"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
空白を埋めろ Chal.9 [オサムシ]
大惨敗した前回Chal.8に懲りることもなく、Chal.9をお送りします。
ターゲットとする虫は同じ、ターゲットエリアもほぼ同じ東総方面を目指しました。
結果は”連敗”だったので、ターゲットの虫の写真を載せられない。
代わりにこのゴミムシを。
これは向かったエリアとは場所も違います。
本編の前に、扉の写真の虫に関してのメモを。
前記事で下見のことをちょっと書きましたが、実は1月15日にチームHTK64が再集結したのでした。
集合したのは東総ではなく、下見をした内房の、田んぼが寒々と広がる某所。
下見も芳しくなかったのですが、実践もきびしかったのでした。
ポイントがほとんどないし、指標虫も全くといっていいほど出ない。
それでも三人で掘っていると、時々ゴミムシが顔を出しました。
この他には、アオゴミ、スジアオの親分、ゴモクムシ、マルゴミの仲間がほんの少しだけ。
あ、アトワアオも採れました。(写真なしですが、ボウソウでも最近めっきり見なくなっています)
それと、外道ではありますが、こんな虫も。
田んぼにいるケラを餌としていて、同様にケラに依存しているプープー虫、ミイデラくんと色柄が酷似。
別種の有害生物が似た色柄になることを「ミューラー型擬態」と言いますが、これもそうなのでしょうか。
キイロサシガメに刺されると激痛だそうですが毒はないらしいですし、ミイデラくんも毒ではなくガス。
なので、これはそれぞれが、単に警戒色をしているということなのかもしれません。
それともケラを食べていると皆このような色柄になるのだったりして・・(妄想です)
ちなみにミイデラゴミムシに擬態しているといわれるコオロギはいるそうです。(W.Wickler 1970)
最初にTさんが掘り出して、すぐにHくんも掘り出したのですが、3頭目にはありつけませんでした。
(ちょっとくやしかった)
昼から数時間、三人で探索しましたが、本命(アオオサではない)はとうとう出ず。
でも午前中に狙った、もう一つの本命が扉の写真で、これはほとんど苦もなく見つかりました。
体長10mm弱。ボウソウ特産のゴミムシです。
さて、ここからがChal.9の本編です。
1月21日、向かったのはナリタの東に隣接するスイカが特産のトミサト市。
例によってなるべく細い谷津田を目指して目的地設定。
現場合わせでしばらくふらふら彷徨い、そんな風景の場所に出ました。
どっちへ進むか0.5秒考えてこっちの方へ。
するとすぐ、右手に葦が生えた湿地らしきものがあったのでベニシジミ号を入口に停めました。
その細長い湿地に沿って道がついていたので歩いて入ってみると、すぐ林縁に崖が出現。
やや乾き気味でしたが、固さはまあまあ。
ちょこちょこ試掘してみると、指標虫が出ない代わりにこんなものが出土。
少し進むとまた小崖が現れた。
ここはさらに固くて乾いていて、やはり指標虫は出てこない。
でも代わりにちょっと変わったのを誤爆してしまう。
まだまだ崖は断続的に延びていました。
しかしコンディションは変わらず、指標虫も出ず。
またしても誤爆してしまったので、これも土塊でフタをしておきました。
表面に穴が開いているわけではないのに、アブ(やハエ)がどうやって潜るのか不思議です。
細い谷戸はまだまだ続きました。
小崖も延々と続いていて、どこも土が固いこともあり、早くも腕が疲れてきたほど。
と思った矢先、兆しが顔を出しました。
体長約11mm。ニセトックリゴミムシかも知れませんが同定不能。(”ニセ”の方が価値高し)
その後も小崖は断続的にありましたが、谷戸の終点が遠くに見えてきました。
掘るところを探す必要はないけれど、あまりにも成果が出ないので、投げやり掘りになってきたとき。
兆し再び。
やっとゴミムシらしい虫、しかもアオゴミが出てくれたおかげでテンションが持ち直した。
しかも続けてこんなのも。
そろそろ本命でるか・・と思ったら、道がなくなりました。
がっくり。
これは一番奥から歩いてきた方を見た様子。
引き返しながら、コンディションのよい部分を掘り逃してないか確認していきました。
結果的にはゴミムシすら追加はなかったのですが、またしても変わったのを誤爆。
浅い位置だし、巣ではないようだったので越冬態だと思います。
