"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
南の国からの移入者 [トンボ]
なかなか記事がリアルタイムに追いつきませんが、まだトンボ記事が続きます。
期待通りの成果があったので、どうしてもあげておきたいのです。
その一つはこのトンボでした。
見た通り、フォトジェニックくんです。
7月3日、川崎方面に用事があることに託けて、湾岸エリアのパトロールをしようと企みました。
トンボをメインターゲットに。
朝、事務処理をしていたのでかなり出遅れたこともあり、出発時点で猛暑状態。
湾岸道路は車と路面の輻射熱で鉄板焼きプレートの上を走っているよう。
水で濡らしたネッククーラーを首に巻いていたけれど、効果があるのか分からないほど。
それでも恐竜橋を渡る際は、海風が気持ちよく感じました。
A地点に着いてみると、ニイニイ蝉の声でいっぱいの空中をチョウトンボたちが群飛していました。
チョウトンボを観察できることは期待していたのですが、こんな群れは想定外。
ディスプレイのゴミのように見えるかもしれませんが、黒い点はすべてトンボです。
中にはホバリングしているのもいるけれど、飛翔写真にトライするには時間がなさすぎる。
メイン会場の池へと移動しました。
イトトンボがいないかと、水際ギリギリまで近寄って覗き込むも、こちらは期待外れ。
群れているだろうと想定していたクロイトやアオモンの姿がない。
飛んでくるのがいるかもしれないと、しばらく待っていたら、左手の水際の葉の上にペアを発見。
あまり近寄れませんでしたが、この日は一眼も持参していたので中望遠マクロで撮影。
この後も何か飛んでこないかと待ち伏せ作戦。
すると今度は右手の水際の枯れ茎に舞い降りてきたのがいました。
葦の葉の隙間からの覗き見ショットですが、ナイスアングルでとまってくれていました。
この日は風が強かったのでトンボ撮影には悪条件。
周辺の散策もし、別の小さな池も見て回りましたが、ヤンマも飛んでこないので撤収モードに。
トンボ以外に何かいないかと、最後に林縁も見てみようと歩いていたら、日陰で休んでいる子が。
これもなかなか出くわさないアングルで止まっていたのですが、あまりうまく撮れませんでした。
林の中から飛び出すハナムグリやハチの羽音には反応しないコンチューターの針が突然振れました。
斜めに見上げる梢の中に何かいる。
目の高さにある枝を掴んで、少し下げて視界を広げると、遠くに目立つ色の物体が。
じっとして動かないし、これ以上ズームもできないので、一か八かで枝をゆすって飛び立たせました。
しかし、また同じような高さの葉に止まるばかりで、なかなか近くで見ることができない。
ただ、もうこの時点で種類の目星は付いていて、これは何とかして撮らなければと何度かトライ。
すると幸運にも、ほぼ目の高さの葉の上、しかも明るい空間に止まってくれました。
昨年はここで観察できず、いなくなってしまったかと心配していたので安堵しました。
しかしこの後、別の心配事ができるとは・・
メスもいるかもしれないと思い、林縁の散策を続けていると、今度は脛の高さの葉の上に。
この時点では同じベニイトだと思って撮っていましたが、後日写真を編集していて気が付きました。
眼の色が変。
ベニイトトンボのオスの複眼の色は、オレンジから朱色なのですが、この写真の個体は緑色に近い。
また別の個体を見つけましたが、これはひょっとしたら。
九州南部以南にしか分布していないはずなのですが。
もしリュウキュウベニだとしたら、おそらく人工移入でしょう。
しかもベニイトと混生しているということかもしれない。
メスも見つけました。これは未成熟の子ですが、腹部背面が黒くないのでベニイトだと思われます。
この個体は半熟なのではないかと。
成熟すると黄緑色を帯びます。
過去を紐解いてみると、一昨年観察したときは、オスは撮り逃がしていました。
その前の年は撮影していて、あらためて見直してみると、やはりリュウキュウに見えます。
ただ、未成熟のオスは複眼が赤くないという情報もあり、確実ではありません。
