"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
房総のトンボ池 [トンボ]
もうかれこれ1か月前の7月23日のこと。(この夏は時系列ムシでお届けしています)
夏休みに突入したので、今年もハンミョウの生態展示をしようということになり、採集に行ったのでした。
でもこの記事は採集レポートではありません。
この日見つけた池が主題・・・でもないかも。
これは前記事のベニトンボではありません。
ここ数年、毎年一度は訪れている南房総のN山。
観光スポットでもあるので、チバ県民ならたぶん誰でも知っている山ですが目的は観光ではない。
目指すは裏高尾ならぬ、裏N山。
一応舗装されている道ですが、工事車両くらいしか通らない裏道で中腹のダム湖を目指します。
ダム湖は木々と柵で遮られていてほとんど見えないため写真は撮れません。(撮っても絵にならない)
アプローチもないので様子は未だに分からず。 いつも最初の目標地点として通り過ぎるばかり。
通過してしばらくすると沢沿いの道になります。
この道沿いで、過去何度かギンヤンマを観察したのですが、こんな沢にいるとは思えません。
背後のダム湖から飛んでくるのかなぁと思い込んでいました。
そう、今回その発生場所が分かったのです。
さらに道を上り、未舗装路(というか岩がゴロゴロの道)を進むと、右手に工事現場らしきところへのアプローチが。
柵があるわけではなく、立ち入り禁止標識などもないし、工事車両もまったく見当たらない。
ちょっと寄り道してみようかなと、赤土の坂を上るとそこに現れたのは・・
人工池でした。
しかもそこは工事現場ではなく、砕石場か砕土場か何かのようでした。
なぜ池を作ったのかは想像できませんが、トンボの楽園になっていました。
ショウジョウトンボ、ギンヤンマ、コシアキトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ・・そして・・
テリトリーを張っているウチワヤンマだと思って撮影していましたが、帰ってから拡大してみたら違いました。
手元の図鑑によると20年くらい前は近畿地方までしか分布していなかったようですが、この種も東進北上しているのでしょう。
分かりづらいですが、この写真にも映っているとおり、水面下の植物は水草ではなさそうです。
新しい人工池であるのに、虫たちはすぐに集まり、棲みつくのですね。
水面を真下に見下ろせる絶好の撮影ポイントがあったので、そこにしゃがんでしばらく粘っていると・・
ギンの撮影もできました。 (見下ろせるポジションなので置きピンにできる)
NDフィルターを付けた一眼レフならもっとよく撮れたかもしれないと思いつつ、あくまでここは寄り道なので立ち去ることにしました。
来シーズンにでもじっくりトンボ撮影に来たいと思いますが、それまでこの池があるかどうか・・
さあ、ハンミョウのポイントへ急ごうと細い山道に入った途端。
一瞬、裏高尾を訪れたのかと思ってしまった光景が。
カラスアゲハが地面で吸水しているのでした。
この山ではじめて観察しました。 いいぞ、裏N山。
うれしくなってまたエンジン停止。
よっぽどこの辺りが気に入っているようで、ぐるぐると飛び続けているのでしばらく観察しました。
すると、足元にも寄ってきたので。
こうなったら、ベニシジミ(春型)号とツーショットは撮れないかと・・
ギリギリでフレームイン。
さあほんとに急がないと。
・・・しかし、ポイントに着いて探すも発見できず・・・
ガタゴト道をぐるりと辿りましたが・・・
裏N山ではまだハンミョウは発生していないのでした。 読みが甘かった。
ボウズはなんとか回避したいと思い、さらに南下してカモガワまで足を延ばしました。
そしてやっと見つけました。
採れたのはたったの2匹でした。
ところでこの写真にはハンミョウの他にも虫が写っているのですが、わかりますか?
