"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
六月の外房巡り [探虫行]
遠征から帰ってきましたが、その報告の前に。
直前のフィールドワークのことを記録します。
この春から北総を中心にオサトラをかけて回っていましたが、外房にもトンパトのついでに。
そう、外房は空白およびハードルの高い地域があるのです。
6月13日、未明は雨が残っていたものの回復する予報だったので外房へ向けて出発。
前日に仕掛けたトラップを回収する前に、新規開拓の初訪のエリアへ。
外房に位置する長生村は山塊がなく、全域平らな田園地域。
小さな森が点在していますが、周りは田んぼや密度の低い住宅地。
比較的大きな堰の周辺が気になったので、そこを目標地点にしました。
のどかな田園地帯の中にあるのでトンボも期待したのですが、水がかなり濁っていてがっかり。
水辺に行ってしばらく眺めていましたが、畔を巡回しているコシアキとオオヤマが一頭いただけ。
いざ森へ入ろうとしても、民家や藪に阻まれて突入できない。
やっと見つけたアプローチはこんなところ。
藪化しつつある草地の周りに荒れた森がそれを囲むようにあります。
草地の中と林縁にトラップを仕掛けましたが、少し落ち葉をめくるとミミズが多数でした。
次はトンパトの対象エリアですが、アオオサ空白の地でもあるムツザワ。
初訪のこの池もちょっと期待していたのですが・・
もう長らく手入れがされていないと思われる散策路は荒れ放題。
水面を眺めても飛び交う生き物の姿がない。
落胆しつつも、池の奥の森へ向け、倒れ掛かる木の枝やクモの網をかいくぐりつつ進んでいると。
弱々しく舞い上がる影が見えたので、枝にとまるのを待って撮影。
羽化したてなので確と同定できませんが、とにかくトンボがいてくれて救われた気分に。
森の中は森の中で、土が露出した林縁はイノシシの蒐場になっていましたが、どうにかトラップを設置。
やぶ蚊に追われながら池を後にしました。
次はその隣のいすみへ。
前記事でひょっこりさんたちを撮影した場所へ向かう途中、気になっていた場所に寄り道。
レンコン栽培をしていると思われる蓮田です。
電気柵の外から水辺を見て回ると、しばらくしてやっとイトトンボを見つけました。
メスもいないかと2週目。
メスですが別種でした。
これは未成熟個体のメスで、現地では同定できなかったので、帰宅後に拡大して確認。
アオモンではありませんでした。
結局、いすみでは目立った収獲はありませんでした。(ひょっこりさんもナシ)
6月14日はオサムシ標本教室用の材料を仕入れに近所の川へ。
想定していましたが、この時期は端境期でアオオサはメス一頭しか採れませんでした。
でもお久しぶりの方がいくつか採れたので紹介します。
まずこれは、ひょっとして・・と思ったのですが普通種でした。
とはいえ、この種がここで採れたのははじめて。
同じくこの方も採れたのははじめてですが、トラップで採れるとは意外。
これはぜひ、二匹目のドジョウを狙いにまたパトロールに来なければ。
そして遠征前日の6月16日、長生村のトラップ回収に向かいました。
その途中、モハラのK293号線を走っていると看板が出ていたので寄ってみたのがこの遺構。
掩体壕(えんたいごう)という、戦時中、戦闘機を隠すために作られたものです。
実は扉の写真も近くにある別の掩体壕で、後ろ側から見た様子。(後ろにも人のための出入口がある)
モハラにはこれらの他にもいくつか残っているようです。
結局、長生村のポイントは不発。(ダンゴムシがカップにてんこ盛りでした)
ムツザワの池の奥の森ではなんとか一頭だけ採れました。
ホシベニ号へと戻る途中、池の畔の葉の上でぽつんと佇んでいる虫が。
ごく普通種(のはず)ですが、めっきり見かけなくなりました。
翌日の準備があるので早く帰りたかったのですが、帰り道にちょっとだけHFの様子を見に。
(日中ということもありますが)やはり西風ちゃんの姿は見られず。(ちょっと心配)
トンボはシオカラよりもむしろこっちの方が目立ちました。
田んぼの畔を歩いていると、すぐ近くの地面に舞い降りてきてくれたのは。
それと、ムツザワでも観察した、HFでは優占種のこのトンボがやっと出始めたようでした。
