"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
メクラ・チビ・ゴミ [オサムシ]
前記事では9月の遠征の前半のことを書きました。
今回は後半戦というか、前半と後半は本当は目的が違ったのですが、それはさて置くことにして。
遠征中のフィールドワーク(探虫)部分を抜き出してレポートします。
これは貴重な成果の一つ。

虫屋さんはすでにタイトルで分かっていたと思いますが。
実はTさん宅で合宿だったのです。
9月23日の朝、Tさんと一仕事を終えたところへゲストの家族が到着し、車2台で出発。
向かうは三国山。
ただしハイキングが目的ではないので、登山口は目指さずに車で行けるところまで行くようでした。
(連れて行ってもらっているのでゴール地点は不明)
祝日ということもあり、一部渋滞もありましたが、11時前にこの日のスタート地点に到着。
特別な装備はありませんが、全員身支度を整えて出発・・と、もうTさんはずんずん林の中へ。
どこに向かって歩いているのか何も説明はないけれど、探虫と自然観察が目的なので問題なし。
ただ、疎林ではあるものの、獣道さえない斜面を登っていくので少々不安。
まずは林の中で観察した花たち。

何トリカブトかわからないので単にトリカブトとしておきます。
これも同じく種名は分かりません。

これはたぶん。

もっとも多く生えていたのは、丈が低く、三角形の葉っぱが特徴的な小さな花。(蕾か?)

お花の先生、間違っていたら教えてください。

ふと林床にこんなものを見つけてしまいました。

前記事で紹介したピットフォールトラップです。屋根付きの。
ちょっと中を覗かせてもらうと、センチコガネやオサムシが入っていました。
歩いているとたくさん設置してあり、屋根に番号が書いてあるものもありましたが全部同じ数字。
目印の旗もないので、ちゃんと全て回収できるのか疑問に思いました。
(こういう雑な仕事をするのは学生だと思われる)
でもそのおかげ(?)でこんな虫に会えました。

はじめて見たという家族(のお子さん)に進呈しました。
これは進呈しませんでした。

クロナガオサムシかもしれませんが、鞘翅の篆刻が弱かったし分布域でもあるので。

その他これといった虫は見つけられず、山頂付近に到着しました。

前夜の雷雨とは打って変わり、爽やかな秋晴れでハイカーたちも多数いました。

山頂のベンチに座って休憩がてらお昼にしましたが、オニクワガタの話になった途端に気もそぞろ。
先月この付近でTさんが採ったとのこと。(同行していた家族も一緒だったよう)
実はその話はすでに聞いていて、オニクワ探しもしたかったのです。
さっそく皆でそのポイントへ行ってみることに。

それは太い立ち枯れで、ムキタケツキヨタケ(有毒)というキノコがたくさん生えていました。
それをせっせと採集していたTさんが、そのキノコを食べている虫を見つけた。

オニクワガタはいませんでしたが、その名の通りキバが立派な(こう見えても)甲虫。
ただ小さい。

体長10mm前後で色は地味めだけどフォルムはカッコイイ。
キノコをエサとするハネカクシは多く、キノコ農家にとっては害虫です。(ここは自然なので無問題)
斜面に点々とする他の立ち枯れもチェックしていきました。
御神木のような巨木もあり、洞の中もほじほじしてみましたが誰もおらず。

南側の斜面にも行ってみました。
しばらく歩き回っていると視界の隅、林床を低空飛行する物体にコンチューターが反応。
ロックオンし、着地点を見極めて捕獲。

トラップにも多数かかっていたとおり、この種は林の中にいることが多い。

他のメンバーとはぐれそうになったので、あわてて合流し、そろそろ引き返そうということに。
違うルートですが、またもや道もない斜面を散開して降りて行きました。
すると、倒木のそばに若い男性が立っているのを認めたTさんが声をかけながら近寄っていきました。
「虫屋さんですかー?」
同好の輩は雰囲気でわかるもので、合流すると、もう何やら虫談義がはじまっていました。
Tさんが質問攻めをしている間、周囲を眺めていると、すぐ傍の倒木にモデル立ちしている子を発見。

