"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
三雨四晴のラブ虫 [探虫行]
もう5月も下旬となりましたが、何かもう一つ虫たちの活性が上がらない気がします。
今年のGWはかなり長い休みになったのですが、何かと忙しくてあっという間に過ぎてしまいました。
しかも爽やかな晴天という日がほとんどなく、もう梅雨入りかと思うような曇天ばかり。
それでも探虫はしていたので、梅雨の走りの活動をまとめておきます。
何度見ても麗しい正面顔。
4月30日はファーブル会の採集会で秩父方面へ。
前日開催の予定だったのですが天候不良で順延したのでした。
ただ、気温は高くなく、いつもの川沿いの道で出会うアゲハの数はわずかでした。
それでも川岸にはウツギの白い花が咲き始めていて、一頭だけ春らしい蝶を観察できました。
カメムシは10mm~15mmの種が多いですが、この子はジャンボで国内最大級かと。
トゲも大きいのにツノカメムシ科ではないというのも特徴。
川原にも降りてみたのですが、カワトンボたちの姿がまったく見られません。
ひょっとしたらと思い、近くの山道の入口に行ってみたら、林縁や下草の上に屯していました。
カワトンボたちは開店準備中ですが、出撃間近のオスはこんな感じで、斑紋に色が付き始めています。
もう少ししたら川へ降りていくでしょう。
この子が扉の子です。
帰り道で一頭だけサナエトンボの仲間を観察。
これも未成熟で、そのせいかカワトンボのように翅を閉じて止まっていました。
発生初期なのでしょう。最後にやっと見つけた、このフィールドのレギュラーメンバーの一種。
あまり多くの虫には会えませんでしたが、ゲストの子供たちはヤゴすくいに夢中の一日でした。
5月3日は前記事のとおりで、翌4日は午前中事務処理などを猛処理し、午後から時間を作りました。
遠くには行けないので、まずはHFの様子を見に。
今までで一番、田んぼがきれいに手入れされていました。
畔も歩きやすかったのですが、どういうわけかここでも虫影が少ない。
やっとカワトンボを見つけてほっとしたほど。
オレンジ色翅型のオスもいました。
この子は畔の上でもがいていて、水路に落ちそうだったので、拾い上げて林縁の平らな所へ移動。
やや羽化不全で飛べなかったのかもしれませんが、後は自然に任せました。
その林縁で、HFで観察するのは初めてかもしれない蛾を発見。
細くて小さいのでいつも撮影に苦労するのですが、このときは偶々風が全くなくてすんなり撮れました。
ホソミオツネントンボも撮りたかったのですが見つけられず、あまり長居はせずに移動することに。
この時期に訪れたことがない、HFから10分くらいの所にある谷津田へ行ってみたかったのです。
ビオトープに着くと三人連れのグループが田植えをしていました。
挨拶だけして、ビオトープの中へ。
散策路に沿って歩いていると、カワトンボがたくさんいましたが、どれもオスばかり。
メスたちはデビュー前なのでしょうけど、やっと成熟間近のメスを見つけました。
他に目立った虫は観察できず、期待が外れてがっかりしながら退散しました。(後ほど一種だけ登場)
5日は都内某所の図書館へイベントのお手伝いに出かけ、その足で神奈川県某所へ電車で向かいました。
翌6日にTさんと二人で訪れたのは、神奈川県西部に位置する小高い山の上の草原。
この日もあいにくの曇り空で、あまり気温も上がりませんでしたが、一所懸命に虫探し。
まず見かけたのは、HFやボウソウにいるのとは少し色合いと模様が違うタイプ。
この子はちゃんと撮影する前に落っこちられてしまったので同定は不確か。
この子も自動落下装置付きなので、刺激しないように注意して撮影。
良く似たゾウムシですが違う種。同所的に観察したのははじめてでした。
どちらも大きくてゴツゴツしていてカッコイイし、そもそも白い甲虫は少ないので好きな虫です。
これは撮影直後に飛び去ってしまいましたが、ボウソウでは見かけないコガネムシ。
体長は10mm弱くらい。体毛が長くてヒラタアオコガネに似ていますが、鞘翅にスジがない。
開けた明るい草原にもこんな蛾がいた。
アオシャクの仲間はカラーもフォルムも麗しい。この子はちょっと小型ですが同定は自信なし。
こちらは逆にとても地味ですが、よく見るととぼけた顔をしていてかわいい。
