"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
クマソとの再会 [探虫行]
前記事に引き続き、クマソ(クロマダラソテツシジミ)をフィーチャーしてお送りします。
11月8日の朝。我が師匠を現地にお連れするべく、ベニシジミ号で南房総へ向かいました。
師匠は電車で来るのですが、一緒に乗っても、時節柄、並んでおしゃべりしながらという訳にいかず。
ならばと、こちらはバイクで先回りし、レンタカーを借りて駅へ師匠を迎えに行く手筈にしたのです。

タイトルバナーの写真はこっちと迷ったのですが、背景がスッキリしている方にしました。
ちなみにバナーの写真は地面に投げていたウインドブレーカーの上に日向ぼっこしに来た子です。
師匠と探虫するのは昨年の12月以来ですが、このご時世で、会うこと自体が数か月ぶりでした。
駅前のターミナルで師匠をピックアップして、車内で久闊を叙しながら現地に向かいます。
が、またアプローチの入口を行き過ぎた。
バイクと車では見える景色が違うのでと苦しいイイワケをしつつUターンして無事到着。
何も言わなくても師匠は採集をはじめたので、こちらもお土産ミッションを果たすために網を出す。
この日もたくさん発生していて、難なく採集を終え、撮影モードに切り替えました。
今回は、幼虫の写真も撮影しました。
ソテツをばりばり食害していますが、小さいこともあり、なんとなく憎めない。
(そもそもこの虫がここにいることに罪はない)

幼虫は齢を重ねて段々大きくなります。

これは終齢でしょうか。

この子はおそらく前蛹(サナギになる直前)ではないかと思います。(自信なし)

本当のサナギの写真も撮りたいと思い、ソテツの根元付近や地面に落ちた葉の下も少し探しました。
しかし残念ながら見つけられず、粘ることもしませんでした。
実はこの場所、ヒルがいるので長い時間地面に跪いていることはとてもリスキーなのです。

成虫にも少し変化があります。
このチョウは気温が下がると翅の模様が変わってくるという。
前記事の写真と比べると分かりやすいと思いますが、オレンジ色の斑紋が薄くなって地味になります。

本来の生息地でも気温が低くなると同様に変化するとのことなので温度が決まっているのではない。
ということは、卵または幼虫の時期とサナギの時期の気温の差を感知しているのかもしれません。
低温期型でもちゃんと繁殖はします。

この子はオレンジ色の紋がほとんどない。

冬季型になると、ほとんど白黒といっていいほどの地味な色合いになるようで。
この子はちょうど縁紋の所が欠損していますが、このように全体的にグレーになるのだそうです。

これから冬季型が現れるのか、それとも寒さに耐えかねて羽化できないか・・

さて、師匠も満足した様子だったので、ついでに紹介したかった別の場所へ移動することにしました。
それはシルビアシジミの里地。
行ってみると、農道や田んぼの畔や川の土手の草はツルツルに刈り取られていました。
それでもシジミチョウらしき姿はあちこちに見られましたが、どれもヤマトシジミばかり。
さすがに閉店なのでしょうけど、食草のミヤコグサやシロツメクサはたくさんありました。
また来シーズンに期待です。
圃場を二人で歩いていると、何故かまとわりついてくるハチがいました。

比較的おとなしい蜂ですが、ずっと止まっていられるのもイヤなので師匠に採ってもらいました。
(師匠の毒瓶へ直行)
ポカポカ陽気だったので、土手沿いをさらにしばらく散策するも収獲はありませんでした。
そろそろお昼にしましょうと車に戻って出発・・と、ダッシュボードの上に何かいる。
スマホのホルダーをトコトコと登っていたのは。

どこにでもいる虫ですが、意外と撮影がむずかしいので、お立ち台ポーズが撮れたのは幸運でした。

お昼を食べに向かった先は、言うまでもなくカモガワのまんぼう。
マスターに師匠を紹介すると「いつもお世話になっています」とどんな挨拶が適当なのか不明な感じ。
師匠も「こちらこそ」とさらにビミョウな空気になりましたが、ラーメンの味はハッキリしています。

入っている野菜の半分は自家栽培でもちろん無農薬。滋養のある野菜からでる出汁がしみます。
写真を撮り忘れましたが、サービスで出してくれたお新香もしびれる旨さでした。

午後は以前師匠とも一緒に行ったことのあるフィールドへ。
そこへ車で向かう途中、前方に不審者を発見。
師匠が助手席で「カメラ、カメラ」と叫んでいます。(自分でも撮ってください)

