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静かな異変の秋 [探虫行]

お江戸では百年ぶりに11月の最高気温の記録を更新したほど異常な暑さ。

チバも連日の夏日のおかげで今シーズンはトラップ採集も続けていました。

ただふと一年前の今頃はどうしていたかと記事をたどると暖かさにつられてセンチの採集に行っていた。

今年は昨年よりはるかに暖かいので期待値は高いぞと。

久しぶりにボウソウしてきました。

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でも何故かチョウからはじまる。

11月3日のチバも夏日予想、これは虫たちも元気に活動しているに違いないと思いました。

いつもの下道ルートR16で中房を目指しましたが、GoogleMapナビは姉崎を左折するなという。

2~3キロ先を左折し、内房線を渡り、丘を越えていくと、いつものK24に突き当たりました。

たしかに姉崎で曲がると市街地を通過するので、そこが少し混んでいたのでしょう。
(GMナビはリアルタイムで混雑状況を考慮してルート選択してくれる優れもの)

おかげで標準的時間でいつもの場所に到着。

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林道の入口の空き地に車が一台停まっていたので、誰かいるかと周囲を見回すと。

ウェーダーを着たオジサンが一人、川に降りてガサガサしていました。

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何を獲っているのか気になりましたが(魚ではなさそうだった)、声かけは自粛しました。

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さて、さっそくトラップの設置です。

この草原が定位置なのですが、下草が少し刈られていて9月訪問時より全体的にすっきりしていました。

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う〇こトラップとサナギ粉トラップをしかけて待つことしばし。

天気も良く気温も高く、すぐやって来るだろうと高をくくっていました。

ベニシジミ号の近くの石の上に腰かけ、お茶を飲みながら待つことしばし。

近くにいてくれれば5分も経たずに来るはず。

10分ほど経ってトラップの巡回をしましたが、なんにも来ていない。

さらに15分後くらいに2回目の巡回をするもお客さんゼロ。

一人作戦会議の結果、お昼を食べに行くことにしました。

まんぼうに行きたいところですが、この日は夕方通院予定だったため、最寄りの食堂を探しました。

いや、食堂なんて近くにないと思っていたのですがあったのです。

久留里線の上総松丘の近くR410沿いに「あけぼの食堂」というのが。

行ってみるとほんとにありました。国道沿いなのに知らないと気が付かないほど目立たないお店でした。

入ってみると常連さんらしき方が数人と、近所の方と思しきじいちゃんが一人(生ビール飲んでた)。

定食が王道メニューのようでしたが、好物の野菜ラーメンを注文。

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おばちゃんが一人で切り盛りしていて、正直期待していなかったけれど、これがなかなかのお味。

地元産なのでしょう、野菜がどれも味が濃くて、特ににんじんが甘くて、ごちそうさまでした。
(このロケーションで850円はちょっと高いかな?と思ったけど、このロケーションだからかも)

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さあ、舞い戻ってきて3回目のトラップ巡回。

やっと一つだけ来てくれていました。

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オオセンチコガネ ♀ (センチコガネ科)


相変わらず天気はいいし気温も高いのに、周辺ルッキングしても、飛んでる個体も歩いてる個体もいない。

しょうがないので山道の奥へ散策へ出かけました。

山道を歩き始めてすぐ、道端で目が合ったのは。

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オオカマキリ ♀ (カマキリ科)


しばらく歩いていきましたが虫どころか生き物の気配がない。

と思ったら、どこからか飛んできて腕に止まったのはカメムシ。

周囲を観察すると大勢いました。

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チャバネアオカメムシ (カメムシ科)


他には何も観察できないまま、さびしくぽつぽつ歩いていると、やっと遊んでくれたのが扉の写真の子。

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ウラギンシジミ ♀ (シジミチョウ科)


シジミチョウとしてはめずらしく成虫越冬する種です。

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山の中へと歩き続けますが、虫どころか生き物の気配がありません。

鳥のさえずりも猿の鳴き声も聞こえず、さびしいけれど静かな秋に包まれます。

と、どこからかカサカサという落ち葉がこすれる音が。

この子もそろそろ越冬か。

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ヤマカガシ


ニョロニョロが姿を消すと、森の中にはまた静寂が戻ってきました。

一年前と同じく、川廻しのトンネルまで辿り着いたところで引き返しました。

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このすぐ先で山道は行き止まり。当面、周辺の様子は変わりようがない。

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引き返す途中、今度はブーンという小さな音がしてコンチューターが激烈に反応。

