"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
暑虫パトロール [探虫行]
お盆も過ぎたというのに真夏の暑さが続く、というか酷暑が続くチバです。
ちょっと夏バテ気味でもあるので、ブログも夏季休暇にしようかと一瞬思いました。
でも、掲載したい写真と、ちょっとしたエピソードもあるので、夏休みの絵日記として投稿します。
変な写真と思われそうですが、詳細は後ほど。
立秋前の7月30日、今年まだ訪れていないポイントをパトロールしておかなくてはと思い立ち。
トンボ網と大きめの水筒をキャリアに積んで発進しました。
対象は中房エリアとし、暑いので無理をせず、ポイントは数か所に絞りました。
まずはチバ市南東部にある双子堰へ。
周回できる遊歩道があるのですが、ジャングル化していたのであっさり断念。
取水口の辺りを眺めていると、ヤンマが飛んできたのでトンボ網を出してゲームをすることに。
網を構えて待っていると、間もなくまた飛んできたのですが、振り逃がしてしまいました。
どうやら田んぼと堰を行ったり来たりしているようなので、同じ場所で粘ってみることに。
しかし、警戒されてしまったのか、なかなか戻っては来てくれません。
あまり長居はできないので竿をたたもうとしたとき、目の前にキラキラと舞い降りてきたのが。
水面の上だったし、網を構えていなければ採れなかったと思うので幸運でした。
これはきっと吉兆に違いないと、もうしばらく粘っていると、奥の繁みの手前にヤンマの姿が現れた。
どうやらメスで、飛びながら打水産卵をしはじめたので、じっと見守っていました。
ところがそこへ、オスが舞い降りてきたのです。
そして瞬く間にメスを捕まえてタンデムになり、しかも林の中へと連れ去ってしまいました。
さすがにこれはもう戻ってこないと諦めて納竿。
ベニシジミ号へ戻って荷物をしまい、ヘルメットをかぶり、キーを刺して跨ろうとしたとき。
頭の上でカサカサという音がしました。
落ち葉がヘルメットの上に当たったのだろうと、ナビに次の目的地をセットしていると、またカサカサ。
グローブをした手でヘルメットの上をなでると、ブーンという羽音とともにヤンマが飛び立ちました。
しかも、次の瞬間、ベニシジミ号のキャリアに止まろうとするのですが、つるつる滑ってジタバタ。
カメラを出して撮ろうとしたら、あきらめて舞い上がってしまったのですが、近くのガードレールに。
さっき連れ去られた子が、相手が気に入らず、命からがら逃げてきて助けを求めた・・はずはなく。
ただの偶然でしょうけど、こんなことは初めてだったので、またキャリアから網を出しました。
あっさり捕まってくれましたが、弱っているというわけでもなさそうでした。
これが名前の由来ではないと思いますが、頭部に角状の突起がいくつかあります。
遊んでくれてありがとう、とリリースすると元気に舞い上がっていきました。
さあ、急いで次へ行こうとバイクに跨ろうとしたら、今度は足元にどこからか駆け寄ってくる子が。
翅が退化している分、普通のカメムシ類よりも、とても歩くのが速い。
次に訪れたのはイチハラ市北部の田園地帯の一角。
ここはちょうど2年前の記事で、潜水産卵するイトトンボを観察した場所です。
そのときは田んぼの片隅で観察したのですが、今回訪れてみると、一枚の休耕田が池になっていました。
これはいい様子だ、と近づいてみると、シオカラやオオシオカラたちが大勢で水面を飛び交っている。
彼らはスルーしつつ、もっと小さい子たちがいないかと目を凝らすと、青い糸がすいっと横切った。
全然とまってくれませんが、ちょっと遠くに、オモダカの葉にとまっている個体が見えました。
畔に沿って歩いていると、水際の水中にミズカマキリを見つけましたが、観察しているうちに遠くへ。
引き続き目を凝らしながらゆっくりと歩を進めると、他のイトトンボたちも見えてきました。
オオイトトンボも接写したくて、水際にいる個体を一所懸命に探していると、やっと発見。
しかも産卵中。
このカップルをしばらく付け回して産卵を観察しましたが、とうとう潜水してはくれませんでした。
しばし休憩中。
このメスはオス型だということが分かりました。
さらに別の種がいるかもしれないと、30分ほど探しましたが成果はなし。
シオカラにでも撃墜されたのでしょうか、翅が折れた個体を見つけたのが扉の写真でした。
最後にもう一度、接写させてくれたのがアオモン。
ベニシジミ号へと引き返していると、さっき泳ぎ去った子が見送りをしてくれました。
何故かボウソウではあまり見かけないので観察できてよかった。
