"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
冬の青い香り [オサムシ]
前記事の翌日、また出動してしまいました。
アオオサムシの空白を埋めろミッションの再開をしようということにしたのです。
腰はまだ本調子じゃないので、調子に乗らないことを肝に銘じて。
掘りました。

約一年ぶりの再会でした。
12月4日、チバの朝は快晴でした。
向かうは空白エリアの中で、難関の一つと思っていた神崎町。(こうざきまちと読みます)
北東部にある面積の小さい自治体で、谷津田も里山もほとんどないのです。
それでもGoogleMapの航空写真とにらめっこして、小高い丘を見つけました。
陽が短いので時間を稼ぐために高速で成田までバビューン。
高速を降りてから下道を30分ほど走って近辺には来たものの、丘の上へのアプローチが見つからない。
もちろん丘は目の前にあるので、麓の道をトコトコ走っていたらやっと登り口を発見。
しかし登り詰めてみると、なんとか貝塚のあるコミセンの建物で行き止まり。
遊歩道もなさそうだったので来た道を下って再度麓をトレースするも、丘から離れていくばかり。
Uターンしてフリダシに戻って一人作戦会議したら、どうも登り口は丘の反対側にありそうでした。
早速、さらに来た道を戻ってぐるっと回ろうとしていたら、民家の間に細い上り坂を発見。
とりあえず突入してみようと、急勾配の坂をトコトコ登り詰めると、どん突きに空き地が。

なんと、この空き地の奥に自然散策路の入口がありました。

ベニシジミ号へ戻って装備を整えて、いざ突入。
丘全体の様子が分かるような看板はなく、「崖はこちら」という標識もない。(当たり前)

まさに右も左もわからないので、野生の勘でレッツゴー。
散策路沿いの林縁の斜面に土が露出しているところは多数あれど、どこもふかふかのさらさら。
バチツルをふるってもスカスカで、まさに手応えなし。
丘を下り、畑を横切り、草地を踏み越え、また林の中の坂を上り、森の中を歩き回りました。
小崖がまったく見つからないまま、丘の北側の利根川を望む見晴らしのよい場所にでました。
景色を眺めにきたわけではないけど、ベンチに座って休憩しつつも、これはキビシイなあと溜め息。
ベニシジミ号の方へ向かうと思われるルートを歩いて撤収することにしました。
すると、すぐ右手にこんな物件が現れました。

いわゆる「根返り」ですが、土の具合の見た目が最高でした。

もし、このエリアに分布しているなら絶対に出ると確信しつつ、端っこに取りつきました。
腰をかがめる必要もないという意味でも優良物件。
右側の肩のところを叩くと出てきたのが扉の子。
お久しぶりのスジアオの親分でした。

親分の匂いはあまり強くありませんが、アオゴミムシの香りは冬の風物詩。季節を感じます。
これは続々と出ると思ったのですが、後が続かず、次に出たのは違う青い子。

起こしてごめんね。

その後、ゴミムシも指標虫も出ず、俄然テンションが急降下して心が折れかかったとき。
一叩き目に出たのに、手が自動的に二叩きしてしまい、まさかの空中クラッシュ。

鞘翅が割れただけで生きていました。
しかしすぐに追加。

しかもオスで、しかもアオオサらしい緑色の個体でした。

これで一応ミッションコンプリートですが、無傷のメスがほしいところ。
しかし結局、根返りをほぼ掘り尽くしましたが、アアオサどころか何も出ませんでした。

丘を下り、次に目指すはナリタ。
成田市はとても広いのですが、空港があるようにほとんどが平地であるのがハードル。
そもそも空港とその周辺は対象にならないので難易度が高いのです。
それでもコウザキに接続するエリアは丘陵と谷津田があるので、そこへ向けて急ぎました。
GoogleMapで目星を付けていた場所へ走っていると、谷津田へ降りていく道を偶然発見したので突入。

途中で北と南へ分岐があったので、野生の勘で南へ進行。
するとすぐに農道脇の小崖を発見。
ベニシジミ号をベタ付けできました。

さっそく試掘してみると土の手応えはまずまず。
しかし、指標虫は出ないし、田んぼの傍なのにプープー虫ミイデラくんも出ない。
なんでだろうと訝っていたときに顔を出したのはケロケロでした。