スズメバチのように女王単独ではなく、お供を連れて越冬するのですね。
とぼとぼとベニシジミ号まで戻ったところで、もうお昼が近くなっていたので最寄りのラーメン屋検索。
たまたま行きたかった方向で、すぐ近くに一軒あったのでまっしぐら。
特製塩ラーメンというのを注文。
塩ラーメンには”レモスコ”という調味料が付いてくるようですが、一緒にラベルのないボトルも。
質問する前に女将さんと思しき方が、「これは自家製のニセレモスコです」と勧めてくれました。
「勧めるということはこっちの方がウマイということですね?」
「レモスコは唐辛子が入っていてツンと辛いので自分で作ったんです」
どちらも試してみたところ、確かに”ニセ”の方がマイルドで好みでした。(”ニセ”の方が価値高し)
さて、腹ごしらえと休憩もできたし、いざ後半戦とベニシジミ号にまたがったら。
セルはバリバリ回れど、エンジンがかからない。
何度か試していたら何とかかかったのだけれど、心配なので一旦切ったらまたかからない。
これは初めての状況でしたが、しばらくリトライしたらやっとかかってくれて胸をなでおろしました。
その後は何事もなかったように機嫌を直してくれたベニシジミ号。
次に目を付けていた谷戸へ向かいました。
しかし、小崖どころか段丘すら見つからない。
スマホでGoogleMapの航空写真を見ながら、あっちこっちと畦道を走り回ることしばし。
ここは何かあるだろうと踏んでいた細い谷戸も、数キロ進んだところで行き止まりに。
都合2時間ほどローラーしましたが小崖は一つも見つかりませんでした。
なんと、最初に見つけたあの連続崖が唯一という、予想もしていなかったオチ。
(逆に言えば、よく最初に唯一(と思われる)崖を見つけたものです)
まだ時間に余裕はありましたが、ベニシジミ号のご機嫌が気になったし、テンション下がったので退却。
帰路を辿っていたら道端に「酒蔵カフェ」という小さな白い看板がありました。
示す方向は小さな谷戸。
こんなとこにカフェがあるのか?と気になったのでちょっと行ってみることに。
曲がりくねった細い道をしばらく走ると、見覚えのある建物と広い駐車場が現れました。
飯沼本家という酒蔵で、敷地の中の一軒がカフェになっていたのでした。
ちょっとだけビジターセンター(石炭小屋)を見学して。
せっかくなのでお酒を一本買って帰りました。
途中、バイク屋さんに寄り、症状を説明して相談したところ、経過観察することになりました。
自分の身体の現状と同じだけど、ベニシジミ号、そんなところまで合わせてくれなくていいんだよ。
チームHTK64の探虫で採集してきたマイマイカブリ。
1ペアをインセクタリウム化して鑑賞しています。
ときどきモデルポーズをしてくれて癒されます。
今日の湯加減
ターゲットとする虫は同じ、ターゲットエリアもほぼ同じ東総方面を目指しました。
結果は”連敗”だったので、ターゲットの虫の写真を載せられない。
代わりにこのゴミムシを。
キイロホソゴミムシ (オサムシ科)
これは向かったエリアとは場所も違います。
本編の前に、扉の写真の虫に関してのメモを。
前記事で下見のことをちょっと書きましたが、実は1月15日にチームHTK64が再集結したのでした。
集合したのは東総ではなく、下見をした内房の、田んぼが寒々と広がる某所。
下見も芳しくなかったのですが、実践もきびしかったのでした。
ポイントがほとんどないし、指標虫も全くといっていいほど出ない。
それでも三人で掘っていると、時々ゴミムシが顔を出しました。
ヒメキベリアオゴミムシ (オサムシ科)
この他には、アオゴミ、スジアオの親分、ゴモクムシ、マルゴミの仲間がほんの少しだけ。
あ、アトワアオも採れました。(写真なしですが、ボウソウでも最近めっきり見なくなっています)
それと、外道ではありますが、こんな虫も。
キイロサシガメ (サシガメ科)
田んぼにいるケラを餌としていて、同様にケラに依存しているプープー虫、ミイデラくんと色柄が酷似。
別種の有害生物が似た色柄になることを「ミューラー型擬態」と言いますが、これもそうなのでしょうか。
キイロサシガメに刺されると激痛だそうですが毒はないらしいですし、ミイデラくんも毒ではなくガス。
なので、これはそれぞれが、単に警戒色をしているということなのかもしれません。
それともケラを食べていると皆このような色柄になるのだったりして・・(妄想です)