とにかく、現場では3年ぶりに雌雄を撮影できて満足し、次の場所へと向かったのでした。
とっくにお昼は過ぎていたので、途中で信号待ちしていた交差点の角に中華屋さんがあったので入店。
お昼メニューのジャージャー麺とチャーハンのセットを注文したのですが、これが想定外に高得点でした。
ただ、おいしくて完食してしまったため、敏捷性が5ポイント低下。
胸やけしないようにゆっくり走りましたが、この辺りから雲行きが怪しくなってきました。
とある河口付近のB地点に着いた頃には、いつ降り出してもおかしくないような曇天に。
本来の用事もあるので、俄かに気が急いてきました。
去年も訪れた場所ですが、少しだけ時期が遅かったようで、とうとう見つけることはできませんでした。
今回は時期は問題ないと思われるも、時間が少ないし、空模様も怪しいので焦ります。
しかも、うかつな注文をしたために速足になれないという。さらに焦ることしきり。
芦原の中を探すのですが、アプローチできる場所が限られています。
さらに、ある事情で、昨年よりその場所が少なくなっていました。
でも、逆にそれが幸いしたかもしれません。二か所目でヒットしてしまいました。
突入した瞬間、コンチューターが反応。
これは見慣れない子なので、期待していたターゲットに間違いない。
アジアやアオモンの未成熟メスに似ていますが、背中に黒条紋がありません。
成熟個体がいないかと、周辺を探すとあっさり本命が見つかりました。
アジアイトくらいの小さいトンボですが、オスは模様が特徴的なので同定しやすくて助かります。
複数頭いてオス同士のバトルも観察しました。その写真は撮れませんでしたが、せっかくなのでもう一枚。
まもなくメスも発見。
メスはアジアやアオモンと同様、くすんだ黄緑色と薄い褐色に変化します。
間近で撮影していると、か弱そうな体なのに、獲物を捕らえるのは眼にも止まらぬ速さ。
タンデムは観察できませんでしたが、なんとかツーショットは撮れました。
別のアプローチには突入することなく、ここでタイムアップ。
後ろ髪をひかれながら本来の用事を果たすべく、ベニシジミ号へと戻りました。
どん曇りのままでしたが、結局、用事を済ませて帰宅するまで雨には降られませんでした。
(夜は降りました)
さて、本編のベニイトのナゾですが、リュウキュウベニイトトンボは東京への移入記録がありました。
水草の流通時に卵やヤゴが一緒に移動してしまうようです。
オスの尾端を見ると、付属器がツノのように尖っていることが特徴です。
移入は仕方ないとしてもベニイトと混生しているとすると、ハイブリッドができてしまわないかと心配。
むしろベニイトの未成熟個体であってくれた方がいい。
今日の湯加減
期待通りの成果があったので、どうしてもあげておきたいのです。
その一つはこのトンボでした。
ヒヌマイトトンボ ♂ (イトトンボ科)
見た通り、フォトジェニックくんです。
7月3日、川崎方面に用事があることに託けて、湾岸エリアのパトロールをしようと企みました。
トンボをメインターゲットに。
朝、事務処理をしていたのでかなり出遅れたこともあり、出発時点で猛暑状態。
湾岸道路は車と路面の輻射熱で鉄板焼きプレートの上を走っているよう。
水で濡らしたネッククーラーを首に巻いていたけれど、効果があるのか分からないほど。
それでも恐竜橋を渡る際は、海風が気持ちよく感じました。
A地点に着いてみると、ニイニイ蝉の声でいっぱいの空中をチョウトンボたちが群飛していました。
チョウトンボを観察できることは期待していたのですが、こんな群れは想定外。
ディスプレイのゴミのように見えるかもしれませんが、黒い点はすべてトンボです。
中にはホバリングしているのもいるけれど、飛翔写真にトライするには時間がなさすぎる。
メイン会場の池へと移動しました。
イトトンボがいないかと、水際ギリギリまで近寄って覗き込むも、こちらは期待外れ。
群れているだろうと想定していたクロイトやアオモンの姿がない。
飛んでくるのがいるかもしれないと、しばらく待っていたら、左手の水際の葉の上にペアを発見。
クロイトトンボ ペア (イトトンボ科)