次の場所はナビにセットする必要がないほどの距離。
しかも一本道なので難なく到着。
ボウソウの平野部にはなかなかない材木置き場。いわゆる土場です。
ここにはタマちゃんがいるはずなのだけど。
いない。
留置されている材木はスギのみだけど、本数は倍増していました。
でも放ったらかしなのでしょう、辺りにはクズなどの雑草が繁茂していて、ぽつぽつとこんな虫が。
一度人面に見えると、もうそうとしか見えないタイプも。
ハラホロヒレハレ虫と呼びたい気もします。
カメムシしかいないなぁと項垂れつつも2周目の探索をはじめたとき、小さくても遠くから分かる輝き。
接写しようと、慌てて近づき過ぎ、自動落下装置が作動。
木っ端の中か材木の隙間に隠れてしまい、とうとう見つけることはできませんでした。
まぁでも観察できたからよしとしよう。
最後に向かったのは、やや外房よりの谷津田。
とうにお昼は過ぎていましたが、そもそも午前中だけフィールドワークのつもりだったので寄り道せず。
周囲の林から聞こえてくるセミたちの声が猛暑をブーストしてクラクラしてきます。
その林の中へ突入するのですが、目的は苔の採集。
前記事で訪れた場所で採ってきた着生植物を観葉するための土台となる苔玉を作りたかったのです。
たしかこの林の奥の水路沿いにたくさんあったよねと突入したのですが、そこは違っていました。
ベニシジミ号で少し戻り、もう一度(歩いて)再突入。
獣道以上、藪漕ぎ未満という感じの道に入ると、そこはトンボたちのたまり場でした。
やや明るい場所にはこの子たち。
近年あまり見られなくなっているので得した気分。
半日陰にはこの子たちが群れていました。
ただ、周りが明るいのでカメラの自動露出がうまく機能しなくて、まともな写真がなかなか撮れず。
もちろんオスもいました。
林の奥の暗い場所にいた子を見つけられたのはコンチューターのおかげ。
丘陵ないし山地に棲息するトンボですが、ボウソウでは平地で見られます。
ところで肝心の苔は、林の一番奥まで行ったものの、とうとう見つけられず。
どこか別の場所と勘違いしたようですが、正解がどこかは思い出せない。
とぼとぼと引き返してきて、林の入口でまたこの子に慰めてもらいました。
想定外にトンボたちに会えたし、用水路のメダカたちは相変わらず元気に群れていたので良しとしよう。
ベニシジミ号まで戻り水分補給していると、前輪の先の落ち葉の上を移動してくる動体が。
クモを運搬中のクモバチです。
またしても慌てて近づき過ぎて、クモを放してしまいましたが、じっと待っていると戻ってきました。
ベッコウバチ科がクモバチ科に変わったことに伴い、モンベッコウという和名も変わってしまいました。
ファーブルならこの後もずっと観察を続けるのでしょうけど、暑さと空腹に耐えきれず撤収。
結局お昼は抜きになりましたが。
苔が採れなかったので、昆虫飼育用の乾燥水苔を台座にして観葉しています。
今のところこれで大丈夫なようです。
今日の湯加減
ちょっと夏バテ気味でもあるので、ブログも夏季休暇にしようかと一瞬思いました。
でも、掲載したい写真と、ちょっとしたエピソードもあるので、夏休みの絵日記として投稿します。
変な写真と思われそうですが、詳細は後ほど。
立秋前の7月30日、今年まだ訪れていないポイントをパトロールしておかなくてはと思い立ち。
トンボ網と大きめの水筒をキャリアに積んで発進しました。
対象は中房エリアとし、暑いので無理をせず、ポイントは数か所に絞りました。
まずはチバ市南東部にある双子堰へ。
周回できる遊歩道があるのですが、ジャングル化していたのであっさり断念。
取水口の辺りを眺めていると、ヤンマが飛んできたのでトンボ網を出してゲームをすることに。
網を構えて待っていると、間もなくまた飛んできたのですが、振り逃がしてしまいました。
どうやら田んぼと堰を行ったり来たりしているようなので、同じ場所で粘ってみることに。
しかし、警戒されてしまったのか、なかなか戻っては来てくれません。
あまり長居はできないので竿をたたもうとしたとき、目の前にキラキラと舞い降りてきたのが。
ヤマトタマムシ (タマムシ科)
水面の上だったし、網を構えていなければ採れなかったと思うので幸運でした。
これはきっと吉兆に違いないと、もうしばらく粘っていると、奥の繁みの手前にヤンマの姿が現れた。
どうやらメスで、飛びながら打水産卵をしはじめたので、じっと見守っていました。
ところがそこへ、オスが舞い降りてきたのです。
そして瞬く間にメスを捕まえてタンデムになり、しかも林の中へと連れ去ってしまいました。
