそらく堆肥。
牧草地に施肥する作業車だったのです。
近づくとトラクターは噴射をやめました。(こちらに飛び散らないようにしてくれたのです)
横を通り過ぎるとき、助手席には小さな男の子が乗っているのが見えました。
もうすでに堆肥の匂いには慣れているのでしょう。
さあ、ではどうするか。
後部座席の二人でGoogleMapを見ながら作戦会議をしてもらい、下流へ引き返すことに。
GoogleMapでは川の中へと岬のように突き出ている場所の周辺が湿地のように見えたのです。
とにかく行ってみようとまっしぐら・・のつもりが途中で道を間違えてUターン。
ロスタイムは10分ほどですが、かなり陽が傾いてきたので焦る。
現地近くに着いてみると想像していた様子とは違って道路から水辺は見えない。
しかもアプローチが分からなかったので一旦スルーし、先の入江のようになっている地点を目指しました。
そこは民家も近くにあるような道路沿いでしたが、水辺に降りることはできそうに見える。
とにかく突撃あるのみと車を停めてチャレンジ。
しかし物件はほとんどなく、ここで日没サスペンデッドとなりました。(成果も全くなし)
前日と同様に、宿に戻りながら予習をすることにし、さっきの岬まで戻ってみるとやはり車は進入不可。
歩いて周辺の様子を見てみましたが環境の評価はイマイチでした。
もう一か所予習をしに行こうということで協議し、場所は岬の対岸に決定。
また橋まで戻って渡り、さら走ること約30分。
とっぷりと陽が暮れた中、これまた狭い農道というか畑の中を進んでいくとやがて水辺の近くへ。
月明りを頼りに様子を見に行くと、林の中に小道を見つけ、水際まで出ることができました。
想定とは違って湿地ではなかったけれど、林の中には物件がありそうだったので翌日の候補地としました。
というわけで予習も終了して一路宿へ。
車中、今晩の夕食は何かを予想する賭けをしました。
四人の想定は、焼き物、煮物、揚げ物、丼物。
果たして正解は・・・
鍋物(しゃぶしゃぶ)でした。
おかげで勝者も敗者もなく、平和な結末となり、みんなで宿のおかみさんに感謝しました。
(おかみさんは何のことか分からないようでしたが)
とても食べきれないと思われた肉の量でしたが、やまと豚はとてもあっさりしてる割に旨味たっぷり。
気持ちよく食べきりました。
反省会はアカガネオサでもちきり。
前翅を開いてみようということになり、師匠が採った個体をTさんがご開帳。
オサムシの仲間は後翅が退化消失していることが多いのですが、アカガネオサは・・・
君、飛べるんじゃない?と思ってしまうほど、ちゃんと翅がありました。
翅があっても筋肉が退化していると飛べないのですが・・
翌朝、道路は濡れていたものの雨は降っていない。
荷物をまとめ、宿の前で記念撮影をして出発。
行く先は前夜の作戦会議で盛り上がったアカガネオサ探しに。
前日採れた場所のさらに奥を目指してまっしぐら。
例の橋の袂から林道に入り、砂利道をしばらく進んでいくと、工事車両と作業員の姿がちらほら。
昨日は日曜で休工だったのでしょう。
林道の奥は行き止まりではなかったけれど、作業車などが停めてあったので少し戻ることにしました。
工事の邪魔にならないと思われる駐車スペースを見つけ、装備を整えて(カッパも着て)いざ突撃。
もちろん川べりを目指しましたが、三人とは逆側の下流へ向けて物件探しをしました。
川の方には芦原が見えるのですが、藪が深くて近寄れない。
ぽつぽつと良さそうな物件があるものの、出るのは小さなゴミムシくらい。
ゴミの不法投棄もあって少し気分が滅入っていたときにやっと出たのはナガゴミくん。
こんなおいしそうな物件からも何も出なくて、がっかりしつつも藪の中を進んでいきました。
藪を抜けると川端が広くなり、半湿地の林になりました。
まさにこの日の本命がいそうな雰囲気が漂います。
その予感は的中。ついに顔を出してくれました。
今年の春に北関東某所へ行ったときはオスしか採れなかったのでうれしさ倍増。
しかし後が続きませんでした。
