"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
オオオサの里 [オサムシ]
今年の3月の遠征「甲州街道おさくりげ」では、個人ミッションとしてインコンプリートだった標的。
オオオサムシのリベンジを果たしておきたいと、オサ友たちを出し抜いて遠征してきました。
思えばもう半年も経っているのに、悔しさは心の奥の壁に付箋のように貼られたままだったのです。
そういう話の出だしですが、扉の写真はこのトンボです。
カテゴリーはオサムシですが、このトンボたちも重要な登場人物です。
9月21日の朝、天候は晴れ。
都内を通るので通勤時間帯前に出発するつもりが、虫たちの世話に少し時間がかかってしまいました。
でも、シルバーウィークだったせいか、お江戸へ向かう上りルートは思いのほか混雑していない。
首都高は走りたくないので、一般道で都内を抜けてから中央道に乗りました。
陽も高くなり、風も強くないものの、高速を走ってると少し肌寒いくらいの陽気でした。
そのせいかトイレに行きたくなり、いつもは(混んでいるので)避ける談合坂SAにピットイン。
インナーを一枚着足してトイレに向かっていると、見覚えのある後ろ姿を発見。
なんとF会の大番頭のUさんじゃないですか。
うしろから声をかけると向こうもびっくり顔。
Uさんも談合坂はいつも避けるのだけど、眠くなって休憩したかったとのこと。
用足しの後、このご時世でまったく会えていなかった奥様とも再会できました。
5秒ずれていたら会うことはなかったと思いますが、虫屋あるあるとも言えます。
(お互いの遠征の目的と行先は全く違いました)
さて、向かうは南信なのですが、その前に寄りたい所というか開拓したい場所がありました。
そこは北杜市の山中でオオオサムシ(以下オオオサ)の分布域でもあるのです。
須玉ICで降りて、馴染みがあるR141を北上して行きます。
何も考えずにナビに従って走りながらも、目標地点へ向かって国道を離れた途端に全く未知のエリア。
谷を渡り、しばらく山道を登ると湖がありました。
実はここを経由する予定ではなく・・ナビに従っていたつもりがどこかで道を間違ったか・・
GoogleMapで確認すると、引き返さなくても目標地点には行けるようなので、気を取り直してGO!
舗装はされているものの、路面に小石や枝が散乱しているので往来の少なさが分かる。
やや不安になりながらも、標高を上げていくと、目的地に到着とナビが言いました。
う~む。
イメージしていたのはもっと開けた高台でしたが、ここで間違ってはいないよう。
しかし、ここから山の中へのアプローチが分からない。
ベニシジミ号を降り、誰かいないかと施設の管理小屋へ歩いて行き、すみませ~んと発すると。
まるで待っていたかのように、管理人と思しきオジサンが戸口に立っていました。
「今、バイクで来た人?」(エンジン音を聞きつけていたようです)
「あ、そうです、ちょっとお尋ねしますが、この裏手の山は立ち入り禁止でしょうか?」
「入れますよ、そこの脇の道から」
「私有地ではないのですかね?」
「大丈夫、道からこっちはうちの敷地だけど」
「じゃあちょっとお邪魔します」
侵入ルートと侵入可否が確認できたので、ベニシジミ号に戻って、いざ突撃。
管理小屋の脇を通りかかると、さっきのオジサン再び。
「しばらく登って行くと鎖がかかっているけど、そのバイクなら脇から入って行けると思うよ」
「ありがとうございます、行ってみます」
何しに来たのか聞かれなかったのは、バイクと装備を見て客ではないと判断したからでしょう。
深くえぐれた轍の細い林道を、注意しながらゆっくり登っていくと、教えられた通りの光景が。
たしかにバイクなら支柱の脇から難なく入れますが、休憩もしたかったので下車してまずは水分補給。
と、明るい陽射しを反射しながら、何かが目の前を横切った。
バッグからTGを出しながら追いかけましたが、藪というか下草の中に紛れて消えてしまった。
イトトンボだと思われたものの、深追いはせず、ベニシジミ号の近くに腰を下ろしてお昼にしました。
バイクではなくて、まずは歩いて周囲の様子を確認しようと、鎖の向こうへ足を踏み入れると。
またもや足元にチラチラと舞うイトトンボ。
なかなか止まってくれないけれど、今度は正体を確かめようと、静かにしつこく追跡しました。
明るすぎて撮影し辛く、かつ同定ポイントがなかなか写せなくて手こずりました。
さて正体は。
当ブログではお馴染みの子で、追いかけ回したついでに正面顔を撮ったのが扉の写真です。
さらに山道を数歩進むと、さらに足元の下草からチラチラと次々舞い上がる。
しかも、ホソミイトトンボではないやつが。
もうこれは真剣にトンボモードに移行するしかない。
またしても右へ左へと追いかけ回して確認したのはこのイトトンボ。
その名の通り成虫で越冬する珍しいイトトンボです。(越年(おつねん)蜻蛉)
トンボモードに移行したのでオスも探すと・・難なく見つけられました。
さらに歩を進めて行くと、イトトンボたちは群れていることが分かりました。
明るい陽射しの中に舞い出てきた小さなハエなどの小昆虫を捕食しに集まっているのでしょう。
そんな虫たちの生活(生態)を楽しんでいると、遅まきにコンチューターが反応した。
何か違うのがいると。
ひょっとしてと思いながら、もう一度追跡開始。
君は違う、君も違うとつぶやきながらしばらく探し続け、やっと確証を得ました。
上記のオツネントンボと比べると、名前の通り胴体が細く、胸の模様が違います。
この2種はその名の通り、成虫越冬するイトトンボの仲間で、さらに前出のホソミもそうなのです。
つまり、ここは国内の成虫越冬するイトトンボ3種すべてが共生する場所だったのです。
偶然でしたが、小さな発見に一人ひそかに感動することしばし。
ホソミオツネンのメスも探したのですが、どうしてもオスしか観察できませんでした。
さて、トンボモードを解除して林道を先へ進むと、望外の光景が広がっていました。
