"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
空白を埋めろ Chal.12 [オサムシ]
まだまだ続く「空白を埋めろシリーズ」、まだまだたくさんある空白。
開発などによる環境変化と、おそらく化学物質による土壌変化と、それらによる餌資源の減少。
広域でみると虫に限らず小動物が増えていく可能性はないように思えてなりません。
なので時間との競争の危機感が高まるわけで。
採れるとうれしいわけで。
2月25日、今回のターゲットエリアはソデガウラ。前々回のリベンジです。
GoogleMapリサーチの結果、厳選した地点を目的地に設定して出発しました。
通り慣れたR16からK24久留里街道というルートを辿り、ソデガウラの最深部へ向かいます。
しかし、ここ数年の間の道路新設にナビが追い付いていないせいで、なかなか目的地に近づけない。
ならば現場合わせだと、コンチューターをナビにして、勘を頼りに山道に進入しました。
未舗装の細い道を辿り、部落ともいえないような数軒の民家を横切り、元は畑地だった丘の上を通過。
こんな分岐も勘を頼りに進行方向を決めて進んでいると。
どこかで見たような光景が広がりました。
なんと、そこは前々回(2月18日)偶然辿り着いた森の中でした。
その時掘った崖は掘り尽くしていたので試掘はせず。
別のルートから進入した際に小崖を見かけた場所へ移動しました。
小崖はなさそうですが、笹や落ち葉に隠された奥に土壁があったのです。
軽トラも通るのがやっとの山道というか廃道にベニシジミ号を停車。
笹を掻き分けて土壁にとりつきました。
高低差はなく、木の根もありますが、土質はいい。
笹が日除けになっているので乾燥せずに適度な湿度があり、土の固さもちょうどいい。
こういうところは出る。
数は少ないものの順調に出る。
よく似ていますが、ちょっとレアなのも出る。
そしてついに、ミッションクリアの瞬間が。
ゴミムシが出れば、本命も出るべくして出たというところです。
しかも、この個体はミニサイズでした。
体長約25ミリ。ソデガウララベルはギュッとつまった感じがして美しい個体でした。
追加はならず、ベニシジミ号に乗り、森を抜け、坂を下ったところでメモとしてポイント入口の記録。
お昼も近くなったので腹ごしらえしたいとMapを見たら、ここの近くだということが分かりました。
今回はUFO麺ではなく普通のタンメンを食べました。
午後は別の目星を付けていたエリアへ向かいました。
一か所目は行ってみると墓地公園だったのでとっととUターン。
二か所目はアプローチが分かりにくかったものの、やっと小さな谷戸を発見。
舗装されているものの車両の往来がなさそうな細い道を辿ると、ここが谷戸への入口らしい。
ベニシジミ号を停め、歩いて突入してみると、あっけなく行き止まりに。
荒涼とした風景を見た瞬間、踵を返しました。
他に谷戸の中への道はなさそうだったので、来た道をベニシジミ号で引き返していると。
道路脇の林縁に崖があることに気が付きました。
道路沿いの崖は期待薄ではあるものの、ダメモトで試掘してみることに。
土質自体は良好でしたが案の定指標虫すら出ません。
ところが、しばらくカニ歩きしていると、何かの顔が出ました。
オサムシではないことはすぐ分かりましたが、何だこれは?と思いつつ、慎重に掘り出すと。
なんとそれは、センチコガネでした。
こんな生態を観察したことは初めてでしたが、あとで調べてみたら観察記録はありました。
(しかも県博のS先生の観察記録でした)
それにしても、こんな崖地の、しかも浅い位置に潜って越冬するとは意外でした。
本命も出ないかと、しばらく粘りましたが、やはり指標虫も出ない状況が続きました。
少し離れた場所にも高い崖があったので、試掘しましたが、出たのはたった一つだけ。
掘れる場所はまだありましたが、本命は出そうな気がしないし、もう一か所行きたかったので離脱。
そこはキサラヅとの市境にある比較的大きな谷戸。
ところが意外にもアプローチが見つかりませんでした。
療養施設の敷地や工事現場に阻まれて近づけない。
やっと県道に面した空き地の奥に道らしきものがあるのが分かり、ベニシジミ号を停めて歩いて突入。
途中、人工的に崩されたと思われる高い崖地がありましたが、ガチガチに乾燥していました。
それでも親分が一つ出ました。
台地のような丘の上に上がってみると、谷戸の全容がわかりました。