物件はあるけれどなかなか出ない。
心が折れそうなときにこの子が出たので、なんとか持ちこたえたというところ。
前出のと同種ですが、さらに光沢が強くてちょっと感動しました。
気合を入れ直して崩しまくることしばし。
これは出るだろうという物件を見つけました。
ビンゴ。
この物件はアオゴミマンションでもありました。
それにしても集合性が強いゴミムシだということがわかります。
時間を忘れていて、師匠から電話がかかってきたことで集合時刻を過ぎていることを知りました。
すぐ行きますと返事しつつ、最後の一振りをすると幸運にも追加できました。
またメス・・・
藪の中を進んできたルートに引き返さず、道路へ向けてショートカットしていくとそこは小さな空き地。
この紅葉したモミジは見覚えがありました。ここから突入すればよかったのか・・
車まで戻り、三人の成果を聞くと今一つのようだったので、モミジポイントへ案内することに。
まだまだ物件がありそうだったからですが、幸い全員この日の本命を出せたようでした。
このゴミムシと本命を一頭追加できたので、一人場所を変えて道路と反対側の丘の斜面に突撃することに。
斜面に寝ている倒木を叩いていったのですが、意外なことに何も出ず。
頭上に赤土が露出している小崖が見えたので頑張って登りました。
見た目より乾燥していて、かつ木の根が邪魔でしたが、一部だけ適度な固さの土がありました。
期待通りクロオサが出てくれたのですが、焦っていたのかこんな時に限ってバチの方を振っていて・・
首チョンパしてしまいました。(なので写真なし)
またそれと一緒にエンマコガネの仲間が出たので採集しておきました。
(後日くわしい方に同定していただきマエカドコエンマと判明しました)
ちょっと悔しさが残りましたが、みんな本命が採れて満足したので移動することに。
コンビニに寄って車中で相談した結果、もう一度本来の本命を狙おうという方針になりました。
ではどこを目指すか、ここは新規開拓するよりも、実績地エリアに戻ろうと提案。
というわけで昨夜予習した候補地はスルーし、初日に突入した林道へ向かいました。
ただ初日にチャレンジした場所よりも奥へ行ってみることに。
とにかくずんずん進み、林道の第一ステージの終点まで詰めてみました。
小雨が降っていましたが、カッパを着ていれば気になるほどでもなく、作業には支障なし。
初日の麓付近と違って倒木や崖があるので少し期待感が高まりました。
一方で林内の倒木や立ち枯れ物件は少ない。
散開してかなり粘りましたが誰も結果を出せませんでした。
申し合わせたわけではないのに、肩を落としつつ自然と集合してしまった四人。
ここはダメだねなどと愚痴りながら車へとぼとぼ歩いて行く途中。
ふと沢の向こうの倒木にコンチューターが反応しました。
あそこどうですか?と提案し四人で突撃。
気になった物件に四方からかぶりつくことしばし。
やっぱりダメかと諦めかけたのですが、Hくんが歓声をあげました。
やっと出ました。
こういう時にもっているHくん。続けて同じところからナガゴミも出してました。
なんとか成果が上がってホッとしたものの、この場所は見切るしかない。
林道のもっと奥へ行くという選択肢もありましたが、車の腹をすりそうなほど道が荒れていたので却下。
一旦麓まで戻って隣の沢筋に入ってみることにしました。
ほどなく林道の入口に到着。
入口付近の沢の対岸はコンクリートの高い法面が所々にあり、自然度が下がったように思いました。
でも沢のそばや斜面林の中には倒木がいくつもあります。
さっそく散開してアタック開始。
小雨が降ったり止んだりする中、最後の力を出し切るべく叩きまくりました。
ところが倒木は見た目よりも固く、部分的に朽ちているものもありましたが何も出ない。
上流へ歩きながら物件を探していると、誰かが手を付けたと思われる立ち枯れがいくつかありました。
しばらくすると他のメンバーと自然に合流したので確認すると、その立ち枯れは叩いていないという。
つまり先客があったということです。