望遠にするヒマがなかったのでトリミング。

まだ子供の個体とはいえ、昼間から平気で道路を歩いているとは・・いっぱいいるのでしょうね。
オオキンカメがいるかもしれないと、まずは廃道の方へ行ってみましたが、それどころか何もいない。
でも廃道の入口の近くに見たことないこんな怪しい標識が立っていてびっくり。

なぜか写真がぶれているのもびっくり。(プチ怪奇現象?)
どんなものが作られているのか、見たいのは山々だったものの時間がないので断念。また今度。
実は、暖かいのでひょっとしたらルーミスシジミが出てくれるかなと、うっすら期待していましたが。
陽射しがうっすらとも出てくれず。
来る途中すでに、このフィールドの上空だけ黒い雲が広がっているのは分かっていました。
なので、いつものポイントの沢も日暮れ時のように暗くてどんより。

ルーミスどころか虫の姿がまったくなく、コンチューターの針はピクリともしない。
奥のポイントの様子だけ見て帰ろうということになり、一旦立ち止まって地面にリュックを置いた時。
「うわっ」と師匠が叫びました。
何か見つけたのかと駆け寄ると・・どこから付いてきたのか。

トビズムカデでしょうか、20センチくらいある大物。あぶないところでした。
何故か二人とも危険な子につき纏わられるようでしたが、やれやれと奥の沢を目指します。
目的地点のすぐ手前の崖にぽつんと一輪だけ見事に咲く花を師匠が見つけました。

自信がありませんのでお花の先生方よろしくお願いします。

前日が雨だったこともあり、沢は増水していて、やはり虫影はありませんでした。

帰り道、あちこちでカラムシの葉が穴だらけになっていたので、確認してみると・・いました。

そして最後の最後に、師匠がこの季節らしい虫を見つけてくれました。

地方によっては”雪虫”とも呼ばれ、この虫の出現は雪が降り始める合図。つまり冬告げ虫なのです。

山を後にしていく車内で、帰りの特急電車の時間を調べる師匠。
「便利な電車があるんだけどあと15分くらいしかないなぁ」
「それはかなりキビシイですね」
「ビールを買う時間もほしいし、その次の電車でいいですよ」
「ん?この車の時計あってます?」
「あれ?あってないね。5分以上進んでる」
「師匠、間に合いますよ。ちょっと飛ばします」
駅まで順調にたどり着いたので、ビールを買う時間もあるくらい発車時刻まで余裕があったのではと。
メインの目的は達成できたし、何より久しぶりに師匠とフィールドワークできて満足の一日でした。
クマソのポイントにいたアマガエル。

むぎと比べるのも変ですが、こうやって見ると普通の成体はずいぶん貫禄があるものです。
ところで、家に帰ってズボンをはきかえようとしたら、右足の脛が血だらけでした。
シューズに忌避剤をスプレーしていたのですが、やっぱり長くしゃがんでいたからでしょう。
別に痛くはないのだけれど、後で痒くなるのがイヤなんだよなぁ。
今日の湯加減
11月8日の朝。我が師匠を現地にお連れするべく、ベニシジミ号で南房総へ向かいました。
師匠は電車で来るのですが、一緒に乗っても、時節柄、並んでおしゃべりしながらという訳にいかず。
ならばと、こちらはバイクで先回りし、レンタカーを借りて駅へ師匠を迎えに行く手筈にしたのです。

クロマダラソテツシジミ ♀ (シジミチョウ科)
タイトルバナーの写真はこっちと迷ったのですが、背景がスッキリしている方にしました。
ちなみにバナーの写真は地面に投げていたウインドブレーカーの上に日向ぼっこしに来た子です。
師匠と探虫するのは昨年の12月以来ですが、このご時世で、会うこと自体が数か月ぶりでした。
駅前のターミナルで師匠をピックアップして、車内で久闊を叙しながら現地に向かいます。
が、またアプローチの入口を行き過ぎた。
バイクと車では見える景色が違うのでと苦しいイイワケをしつつUターンして無事到着。
何も言わなくても師匠は採集をはじめたので、こちらもお土産ミッションを果たすために網を出す。
この日もたくさん発生していて、難なく採集を終え、撮影モードに切り替えました。

今回は、幼虫の写真も撮影しました。
ソテツをばりばり食害していますが、小さいこともあり、なんとなく憎めない。
(そもそもこの虫がここにいることに罪はない)

