"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
エゾオサ遠征 2023 Day4-5 [探虫行]
北海道遠征ログの最終回です。
いよいよ本格的なトラップ回収、つまり、本命の成果が判明します。
できる限りのことはしたつもりなので期待感は高まるばかりですが、何せはじめてのトライ。
同じくらい不安感も高まるのでした。

景色には常に癒されました。
ちょっと話が脱線しますが、初日以外は夕食と朝食の二食付きの宿泊プランでした。
写真は割愛しますが、朝食は和洋&デザートのバイキング、夕食は旅館の宴会料理のような献立でした。
特に夕食は北海道らしい山海の幸が供され、毎晩みんな食べるのが楽しみだったほど。
でも、この日は早朝出発だったので、朝食は例によって道中のセイコーマートで買い出ししたのでした。
(個人的にはセイコーマートのホットシェフにあるザンギにはまりっぱなしでした)
さて5月3日の早朝、ホテルを出発したTNSはセイコーマートに寄った後、様似町にまっしぐら。
沿岸の道路には昆布漁のミニクレーン付きの軽トラが多数見られ、砂浜で収穫している漁師の姿も。
この日の朝は干潮だったようです。

現地に着いたのは7時半頃。
まずは下流側のポイントに設置したトラップの回収に。
ドキドキしながらこの斜面を登っていきました。

ここは予定の数を仕掛けられたし、2泊させているので期待していました。
設置場所に着いてカップの様子を見ると、抜かれてもないように思えたのでさらに期待は高まる。
このエリアにはいつも使うプラカップではなく、インサートカップというコーヒー用の浅いのも使用。
深く穴を掘る必要がない反面、落ち葉や枝が入ると非難梯子になってしまうというデメリットも。
しかし中を覗くと、入っているのは黒いゴミムシばかり。

抜かれたものもなく、落ち葉などもほとんど入ってなかったのでトラップは有効だったのですが。
他に採れたのはシデムシの仲間とエンマコガネの仲間くらいでした。
がっかりしつつ斜面を下ると、他のメンバーもチェックし終わった様子。
みんな渋い顔をしているので成果が上がらなかったようでしたが、なんとTさんは採っていた。
本命のオオルリオサムシの一種です。

前胸が渋く緑色に染まり、鞘翅の条紋が美しい。
あまりに羨ましすぎて、写真を撮ったらさっさと目をそらしました。

さっさと車に乗り込んで、もう一つのポイントへ移動。
そこも斜面に仕掛けたのですが、ややガレた場所で予定の個数は設置できなかったのでちょっと心配。

藪ではないものの、獣道のような坂道を登りながらトラップをチェックしていきました。
ここもカップは健全な状態でしたが、中に入っているのはやはり黒いゴミムシばかり。

しかし、7個目か8個目だったと記憶する、崖の際に設置したこのカップに。

ついに入っていました。

歓喜のホイッスルを吹こうかと思ったほど。

嬉しさはもちろんですが、やっと今回の遠征の本命が採れたという安堵感の方が勝りました。
残念ながら他のメンバーは成果なし。
河原に降りて石を観察したり記念撮影したりと、渓谷の雰囲気を楽しんで気分を紛らすTNSでした。

まあ少ないながらも成果があってよかった。

車で山を下り、扉の写真の辺りで小休止することにしました。
橋の写真を撮っていると、足元にタヌキの溜め糞を発見。
ちょいちょいとほじくると、小さな糞虫がぽつぽつと。

みんなで取り囲んでほじほじしていたのですが、横から変なものが飛び出してきた。

何故こんなところにあったのかは不明ですが、糞ほじりには最適?だったかも。
この後、車で山を下っていると、時折また蝶が舞い上がったり横切ったりするので一旦停車。
ついでに周りの様子を見たりしていると、こっちの方がいいポイントだったかもという場所も。

もしまた来る機会があればここに仕掛けたい。
何となくそろそろ出発しなくてはという雰囲気になり、皆が車へと戻っているとき。
前を歩いていたHくん目掛けてキベリが飛んできたので、後ろから追い抜きざまにネットイン。

