"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
空白を埋めろ ~伏線回収編~ [オサムシ]
11月の記事、Chal.18の敗戦記録で伏線を張りました。(自分に宿題を課したとも言える)
その回収をするべく臨んだ探虫行です。
つまりターゲットは今回もアオオサくん。
回収できました。
12月2日、宿題を提出しに行く前に、せっかく東総エリアに行くので他のポイントにも。
とにかく東総や外房はハードルが高いのでチャンスを活かしたいので。
天気は上々、今までたった一個体しか採集できていない地、アサヒ市へ向けてひた走りました。
途中、伏線の地であるタコ町に差し掛かったとき、季節感が狂ってしまうような雲が行く手にもくもとと。
ぽかぽかと暖かい日だったためか積乱雲が・・
アサヒのポイントは限られているため、実績地を再訪することにしたのですが変わってなくて一安心。
実績地とはいえ、掘れる箇所はとっても局所的で、しかも乾燥が進んでいました。
これは厳しいぞと覚悟したけれどなんとか出てほしい。
でもアオオサどころか何も出ない。
あきらめムードが漂いはじめた頃、出てきたのはこんなときの心のよりどころ。
そう、親分さえ出ないと絶望的なので、出てくれると一縷の望みが持てる。
貴重な小崖なので、かなり丁寧にしばらく(20分ほど)掘っていると、やっと二つ目のゴミムシが。
気持ちが折れかけると出てくれる。さらに約20分後。
アオゴミ臭は気付け薬。元気百倍。
目が覚めた思いでしたが、とうとうもう掘れる箇所がなくなりました。
しかたなく、掘り残した場所をコツコツ叩いてみた。
かなり丹念に掘りつつも、ここはダメだろうなというところから本命が出てくれました。
竹の根際から出ることはたまにありますが、こんなニッチなのは初見かもしれません。
しかも横向きとは・・よっぽど苦労して見つけた場所なのだと思います。
そんな個体を見つけられていい気分でした。
感謝したい気持ちでもありました。
さすがにもう掘るところがなくなったけれど、崖の上の林の中がちょっと気になりました。
急な斜面には倒木もいくつか転がっています。
前回はマイマイも出たのでちょっと欲が出たのですが、アタックしてみると肩透かしばかり。
朽ち方は申し分ないクヌギでも、ゴミダマの幼虫すら出ない。
またもやがっくりしつつも、ほどよい固さの立ち枯れを叩いたときに大物がでました。
40mmを超える立派な体格の女王様でした。
そのあとは西へ移動するのですが、その方向には適当なお店がなくて、中華食堂へ行って腹ごしらえ。
チャーハンを食べたい衝動にかられたので、ネギラーメンの麺はハーフにしてもらいました。
さあ次に向かうは難関のソウサ市。
見落としていたというか、未踏の谷津田に突入してみました。
長くてかつ支流も多く、期待感が高まりますが、周囲の丘が低くて崖地がまったくなさそう。
それでもポイントは突然現れるものだと信じつつ、ひたすらベニシジミ号でトレースしていきました。
すると偶然にもその通り、突然崖が目の前に。
人工的に土を崩したものでしたがかなり時間が経過しているようなのでチャンスあり。
左側の、こちらは人工的ではない、土がえぐれた林縁の垂直面に取り付きました。
この辺りがよさそうとバチツルを振ると・・ゴミムシのシェアハウスでした。
アオゴミ、コキベリアオゴミ、そして複数のオオキベリアオゴミムシが住んでいました。
ただ、かなり乾燥していたので本命は見込みなしと判断して掘り止めました。
大きな方の崖へ移動して再開。
ところが見た目以上に崖の表面が固くて乾燥していました。
低いところ高いところ、叩ける場所は片っ端から掘ってみましたが、ここはゴミムシすら出ない。
乾いた土が崩れて足元が不安定なまま高い位置の土を崩していると、突然黒いものがぽろっと落ちた。
本命ではありませんが、かなりの大物でした。
後日展足して測定すると体長23.5mm。
手元の図鑑では20mm内外、あるいは最大21mmとあるので同定が正しいとするとやはり大物。
続いてまたシェアハウスを掘り当てたところでこの場所は打ち止めとしました。
本来の目的地へ向かう前にもう少しだけと、隣の谷津田へ向かいました。
そこは支流がなく一本道だったのですが崖地がありませんでした。
ちょっとでも掘れそうなところを二三か所アタックしてみたもののまったく手応えなし。
