"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
SYG陸奥遠征 ~前編~ [オサムシ]
昨年の11月から半年あまり、また東北遠征してきました。
前回とはターゲットが違ったのですが、結論から言うと採れませんでした。
でも本命以外の、特に想定外のトンボたちに出会えた探虫行となりました。
今回も前後編でお届けしようと思います。
前回の東北遠征でも採ったオサムシですが説明は本編にて。
6月17日の朝、T隊員と新幹線で新青森までバビューン。
改札口でH隊員と合流して、みんなで早めのお昼にして、レンタカーを借りてさっそく出発進行。
目的地までは1時間あまりの予定ですが、峠道に入って間もなく、土場を見つけてしまいました。
是非もなく一旦停車して寄り道探虫開始。
ザンネンながらカミキリムシの類はいませんでしたが、こんな大物を発見。
個体差がありますが、大きなものは3センチくらいあるので、おそらく国内最大のゾウムシ。
どうしてこの種だけ突出して大きいのかとも思います。
さて、寄り道はそこそこにして最初のポイントへまっしぐら。
T隊員に案内してもらった場所はこういう場所。芦原の広がる河川敷です。
ところで今回、三人はお揃いのツナギを着ています。(チーム名は“SYG”です)
オレンジ色なのでレスキュー隊員みたいで、朝の通勤電車内では周囲から目線を感じました。
でも、全員集合してしまえばへいちゃら。増してこういうフィールドではむしろ自然(?)かと。
トラップを設置するために芦原の中へ、藪漕ぎならぬ葦漕ぎをして行くのにもバッチリでした。
広大なフィールドですが、葦をかき分けないと地面が見えないくらいなので行動範囲は限られます。
それでも車で少しずつ移動しつつ、環境を見極めて何か所かに設置していきました。
確か三か所目のポイントで葦漕ぎしていたとき、活動中の第一村人を発見したのです。
しゃがんでカップを地面に埋めようとしたら、目の前の葦の茎をトコトコとよじ登っていました。
アカガネオサムシは水にも潜れるし、木(草)にも登れることがわかりました。
扉の写真は翌日トラップに入った同種です。
ともかく日没近くまでトラップを埋めまくり、隊員一同、基地(宿)へ帰投しました。
荷をほどき、汗を流して食事を摂ったあと、少しだけ休憩して、さっそく夜のトラップ巡回へ。
しかし、ゴミムシ以外は特筆すべき獲物はなく、お楽しみは翌日ということになりました。
翌日、宿で朝食をばっちり食べたら、いそいそとトラップ巡回に出発。
設置した場所、仕掛けたポイント、トラップの数はすべてメモしてあります。
漏らさずチェックして廻りましたが、やはりゴミムシ類以外で特筆すべき獲物はこの子だけでした。
これも関東地方では希少種なので喜ぶべき収獲ではあります。
ところで、芦原の中には所々、このようなワンドがあります。(その近くを選んで設置しています)
せっかくなので持参した水網でガサガサ開始。(H隊員とT隊員も途中のホムセンで水網購入)
すると一掬いで。
ヒメゲンの類が大漁。
T隊員はガムシも採っていましたし、少し小型のも入りました。
水生昆虫は生きて連れ帰りたいので、最終日に採集することにして全てリリース。
その後、少し下流に移動し、実績地とされる橋のたもと付近とさらに下流の対岸にもトラップ設置。
さあ、他のエリアにもトライしようということで、チームSYG移動開始。
河川敷から離れ、5キロほど北上。湿地というか沼がつながる地域を選びました。
走っている道路から水面は見えないのですが、植物の切れ目で水辺があることがうかがい知れます。
水辺に最接近したと思われた地点の路肩に車を停め、いざ突入・・と路傍の草の葉に思わぬ村人が。
最初は大きさがほぼ同じ近縁種のオオイトだと思いました。
とにかくトンボスイッチが入ってしまい、芦原へと入って行く二人の隊員を見送りながら撮影継続。
この写真だと分かりやすいと思いますが、肩の太い黒条紋の中に淡い色の線があります。
もう一つの同定ポイントがこちら。
眼後紋の形と後頭条の有無。それと腹部末端の附属器の形状です。
本種はチバ県内にも分布するとされているのですが未観察です。(生息地とされるポイントでも未確認)
トラップを設置し終わったH隊員と観察していて、ペアも確認できました。
メスのワンショットも。
これは羽化したてのため同定がむずかしいですが。
もう一か所仕掛けようということで車に乗り込みましたが、出発してすぐにアプローチを発見。
ここには少しトラップ設置しましたが、やはりトンボが気になる。
ペアを探して撮影しました。
これも虫神様のお導き。幸運にも想定外のトンボ観察ができて心のHPが回復しました。
それからさらに少し北上し、海まで出てみました。
砂浜を目の前にしたら探虫しないわけにはいかず。