静内へ戻る途中、またセイコーマートで昼食を調達して食べながら、昆布街道を走っていきます。
今度は寄り道せずに、設置ポイントへ着いたら各自トラップチェック。
結果的に本命は誰も採れなかったのですが、唯一落ちたオサムシはこちら。

クロオサムシは北海道南部から甲信越地方まで広く分布していますが、これはいわゆる日高亜種。
アカガネ色が多い同種の中で、この亜種は真っ黒いのが特徴かと。
オサムシではないけれど、この子たちは入ってくれるのを期待していた。

計3頭(1♂、2♀)とれました。

これは帰着してから撮影したピンクちゃんですが、写真だとその色をうまく撮れませんでした。

陽が高いうちは蝶を探そうと、また例の谷戸へ移動しました。
Tさんがロストしたタッパーが見つかるかもしれないということもあり。
前回までは登らなかった丘の上にも行ってみました。

しかし陽射しがないせいか、虫影が一つもない。

アカマダラがいた沢まで降りると、フキの葉の上にやっといたのは蝶ではなく蛾でした。
でもちょっと見かけない姿。

草原でしばらく蝶探しをして、クジャクやエルを追加することができました。(写真なし)

この日最後のトラップ回収に新冠まで移動。
連日で、まるで通勤路とも思える林道をまっしぐら。
ポイントに着いたら、イスからチェック開始。

かなり期待はしていたのですが、それとは裏腹にショッキングな現実が待っていました。
仕掛けたトラップはほとんど抜かれていました。(抜去率95%)
しかも、穴の傍にカップが立っているものも少なくありませんでした。
忌避剤に慣れてしまったのか、効かない別の動物なのか真相は不明です。
でもニンゲンの仕業とは考えられないのでした。
とにかくカップがほぼ全て抜かれているということは、トラップを仕掛けていないのと同じこと。
成果はゼロでした。
他のメンバーも成果は上がらなかったものの、Kさんが本命ではないオサムシを落としたのみ。
まだ3時前だったので、ここでもフリーの昆虫採集タイムとなりました。
気温も低かったので、現れた蝶はほんのわずか。
これは定番の越冬明けの蝶ですが、この地で採れると”エゾ”を付けたくなる。

少し下流にある土場にも行ってみましたが、材木には何も見当たらず。
土場のブル道を登り、丘の上にも行ってみましたが笹原が広がっているだけでした。
その丘に咲いていたスミレにも”エゾ”を付けたい。

一応別アングルでも。

沢まで戻って、気まぐれに朽木崩しをしたら・・赤いのがいくつか出てきました。
体長は10~12mm。アカコメツキに似ていますが、北海道には分布していないとされていますので。

北海道にも分布するカバイロコメツキに似ているのですが、手元の図鑑では体長10mmとある。

結局ここでは惨敗のTNS。
ならば憂さ晴らしだとばかりに、夕食の後、夜の昆虫採集をしに砂浜へ向かいました。
やっぱり海浜性の昆虫たちは夜行性が多く、砂の上を歩いている子をすぐに発見。

その他、ゾウムシ、ゴミダマ、ハネカクシの仲間などを多数観察。
カメラの電池がなくなったので写真なしですが、このゴミダマはお連れしてから撮影したものを。

本州北部から北海道、千島列島やカムチャッカまで分布しているとのこと。
体長は約6mmと小さいですが、いちじるしい斑紋の個体変異があって、とても気に入りました。

特に斑紋が多数あるものは、ハマダンゴムシの模様にそっくり、というか擬態しているんじゃないかと。

つばなれしないようにリリースするのが辛かったけれど、昼間の憂さはきれいに晴れました。
これより小さい、わずか3mmほどのコホネゴミダマも多数いました。

さあ、とうとう採集日の最終日となりました。
5月4日、この日は帰り支度もあるので朝食が食べられる時刻に起きて、ベースキャンプホテルを後に。
苫小牧方面に戻りつつ、トラップを仕掛けた厚真町を目指します。
地点登録していたので迷うことなく1時間ほどでポイントの丘陵地に到着。
さっそく散開してそれぞれのトラップのチェックをしに。
確認し始めたときからガックリの状況が分かりました。
カップの半分ほどは抜かれていたのです。
抜かれなかったのに入っていたのはセンチコガネとシデムシばかり。