しかも誰も成果が出ていないということで、この林道は見切ることにしました。
さあ、そろそろレンタカーの返却時間も考えなくはいけない時刻。
相談した結果、今回まだ経験していないフィールドタイプ”河川敷”を探しに行こうということに。
駅の方向へ向かいつつ、川沿いを選んで車を走らせました。
まったく予習をしていないので、後部座席組にマップでリアルタイムサーチをしてもらいながら。
しばらくすると県道から川原向かって斜めに下るアプローチを発見。
時間もないので入ってみました。
前出の緑地公園のような場所ではありませんでしたが遊歩道が整備されている。
その川側は藪とも疎林ともいえないものに沿って作業道があったので突撃。
対岸の方が河川敷らしい様子でしたが、もう移動する時間はない。
作業道脇に転がっている木や林の中の倒木をあたりましたが、良物件はなくゴミムシすら出ない。
一つ二つ、これはという立ち枯れがあり、師匠と二人で崩すもなーんにも出てこない。
河川敷名物のノイバラの棘でカッパもズタズタ。バチツルの先は丸まり、握力もなくなってきた。
事ここに至り、とうとう戦意喪失。
一人先に車へと戻りながら川側に落ちかかっていた倒木の木の皮をはぐと。
前日のクマが丘で観察したものと同種と思われる集団がいました。
何になるのか確かめようといくつか摘まんでおきました。
車まで着いたところでカッパを脱ぎ、道具をしまい、靴の泥を落として帰り支度。
間もなくHくんとTさんも帰ってきたので試合終了宣言をしました。
あれ? 師匠は?
連れ帰ったアカガネオサムシは飼育観察しています。
すると色々と面白い生態がわかりました。
集合性が高いこと、走光性が強いこと、そして潜水できること!
惚れなおしました。
--------------------------------------------------------
『ビヨンド・ファーブル~生誕200年の新・昆虫記~』
12月16日(土)23:00~【BS2K】(89分)
※BS4K版は12月8日に放送済み
--------------------------------------------------------
ボランティアとして携わっているファーブル会は、番組の締めを飾るパートで取り上げられます!
出演するわけではありませんが、名前はクレジットされてます♪
今日の湯加減
これまでは標高の低いところの森や林の物件を探していました。
この日の午後からは川の近くに行ってみようということになったのです。
そう、1日目の帰りの道中に予習をしたことを活かして。
ホソアカガネオサムシ ♂ (オサムシ科)
前編の最後にたくさん採れたオサムシです。
コンビニで食料を調達し、前日の予習で周辺の林の植生などを確認した流域へ移動。
場所は決めていなかったのですが、川まで辿り着いたら橋の袂に脇道があったのでとりあえず突撃。
入口から砂利道で左手は川、右手は丘が続いていました。
川側の林の中に物件がちらほら見えてきたので、吟味する余裕もなく停車して突入。
ところが斜面の傾斜がきつくてほぼ突入不能。
ガードレール越しに叩ける物件もありましたが、どれも乾いていて固くて全員成果なし。
早々にあきらめて先へ進み、次に停車したのはこんな様子の場所。
水際までは行けませんでしたが、さっきの地点よりも川沿いの藪に入り易くて物件も多そう。
立ち枯れは少ないものの、倒木はぽつぽつとあったので片っ端から叩いていきました。
しかしここのも固くて、バチツルの歯が立たないものがほとんど。
優良物件と思しきものもポツポツあるのに何にも出ない。
しばらく粘って、本命ではないけれど、やっとそれらしいものを掘り当てました。
キンナガゴミムシ (オサムシ科)
ほぼ全国に分布する普通種ですが、こんなに赤くて光沢の強い個体はチバでは見たことない気が。
やはり水際までは行けなかったし、そこに物件はなさそうに見えました。
ならばと、今度は丘側の斜面林に単独突入してみることにしました。
しかし、かなり傾斜がきつく、やっと登ってみても物件が少ないという。
