"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
西風のハシリ [探虫行]
今シーズンのご近所パトロールシリーズの第三弾。
チバの5月は夏日になることも少なく、かと言って爽やかな五月晴れもほとんどありませんでした。
数値でみても積算気温は600℃にわずかに届かず(一日の平均気温を積算)。
まだ虫たちの活性も高まらないものの、トンボや水生昆虫など、顔を出し始めているのもいる。
今シーズンお初の子たちを紹介します。
6月1日、天気は上々で気温も高い夏日。
まずは市内の巡回ポイントの一つ、M川の上流へ向かいました。
ビオトープの様子から確認したのですが、今年はあまり手入れがされていないようで草ぼうぼう。
木道の上にはシオカラたちが大勢屯していましたが、他の虫が見当たらない。
奥の方にいくとオオシオカラがいたのですが、縄張り争いに忙しくて撮らせてくれませんでした。
入口に戻ってきたとき、やっと木道の側面に小さなゾウムシを発見。
と思われる、体長約5mmの小型のゾウムシ。カメラを逆さまにしているので上下反転しています。
ちょっと期待外れだったので、土手沿いの道も歩いてみました。
ところがこちらも虫が見当たらない。
しばらく歩いて、やっと草むらの中の葉の上に目立つ姿が。
約10mmの小さなカツオ節に見えます。
ただ、標本になると褐色の粉と毛が落ち、黒くなってカツオ節に見えなくなることが多い。
他にはモンシロくらいしかいないので撤収しようとしましたが、反対岸に渡って戻っていくことに。
土手沿いの灌木を見ながらゆっくり歩いていると、クズを食べている光る物体を見つけました。
こんなに美麗なのに、あまりに普通種なために注目されないというか人気がない可哀そうな虫。
広食性で様々な植物の葉を食害することも理由かもしれないけどクズは食べてもらった方がいいかと。
たくさんいました。
両肢で葉っぱをつかんで隠れようとしているのか?
梢のコガネムシは幸運を呼んでくれました。この場所では初見の子を発見。
これもゼフィルスの仲間ですが、ミドリシジミのように表翅に構造色はなく、裏翅のほうが特徴的。
反対岸を歩いてきてよかった。
次はHFへ。
ハンノキ林に向かって歩いていると、地面に横たわるトンボが。
どうやら羽化直後に地面に落ちてしまい、そこを通りがかったアリに襲われてしまったよう。
アリは指で弾いても、すぐにまた噛みついてきたので、葉の上に移動させてあげました。
オオアオイトの恩返しがあることを願いながら。
ハンノキ林に着き、とっておきのポイントへ行ってみました。
ミズイロオナガも見たので、ひょっとしたらこっちでもと思い、息を殺して梢を見上げていると。
いました。
先発隊の一人と思いますが、まずは今年も確認できてよかった。
もうとっくにお昼も過ぎているので降りてきてはくれないのですが、陽が射してくると。
脚立かドローンカメラがほしい。
ベニシジミ号へ引き返すべく、田んぼの中を移動していると、カメラを持った男性が畦道を歩いてきた。
入口に停めたベニシジミ号を見たのでしょう、「バイクで来たんですか?」と話しかけてきました。
「はい、ここはボランティアの方々が手入れをしてくれていて、もう15年くらい通っています」
はじめて訪れたらしく「いいところですねぇ」と言いながら谷津田の奥へと立ち去っていきました。
さらに南下し、イチハラ市との市境の方の双子堰へ。
大きな栗の木があることに気付き、しばらく梢を見上げていたのですが、これというものは見つからず。
わずかにハナムグリの仲間や赤いハナカミキリと、蝶はテングチョウとルリシジミがいたくらい。
カラムシの群落に移動すると、期待していた子たちが湧いていました。
堰を背景にして撮影したのが扉の写真で、接写したのがこちら。
桑の木に何かいないかと探していると、一匹だけいたのは。
メスも触角が長いのですが、オスはさらに長い。これでよく飛べるものだと不思議に思います。
もう一つの堰へ行こうとしたときに見つけたハナムグリ。
頭部前縁にくぼみがないようにも見えるのでシラホシかもしれません。
ぼうぼうの草をかき分けてウツギが何本かあるポンプ施設へ向かう途中にこの子もいたのでたまには。
春型の最後の子でしょうか、ぴかぴかでした。
片手落ちはいやなので、もう一つの堰にも行ってみました。