ちなみにミイデラゴミムシに擬態しているといわれるコオロギはいるそうです。(W.Wickler 1970)
最初にTさんが掘り出して、すぐにHくんも掘り出したのですが、3頭目にはありつけませんでした。
(ちょっとくやしかった)
昼から数時間、三人で探索しましたが、本命(アオオサではない)はとうとう出ず。
でも午前中に狙った、もう一つの本命が扉の写真で、これはほとんど苦もなく見つかりました。
キイロホソゴミムシ (オサムシ科)
体長10mm弱。ボウソウ特産のゴミムシです。
さて、ここからがChal.9の本編です。
1月21日、向かったのはナリタの東に隣接するスイカが特産のトミサト市。
例によってなるべく細い谷津田を目指して目的地設定。
現場合わせでしばらくふらふら彷徨い、そんな風景の場所に出ました。
どっちへ進むか0.5秒考えてこっちの方へ。
するとすぐ、右手に葦が生えた湿地らしきものがあったのでベニシジミ号を入口に停めました。
その細長い湿地に沿って道がついていたので歩いて入ってみると、すぐ林縁に崖が出現。
やや乾き気味でしたが、固さはまあまあ。
ちょこちょこ試掘してみると、指標虫が出ない代わりにこんなものが出土。
コアオハナムグリ (コガネムシ科)
少し進むとまた小崖が現れた。
ここはさらに固くて乾いていて、やはり指標虫は出てこない。
でも代わりにちょっと変わったのを誤爆してしまう。
ハナアブの仲間の集団
まだまだ崖は断続的に延びていました。
しかしコンディションは変わらず、指標虫も出ず。
またしても誤爆してしまったので、これも土塊でフタをしておきました。
ハナアブの仲間
表面に穴が開いているわけではないのに、アブ(やハエ)がどうやって潜るのか不思議です。
細い谷戸はまだまだ続きました。
小崖も延々と続いていて、どこも土が固いこともあり、早くも腕が疲れてきたほど。
と思った矢先、兆しが顔を出しました。
トックリゴミムシ (オサムシ科)
体長約11mm。ニセトックリゴミムシかも知れませんが同定不能。(”ニセ”の方が価値高し)
その後も小崖は断続的にありましたが、谷戸の終点が遠くに見えてきました。
掘るところを探す必要はないけれど、あまりにも成果が出ないので、投げやり掘りになってきたとき。
兆し再び。
キボシアオゴミムシ (オサムシ科)
やっとゴミムシらしい虫、しかもアオゴミが出てくれたおかげでテンションが持ち直した。
しかも続けてこんなのも。
ゴモクムシの仲間 (未同定)
そろそろ本命でるか・・と思ったら、道がなくなりました。
がっくり。
これは一番奥から歩いてきた方を見た様子。
引き返しながら、コンディションのよい部分を掘り逃してないか確認していきました。
結果的にはゴミムシすら追加はなかったのですが、またしても変わったのを誤爆。
クロオオアリ (アリ科)
浅い位置だし、巣ではないようだったので越冬態だと思います。
スズメバチのように女王単独ではなく、お供を連れて越冬するのですね。
とぼとぼとベニシジミ号まで戻ったところで、もうお昼が近くなっていたので最寄りのラーメン屋検索。
たまたま行きたかった方向で、すぐ近くに一軒あったのでまっしぐら。
特製塩ラーメンというのを注文。
塩ラーメンには”レモスコ”という調味料が付いてくるようですが、一緒にラベルのないボトルも。
質問する前に女将さんと思しき方が、「これは自家製のニセレモスコです」と勧めてくれました。
「勧めるということはこっちの方がウマイということですね?」
「レモスコは唐辛子が入っていてツンと辛いので自分で作ったんです」
どちらも試してみたところ、確かに”ニセ”の方がマイルドで好みでした。(”ニセ”の方が価値高し)
さて、腹ごしらえと休憩もできたし、いざ後半戦とベニシジミ号にまたがったら。
セルはバリバリ回れど、エンジンがかからない。
何度か試していたら何とかかかったのだけれど、心配なので一旦切ったらまたかからない。
これは初めての状況でしたが、しばらくリトライしたらやっとかかってくれて胸をなでおろしました。
その後は何事もなかったように機嫌を直してくれたベニシジミ号。
次に目を付けていた谷戸へ向かいました。
しかし、小崖どころか段丘すら見つからない。
スマホでGoogleMapの航空写真を見ながら、あっちこっちと畦道を走り回ることしばし。