あまり近寄れませんでしたが、この日は一眼も持参していたので中望遠マクロで撮影。
同上
この後も何か飛んでこないかと待ち伏せ作戦。
すると今度は右手の水際の枯れ茎に舞い降りてきたのがいました。
葦の葉の隙間からの覗き見ショットですが、ナイスアングルでとまってくれていました。
チョウトンボ ♂ (トンボ科)
この日は風が強かったのでトンボ撮影には悪条件。
周辺の散策もし、別の小さな池も見て回りましたが、ヤンマも飛んでこないので撤収モードに。
トンボ以外に何かいないかと、最後に林縁も見てみようと歩いていたら、日陰で休んでいる子が。
同上 ♀
これもなかなか出くわさないアングルで止まっていたのですが、あまりうまく撮れませんでした。
林の中から飛び出すハナムグリやハチの羽音には反応しないコンチューターの針が突然振れました。
斜めに見上げる梢の中に何かいる。
目の高さにある枝を掴んで、少し下げて視界を広げると、遠くに目立つ色の物体が。
じっとして動かないし、これ以上ズームもできないので、一か八かで枝をゆすって飛び立たせました。
しかし、また同じような高さの葉に止まるばかりで、なかなか近くで見ることができない。
ただ、もうこの時点で種類の目星は付いていて、これは何とかして撮らなければと何度かトライ。
すると幸運にも、ほぼ目の高さの葉の上、しかも明るい空間に止まってくれました。
ベニイトトンボ ♂ (イトトンボ科)
昨年はここで観察できず、いなくなってしまったかと心配していたので安堵しました。
しかしこの後、別の心配事ができるとは・・
メスもいるかもしれないと思い、林縁の散策を続けていると、今度は脛の高さの葉の上に。
この時点では同じベニイトだと思って撮っていましたが、後日写真を編集していて気が付きました。
眼の色が変。
ベニイトトンボのオスの複眼の色は、オレンジから朱色なのですが、この写真の個体は緑色に近い。
また別の個体を見つけましたが、これはひょっとしたら。
リュウキュウベニイトトンボ ♂ ?(イトトンボ科)
九州南部以南にしか分布していないはずなのですが。
もしリュウキュウベニだとしたら、おそらく人工移入でしょう。
しかもベニイトと混生しているということかもしれない。
メスも見つけました。これは未成熟の子ですが、腹部背面が黒くないのでベニイトだと思われます。
ベニイトトンボ ♀ 未成熟 (イトトンボ科)
この個体は半熟なのではないかと。
同上
成熟すると黄緑色を帯びます。
ベニイトトンボ ♀ (イトトンボ科)
過去を紐解いてみると、一昨年観察したときは、オスは撮り逃がしていました。
その前の年は撮影していて、あらためて見直してみると、やはりリュウキュウに見えます。
2019.6.23 撮影 リュウキュウベニイトトンボ ?
ただ、未成熟のオスは複眼が赤くないという情報もあり、確実ではありません。
とにかく、現場では3年ぶりに雌雄を撮影できて満足し、次の場所へと向かったのでした。
とっくにお昼は過ぎていたので、途中で信号待ちしていた交差点の角に中華屋さんがあったので入店。
お昼メニューのジャージャー麺とチャーハンのセットを注文したのですが、これが想定外に高得点でした。
ただ、おいしくて完食してしまったため、敏捷性が5ポイント低下。
胸やけしないようにゆっくり走りましたが、この辺りから雲行きが怪しくなってきました。
とある河口付近のB地点に着いた頃には、いつ降り出してもおかしくないような曇天に。
本来の用事もあるので、俄かに気が急いてきました。
去年も訪れた場所ですが、少しだけ時期が遅かったようで、とうとう見つけることはできませんでした。
今回は時期は問題ないと思われるも、時間が少ないし、空模様も怪しいので焦ります。
しかも、うかつな注文をしたために速足になれないという。さらに焦ることしきり。
芦原の中を探すのですが、アプローチできる場所が限られています。
さらに、ある事情で、昨年よりその場所が少なくなっていました。
でも、逆にそれが幸いしたかもしれません。二か所目でヒットしてしまいました。
突入した瞬間、コンチューターが反応。