体全体が黒いタイプの個体。(後で色違いが登場します)
このハムシは見つけた瞬間にピピッと感じるものがありました。
ボウソウでは見たことがないし、おそらく初見だと判断したからです。
つまり、うれしい。
後で再登場します。
ところで、この草原に来た本当の目的はこの子を採集すること。
トラップも設置したのですが、ルッキングで見つけられました。
このあと、つばなれしない程度に採ることができました。
トラップを放置している時間に、あるタマムシの採集にチャレンジしました。
遊歩道に沿って立ち並ぶヤシャブシの梢を長い捕虫網で探っていき、ついにTさんが一頭採取。
その後も二人でがんばりましたが追加はできず。
でも所期の目的は達成したので満足して山を下り、ミニ遠征は終了となりました。
この時期、繁殖期真っ盛りの虫が多いので、後半はラブ虫をフィーチャーします。
これは前記事で紹介済みですが別ショットを。
今回も登場しましたが、前記事で載せ忘れていたペア。
肩透かしをくらった谷津田で、カワトンボ以外で唯一目に付いた虫。
ネクイハムシの仲間は同定がむずかしいです。
これも前出ですが、ペアも発見し、しかもオスが黒化型でした。
手元の図鑑には黒化型は掲載されていないので、時間があるときにもっとよく調べてみます。
次の2種はGW明けに撮影したものですが、フライングで載せておきます。
最後はコロコロした丸っこいハナアブのペア。
以上が今年のGWの探虫のまとめです。
現地で写真を撮らなかったので、本編には書きませんでしたが、実は一度オサ採りにも行きました。
場所は地元の多産地でこんな様子の原っぱ。
ここにトラップを仕掛けたのですが、合計24頭も採れてしまいました。
しかもなんと全部メス。越冬明け個体ばかりということもあると思いますが、ちょっとビックリ。
つばなれしないように余分はリリースしましたが、さらにビックリしたのがこの個体。
北総には赤っぽい個体はいるし、このポイントにもいるのですが、こんなに赤いのがいるとは驚き。
浅い角度で眺めても緑の発色がなく、まるで南房総亜種のいわゆる”アカオサムシ”のようです。
いや、こんな個体がいるなら、もう”アカオサムシ”は南房総亜種とは言えないかもしれません。
同日採取の種を追加。
体長約35mmという、かなり小型の個体だったので関東亜種の最小クラスかと思ったのですが。
最小は30mmらしい・・下には下がいるものだ。
昨日の湯加減
今年のGWはかなり長い休みになったのですが、何かと忙しくてあっという間に過ぎてしまいました。
しかも爽やかな晴天という日がほとんどなく、もう梅雨入りかと思うような曇天ばかり。
それでも探虫はしていたので、梅雨の走りの活動をまとめておきます。
ニホンカワトンボ ♀ (カワトンボ科)
何度見ても麗しい正面顔。
4月30日はファーブル会の採集会で秩父方面へ。
前日開催の予定だったのですが天候不良で順延したのでした。
ただ、気温は高くなく、いつもの川沿いの道で出会うアゲハの数はわずかでした。
それでも川岸にはウツギの白い花が咲き始めていて、一頭だけ春らしい蝶を観察できました。
サカハチチョウ 春型(タテハチョウ科)
カメムシは10mm~15mmの種が多いですが、この子はジャンボで国内最大級かと。
トホシカメムシ (カメムシ科)
トゲも大きいのにツノカメムシ科ではないというのも特徴。
川原にも降りてみたのですが、カワトンボたちの姿がまったく見られません。
ひょっとしたらと思い、近くの山道の入口に行ってみたら、林縁や下草の上に屯していました。
カワトンボたちは開店準備中ですが、出撃間近のオスはこんな感じで、斑紋に色が付き始めています。
ニホンカワトンボ ♂ 未成熟 (カワトンボ科)
もう少ししたら川へ降りていくでしょう。
この子が扉の子です。
同上 ♀
帰り道で一頭だけサナエトンボの仲間を観察。
これも未成熟で、そのせいかカワトンボのように翅を閉じて止まっていました。
ダビドサナエ ♂
発生初期なのでしょう。最後にやっと見つけた、このフィールドのレギュラーメンバーの一種。
カメノコテントウ (テントウムシ科)
あまり多くの虫には会えませんでしたが、ゲストの子供たちはヤゴすくいに夢中の一日でした。
5月3日は前記事のとおりで、翌4日は午前中事務処理などを猛処理し、午後から時間を作りました。
遠くには行けないので、まずはHFの様子を見に。