クロマダラソテツシジミ 幼虫 (シジミチョウ科)
幼虫は齢を重ねて段々大きくなります。

同上
これは終齢でしょうか。

同上
この子はおそらく前蛹(サナギになる直前)ではないかと思います。(自信なし)

同上
本当のサナギの写真も撮りたいと思い、ソテツの根元付近や地面に落ちた葉の下も少し探しました。
しかし残念ながら見つけられず、粘ることもしませんでした。
実はこの場所、ヒルがいるので長い時間地面に跪いていることはとてもリスキーなのです。

成虫にも少し変化があります。
このチョウは気温が下がると翅の模様が変わってくるという。
前記事の写真と比べると分かりやすいと思いますが、オレンジ色の斑紋が薄くなって地味になります。

クロマダラソテツシジミ 低温期型 (シジミチョウ科)
本来の生息地でも気温が低くなると同様に変化するとのことなので温度が決まっているのではない。
ということは、卵または幼虫の時期とサナギの時期の気温の差を感知しているのかもしれません。
低温期型でもちゃんと繁殖はします。

同上 ペア
この子はオレンジ色の紋がほとんどない。

同上
冬季型になると、ほとんど白黒といっていいほどの地味な色合いになるようで。
この子はちょうど縁紋の所が欠損していますが、このように全体的にグレーになるのだそうです。

同上
これから冬季型が現れるのか、それとも寒さに耐えかねて羽化できないか・・

さて、師匠も満足した様子だったので、ついでに紹介したかった別の場所へ移動することにしました。
それはシルビアシジミの里地。
行ってみると、農道や田んぼの畔や川の土手の草はツルツルに刈り取られていました。
それでもシジミチョウらしき姿はあちこちに見られましたが、どれもヤマトシジミばかり。
さすがに閉店なのでしょうけど、食草のミヤコグサやシロツメクサはたくさんありました。
また来シーズンに期待です。
圃場を二人で歩いていると、何故かまとわりついてくるハチがいました。

セグロアシナガバチ (スズメバチ科)
比較的おとなしい蜂ですが、ずっと止まっていられるのもイヤなので師匠に採ってもらいました。
(師匠の毒瓶へ直行)
ポカポカ陽気だったので、土手沿いをさらにしばらく散策するも収獲はありませんでした。
そろそろお昼にしましょうと車に戻って出発・・と、ダッシュボードの上に何かいる。
スマホのホルダーをトコトコと登っていたのは。

オジロアシナガゾウムシ (ゾウムシ科)
どこにでもいる虫ですが、意外と撮影がむずかしいので、お立ち台ポーズが撮れたのは幸運でした。

お昼を食べに向かった先は、言うまでもなくカモガワのまんぼう。
マスターに師匠を紹介すると「いつもお世話になっています」とどんな挨拶が適当なのか不明な感じ。
師匠も「こちらこそ」とさらにビミョウな空気になりましたが、ラーメンの味はハッキリしています。

広東麺風 野菜あんかけラーメン
入っている野菜の半分は自家栽培でもちろん無農薬。滋養のある野菜からでる出汁がしみます。
写真を撮り忘れましたが、サービスで出してくれたお新香もしびれる旨さでした。

午後は以前師匠とも一緒に行ったことのあるフィールドへ。
そこへ車で向かう途中、前方に不審者を発見。
師匠が助手席で「カメラ、カメラ」と叫んでいます。(自分でも撮ってください)

望遠にするヒマがなかったのでトリミング。

イノシシ
まだ子供の個体とはいえ、昼間から平気で道路を歩いているとは・・いっぱいいるのでしょうね。
オオキンカメがいるかもしれないと、まずは廃道の方へ行ってみましたが、それどころか何もいない。
でも廃道の入口の近くに見たことないこんな怪しい標識が立っていてびっくり。

なぜか写真がぶれているのもびっくり。(プチ怪奇現象?)
どんなものが作られているのか、見たいのは山々だったものの時間がないので断念。また今度。
実は、暖かいのでひょっとしたらルーミスシジミが出てくれるかなと、うっすら期待していましたが。
陽射しがうっすらとも出てくれず。
来る途中すでに、このフィールドの上空だけ黒い雲が広がっているのは分かっていました。
なので、いつものポイントの沢も日暮れ時のように暗くてどんより。

ルーミスどころか虫の姿がまったくなく、コンチューターの針はピクリともしない。
奥のポイントの様子だけ見て帰ろうということになり、一旦立ち止まって地面にリュックを置いた時。
「うわっ」と師匠が叫びました。
何か見つけたのかと駆け寄ると・・どこから付いてきたのか。

