"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
こんぶくろ池 [観察会]
6月23日、カシワへプチ遠征をしてきました。
地元在住のファーブル会スタッフのTさんから、カシワのとある里地と雑木林を保全しているNPOにて徘徊性昆虫の定期生態調査をするという情報を教えていただいたので見学をしに。
朝のチバは薄曇りでしたが、天気予報では午後から雨ということだったので電車でGO。
駅までTさんが迎えに来てくれました。
でも現地までは車でほんの7~8分ほどでしたので歩いても30分かからないのではと思います。
虫屋ならこのシルエットで分かると思います。
ヒントはホタルの季節に出現する子。
前日にトラップを10か所に10個ずつ、計100個しかけたそうです。
NPOのスタッフの方やチバコン(千葉県昆虫談話会)の方に挨拶をし、ラジオ体操して準備完了。
なんと後で東大の久保田先生が来られるということで、それまでにトラップを手分けして回収に。
動物よけのため、トラップの周りに一味唐辛子の結界を張っています。
まちがって七味を撒くとかえって動物を誘引してしまうと後で久保田先生から説明がありました。
また、カプサイシンが揮発しないと忌避剤にならないので、唐辛子は粉末でなくてはなりません。
担当したのは2エリアだけでしたが、湿地性のゴミムシやアオオサムシがいくつか入っていました。
回収しながら周囲の探虫もしました。
これは特定外来生物に指定された子。かなり大きい個体。
この子は複数観察できましたが初見。
暗い林の中でしたが群れ飛んでいました。
さて、回収し終えて管理棟まで戻ると、久保田先生が到着していました。
助手の学生さんもちょうど到着したので、さっそく捕獲した虫のチェックの開始です。
全種は紹介しませんが、主なオサムシ類を。
ここで先生のミニ講義。
アオオサムシはこのブログでも再三紹介している房総亜種、通称”アカオサムシ”がいますが、先生に言わせると、房総や三浦半島に分布するアオオサムシは、中部と東北の移行帯ではないかとのことでした。
三浦のはあんなに緑色が鮮やかなのに・・
房総半島と三浦半島がつながっていた時代以前に移行していたということなのでしょう。
北総は赤褐色と緑褐色とその中間がいますが、この日はその3種とも見られました。
これは後者のタイプ。
これも北総ではお馴染みの。
これは個人的にはお馴染みではありませんが、このエリアではどうなのでしょう。(聞きそびれた)
とにかく渋い光沢を持っている、美しいゴミムシです。
他にはアオゴミムシ、アトボシアオゴミムシ、コガシラアオゴミムシ、アシミゾナガゴミムシなどの湿地性のゴミムシたちが入っていました。
詳しい同定は研究室に持ち帰って実体顕微鏡で調べていただけるようです。
東大は柏キャンパスもあるのですが、先生は農学部(森林動物学)なので弥生キャンパスにおいで。
これから研究室へ行かなくてはならないとのことで早々に出立されました。
こちらはTさんとあらためて園内の探索に出発。
まずはここのメインスポットである「こんぶくろ池」に向かって進みます。
途中、他に小さな池がいくつかあり、ここは主に湿地であることがわかりました。
その水辺にムラサキシキブの葉の上に。
背中にしょっているのは自分の糞や脱皮ガラです。
こちらが成虫。
幼虫も成虫も複数観察できました。
この子は湿地性ということでもなく、公園や住宅地にもいます。1センチもないちびっ子ですが。
着きました。
斧を投げ入れたくなる池でした。鉄の。
さらに森の中へ進むと、行く手に白い物体がひらひらと。
透けた翅と名前のとおり並んだ星状の斑点が美しい蛾。幼虫の食樹はイボタやネズミモチ。
樹液が出ている木があるというので案内してもらいました。
すると仕込んでいたかのように。
スズメバチなど、他にも昆虫酒場の常連さんたちがいましたが、この子は動き方がおもしろい。
ヨツボシオオキスイだと思って撮っていましたが、写真で見るとレアなタイプのようでした。