その他には黒いゴミムシばかり。

近くに転がっていた抜かれたカップもとっとと回収して車へ。
他のメンバーのカップは被害が少なかったようで、それぞれ収穫あり。

これも渋い色。

仕掛けた場所のせいなのか、ベイトの種類なのか、分析するにはデータが不足している。
少し周辺の散策もすることになり、カラマツ林の中をふらふらと彷徨いました。

ひょっとしたらオオルリが歩いていないかと甘い期待は裏切られましたが、エゾのトンボは見られた。

林の中に越冬明けの子たちが大勢いました。

HくんとTさんとも合流して散策をしていると、林の中にもう一種、エゾらしいのが。

とにかく一人ボウズでガックリでしたが、最後のポイントに期待して再出発しました。

例によってセイコーマート食を摂取しつつ、ポイントの入口に着いたらすぐに行動開始。
林の中を川沿いに30分ほど歩いていくと、湿地帯の外縁と思われる場所に出ます。
Day0-1編で紹介したとおり、皆は芦原の中に仕掛けたのですが、へそ曲がりは湿地の外縁の道沿いに。
設置ポイントまで辿り着くと、もっともショッキングな光景が。

まるで半分ひっくり返した、途中まで焼けたタコヤキのようです。(白いけど)
テンションがゼロになりましたが、回収はしなくてはならないのでズブズブの泥地に入りました。
またもや抜去率95%で、もちろん成果なし。

項垂れつつ芦原の出口まで戻ると、しゃがんでトラップを回収しているHくんの姿が見えました。
惨敗の中間報告をしながら近寄ると、何か収獲があったようで取り込み中。
ほんとは見ちゃダメですが、すぐ近くに仕掛けてあった別のカップを覗くと。
満塁ホームラン。

もちろん、本人が中を見るまで口をつぐんでましたが、中を見たHくんは歓喜の雄叫びを上げました。
あげるよと優しい(余裕の)言葉をかけてくれましたが、まだ林の中のトラップがある。
二人で期待しつつシラカバ林まで歩いて行きました。
残念ながら林の中のカップも半分ほど抜かれていたのですが、どうにか成果がありました。
落ちてから日にちが経っているのでしょう、★になっていましたが。

残ったカップに辛うじてもう一つだけ落ちていて、しかもオスだったのでラッキーでした。
エゾ特産でもあるし、とても渋くて好みのタイプ。

二人で芦原まで戻り、今度はHくんが、へそ曲がりに付き合った湿地の外縁のトラップ回収。
やっぱりここは成果なしのようでした。


芦原の入口に全員集合して成果報告しあったら、林の中を探索しながら撤収開始。
そういえば、3日前にトラップを仕掛けた日には見かけなかった花が咲いていました。

季節が確実に歩を進めているのがわかりました。
最後に林の入口付近に仕掛けたトラップも回収。
エゾマイマイ狙いでしたが、あいにく成果はなかったものの、セアカオサムシが一つ落ちていました。
結局ここでは誰もオオルリは採れませんでしたが、セスジアカガネは全員採れて大団円。
まだ帰りの飛行機にはちょっと余裕があったので、一か所だけ観光地に立ち寄りました。

さっきの湿原で舞いながら独特の声で鳴いていたオオジシギがいないかと思いましたが見当たらず。
というよりも、鳥の姿はほとんど見られませんでした。
トイレで着替えして、ついでに駐車場で荷物の整理をし、レンタカーを返却して空港へ。
小腹が空いたのでロビーでゆっくりと北海道食を味わって帰京しました。
このアドベンチャー探虫で大活躍したレンタカー。
理由は忘れましたが、Tさんが「マリカ号」と呼んでいたのですが・・そんなカワイイ感じではない。