わずか2ミリ程度のハエが背中に乗っているのです。
複数ですから、これ寄生しようとしているのではないと思われます。
しかもこのハンミョウは飛んできて着地したのです。(だからハエたちは鞘翅ではなく前胸の上に乗っている)
おそらくハンミョウの体表の何かを舐めているか、ハンミョウが何かを捕食したときのオコボレ狙いではないかと。
いずれにしても、コバンザメのような生態をしているハエだろうと思います。
撮影したときに気が付いていたら、そのまましばらく観察を続けたのに・・残念ですが次の機会があったらきっと。
その沢では別のチョウの吸水シーンが観察できました。
コンデジしか持っていないのであまりズームできない。 散らかさないように息を殺してにじり寄ります。
別のシジミチョウが出てきてくれることも期待しましたが、それは叶いませんでした。
2匹では寂しすぎるのでさらに次のポイントへ行き、もう2匹採集することができました。
そのポイントも後にして走っていると、路上にハンミョウの影が見えたような気がして緊急停止。
近付いてよくみると・・
セイボウでもチュウレンジでもない。体長は20ミリ強。
青い金属光沢がハンミョウそっくりでした。
オートバイを発進させようとしたときにリアキャリアにいたハムシが「お疲れ様~」と言ってくれたような・・
このあと一旦帰宅してから4匹を携えてファーブル館へ。
もう閉館時刻は過ぎていたので、ひとり寂しく飼育水槽のセッティングをしてハンミョウたちを投入しました。
オマケはセミです。
これはおなじみのセミ。
これは何セミだと思いますか?
今、会でちょっと話題になっているセミ。ミカドミンミンです。
普通のミンミンゼミよりも明らかにグリーンが強く、というか全体的に色が薄い。
ミンミンゼミの変異種なのだそうです。
甲府盆地に多いらしく、上の写真は7月に北杜市で撮影したもの。
ミンミンからミカドへの移行型(中間型)というのもいるそうです。
今日の湯加減
高知県立牧野植物園にて開催されている「昆虫★植物展」は9月4日まで。 お近くの方はぜひ!
夏休みに突入したので、今年もハンミョウの生態展示をしようということになり、採集に行ったのでした。
でもこの記事は採集レポートではありません。
この日見つけた池が主題・・・でもないかも。
ショウジョウトンボ ♂ (トンボ科)
これは前記事のベニトンボではありません。
ここ数年、毎年一度は訪れている南房総のN山。
観光スポットでもあるので、チバ県民ならたぶん誰でも知っている山ですが目的は観光ではない。
目指すは裏高尾ならぬ、裏N山。
一応舗装されている道ですが、工事車両くらいしか通らない裏道で中腹のダム湖を目指します。
ダム湖は木々と柵で遮られていてほとんど見えないため写真は撮れません。(撮っても絵にならない)
アプローチもないので様子は未だに分からず。 いつも最初の目標地点として通り過ぎるばかり。
通過してしばらくすると沢沿いの道になります。
この道沿いで、過去何度かギンヤンマを観察したのですが、こんな沢にいるとは思えません。
背後のダム湖から飛んでくるのかなぁと思い込んでいました。
そう、今回その発生場所が分かったのです。
さらに道を上り、未舗装路(というか岩がゴロゴロの道)を進むと、右手に工事現場らしきところへのアプローチが。
柵があるわけではなく、立ち入り禁止標識などもないし、工事車両もまったく見当たらない。
ちょっと寄り道してみようかなと、赤土の坂を上るとそこに現れたのは・・
人工池でした。
しかもそこは工事現場ではなく、砕石場か砕土場か何かのようでした。
なぜ池を作ったのかは想像できませんが、トンボの楽園になっていました。
ショウジョウトンボ、ギンヤンマ、コシアキトンボ、シオカラトンボ、オオシオカラトンボ・・そして・・
タイワンウチワヤンマ ♂ (サナエトンボ科)
テリトリーを張っているウチワヤンマだと思って撮影していましたが、帰ってから拡大してみたら違いました。
手元の図鑑によると20年くらい前は近畿地方までしか分布していなかったようですが、この種も東進北上しているのでしょう。
分かりづらいですが、この写真にも映っているとおり、水面下の植物は水草ではなさそうです。
新しい人工池であるのに、虫たちはすぐに集まり、棲みつくのですね。
水面を真下に見下ろせる絶好の撮影ポイントがあったので、そこにしゃがんでしばらく粘っていると・・
ギンヤンマ ♂ (ヤンマ科)
ギンの撮影もできました。 (見下ろせるポジションなので置きピンにできる)