ここは何かあるだろうと踏んでいた細い谷戸も、数キロ進んだところで行き止まりに。
都合2時間ほどローラーしましたが小崖は一つも見つかりませんでした。
なんと、最初に見つけたあの連続崖が唯一という、予想もしていなかったオチ。
(逆に言えば、よく最初に唯一(と思われる)崖を見つけたものです)
まだ時間に余裕はありましたが、ベニシジミ号のご機嫌が気になったし、テンション下がったので退却。
帰路を辿っていたら道端に「酒蔵カフェ」という小さな白い看板がありました。
示す方向は小さな谷戸。
こんなとこにカフェがあるのか?と気になったのでちょっと行ってみることに。
曲がりくねった細い道をしばらく走ると、見覚えのある建物と広い駐車場が現れました。
飯沼本家という酒蔵で、敷地の中の一軒がカフェになっていたのでした。
ちょっとだけビジターセンター(石炭小屋)を見学して。
せっかくなのでお酒を一本買って帰りました。
途中、バイク屋さんに寄り、症状を説明して相談したところ、経過観察することになりました。
自分の身体の現状と同じだけど、ベニシジミ号、そんなところまで合わせてくれなくていいんだよ。
オマケ
チームHTK64の探虫で採集してきたマイマイカブリ。
1ペアをインセクタリウム化して鑑賞しています。
マイマイカブリ(ヒメマイマイカブリ)♂(オサムシ科)
ときどきモデルポーズをしてくれて癒されます。
今日の湯加減
今日は、昨年暮れに亡くなってしまった古い仲間の墓参をしてきました。
数年に一度くらいしか会わなかったけれど、もう会えないというのは信じられない。
今年は心機一転と決意しつつも、色々訳あって将来の諸々をシミュレーションしてみたり考えたり。
でも、どうしても設定できないのは、自分がいつまで生きるのかということ。
仮定や想定はできるけれど、したくない。
やっぱり”今”を生きるしかないということに帰着してしまいます。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
キイロホソゴミムシ、いいですね!
私もホームグラウンドで探しましたが、見つからず。
まだまだ修行がたりません。
by 山健父 (2023-01-28 23:18)
小生が子供の頃は「ボウズ」なんて当たり前だった。そのときの悔しさがいまになって「あ、そうだったのか」と。時期に合わせて再訪を試みるも、今は昔、10両編成の新宿直通快速が駆け抜ける。
by 高和です。 (2023-01-29 08:54)
女王アリが家来と二匹で越冬。このようなことをするのですね。
大変興味深いです。
by アヨアン・イゴカー (2023-01-29 13:27)
>山健父さん
キイロホソはチバ特産で、かつ生息地が極々限らています。
というか、もう一か所しかないかもしれません・・
>高和です。さん
「ボウズが怖くてオサホリができるか」
が訓戒ですが、時期と手段はとても大事ですね。
>アヨアン・イゴカーさん
偶然ということも考えられますが、実例としてよい観察ができました。
by kon(昆) (2023-01-29 21:54)
どうも私のホームグラウンドにも記録があるらしく、それなりに環境もありそうなので、チャレンジしてみています。
そもそも先生のように、虫を見つける目が育っていないので、難易度が激高ですよ(汗)
by 山健父 (2023-01-30 20:25)
このクロオオアリが女王蟻なんですね。なるほどデカい。春になったら
仲間が戻ってくるのかな。私も一時期、ラーメンにレモン汁をふって
食べていました。レモスコって調味料、食べてみたいです。
by sakamono (2023-02-01 20:28)
はは、ニセのほうが美味しいとは、けっこう世の中にあるあるかもでやすね!
by ぼんぼちぼちぼち (2023-02-02 13:30)
>山健父さん
20世紀は利根川や多摩川流域にもいたでしょうね。
今世紀になってからは・・・
もし見つけたら短報投稿必須ですよ!^^
>sakamonoさん
仲間が戻ってくることは・・お連れになった家来は幸運だと思いました。
レモスコはピリッと辛いです^^;
>ぼんぼちぼちぼちさん
所詮ヒトが付けた名前ですから、どちらがニセかは分からないですよね。
それが人工物の場合だってホンモノを超えることも・・
by kon(昆) (2023-02-08 22:24)