動画じゃないと分かりませんが、とってもロボティックな歩き方なのです。
雨が降ったり止んだりしていましたが、鬱蒼とした森のため、濡れることもなく散策できます。
が、もうお昼も過ぎたのでそろそろ管理棟へ戻りましょう。
その途中、表示板のウラにいたのが扉の写真の答えです。(同一個体ではないので確証はありません)
翅の白い帯が特徴で、暗いところで飛んでいると、残像効果で白い輪が浮いているように見えます。
管理棟に着く直前、往きのときには見つけられなかった虫が。
過去にも何度か紹介していますが、小さいながらも美しい甲虫です。
それにしても4ミリ前後しかないので撮影は大変。撮っているうちに飛ばれたりコロリと落ちたり。
それともう一種。
もしかしたらスキバジンガサハムシかもしれません。(どちらもヒルガオ類につきます)
池がいくつかあったのにトンボが見当たらなかったのは、やはり森が暗いからでしょう。
と一人分析していたら、駐車場の地面にぽつりと。
オオシオカラトンボのオスもいましたが撮らせてくれませんでした。
午後、飛び地のようになっている、もうひとつのエリアの探索もしたのですが、それはまた次回。
NPOの方と3人でお昼に行ったので、食レポ期待の読者向けに。
台湾料理の店ということで、台湾ラーメンと台湾風冷やっこ。
ラーメンは粉末でない唐辛子が効いていて450円、冷やっこは辛味ゴマみそが効いていて280円。
出し忘れられたようで飲めませんでしたが、さらにサービスでコーヒーが付くのだそうです。
今日の湯加減
地元在住のファーブル会スタッフのTさんから、カシワのとある里地と雑木林を保全しているNPOにて徘徊性昆虫の定期生態調査をするという情報を教えていただいたので見学をしに。
朝のチバは薄曇りでしたが、天気予報では午後から雨ということだったので電車でGO。
駅までTさんが迎えに来てくれました。
でも現地までは車でほんの7~8分ほどでしたので歩いても30分かからないのではと思います。
虫屋ならこのシルエットで分かると思います。
ヒントはホタルの季節に出現する子。
前日にトラップを10か所に10個ずつ、計100個しかけたそうです。
NPOのスタッフの方やチバコン(千葉県昆虫談話会)の方に挨拶をし、ラジオ体操して準備完了。
なんと後で東大の久保田先生が来られるということで、それまでにトラップを手分けして回収に。
動物よけのため、トラップの周りに一味唐辛子の結界を張っています。
まちがって七味を撒くとかえって動物を誘引してしまうと後で久保田先生から説明がありました。
また、カプサイシンが揮発しないと忌避剤にならないので、唐辛子は粉末でなくてはなりません。
担当したのは2エリアだけでしたが、湿地性のゴミムシやアオオサムシがいくつか入っていました。
回収しながら周囲の探虫もしました。
これは特定外来生物に指定された子。かなり大きい個体。
アカボシゴマダラの幼虫
この子は複数観察できましたが初見。
アワフキムシの仲間
暗い林の中でしたが群れ飛んでいました。
クロウリハムシ (ハムシ科)
さて、回収し終えて管理棟まで戻ると、久保田先生が到着していました。
助手の学生さんもちょうど到着したので、さっそく捕獲した虫のチェックの開始です。
全種は紹介しませんが、主なオサムシ類を。
アオオサムシ (オサムシ科)
ここで先生のミニ講義。
アオオサムシはこのブログでも再三紹介している房総亜種、通称”アカオサムシ”がいますが、先生に言わせると、房総や三浦半島に分布するアオオサムシは、中部と東北の移行帯ではないかとのことでした。
三浦のはあんなに緑色が鮮やかなのに・・
房総半島と三浦半島がつながっていた時代以前に移行していたということなのでしょう。
北総は赤褐色と緑褐色とその中間がいますが、この日はその3種とも見られました。
これは後者のタイプ。
同上
これも北総ではお馴染みの。
スジアオゴミムシ (オサムシ科)