ほとんど試掘もできないままに(ホントは成果があがらなかったから)皆に合図して一旦集合。
誰も本命は出せなかったものの、師匠がホソアカガネオサムシに混ざって別種を採ったとのこと。
川側の湿地の朽木から出したというのがこのオサムシ。
アカガネオサムシ ♂ (オサムシ科)
これを見て色めきたったのはTさん。
実はTさんとHくんと三人で、この虫を狙いに北関東方面へ遠征したこともありました。
そう、遠征のターゲットになるくらいのオサムシなのです。
(本来の本命はどこへやら)川沿いの湿地を探しに行こうと、車に乗り込みました。
せっかくなので川の反対側に行ってみようということで、橋を渡り川べりを探しました。
探すまでもなく、川へ向かって下る道があったので一も二もなく突入。
そこはおそらく緑地公園と思われ、駐車場があって車も何台か停まっていました。
しかも駐車場の目の前の原っぱの藪が刈り取られ、倒木もいくつか転がっている。
すぐにアタック開始。
するとさっそく朽木からTさんがクロナガオサを出し、これはいけると色めく面々。
ガンガン掘り続けますが、こちらは何も出ない。
と、割れ目からかなり大きくて黒い物体がちらっと見えたのでクロナガかと思いきや。
コクワガタ ♂ (クワガタムシ科)
記念にお連れしましたがこの後も成果なし。
ただ、Hくんが一人だけ本命を出しました。でも、またしても足が欠けていたという・・嬉し悔し。
狭い原っぱだったので物件は当たり尽くしてしまい次へ行くことに。
上流の方に河川敷か川辺があるのではないかと車を走らせ、また下り道を見つけたので突入しました。
狭い荒れた道をしばらく進むも、川辺は現れず、ついには行き止まり。
後部打席の二人に左右後方を見てもらいながらしばらくバックしてUターン。
さらに上流へ走ってみることにしたのですが、いずれ道路は川から離れていくことに。
とにかく川に近づこうと、左折して農道に入り、水溜まりだらけの赤土の細い道を進むと・・
行く手をトラクターに阻まれました。
追い越すことは不可能なので、一旦停止していると、トラクターは牧草地の中へ進入しました。
それで先へは進めたのですが、すぐに道は途切れ、しかも川へのアプローチはなさそう。
仕方なくUターンして農道を引き返していると、右手を行くトラクターが何かをまき散らしている。
まるで荷台から後ろへ向かって泥の塊を噴射しているようでしたが、それはおそらく堆肥。
牧草地に施肥する作業車だったのです。
近づくとトラクターは噴射をやめました。(こちらに飛び散らないようにしてくれたのです)
横を通り過ぎるとき、助手席には小さな男の子が乗っているのが見えました。
もうすでに堆肥の匂いには慣れているのでしょう。
さあ、ではどうするか。
後部座席の二人でGoogleMapを見ながら作戦会議をしてもらい、下流へ引き返すことに。
GoogleMapでは川の中へと岬のように突き出ている場所の周辺が湿地のように見えたのです。
とにかく行ってみようとまっしぐら・・のつもりが途中で道を間違えてUターン。
ロスタイムは10分ほどですが、かなり陽が傾いてきたので焦る。
現地近くに着いてみると想像していた様子とは違って道路から水辺は見えない。
しかもアプローチが分からなかったので一旦スルーし、先の入江のようになっている地点を目指しました。
そこは民家も近くにあるような道路沿いでしたが、水辺に降りることはできそうに見える。
とにかく突撃あるのみと車を停めてチャレンジ。
しかし物件はほとんどなく、ここで日没サスペンデッドとなりました。(成果も全くなし)
前日と同様に、宿に戻りながら予習をすることにし、さっきの岬まで戻ってみるとやはり車は進入不可。
歩いて周辺の様子を見てみましたが環境の評価はイマイチでした。
もう一か所予習をしに行こうということで協議し、場所は岬の対岸に決定。
また橋まで戻って渡り、さら走ること約30分。
とっぷりと陽が暮れた中、これまた狭い農道というか畑の中を進んでいくとやがて水辺の近くへ。
