"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
Sand Dune [探虫行]
北海道遠征から帰ってきて、翌日はもちろん、二日目も足がパンパンでした。
その間は天気もよくなくて、恨めしい気持ちなしに大人しくしていることができました。
しかし、その翌日から二日間だけは天気が回復する予報に。
実は一か月ほど前からこのタイミングでとある場所の様子を見に行こうと目論んでいたのです。
はじめて写真をアップしたかもしれませんが、名前と解説は本編にて。
9月21日の朝、バナナを一本かじってさっさと出発。
交通量ピークタイム前なので上りの幹線道路もそれほど混雑していませんでした。
臨海副都心に向かう途中、やたらと白バイがいたので知りました。秋の交通安全運動の初日なのを。
東京湾ゲートブリッジを渡り、臨海トンネルをくぐり、平和島からR15第一京浜へ。
とにかく首都高を通りたくないので、環八を北上しましたが、途中でピークタイムになってしまった。
東京インターまでのラスト1マイルに30分近くかかってしまいました。
東名の下りは空いていて順調に進行し、新東名NEOPASA清水にピットインしたのは出発から4時間後。
施設内に KUSHITANI PERFORMANCE STOREがあったので見るだけショッピングしつつ休憩。
KUSHITANI CAFE もあったのですが、さすがに時間がもったいないので缶コーヒーにして再出発。
新清水JCTから東名に戻り、菊川ICで降りたところでお昼になったので給油と給食。
学食スタイルの食堂で、マグロの刺身が安くてさすがな味でした。
お腹いっぱいで走ること20分。最初の目的地、初訪の浜岡砂丘に到着しました。
駐車場には数台の車が止まっていたのですが、平日ということもあってか、人影はほぼない。
砂丘に登り、海を見下ろすと、人影は全くなし。
貸し切りですが、まずは西側の風力発電機に沿った丘の上を歩いていきました。
見つけたいのは砂浜などに棲息するカワラハンミョウなので、ずっと下を向いてゆっくり進みます。
時折何かが足元からふわっと飛び立つたびに、それを目で追って着地したところを確認する。
しかしそれはバッタでした。
一つ一つ確認しなくても、大きさで違うなと分かるのですが、これは色違いの個体。
右手の防砂柵の向こうには長さ200メートルほどの細長いひょうたん池があります。
だからでしょう、たまにギンヤンマが柵に沿ってパトロール飛行をしているのが見られました。
今回はトンボ目当てではないので、池のある公園には行かず、まっすぐ進みました。
しばらくしてヤマハのテストコースの敷地が見えてきたところで浜辺へ降りてUターンしました。
大小の流木や漂着物がありますが、ゴミや海藻類が少ないように思いました。
よさそうな物件をときどきひっくり返したり、細かな漂着物の下をほじほじしたりと探索します。
しかし、いるのは小さなカニくらいで、ハサミムシもトビムシも全くといっていいほどいない。
丘縁の植物の周辺は探しませんでしたが、とにかく薄ら恐ろしいほど生き物の気配がない。
ハマゴウの群落も小さいのが僅かにあるだけ。
やがて遠くに浜岡原発が見えてきましたが、もうこれ以上探虫しても無益と判断。
砂丘を登ってベニシジミ号へと戻り、さっさと第二目的地へ移動。
ここは何度か訪れたことのある砂浜ですが、6年ぶりなので環境が変わっていないかとても心配でした。
しかし海浜の様子は6年前と変わっていないように見えました。
今度は砂浜にトラップを仕掛けていきます。
草の根の近くの砂を掘っているとこの子たちが大勢いて、生き物の気配があることにうれしくなる。
トラップを仕掛け終わり、宿泊場所でもある第三目的地へ。
夕暮れとともに空は曇ってきました。