これはほんの一部で、このような高さ2メートルほどの小崖が延々と続いていました。
もしも、オサホリの世界大会が日本で開催されるとしたら、会場の第一候補はここだろうという感じ。
(いや、誰にも知られたくないけど)
さらに先に進むと、とうとう倒木で行き止まりになってしました。
(歩いて乗り越えられそうだったけど)
実はベニシジミ号を停めたところは林道の分岐地点で、右手方向にも道があったのです。
そっちへも行ってみたところ、やはり倒木が放置されていました。
トンボモードのときに地面を歩くセアカヒラタゴミムシや黒い小型のゴミムシは見かけました。
でも、世界オサホリ大会会場が見掛け倒しではまずいので確認作業もしなくてはなりません。
ということで、オサトラップの敷設作業モードに移行しました。
ただ、この長い会場の全体に仕掛けることはできないので、ポイントを一点にしぼって作業開始。
ところがこのフィールドの地面の固いこと。
崖の際でさえ土は少なく、細かい礫が堆積していて、全然掘れない。
この日はまだ大事なミッションが残っているので、やっとこ五つ設置したところで打ち止め。
トラップの写真を撮る余裕はなかったのですが、出発する前にもう一度トンボモードに。
とうとうメスは見つけられませんでしたが、次のミッションを果たすべく会場候補地を後にしました。
R141に出る手前、気持ちのいいYVP(八ヶ岳ビューポイント)がありました。
いくら急いでいても、これは一旦停止せざるをえない。
それから高速に乗りなおすことはせず、小淵沢経由で八ヶ岳の南麓を気持ちよくツーリング。
富士見町に入り、八ヶ岳の西側に回ったところで、またYVPを発見。
ここも電線や民家が入らなくて、東側とはまた別の八ヶ岳を見ることができました。
本郷小学校の近くです。(備忘のため)
さあ、いよいよ主目的地付近までたどり着きました。
そこは以前Yころんさんに教えてもらった里山で、人里離れてはいませんが初めて訪れるエリア。
ナビに設定した目的地は目と鼻の先という交差点の赤信号で停止したのですが・・青にならない。
この町の信号はずいぶん長いんだなぁと、シールドを上げて周辺の景色を眺めていると・・
バックミラーに、後ろに止まった車の運転手(女性)が降りてくるのが見えました。
困ったような顔をしていたので、何か悪いことでもしたかと一瞬身構えたのですが・・
ベニシジミ号の脇をスルーして彼女が向かった先は・・
バイク用の押しボタン。(こんなのがまだあったとは・・ごめんなさい)
すぐ青になったので、後ろの車に向け左手を上げて挨拶し発進しました。
一度アプローチを通り過ぎてしまいましたが、里山の散策路の入口に無事?到着。
1時間半ほど走ってきたので、バイクを降りて小休止。
水分補給しながら回りの藪をチェックすると、ここでもオツネンちゃんがお出迎え。
右下に写っているのもオスだったと思いますが、メスも難なく見つけられました。
これは離脱するときに撮った写真ですが、近くに川が流れています。
ここでのミッションはトラップを仕掛けてオオオサを採ること。
でも、どこに仕掛ければいいのかは分かりません。
まずは散策路に沿って丘の上へと登ってみることにしました。
散策路とはいってもほとんど獣道のような細い道で、所々ロープ場もあって楽ではない。
トラップの設置にも向いていないし、そもそも虫影がありませんでした。
汗かいてたどり着いた丘の上は意外にも広場のような松林。
トラップは仕掛けやすそうですが、もっと下の方がいいと判断。(また登ってくるのがイヤだし)
ということで、さっさと丘の反対側へと下って行きました。
丘を下りきると、さっきの川沿いの林の中に散策路が続いていました。
そこを詰めきったところにあったのは小さな池。
オサムシたちの棲息環境として申し分ないし、走り回っているのが頭の中にイメージできました。
ということで、0.5秒考えて設置場所はここに決定。
ここを起点として、散策路を戻りながらトラップを設置していきました。
持ってきた残りのトラップを設置し終わって川を渡り、ベニシジミ号へ戻る途中の土手の上。
見送ってくれたのもオツネンちゃんでした。
さて、陽が傾いてきたのですが、まだ日没までは少し時間がある。
このまま宿へ向かってもやることはないので、何かいい案はないかとしばし一人作戦会議。
そうだ、あそこへ行こう。日没前に着けるかも。
なぜかナビで地名で検索できなくて躓いたものの、蓼科方面へ向けて出発。
道に迷うことはなく、ギリギリ日没前に着けました。
この写真でどこか分かる方は蓼科通かと。
この構図は通でなくても見たことがある方がいるかも。
日没前だったとはいえ少し光が足りなくて残念でしたが、人影がないので静謐感は堪能できました。
諏訪の定宿へと向かい、いつになく温泉にゆっくり浸かって一日目は終了。
翌日、窓から射し込むまぶしい朝日で目が覚めました。
よーし、これは霧ケ峰日和だと、朝風呂は入らずにさっさと朝食をとりました。
山の気温を考え、防寒のためにインナーを重ね、雨具も着込んで身支度を整えました。
出発準備万端となり、チェックアウトしに玄関へ降りると・・外が暗い。
雨が降りはじめていたので、まずは急いでベニシジミ号を軒下に移動。
状況を確認するべく雨雲レーダーを見ると通り雨のようで、1時間くらいしたらあがるようでした。
一旦会計を済ませ、ご主人に雨宿りしてもいいですか?とお願いすると、
「どうぞ部屋に戻って休んでください」
部屋に戻り、窓辺の椅子に座って寛がせてもらいました。
予報の通り、1時間余り過ぎたところで空が明るくなりましたが、山の上はまだ雨雲が通過中。
とても楽しみにしていたけれど、霧ケ峰は今回おあずけです。
ご主人にお礼を言い、あらためて二日目のスタート。トラップ回収に向かいました。
曇ってはいたものの、雨に降られることはなく昨日の里山に到着。
今日はまっすぐに例の池を目指しました。
池の手前の階段を登り切ったところで手を合わせ、虫運があることを祈ります。
果たして一つ目のトラップを覗いてみると・・
いたー! しかもいきなりの満塁ホームラン!