さすがに返却する前に寄ったガソリンスタンドで洗車しました。
今日の湯加減
いよいよ本格的なトラップ回収、つまり、本命の成果が判明します。
できる限りのことはしたつもりなので期待感は高まるばかりですが、何せはじめてのトライ。
同じくらい不安感も高まるのでした。

景色には常に癒されました。
ちょっと話が脱線しますが、初日以外は夕食と朝食の二食付きの宿泊プランでした。
写真は割愛しますが、朝食は和洋&デザートのバイキング、夕食は旅館の宴会料理のような献立でした。
特に夕食は北海道らしい山海の幸が供され、毎晩みんな食べるのが楽しみだったほど。
でも、この日は早朝出発だったので、朝食は例によって道中のセイコーマートで買い出ししたのでした。
(個人的にはセイコーマートのホットシェフにあるザンギにはまりっぱなしでした)
さて5月3日の早朝、ホテルを出発したTNSはセイコーマートに寄った後、様似町にまっしぐら。
沿岸の道路には昆布漁のミニクレーン付きの軽トラが多数見られ、砂浜で収穫している漁師の姿も。
この日の朝は干潮だったようです。

現地に着いたのは7時半頃。
まずは下流側のポイントに設置したトラップの回収に。
ドキドキしながらこの斜面を登っていきました。

ここは予定の数を仕掛けられたし、2泊させているので期待していました。
設置場所に着いてカップの様子を見ると、抜かれてもないように思えたのでさらに期待は高まる。
このエリアにはいつも使うプラカップではなく、インサートカップというコーヒー用の浅いのも使用。
深く穴を掘る必要がない反面、落ち葉や枝が入ると非難梯子になってしまうというデメリットも。
しかし中を覗くと、入っているのは黒いゴミムシばかり。

未同定
抜かれたものもなく、落ち葉などもほとんど入ってなかったのでトラップは有効だったのですが。
他に採れたのはシデムシの仲間とエンマコガネの仲間くらいでした。
がっかりしつつ斜面を下ると、他のメンバーもチェックし終わった様子。
みんな渋い顔をしているので成果が上がらなかったようでしたが、なんとTさんは採っていた。
本命のオオルリオサムシの一種です。

サッポロクビナガオサムシ ♂ (オサムシ科)
前胸が渋く緑色に染まり、鞘翅の条紋が美しい。
あまりに羨ましすぎて、写真を撮ったらさっさと目をそらしました。

さっさと車に乗り込んで、もう一つのポイントへ移動。
そこも斜面に仕掛けたのですが、ややガレた場所で予定の個数は設置できなかったのでちょっと心配。

藪ではないものの、獣道のような坂道を登りながらトラップをチェックしていきました。
ここもカップは健全な状態でしたが、中に入っているのはやはり黒いゴミムシばかり。

未同定
しかし、7個目か8個目だったと記憶する、崖の際に設置したこのカップに。

ついに入っていました。

歓喜のホイッスルを吹こうかと思ったほど。

サッポロクビナガオサムシ ♂ (オサムシ科)
嬉しさはもちろんですが、やっと今回の遠征の本命が採れたという安堵感の方が勝りました。
残念ながら他のメンバーは成果なし。
河原に降りて石を観察したり記念撮影したりと、渓谷の雰囲気を楽しんで気分を紛らすTNSでした。

まあ少ないながらも成果があってよかった。

車で山を下り、扉の写真の辺りで小休止することにしました。
橋の写真を撮っていると、足元にタヌキの溜め糞を発見。
ちょいちょいとほじくると、小さな糞虫がぽつぽつと。