月明りを頼りに様子を見に行くと、林の中に小道を見つけ、水際まで出ることができました。
想定とは違って湿地ではなかったけれど、林の中には物件がありそうだったので翌日の候補地としました。
というわけで予習も終了して一路宿へ。
車中、今晩の夕食は何かを予想する賭けをしました。
四人の想定は、焼き物、煮物、揚げ物、丼物。
果たして正解は・・・
鍋物(しゃぶしゃぶ)でした。
おかげで勝者も敗者もなく、平和な結末となり、みんなで宿のおかみさんに感謝しました。
(おかみさんは何のことか分からないようでしたが)
とても食べきれないと思われた肉の量でしたが、やまと豚はとてもあっさりしてる割に旨味たっぷり。
気持ちよく食べきりました。
反省会はアカガネオサでもちきり。
前翅を開いてみようということになり、師匠が採った個体をTさんがご開帳。
オサムシの仲間は後翅が退化消失していることが多いのですが、アカガネオサは・・・
君、飛べるんじゃない?と思ってしまうほど、ちゃんと翅がありました。
翅があっても筋肉が退化していると飛べないのですが・・
翌朝、道路は濡れていたものの雨は降っていない。
荷物をまとめ、宿の前で記念撮影をして出発。
行く先は前夜の作戦会議で盛り上がったアカガネオサ探しに。
前日採れた場所のさらに奥を目指してまっしぐら。
例の橋の袂から林道に入り、砂利道をしばらく進んでいくと、工事車両と作業員の姿がちらほら。
昨日は日曜で休工だったのでしょう。
林道の奥は行き止まりではなかったけれど、作業車などが停めてあったので少し戻ることにしました。
工事の邪魔にならないと思われる駐車スペースを見つけ、装備を整えて(カッパも着て)いざ突撃。
もちろん川べりを目指しましたが、三人とは逆側の下流へ向けて物件探しをしました。
川の方には芦原が見えるのですが、藪が深くて近寄れない。
ぽつぽつと良さそうな物件があるものの、出るのは小さなゴミムシくらい。
ゴミの不法投棄もあって少し気分が滅入っていたときにやっと出たのはナガゴミくん。
ニセクロナガゴミムシ(仮) (オサムシ科)
こんなおいしそうな物件からも何も出なくて、がっかりしつつも藪の中を進んでいきました。
藪を抜けると川端が広くなり、半湿地の林になりました。
まさにこの日の本命がいそうな雰囲気が漂います。
その予感は的中。ついに顔を出してくれました。
アカガネオサムシ ♀ (オサムシ科)
今年の春に北関東某所へ行ったときはオスしか採れなかったのでうれしさ倍増。
しかし後が続きませんでした。
物件はあるけれどなかなか出ない。
心が折れそうなときにこの子が出たので、なんとか持ちこたえたというところ。
前出のと同種ですが、さらに光沢が強くてちょっと感動しました。
キンナガゴミムシ (オサムシ科)
気合を入れ直して崩しまくることしばし。
これは出るだろうという物件を見つけました。
ビンゴ。
アカガネオサムシ ♀ (オサムシ科)
この物件はアオゴミマンションでもありました。
アオゴミムシ (オサムシ科)
それにしても集合性が強いゴミムシだということがわかります。
時間を忘れていて、師匠から電話がかかってきたことで集合時刻を過ぎていることを知りました。
すぐ行きますと返事しつつ、最後の一振りをすると幸運にも追加できました。
アカガネオサムシ ♀ (オサムシ科)
またメス・・・
藪の中を進んできたルートに引き返さず、道路へ向けてショートカットしていくとそこは小さな空き地。
この紅葉したモミジは見覚えがありました。ここから突入すればよかったのか・・
車まで戻り、三人の成果を聞くと今一つのようだったので、モミジポイントへ案内することに。
まだまだ物件がありそうだったからですが、幸い全員この日の本命を出せたようでした。
このゴミムシと本命を一頭追加できたので、一人場所を変えて道路と反対側の丘の斜面に突撃することに。
ニセクロナガゴミムシ(仮) (オサムシ科)
斜面に寝ている倒木を叩いていったのですが、意外なことに何も出ず。
頭上に赤土が露出している小崖が見えたので頑張って登りました。