これは個人的にはお馴染みではありませんが、このエリアではどうなのでしょう。(聞きそびれた)
アカガネオオゴミムシ (オサムシ科)
とにかく渋い光沢を持っている、美しいゴミムシです。
他にはアオゴミムシ、アトボシアオゴミムシ、コガシラアオゴミムシ、アシミゾナガゴミムシなどの湿地性のゴミムシたちが入っていました。
詳しい同定は研究室に持ち帰って実体顕微鏡で調べていただけるようです。
東大は柏キャンパスもあるのですが、先生は農学部(森林動物学)なので弥生キャンパスにおいで。
これから研究室へ行かなくてはならないとのことで早々に出立されました。
こちらはTさんとあらためて園内の探索に出発。
まずはここのメインスポットである「こんぶくろ池」に向かって進みます。
途中、他に小さな池がいくつかあり、ここは主に湿地であることがわかりました。
その水辺にムラサキシキブの葉の上に。
イチモンジカメノコハムシの幼虫 (ハムシ科)
背中にしょっているのは自分の糞や脱皮ガラです。
こちらが成虫。
イチモンジカメノコハムシ (ハムシ科)
幼虫も成虫も複数観察できました。
同上
この子は湿地性ということでもなく、公園や住宅地にもいます。1センチもないちびっ子ですが。
トウキョウヒメハンミョウ (オサムシ科)
着きました。
斧を投げ入れたくなる池でした。鉄の。
さらに森の中へ進むと、行く手に白い物体がひらひらと。
ホシシャク (シャクガ科)
透けた翅と名前のとおり並んだ星状の斑点が美しい蛾。幼虫の食樹はイボタやネズミモチ。
樹液が出ている木があるというので案内してもらいました。
すると仕込んでいたかのように。
カブトムシ ペア (カブトムシ科)
スズメバチなど、他にも昆虫酒場の常連さんたちがいましたが、この子は動き方がおもしろい。
ヨツボシオオキスイだと思って撮っていましたが、写真で見るとレアなタイプのようでした。
ムナビロオオキスイ (オオキスイムシ科)
動画じゃないと分かりませんが、とってもロボティックな歩き方なのです。
雨が降ったり止んだりしていましたが、鬱蒼とした森のため、濡れることもなく散策できます。
が、もうお昼も過ぎたのでそろそろ管理棟へ戻りましょう。
その途中、表示板のウラにいたのが扉の写真の答えです。(同一個体ではないので確証はありません)
シロシタホタルガ (マダラガ科)
翅の白い帯が特徴で、暗いところで飛んでいると、残像効果で白い輪が浮いているように見えます。
管理棟に着く直前、往きのときには見つけられなかった虫が。
カシルリオトシブミ (オトシブミ科)
過去にも何度か紹介していますが、小さいながらも美しい甲虫です。
それにしても4ミリ前後しかないので撮影は大変。撮っているうちに飛ばれたりコロリと落ちたり。
それともう一種。
ジンガサハムシ (ハムシ科)
もしかしたらスキバジンガサハムシかもしれません。(どちらもヒルガオ類につきます)
池がいくつかあったのにトンボが見当たらなかったのは、やはり森が暗いからでしょう。
と一人分析していたら、駐車場の地面にぽつりと。
アキアカネ (トンボ科)
オオシオカラトンボのオスもいましたが撮らせてくれませんでした。
午後、飛び地のようになっている、もうひとつのエリアの探索もしたのですが、それはまた次回。
オマケ
NPOの方と3人でお昼に行ったので、食レポ期待の読者向けに。
台湾料理の店ということで、台湾ラーメンと台湾風冷やっこ。
ラーメンは粉末でない唐辛子が効いていて450円、冷やっこは辛味ゴマみそが効いていて280円。
出し忘れられたようで飲めませんでしたが、さらにサービスでコーヒーが付くのだそうです。
今日の湯加減
久保田先生は4月末に休みをとってからまだ一日も休みがないと言ってました。
ということはゴールデンウィークも仕事をしていたということかと。
昆虫採集もお好きなようでしたが、そんな時間はまったくないようです。
そんな忙しい方ですがいわゆる学者ではなく、昆虫愛あふれる虫屋でもあると見受けられました。