彼の目的もクワガタのようでしたが、もっとレアなやつ。
一人のようで、院生くらいかと推察しましたが、先のトラップの施工者ではないものと思われました。

その後も朽木や立ち枯れをチェックしながら歩きましたが、物件が多すぎて表面を見るだけでも大変。
虫たちにとっては昨夜の大雨の影響があるのでしょう、虫影がないのでまた花を観察。
これはシソ科だということは分かりましたが・・

セキヤノアキチョウジにも似ていますが花の形が違う。でもここに分布しているのか不明。
これはもうお手上げ。

助けてお花の先生。

しばらく彷徨っていると、またさっきの若者の姿が見えました。
頭上の梢にスマホを向けているので、何を撮っているのか気になったので近寄っていき。
「何かいるんですか?」
「セダカがいます」
「ちょっと見させてください」
「どうぞどうぞ、今、ちょうど葉を食べていますね」
撮影し終わって、これから採集しようとしたところのようでしたが、ちょっと割り込み。
これを見つけられる虫目力は3.0以上。

こんな光景はなかなか見られないと思い、他のみんなを呼びました。
子供が撮影するには高すぎると、網の上に落としてくれて、しばし撮影タイム。

どうやらこの虫もターゲットだったようですが、あまり邪魔しちゃいけないと、早々に退散しました。

そこからは迷子にならないように集団行動で斜面を探虫しながら降りて行きました。
特にこれといった虫は見つかりませんでしたが、また立ち枯れのムキタケにオオキバがいました。
普通なら間違いなく、”これといった”虫なんですけど。

今度はうまく接写できたのに、ゴーストが出てしまいました。
でもせっかくなのでボツにせずに掲載します。

車まで戻りそれぞれの収獲を報告しあい、帰り道の作戦会議。
まだ陽は高いのですが、家族は都内まで帰るためあまり寄り道はできないとのこと。
結局、なぜかGoogleMapには載っていない道の駅山北に寄り道した後、西丹沢ビジターセンターへ。

川原で少し遊んで帰りました。

この付近は白っぽい石が多くて、中には稀に天然の大理石もあるそうです。(目利きできませんが)

まだ合宿は続きます。
翌日、朝からTさんと今回の合宿の主目的である観察と作業を実施。
詳細は割愛しますが、結果は芳しくなく、もう一度秋期の仕込みと試行をすることになりました。
そのあと、午前中はまだ時間があるとのことで、接待採集に連れて行ってもらうことに。
1時間ほど車で走って辿り着いたのは、丹沢山系の某所。
あれが大山だと教えてもらいました。

そして突入する探虫フィールドはこんな場所です。

いわゆるガレ場。
しかも、かなり大きな岩も交じり、頑丈な道具かそれこそ工事用のツルハシでないと歯が立たない。
と、あっけなく出たのはお馴染みの親分。

なるほど、ゴミムシもいるのか・・いや、実は狙っているのもあるゴミムシなのです。
ラッセル車のようにゴリゴリと石や岩を掘り返すTさんは次々とナガゴミムシなどを掘り当てている。
羨ましいなと思いつつも、まだ本命は出ないよう。
どんな状態の場所がいいのか教わりながら、ツルハシを振り続けますが本命どころか何も出ない。
少し上の方へ移動したり横へ移動したりと、場所を変えてみるもののゴモクムシくらいしか出ない。
その内にヘトヘトになり、腕が上がらなくなってきたので一旦休憩としました。

水分補給とストレッチをして発掘再開。
こうなったらパワー勝負だと、気合を入れて高速ディグダグするも、出るのはイイズカミミズだけ。
ガス欠寸前でしたが、今度はちょっと下流の岩場に移動してみました。

すると一瞬、何か赤茶色いものが岩の間隙を走るのが見えました。
多分本命だと思ったのですが、あっという間に見えなくなり、消えたところを掘っても見つからず。
そうか、これは見つけたとしても捕獲するのが大変なのだと理解。
オサホリの要領でカニ歩きして石を崩していくと、また出たので今度は急いで捕獲。
しかし、収納ケースをポーチから取り出したりフタを開けることもできない。
もし落としたらまたそれっきりになる。
なので掌の中に確保しながら斜面を下り、平らで隠れ場所のないところまで走りました。
そして一旦地面に離して撮影したのが扉の写真です。(はじめて観察・採集しました)
立ち止まることはなく、ダッシュで逃げ惑うので被写体ボケしていますが一応生態写真です。
どうやら鉱脈を掘り当てたようで、間もなくもう一匹出ました。
あらためて紹介します。

