"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
この都会の片隅に [トンボ]
6月23日、トョウキョウの湾岸エリアのとある場所へ。
S君とトンボを撮りに行ってきました。
コンクリートジャングルには田んぼやトンボ池はもうありませんが、湾岸の埋め立て地にはある。
それが人工だとしても、10年20年も経過すると環境耐性のある虫たちが定着してくるのです。
この子も環境のクオリティが低くても棲息条件が揃っていれば定着してくれるようです。

葦などの植物が豊富な低地の池沼で水はむしろ多少汚れている方が適しているようです。
それと、池沼の周りに休息場所となる梢を作れる木々も必要。
そんな都会の片隅に生きる虫たち。
今回はチョウトンボをフィーチャーしようと思います。
そこは都立公園で、それなりに広く、アプローチの仕方もいろいろあります。
待ち合わせた場所はこんな様子。

その日は朝から雨模様でしたが、現地に着くと小雨がぱらぱらと。
園内入ってすぐのタイガーロープで囲われた草地に1年ぶりに見るトンボの姿がありました。

チバのHFでは近年減っているトンボですが、市街地の人工池などでも観察される強い子です。
”ショウジョウ”とは猩々のこと。
オスもいました。(まさに猩々)

何度もこのフィールドに来ているS君にトンボの通り道などを教えてもらいながら巡回しました。

さて、扉の写真のチョウトンボは池に繁茂する葦にまとわりついていました。
翅の表面は極めて煌びやかですが、裏面はとてもマットでシックなのです。

雨が上がると葦にとまっていた子も周辺の梢に隠れていた子も宙に舞いだします。
そもそも群飛がよく見られるトンボなのです。
ところが一旦ネットで捕獲してみると、大人しくなって手乗りになってくれる良い子。
もう一度、表と裏を見比べてみましょう。


それにしても、表翅の金属光沢のような色合いは構造色だと思いますが個体差があります。
そもそもこの種は翅の模様に個体差があり、前出の裏翅の子は前翅の先に縁紋がありません。
この子たちの後翅の光沢はまさに出色でした。

角度を変えても色にあまり変化は現れません。

全員リリースしました。

トンボの紹介を続けます。
今回の一番のちびっ子。

アジアイトトンボも都会の校庭の池などにいることがある小さいけど丈夫な子。
目立たないので校庭の池にいたとしても見逃してしまうことが多いと思います。
この子はアジアイトトンボによく似ていますが、少しだけ大きくてちょっとだけ雰囲気が違う。
アジアは30ミリちょっと、この子は40ミリ弱。

しばらく後で撮ったのですが、タンデムのハートカップルもいました。

メスはオレンジ色だったので未成熟だと思いますがペアリングできるんですね。
朝来たときから見つけてはいたのですが、葦の中などにいてなかなか撮れなかった子。

生息地は局地的のようですが、近年都内でも確認されているので実は適応性が高いのかもしれません。
残念ながらメスは観察できませんでした。

ここからは甲虫編。
まずは湾岸エリアの一部で繁殖・定着した子。

本来は九州から南西諸島に生息するハナムグリなのですが、誰かが放虫したのだと思います。
数年前に見つかってから、その繁殖力と温暖化も手伝ってみるみる増えてすっかり定着しました。
ふと植え込みの木の葉の上にいたり、ふとこんな池の上にいたり。

とにかくその名の通り体全体がツヤツヤなのですが、色の変異もバラエティーに富んでいる。
グリーンとブロンズとその中間が多く、まれに赤っぽいのや青っぽいの、その中間の紫もいるとか。
樹液が出ている木があり、そこにもいたのですが、お弁当を食べて戻ってくるとこんな子たちが。

シロテンハナムグリに似ていますが頭盾の形で見分けられます。

外縁の植え込みでも色々観察できました。
ラブ虫を2種。

通称”パンダゾウムシ”
この子たちは差し詰め”白粉ゾウムシ”か

手すりにいたのは”ザ・テントウムシ”