土塊を拾って蓋をしておきました。
指標虫ではないけど、ぽつぽつ出ていたのはこの虫。

小さくて翅も柔らかいのに、よく粘土質の崖の中に潜れるものだといつも感心します。
またしても期待を裏切られつつも、あきらめずに掘り続けていると、やっとアオゴミが。

体長約16mm。全身に細かい毛が密に生えているため、艶がないように見えます。
青い香りは高くて鼻は満たされる。
このポイントも掘り尽くそうかというとき、見かけない子が出てきました。

体長約16mm。”金星”が鞘翅の紋を指すのか、腹部のを指すのか、あるいは両方なのかは不明です。
やっとこアオゴミらしいのが一つ出たところで掘るところがなくなりました。

香りはあまり高くありません。(個人の感想です)

そのまま南下して、限界低速で林縁の農道を走っていくと、まるでオサホリ会場のようなポイントが。
1メートル半くらいの高さの土手が20メートル以上続き、やや砂利交じりだけど土質は良好でした。
ここも田んぼの脇だし、絶対出るに違いないと、端から順に掘っていきました。
掘って掘って、掘って掘って10メートル、掘って掘って、掘って掘って20メートル。
見事に何も出ませんでした。
不気味な心持ちのまま、離脱することに。
しばらく進んだところで、崖ではないけれど、斜面の木の根際がえぐれて土が露出している場所を発見。
ベニシジミ号を停めて、しばらく眺め悩んだのは、ちょっと高さがあったから。
ムリは禁物なのですが、よじ登るというほどではないので、ちょっとだけよと取りつきました。
そしたら想定外にうれしい子が。

鞘翅の輝きは何度見ても見惚れます。

さらに先に進むと道路に突き当たったので引き返し、今度は谷津田の北側を探索しに。
しかし、進めど進めど、走れど走れど、崖も土壁も見当たらず。
意外に谷津田は広大で、半分もトレースできませんでしたが、陽が傾き始めたのでサスペンデッド。
復路は利根川水郷ラインを伝って、河川敷の様子を確認しながら帰りました。
コウザキからナリタへ移動する途中、とある蔵の前を通りがかったのでピットイン。

20年ぶりくらいに立ち寄りました。

生酒を二本買いました。
今日の湯加減
アオオサムシの空白を埋めろミッションの再開をしようということにしたのです。
腰はまだ本調子じゃないので、調子に乗らないことを肝に銘じて。
掘りました。

親分
約一年ぶりの再会でした。
12月4日、チバの朝は快晴でした。
向かうは空白エリアの中で、難関の一つと思っていた神崎町。(こうざきまちと読みます)
北東部にある面積の小さい自治体で、谷津田も里山もほとんどないのです。
それでもGoogleMapの航空写真とにらめっこして、小高い丘を見つけました。
陽が短いので時間を稼ぐために高速で成田までバビューン。
高速を降りてから下道を30分ほど走って近辺には来たものの、丘の上へのアプローチが見つからない。
もちろん丘は目の前にあるので、麓の道をトコトコ走っていたらやっと登り口を発見。
しかし登り詰めてみると、なんとか貝塚のあるコミセンの建物で行き止まり。
遊歩道もなさそうだったので来た道を下って再度麓をトレースするも、丘から離れていくばかり。
Uターンしてフリダシに戻って一人作戦会議したら、どうも登り口は丘の反対側にありそうでした。
早速、さらに来た道を戻ってぐるっと回ろうとしていたら、民家の間に細い上り坂を発見。
とりあえず突入してみようと、急勾配の坂をトコトコ登り詰めると、どん突きに空き地が。

なんと、この空き地の奥に自然散策路の入口がありました。

ベニシジミ号へ戻って装備を整えて、いざ突入。
丘全体の様子が分かるような看板はなく、「崖はこちら」という標識もない。(当たり前)