思わず一人で歓喜の舞を踊りました。
これが本命の獲物。
やっぱりでかい。そして黒い。 ともかく嬉しい。
Unfinished business 達成です。
次々とトラップを見ていきましたが、池の周りではこの虫も入っていました。
これらは以前、キンイロマルナガゴミムシと呼ばれていた、山地に分布するタイプかもしれません。
それとお馴染みのやつも。
しかも、ここのアオオサは鞘翅の色がビビットでかつ光沢がありました。
この後もオオオサムシは入っていたら複数頭で時々満塁ホームラン。
しかし、こういう場合も。
おそらくタヌキか何かが引っこ抜いていったのだと思います。
何個か同様の状況で、それぞれ周辺を探しましたが、カップは一つも見つかりませんでした。
消失したもの以外はすべて回収し、もう一度池まで戻ってきました。
予想外の大漁で、オオオサは22頭。ただしオスはわずかに2頭だけ。
アオオサは4頭(1♂3♀)、アカガネオオゴミ5頭、ナガゴミ2頭、その他ゴミムシ多数でした。
というわけで、ここでの大型のオサムシはオオオサムシが優占している。
つまり”オオオサムシの里”とも言える、貴重な里山だということです。
オオオサは全員生きていたので、収納ケースやら道具を広げ、しゃがんで身体検査をしていると・・
入口の階段の方から、ネックストラップを提げたオジサンが二人近づいてきました。
「オオムラサキですか?」
「いや違いますが、オオムラサキの幼虫がいるんですか?」
どうやらこの里山ではオオムラサキの保護活動をしているらしく、この方々は様子を見に来たのかも。
じゃあ何をしているんだと問い詰められもしないのでこちらから。
「ゴミムシを採っていたんです」
オサムシと言っても通じないのでゴミムシと言うことにしてますが、それでもピンとこない様でした。
そのまま立ち去って行こうとしたので、「見ますか?」とオオオサをつまんで見せてあげました。
「カミキリムシの仲間ですか?」
そう来たか。
「カミキリムシと違って、これは地面の上で生活しています」
「へぇそうですか、見かけたことないですね」
「基本的に夜行性ですし、大体は落ち葉の下や土の中にいますので」
「なるほど、あ、そこに一匹いますよ、逃げてるんじゃないですか?」
「あ、いいんです、何匹かは持って帰りますが、他は今逃がしているところなので」
「そうですか、勉強になりました、ありがとうございました」
と言い残して、二人はまた階段の方へと戻っていきました。
虫たちを収納ケースに入れ、回収したカップを袋に詰め、オオオサの里を後にしました。
さあ、もう一か所の回収です。
前日とほぼ同じルートを辿っていったのですが、あいにく雲が多くて西側のYVPはスルー。
今度は遠回りしなかったので1時間くらいで大会会場に着きました。
またお祈りして早速トラップの確認。
しかし三つ目までは小さなゴミムシが入っていただけでボウズ。
四つ目でやっとオサムシらしいのが入っていました。
通称マルバネオサムシとも呼ばれるクロオサムシの山梨長野亜種です。
これで一応会場の条件は満たされたとホッとしたところ、最終回の逆転ツーランが。
採ったときはコクロナガオサムシだと思っていましたが、調べると分布域が少しだけずれていました。
それはともかく、少なくとも複数種いることが分かったので、大会に向けて増々期待が高まります。
(あくまで勝手な妄想です)
そういう訳で成果は十分。トンボモードに切り替えることはせず、そそくさと再出発しました。
もうとっくにお昼を過ぎているので、山を下りながらどこかにピットインしようと走っていると。
R141を通るといつも気になっていた場所を思い出しました。
須玉川の谷にある道の駅「南きよさと」
その中にあるこのお店で遅いお昼にしました。
ケーブルカーに乗って丘を登ると、南八ヶ岳花の森公園に行けます。
販売所でおみやげに買った生ほうとうが、地元の製麺所の製品でインパクト大でした。
実物の写真を載せたかったのですが、キャリアの中でフードパックがボロボロになったので・・
7分~10分煮ろと書いていますが、それではちょっと固いと思います。
さて、実はこの日は帰宅するのではなく、さらに神奈川某所へ向かうのです。
天気は下り坂で夕方には神奈川方面は雨が降り始めるとの予報だったので早く移動するつもりでした。
しかし予報は外れたみたいで、むしろ上り坂。雲は消え、陽射しが強くなってきました。
ならば急がないで、ちょっとどこかへ寄り道しようかなと。
5秒ほど考えて、これから向かうエリアで、場所があやふやなポイントの確認をすることに。
そこはずいぶん前に偶然見つけた、ミヤマクワガタの蹴っ飛ばしポイント。