ナミテントウの色柄は千変万化しますが、ナミテントウが単にテントウムシと呼ばれていた頃の図鑑のイメージはこのタイプだった印象があります。
ただ、ひょっとしたらクリサキテントウかもしれません。

実は本命のトンボは撮れなかったのですが(観察はしました!)想定以上にたくさんの虫たち会えた。
それらの虫たちは・・
これも植え込みにいたバッタ。

カマキリの幼虫やコガネグモなどの捕食者が多いのは、それだけここは虫が多いということでしょう。
この子を見つけたときは、そこが下草の葉の上だったこともあり、遠目には何だか不明でした。

ツチバチの仲間でしょうけど、もうこれでは同定不能です。


小雨が降ったり止んだりということもあり、本命はあきらめ帰り道を歩きながら探虫することに。
探虫というか、次々に現れるのはリュウキュウツヤハナムグリたち。
その合間に見つけたのは。
この子も南方系なのですが、トウキョウだけでなく、湾岸エリアに定着中。でもお久しぶりでした。

ムラサキシジミに似ていますが、尾状突起があるので判定は簡単です。
そして、S君と梢を飛び交うリュウツヤと遊んでいたときに見つけた子。

葉陰で逆光だったのがザンネン。しかも遠かった。
結局、傘をさす必要はないくらいの小雨ですんで、楽しく探虫ができました。
午後は二人で昆虫館へ行き、先生と虫談義をして、虫三昧の一日となりました。
午後の予定があり、もうタイムアップというそのとき。
梢の上を舞うリュウツヤをネットインしました。
それを見てびっくり。

室内でライトの光を当てているのですが、肉眼ではほぼ真っ黒。まるでクロカナブンみたいでした。
HFの西風ちゃんたちの様子。
この1週間前、早起きして朝飯前(7時前)に見に行ってきました。
あいにく曇っていたのと、発生のピークを過ぎていたこともあり、撮影にはきびしい状況でした。
個体数はそれなりに確認できたのですが、みんなじっとしているか食事に夢中。
ちら見せしてくれた女の子。

HFの中を何周もして、もう撮る気なしで田んぼの畦を歩いていたとき、ふと足元にいきなり。

こっちからでは色がでないので、息を殺して回り込もうとした瞬間、舞い上がってしまいこの一枚だけ。
代わりに他の子を。
いつもタイミングが合わなかったようで、HFでは数年ぶりに観察。

それと、本編のムラサキツバメとの比較のために。

今日の湯加減
S君とトンボを撮りに行ってきました。
コンクリートジャングルには田んぼやトンボ池はもうありませんが、湾岸の埋め立て地にはある。
それが人工だとしても、10年20年も経過すると環境耐性のある虫たちが定着してくるのです。
この子も環境のクオリティが低くても棲息条件が揃っていれば定着してくれるようです。

チョウトンボ ♂ (トンボ科)
葦などの植物が豊富な低地の池沼で水はむしろ多少汚れている方が適しているようです。
それと、池沼の周りに休息場所となる梢を作れる木々も必要。
そんな都会の片隅に生きる虫たち。
今回はチョウトンボをフィーチャーしようと思います。
そこは都立公園で、それなりに広く、アプローチの仕方もいろいろあります。
待ち合わせた場所はこんな様子。

その日は朝から雨模様でしたが、現地に着くと小雨がぱらぱらと。
園内入ってすぐのタイガーロープで囲われた草地に1年ぶりに見るトンボの姿がありました。

ショウジョウトンボ ♀ (トンボ科)
チバのHFでは近年減っているトンボですが、市街地の人工池などでも観察される強い子です。
”ショウジョウ”とは猩々のこと。
オスもいました。(まさに猩々)

同上 ♂
何度もこのフィールドに来ているS君にトンボの通り道などを教えてもらいながら巡回しました。

さて、扉の写真のチョウトンボは池に繁茂する葦にまとわりついていました。
翅の表面は極めて煌びやかですが、裏面はとてもマットでシックなのです。

チョウトンボ ♀(トンボ科)
雨が上がると葦にとまっていた子も周辺の梢に隠れていた子も宙に舞いだします。
そもそも群飛がよく見られるトンボなのです。
ところが一旦ネットで捕獲してみると、大人しくなって手乗りになってくれる良い子。
もう一度、表と裏を見比べてみましょう。