さすがにこれはもう戻ってこないと諦めて納竿。
ベニシジミ号へ戻って荷物をしまい、ヘルメットをかぶり、キーを刺して跨ろうとしたとき。
頭の上でカサカサという音がしました。
落ち葉がヘルメットの上に当たったのだろうと、ナビに次の目的地をセットしていると、またカサカサ。
グローブをした手でヘルメットの上をなでると、ブーンという羽音とともにヤンマが飛び立ちました。
しかも、次の瞬間、ベニシジミ号のキャリアに止まろうとするのですが、つるつる滑ってジタバタ。
カメラを出して撮ろうとしたら、あきらめて舞い上がってしまったのですが、近くのガードレールに。
コオニヤンマ ♀ (サナエトンボ科)
さっき連れ去られた子が、相手が気に入らず、命からがら逃げてきて助けを求めた・・はずはなく。
ただの偶然でしょうけど、こんなことは初めてだったので、またキャリアから網を出しました。
同上
あっさり捕まってくれましたが、弱っているというわけでもなさそうでした。
これが名前の由来ではないと思いますが、頭部に角状の突起がいくつかあります。
同上
遊んでくれてありがとう、とリリースすると元気に舞い上がっていきました。
さあ、急いで次へ行こうとバイクに跨ろうとしたら、今度は足元にどこからか駆け寄ってくる子が。
キバネアシブトマキバサシガメ (マキバサシガメ科)
翅が退化している分、普通のカメムシ類よりも、とても歩くのが速い。
次に訪れたのはイチハラ市北部の田園地帯の一角。
ここはちょうど2年前の記事で、潜水産卵するイトトンボを観察した場所です。
そのときは田んぼの片隅で観察したのですが、今回訪れてみると、一枚の休耕田が池になっていました。
これはいい様子だ、と近づいてみると、シオカラやオオシオカラたちが大勢で水面を飛び交っている。
彼らはスルーしつつ、もっと小さい子たちがいないかと目を凝らすと、青い糸がすいっと横切った。
全然とまってくれませんが、ちょっと遠くに、オモダカの葉にとまっている個体が見えました。
オオイトトンボ ♂ (イトトンボ科)
畔に沿って歩いていると、水際の水中にミズカマキリを見つけましたが、観察しているうちに遠くへ。
引き続き目を凝らしながらゆっくりと歩を進めると、他のイトトンボたちも見えてきました。
アオモンイトトンボ ペア (イトトンボ科)
オオイトトンボも接写したくて、水際にいる個体を一所懸命に探していると、やっと発見。
しかも産卵中。
オオイトトンボ ペア (イトトンボ科)
このカップルをしばらく付け回して産卵を観察しましたが、とうとう潜水してはくれませんでした。
しばし休憩中。
同上
このメスはオス型だということが分かりました。
さらに別の種がいるかもしれないと、30分ほど探しましたが成果はなし。
シオカラにでも撃墜されたのでしょうか、翅が折れた個体を見つけたのが扉の写真でした。
オオイトトンボ ♂ (イトトンボ科)
最後にもう一度、接写させてくれたのがアオモン。
アオモンイトトンボ ♂ (イトトンボ科)
ベニシジミ号へと引き返していると、さっき泳ぎ去った子が見送りをしてくれました。
ミズカマキリ (タイコウチ科)
何故かボウソウではあまり見かけないので観察できてよかった。
次の場所はナビにセットする必要がないほどの距離。
しかも一本道なので難なく到着。
ボウソウの平野部にはなかなかない材木置き場。いわゆる土場です。
ここにはタマちゃんがいるはずなのだけど。
いない。
留置されている材木はスギのみだけど、本数は倍増していました。
でも放ったらかしなのでしょう、辺りにはクズなどの雑草が繁茂していて、ぽつぽつとこんな虫が。
ホソヘリカメムシ (ホソヘリカメムシ科)
一度人面に見えると、もうそうとしか見えないタイプも。
シロヘリハラビロヘリカメムシ (ヘリカメムシ科)
ハラホロヒレハレ虫と呼びたい気もします。
カメムシしかいないなぁと項垂れつつも2周目の探索をはじめたとき、小さくても遠くから分かる輝き。
マスダクロホシタマムシ (タマムシ科)
接写しようと、慌てて近づき過ぎ、自動落下装置が作動。
木っ端の中か材木の隙間に隠れてしまい、とうとう見つけることはできませんでした。
まぁでも観察できたからよしとしよう。
最後に向かったのは、やや外房よりの谷津田。
とうにお昼は過ぎていましたが、そもそも午前中だけフィールドワークのつもりだったので寄り道せず。
周囲の林から聞こえてくるセミたちの声が猛暑をブーストしてクラクラしてきます。
その林の中へ突入するのですが、目的は苔の採集。