一蹴りで70mmが落っこちてきて歓喜の舞を踊ったのですが、興奮して場所が定かでなくなったのです。
爾来の宿題を解決するため、まずはここら辺だったと思う地点へ向けて出発。
30分もかからずに着いた場所は、ちょっとイメージが変わっていましたが確かに見覚えあり。
アプローチは間違っていないと確信し、探索モードに切り替えていざ突入。
分水ではなく、用水路が立体交差しているこの光景も見覚えがありました。
ここからはこの堰に沿って歩いていきます。
さっきの立体交差のところでも見かけていたのですが、この水路に沿ってヤンマが行き来しています。
探索モードで手にしていた網で一撃。(ほんとは2回くらい逃げられた)
10分ほど歩くと水路が暗渠になって見えなくなります。
そこに広がる二次林と思われる雑木林がまさに目的地。
クヌギ、コナラ、アカマツなどが密植されていますが、その中にまぎれてこんな花も。
山は秋がはじまっていましたが、この日は暑かった。
細いガレた道を登って行き、せっかくなのでと詰めてみましたが、しばらく進むと行き止まり。
戻りながら道沿いの適当なクヌギを何本か蹴っ飛ばしました。
残念ながら落ちてきたのはドングリくらいでしたが、林陰にまたイトトンボを見つけました。
連鎖的というのは適切ではないですが、林の中へ分け入って行き、この子たちも見つけました。
目がトンボモードになるとたくさんいるのが分かります。
これはひょっとして再びかと、越冬トリオのもう一種を探しました。
目を凝らし、撮影・プレビューし続けたものの、どれもオツネンちゃんばかり。
とうとう陽射しの強さと林の中の湿気に耐えかねてギブアッブ。
水路に沿ってベニシジミ号へと戻りました。
堰の立体交差にまたヤンマがいましたが振り逃がし、代わりにまたこの子に見送ってもらいました。
ポイントの位置をちゃんと確認できたので、この日の仕事は終わり。
ツーリングモードに移行し、韮崎~甲府~笛吹~河口湖と道中も夏のような暑さを感じながらひた走り。
東富士五湖道路の富士吉田ICの手前、こんなビューポイントがありました。
結局、雨には一滴も当たることなく、目的地に着いたのは予定時刻ぴったりの午後六時。
ずいぶん長い記事になりましたが、ここまでが遠征の前半です。
後半はまた次回にでも。
10月6日、土中に潜航していたゲンちゃんがデビューしました。
元々うちにいたホンゲンはオス。
あずかった成虫もオス。
なので、期待していたのですが・・・
蛹期間は22日、ずいぶん立派な体格の終齢幼虫だったのに、ちょっと小ぶりなオスになりました。
今日の湯加減
オオオサムシのリベンジを果たしておきたいと、オサ友たちを出し抜いて遠征してきました。
思えばもう半年も経っているのに、悔しさは心の奥の壁に付箋のように貼られたままだったのです。
そういう話の出だしですが、扉の写真はこのトンボです。
カテゴリーはオサムシですが、このトンボたちも重要な登場人物です。
9月21日の朝、天候は晴れ。
都内を通るので通勤時間帯前に出発するつもりが、虫たちの世話に少し時間がかかってしまいました。
でも、シルバーウィークだったせいか、お江戸へ向かう上りルートは思いのほか混雑していない。
首都高は走りたくないので、一般道で都内を抜けてから中央道に乗りました。
陽も高くなり、風も強くないものの、高速を走ってると少し肌寒いくらいの陽気でした。
そのせいかトイレに行きたくなり、いつもは(混んでいるので)避ける談合坂SAにピットイン。
インナーを一枚着足してトイレに向かっていると、見覚えのある後ろ姿を発見。
なんとF会の大番頭のUさんじゃないですか。
うしろから声をかけると向こうもびっくり顔。
Uさんも談合坂はいつも避けるのだけど、眠くなって休憩したかったとのこと。
用足しの後、このご時世でまったく会えていなかった奥様とも再会できました。
5秒ずれていたら会うことはなかったと思いますが、虫屋あるあるとも言えます。
(お互いの遠征の目的と行先は全く違いました)
さて、向かうは南信なのですが、その前に寄りたい所というか開拓したい場所がありました。
そこは北杜市の山中でオオオサムシ(以下オオオサ)の分布域でもあるのです。
須玉ICで降りて、馴染みがあるR141を北上して行きます。
何も考えずにナビに従って走りながらも、目標地点へ向かって国道を離れた途端に全く未知のエリア。
谷を渡り、しばらく山道を登ると湖がありました。
実はここを経由する予定ではなく・・ナビに従っていたつもりがどこかで道を間違ったか・・
GoogleMapで確認すると、引き返さなくても目標地点には行けるようなので、気を取り直してGO!