このトンボもここでは多く見られるはずですが、今年は少ない。(ちょっと心配)
色々と心配な気分になりつつも、遠征モードに気持ちを切り替えてHFを後にしました。
ムツザワの耕作放棄地にもトラップをかけたのですが、そこで見かけた虫を一つ記録しておきます。
見かけたのは一頭だけでした。
今日の湯加減
直前のフィールドワークのことを記録します。
この春から北総を中心にオサトラをかけて回っていましたが、外房にもトンパトのついでに。
そう、外房は空白およびハードルの高い地域があるのです。
6月13日、未明は雨が残っていたものの回復する予報だったので外房へ向けて出発。
前日に仕掛けたトラップを回収する前に、新規開拓の初訪のエリアへ。
外房に位置する長生村は山塊がなく、全域平らな田園地域。
小さな森が点在していますが、周りは田んぼや密度の低い住宅地。
比較的大きな堰の周辺が気になったので、そこを目標地点にしました。
のどかな田園地帯の中にあるのでトンボも期待したのですが、水がかなり濁っていてがっかり。
水辺に行ってしばらく眺めていましたが、畔を巡回しているコシアキとオオヤマが一頭いただけ。
いざ森へ入ろうとしても、民家や藪に阻まれて突入できない。
やっと見つけたアプローチはこんなところ。
藪化しつつある草地の周りに荒れた森がそれを囲むようにあります。
草地の中と林縁にトラップを仕掛けましたが、少し落ち葉をめくるとミミズが多数でした。
次はトンパトの対象エリアですが、アオオサ空白の地でもあるムツザワ。
初訪のこの池もちょっと期待していたのですが・・
もう長らく手入れがされていないと思われる散策路は荒れ放題。
水面を眺めても飛び交う生き物の姿がない。
落胆しつつも、池の奥の森へ向け、倒れ掛かる木の枝やクモの網をかいくぐりつつ進んでいると。
弱々しく舞い上がる影が見えたので、枝にとまるのを待って撮影。
オオアオイトトンボ ♀ (アオイトトンボ科)
羽化したてなので確と同定できませんが、とにかくトンボがいてくれて救われた気分に。
森の中は森の中で、土が露出した林縁はイノシシの蒐場になっていましたが、どうにかトラップを設置。
やぶ蚊に追われながら池を後にしました。
次はその隣のいすみへ。
前記事でひょっこりさんたちを撮影した場所へ向かう途中、気になっていた場所に寄り道。
レンコン栽培をしていると思われる蓮田です。
電気柵の外から水辺を見て回ると、しばらくしてやっとイトトンボを見つけました。
アオモンイトトンボ ♂ (イトトンボ科)
メスもいないかと2週目。
メスですが別種でした。
アジアイトトンボ ♀ (イトトンボ科)
これは未成熟個体のメスで、現地では同定できなかったので、帰宅後に拡大して確認。
アオモンではありませんでした。
同上
結局、いすみでは目立った収獲はありませんでした。(ひょっこりさんもナシ)
6月14日はオサムシ標本教室用の材料を仕入れに近所の川へ。
想定していましたが、この時期は端境期でアオオサはメス一頭しか採れませんでした。
でもお久しぶりの方がいくつか採れたので紹介します。
まずこれは、ひょっとして・・と思ったのですが普通種でした。
オオスナハラゴミムシ (オサムシ科)
とはいえ、この種がここで採れたのははじめて。
同じくこの方も採れたのははじめてですが、トラップで採れるとは意外。
オオアオゾウムシ (ゾウムシ科)
これはぜひ、二匹目のドジョウを狙いにまたパトロールに来なければ。
そして遠征前日の6月16日、長生村のトラップ回収に向かいました。
その途中、モハラのK293号線を走っていると看板が出ていたので寄ってみたのがこの遺構。
掩体壕(えんたいごう)という、戦時中、戦闘機を隠すために作られたものです。
実は扉の写真も近くにある別の掩体壕で、後ろ側から見た様子。(後ろにも人のための出入口がある)
モハラにはこれらの他にもいくつか残っているようです。
結局、長生村のポイントは不発。(ダンゴムシがカップにてんこ盛りでした)
ムツザワの池の奥の森ではなんとか一頭だけ採れました。
アオオサムシ ♀ (オサムシ科)
ホシベニ号へと戻る途中、池の畔の葉の上でぽつんと佇んでいる虫が。
キボシカミキリ ♂ (カミキリムシ科)
ごく普通種(のはず)ですが、めっきり見かけなくなりました。
翌日の準備があるので早く帰りたかったのですが、帰り道にちょっとだけHFの様子を見に。