チョウトンボ ♂ 表

同上 裏
それにしても、表翅の金属光沢のような色合いは構造色だと思いますが個体差があります。
そもそもこの種は翅の模様に個体差があり、前出の裏翅の子は前翅の先に縁紋がありません。
この子たちの後翅の光沢はまさに出色でした。

同上 表
角度を変えても色にあまり変化は現れません。

同上
全員リリースしました。

トンボの紹介を続けます。
今回の一番のちびっ子。

アジアイトトンボ (イトトンボ科)
アジアイトトンボも都会の校庭の池などにいることがある小さいけど丈夫な子。
目立たないので校庭の池にいたとしても見逃してしまうことが多いと思います。
この子はアジアイトトンボによく似ていますが、少しだけ大きくてちょっとだけ雰囲気が違う。
アジアは30ミリちょっと、この子は40ミリ弱。

アオモンイトトンボ ♂(イトトンボ科)
しばらく後で撮ったのですが、タンデムのハートカップルもいました。

アオモンイトトンボ ペア(イトトンボ科)
メスはオレンジ色だったので未成熟だと思いますがペアリングできるんですね。
朝来たときから見つけてはいたのですが、葦の中などにいてなかなか撮れなかった子。

ベニイトトンボ ♂ (イトトンボ科)
生息地は局地的のようですが、近年都内でも確認されているので実は適応性が高いのかもしれません。
残念ながらメスは観察できませんでした。

ここからは甲虫編。
まずは湾岸エリアの一部で繁殖・定着した子。

リュウキュウツヤハナムグリ (コガネムシ科)
本来は九州から南西諸島に生息するハナムグリなのですが、誰かが放虫したのだと思います。
数年前に見つかってから、その繁殖力と温暖化も手伝ってみるみる増えてすっかり定着しました。
ふと植え込みの木の葉の上にいたり、ふとこんな池の上にいたり。

同上
とにかくその名の通り体全体がツヤツヤなのですが、色の変異もバラエティーに富んでいる。
グリーンとブロンズとその中間が多く、まれに赤っぽいのや青っぽいの、その中間の紫もいるとか。
樹液が出ている木があり、そこにもいたのですが、お弁当を食べて戻ってくるとこんな子たちが。

シラホシハナムグリ (コガネムシ科)
シロテンハナムグリに似ていますが頭盾の形で見分けられます。

同上
外縁の植え込みでも色々観察できました。
ラブ虫を2種。

オジロアシナガゾウムシ (ゾウムシ科)
通称”パンダゾウムシ”
この子たちは差し詰め”白粉ゾウムシ”か

コフキゾウムシ (ゾウムシ科)
手すりにいたのは”ザ・テントウムシ”

ナミテントウ (テントウムシ科)
ナミテントウの色柄は千変万化しますが、ナミテントウが単にテントウムシと呼ばれていた頃の図鑑のイメージはこのタイプだった印象があります。
ただ、ひょっとしたらクリサキテントウかもしれません。

実は本命のトンボは撮れなかったのですが(観察はしました!)想定以上にたくさんの虫たち会えた。
それらの虫たちは・・
これも植え込みにいたバッタ。

ヤブキリ (キリギリス科)
カマキリの幼虫やコガネグモなどの捕食者が多いのは、それだけここは虫が多いということでしょう。
この子を見つけたときは、そこが下草の葉の上だったこともあり、遠目には何だか不明でした。

ツチバチの仲間でしょうけど、もうこれでは同定不能です。


小雨が降ったり止んだりということもあり、本命はあきらめ帰り道を歩きながら探虫することに。
探虫というか、次々に現れるのはリュウキュウツヤハナムグリたち。
その合間に見つけたのは。
この子も南方系なのですが、トウキョウだけでなく、湾岸エリアに定着中。でもお久しぶりでした。