そろそろ行かねばと谷津田を脱出して県道へ出る手前の用水路がいい景色でした。
また来ようと思いつつ、宿題提出場所へ急ぎました。
まだ夕暮れまで少し時間があるのですが、現地はとても日当たりが悪くて陽が陰ると暗くなるのです。
そこはこんな場所。
元は杉林を切り開いた作業路だと思いますが百メートルほどで行き止まりになります。
その手前にこんな崖があるのです。
まだ三時過ぎだというのに、もうすでに暗い。ヘッドライトを持ってこなかったので焦る。
一番奥の崖からアタックしました。
ここを見つけたときに土質は確かめてありましたが、季節が違うためか、やや固くて乾き気味。
必ずや出る、すぐに出ると思っていただけに指標虫も現れないので不安になってきました。
これは今日は負けの日かと、しょんぼりしながら掘っていると、心のよりどころが顔を出してくれた。
気持ちが持ち直せて掘り続けると間もなく。
宿題を提出できた。
お友達はいないかと近くを掘ると、二階建ての部屋を発掘。
この二頭は色違いでもありました。
でも角度を変えると・・同じ色に。
アオオサムシが構造色を含み、かつそれには個体差があることが分かります。
その後は続々と。
掘れば掘るほど出てきます。
オスが複数採れたところで掘り止めとしました。
ちょっとハラハラしたけれど、伏線を回収して空白をまた一つ埋めることができた。
提出した宿題はこの通り。
タコ町はシバヤマ町に隣接する地。
種類によらず貴重なサンプルになるかもしれません。
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『ビヨンド・ファーブル~生誕200年の新・昆虫記~』
12月16日(土)23:00~【BS2K】(89分)
※BS4K版は12月8日に放送済み
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ボランティアとして携わっているファーブル会は、番組の締めを飾るパートで取り上げられます!
出演するわけではありませんが、名前はクレジットされてます♪
今日の湯加減
その回収をするべく臨んだ探虫行です。
つまりターゲットは今回もアオオサくん。
回収できました。
12月2日、宿題を提出しに行く前に、せっかく東総エリアに行くので他のポイントにも。
とにかく東総や外房はハードルが高いのでチャンスを活かしたいので。
天気は上々、今までたった一個体しか採集できていない地、アサヒ市へ向けてひた走りました。
途中、伏線の地であるタコ町に差し掛かったとき、季節感が狂ってしまうような雲が行く手にもくもとと。
ぽかぽかと暖かい日だったためか積乱雲が・・
アサヒのポイントは限られているため、実績地を再訪することにしたのですが変わってなくて一安心。
実績地とはいえ、掘れる箇所はとっても局所的で、しかも乾燥が進んでいました。
これは厳しいぞと覚悟したけれどなんとか出てほしい。
でもアオオサどころか何も出ない。
あきらめムードが漂いはじめた頃、出てきたのはこんなときの心のよりどころ。
スジアオゴミムシ (オサムシ科)
そう、親分さえ出ないと絶望的なので、出てくれると一縷の望みが持てる。
貴重な小崖なので、かなり丁寧にしばらく(20分ほど)掘っていると、やっと二つ目のゴミムシが。
キボシアオゴミムシ (オサムシ科)
気持ちが折れかけると出てくれる。さらに約20分後。
コキベリアオゴミムシ (オサムシ科)
アオゴミ臭は気付け薬。元気百倍。
目が覚めた思いでしたが、とうとうもう掘れる箇所がなくなりました。
しかたなく、掘り残した場所をコツコツ叩いてみた。
かなり丹念に掘りつつも、ここはダメだろうなというところから本命が出てくれました。
アオオサムシ ♀ (オサムシ科)
竹の根際から出ることはたまにありますが、こんなニッチなのは初見かもしれません。
しかも横向きとは・・よっぽど苦労して見つけた場所なのだと思います。
そんな個体を見つけられていい気分でした。
同上
感謝したい気持ちでもありました。
さすがにもう掘るところがなくなったけれど、崖の上の林の中がちょっと気になりました。
急な斜面には倒木もいくつか転がっています。
前回はマイマイも出たのでちょっと欲が出たのですが、アタックしてみると肩透かしばかり。
朽ち方は申し分ないクヌギでも、ゴミダマの幼虫すら出ない。