見た目より乾燥していて、かつ木の根が邪魔でしたが、一部だけ適度な固さの土がありました。
期待通りクロオサが出てくれたのですが、焦っていたのかこんな時に限ってバチの方を振っていて・・
首チョンパしてしまいました。(なので写真なし)
またそれと一緒にエンマコガネの仲間が出たので採集しておきました。
(後日くわしい方に同定していただきマエカドコエンマと判明しました)
ちょっと悔しさが残りましたが、みんな本命が採れて満足したので移動することに。
コンビニに寄って車中で相談した結果、もう一度本来の本命を狙おうという方針になりました。
ではどこを目指すか、ここは新規開拓するよりも、実績地エリアに戻ろうと提案。
というわけで昨夜予習した候補地はスルーし、初日に突入した林道へ向かいました。
ただ初日にチャレンジした場所よりも奥へ行ってみることに。
とにかくずんずん進み、林道の第一ステージの終点まで詰めてみました。
小雨が降っていましたが、カッパを着ていれば気になるほどでもなく、作業には支障なし。
初日の麓付近と違って倒木や崖があるので少し期待感が高まりました。
一方で林内の倒木や立ち枯れ物件は少ない。
散開してかなり粘りましたが誰も結果を出せませんでした。
申し合わせたわけではないのに、肩を落としつつ自然と集合してしまった四人。
ここはダメだねなどと愚痴りながら車へとぼとぼ歩いて行く途中。
ふと沢の向こうの倒木にコンチューターが反応しました。
あそこどうですか?と提案し四人で突撃。
気になった物件に四方からかぶりつくことしばし。
やっぱりダメかと諦めかけたのですが、Hくんが歓声をあげました。
やっと出ました。
キタカブリ ♂(オサムシ科)
こういう時にもっているHくん。続けて同じところからナガゴミも出してました。
なんとか成果が上がってホッとしたものの、この場所は見切るしかない。
林道のもっと奥へ行くという選択肢もありましたが、車の腹をすりそうなほど道が荒れていたので却下。
一旦麓まで戻って隣の沢筋に入ってみることにしました。
ほどなく林道の入口に到着。
入口付近の沢の対岸はコンクリートの高い法面が所々にあり、自然度が下がったように思いました。
でも沢のそばや斜面林の中には倒木がいくつもあります。
さっそく散開してアタック開始。
小雨が降ったり止んだりする中、最後の力を出し切るべく叩きまくりました。
ところが倒木は見た目よりも固く、部分的に朽ちているものもありましたが何も出ない。
上流へ歩きながら物件を探していると、誰かが手を付けたと思われる立ち枯れがいくつかありました。
しばらくすると他のメンバーと自然に合流したので確認すると、その立ち枯れは叩いていないという。
つまり先客があったということです。
しかも誰も成果が出ていないということで、この林道は見切ることにしました。
さあ、そろそろレンタカーの返却時間も考えなくはいけない時刻。
相談した結果、今回まだ経験していないフィールドタイプ”河川敷”を探しに行こうということに。
駅の方向へ向かいつつ、川沿いを選んで車を走らせました。
まったく予習をしていないので、後部座席組にマップでリアルタイムサーチをしてもらいながら。
しばらくすると県道から川原向かって斜めに下るアプローチを発見。
時間もないので入ってみました。
前出の緑地公園のような場所ではありませんでしたが遊歩道が整備されている。
その川側は藪とも疎林ともいえないものに沿って作業道があったので突撃。
対岸の方が河川敷らしい様子でしたが、もう移動する時間はない。
作業道脇に転がっている木や林の中の倒木をあたりましたが、良物件はなくゴミムシすら出ない。
一つ二つ、これはという立ち枯れがあり、師匠と二人で崩すもなーんにも出てこない。
河川敷名物のノイバラの棘でカッパもズタズタ。バチツルの先は丸まり、握力もなくなってきた。
事ここに至り、とうとう戦意喪失。
一人先に車へと戻りながら川側に落ちかかっていた倒木の木の皮をはぐと。
前日のクマが丘で観察したものと同種と思われる集団がいました。
ヒラタムシの幼虫 ?