この防波堤は後でまた来るので、明るいうちにロケハンをしておきました。
宿に行って一旦荷をほどき、お風呂に入ってちょっと寛いでいたら、夕飯の支度ができたと女将さん。
この民宿は10年ぶりくらいでしたが、お膳の様子は変わっていませんでした。
他に客がいなかったからかもしれませんが、なんとこれで1500円。
当然お腹いっぱいになりましたが、夜の探索に出発。
さっきの海岸まで歩いて行けますが、堤防の上には街灯はないのでヘッドランプと懐中電灯を持参。
松林に沿って歩きながら、地面を丹念に見ていきます。
しばらくは前出のゴミダマしか見られませんでしたが、コガネムシの死骸を捕食中のゴミムシたちを発見。
ほとんどセアカヒラタばかりでしたが、ちょっと見慣れないのがいた。
現地では同定できなかったのですが、足の色と体の艶が特徴。というかそのままの名前。
ただ、写真を撮った瞬間に足元に本命がいるのに気付き、そっちに気をとられて逃げられてしまった。
その本命というのが扉の写真の虫。
どうしてモドキと付くのか知りませんが、黄色い脛節がいわゆるオサムシよりゴミムシっぽい。
そう、ここは狭いエリアながらもオサムシモドキのポイントだったのですが、生存確認できてよかった。
松林を2往復ほど探索して、都合5頭のオサムシモドキを観察することができました。
宿に帰り、もう一度お風呂に入って(ビール飲んで)バタンキュー。
さて翌日。
夜中に風がビュービュー吹く音で目が覚めたし、そもそも午後から天気が下り坂の予報。
なので早く出発したかったのですが、朝食の時間を聞かれなかったことに気が付いた。
今さら急がせるのも気が引けたので、散歩に出かけることに。
同じ海岸に出てみると、風上に顔を向けることができないほどの強風でした。(砂が目に入るので)
なので砂浜には降りず、松林を一周して宿に帰りました。
テレビで天気予報を見ていると朝食ができたので、さっさと食べようとしましたがまたすごいご馳走。
とても満足はしたものの、急がねばならない。
身支度を整えてチェックアウト・・しかし玄関で女将さんとつい話し込んでしまいました。
時期によると小中学校の運動部の合宿で賑わうのだそうで、地元のおいしい物を食べてもらいたいと。
ちなみにイセエビは解禁直前だったのですが、5月に知り合いの猟師さんから仕入れたものだそう。
この辺りはスイカやメロンなど、果物の産地でもあり、まさに山海の幸に恵まれています。
ただ、何でも45年がんばってきたけど、トシなので50年になったらやめようと思っているとのこと。
それまでに絶対また来ますと挨拶してトラップの回収に向かいました。
現地に着いて浜へ出ると、風はさらに強くなっているようでした。
横からの風でも砂が目に入るほどなので、ベニシジミ号へ戻ってヘルメットを着用。
ヘルメットをかぶって砂を掘っているというのは怪しさ満点ですが、幸い風のせいで散歩する人も皆無。
さて、成果はというと、ザンネンながら本命のオオヒョウタンには出会えませんでした。
風はトラップにも影響し、場所によっては、水没ならぬ砂没をしているのもあったのです。
これでは全部逃げられる。
ただ、砂没していないコップの中にはゴミダマやこの子は落ちていた。
しかし、過去の実績としては、この場所のトラップにオサムシモドキが落ちたことはなかった筈。
時期は同じなので、天候や環境、それと分布と個体数変化が関係しているのでしょう。
満塁ホームランのコップもありました。
つばなれしないように、半分以上はリリースして帰路につきました。
交通安全運動だけでなく、センチの飼育実験も秋のシーズンを迎えました。
オオセンチは採集に行くヒマがなかったので、インセクトフェアで仕入れてきました。
実験デザインがまだちゃんと決まっていませんが仮セットは完了。
がんばってほしい!