舗装はされているものの、路面に小石や枝が散乱しているので往来の少なさが分かる。
やや不安になりながらも、標高を上げていくと、目的地に到着とナビが言いました。
う~む。
イメージしていたのはもっと開けた高台でしたが、ここで間違ってはいないよう。
しかし、ここから山の中へのアプローチが分からない。
ベニシジミ号を降り、誰かいないかと施設の管理小屋へ歩いて行き、すみませ~んと発すると。
まるで待っていたかのように、管理人と思しきオジサンが戸口に立っていました。
「今、バイクで来た人?」(エンジン音を聞きつけていたようです)
「あ、そうです、ちょっとお尋ねしますが、この裏手の山は立ち入り禁止でしょうか?」
「入れますよ、そこの脇の道から」
「私有地ではないのですかね?」
「大丈夫、道からこっちはうちの敷地だけど」
「じゃあちょっとお邪魔します」
侵入ルートと侵入可否が確認できたので、ベニシジミ号に戻って、いざ突撃。
管理小屋の脇を通りかかると、さっきのオジサン再び。
「しばらく登って行くと鎖がかかっているけど、そのバイクなら脇から入って行けると思うよ」
「ありがとうございます、行ってみます」
何しに来たのか聞かれなかったのは、バイクと装備を見て客ではないと判断したからでしょう。
深くえぐれた轍の細い林道を、注意しながらゆっくり登っていくと、教えられた通りの光景が。
たしかにバイクなら支柱の脇から難なく入れますが、休憩もしたかったので下車してまずは水分補給。
と、明るい陽射しを反射しながら、何かが目の前を横切った。
バッグからTGを出しながら追いかけましたが、藪というか下草の中に紛れて消えてしまった。
イトトンボだと思われたものの、深追いはせず、ベニシジミ号の近くに腰を下ろしてお昼にしました。
バイクではなくて、まずは歩いて周囲の様子を確認しようと、鎖の向こうへ足を踏み入れると。
またもや足元にチラチラと舞うイトトンボ。
なかなか止まってくれないけれど、今度は正体を確かめようと、静かにしつこく追跡しました。
明るすぎて撮影し辛く、かつ同定ポイントがなかなか写せなくて手こずりました。
さて正体は。
ホソミイトトンボ ♂(イトトンボ科)
当ブログではお馴染みの子で、追いかけ回したついでに正面顔を撮ったのが扉の写真です。
さらに山道を数歩進むと、さらに足元の下草からチラチラと次々舞い上がる。
しかも、ホソミイトトンボではないやつが。
もうこれは真剣にトンボモードに移行するしかない。
またしても右へ左へと追いかけ回して確認したのはこのイトトンボ。
オツネントンボ ♀(アオイトトンボ科)
その名の通り成虫で越冬する珍しいイトトンボです。(越年(おつねん)蜻蛉)
トンボモードに移行したのでオスも探すと・・難なく見つけられました。
同上 ♂
さらに歩を進めて行くと、イトトンボたちは群れていることが分かりました。
明るい陽射しの中に舞い出てきた小さなハエなどの小昆虫を捕食しに集まっているのでしょう。
そんな虫たちの生活(生態)を楽しんでいると、遅まきにコンチューターが反応した。
何か違うのがいると。
ひょっとしてと思いながら、もう一度追跡開始。
君は違う、君も違うとつぶやきながらしばらく探し続け、やっと確証を得ました。
ホソミオツネントンボ ♂(アオイトトンボ科)
上記のオツネントンボと比べると、名前の通り胴体が細く、胸の模様が違います。
この2種はその名の通り、成虫越冬するイトトンボの仲間で、さらに前出のホソミもそうなのです。
つまり、ここは国内の成虫越冬するイトトンボ3種すべてが共生する場所だったのです。
偶然でしたが、小さな発見に一人ひそかに感動することしばし。
ホソミオツネンのメスも探したのですが、どうしてもオスしか観察できませんでした。
さて、トンボモードを解除して林道を先へ進むと、望外の光景が広がっていました。
これはほんの一部で、このような高さ2メートルほどの小崖が延々と続いていました。
もしも、オサホリの世界大会が日本で開催されるとしたら、会場の第一候補はここだろうという感じ。
(いや、誰にも知られたくないけど)
さらに先に進むと、とうとう倒木で行き止まりになってしました。
(歩いて乗り越えられそうだったけど)
実はベニシジミ号を停めたところは林道の分岐地点で、右手方向にも道があったのです。
そっちへも行ってみたところ、やはり倒木が放置されていました。
トンボモードのときに地面を歩くセアカヒラタゴミムシや黒い小型のゴミムシは見かけました。
でも、世界オサホリ大会会場が見掛け倒しではまずいので確認作業もしなくてはなりません。
ということで、オサトラップの敷設作業モードに移行しました。
ただ、この長い会場の全体に仕掛けることはできないので、ポイントを一点にしぼって作業開始。
ところがこのフィールドの地面の固いこと。
崖の際でさえ土は少なく、細かい礫が堆積していて、全然掘れない。
この日はまだ大事なミッションが残っているので、やっとこ五つ設置したところで打ち止め。
トラップの写真を撮る余裕はなかったのですが、出発する前にもう一度トンボモードに。
