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"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。

赤い顔 白い顔 [ファーブル会]

コウチのトンボ特集記事の前に書いておかないとお蔵入りになりそうなので、7月に出会った虫のことを。

7月は毎年、山梨県の某所にてオオムラサキをターゲットにして採集・観察会を開催しています。

結果を先に書くと、今年のオオムラサキは出現が早かったものの数が少なく、観察はできたものの採集したのはわずかでした。

ただ、徐々に数が増えてきて、(参加はできなかったのですが)7月下旬の一泊採集会の際はほぼ例年通りの成果があがったそうです。

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コカブト ♀ (コガネムシ科)


7月10日と7月17日~18日にかけての観察記録です。




10日は催行の前にスタッフ数名で朝練をしました。

もちろん採集・観察会とは別の場所です。

下見だけならいいのですが、開催の事前に開催場所で昆虫採集することは反則なのです。(当たり前ですが)

理由はわかりますよね。

というとで開催場所からは10数キロ離れた林で探虫をしました。

まずは昨シーズン、オオクワを見つけたポイントへ行ってみましたが、少し環境が変わってしまっていました。

そのクヌギは樹液も出なくなっているようでした。

その代わりに扉の写真の虫を木の洞の中に見つけたのでした。

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コカブト ♀ (コガネムシ科)


はじめて観察。

昨年の野生のオオクワもはじめての観察だったので、ここは2シーズン連続でラッキーポイントです。

ここはオオムラサキも期待できるポイントですが、観察できなかったので別の林道へ移動しました。

そこでは観察できました。

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オオムラサキ ♀ (タテハチョウ科)


網を振りにくいV字の木の股にいたのですが、このあとKさんが無事ネットインしました。

本人にとっては初のオオムラサキだったそうで、メモリアルな朝練となりました。

ノコギリクワガタもいくつか見つかりました。

この子たちは隙間にはまっていたので、ムリに採集はしませんでした。(木を傷めてしまうので)

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ノコギリクワガタ ペア (コガネムシ科)


それとまたちょっと面白い虫を観察することができました。

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イチモンジカメノコハムシ 幼虫 (ハムシ科)


鳥が羽を拡げているような黒い部分はカラダではありません。

これは自分の脱皮殻なのです。 カモフラージュのためなのか、外的に狙われたときのオトリのためなのか・・

まさに脱皮殻をかぶろうとしているところも観察できました。

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複数いました。 (ムラサキシキブやヤブムラサキが食草)

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この子は別の葉の上に。

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クサギカメムシ (カメムシ科)


このカメムシを撮影していたら、コンチューターの針が振れました。

少し奥の葉の隙間に大きな黒い影がチラリ。

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一歩踏み込んで全容を確認すると、それは意外(?)な虫でした。

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カブトムシ (コガネムシ科)


まるで撮影用に葉っぱの上に手で置いたように見えますが、決してそういうことではなく。

こんなところにいるカブトムシははじめて観察しました。(しかも立派な体格の個体でした)

この辺で朝練はおわり。集合場所へ移動しようとオートバイに戻ると・・

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コミスジ (タテハチョウ科)


タテハチョウの仲間は人の汗などに寄って来ることがよくありますし、コミスジも例外ではありません。

なので汗の匂いのするオートバイのハンドルのグリップにとまることはたまにあります。

でも、タンクにとまる理由はわかりません。 しかも一旦舞い上がって戻ってきました。

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集合場所に移動して採集会開始。 以下は10日に出会った虫たちの一部です。

今回一番よく見かけた虫から。

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アカハナカミキリ (カミキリムシ科)


朝練をした林道でも観察しましたし、採集会の場所の草はらや杉林にも多数いました。

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赤の次は黄色。

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ナキイナゴ ♂ (バッタ科)


シャキシャキシャキと鳴くのですが、このときは暑すぎたのか声は聴けませんでした。

赤、黄、とくれば青。

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ルリオトシブミ の仲間 (オトシブミ科)


3ミリほどの小さい虫ですが、篆刻の入った金属光沢が美しい。

肩がはっているので飛ぶのは得意なのではないかと思います。

次は虎模様。

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ヒメトラハナムグリ (コガネムシ科)


体長10ミリくらい。 縞模様と毛深さが特徴ですが、ミツバチに擬態しているのかもしれません。

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次は杉林の中でお弁当を食べていたときに出くわした子。

タマムシの仲間だということはすぐわかったのですが、近づいて見ると顔が赤い。

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こんな紅をさしたような顔の子は見たことがなかったので連れて帰ることに。