これでタイトルの意味が分かったと思います。
岩場の地下に棲息する体長わずか5mmくらいのゴミムシ。
光のない間隙で暮らしているので目が退化しているため”メクラ”と付きます。
複数掘り当てたのを見て、こっちへ河岸を変えてきたTさんとアームタッチ。
さっきまで上がらなかった腕がまた上がるようになり、さらに掘り続けると。
幼虫ならいるかもしれませんよとTさんが言っていた虫も出ました。

幼虫なので白っぽくて体長も15mmくらい。
これは直翅目なので甲虫ではなくバッタの近縁ですが、仲間は国内に4種しかいないようです。
メクラチビゴミムシと同じく目はほとんど退化しているけれど、すばしっこさは負けない。
実はこれも一匹目は逃げられてしまっていたものの、二匹目はしっかり確保。

どうやら確変に入ったようで、さらにオマケにこんなのも出ました。
これもガレ場で生態写真を撮るのはリスクが高すぎるので、Tさんに持ってもらって証拠写真撮影。

虫屋では”プテロ”という通称の比較的大型のゴミムシで、何しろ姿形がいい。足が赤いのも特徴です。

3頭目のメクラチビゴミを掘り出したところでタイムアップ。

一旦、Tさん宅まで帰る途中、ちょっとだけ丹沢の展望ポイントに寄り道。

街まで降りてきてお昼を食べながらも興奮の余韻は収まらず、何を食べたか忘れたくらい。
さあ、とうとうこれで遠征は終了です。
前半戦のも含めて、成果物をきちんと収納ケースに入れ直し、帰り支度を整えベニシジミ号で出発。
チバへの帰路の途中、さすがに連日のフィールドワークのダメージが噴出してきました。
最初にきたのはお尻。
シートに座っていること自体が辛くて、信号で停止するたびにジョッキーみたいなモンキースタイルに。
家に着いてからもしばらく、レアもの3種採集というミラクルに、運を使い果たした感に浸っていました。
うちのダイコクコガネたちもまだ元気に暮らしています。
あまり日中は活動しないのですが、たまに地表に出てくることもあり、こんな様子を目撃しました。

ひょっとしたら相手の糞を直食いしているのかと思いましたが・・

何見てるんだよとにらまれました。
今日の湯加減
今回は後半戦というか、前半と後半は本当は目的が違ったのですが、それはさて置くことにして。
遠征中のフィールドワーク(探虫)部分を抜き出してレポートします。
これは貴重な成果の一つ。

虫屋さんはすでにタイトルで分かっていたと思いますが。
実はTさん宅で合宿だったのです。
9月23日の朝、Tさんと一仕事を終えたところへゲストの家族が到着し、車2台で出発。
向かうは三国山。
ただしハイキングが目的ではないので、登山口は目指さずに車で行けるところまで行くようでした。
(連れて行ってもらっているのでゴール地点は不明)
祝日ということもあり、一部渋滞もありましたが、11時前にこの日のスタート地点に到着。
特別な装備はありませんが、全員身支度を整えて出発・・と、もうTさんはずんずん林の中へ。
どこに向かって歩いているのか何も説明はないけれど、探虫と自然観察が目的なので問題なし。
ただ、疎林ではあるものの、獣道さえない斜面を登っていくので少々不安。
まずは林の中で観察した花たち。

トリカブト
何トリカブトかわからないので単にトリカブトとしておきます。
これも同じく種名は分かりません。

テンナンショウ
これはたぶん。

シロヨメナ
もっとも多く生えていたのは、丈が低く、三角形の葉っぱが特徴的な小さな花。(蕾か?)