あまり良い漂着物件がなくて、ハサミムシやヨコエビなどの海浜指標生物の姿もわずか。
それでも、流木を何本かひっくり返していると、ちょっと目を惹く虫が。
口吻も含めて体長約8mm。
ツートーンが美しい、ゾウムシの仲間だと思いますが手元の図鑑では同定できませんでした。
(昆虫館の図鑑でも同定不能だったので、ひょっとしたら外国の方かも)
これも木の裏側から。
体長10mm余り。これはカミキリモドキの仲間だと思われます。
そして、やっと海浜性昆虫のレギュラーメンバーを発見。
今まで見た同種に比べて前胸が太いというか幅広いように思いました。
結局一頭だけだったので個体特性か個体群の特徴かは不明です。
この日も夕食後に夜の巡回に行きましたが、やはり目立った収獲はなく。
俄かに不安感が募りはじめたのでした。
後編へつづく。
遠征から帰ってきてすぐ、トンパトにも行きました。
ノートリミングです。
詳細についてはまた別途投稿します。
今日の湯加減
前回とはターゲットが違ったのですが、結論から言うと採れませんでした。
でも本命以外の、特に想定外のトンボたちに出会えた探虫行となりました。
今回も前後編でお届けしようと思います。
本命ではありません
前回の東北遠征でも採ったオサムシですが説明は本編にて。
6月17日の朝、T隊員と新幹線で新青森までバビューン。
改札口でH隊員と合流して、みんなで早めのお昼にして、レンタカーを借りてさっそく出発進行。
目的地までは1時間あまりの予定ですが、峠道に入って間もなく、土場を見つけてしまいました。
是非もなく一旦停車して寄り道探虫開始。
ザンネンながらカミキリムシの類はいませんでしたが、こんな大物を発見。
オオゾウムシ (ゾウムシ科)
個体差がありますが、大きなものは3センチくらいあるので、おそらく国内最大のゾウムシ。
どうしてこの種だけ突出して大きいのかとも思います。
さて、寄り道はそこそこにして最初のポイントへまっしぐら。
T隊員に案内してもらった場所はこういう場所。芦原の広がる河川敷です。
ところで今回、三人はお揃いのツナギを着ています。(チーム名は“SYG”です)
オレンジ色なのでレスキュー隊員みたいで、朝の通勤電車内では周囲から目線を感じました。
でも、全員集合してしまえばへいちゃら。増してこういうフィールドではむしろ自然(?)かと。
トラップを設置するために芦原の中へ、藪漕ぎならぬ葦漕ぎをして行くのにもバッチリでした。
広大なフィールドですが、葦をかき分けないと地面が見えないくらいなので行動範囲は限られます。
それでも車で少しずつ移動しつつ、環境を見極めて何か所かに設置していきました。
確か三か所目のポイントで葦漕ぎしていたとき、活動中の第一村人を発見したのです。
しゃがんでカップを地面に埋めようとしたら、目の前の葦の茎をトコトコとよじ登っていました。
アカガネオサムシ ♀ (オサムシ科)
アカガネオサムシは水にも潜れるし、木(草)にも登れることがわかりました。
扉の写真は翌日トラップに入った同種です。
ともかく日没近くまでトラップを埋めまくり、隊員一同、基地(宿)へ帰投しました。
荷をほどき、汗を流して食事を摂ったあと、少しだけ休憩して、さっそく夜のトラップ巡回へ。
しかし、ゴミムシ以外は特筆すべき獲物はなく、お楽しみは翌日ということになりました。
翌日、宿で朝食をばっちり食べたら、いそいそとトラップ巡回に出発。
設置した場所、仕掛けたポイント、トラップの数はすべてメモしてあります。
漏らさずチェックして廻りましたが、やはりゴミムシ類以外で特筆すべき獲物はこの子だけでした。
アカガネオサムシ ♀ (オサムシ科)
これも関東地方では希少種なので喜ぶべき収獲ではあります。
ところで、芦原の中には所々、このようなワンドがあります。(その近くを選んで設置しています)
せっかくなので持参した水網でガサガサ開始。(H隊員とT隊員も途中のホムセンで水網購入)
すると一掬いで。
ヒメゲンの類が大漁。
T隊員はガムシも採っていましたし、少し小型のも入りました。
コガムシ (ガムシ科)
水生昆虫は生きて連れ帰りたいので、最終日に採集することにして全てリリース。
その後、少し下流に移動し、実績地とされる橋のたもと付近とさらに下流の対岸にもトラップ設置。
さあ、他のエリアにもトライしようということで、チームSYG移動開始。
河川敷から離れ、5キロほど北上。湿地というか沼がつながる地域を選びました。
走っている道路から水面は見えないのですが、植物の切れ目で水辺があることがうかがい知れます。
水辺に最接近したと思われた地点の路肩に車を停め、いざ突入・・と路傍の草の葉に思わぬ村人が。
セスジイトトンボ ♂ (イトトンボ科)
最初は大きさがほぼ同じ近縁種のオオイトだと思いました。