NDフィルターを付けた一眼レフならもっとよく撮れたかもしれないと思いつつ、あくまでここは寄り道なので立ち去ることにしました。
来シーズンにでもじっくりトンボ撮影に来たいと思いますが、それまでこの池があるかどうか・・
さあ、ハンミョウのポイントへ急ごうと細い山道に入った途端。
一瞬、裏高尾を訪れたのかと思ってしまった光景が。
カラスアゲハが地面で吸水しているのでした。
カラスアゲハ (アゲハチョウ科)
この山ではじめて観察しました。 いいぞ、裏N山。
うれしくなってまたエンジン停止。
よっぽどこの辺りが気に入っているようで、ぐるぐると飛び続けているのでしばらく観察しました。
すると、足元にも寄ってきたので。
こうなったら、ベニシジミ(春型)号とツーショットは撮れないかと・・
ギリギリでフレームイン。
さあほんとに急がないと。
・・・しかし、ポイントに着いて探すも発見できず・・・
ガタゴト道をぐるりと辿りましたが・・・
裏N山ではまだハンミョウは発生していないのでした。 読みが甘かった。
ボウズはなんとか回避したいと思い、さらに南下してカモガワまで足を延ばしました。
そしてやっと見つけました。
ハンミョウ (オサムシ科)
採れたのはたったの2匹でした。
ところでこの写真にはハンミョウの他にも虫が写っているのですが、わかりますか?
ハンミョウの背中に乗るハエの仲間
わずか2ミリ程度のハエが背中に乗っているのです。
複数ですから、これ寄生しようとしているのではないと思われます。
しかもこのハンミョウは飛んできて着地したのです。(だからハエたちは鞘翅ではなく前胸の上に乗っている)
おそらくハンミョウの体表の何かを舐めているか、ハンミョウが何かを捕食したときのオコボレ狙いではないかと。
いずれにしても、コバンザメのような生態をしているハエだろうと思います。
撮影したときに気が付いていたら、そのまましばらく観察を続けたのに・・残念ですが次の機会があったらきっと。
その沢では別のチョウの吸水シーンが観察できました。
コンデジしか持っていないのであまりズームできない。 散らかさないように息を殺してにじり寄ります。
ルリシジミ (シジミチョウ科)
別のシジミチョウが出てきてくれることも期待しましたが、それは叶いませんでした。
2匹では寂しすぎるのでさらに次のポイントへ行き、もう2匹採集することができました。
そのポイントも後にして走っていると、路上にハンミョウの影が見えたような気がして緊急停止。
近付いてよくみると・・
ハバチの仲間?
セイボウでもチュウレンジでもない。体長は20ミリ強。
青い金属光沢がハンミョウそっくりでした。
オートバイを発進させようとしたときにリアキャリアにいたハムシが「お疲れ様~」と言ってくれたような・・
ハムシの仲間
オマケ
このあと一旦帰宅してから4匹を携えてファーブル館へ。
もう閉館時刻は過ぎていたので、ひとり寂しく飼育水槽のセッティングをしてハンミョウたちを投入しました。
オマケはセミです。
これはおなじみのセミ。
ヒグラシ (セミ科)
これは何セミだと思いますか?
今、会でちょっと話題になっているセミ。ミカドミンミンです。
普通のミンミンゼミよりも明らかにグリーンが強く、というか全体的に色が薄い。
ミンミンゼミの変異種なのだそうです。
甲府盆地に多いらしく、上の写真は7月に北杜市で撮影したもの。
ミンミンからミカドへの移行型(中間型)というのもいるそうです。
今日の湯加減
7月23日の記事の”今日の湯加減”に書いたとおり、7月のチバはあまり気温が高くなかったこともあり・・
というのはイイワケです。やはり新成虫を採集するなら、少なくとも8月になってからですね。
収穫は今一つではあったのですが、本編のとおり新しいポイントを発見することができました。
来シーズンといわず、今シーズン中に再訪したいところですが、現時点ではめどが立ちません。
そんなに忙しいわけではありませんが、行くなら一日居座るくらいのつもりで撮影したいのです。
そのくらいいい場所でした。
といいつつ、今日は南房総を一周してきました。ハンミョウも採集しました。
帰り道、この池に立ち寄ることもできましたが、時間が足りないし雨の匂いもしはじめたので思いとどまりました。
それと今日はまた面白い虫を採ってきたのでそのこともいずれ書かなきゃ。
ブログ執筆の時間も作らないと・・
高知県立牧野植物園にて開催されている「昆虫★植物展」は9月4日まで。 お近くの方はぜひ!