本命ちゃんでした。

腰のお散歩ネットを出すヒマはなく、帽子を脱いで近寄ったのですが射程距離には入らず。

それでも後を追って斜面林の中へ駆けあがりました。

飛んでいく先を見ていると、どこかに着地したようでしたが落枝や落ち葉が多くて探索は困難でした。

でも斜面林を見上げると上は台地状になっていそうに見え、尾根伝いに登れそう。

これも何かのお導きと思って、狭くて急な尾根を登って行くと、台地というか、やや平坦な疎林が。

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イネ科の植物は少なそうでしたが、ここはオオセンチの生息場所かもしれません。

林を抜けてさっき歩いていた山道を見下ろす場所まで行ってみると意外なものが。

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なんと、こんなところに変電設備があるとは。

少なくとも半径1キロの周囲に民家や事業所はないはずなのですが・・

さっきのオオセンチは何を教えてくれようとしたのでしょうか。

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さて、トラップ設置した草原に戻り、最後の巡回。

残念ながら追加はなかったものの、本命の他にこんな種を観察しました。

トラップに来てくれた、これも一年ぶりの再会。

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カドマルエンマコガネ ♂ (コガネムシ科)


サナギ粉トラップには全く何も来なかったけれど、トラップのすぐ脇にいたのが。

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クルマバッタ ♀ (バッタ科)


近づいても微動だにせず逃げなかったのは産卵中だったからです。

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同上


トラップを埋めるために掘り返した土が産卵するのにちょうどよかったのかもしれません。

バッタはこの他にコバネイナゴが数匹いたのとこの子くらい。

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ショウリョウバッタモドキ (バッタ科)


こんな黒っぽい個体ははじめて見ました。

それにしてもトンボの姿が見えなかったのも変でした。

相変わらず気温が高いし陽射しもあるから本命ちゃんが出てないかと、もう一度草原を探索しました。

しかし何もいないし、そもそもシカの糞がほとんど見当たらない。

何かが変。




オマケ


帰り道、予約時間までちょっとだけ余裕があるなと思って寄り道。

この麓はたまに通るのですが、山の上までは行ったことがなかったので。

様子を見たかったのは真里谷城跡。

航空写真で見ると草原があるようだったのですが・・

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城跡エリアはキャンプ場でもあるらしく、オフシーズンは閉鎖されているようでした。




今日の湯加減

やっと秋らしくなってきたチバですが、昨年とくらべると明らかに暖かい。
でも虫たちは少ない。
今に始まったことではないですが、不穏な気配は高まるばかり。
もはや杞憂であってくれとは言えない気がします。
ところで今日は久しぶりにお江戸へ出てお買い物をしてきます。
気分転換にもなるかしら。


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コメント 8

いろは

こんにちは^^
ウラギンシジミは出会った事がないのです。
渋い色合いですが、珍しいシジミ蝶のようですね。私の持っている本には載っていないようです^^
虫も鳥もいない状態は不気味ですね。
そう言えば、我が家もカマキリを見かけないようになりました。
by いろは (2023-11-12 16:49) 

リュカ

野菜がどれも味が濃いっていうのが惹かれます^^
虫、この秋はますます少ないのですね。
セミの季節が終わって、私も蚊しか見てないかも><
その蚊も見なくなりました。
by リュカ (2023-11-13 13:18) 

高和です。

夏日かと思えばいきなり木枯らし。四季は二季へ。今年もおさほりがフツーにできますように!
by 高和です。 (2023-11-13 19:12) 

kon(昆)

>いろはさん
今でも都内でも観察できるチョウですが地味なので目立ちません^^;
カマキリがいないということは、エサになる小昆虫がいないということですね・・

>リュカさん
そのかわり味のパンチはないですよ^^
今年の夏は虫たちにとっても暑すぎたのだと思いますがそれにしても・・

>高和です。さん
まだ梅雨はありますから三季ですかね・・
ともかく、今年だけのことであることを祈ります。
by kon(昆) (2023-11-13 22:34) 

engrid

一転して、朝の冷え込み、大慌ての冬支度なりました、緩やかに季節を感じる間も無く、紅葉の紅は茶色にくすみ、錦の彩は、やや望み薄でしょうか、街中に銀杏は落ち始めていますけれど、、イチョウは黄色になり始めかな、、
by engrid (2023-11-14 14:58) 

kon(昆)

>engridさん
ヒトだけではなく、いやヒトよりも動植物たちの方がとまどっている気がしますね・・
その結果、見え様が違ってしまうようです。
by kon(昆) (2023-11-14 21:49) 

sakamono

11月の最高気温を100年ぶりに更新? 知らなかった。道理で先週は
暖かいと思いました。今週はストーブをつけたのに^^;。
ウラギンの翅の色、私は銀色に見えて、たまに見かけると、
キレイだなと思います。
by sakamono (2023-11-14 23:04) 

kon(昆)

>sakamonoさん
まさに”裏銀”ですね♪
花にはこないシジミチョウであることもありたくましさを感じますね

by kon(昆) (2023-11-16 21:55) 

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