トビズムカデでしょうか、20センチくらいある大物。あぶないところでした。
何故か二人とも危険な子につき纏わられるようでしたが、やれやれと奥の沢を目指します。
目的地点のすぐ手前の崖にぽつんと一輪だけ見事に咲く花を師匠が見つけました。

サラシナショウマ
自信がありませんのでお花の先生方よろしくお願いします。

前日が雨だったこともあり、沢は増水していて、やはり虫影はありませんでした。

帰り道、あちこちでカラムシの葉が穴だらけになっていたので、確認してみると・・いました。

クロキシタアツバ 幼虫
そして最後の最後に、師匠がこの季節らしい虫を見つけてくれました。

ヒイラギハマキワタムシ (アブラムシ科)
地方によっては”雪虫”とも呼ばれ、この虫の出現は雪が降り始める合図。つまり冬告げ虫なのです。

山を後にしていく車内で、帰りの特急電車の時間を調べる師匠。
「便利な電車があるんだけどあと15分くらいしかないなぁ」
「それはかなりキビシイですね」
「ビールを買う時間もほしいし、その次の電車でいいですよ」
「ん?この車の時計あってます?」
「あれ?あってないね。5分以上進んでる」
「師匠、間に合いますよ。ちょっと飛ばします」
駅まで順調にたどり着いたので、ビールを買う時間もあるくらい発車時刻まで余裕があったのではと。
メインの目的は達成できたし、何より久しぶりに師匠とフィールドワークできて満足の一日でした。
オマケ
クマソのポイントにいたアマガエル。

ニホンアマガエル
むぎと比べるのも変ですが、こうやって見ると普通の成体はずいぶん貫禄があるものです。
ところで、家に帰ってズボンをはきかえようとしたら、右足の脛が血だらけでした。
シューズに忌避剤をスプレーしていたのですが、やっぱり長くしゃがんでいたからでしょう。
別に痛くはないのだけれど、後で痒くなるのがイヤなんだよなぁ。
今日の湯加減
本編の記述とは裏腹に、今週は全国的に暖かかった・・いや、暑かったですね。
観察したクマソの幼虫は冬季型にならず、いや低温期型にすらなっていないかもしれません。
また行ってみようかな・・
今日もチバは20度くらいあり、お出かけ日和。また用事があって東総方面へ行ってきました。
再会というか再訪というか、ちょっと不思議な偶然もあったので、また記事にしようと思います。
むぎに関係があります。(ヒントにもなっていませんが)
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
トップバナーの子、綺麗~♪
それにしてもまだ吸血鬼がいるのですか(><)
オオムカデも…
やたらクモが多いけどやはり寒い地域のほうがよいかも^^;
by よしころん (2020-11-21 20:59)
ゼフさん、お裾分けをありがとうございました。冷凍庫に眠ってます。
ニホンアマガエル、皆さんが挙って「むぎ」を愛でる理由が分かりました。大人はあんな顔なんですね。「むぎ」も成人するとああなるのでしょうか。
by 高和です。 (2020-11-22 05:30)
>よしころんさん
南房は暖かいですからね・・^^;
クモが多いということは、ムシも多いということで・・いいですね♪
>高和です。さん
冷凍標本になりませんように・・(自戒をこめて^^;)
むぎも元気に大きくなってほしいですけど、貫禄はでませんように・・
by ぜふ (2020-11-25 22:12)
ソテツばかり食べる虫は知りませんでした。
ソテツ見るとき探してみます。
しかしヒルも怖いけどムカデも怖い。
気付いてよかったです。
by 響 (2020-11-26 13:56)
茎にぶら下がって、顔を出して、やぁ、と言っているような
かわいい幼虫です。このくらい小さいとかわいいんだけどなぁ。
雪虫って小さくて、どんな形か知りませんでしたが、
こんな形だったんですね。ちゃんと虫の形をしている^^;。
by sakamono (2020-11-26 23:59)
あら、アマガエルさん可愛い!
ひたっとした質感も萌えどころでやすね!
by ぼんぼちぼちぼち (2020-11-27 20:06)
>響さん
そちらの方にも移入されている可能性ありますね。
というより、こちらよりも確率高し^^
ムカデはさすがにビビりました。
>sakamonoさん
幼虫は1センチくらい、成虫も1.5センチくらいですからね。
雪虫は過去に紹介したことがあると思いますがアブラムシの仲間です^^
>ぼんぼちぼちぼちさん
その質感が好き嫌いの分かれるところですね^^
by ぜふ (2020-11-27 22:01)