入口の水門の近くにはパイプ椅子に座ってカメラを構える鳥屋さんとおぼしき人影が。
なので反対側へ廻ろうと歩道を歩いていると、こちらへ向かって道路を渡ってきた人が。
踏まずにすんでよかった。(また一つ恩返しポイントが溜まった)
堰の縁に沿う散策路はみごとに雑草で覆われて、突入後まもなく進行する気持ちがなくなったほど。
虫も見かけられず、唯一現れたのは梢から舞い降りてきたこの子だけ。
名前の通り、林内や林縁の葉陰によくいますが、日光浴もします。
他に見たのはジョウカイボンくらい。
ちょっと残念でしたが代わりに田んぼの縁に咲いていたこの花に癒してもらいました。
色も形も和風で可憐な花姿ですが、帰化植物なのだそうです。
ベニシジミ号へ戻り離脱の準備をしようとしていると、原付バイクがやってきました。
堰の入口に停めて、こちらに近づいてきて話しかけてきました。(おじさんに好かれるタイプ)
「何か採ってるんですか?」
「いや、写真を撮りにきました」
「網を持ってるから」
「採ることもありますが目的は虫の写真です」
「こちらは鳥です」
「さっきまでそこに男の人が座っていましたよ」
「ああ、たぶん〇〇さんだ」
知り合いのようで、カワセミの撮影仲間とのことでした。
この時期はカワセミの幼鳥が出てくるそうですが、堰の中も草ぼうぼうで水面が見えなくて大変らしい。
入口の水門のところがピンポイントの撮影場所だということでした。
暇乞いをして双子堰を離脱。
ちょっと買い物をして帰る予定でしたが、陽が傾くまでちょっとだけ余裕があるのでもう一か所。
買い物したい店へ向かう途中にある小さな市民の森。
カブトやクワガタもいるのですが、まだ少し時期が早い。
それでも何かいないかと森の中を一回りしてみました。
森全体が薄暗がりで、それこそヒカゲチョウがちらちらと見られるくらい。
彼らに誘導されるように歩いていると樹液酒場にたどり着きました。
カブトやクワガタたちがまだいないこともあり、貸し切り飲み放題でべろんべろん?
この様子を見たからではなく、実は買いたいものはお酒で、この後酒屋さんに寄って帰りました。
コガネムシがたくさんいた土手の葉陰にいた小さなハエ。
美麗種なので撮ろうとしたらゴーストが現れて、カメラのモードなどを変えてみても解消されず。
仕方がないので被写体をずらして撮影しました。(中央の丸い影がゴースト)
どこにでもいますが金ぴかでカッコイイのです。
今日の湯加減
チバの5月は夏日になることも少なく、かと言って爽やかな五月晴れもほとんどありませんでした。
数値でみても積算気温は600℃にわずかに届かず(一日の平均気温を積算)。
まだ虫たちの活性も高まらないものの、トンボや水生昆虫など、顔を出し始めているのもいる。
今シーズンお初の子たちを紹介します。
6月1日、天気は上々で気温も高い夏日。
まずは市内の巡回ポイントの一つ、M川の上流へ向かいました。
ビオトープの様子から確認したのですが、今年はあまり手入れがされていないようで草ぼうぼう。
木道の上にはシオカラたちが大勢屯していましたが、他の虫が見当たらない。
奥の方にいくとオオシオカラがいたのですが、縄張り争いに忙しくて撮らせてくれませんでした。
入口に戻ってきたとき、やっと木道の側面に小さなゾウムシを発見。
カシワクチブトゾウムシ (ゾウムシ科)
と思われる、体長約5mmの小型のゾウムシ。カメラを逆さまにしているので上下反転しています。
ちょっと期待外れだったので、土手沿いの道も歩いてみました。
ところがこちらも虫が見当たらない。
しばらく歩いて、やっと草むらの中の葉の上に目立つ姿が。
カツオゾウムシ (ゾウムシ科)
約10mmの小さなカツオ節に見えます。
ただ、標本になると褐色の粉と毛が落ち、黒くなってカツオ節に見えなくなることが多い。
他にはモンシロくらいしかいないので撤収しようとしましたが、反対岸に渡って戻っていくことに。
土手沿いの灌木を見ながらゆっくり歩いていると、クズを食べている光る物体を見つけました。
コガネムシ (コガネムシ科)
こんなに美麗なのに、あまりに普通種なために注目されないというか人気がない可哀そうな虫。
広食性で様々な植物の葉を食害することも理由かもしれないけどクズは食べてもらった方がいいかと。
たくさんいました。
両肢で葉っぱをつかんで隠れようとしているのか?