まさに右も左もわからないので、野生の勘でレッツゴー。
散策路沿いの林縁の斜面に土が露出しているところは多数あれど、どこもふかふかのさらさら。
バチツルをふるってもスカスカで、まさに手応えなし。
丘を下り、畑を横切り、草地を踏み越え、また林の中の坂を上り、森の中を歩き回りました。
小崖がまったく見つからないまま、丘の北側の利根川を望む見晴らしのよい場所にでました。
景色を眺めにきたわけではないけど、ベンチに座って休憩しつつも、これはキビシイなあと溜め息。
ベニシジミ号の方へ向かうと思われるルートを歩いて撤収することにしました。
すると、すぐ右手にこんな物件が現れました。

いわゆる「根返り」ですが、土の具合の見た目が最高でした。

もし、このエリアに分布しているなら絶対に出ると確信しつつ、端っこに取りつきました。
腰をかがめる必要もないという意味でも優良物件。
右側の肩のところを叩くと出てきたのが扉の子。
お久しぶりのスジアオの親分でした。

スジアオゴミムシ ♂ (オサムシ科)
親分の匂いはあまり強くありませんが、アオゴミムシの香りは冬の風物詩。季節を感じます。
これは続々と出ると思ったのですが、後が続かず、次に出たのは違う青い子。

ニホントカゲ
起こしてごめんね。

その後、ゴミムシも指標虫も出ず、俄然テンションが急降下して心が折れかかったとき。
一叩き目に出たのに、手が自動的に二叩きしてしまい、まさかの空中クラッシュ。

アオオサムシ ♀ (オサムシ科)
鞘翅が割れただけで生きていました。
しかしすぐに追加。

しかもオスで、しかもアオオサらしい緑色の個体でした。

アオオサムシ ♂ (オサムシ科)
これで一応ミッションコンプリートですが、無傷のメスがほしいところ。
しかし結局、根返りをほぼ掘り尽くしましたが、アアオサどころか何も出ませんでした。

丘を下り、次に目指すはナリタ。
成田市はとても広いのですが、空港があるようにほとんどが平地であるのがハードル。
そもそも空港とその周辺は対象にならないので難易度が高いのです。
それでもコウザキに接続するエリアは丘陵と谷津田があるので、そこへ向けて急ぎました。
GoogleMapで目星を付けていた場所へ走っていると、谷津田へ降りていく道を偶然発見したので突入。

途中で北と南へ分岐があったので、野生の勘で南へ進行。
するとすぐに農道脇の小崖を発見。
ベニシジミ号をベタ付けできました。

さっそく試掘してみると土の手応えはまずまず。
しかし、指標虫は出ないし、田んぼの傍なのにプープー虫ミイデラくんも出ない。
なんでだろうと訝っていたときに顔を出したのはケロケロでした。

ヌマガエル
土塊を拾って蓋をしておきました。
指標虫ではないけど、ぽつぽつ出ていたのはこの虫。

ウリハムシ (ハムシ科)
小さくて翅も柔らかいのに、よく粘土質の崖の中に潜れるものだといつも感心します。
またしても期待を裏切られつつも、あきらめずに掘り続けていると、やっとアオゴミが。

オオアトボシアオゴミムシ (オサムシ科)
体長約16mm。全身に細かい毛が密に生えているため、艶がないように見えます。
青い香りは高くて鼻は満たされる。
このポイントも掘り尽くそうかというとき、見かけない子が出てきました。

キンボシハネカクシ (ハネカクシ科)
体長約16mm。”金星”が鞘翅の紋を指すのか、腹部のを指すのか、あるいは両方なのかは不明です。
やっとこアオゴミらしいのが一つ出たところで掘るところがなくなりました。

コキベリアオゴミムシ (オサムシ科)
香りはあまり高くありません。(個人の感想です)

そのまま南下して、限界低速で林縁の農道を走っていくと、まるでオサホリ会場のようなポイントが。
1メートル半くらいの高さの土手が20メートル以上続き、やや砂利交じりだけど土質は良好でした。
ここも田んぼの脇だし、絶対出るに違いないと、端から順に掘っていきました。
掘って掘って、掘って掘って10メートル、掘って掘って、掘って掘って20メートル。
見事に何も出ませんでした。
不気味な心持ちのまま、離脱することに。
しばらく進んだところで、崖ではないけれど、斜面の木の根際がえぐれて土が露出している場所を発見。
ベニシジミ号を停めて、しばらく眺め悩んだのは、ちょっと高さがあったから。
ムリは禁物なのですが、よじ登るというほどではないので、ちょっとだけよと取りつきました。
そしたら想定外にうれしい子が。