クロマルエンマコガネ ♂ (コガネムシ科)
みんなで取り囲んでほじほじしていたのですが、横から変なものが飛び出してきた。

何故こんなところにあったのかは不明ですが、糞ほじりには最適?だったかも。
この後、車で山を下っていると、時折また蝶が舞い上がったり横切ったりするので一旦停車。
ついでに周りの様子を見たりしていると、こっちの方がいいポイントだったかもという場所も。

もしまた来る機会があればここに仕掛けたい。
何となくそろそろ出発しなくてはという雰囲気になり、皆が車へと戻っているとき。
前を歩いていたHくん目掛けてキベリが飛んできたので、後ろから追い抜きざまにネットイン。

静内へ戻る途中、またセイコーマートで昼食を調達して食べながら、昆布街道を走っていきます。
今度は寄り道せずに、設置ポイントへ着いたら各自トラップチェック。
結果的に本命は誰も採れなかったのですが、唯一落ちたオサムシはこちら。

クロオサムシ ♀ (オサムシ科)
クロオサムシは北海道南部から甲信越地方まで広く分布していますが、これはいわゆる日高亜種。
アカガネ色が多い同種の中で、この亜種は真っ黒いのが特徴かと。
オサムシではないけれど、この子たちは入ってくれるのを期待していた。

オオセンチコガネ (センチコガネ科)
計3頭(1♂、2♀)とれました。

同上
これは帰着してから撮影したピンクちゃんですが、写真だとその色をうまく撮れませんでした。

同上
陽が高いうちは蝶を探そうと、また例の谷戸へ移動しました。
Tさんがロストしたタッパーが見つかるかもしれないということもあり。
前回までは登らなかった丘の上にも行ってみました。

しかし陽射しがないせいか、虫影が一つもない。

アカマダラがいた沢まで降りると、フキの葉の上にやっといたのは蝶ではなく蛾でした。
でもちょっと見かけない姿。

未同定
草原でしばらく蝶探しをして、クジャクやエルを追加することができました。(写真なし)

この日最後のトラップ回収に新冠まで移動。
連日で、まるで通勤路とも思える林道をまっしぐら。
ポイントに着いたら、イスからチェック開始。

かなり期待はしていたのですが、それとは裏腹にショッキングな現実が待っていました。
仕掛けたトラップはほとんど抜かれていました。(抜去率95%)
しかも、穴の傍にカップが立っているものも少なくありませんでした。
忌避剤に慣れてしまったのか、効かない別の動物なのか真相は不明です。
でもニンゲンの仕業とは考えられないのでした。
とにかくカップがほぼ全て抜かれているということは、トラップを仕掛けていないのと同じこと。
成果はゼロでした。
他のメンバーも成果は上がらなかったものの、Kさんが本命ではないオサムシを落としたのみ。
まだ3時前だったので、ここでもフリーの昆虫採集タイムとなりました。
気温も低かったので、現れた蝶はほんのわずか。
これは定番の越冬明けの蝶ですが、この地で採れると”エゾ”を付けたくなる。

(エゾ)ルリタテハ (タテハチョウ科)
少し下流にある土場にも行ってみましたが、材木には何も見当たらず。
土場のブル道を登り、丘の上にも行ってみましたが笹原が広がっているだけでした。
その丘に咲いていたスミレにも”エゾ”を付けたい。

(エゾ)タチツボスミレ ?
一応別アングルでも。

同上
沢まで戻って、気まぐれに朽木崩しをしたら・・赤いのがいくつか出てきました。
体長は10~12mm。アカコメツキに似ていますが、北海道には分布していないとされていますので。

(エゾ)アカコメツキ ? (コメツキムシ科)
北海道にも分布するカバイロコメツキに似ているのですが、手元の図鑑では体長10mmとある。

結局ここでは惨敗のTNS。
ならば憂さ晴らしだとばかりに、夕食の後、夜の昆虫採集をしに砂浜へ向かいました。
やっぱり海浜性の昆虫たちは夜行性が多く、砂の上を歩いている子をすぐに発見。

ヒョウタンゴミムシ (オサムシ科)
その他、ゾウムシ、ゴミダマ、ハネカクシの仲間などを多数観察。
カメラの電池がなくなったので写真なしですが、このゴミダマはお連れしてから撮影したものを。