(日中ということもありますが)やはり西風ちゃんの姿は見られず。(ちょっと心配)
トンボはシオカラよりもむしろこっちの方が目立ちました。
オオシオカラトンボ ♂ (トンボ科)
田んぼの畔を歩いていると、すぐ近くの地面に舞い降りてきてくれたのは。
コオニヤンマ ♂(サナエトンボ科)
それと、ムツザワでも観察した、HFでは優占種のこのトンボがやっと出始めたようでした。
オオアオイトトンボ ♂ (アオイトトンボ科)
このトンボもここでは多く見られるはずですが、今年は少ない。(ちょっと心配)
ニホンカワトンボ ♂ (カワトンボ科)
色々と心配な気分になりつつも、遠征モードに気持ちを切り替えてHFを後にしました。
オマケ
ムツザワの耕作放棄地にもトラップをかけたのですが、そこで見かけた虫を一つ記録しておきます。
コニワハンミョウ ♀ (オサムシ科)
見かけたのは一頭だけでした。
今日の湯加減
遠征にでかけた翌日から関東地方は雨となり、結局、平年よりも2週間遅く梅雨入りしました。
ところが雨があまり降らないなぁと思っていたら、突然の(梅雨らしくない)豪雨。
東海地方では線状降水帯が発生して、浸水や土砂崩れなどの災害が発生しました。
ともかく、もうすぐ7月。虫のトップシーズンに突入です。
次の遠征の計画は未定ですが、新しい相棒とどこかに旅に行きたいなぁ。
2024-06-29 20:00
nice!(11)
コメント(7)
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
こんにちは^^
いよいよトンボの季節になりましたね。
今年も拝見出来るのを楽しみにしていました。
相変わらず名前が覚えられず...^^
でも、見ているだけでも楽しいです。
今年は我が家ではゴマダラカミキリをやたらと見かけます。
モミジとユズにつくと聞いていますので、ビクビクしています。
by いろは (2024-06-30 16:36)
>いろはさん
今年もチバのレギュラーメンバーを紹介できればと思います。
ゴマダラはみかんやいちじくなど、さまざまな果樹を食害しますが、市街地ではなかなか見なくなりましたね・・
一方で外来種のツヤハダゴマダラカミキリが問題になっていますのでご注意ください。
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0907/tuyahadakamikiri.html
by kon(昆) (2024-07-02 10:52)
ダンゴムシがてんこ盛り、の言葉にちょっと笑いました^^;。
私も先日うちの庭でゴマダラを見たので↑にリンク先を見てみました。
漠然と見ていたのですが...たぶん在来種だと思うなぁ。
知らないうちにいろんな外来種が増えているのですね。
by sakamono (2024-07-02 21:22)
ミミズ多数のところにオサトラとは、効くんでしょうか?だって、樹液クヌギにバナナトラップ巻くようなもんでしょう?オオアオゾウムシさま、武骨者が多いゾウムシにしては整った色合い!お初にお目にかかります。そんななかで、キボシカミキリは見なくなりました。クワにウジャウジャ集ってたもんですが。考えたくありませんが、虫の個体数全体がへってるんでしょうか。
by 高和です。 (2024-07-04 10:48)
>sakamonoさん
ほんとに一晩でなみなみでした。
どういうわけか、在来種は減り、外来種は増えるという構図が多いですね・・
>高和です。さん
ミミズは動きますがトラップは動かないですからね。
里地里山でどんどん虫は減りつつあるとの話をよく耳にしますが、とくにこの数年のマイフィールドでの減り方は恐ろしいと思います。
HFのゼフしかり・・
by kon(昆) (2024-07-05 09:47)
キボシカミキリは昔はイチジクの木にいっぱいいましたが
ずっと見れてないです。
掩体壕はへんに整備されすぎずちゃんと残されているのが良いですね。
by 響 (2024-07-06 18:33)
>響さん
キボシもゴマダラも少なくなりましたね、、イチジクの木はあるのに・・
掩体壕は物置になってることもありますね^^;
by kon(昆) (2024-07-08 09:33)