ホソミイトトンボ ♂(イトトンボ科)
とうとうメスは見つけられませんでしたが、次のミッションを果たすべく会場候補地を後にしました。
R141に出る手前、気持ちのいいYVP(八ヶ岳ビューポイント)がありました。
いくら急いでいても、これは一旦停止せざるをえない。
それから高速に乗りなおすことはせず、小淵沢経由で八ヶ岳の南麓を気持ちよくツーリング。
富士見町に入り、八ヶ岳の西側に回ったところで、またYVPを発見。
ここも電線や民家が入らなくて、東側とはまた別の八ヶ岳を見ることができました。
本郷小学校の近くです。(備忘のため)
さあ、いよいよ主目的地付近までたどり着きました。
そこは以前Yころんさんに教えてもらった里山で、人里離れてはいませんが初めて訪れるエリア。
ナビに設定した目的地は目と鼻の先という交差点の赤信号で停止したのですが・・青にならない。
この町の信号はずいぶん長いんだなぁと、シールドを上げて周辺の景色を眺めていると・・
バックミラーに、後ろに止まった車の運転手(女性)が降りてくるのが見えました。
困ったような顔をしていたので、何か悪いことでもしたかと一瞬身構えたのですが・・
ベニシジミ号の脇をスルーして彼女が向かった先は・・
バイク用の押しボタン。(こんなのがまだあったとは・・ごめんなさい)
すぐ青になったので、後ろの車に向け左手を上げて挨拶し発進しました。
一度アプローチを通り過ぎてしまいましたが、里山の散策路の入口に無事?到着。
1時間半ほど走ってきたので、バイクを降りて小休止。
水分補給しながら回りの藪をチェックすると、ここでもオツネンちゃんがお出迎え。
オツネントンボ ♂ (アオイトトンボ科)
右下に写っているのもオスだったと思いますが、メスも難なく見つけられました。
同上 ♀
これは離脱するときに撮った写真ですが、近くに川が流れています。
ここでのミッションはトラップを仕掛けてオオオサを採ること。
でも、どこに仕掛ければいいのかは分かりません。
まずは散策路に沿って丘の上へと登ってみることにしました。
散策路とはいってもほとんど獣道のような細い道で、所々ロープ場もあって楽ではない。
トラップの設置にも向いていないし、そもそも虫影がありませんでした。
汗かいてたどり着いた丘の上は意外にも広場のような松林。
トラップは仕掛けやすそうですが、もっと下の方がいいと判断。(また登ってくるのがイヤだし)
ということで、さっさと丘の反対側へと下って行きました。
丘を下りきると、さっきの川沿いの林の中に散策路が続いていました。
そこを詰めきったところにあったのは小さな池。
ツリフネソウ
オサムシたちの棲息環境として申し分ないし、走り回っているのが頭の中にイメージできました。
ということで、0.5秒考えて設置場所はここに決定。
ここを起点として、散策路を戻りながらトラップを設置していきました。
持ってきた残りのトラップを設置し終わって川を渡り、ベニシジミ号へ戻る途中の土手の上。
見送ってくれたのもオツネンちゃんでした。
オツネントンボ ♀ (アオイトトンボ科)
さて、陽が傾いてきたのですが、まだ日没までは少し時間がある。
このまま宿へ向かってもやることはないので、何かいい案はないかとしばし一人作戦会議。
そうだ、あそこへ行こう。日没前に着けるかも。
なぜかナビで地名で検索できなくて躓いたものの、蓼科方面へ向けて出発。
道に迷うことはなく、ギリギリ日没前に着けました。
この写真でどこか分かる方は蓼科通かと。
この構図は通でなくても見たことがある方がいるかも。
御射鹿池(みしゃかいけ)
日没前だったとはいえ少し光が足りなくて残念でしたが、人影がないので静謐感は堪能できました。
諏訪の定宿へと向かい、いつになく温泉にゆっくり浸かって一日目は終了。
翌日、窓から射し込むまぶしい朝日で目が覚めました。
よーし、これは霧ケ峰日和だと、朝風呂は入らずにさっさと朝食をとりました。
山の気温を考え、防寒のためにインナーを重ね、雨具も着込んで身支度を整えました。
出発準備万端となり、チェックアウトしに玄関へ降りると・・外が暗い。
雨が降りはじめていたので、まずは急いでベニシジミ号を軒下に移動。
状況を確認するべく雨雲レーダーを見ると通り雨のようで、1時間くらいしたらあがるようでした。
一旦会計を済ませ、ご主人に雨宿りしてもいいですか?とお願いすると、
「どうぞ部屋に戻って休んでください」
部屋に戻り、窓辺の椅子に座って寛がせてもらいました。
予報の通り、1時間余り過ぎたところで空が明るくなりましたが、山の上はまだ雨雲が通過中。
とても楽しみにしていたけれど、霧ケ峰は今回おあずけです。
ご主人にお礼を言い、あらためて二日目のスタート。トラップ回収に向かいました。
曇ってはいたものの、雨に降られることはなく昨日の里山に到着。
今日はまっすぐに例の池を目指しました。
池の手前の階段を登り切ったところで手を合わせ、虫運があることを祈ります。
果たして一つ目のトラップを覗いてみると・・
いたー! しかもいきなりの満塁ホームラン!