ミヤマタニソバ
お花の先生、間違っていたら教えてください。

ふと林床にこんなものを見つけてしまいました。

前記事で紹介したピットフォールトラップです。屋根付きの。
ちょっと中を覗かせてもらうと、センチコガネやオサムシが入っていました。
歩いているとたくさん設置してあり、屋根に番号が書いてあるものもありましたが全部同じ数字。
目印の旗もないので、ちゃんと全て回収できるのか疑問に思いました。
(こういう雑な仕事をするのは学生だと思われる)
でもそのおかげ(?)でこんな虫に会えました。

ヨツボシモンシデムシ (シデムシ科)
はじめて見たという家族(のお子さん)に進呈しました。
これは進呈しませんでした。

コクロナガオサムシ (オサムシ科)
クロナガオサムシかもしれませんが、鞘翅の篆刻が弱かったし分布域でもあるので。

その他これといった虫は見つけられず、山頂付近に到着しました。

前夜の雷雨とは打って変わり、爽やかな秋晴れでハイカーたちも多数いました。

山頂のベンチに座って休憩がてらお昼にしましたが、オニクワガタの話になった途端に気もそぞろ。
先月この付近でTさんが採ったとのこと。(同行していた家族も一緒だったよう)
実はその話はすでに聞いていて、オニクワ探しもしたかったのです。
さっそく皆でそのポイントへ行ってみることに。

それは太い立ち枯れで、
それをせっせと採集していたTさんが、そのキノコを食べている虫を見つけた。

オオキバハネカクシ (ハネカクシ科)
オニクワガタはいませんでしたが、その名の通りキバが立派な(こう見えても)甲虫。
ただ小さい。

同上
体長10mm前後で色は地味めだけどフォルムはカッコイイ。
キノコをエサとするハネカクシは多く、キノコ農家にとっては害虫です。(ここは自然なので無問題)
斜面に点々とする他の立ち枯れもチェックしていきました。
御神木のような巨木もあり、洞の中もほじほじしてみましたが誰もおらず。

南側の斜面にも行ってみました。
しばらく歩き回っていると視界の隅、林床を低空飛行する物体にコンチューターが反応。
ロックオンし、着地点を見極めて捕獲。

センチコガネ (センチコガネ科)
トラップにも多数かかっていたとおり、この種は林の中にいることが多い。

他のメンバーとはぐれそうになったので、あわてて合流し、そろそろ引き返そうということに。
違うルートですが、またもや道もない斜面を散開して降りて行きました。
すると、倒木のそばに若い男性が立っているのを認めたTさんが声をかけながら近寄っていきました。
「虫屋さんですかー?」
同好の輩は雰囲気でわかるもので、合流すると、もう何やら虫談義がはじまっていました。
Tさんが質問攻めをしている間、周囲を眺めていると、すぐ傍の倒木にモデル立ちしている子を発見。

スジクワガタ ♀ (クワガタムシ科)
彼の目的もクワガタのようでしたが、もっとレアなやつ。
一人のようで、院生くらいかと推察しましたが、先のトラップの施工者ではないものと思われました。

その後も朽木や立ち枯れをチェックしながら歩きましたが、物件が多すぎて表面を見るだけでも大変。
虫たちにとっては昨夜の大雨の影響があるのでしょう、虫影がないのでまた花を観察。
これはシソ科だということは分かりましたが・・

サンインヒキオコシ ?
セキヤノアキチョウジにも似ていますが花の形が違う。でもここに分布しているのか不明。
これはもうお手上げ。

助けてお花の先生。

しばらく彷徨っていると、またさっきの若者の姿が見えました。
頭上の梢にスマホを向けているので、何を撮っているのか気になったので近寄っていき。
「何かいるんですか?」
「セダカがいます」
「ちょっと見させてください」
「どうぞどうぞ、今、ちょうど葉を食べていますね」
撮影し終わって、これから採集しようとしたところのようでしたが、ちょっと割り込み。
これを見つけられる虫目力は3.0以上。

セダカコブヤハズカミキリ (カミキリムシ科)
こんな光景はなかなか見られないと思い、他のみんなを呼びました。
子供が撮影するには高すぎると、網の上に落としてくれて、しばし撮影タイム。

同上
どうやらこの虫もターゲットだったようですが、あまり邪魔しちゃいけないと、早々に退散しました。

そこからは迷子にならないように集団行動で斜面を探虫しながら降りて行きました。
特にこれといった虫は見つかりませんでしたが、また立ち枯れのムキタケにオオキバがいました。
普通なら間違いなく、”これといった”虫なんですけど。