顔の色で調べても手持ちの図鑑では同定できませんでしたが、”顔の赤いタマムシ”で検索するとヒットしました。

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クロタマムシ ♂ (タマムシ科)


紅顔の美タマムシというところでしょうか、オスの一部にこのような赤い斑紋が現れるようですが個体差があって赤紋の大きさは異なります。
(1週間後に別のポイントでも一匹観察しました)

ところで、前述のとおりターゲットはオオムラサキだったのですが、この日は飛んでいるのを数頭観察したのみ。

うち2頭をスタッフが採集しただけでした。

だからというわけではなかったのですが、採集会終了後、スタッフ数名で残業しました。

しかし、カブ・クワはおろか目ぼしい虫はまったくと言っていいほど見つかりませんでした。

唯一面白かったのは、ある一本のクヌギにこの虫が大量にいたこと。

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アシナガオニゾウムシ (ゾウムシ科)


数十匹もいて、オス同士がメスを争ってあちこちで相撲をとっていました。

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ずっと観察していたいところでしたが、暑さも厳しく、朝練したことで疲労度も高かったので撤収しました。

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一週間後の7月17日、ふたたび同じ場所で採集会を開催。(この日も参加者は満員御礼でした)

この日の気温も高く、日向を歩いていると息苦しいほど。

あまりの暑さに虫の影も少ない。

それなのにちょっとめずらしいトンボを観察できました。

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ミヤマアカネ (トンボ科)


その名の通り、平地にはなかなかいないためチバではまだ観察したことがありません。

突然ですがここで問題です。 次の画像に写っている昆虫(の種類)は何でしょう。

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一枚目でピピッとわかる方は虫目の持ち主だと思います。

これでも普通の方はわからないいかも。

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これだけ寄ればさすがのカムフラージュも見破れますかね。

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コシロシタバ (ヤガ科)


この虫も今年多く観察できました。 (これも段々拡大しますがクイズではありません)

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ノコギリカミキリ(カミキリムシ科)


意外に男の子にも人気がないのはどこかコワイ感じがするのでしょうか。

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アップにするとたしかにダースベイダーみたいです。

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一方こちらは虫好きでなくても万人に気に入られる虫。

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タマムシ (タマムシ科)


タマムシはむしろ気温が高い方がよく飛ぶ気がします。 前週に続きこの日も数頭採れました。

しかしオオムラサキはこの日も不漁。 逆に高い梢を舞うばかりで降りて来ませんでした。

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ひとつ、ジュニアスタッフが面白い虫を見つけたと教えてくれました。

立ち枯れの木を住処にしているようで多数観察できました。

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ツノゴミムシダマシ (ゴミムシダマシ科)


まるでクワガタムシのアゴのような突起がありますが、”アゴ”ではなくて”ツノ”です。

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ところでこの日は夜間採集もしました。

韮崎の日帰り温泉で汗を流し、1時間昼寝(爆睡)したあと清里方面の山間部へ移動。

ダム湖の橋の上にライトトラップを仕掛けてビールを飲みながら誰か来るのを待ちます。

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飛来した虫の99%はカメムシとガの仲間でしたが、甲虫類も少しだけ。

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コクワガタ ♂ (クワガタムシ科)


これは美麗なコガネムシ。

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サクラコガネ (スジコガネかも) (コガネムシ科)


そして最後は、このやさしい白い顔のような模様の蛾。

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未同定なのですがやさしい顔に因んで、仮に”ショクパンマンガ”としておきます。




オマケ


これはライトトラップに飛来したわけではないのですが、ジュニアスタッフがダム湖の対岸の灯火で発見。

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シロスジカミキリ ♀ (カミキリムシ科)


体長60ミリに達するかというクイーンでした。

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今日の湯加減

実はライトトラップを仕掛けている間にオサトラップも仕掛けに行きました。
クロナガオサムシが10頭以上とセンチコガネという結果でした。
また、翌日の午前中も山を下りて探虫したのですが、あまりにも長くなったのでそれはまた別途にします。
ところで今日(8月7日)もチバは暑かった。
今日はチバでの採集・観察会だったのですが、満員御礼に加えてケーブルテレビの取材も加わって大盛況。
少し風はあったのですが、台風が近づいているせいもあるでしょう、吹く風がドライヤーの温風のようでした。
この詳細もまた別途・・でまたどんどん溜まっていく・・