思わず一人で歓喜の舞を踊りました。
これが本命の獲物。
オオオサムシ (オサムシ科)
やっぱりでかい。そして黒い。 ともかく嬉しい。
Unfinished business 達成です。
次々とトラップを見ていきましたが、池の周りではこの虫も入っていました。
アカガネオオゴミムシ (オサムシ科)
これらは以前、キンイロマルナガゴミムシと呼ばれていた、山地に分布するタイプかもしれません。
それとお馴染みのやつも。
アオオサムシ (オサムシ科)
しかも、ここのアオオサは鞘翅の色がビビットでかつ光沢がありました。
この後もオオオサムシは入っていたら複数頭で時々満塁ホームラン。
しかし、こういう場合も。
おそらくタヌキか何かが引っこ抜いていったのだと思います。
何個か同様の状況で、それぞれ周辺を探しましたが、カップは一つも見つかりませんでした。
消失したもの以外はすべて回収し、もう一度池まで戻ってきました。
予想外の大漁で、オオオサは22頭。ただしオスはわずかに2頭だけ。
アオオサは4頭(1♂3♀)、アカガネオオゴミ5頭、ナガゴミ2頭、その他ゴミムシ多数でした。
というわけで、ここでの大型のオサムシはオオオサムシが優占している。
つまり”オオオサムシの里”とも言える、貴重な里山だということです。
オオオサは全員生きていたので、収納ケースやら道具を広げ、しゃがんで身体検査をしていると・・
入口の階段の方から、ネックストラップを提げたオジサンが二人近づいてきました。
「オオムラサキですか?」
「いや違いますが、オオムラサキの幼虫がいるんですか?」
どうやらこの里山ではオオムラサキの保護活動をしているらしく、この方々は様子を見に来たのかも。
じゃあ何をしているんだと問い詰められもしないのでこちらから。
「ゴミムシを採っていたんです」
オサムシと言っても通じないのでゴミムシと言うことにしてますが、それでもピンとこない様でした。
そのまま立ち去って行こうとしたので、「見ますか?」とオオオサをつまんで見せてあげました。
オオオサムシ (オサムシ科)
「カミキリムシの仲間ですか?」
そう来たか。
「カミキリムシと違って、これは地面の上で生活しています」
「へぇそうですか、見かけたことないですね」
「基本的に夜行性ですし、大体は落ち葉の下や土の中にいますので」
「なるほど、あ、そこに一匹いますよ、逃げてるんじゃないですか?」
「あ、いいんです、何匹かは持って帰りますが、他は今逃がしているところなので」
「そうですか、勉強になりました、ありがとうございました」
と言い残して、二人はまた階段の方へと戻っていきました。
虫たちを収納ケースに入れ、回収したカップを袋に詰め、オオオサの里を後にしました。
さあ、もう一か所の回収です。
前日とほぼ同じルートを辿っていったのですが、あいにく雲が多くて西側のYVPはスルー。
今度は遠回りしなかったので1時間くらいで大会会場に着きました。
またお祈りして早速トラップの確認。
しかし三つ目までは小さなゴミムシが入っていただけでボウズ。
四つ目でやっとオサムシらしいのが入っていました。
クロオサムシ (オサムシ科)
通称マルバネオサムシとも呼ばれるクロオサムシの山梨長野亜種です。
これで一応会場の条件は満たされたとホッとしたところ、最終回の逆転ツーランが。
クロナガオサムシ (オサムシ科)
採ったときはコクロナガオサムシだと思っていましたが、調べると分布域が少しだけずれていました。
同上
それはともかく、少なくとも複数種いることが分かったので、大会に向けて増々期待が高まります。
(あくまで勝手な妄想です)
そういう訳で成果は十分。トンボモードに切り替えることはせず、そそくさと再出発しました。
もうとっくにお昼を過ぎているので、山を下りながらどこかにピットインしようと走っていると。
R141を通るといつも気になっていた場所を思い出しました。
須玉川の谷にある道の駅「南きよさと」
その中にあるこのお店で遅いお昼にしました。
ケーブルカーに乗って丘を登ると、南八ヶ岳花の森公園に行けます。
販売所でおみやげに買った生ほうとうが、地元の製麺所の製品でインパクト大でした。
フジワラセイメンジャーもインパクト大
実物の写真を載せたかったのですが、キャリアの中でフードパックがボロボロになったので・・
7分~10分煮ろと書いていますが、それではちょっと固いと思います。
さて、実はこの日は帰宅するのではなく、さらに神奈川某所へ向かうのです。
天気は下り坂で夕方には神奈川方面は雨が降り始めるとの予報だったので早く移動するつもりでした。
しかし予報は外れたみたいで、むしろ上り坂。雲は消え、陽射しが強くなってきました。
ならば急がないで、ちょっとどこかへ寄り道しようかなと。
5秒ほど考えて、これから向かうエリアで、場所があやふやなポイントの確認をすることに。
そこはずいぶん前に偶然見つけた、ミヤマクワガタの蹴っ飛ばしポイント。
一蹴りで70mmが落っこちてきて歓喜の舞を踊ったのですが、興奮して場所が定かでなくなったのです。
爾来の宿題を解決するため、まずはここら辺だったと思う地点へ向けて出発。
30分もかからずに着いた場所は、ちょっとイメージが変わっていましたが確かに見覚えあり。
ナツアカネ ♂ (トンボ科)
アプローチは間違っていないと確信し、探索モードに切り替えていざ突入。
分水ではなく、用水路が立体交差しているこの光景も見覚えがありました。
ここからはこの堰に沿って歩いていきます。
さっきの立体交差のところでも見かけていたのですが、この水路に沿ってヤンマが行き来しています。
探索モードで手にしていた網で一撃。(ほんとは2回くらい逃げられた)
ミルンヤンマ (ヤンマ科)
10分ほど歩くと水路が暗渠になって見えなくなります。
そこに広がる二次林と思われる雑木林がまさに目的地。
クヌギ、コナラ、アカマツなどが密植されていますが、その中にまぎれてこんな花も。