今日の湯加減
その間は天気もよくなくて、恨めしい気持ちなしに大人しくしていることができました。
しかし、その翌日から二日間だけは天気が回復する予報に。
実は一か月ほど前からこのタイミングでとある場所の様子を見に行こうと目論んでいたのです。
はじめて写真をアップしたかもしれませんが、名前と解説は本編にて。
9月21日の朝、バナナを一本かじってさっさと出発。
交通量ピークタイム前なので上りの幹線道路もそれほど混雑していませんでした。
臨海副都心に向かう途中、やたらと白バイがいたので知りました。秋の交通安全運動の初日なのを。
東京湾ゲートブリッジを渡り、臨海トンネルをくぐり、平和島からR15第一京浜へ。
とにかく首都高を通りたくないので、環八を北上しましたが、途中でピークタイムになってしまった。
東京インターまでのラスト1マイルに30分近くかかってしまいました。
東名の下りは空いていて順調に進行し、新東名NEOPASA清水にピットインしたのは出発から4時間後。
施設内に KUSHITANI PERFORMANCE STOREがあったので見るだけショッピングしつつ休憩。
KUSHITANI CAFE もあったのですが、さすがに時間がもったいないので缶コーヒーにして再出発。
新清水JCTから東名に戻り、菊川ICで降りたところでお昼になったので給油と給食。
学食スタイルの食堂で、マグロの刺身が安くてさすがな味でした。
お腹いっぱいで走ること20分。最初の目的地、初訪の浜岡砂丘に到着しました。
駐車場には数台の車が止まっていたのですが、平日ということもあってか、人影はほぼない。
砂丘に登り、海を見下ろすと、人影は全くなし。
貸し切りですが、まずは西側の風力発電機に沿った丘の上を歩いていきました。
見つけたいのは砂浜などに棲息するカワラハンミョウなので、ずっと下を向いてゆっくり進みます。
時折何かが足元からふわっと飛び立つたびに、それを目で追って着地したところを確認する。
しかしそれはバッタでした。
マダラバッタ (バッタ科)
一つ一つ確認しなくても、大きさで違うなと分かるのですが、これは色違いの個体。
同上
右手の防砂柵の向こうには長さ200メートルほどの細長いひょうたん池があります。
だからでしょう、たまにギンヤンマが柵に沿ってパトロール飛行をしているのが見られました。
今回はトンボ目当てではないので、池のある公園には行かず、まっすぐ進みました。
しばらくしてヤマハのテストコースの敷地が見えてきたところで浜辺へ降りてUターンしました。
大小の流木や漂着物がありますが、ゴミや海藻類が少ないように思いました。
よさそうな物件をときどきひっくり返したり、細かな漂着物の下をほじほじしたりと探索します。
しかし、いるのは小さなカニくらいで、ハサミムシもトビムシも全くといっていいほどいない。
丘縁の植物の周辺は探しませんでしたが、とにかく薄ら恐ろしいほど生き物の気配がない。
ハマゴウの群落も小さいのが僅かにあるだけ。
ハマゴウ
やがて遠くに浜岡原発が見えてきましたが、もうこれ以上探虫しても無益と判断。
砂丘を登ってベニシジミ号へと戻り、さっさと第二目的地へ移動。
ここは何度か訪れたことのある砂浜ですが、6年ぶりなので環境が変わっていないかとても心配でした。
しかし海浜の様子は6年前と変わっていないように見えました。
今度は砂浜にトラップを仕掛けていきます。
草の根の近くの砂を掘っているとこの子たちが大勢いて、生き物の気配があることにうれしくなる。
カクスナゴミムシダマシ (ゴミムシダマシ科)
トラップを仕掛け終わり、宿泊場所でもある第三目的地へ。
夕暮れとともに空は曇ってきました。
この防波堤は後でまた来るので、明るいうちにロケハンをしておきました。
宿に行って一旦荷をほどき、お風呂に入ってちょっと寛いでいたら、夕飯の支度ができたと女将さん。
この民宿は10年ぶりくらいでしたが、お膳の様子は変わっていませんでした。
他に客がいなかったからかもしれませんが、なんとこれで1500円。
当然お腹いっぱいになりましたが、夜の探索に出発。
さっきの海岸まで歩いて行けますが、堤防の上には街灯はないのでヘッドランプと懐中電灯を持参。
松林に沿って歩きながら、地面を丹念に見ていきます。
しばらくは前出のゴミダマしか見られませんでしたが、コガネムシの死骸を捕食中のゴミムシたちを発見。
ほとんどセアカヒラタばかりでしたが、ちょっと見慣れないのがいた。
現地では同定できなかったのですが、足の色と体の艶が特徴。というかそのままの名前。
キアシツヤヒラタゴミムシ (オサムシ科)
ただ、写真を撮った瞬間に足元に本命がいるのに気付き、そっちに気をとられて逃げられてしまった。
その本命というのが扉の写真の虫。
オサムシモドキ (オサムシ科)
どうしてモドキと付くのか知りませんが、黄色い脛節がいわゆるオサムシよりゴミムシっぽい。
そう、ここは狭いエリアながらもオサムシモドキのポイントだったのですが、生存確認できてよかった。