ホネゴミムシダマシ (ゴミムシダマシ科)
本州北部から北海道、千島列島やカムチャッカまで分布しているとのこと。
体長は約6mmと小さいですが、いちじるしい斑紋の個体変異があって、とても気に入りました。

同上
特に斑紋が多数あるものは、ハマダンゴムシの模様にそっくり、というか擬態しているんじゃないかと。

同上
つばなれしないようにリリースするのが辛かったけれど、昼間の憂さはきれいに晴れました。
これより小さい、わずか3mmほどのコホネゴミダマも多数いました。

さあ、とうとう採集日の最終日となりました。
5月4日、この日は帰り支度もあるので朝食が食べられる時刻に起きて、ベースキャンプホテルを後に。
苫小牧方面に戻りつつ、トラップを仕掛けた厚真町を目指します。
地点登録していたので迷うことなく1時間ほどでポイントの丘陵地に到着。
さっそく散開してそれぞれのトラップのチェックをしに。
確認し始めたときからガックリの状況が分かりました。
カップの半分ほどは抜かれていたのです。
抜かれなかったのに入っていたのはセンチコガネとシデムシばかり。

センチコガネ(センチコガネ科)、カバイロヒラタシデムシ(シデムシ科)
その他には黒いゴミムシばかり。

近くに転がっていた抜かれたカップもとっとと回収して車へ。
他のメンバーのカップは被害が少なかったようで、それぞれ収穫あり。

オオルリオサムシ ♂ (オサムシ科)
これも渋い色。

同上 ♀
仕掛けた場所のせいなのか、ベイトの種類なのか、分析するにはデータが不足している。
少し周辺の散策もすることになり、カラマツ林の中をふらふらと彷徨いました。

ひょっとしたらオオルリが歩いていないかと甘い期待は裏切られましたが、エゾのトンボは見られた。

ホソミオツネントンボ ♂ (アオイトトンボ科)
林の中に越冬明けの子たちが大勢いました。

同上 ♀
HくんとTさんとも合流して散策をしていると、林の中にもう一種、エゾらしいのが。

エゾリス
とにかく一人ボウズでガックリでしたが、最後のポイントに期待して再出発しました。

例によってセイコーマート食を摂取しつつ、ポイントの入口に着いたらすぐに行動開始。
林の中を川沿いに30分ほど歩いていくと、湿地帯の外縁と思われる場所に出ます。
Day0-1編で紹介したとおり、皆は芦原の中に仕掛けたのですが、へそ曲がりは湿地の外縁の道沿いに。
設置ポイントまで辿り着くと、もっともショッキングな光景が。

まるで半分ひっくり返した、途中まで焼けたタコヤキのようです。(白いけど)
テンションがゼロになりましたが、回収はしなくてはならないのでズブズブの泥地に入りました。
またもや抜去率95%で、もちろん成果なし。

項垂れつつ芦原の出口まで戻ると、しゃがんでトラップを回収しているHくんの姿が見えました。
惨敗の中間報告をしながら近寄ると、何か収獲があったようで取り込み中。
ほんとは見ちゃダメですが、すぐ近くに仕掛けてあった別のカップを覗くと。
満塁ホームラン。

もちろん、本人が中を見るまで口をつぐんでましたが、中を見たHくんは歓喜の雄叫びを上げました。
あげるよと優しい(余裕の)言葉をかけてくれましたが、まだ林の中のトラップがある。
二人で期待しつつシラカバ林まで歩いて行きました。
残念ながら林の中のカップも半分ほど抜かれていたのですが、どうにか成果がありました。
落ちてから日にちが経っているのでしょう、★になっていましたが。

セスジアカガネオサムシ ♀ (オサムシ科)
残ったカップに辛うじてもう一つだけ落ちていて、しかもオスだったのでラッキーでした。
エゾ特産でもあるし、とても渋くて好みのタイプ。