今までで一番、田んぼがきれいに手入れされていました。
畔も歩きやすかったのですが、どういうわけかここでも虫影が少ない。
やっとカワトンボを見つけてほっとしたほど。
ニホンカワトンボ ♂ (カワトンボ科)
オレンジ色翅型のオスもいました。
同上
この子は畔の上でもがいていて、水路に落ちそうだったので、拾い上げて林縁の平らな所へ移動。
ヤマサナエ ♀ (サナエトンボ科)
やや羽化不全で飛べなかったのかもしれませんが、後は自然に任せました。
その林縁で、HFで観察するのは初めてかもしれない蛾を発見。
細くて小さいのでいつも撮影に苦労するのですが、このときは偶々風が全くなくてすんなり撮れました。
ホソオビヒゲナガ ♂ (ヒゲナガガ科)
ホソミオツネントンボも撮りたかったのですが見つけられず、あまり長居はせずに移動することに。
この時期に訪れたことがない、HFから10分くらいの所にある谷津田へ行ってみたかったのです。
ビオトープに着くと三人連れのグループが田植えをしていました。
挨拶だけして、ビオトープの中へ。
散策路に沿って歩いていると、カワトンボがたくさんいましたが、どれもオスばかり。
メスたちはデビュー前なのでしょうけど、やっと成熟間近のメスを見つけました。
ニホンカワトンボ ♀ (カワトンボ科)
他に目立った虫は観察できず、期待が外れてがっかりしながら退散しました。(後ほど一種だけ登場)
5日は都内某所の図書館へイベントのお手伝いに出かけ、その足で神奈川県某所へ電車で向かいました。
翌6日にTさんと二人で訪れたのは、神奈川県西部に位置する小高い山の上の草原。
この日もあいにくの曇り空で、あまり気温も上がりませんでしたが、一所懸命に虫探し。
まず見かけたのは、HFやボウソウにいるのとは少し色合いと模様が違うタイプ。
プライアシリアゲ ♀ (シリアゲムシ科)
この子はちゃんと撮影する前に落っこちられてしまったので同定は不確か。
クロボシツツハムシ (ハムシ科)
この子も自動落下装置付きなので、刺激しないように注意して撮影。
ヒメシロコブゾウムシ (ゾウムシ科)
良く似たゾウムシですが違う種。同所的に観察したのははじめてでした。
シロコブゾウムシ (ゾウムシ科)
どちらも大きくてゴツゴツしていてカッコイイし、そもそも白い甲虫は少ないので好きな虫です。
これは撮影直後に飛び去ってしまいましたが、ボウソウでは見かけないコガネムシ。
キスジコガネ (コガネムシ科)
体長は10mm弱くらい。体毛が長くてヒラタアオコガネに似ていますが、鞘翅にスジがない。
開けた明るい草原にもこんな蛾がいた。
アオシャクの仲間はカラーもフォルムも麗しい。この子はちょっと小型ですが同定は自信なし。
コウスアオシャク (シャクガ科)
こちらは逆にとても地味ですが、よく見るととぼけた顔をしていてかわいい。
体全体が黒いタイプの個体。(後で色違いが登場します)
ヒメクロオトシブミ (オトシブミ科)
このハムシは見つけた瞬間にピピッと感じるものがありました。
ボウソウでは見たことがないし、おそらく初見だと判断したからです。
つまり、うれしい。
フタホシオオノミハムシ (ハムシ科)
後で再登場します。
ところで、この草原に来た本当の目的はこの子を採集すること。
トラップも設置したのですが、ルッキングで見つけられました。
オオセンチコガネ ♀ (センチコガネ科)
このあと、つばなれしない程度に採ることができました。
トラップを放置している時間に、あるタマムシの採集にチャレンジしました。
遊歩道に沿って立ち並ぶヤシャブシの梢を長い捕虫網で探っていき、ついにTさんが一頭採取。
ルイスナカボソタマムシ (タマムシ科)
その後も二人でがんばりましたが追加はできず。
でも所期の目的は達成したので満足して山を下り、ミニ遠征は終了となりました。
この時期、繁殖期真っ盛りの虫が多いので、後半はラブ虫をフィーチャーします。
これは前記事で紹介済みですが別ショットを。
バラルリツツハムシ (ハムシ科)
今回も登場しましたが、前記事で載せ忘れていたペア。
ヒメクロオトシブミ (オトシブミ科)
肩透かしをくらった谷津田で、カワトンボ以外で唯一目に付いた虫。
スゲハムシ (ハムシ科)
ネクイハムシの仲間は同定がむずかしいです。
これも前出ですが、ペアも発見し、しかもオスが黒化型でした。
フタホシオオノミハムシ (ハムシ科)