今週末に蔦屋書店代官山店にて奥本館長とやましたこうへいさんの『ファーブル先生の昆虫教室』 刊行記念トークイベントがあります。
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コメント 14

yakko

お早うございます。
たくさんの昆虫と蝶にも会えましたね。 オオムラサキを見てみたい
です。庭に来る蝶も少なくなりましたf(^ー^;
by yakko (2016-08-09 10:27) 

engrid

イチモンジカメノコハムシ 面白いですね、暮らしの知恵?というか
自然界、生物もいろいろに知恵?を発揮なのかしら、、
ただ、凄いですよね
赤いお顔のタマムシ、渋い姿で良いです、、
そう、虫目があるようで、すぐに見つけましたよ、、推測があたったというべきかな、、、沢山の虫たち、、見ていて楽しいです
by engrid (2016-08-10 00:51) 

ぜふ

>yakkoさん
長い記事にお付き合いありがとうございます。
今の時期は花も少なくて、チョウも少ない、端境期ですね。

>engridさん
わかりましたか! それはまちがいなく虫目ありですね♪
赤い顔のオスはレッドフェイイスと呼んでいます。
カメノコハムシは見栄っ張りなだけかもしれません^^
by ぜふ (2016-08-10 23:17) 

MIKUKO.

コシロシタバさん。
二枚目と比較しまがらも 「え・・・ どれ・・・?」 と思わず独り言(笑)
よく出来た姿ですね~♪
by MIKUKO. (2016-08-11 16:28) 

sakamono

コクワガタというのは聞いたコトがありましたが、コカブトなんていうのも
いたんですね。初めて知りました。カブトムシの仲間?子供の頃に見て
いたとしても、カブトムシとは思わなかったかも^^;。
by sakamono (2016-08-11 21:55) 

ねこじたん

ノコギリカミキリ
仮面ライダーみたいだね
by ねこじたん (2016-08-12 05:24) 

響

イチモンジカメノコハムシの姿にビックリ!
擬態も凄いですね。
しかしカブトムシは誰かが置いたような場所だし
餌のある樹でもないし不思議です。
by (2016-08-13 23:35) 

ぜふ

PCが使用不能になってしまい、新しい記事が書けません。
しばらく放置プレイになるかもしれませんがあしからず。

>MIKUKO.さん
慣れるとすぐ分かるようになりますが、どうしてここを選んでとまるのかが不思議ですね。

>sakamonoさん
日本にはカブトムシが3種います。
この子はメスなのでさらに”らしくない”ですよね^^

>ねこじたんさん
マスクだよね。虫の^^

>響さん
まるでヅラをかぶっているようです^^
カブトムシは”まるでヤラセのようだよね”とみんなでびっくりしました。
飛ぶのが得意ではないので、たまたまそこに着地したんでしょうね^^
by ぜふ (2016-08-14 17:30) 

アサギいろ

今日も青白い顔のトンボとの出会いを求めてぶらぶらしてきました。神奈川県内にはいないのかなあ
by アサギいろ (2016-08-15 17:45) 

sasasa

カブトムシ、本当に立派ですね!
自然な状態なのに、モデルのような感じですね(^_^)
by sasasa (2016-08-15 20:52) 

ぜふ

>アサギいろさん
もう少し経って色づいてくると見つかるかもしれませんね。
会えるといいですね♪

>sasasaさん
休んでいたのでしょう。これも自然ですね。
by ぜふ (2016-08-17 06:56) 

kazz

コクワに萌え〜でした(^^)
葉っぱの上のカブトムシってなんか新鮮ですね。
この季節の野外活動は熱中症に気を付けないと、ですね。
どうしても夢中になっちゃうから(^^;
by kazz (2016-08-17 17:34) 

Nyandam

沢山Get、大豊作ですね~ 
イチモンジカメノコハムシはほんとに不思議な形状ですね。
脱皮殻を活用するとは驚きです。その辺にいても気づかないかも。

私もこの夏初めてオオムラサキを撮影できました。
といっても裏側だけ^^;
by Nyandam (2016-08-19 13:29) 

ぜふ

>kazzさん
コクワにとはまたシブイですね^^ カブトもシブイ場所にいましたが。
熱虫症にも気を付けましょう^^;

>Nyandamxさん
何かをまとう幼虫はいろいろいますがこの形は面白いですね。
擬態なのでしょうけど、効果がどのくらいあるのでしょうね・・
by ぜふ (2016-08-21 05:06) 

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