同上
梢のコガネムシは幸運を呼んでくれました。この場所では初見の子を発見。
ミズイロオナガシジミ (シジミチョウ科)
これもゼフィルスの仲間ですが、ミドリシジミのように表翅に構造色はなく、裏翅のほうが特徴的。
反対岸を歩いてきてよかった。
次はHFへ。
ハンノキ林に向かって歩いていると、地面に横たわるトンボが。
オオアオイトトンボ ♀ (アオイトトンボ科)
どうやら羽化直後に地面に落ちてしまい、そこを通りがかったアリに襲われてしまったよう。
アリは指で弾いても、すぐにまた噛みついてきたので、葉の上に移動させてあげました。
オオアオイトの恩返しがあることを願いながら。
ハンノキ林に着き、とっておきのポイントへ行ってみました。
ミズイロオナガも見たので、ひょっとしたらこっちでもと思い、息を殺して梢を見上げていると。
いました。
ミドリシジミ ♂ (シジミチョウ科)
先発隊の一人と思いますが、まずは今年も確認できてよかった。
もうとっくにお昼も過ぎているので降りてきてはくれないのですが、陽が射してくると。
同上
脚立かドローンカメラがほしい。
ベニシジミ号へ引き返すべく、田んぼの中を移動していると、カメラを持った男性が畦道を歩いてきた。
入口に停めたベニシジミ号を見たのでしょう、「バイクで来たんですか?」と話しかけてきました。
「はい、ここはボランティアの方々が手入れをしてくれていて、もう15年くらい通っています」
はじめて訪れたらしく「いいところですねぇ」と言いながら谷津田の奥へと立ち去っていきました。
さらに南下し、イチハラ市との市境の方の双子堰へ。
大きな栗の木があることに気付き、しばらく梢を見上げていたのですが、これというものは見つからず。
わずかにハナムグリの仲間や赤いハナカミキリと、蝶はテングチョウとルリシジミがいたくらい。
カラムシの群落に移動すると、期待していた子たちが湧いていました。
堰を背景にして撮影したのが扉の写真で、接写したのがこちら。
ラミーカミキリ ♀ (カミキリムシ科)
桑の木に何かいないかと探していると、一匹だけいたのは。
キボシカミキリ ♂ (カミキリムシ科)
メスも触角が長いのですが、オスはさらに長い。これでよく飛べるものだと不思議に思います。
もう一つの堰へ行こうとしたときに見つけたハナムグリ。
シロテンハナムグリ (コガネムシ科)
頭部前縁にくぼみがないようにも見えるのでシラホシかもしれません。
ぼうぼうの草をかき分けてウツギが何本かあるポンプ施設へ向かう途中にこの子もいたのでたまには。
ベニシジミ (シジミチョウ科)
春型の最後の子でしょうか、ぴかぴかでした。
片手落ちはいやなので、もう一つの堰にも行ってみました。
入口の水門の近くにはパイプ椅子に座ってカメラを構える鳥屋さんとおぼしき人影が。
なので反対側へ廻ろうと歩道を歩いていると、こちらへ向かって道路を渡ってきた人が。
ナガヒョウタンゴミムシ (オサムシ科)
踏まずにすんでよかった。(また一つ恩返しポイントが溜まった)
堰の縁に沿う散策路はみごとに雑草で覆われて、突入後まもなく進行する気持ちがなくなったほど。
虫も見かけられず、唯一現れたのは梢から舞い降りてきたこの子だけ。
ヒカゲチョウ (タテハチョウ科)
名前の通り、林内や林縁の葉陰によくいますが、日光浴もします。
同上
他に見たのはジョウカイボンくらい。
ちょっと残念でしたが代わりに田んぼの縁に咲いていたこの花に癒してもらいました。
キキョウソウ
色も形も和風で可憐な花姿ですが、帰化植物なのだそうです。
ベニシジミ号へ戻り離脱の準備をしようとしていると、原付バイクがやってきました。
堰の入口に停めて、こちらに近づいてきて話しかけてきました。(おじさんに好かれるタイプ)
「何か採ってるんですか?」
「いや、写真を撮りにきました」