手元の図鑑には黒化型は掲載されていないので、時間があるときにもっとよく調べてみます。
次の2種はGW明けに撮影したものですが、フライングで載せておきます。
オオアカマルノミハムシ (ハムシ科)
最後はコロコロした丸っこいハナアブのペア。
アリスアブ (ハナアブ科)
以上が今年のGWの探虫のまとめです。
オマケ
現地で写真を撮らなかったので、本編には書きませんでしたが、実は一度オサ採りにも行きました。
場所は地元の多産地でこんな様子の原っぱ。
ここにトラップを仕掛けたのですが、合計24頭も採れてしまいました。
しかもなんと全部メス。越冬明け個体ばかりということもあると思いますが、ちょっとビックリ。
つばなれしないように余分はリリースしましたが、さらにビックリしたのがこの個体。
アオオサムシ ♀ (オサムシ科)
北総には赤っぽい個体はいるし、このポイントにもいるのですが、こんなに赤いのがいるとは驚き。
浅い角度で眺めても緑の発色がなく、まるで南房総亜種のいわゆる”アカオサムシ”のようです。
いや、こんな個体がいるなら、もう”アカオサムシ”は南房総亜種とは言えないかもしれません。
オマケ その2
同日採取の種を追加。
体長約35mmという、かなり小型の個体だったので関東亜種の最小クラスかと思ったのですが。
マイマイカブリ (オサムシ科)
最小は30mmらしい・・下には下がいるものだ。
昨日の湯加減
チバは今日も雨だった。
この先も、3日から5日の周期で雨が降るという予報。
梅雨の走りというか、走ったり止まったり、三寒四温ならぬ「三雨四晴」というところか。
いずれにしても、こういう天気も珍しいと思います。
黒潮の大蛇行が止まらないのも心配ですが、虫たちをいっぱい見られれば気分は変わるはず。
梅雨入り前に合間の晴れの日を狙って出かけなくては。
『うんこ虫を追え』(舘野鴻 著)の書評を書くことになりました。
どこに掲載されるかは敢えて伏せておきますが、見つけたらぜひ読んでください。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
3シーズン振りの遠征は入口の獣対策ゲートでロックアウト、21年秋口の台風で大規模崩落があったらしい、第一のポイントにも進めずでした。今年の開山祭はどうなるのでしょうか。2019年の千曲川災害では被害がなくて安堵して、最新の情報収集が疎かでした。電車が代行バス、という話で、さらにその奥の想像が届かなければいけないところでした。
春型のサカハチチョウ、高和は大好きです。今はコウチュウ屋、ナナフシ屋の長女は、春型のサカハチチョウで標本箱を作りたいと申しておりました。
by 高和です。 (2022-05-22 09:56)
こんにちは^^
サカハチチョウは初見です。
ニホンカワトンボ♂はグリーンの子もいるのですね。
オレンジ色のは見た事がありますが。
ホソオビヒゲナガ♂、珍しいですね(私が知らないだけかも知れませんが) こんな虫がいるとは...^^
by いろは (2022-05-22 15:30)
次世代に命をつなぐ季節ですね。
ヒゲナガの髭は飛ぶのに邪魔そう。
by 響 (2022-05-23 18:53)
>高和です。さん
それはざんねんでしたね・・とにかく現場の状況が一番心配ですが。
春型と夏型を並べるのもいいですよね♪
>いろはさん
未成熟だと緑色が強く、それはオスもメスも同じです。
ヒゲナガガも春の虫ですが、メスはなかなか見つかりません。
>響さん
ラブ最盛期ですね♪
ヒゲナガガはこう見えてふわふわと上手に飛びます^^
by ぜふ (2022-05-23 21:16)
わわわ!ものすごーく長い触角の虫が!
世の中には、色んな虫がいるものでやすね!
by ぼんぼちぼちぼち (2022-05-24 11:16)
私もホソオビヒゲナガのフォルムは芸術的、と思いました^^;
後半のラブ虫写真もおもしろい。蜂もやっぱり、こんなふうに
交尾するんですね。
by sakamono (2022-05-26 21:38)
>ぼんぼちぼちぼちさん
色んな虫がいますが、知らない虫の方が圧倒的に多いと思います^^;
>sakamonoさん
昆虫はナチュラルアートですね♪
意外と虻の交尾は見ないですし、みんなこの態勢かは不明です。
by ぜふ (2022-05-27 23:27)