木材の伐採クズが一面に敷き詰められていますが、何の開発なのかは不明。
せっかくなので行けるところまで奥に進んでみると、谷戸の上流の様子も分かりました。
これは進入不能だし、崖地もないと思われ、トボトボと引き返しました。
敷地内にあった廃屋と思しき家に何故か黒い犬がいて、坂を下りている途中、丘の上から吠えられました。
まだ夕方でもない時間でしたが、テンションが急落したので帰路につくことに。
それでも帰り道の途中に見つけた小さな谷戸に入ってみました。
一番奥の坂道を上がったところの作業小屋で行き止まり。
さらに最後の悪あがきというか、せっかくなのでもう一か所寄り道。
そこはルイスオサの実績地でしたが、乾燥が進んでいて一頭も出ませんでした。
現場写真を撮る気分にもならないほど、さらにテンションは下がり、この日はゲームセット。
予告になると思いますが、今週はこのお尻を探しにいきました。
正体は次記事にて。
今日の湯加減
開発などによる環境変化と、おそらく化学物質による土壌変化と、それらによる餌資源の減少。
広域でみると虫に限らず小動物が増えていく可能性はないように思えてなりません。
なので時間との競争の危機感が高まるわけで。
アオオサムシ ♂ (オサムシ科)
採れるとうれしいわけで。
2月25日、今回のターゲットエリアはソデガウラ。前々回のリベンジです。
GoogleMapリサーチの結果、厳選した地点を目的地に設定して出発しました。
通り慣れたR16からK24久留里街道というルートを辿り、ソデガウラの最深部へ向かいます。
しかし、ここ数年の間の道路新設にナビが追い付いていないせいで、なかなか目的地に近づけない。
ならば現場合わせだと、コンチューターをナビにして、勘を頼りに山道に進入しました。
未舗装の細い道を辿り、部落ともいえないような数軒の民家を横切り、元は畑地だった丘の上を通過。
こんな分岐も勘を頼りに進行方向を決めて進んでいると。
どこかで見たような光景が広がりました。
なんと、そこは前々回(2月18日)偶然辿り着いた森の中でした。
その時掘った崖は掘り尽くしていたので試掘はせず。
別のルートから進入した際に小崖を見かけた場所へ移動しました。
小崖はなさそうですが、笹や落ち葉に隠された奥に土壁があったのです。
軽トラも通るのがやっとの山道というか廃道にベニシジミ号を停車。
笹を掻き分けて土壁にとりつきました。
高低差はなく、木の根もありますが、土質はいい。
笹が日除けになっているので乾燥せずに適度な湿度があり、土の固さもちょうどいい。
こういうところは出る。
コガシラアオゴミムシ (オサムシ科)
数は少ないものの順調に出る。
キボシアオゴミムシ (オサムシ科)
よく似ていますが、ちょっとレアなのも出る。
アトボシアオゴミムシ (オサムシ科)
そしてついに、ミッションクリアの瞬間が。
ゴミムシが出れば、本命も出るべくして出たというところです。
アオオサムシ ♂ (オサムシ科)
しかも、この個体はミニサイズでした。
同上
体長約25ミリ。ソデガウララベルはギュッとつまった感じがして美しい個体でした。
追加はならず、ベニシジミ号に乗り、森を抜け、坂を下ったところでメモとしてポイント入口の記録。
お昼も近くなったので腹ごしらえしたいとMapを見たら、ここの近くだということが分かりました。
今回はUFO麺ではなく普通のタンメンを食べました。
午後は別の目星を付けていたエリアへ向かいました。
一か所目は行ってみると墓地公園だったのでとっととUターン。
二か所目はアプローチが分かりにくかったものの、やっと小さな谷戸を発見。
舗装されているものの車両の往来がなさそうな細い道を辿ると、ここが谷戸への入口らしい。
ベニシジミ号を停め、歩いて突入してみると、あっけなく行き止まりに。
荒涼とした風景を見た瞬間、踵を返しました。
他に谷戸の中への道はなさそうだったので、来た道をベニシジミ号で引き返していると。
道路脇の林縁に崖があることに気が付きました。
道路沿いの崖は期待薄ではあるものの、ダメモトで試掘してみることに。
土質自体は良好でしたが案の定指標虫すら出ません。
ところが、しばらくカニ歩きしていると、何かの顔が出ました。
オサムシではないことはすぐ分かりましたが、何だこれは?と思いつつ、慎重に掘り出すと。
なんとそれは、センチコガネでした。
センチコガネ ♂ (センチコガネ科)
こんな生態を観察したことは初めてでしたが、あとで調べてみたら観察記録はありました。