またもやがっくりしつつも、ほどよい固さの立ち枯れを叩いたときに大物がでました。
オオスズメバチ ♀ (スズメバチ科)
40mmを超える立派な体格の女王様でした。
そのあとは西へ移動するのですが、その方向には適当なお店がなくて、中華食堂へ行って腹ごしらえ。
チャーハンを食べたい衝動にかられたので、ネギラーメンの麺はハーフにしてもらいました。
さあ次に向かうは難関のソウサ市。
見落としていたというか、未踏の谷津田に突入してみました。
長くてかつ支流も多く、期待感が高まりますが、周囲の丘が低くて崖地がまったくなさそう。
それでもポイントは突然現れるものだと信じつつ、ひたすらベニシジミ号でトレースしていきました。
すると偶然にもその通り、突然崖が目の前に。
人工的に土を崩したものでしたがかなり時間が経過しているようなのでチャンスあり。
左側の、こちらは人工的ではない、土がえぐれた林縁の垂直面に取り付きました。
この辺りがよさそうとバチツルを振ると・・ゴミムシのシェアハウスでした。
アオゴミ、コキベリアオゴミ、そして複数のオオキベリアオゴミムシが住んでいました。
ただ、かなり乾燥していたので本命は見込みなしと判断して掘り止めました。
大きな方の崖へ移動して再開。
ところが見た目以上に崖の表面が固くて乾燥していました。
低いところ高いところ、叩ける場所は片っ端から掘ってみましたが、ここはゴミムシすら出ない。
乾いた土が崩れて足元が不安定なまま高い位置の土を崩していると、突然黒いものがぽろっと落ちた。
本命ではありませんが、かなりの大物でした。
オオナガゴミムシ (仮)(オサムシ科)
後日展足して測定すると体長23.5mm。
手元の図鑑では20mm内外、あるいは最大21mmとあるので同定が正しいとするとやはり大物。
続いてまたシェアハウスを掘り当てたところでこの場所は打ち止めとしました。
本来の目的地へ向かう前にもう少しだけと、隣の谷津田へ向かいました。
そこは支流がなく一本道だったのですが崖地がありませんでした。
ちょっとでも掘れそうなところを二三か所アタックしてみたもののまったく手応えなし。
そろそろ行かねばと谷津田を脱出して県道へ出る手前の用水路がいい景色でした。
また来ようと思いつつ、宿題提出場所へ急ぎました。
まだ夕暮れまで少し時間があるのですが、現地はとても日当たりが悪くて陽が陰ると暗くなるのです。
そこはこんな場所。
元は杉林を切り開いた作業路だと思いますが百メートルほどで行き止まりになります。
その手前にこんな崖があるのです。
まだ三時過ぎだというのに、もうすでに暗い。ヘッドライトを持ってこなかったので焦る。
一番奥の崖からアタックしました。
ここを見つけたときに土質は確かめてありましたが、季節が違うためか、やや固くて乾き気味。
必ずや出る、すぐに出ると思っていただけに指標虫も現れないので不安になってきました。
これは今日は負けの日かと、しょんぼりしながら掘っていると、心のよりどころが顔を出してくれた。
スジアオゴミムシ ♀ (オサムシ科)
気持ちが持ち直せて掘り続けると間もなく。
宿題を提出できた。
アオオサムシ ♂ (オサムシ科)
お友達はいないかと近くを掘ると、二階建ての部屋を発掘。
この二頭は色違いでもありました。
でも角度を変えると・・同じ色に。
アオオサムシが構造色を含み、かつそれには個体差があることが分かります。
その後は続々と。
同上 ♀
掘れば掘るほど出てきます。
オスが複数採れたところで掘り止めとしました。
同上 ♂
ちょっとハラハラしたけれど、伏線を回収して空白をまた一つ埋めることができた。
オマケ
提出した宿題はこの通り。
アオオサムシ (オサムシ科)
タコ町はシバヤマ町に隣接する地。
種類によらず貴重なサンプルになるかもしれません。
いよいよ今晩
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『ビヨンド・ファーブル~生誕200年の新・昆虫記~』
12月16日(土)23:00~【BS2K】(89分)
※BS4K版は12月8日に放送済み
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ボランティアとして携わっているファーブル会は、番組の締めを飾るパートで取り上げられます!