松林を2往復ほど探索して、都合5頭のオサムシモドキを観察することができました。
宿に帰り、もう一度お風呂に入って(ビール飲んで)バタンキュー。
さて翌日。
夜中に風がビュービュー吹く音で目が覚めたし、そもそも午後から天気が下り坂の予報。
なので早く出発したかったのですが、朝食の時間を聞かれなかったことに気が付いた。
今さら急がせるのも気が引けたので、散歩に出かけることに。
同じ海岸に出てみると、風上に顔を向けることができないほどの強風でした。(砂が目に入るので)
なので砂浜には降りず、松林を一周して宿に帰りました。
テレビで天気予報を見ていると朝食ができたので、さっさと食べようとしましたがまたすごいご馳走。
とても満足はしたものの、急がねばならない。
身支度を整えてチェックアウト・・しかし玄関で女将さんとつい話し込んでしまいました。
時期によると小中学校の運動部の合宿で賑わうのだそうで、地元のおいしい物を食べてもらいたいと。
ちなみにイセエビは解禁直前だったのですが、5月に知り合いの猟師さんから仕入れたものだそう。
この辺りはスイカやメロンなど、果物の産地でもあり、まさに山海の幸に恵まれています。
ただ、何でも45年がんばってきたけど、トシなので50年になったらやめようと思っているとのこと。
それまでに絶対また来ますと挨拶してトラップの回収に向かいました。
現地に着いて浜へ出ると、風はさらに強くなっているようでした。
横からの風でも砂が目に入るほどなので、ベニシジミ号へ戻ってヘルメットを着用。
ヘルメットをかぶって砂を掘っているというのは怪しさ満点ですが、幸い風のせいで散歩する人も皆無。
さて、成果はというと、ザンネンながら本命のオオヒョウタンには出会えませんでした。
風はトラップにも影響し、場所によっては、水没ならぬ砂没をしているのもあったのです。
これでは全部逃げられる。
ただ、砂没していないコップの中にはゴミダマやこの子は落ちていた。
オサムシモドキ (オサムシ科)
しかし、過去の実績としては、この場所のトラップにオサムシモドキが落ちたことはなかった筈。
時期は同じなので、天候や環境、それと分布と個体数変化が関係しているのでしょう。
満塁ホームランのコップもありました。
同上
つばなれしないように、半分以上はリリースして帰路につきました。
オマケ
交通安全運動だけでなく、センチの飼育実験も秋のシーズンを迎えました。
オオセンチは採集に行くヒマがなかったので、インセクトフェアで仕入れてきました。
実験デザインがまだちゃんと決まっていませんが仮セットは完了。
センチコガネ (センチコガネ科)
がんばってほしい!
今日の湯加減
帰り道、試料を受け取りにTさんのところへ寄ったのですが、幸い雨には降られませんでした。
しかし、この翌日からの静岡の豪雨災害はメディアの報道のとおり。
本当に運よく間隙をついて遠征できたと思います。(北海道遠征も翌日台風でしたし)
ただ、本命に会えなかったことがザンネンというかシンパイなので再訪はしたい。
女将さんの心づくしの料理も必ずや。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
渋滞は大変ですがマグロで満たす朝食はいいですね。
海岸ならではの虫探し面白そう。
by 響 (2022-10-03 07:03)
つばなれ、この表現初めて知りました^^;
モドキ、が付くのは、なんとも微妙ですね。似ているのに、少し異なる。こういう種類がいるのは、どうしてなんでしょう、不思議です。
by アヨアン・イゴカー (2022-10-03 09:10)
>響さん
総菜も学食のおばちゃんの味で幸せでした^^
海岸性のは相性があまりよくないですが、たまにはいいですね♪
>アヨアン・イゴカーさん
落語由来の言葉です。逆の意味で使っていますが。
モドキ、ニセ、ダマシ、虫の名前は微妙です^^;
by ぜふ (2022-10-04 21:35)
虫を捕るというと山とか林とか、そういう場所のイメージでしたが、
海岸とか砂浜にも虫はいるのですね。名前にモドキと付くと、
オサムシではないように思ってしまいますが、オサムシなのですよね?
民宿の豪勢なお膳、うまそうです^^;。
by sakamono (2022-10-05 00:07)
民宿のお膳、左上と右下が特に素敵ですね。菊川(きくがわ)食堂という飾り気ないネーミングもナイス。それはそうと、本命は残念な結果でしたね。数年前、大当りの採集記を拝読して以來、一度お目にかかりたいと切望しているのですが。
ところで、山塊の幸、山海かと・・・
by 高和です。 (2022-10-05 11:37)
>sakamonoさん
オサムシモドキはオサムシ科オサムシモドキ亜科となります。
実は海岸どころか、海水に棲息する虫もいます^^
民宿の良さはお膳で決まりますね♪
>高和です。さん
タイやエビは好物なので幸せでした♪
本命の生息はまた確認しにいかねばと思っています。
変換間違い直します。
by ぜふ (2022-10-07 19:38)