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
おはようございます^^
この時期から虫たちは活動が活発になるのかしら。
良いポイントを見つけられましたね^^v
by mimimomo (2016-08-28 06:20)
先週赤城山の覚満淵を訪れたのですが、た~くさんの種類のトンボが飛んでいました。
ヤンマ系?も^^;
もちろん写真には収めることができず・・・
ぜふさんにお見せしたいなぁと思いました^^
by よしころん (2016-08-28 06:31)
おはようございます
トンボの名前教えて頂き有り難うございました。
ハンミョウまだ一度も見たことが無いので見たいものです。
by g_g (2016-08-28 07:42)
お早うございます。
ミヤマカラスは綺麗ですね。見てみたいです。
ハバチの仲間?は変わっていますね。ハンミョウは以前近くで見たのに
今はいなくなりました(;_;)
by yakko (2016-08-28 09:51)
人工池といえども、こういう空間は大切ですね。
ハンミョウは手負いなのでしょうか。蝿がたかるのは、悪い兆候に思われます。
そして、ミカドミンミンという蝉、美しいですね。昆虫は本当に宝石だ!
by アヨアン・イゴカー (2016-08-28 10:03)
私も、以前ハンミョウの写真を撮っている時に、ハエが背中からどいてくれなくて困ったことがあります。何かわかったら、ぜひ教えて下さい!
by ligia (2016-08-28 19:05)
へー、ミンミンゼミの変異種なのでやすね。
綺麗でやすね(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2016-08-28 19:35)
ハンミョウの大きさを知ってるだけに
あのハエの小ささはびっくり。
ミンミンセミは何かの進化の途中?
by 響 (2016-08-28 19:58)
ハンミョウの香り思い出しました。鎌倉朝比奈切り通しには今も生息しているかなと思い出しました。
by SILENT (2016-08-29 20:04)
つい最近 赤とんぼみました
秋なんだな〜 と思ってみたりして
by ねこじたん (2016-08-30 09:42)
>mimimomoさん
活性や個体数は種によりますね。お花と同じ^^
何度も訪れている山ですが、新発見でした♪
>よしころんさん
赤城山は外周しか訪れたことがありません。
そこもトンボ天国なのですね^^ 行ってみたいなぁ。
>g_gさん
ハンミョウはめずらしい昆虫ではないのできっと会えると思います。
もう少し地味な種類もたくさんいますよ^^
>yakkoさん
ハンミョウの姿が消えたのは残念ですね><
ハバチの仲間?はアリたちが分解中でした。
>ligiaさん
補記しました。
なかなかどかないのもコバンザメタイプだからかと。
>ぼんぼちぼちぼちさん
一瞬外国のセミかと思ってしまいます^^
変異の理由は分かりませんが・・
>響さん
小さすぎて現場で気が付くことができず・・><
ミンミンは進化の途中を目の当たりにしている可能性大です^^
>SILENTさん
鎌倉の切通群はハンミョウたちの絶好のフィールドでしょう。
環境保全もされていると聞きますからいるのではないでしょうか。
>ねこじたんさん
虫で季節を感じるのは日本人らしい感覚ですな♪
バッタやコオロギも鳴きだしたよね?^^
by ぜふ (2016-08-30 20:56)
なるほど。ありがとうございます!
by ligia (2016-08-31 22:39)
コバンザメのような、おこぼれ狙いのハエ!
そんなハエがいるとは、驚きました。
by sakamono (2016-09-02 13:53)
とんぼの楽園、、楽しみな大発見ですね
ミズクサでなくても、産卵してヤゴに育っていくのでしょうか
ひぐらしも綺麗な個体ですが、ミカドミンミン
夏の御簾のような美しいろあいですね
by engrid (2016-09-02 18:04)