オオキベリアオゴミムシ ♀ (オサムシ科)
鞘翅の輝きは何度見ても見惚れます。

さらに先に進むと道路に突き当たったので引き返し、今度は谷津田の北側を探索しに。
しかし、進めど進めど、走れど走れど、崖も土壁も見当たらず。
意外に谷津田は広大で、半分もトレースできませんでしたが、陽が傾き始めたのでサスペンデッド。
復路は利根川水郷ラインを伝って、河川敷の様子を確認しながら帰りました。
オマケ
コウザキからナリタへ移動する途中、とある蔵の前を通りがかったのでピットイン。

20年ぶりくらいに立ち寄りました。

鍋店 神崎酒造蔵
生酒を二本買いました。
今日の湯加減
ナリタのポイントを振り返ると、最初と二番目の場所は地図で見ると牧場の外縁でした。
それが異様に虫がいなかった理由だと想像します。
先に北側を攻めればよかったと後悔したので、ナリタラベルのリトライをしに行こうと思います。
ところで、明日はクリスマス会。行動制限はないので盛況になりそう。
子供たちに元気をもらいに行ってきます。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
こんにちは^^
綺麗なオオキベリアオゴムムシ♀に会えて良かったですね♪
クリスマス会、楽しそうですね♪
by いろは (2022-12-11 16:31)
立ったまま掘れる場所なんて探してもないので
ラッキーなスポットの発見でしたね。
トカゲの色も綺麗。
by 響 (2022-12-11 17:01)
昨日はクリスマス会、ありがとうございました。
素敵な本と貴重な書評や別刷りまで頂き、大満足です!
子供向けの本かと思いきや、大人が読んでも面白い内容でした。
絵が素敵!
ビンゴでは千歳産オオルリオサムシのカラバリセットを頂いちゃいました。
いつも運営、ありがとうございます!
by 山健父 (2022-12-12 12:09)
クリスマス会お疲れさまでした。盛会だった由何よりでした。今月の「月刊むし」(短報特集)によれば、特定外来生物として駆除したウシガエルの胃袋から大量のヒメマイマイカブりの残骸が発見されたらしいです。桜堤在住のヒキガエルたちもフンに扇ぐ光る鞘羽がたくさん混ざってます!
by 高和です。 (2022-12-12 14:59)
>いろはさん
期待がはずれたり、思わぬ収獲があったりというのがFWのだいご味ですね^^
>響さん
なかなかないですね、足元は立ったままというわけにはいきませんが・・
トカゲは色だけで匂いはしないですね^^
>山健父さん
ご購入ありがとうございました。
ほんとにすばらしい絵ですよね。 5年以上かかってます^^
オオルリ、実は狙ってました、うらやましい^^
>高和です。さん
無事に終えられてほっとしました。
胃の内容物や糞による間接的な生態系調査は様々に行われていますね。
ウシガエルはあまり増えてほしくないです・・
by ぜふ (2022-12-12 21:53)
5年もかかったのですか!
重みを感じます!
オオルリオサムシ、こんなにカラーバリエーションがあるとは知りませんでした。
緑系統、赤系統、黒色。千歳には青系統はいないんですね。
息子はナンバンダイコクコガネを選びました、渋い!
by 山健父 (2022-12-13 20:04)
カエルさん、冬眠してたのかな?
でも目は起きてますね。
by ぼんぼちぼちぼち (2022-12-14 10:51)
冒頭の親分は、キレイな黄銅色ですね。つやつやしてます。
ヌマガエルを見て、何か沼っぽい顔って思ってしまった^^;。
仁勇、近所の酒屋で買って、いただいたことがあります。
by sakamono (2022-12-15 22:45)
>山健父さん
親はオオルリ、子はナンバンダイコク。
普通は逆ではないですかね?笑
>ぼんぼちぼちぼちさん
まちがいなく越冬態勢なのだと思いますが、寝ぼけてましたね^^
>sakamonoさん
親分は極普通種ですが、美麗種でもあると思います♪
鍋店の酒は関東近辺にしか出回らないですよね。
by ぜふ (2022-12-16 22:40)