「網を持ってるから」
「採ることもありますが目的は虫の写真です」
「こちらは鳥です」
「さっきまでそこに男の人が座っていましたよ」
「ああ、たぶん〇〇さんだ」
知り合いのようで、カワセミの撮影仲間とのことでした。
この時期はカワセミの幼鳥が出てくるそうですが、堰の中も草ぼうぼうで水面が見えなくて大変らしい。
入口の水門のところがピンポイントの撮影場所だということでした。
暇乞いをして双子堰を離脱。
ちょっと買い物をして帰る予定でしたが、陽が傾くまでちょっとだけ余裕があるのでもう一か所。
買い物したい店へ向かう途中にある小さな市民の森。
カブトやクワガタもいるのですが、まだ少し時期が早い。
それでも何かいないかと森の中を一回りしてみました。
森全体が薄暗がりで、それこそヒカゲチョウがちらちらと見られるくらい。
彼らに誘導されるように歩いていると樹液酒場にたどり着きました。
ヨツボシケシキスイ ♂ (ケシキスイ科)
カブトやクワガタたちがまだいないこともあり、貸し切り飲み放題でべろんべろん?
この様子を見たからではなく、実は買いたいものはお酒で、この後酒屋さんに寄って帰りました。
オマケ
コガネムシがたくさんいた土手の葉陰にいた小さなハエ。
美麗種なので撮ろうとしたらゴーストが現れて、カメラのモードなどを変えてみても解消されず。
仕方がないので被写体をずらして撮影しました。(中央の丸い影がゴースト)
マダラホソアシナガバエ (アシナガバエ科)
どこにでもいますが金ぴかでカッコイイのです。
今日の湯加減
ゼフたちを撮りに再訪したいところでしたが、その後は台風2号がやってきて天気は大荒れ。
過ぎ去った後は訳あってプチ遠征。
帰ってきたらまた雨で観察に行けず。
梅雨時期だけに現れる虫の撮影はハードルが高めですが、別の困難さがある虫は多々います。
虫神様のお導きを願うこともままありますが。
恩返しポイントも大事かと。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
こんにちは^^
今回はシジミ蝶が沢山見られて嬉しかったです♪
ベニシジミだけは出会った事がありますが、他は初めてです。
コガネムシは綺麗なのですがモミジの葉を食べますし、下に置いている薔薇の鉢に卵を産みます^^
今年は1鉢から13匹幼虫が出てきました。
ラミーカミキリは顔のように見えて笑ってしまいます。
小さなハエ綺麗ですね。これも見た事が無いと思います。
by いろは (2023-06-11 17:10)
>いろはさん
コガネムシは広食性ですからね。
でも鉢植えに卵を産むのはハナムグリかもしれません。
ラミーカミキリは人面というか、キョンシーに見えますね^^
アシナガバエは小さいので見過ごしているかもしれませんね。
by kon(昆) (2023-06-12 22:56)
カツオゾウムシ、カツオ節に見えます、見えます^^;。
鼻(?)の長いところがかわいいです。
最後のハエ、とてもキレイですね。こんなハエもいるんですね。
そう思ってみると、キンバエもキレイですね。
by sakamono (2023-06-13 20:43)
うっとおしい季節ですが、爽やかな西風もふきますね。カツオゾウムシさま、まさかカツオブシムシ、ではないですよね(笑)。
by 高和です。 (2023-06-14 11:41)
>sakamonoさん
標本になるとカリントウになってしまうんですよね・・
アシナガバエはもしかしたら家の周りにもいるかもしれません。
小さいので見逃しやすいだけかも。
>高和です。さん
西風はなぜ梅雨時期に吹くのでしょうね・・
場所を固定するのではなく、晴れ間を求めて探しに行くべきですかね。
by kon(昆) (2023-06-14 21:40)