出演するわけではありませんが、名前はクレジットされてます♪
今日の湯加減
秋がなかったので秋物の服がほとんど着ないままになりました。
でも昨年の記事を振り返ってみると、11月上旬にはストーブを出していたようです。
木枯らしが吹いたあと少し緩んだので、今年はまだストーブは点けていません。(出したけど)
ともかく、オサムシたちが潜行したこともあり、いよいよ冬の到来です。
ところでこの2か月くらい、自宅でゆっくり過ごすという意味での休日がないほど忙しくしてます。
(ボウソウしている日はもちろん休みだけどある意味仕事よりもハード)
例外は入院していた日と風邪で寝込んでいた日という・・・
ちょっと一休みしたいところですが、来週がまた激動になる予定。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
提出の作品、
アオオサムシさまは姿かたちもさまざまですね。
番組見ました。
ノーベル賞ものの研究がたくさん取材されてました。昆虫少年・少女の育成に欠かせない母の役割にもちゃんと目が配られてました。
丁寧な番組づくりでした。
by 高和です。 (2023-12-17 07:41)
オオスズメバチ、びっくりです、怖いな
by engrid (2023-12-17 10:10)
スズメバチ、女王だけが越冬するのですね。
11月中頃まで近所の雑木林のコナラ?の木の根元で、スズメバチたちが何匹も集まって飛翔もせずに同じ場所で毎日樹液を吸っているようでした。多い時は20匹以上いました。が、気温の低下と共に数が減り、その場で数匹は動けなくなり、その後三匹ほど死んでいました。暫くして、姿が全く見えなくなりました。今まで、スズメバチが大量に樹液を吸っている姿、それも薄ら寒くなってから、を見たのは初めてなのですが、来年スズメバチが減少したりすることがあるかどうか、気になっています。
by アヨアン・イゴカー (2023-12-17 10:23)
ビヨンド・ファーブル面白かったです〜〜
番組、しばらくは保存しておく〜って思いました^^
by リュカ (2023-12-18 15:38)
>高和です。さん
ディレクターの方の並々ならぬ思いの結晶だと思います。
就中、F会の活動と主旨に共感していただいていることがうれしいですね♪
>engridさん
冬の朽木崩しではレギュラー的な種ですね^^
>アヨアン・イゴカーさん
かなりの大集団ですね。
よっぽと近くに巣があったのではないでしょうか。
個体数あるいはコロニーの増減はさまざまな要因があると思います。
>リュカさん
とりあげることが多すぎて90分ではとても足りないですよね^^;
緑色の長靴とオレンジ色のリュックに気が付いていただけたでしょうか^^
by kon(昆) (2023-12-18 20:51)
ラストの宿題提出場所での、アオオサムシの怒涛のラッシュ。
読んでいて疾走感がありました^^;。角度を変えると同じ色、
というのもおもしろいです。
オオスズメバチ、こんな状態でも迫力がありますね。
by sakamono (2023-12-21 23:04)
>sakamonoさん
狙った場所で狙った獲物を得る喜びは格別ですね^^
しかも奥深い虫なのでなおさらです♪
オオスズメバチは別格の迫力です^^
by kon(昆) (2023-12-22 20:34)