草冠に秋
山は秋がはじまっていましたが、この日は暑かった。
細いガレた道を登って行き、せっかくなのでと詰めてみましたが、しばらく進むと行き止まり。
戻りながら道沿いの適当なクヌギを何本か蹴っ飛ばしました。
残念ながら落ちてきたのはドングリくらいでしたが、林陰にまたイトトンボを見つけました。
ホソミイトトンボ (イトトンボ科)
連鎖的というのは適切ではないですが、林の中へ分け入って行き、この子たちも見つけました。
オツネントンボ ♀ (アオイトトンボ科)
目がトンボモードになるとたくさんいるのが分かります。
同上 ♂
これはひょっとして再びかと、越冬トリオのもう一種を探しました。
目を凝らし、撮影・プレビューし続けたものの、どれもオツネンちゃんばかり。
とうとう陽射しの強さと林の中の湿気に耐えかねてギブアッブ。
水路に沿ってベニシジミ号へと戻りました。
ホトトギス
堰の立体交差にまたヤンマがいましたが振り逃がし、代わりにまたこの子に見送ってもらいました。
ナツアカネ ♂ (トンボ科)
ポイントの位置をちゃんと確認できたので、この日の仕事は終わり。
ツーリングモードに移行し、韮崎~甲府~笛吹~河口湖と道中も夏のような暑さを感じながらひた走り。
東富士五湖道路の富士吉田ICの手前、こんなビューポイントがありました。
結局、雨には一滴も当たることなく、目的地に着いたのは予定時刻ぴったりの午後六時。
ずいぶん長い記事になりましたが、ここまでが遠征の前半です。
後半はまた次回にでも。
オマケ
10月6日、土中に潜航していたゲンちゃんがデビューしました。
元々うちにいたホンゲンはオス。
あずかった成虫もオス。
なので、期待していたのですが・・・
ゲンゴロウ ♂(ゲンゴロウ科)
蛹期間は22日、ずいぶん立派な体格の終齢幼虫だったのに、ちょっと小ぶりなオスになりました。
今日の湯加減
今朝ゲンちゃんたちにエサをあげようと水槽のある部屋のドアを開けたら、コンチューターが反応。
水槽のうしろのカーテンの裾に大きな黒い物体がぶら下がっている。
0.5秒考えてわかりました。
そいつがいたと思われるケースの方を先に確認したらやっぱりフタが開いていた。
それは、ちょうど2年前、卵で譲り受け飼育していたヘラクレスオオカブトでした。
蛹室の大きさで分かってはいたものの、丸2年も待ち続けて・・・メス。
まぁ無事に羽化してくれただけでもいいか。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
地震は震源の真上だったみたいですね。首都直下地震でもっとも危険とされる震源域です。昨日の例会でゼフさんの無事を確認、何よりでした。
Yコロンさん直伝のオオオサポイント、素晴らしい成果に祝杯?
ミルンヤンマさんお初にお目にかかります。
ゲンチャンデビュー、おめでとうございます。どのくらい生きるんですか?
by 高和です。 (2021-10-10 08:52)
こんにちは^^
イトトンボ、やはりなかなか覚えられないです^^
ホソミイトトンボとオツネントンボが多く見られたのですね。
オツネンは(越年)なのですね。
成虫のまま年を越えるのでしょうか...
雄と雌はあまり変わりがないように見えます。
アオオサムシ、綺麗な色ですね♪
by いろは (2021-10-10 16:53)
>高和です。さん
貴重な里山ですね。冷静になって、周辺もまた調査したいと思います。
ゲンゴロウは飼育だと4~5年だと思います。
クロゲンもそれくらいかと。
>いろはさん
イトトンボの同定はむずかしいので覚えなくてもいいと思います^^
記事で解説のとおり、成虫越冬するめずらしいイトトンボです。
アオアサムシは地域変異や個体変異があっておもしろいですね♪
by ぜふ (2021-10-10 21:41)
満塁ホームランって言うの分かります。
この写真からも立派なのが分かる!
ヘラクレスオオカブトのメス、どんな姿なのか検索しちゃいました^^
by リュカ (2021-10-11 07:14)
オオオサ、おめでとうございます!
虫の集まるところ虫屋あり、ですね(笑)
八ヶ岳の景色も素晴らしくて、最高ですね。
私は念願のHIDライトトラップシステムを入手しまして、これから色々と試してみたいと思います。
by 山健父 (2021-10-11 10:46)
>リュカさん
満塁ホームランが3本ほど出ました^^
ヘラクレスのメス、かわゆいでしょ?
里親になっていただますか?^^
>山健父さん
今年の宿題は今年のうちに・・です^^
八ヶ岳の景観は天気次第で、刻々と変わるのでラッキーでした。
HIDの投光器は強力な武器ですが後が怖いので・・^^;
by ぜふ (2021-10-11 22:13)
一枚目のにらめっこからビックリです。
蓼科の湖は東山魁夷の絵みたいで素晴らしい。
トラップは目印の旗が大漁旗になりましたね。
by 響 (2021-10-12 18:06)
ゲンゴロウ、後ろ足が泳ぎやすいような形になっているのでやすね。
by ぼんぼちぼちぼち (2021-10-14 20:57)
トラップを仕掛けて、一泊して翌日回収。いきなりの満塁ホームランは
テンションが上がるでしょうね。確かにデカい。アオオサもキレイですね。
ミルンヤンマという名前を、初めて聞きました。
by sakamono (2021-10-14 23:11)
>響さん
東山魁夷が思い浮かぶとはさすがです。
馬に走ってもらいたいですね^^
大漁旗にしてはしょぼいですが、はためいて見えました♪
>ぼんぼちぼちぼちさん
この後ろ足の動きがとても優雅で、というか優雅に泳ぐための形のような気がします^^
>sakamonoさん
これぞトラップ採集のだいご味ですね♪
大きさもそうですが、じっくり観察するとじわじわ来る虫です^^
ミルンヤンマは人名に由来していますね。
by ぜふ (2021-10-14 23:27)