前記事で訪れた場所で採ってきた着生植物を観葉するための土台となる苔玉を作りたかったのです。
たしかこの林の奥の水路沿いにたくさんあったよねと突入したのですが、そこは違っていました。
ベニシジミ号で少し戻り、もう一度(歩いて)再突入。
獣道以上、藪漕ぎ未満という感じの道に入ると、そこはトンボたちのたまり場でした。
やや明るい場所にはこの子たち。
マユタテアカネ ♂ (トンボ科)
近年あまり見られなくなっているので得した気分。
半日陰にはこの子たちが群れていました。
オオアオイトトンボ ♀ (アオイトトンボ科)
ただ、周りが明るいのでカメラの自動露出がうまく機能しなくて、まともな写真がなかなか撮れず。
もちろんオスもいました。
同上 ♂
林の奥の暗い場所にいた子を見つけられたのはコンチューターのおかげ。
ホソミオツネントンボ ♂ (アオイトトンボ科)
丘陵ないし山地に棲息するトンボですが、ボウソウでは平地で見られます。
ところで肝心の苔は、林の一番奥まで行ったものの、とうとう見つけられず。
どこか別の場所と勘違いしたようですが、正解がどこかは思い出せない。
とぼとぼと引き返してきて、林の入口でまたこの子に慰めてもらいました。
お疲れさん。
マユタテアカネ ♂ (トンボ科)
想定外にトンボたちに会えたし、用水路のメダカたちは相変わらず元気に群れていたので良しとしよう。
ベニシジミ号まで戻り水分補給していると、前輪の先の落ち葉の上を移動してくる動体が。
クモを運搬中のクモバチです。
またしても慌てて近づき過ぎて、クモを放してしまいましたが、じっと待っていると戻ってきました。
ナミモンクモバチ ♀(クモバチ科)
ベッコウバチ科がクモバチ科に変わったことに伴い、モンベッコウという和名も変わってしまいました。
ファーブルならこの後もずっと観察を続けるのでしょうけど、暑さと空腹に耐えきれず撤収。
結局お昼は抜きになりましたが。
オマケ
苔が採れなかったので、昆虫飼育用の乾燥水苔を台座にして観葉しています。
マメヅタ
今のところこれで大丈夫なようです。
今日の湯加減
数日前、とうとう裏庭でコオロギやカネタタキが鳴き始めました。
昼間はこんなにも酷暑なのに、生き物たちの世界は着実に暦をめくっているようです。
お盆辺りから陽が短くなったなと感じていましたが、虫たちも気温だけではなく、L/D ratio(明暗比)を察知しているのでしょう。
そういえば、今夏は信州へ行っていないことに気が付いて愕然としています。
時間がないわけではないけれど、エネルギーとパッションが不足しているように感じます。
下界は酷暑でも高原に行けば天国のように涼しいだろうに。嗚呼。
2022-08-20 20:00
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コメント(6)
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
ホントだ!頭部に角状の突起が!!
鬼って言うのも納得です^^
by リュカ (2022-08-21 09:42)
私も納得、コオニね、
ジンメンにしか見えませんよ、
ハラホロヒレハレ、はやくちことばのようで、リズミカルに呼びかけそうです
by engrid (2022-08-21 19:11)
武蔵野はツクツクが参戦です。
「今年は信州に行ってない」、高和も通行止めで出鼻を挫かれ、再訪出来ていません。キベリがまっているというのに。
文中「オソミオツネントンボ」?老爺心ながら。
by 高和です。 (2022-08-21 19:37)
>リュカさん
本編にも書いたとおり、名前の由来ではないようなのですけどね^^
>engridさん
こっちが先に命名されていたら・・ですね^^
見えてしまったらもう戻れない笑
>高和です。さん
山はもう秋でしょうね・・・来シーズンのお楽しみということで。
タイポ、先に気が付かれてしまってた汗
by ぜふ (2022-08-22 23:00)
マスダクロホシタマムシ。こんなタマムシもいるんですね。
ハチを運搬中のクモ! これはやっぱりエサにするのでしょうか。
マメヅタの葉っぱが、とてもかわいいです^^;。
うちの周りでも、コオロギの鳴く声を聞くようになりました。
by sakamono (2022-08-25 14:53)
>sakamonoさん
ハチを運搬中のクモ、ではなく、クモを運搬中のハチです^^
マメヅタはころころしていて、まさに観葉できますね。
カネタタキの声は子守唄です♪
by ぜふ (2022-08-26 21:57)