アオオサムシを毒ビンに入れるときに「さよなら~」と呟いたのを聞き逃しませんでしたから。
さて、ドタバタのクライマックスの引越も無事終わり、こうしてブログが書けるようになりました。
ただ、回線工事はまだで電話は不通、ネットは無料貸し出しのポケットWiFiでつなげています。
一か月以上前にSBに連絡したのに、NTTとスッタモンダしているようで困ったものです。
ということで、まだまだ平常は取り戻せていないのですが、このところ引越も含め、公私共に色々な事がガラガラバタバタと動き出しました。
うれしいことも含めてですが、稀に見る激動の中に今います。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
こんばんば^^
ダビドサナエ♀ありがとうございました。
しかしこの名前…とても覚えられそうになくて^^;
検索してもどれもこれも同じにしか見えなくて困り果てていました。
困ったときのぜふさん頼みで申し訳ありません m(_ _)m
いつかまとめてお礼いたします(笑)
色々なことがガラガタバタバタお忙しそうですね。
ホッとされたときに体調崩されないよう気を付けてくださいませ♪
あ、ちばけんみんには変わりないのかしら…
by よしころん (2018-06-24 22:31)
>よしころんさん
そうでしたか!同定できてよかった♪
(ダビドは人名、デイビッドのフランス読みかな?)
チバ民のままです。しかも干潟に近くなりました^^
by ぜふ (2018-06-25 00:55)
こんぶくろ池、何か謂われがありそうな池ですね。
暫くアップされていないと思っていたら引っ越しでしたか!
自分も引っ越しの際予約していた回線が住所が確定できないとかで
丸々1ヶ月以上遅れました。
by g_g (2018-06-25 08:27)
ダビドサナエ♀の同定ポイント追加画像で掲載いたしました。
お時間あるときにでもよろしければご覧になってくださいませ^^
http://yoshikoronron2.blog.so-net.ne.jp/2018-06-18
by よしころん (2018-06-25 10:44)
>g_gさん
”小さい袋”という意味だそうです。
民営化されて30年以上経つというのに未だにお役所仕事です。
>よしころんさん
拝見しました。チラリと見えていますね^^
トンボに限らず写真だけでの昆虫の同定はむずかしいですね。
by ぜふ (2018-06-25 22:59)
房総半島と三浦半島がつながっていた時代、なんて聞くと、
ものすごい歴史を感じます^^;。
「アカボシゴマダラの幼虫」がよく分からず、目を細めて
写真を見ていたら、気がついてびっくりしました^^;。
by sakamono (2018-06-27 22:11)
こんばんは。
一味唐辛子の結界、勉強になりました。
来月、トラップを仕掛けるので七味でなく一味で試してみます!
ホタルガは、白線が横一文字なのでシロシタホタルガですね。
食樹はサワフタギです。と書くのに樹名が出てこずかなり時間を費やしました。最近こういったことが多く年を感じます。ヤバイかもです!
by hirokou (2018-06-27 22:32)
>sakamonoさん
アカボシゴマダラは大きすぎて、ですかね^^
房総半島は三浦半島とは離れてまた関東とくっついたのですね。
>hirokouさん
七味はゴマとかノリとかが入っているので逆に誘引するとのことです。
ご指摘感謝です!思い込みをしてました、反省。
シロシタホタルガだとサワフタギだよねーと話していたのに^^;
大好きな幼虫なのに・・記事訂正しておきます。
by ぜふ (2018-06-27 23:13)
こんなに多種が見れるって環境いいですね。
ホタルガは解りましたよ(笑)
by 響 (2018-06-28 18:52)
>響さん
派手な見どころはありませんが、地味な見どころが満載でした。
一日遊べます^^
by ぜふ (2018-07-01 00:22)