オオキバハネカクシ (ハネカクシ科)
今度はうまく接写できたのに、ゴーストが出てしまいました。
でもせっかくなのでボツにせずに掲載します。

同上
車まで戻りそれぞれの収獲を報告しあい、帰り道の作戦会議。
まだ陽は高いのですが、家族は都内まで帰るためあまり寄り道はできないとのこと。
結局、なぜかGoogleMapには載っていない道の駅山北に寄り道した後、西丹沢ビジターセンターへ。

川原で少し遊んで帰りました。

この付近は白っぽい石が多くて、中には稀に天然の大理石もあるそうです。(目利きできませんが)

まだ合宿は続きます。
翌日、朝からTさんと今回の合宿の主目的である観察と作業を実施。
詳細は割愛しますが、結果は芳しくなく、もう一度秋期の仕込みと試行をすることになりました。
そのあと、午前中はまだ時間があるとのことで、接待採集に連れて行ってもらうことに。
1時間ほど車で走って辿り着いたのは、丹沢山系の某所。
あれが大山だと教えてもらいました。

そして突入する探虫フィールドはこんな場所です。

いわゆるガレ場。
しかも、かなり大きな岩も交じり、頑丈な道具かそれこそ工事用のツルハシでないと歯が立たない。
と、あっけなく出たのはお馴染みの親分。

スジアオゴミムシ (オサムシ科)
なるほど、ゴミムシもいるのか・・いや、実は狙っているのもあるゴミムシなのです。
ラッセル車のようにゴリゴリと石や岩を掘り返すTさんは次々とナガゴミムシなどを掘り当てている。
羨ましいなと思いつつも、まだ本命は出ないよう。
どんな状態の場所がいいのか教わりながら、ツルハシを振り続けますが本命どころか何も出ない。
少し上の方へ移動したり横へ移動したりと、場所を変えてみるもののゴモクムシくらいしか出ない。
その内にヘトヘトになり、腕が上がらなくなってきたので一旦休憩としました。

水分補給とストレッチをして発掘再開。
こうなったらパワー勝負だと、気合を入れて高速ディグダグするも、出るのはイイズカミミズだけ。
ガス欠寸前でしたが、今度はちょっと下流の岩場に移動してみました。

すると一瞬、何か赤茶色いものが岩の間隙を走るのが見えました。
多分本命だと思ったのですが、あっという間に見えなくなり、消えたところを掘っても見つからず。
そうか、これは見つけたとしても捕獲するのが大変なのだと理解。
オサホリの要領でカニ歩きして石を崩していくと、また出たので今度は急いで捕獲。
しかし、収納ケースをポーチから取り出したりフタを開けることもできない。
もし落としたらまたそれっきりになる。
なので掌の中に確保しながら斜面を下り、平らで隠れ場所のないところまで走りました。
そして一旦地面に離して撮影したのが扉の写真です。(はじめて観察・採集しました)
立ち止まることはなく、ダッシュで逃げ惑うので被写体ボケしていますが一応生態写真です。
どうやら鉱脈を掘り当てたようで、間もなくもう一匹出ました。
あらためて紹介します。

メクラチビゴミムシ (オサムシ科)
これでタイトルの意味が分かったと思います。
岩場の地下に棲息する体長わずか5mmくらいのゴミムシ。
光のない間隙で暮らしているので目が退化しているため”メクラ”と付きます。
複数掘り当てたのを見て、こっちへ河岸を変えてきたTさんとアームタッチ。
さっきまで上がらなかった腕がまた上がるようになり、さらに掘り続けると。
幼虫ならいるかもしれませんよとTさんが言っていた虫も出ました。

ガロアムシ (ガロアムシ科)
幼虫なので白っぽくて体長も15mmくらい。
これは直翅目なので甲虫ではなくバッタの近縁ですが、仲間は国内に4種しかいないようです。
メクラチビゴミムシと同じく目はほとんど退化しているけれど、すばしっこさは負けない。
実はこれも一匹目は逃げられてしまっていたものの、二匹目はしっかり確保。