同上 ♂ (Hくんにもらったやつ)
二人で芦原まで戻り、今度はHくんが、へそ曲がりに付き合った湿地の外縁のトラップ回収。
やっぱりここは成果なしのようでした。


芦原の入口に全員集合して成果報告しあったら、林の中を探索しながら撤収開始。
そういえば、3日前にトラップを仕掛けた日には見かけなかった花が咲いていました。

フデリンドウ
季節が確実に歩を進めているのがわかりました。
最後に林の入口付近に仕掛けたトラップも回収。
エゾマイマイ狙いでしたが、あいにく成果はなかったものの、セアカオサムシが一つ落ちていました。
結局ここでは誰もオオルリは採れませんでしたが、セスジアカガネは全員採れて大団円。
まだ帰りの飛行機にはちょっと余裕があったので、一か所だけ観光地に立ち寄りました。

ウトナイ湖
さっきの湿原で舞いながら独特の声で鳴いていたオオジシギがいないかと思いましたが見当たらず。
というよりも、鳥の姿はほとんど見られませんでした。
トイレで着替えして、ついでに駐車場で荷物の整理をし、レンタカーを返却して空港へ。
小腹が空いたのでロビーでゆっくりと北海道食を味わって帰京しました。
オマケ
このアドベンチャー探虫で大活躍したレンタカー。
理由は忘れましたが、Tさんが「マリカ号」と呼んでいたのですが・・そんなカワイイ感じではない。

さすがに返却する前に寄ったガソリンスタンドで洗車しました。
今日の湯加減
本命の成果は渋かったですが、夢のようなエゾツアーでした。
最初の内は蝶なんか採らないつもりでしたが、網を振ると楽しくなって成果もそこそこ。
虫以外にもここには書けない楽しいことや、逆にきびしい試練もありましたが最高の旅でした。
この場を借りてあらためて、メンバーのみなさんに感謝します。
ただ、経験値はかなり積み上げたので、またいつか、違うエリアも含めて再訪したい。
そんな気分に浸っていましたが、リバウンドも来たし、久しぶりに風邪もひきました。
オマケに突然スマホが調子悪くなり、じっと寝ているわけにもいかずにバタバタしているところ。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
探虫エゾ遠征記、楽しく拝読しました。セダカアカガネオサムシ、シブいですね。きらびやかなオオルリとは好対照です。次回の遠征では昆さんの捲土重来が成りますよう。
by 高和です。 (2023-05-21 09:10)
あまり成果が上がらなかった様子の文章がずっと続いたので、
「満塁ホームラン」の写真に、思わずうなりました^^;。
背中の彫金したような凹凸が美しいです。
サッポロクビナガオサムシは、「サッポロ」と名についているだけに
この地にしかいない虫なのですね。採取、おめでとうございます。
by sakamono (2023-05-21 11:43)
こんにちは^^
玉虫色と仰ったのはオオセンチコガネでしょうか...?
とても綺麗な色合いですね♪
エゾリスが可愛いです。
フデリンドウが素敵過ぎます^^
風邪はもう大丈夫でしょうか...
お大事になさってください。
by いろは (2023-05-21 19:02)
>sakamonoさん
まさにその彫刻のような鞘翅が美しいですね。
サッポクビナガの”サッポロ”は厳密には命名時の採集地名の間違いです。
でもそれは命名あるあるなので・・^^
>いろはさん
そうです、玉虫色にグラデーションする個体ですね。
北海道はまだ早春でしたので、季節の進行がわかりました。
by kon(昆) (2023-05-22 21:14)
サッポロクビナガ、おめでとうございます!
サッポロなのに、日高地方のようですね(笑)
セイコマ、私もバイクツーリングの際、ハマりました。
レンチンしてくれる鮭おにぎりがめちゃ旨くてそればかり食べてましたよ。
北海道は真夏でも山地で降ると一気に気温が下がるので凍えますよね。
一度お盆に凍え死にしそうになりました。
by 山健父 (2023-05-28 08:57)