とにかくトンボスイッチが入ってしまい、芦原へと入って行く二人の隊員を見送りながら撮影継続。
この写真だと分かりやすいと思いますが、肩の太い黒条紋の中に淡い色の線があります。
同上
もう一つの同定ポイントがこちら。
眼後紋の形と後頭条の有無。それと腹部末端の附属器の形状です。
同上
本種はチバ県内にも分布するとされているのですが未観察です。(生息地とされるポイントでも未確認)
トラップを設置し終わったH隊員と観察していて、ペアも確認できました。
同上 ペア
メスのワンショットも。
同上 ♀
これは羽化したてのため同定がむずかしいですが。
同上 テネラル
もう一か所仕掛けようということで車に乗り込みましたが、出発してすぐにアプローチを発見。
ここには少しトラップ設置しましたが、やはりトンボが気になる。
ペアを探して撮影しました。
同上 ペア
これも虫神様のお導き。幸運にも想定外のトンボ観察ができて心のHPが回復しました。
それからさらに少し北上し、海まで出てみました。
砂浜を目の前にしたら探虫しないわけにはいかず。
あまり良い漂着物件がなくて、ハサミムシやヨコエビなどの海浜指標生物の姿もわずか。
それでも、流木を何本かひっくり返していると、ちょっと目を惹く虫が。
未同定
口吻も含めて体長約8mm。
ツートーンが美しい、ゾウムシの仲間だと思いますが手元の図鑑では同定できませんでした。
(昆虫館の図鑑でも同定不能だったので、ひょっとしたら外国の方かも)
これも木の裏側から。
体長10mm余り。これはカミキリモドキの仲間だと思われます。
未同定
そして、やっと海浜性昆虫のレギュラーメンバーを発見。
ヒョウタンゴミムシ (オサムシ科)
今まで見た同種に比べて前胸が太いというか幅広いように思いました。
結局一頭だけだったので個体特性か個体群の特徴かは不明です。
この日も夕食後に夜の巡回に行きましたが、やはり目立った収獲はなく。
俄かに不安感が募りはじめたのでした。
後編へつづく。
オマケ
遠征から帰ってきてすぐ、トンパトにも行きました。
ノートリミングです。
チョウトンボ ♀(トンボ科)
詳細についてはまた別途投稿します。
今日の湯加減
遠征のツケもあり、急に暑くなったこともあり、なかなか平常運転に戻れません。
写真と虫の整理(標本作成は手つかず)やトンパトもあるし、とにかく時間が足りない。
もうすぐ夏休みシーズンということもあり、ツケを払いきるメドが立たないけれど記事は残します。
ソロツー遠征はムリかなぁ・・
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
うちの周りの公園にもトンボが出てきました。
動きが速すぎて、なんのトンボなのかは全く分からずです(笑)
by リュカ (2024-07-07 13:04)
こんにちは^^
イトトンボ、見られて嬉しいです。
綺麗なブルーに魅せられます♪
前回はゴマダラカミキリについて、ありがとうございました。あれからまた見かけましたので、飼育ケースに入れてよく観察しようと思って、取りに行っている内に逃げられました^^
by いろは (2024-07-07 17:42)
アカガネオサムシ、背中の線が立体的でカッコいいですね。
ヒョウタンゴミムシは、ツヤツヤヌメヌメした感じが素敵です。
お忙しいとは思いますが、後半楽しみにしています!
by 山健父 (2024-07-07 18:27)
アカガネオサムシさま、水に潜るとき、気門は閉じるんですよね。いつ拝見しても、背中の篆刻は見事ですね。セスジイトトンボさま、ずいぶんとサービス精神が旺盛ですこと!背中から尻尾の先まで、ゆっくり観察できました。
by 高和です。 (2024-07-08 09:26)
>リュカさん
種類がわかるともっと楽しくなりますよ♪
>いろはさん
セスジはイトトンボの中では大型なのでとくに見栄えがしますね♪
カミキリムシまた出てきたら教えてください^^
>山健父さん
本命も同じ線があります(笑)
後編もがんばります!ボウズに変わりないですが・・
>高和です。さん
さすがに水中で呼吸はできないと思います(笑)
セスジは誤同定してはいけないと思い、慎重に多角度で撮影しました。
by kon(昆) (2024-07-08 09:42)
セスジイトトンボの3枚目の写真。背面からの写真が、頭から尾の先
まで、とても美しいと思いました。尾の先の紋様が何か意味のある
マークのように見えておもしろいです^^;。
広々とした芦原が、気持ちよさそうで。
by sakamono (2024-07-08 20:52)
>sakamonoさん
尾の先の模様はオオイトトンボとよく似ていますので、オオイトトンボの仲間の特徴的模様です。
芦原は広すぎて・・・なかなか過酷でした・・・
by kon(昆) (2024-07-09 22:43)