同上
どうやら確変に入ったようで、さらにオマケにこんなのも出ました。
これもガレ場で生態写真を撮るのはリスクが高すぎるので、Tさんに持ってもらって証拠写真撮影。

ジュンサイオオナガゴミムシ (オサムシ科)
虫屋では”プテロ”という通称の比較的大型のゴミムシで、何しろ姿形がいい。足が赤いのも特徴です。

3頭目のメクラチビゴミを掘り出したところでタイムアップ。

メクラチビゴミムシ (オサムシ科)
一旦、Tさん宅まで帰る途中、ちょっとだけ丹沢の展望ポイントに寄り道。

菜の花台展望台から二ノ塔方面
街まで降りてきてお昼を食べながらも興奮の余韻は収まらず、何を食べたか忘れたくらい。
さあ、とうとうこれで遠征は終了です。
前半戦のも含めて、成果物をきちんと収納ケースに入れ直し、帰り支度を整えベニシジミ号で出発。
チバへの帰路の途中、さすがに連日のフィールドワークのダメージが噴出してきました。
最初にきたのはお尻。
シートに座っていること自体が辛くて、信号で停止するたびにジョッキーみたいなモンキースタイルに。
家に着いてからもしばらく、レアもの3種採集というミラクルに、運を使い果たした感に浸っていました。
オマケ
うちのダイコクコガネたちもまだ元気に暮らしています。
あまり日中は活動しないのですが、たまに地表に出てくることもあり、こんな様子を目撃しました。

ダイコクコガネ ペア (コガネムシ科)
ひょっとしたら相手の糞を直食いしているのかと思いましたが・・

何見てるんだよとにらまれました。
今日の湯加減
お彼岸を過ぎた途端、まさに釣瓶落としを実感する日々で愕然としています。
毎年思ってしまうのですが、このままの速度で陽が短くなったら、昼間がなくなりはしないかと。
でも本編で紹介した、地中や岩の間隙で暮らす生き物たちは、光はもう必要としていない。
洞窟や深海に棲む生き物もそうでしょうけど、どうしてそんな環境を選んだのでしょう。
そういうニッチを敢えて積極的に選んだのか、それとも周囲の環境が徐々に変化したのか。
どちらにしても進化論の考察ということになり、理解するのはなかなか難しいですね。
ところで昨日、今日と二日連続で内房へ行ってきました。
やはり運を使い果たしているようで成果はさっぱり・・記事にするかどうか”不明”です。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
こんにちは^^
植物にもお詳しいのですね。
ミヤマタニソバとサンインヒキオコシ、知りませんでした^^
検索してみましたらやはり初見のようです。
ミヤマタニソバは葉が三角なのですね。
新しいものを知るのはとても楽しいです。
有難うございました♪
by いろは (2021-10-17 15:30)
セダカコブヤハズさんは成虫で越冬?オオキバハネカクシさん、よいお姿ですね。メクラ・チビ・ゴミ、禁止用語続きのお名前。その筋の活動家の目に留まったら大変かも。
冬至が過ぎるまであと二月とちょっと。来シーズンはゼフさんにならい、遠征の回数を増やしたい高和です。
by 高和です。 (2021-10-17 16:20)
楽しそうな散策ですね。
虫活はどうしても夏がメインのイメージですが
秋でもこんなにいっぱい出会えるとはビックリです。
by 響 (2021-10-18 21:59)
>いろはさん
虫をやっていると食草も知ることになります。
が山野草は詳しくなく、サンインヒキオコシは自信がありません^^;
>高和です。さん
単独だと問題ありかもしれませんが三連続だとセーフなのか?
なるほど、あと2か月経てば上昇モードになるわけですね♪
>響さん
初訪の地はわくわくしますね♪
秋がトップシーズンの虫も少なくないのです。
また地中にいたっては季節の影響はあまりなくなると思います。
by ぜふ (2021-10-18 22:15)
オオキバハネカクシ、しゅっとしたフォルムが
勇ましさを感じますね。配色もいいなあ。渋い!
by リュカ (2021-10-19 15:57)
キノコをエサにする虫なんていうのもいるんですね。
キノコの出る季節だけ、その虫も出てくるのだろうか。
川原の遊び、おもしろいですね。
これ、積んだのですか? すごいですね^^;。
by sakamono (2021-10-21 22:57)
>リュカさん
オオキバに惹かれるとはまさにしぶいですね!^^
実際カッコイイです♪ ぶんぶん飛ぶし。
>sakamonoさん
キノコムシという種類もいるくらいで意外に食べられているかと。
川原の石積みは三部作。真ん中の小さいのが一番大変でした^^
(小さい方がむずかしいのです)
by ぜふ (2021-10-21 23:09)