何になるのか確かめようといくつか摘まんでおきました。
車まで着いたところでカッパを脱ぎ、道具をしまい、靴の泥を落として帰り支度。
間もなくHくんとTさんも帰ってきたので試合終了宣言をしました。
あれ? 師匠は?
オマケ
連れ帰ったアカガネオサムシは飼育観察しています。
すると色々と面白い生態がわかりました。
アカガネオサムシ 全部♀(オサムシ科)
集合性が高いこと、走光性が強いこと、そして潜水できること!
惚れなおしました。
再告知
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『ビヨンド・ファーブル~生誕200年の新・昆虫記~』
12月16日(土)23:00~【BS2K】(89分)
※BS4K版は12月8日に放送済み
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ボランティアとして携わっているファーブル会は、番組の締めを飾るパートで取り上げられます!
出演するわけではありませんが、名前はクレジットされてます♪
今日の湯加減
待ちに待った昨夜の放送『ビヨンド・ファーブル』を視ました。(そのためにチューナー買った)
見つけるのに新幹線に3回も乗ることになり、何時間にもわたる撮影もしていたあの虫。
登場時間は十数秒でした・・
1時間半の特番ですが内容が盛り沢山で、一つの虫ごとに1時間番組になりそうなので仕方なしか。
でも次世代への(特に子供たちへの)メッセージにもなっている素晴らしい番組だと思いました。
さて、明日は恒例のファーブル会のクリスマス子供会です。
クリスマスどころか師走という感覚がまったくありませんが・・
あまり寒くないし風物詩的な情況に触れることがないせいかもなので、季節感を取り戻せるかもと。
ともかく子供たちから元気をもらってきたいなと思うこの頃。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
ビヨンド・ファーブル、録画ばっちり出来たので、
平日の昼間にゆっくり見るつもりです^^
ダーウィンが来た!のクレジットもバッチリ見ましたよ^^
by リュカ (2023-12-10 16:17)
改めて、オサの魅力は鞘翅の条痕に有り、とおもいました。アカガネオサムシさま、ホソアカガネオサムシさま共々、艶消しブラックに浮き上がる篆刻が南部鉄器のよう!
by 高和です。 (2023-12-11 07:54)
>リュカさん
4K映像は一味違うと思います♪
「ダーウィンが来た!」は手だけ出演しました^^
>高和です。さん
物理的な篆刻や条痕のある甲虫は他にあまりないですからね。
たしかにアカガネオサの篆刻は鉄器のようで美しいですね♪
by kon(昆) (2023-12-11 21:56)
1匹目のキンナガゴミムシは赤みが強くて、2匹目のは金ピカって
感じですね。アカガネオサムシ、つや消しの真っ黒な金属に、
たたき出して紋様をつけたよう。渋くて美しいです。
仲間と一緒に一泊二日の探虫行、楽しそうです^^。
by sakamono (2023-12-13 15:04)
スタミナがつきそうな鍋だなー。
これ食べたら探虫に力が入りますね。
by 響 (2023-12-14 17:29)
>sakamonoさん
これがもし倍の大きさだったら人気過ぎて取り尽くされるかと^^;
アカガネオサはまさに鉄器のような質感です♪
>響さん
お刺身や蟹グラタンまでついていたのでパワー充填できました!
本命には見放されましたが・・^^;
by kon(昆) (2023-12-14 20:36)