(しかも県博のS先生の観察記録でした)
それにしても、こんな崖地の、しかも浅い位置に潜って越冬するとは意外でした。
本命も出ないかと、しばらく粘りましたが、やはり指標虫も出ない状況が続きました。
少し離れた場所にも高い崖があったので、試掘しましたが、出たのはたった一つだけ。
キボシアオゴミムシ (オサムシ科)
掘れる場所はまだありましたが、本命は出そうな気がしないし、もう一か所行きたかったので離脱。
そこはキサラヅとの市境にある比較的大きな谷戸。
ところが意外にもアプローチが見つかりませんでした。
療養施設の敷地や工事現場に阻まれて近づけない。
やっと県道に面した空き地の奥に道らしきものがあるのが分かり、ベニシジミ号を停めて歩いて突入。
途中、人工的に崩されたと思われる高い崖地がありましたが、ガチガチに乾燥していました。
それでも親分が一つ出ました。
スジアオゴミムシ (オサムシ科)
台地のような丘の上に上がってみると、谷戸の全容がわかりました。
木材の伐採クズが一面に敷き詰められていますが、何の開発なのかは不明。
せっかくなので行けるところまで奥に進んでみると、谷戸の上流の様子も分かりました。
これは進入不能だし、崖地もないと思われ、トボトボと引き返しました。
敷地内にあった廃屋と思しき家に何故か黒い犬がいて、坂を下りている途中、丘の上から吠えられました。
まだ夕方でもない時間でしたが、テンションが急落したので帰路につくことに。
それでも帰り道の途中に見つけた小さな谷戸に入ってみました。
一番奥の坂道を上がったところの作業小屋で行き止まり。
さらに最後の悪あがきというか、せっかくなのでもう一か所寄り道。
そこはルイスオサの実績地でしたが、乾燥が進んでいて一頭も出ませんでした。
現場写真を撮る気分にもならないほど、さらにテンションは下がり、この日はゲームセット。
オマケ
予告になると思いますが、今週はこのお尻を探しにいきました。
正体は次記事にて。
今日の湯加減
啓蟄を過ぎてから暖かい日が続いています。
室内飼育のセンチコガネは土中から出てきましたが、オオセンチたちはまだ顔を出しません。
とにかく、そろそろ今年も飼育実験のスタートです。
室内越冬個体たちが皆生きているとは限らないので、春になったら実験試料を採りに行かなくては。
でもまだもう少しオサホリもできるので空白も埋めたい。
本編のセンチコガネの土中越冬態も昆虫誌に投稿したい。
忙しい。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
開発との時間競争、首都圏での昆虫趣味の宿命でしょうか。年々少なくなる種類と個体数。反対に殖える一方の「採集制限の法・条例」。高和の初遠征で受けた「採っちゃ駄目だよ」の今思えばいいがかりと、背後で稼働していたビーナスラインの建設重機。爾来60余年がすぎ、少年は自らの余命を数える年齢になりました。オオルリ遠征の期待と企画立案が楽しい一時ですね。早く報告が聞きたい高和です。
by 高和です。 (2023-03-12 09:39)
空白を埋めるためにも環境維持してほしいものですね。
お店の名前がUFOって知らなくてもちょっと
入って見たくなるネーミングですね。
by 響 (2023-03-13 18:46)
>高和です。さん
ボウソウはけっして首都圏とはいえないと思いますが、首都圏とはいえない場所でも憂うべき状況であることは間違いないですね・・
>響さん
他力本願では止めようがないですね。
でも自らできることも極めて限定的。
こうして現状実情を報告することが何かの助けになればと・・
by kon(昆) (2023-03-14 22:02)
ミニサイズのアオオサムシ、2枚目の写真だと少しだけ緑に黄色が
混じったような感じがします。キレイですね。
小さなセンチコガネが、土の中から顔を出したところもかわいいです^^;。
by sakamono (2023-03-15 16:37)
コンチューターにギボシがピピっと反応しますように、
by engrid (2023-03-16 23:47)
>sakamonoさん
見る角度によって色が変わりますが、金属光沢のようにも見えますね。
センチコガネが顔を出したのには驚きました。
>engridさん
オマケの写真はキボシアオゴミムシではありませんが、コンチューターはちゃんと反応しました♪
by kon(昆) (2023-03-18 15:01)