ムラサキツバメ (シジミチョウ科)
ムラサキシジミに似ていますが、尾状突起があるので判定は簡単です。
そして、S君と梢を飛び交うリュウツヤと遊んでいたときに見つけた子。

ビロウドハマキ (ハマキガ科)
葉陰で逆光だったのがザンネン。しかも遠かった。
結局、傘をさす必要はないくらいの小雨ですんで、楽しく探虫ができました。
午後は二人で昆虫館へ行き、先生と虫談義をして、虫三昧の一日となりました。
オマケ
午後の予定があり、もうタイムアップというそのとき。
梢の上を舞うリュウツヤをネットインしました。
それを見てびっくり。

リュウキュウツヤハナムグリ 黒化型
室内でライトの光を当てているのですが、肉眼ではほぼ真っ黒。まるでクロカナブンみたいでした。
オマケ その2
HFの西風ちゃんたちの様子。
この1週間前、早起きして朝飯前(7時前)に見に行ってきました。
あいにく曇っていたのと、発生のピークを過ぎていたこともあり、撮影にはきびしい状況でした。
個体数はそれなりに確認できたのですが、みんなじっとしているか食事に夢中。
ちら見せしてくれた女の子。

ミドリシジミ ♀ (シジミチョウ科)
HFの中を何周もして、もう撮る気なしで田んぼの畦を歩いていたとき、ふと足元にいきなり。

ミドリシジミ ♂ (シジミチョウ科)
こっちからでは色がでないので、息を殺して回り込もうとした瞬間、舞い上がってしまいこの一枚だけ。
代わりに他の子を。
いつもタイミングが合わなかったようで、HFでは数年ぶりに観察。

アカシジミ (シジミチョウ科)
それと、本編のムラサキツバメとの比較のために。

ムラサキシジミ (シジミチョウ科)
今日の湯加減
西日本とくに九州南部が大荒れです。
昨年遠征した鹿児島と宮崎のポイントというか虫たちが心配です。
多少の環境攪乱はむしろ生態系や動植物相の保全に有効なこともあるのですが。
近年の気象状況は攪乱というレベルではないように思います。
人跡未踏の秘境だとしても、豪雨や土砂崩れは容赦なく起きます。
まさに世界の片隅で、ひっそり細々と生き残っていた集団が壊滅しないかと心配でしょうがない。
そういう意味では、生息地が局地的な種はやはり危うい。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
チョウトンボ、めっちゃ綺麗~~~♪
羽の裏が真っ黒なんて想像もしていませんでした。
64の生態は不思議でいっぱいですね^^
by よしころん (2019-07-06 22:23)
この色合いの個体群にはじめて会えてうれしかった♪
残念ながら平地性なので山にはいません・・今のうちにぜひ^^
by ぜふ (2019-07-07 21:51)
ツチバチの仲間ちゃん、
これはたっぷり花粉を付けてるのかしら??
すごいねえ(@@
たしかに生息地が局地的な種は危ないですよね><
by リュカ (2019-07-08 16:54)
な、なんですか?
チョウトンボにどんな催眠術を?(笑)
私の指にも留まって欲しい。
by 響 (2019-07-09 15:48)
>リュカさん
多分そうだと思います。
トネリコの花が真っ盛りで、ハナムグリたちも塗れていました^^
ひっそり生き延びている生き物はそもそも丈夫な種ではないでしょう。
世界中で毎日何百種もの生物が絶滅しているという試算もありますね。
>響さん
まさに種も仕掛けもありません。
何もしていませんし、いじめてもいません^^
心が通じ合えればいいだけです♪
by ぜふ (2019-07-09 21:34)
チョウトンボの色の個体差に驚きました。こんなに変わるモノ
なんですね。ナミテントウの色柄が千変万化、というのにも
驚きました。この写真の子は、私の知っているテントウムシの
柄と、全然違います^^;。
by sakamono (2019-07-11 21:49)
>sakamonoさん
地域変異もあるかもしれません。
とにかくすばらしい彩ですね。
逆にナミテントウの代表的な色柄はと問われたら・・難しいですね^^;
by ぜふ (2019-07-12 21:10)