これは見慣れない子なので、期待していたターゲットに間違いない。
ヒヌマイトトンボ ♀ 未成熟 (イトトンボ科)
アジアやアオモンの未成熟メスに似ていますが、背中に黒条紋がありません。
同上
成熟個体がいないかと、周辺を探すとあっさり本命が見つかりました。
ヒヌマイトトンボ ♂ (イトトンボ科)
アジアイトくらいの小さいトンボですが、オスは模様が特徴的なので同定しやすくて助かります。
同上
複数頭いてオス同士のバトルも観察しました。その写真は撮れませんでしたが、せっかくなのでもう一枚。
同上
まもなくメスも発見。
メスはアジアやアオモンと同様、くすんだ黄緑色と薄い褐色に変化します。
同上 ♀
間近で撮影していると、か弱そうな体なのに、獲物を捕らえるのは眼にも止まらぬ速さ。
同上
タンデムは観察できませんでしたが、なんとかツーショットは撮れました。
同上 ペア
別のアプローチには突入することなく、ここでタイムアップ。
後ろ髪をひかれながら本来の用事を果たすべく、ベニシジミ号へと戻りました。
オマケ
どん曇りのままでしたが、結局、用事を済ませて帰宅するまで雨には降られませんでした。
(夜は降りました)
さて、本編のベニイトのナゾですが、リュウキュウベニイトトンボは東京への移入記録がありました。
水草の流通時に卵やヤゴが一緒に移動してしまうようです。
オスの尾端を見ると、付属器がツノのように尖っていることが特徴です。
リュウキュウベニイトトンボ ♂ (イトトンボ科)
移入は仕方ないとしてもベニイトと混生しているとすると、ハイブリッドができてしまわないかと心配。
むしろベニイトの未成熟個体であってくれた方がいい。
今日の湯加減
ちょっと夏バテ気味なので、今日はオフにしようと思っていました。
が、ちょっと訳あって”苔”が欲しくて、朝の涼しい内に取りに行こうとでかけました。
帰ってきたのは夕方でした。
しかも、目的の苔は取れず。
あちこち探しまわったのですが、”骨折り損のくたびれ儲け”ではありませんでした。
夏バテレベルは上がってしまったものの、記事ネタはしっかり確保。(転んでも何とやら)
ところで、コガネムシ研究会の連絡誌「鰓角通信」No.44に書評が掲載されました。
会員の方、会員じゃない方もぜひご笑覧ください。
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チョウトンボ♂の美しさに見惚れました^^;。
そんな南方にしかいないはずのトンボが、水草とともに卵やヤゴが
やって来てしまうこともあるんですね。それが生きていられるという
ことは、こちらが暖かくなっているから? なのかなぁ。
by sakamono (2022-08-01 18:11)
混生し始めると、原種保持が、問題になってきますね、勢力範囲とか、、温暖化の影響で追いやられるもの出てくるのでしょうね、環境が3次元4次元へと広がり変化変遷していくのですね
by engrid (2022-08-01 20:38)
>sakamonoさん
継代あるいは定着できたとすると、そういうことだと思います。
少なくともハードルは下がっているのでしょうね。
>engridさん
今回のトンボはどちらも本来南方系なので、本来の生息地でどう棲み分けしているかも大事な点ですが、拡張した棲息域でもうまく棲み分けしてほしいものだと思うわけです。
by ぜふ (2022-08-02 21:48)
チョウトンボ、綺麗ですね。中村に遠征して、トンボ王国の国民に仲間入り。初めてチョウトンボを間近に見た長女(当時五歳)が、興奮のあまり畔を踏み外して泥田にダイブしたのが昨日のようです。
by 高和です。 (2022-08-03 03:21)
どの子もみんなフォトジェニックです。
わたしはこの前見れなかったチョウトンボが一番好きかな。
多分九州に少ないのだと思います。
by 響 (2022-08-04 17:27)
>高和です。さん
トンボ王国でみたベニイトトンボやベニトンボが懐かしいです。
チョウトンボはなぜか見なかったような・・いると思いますが。
>響さん
トンボたちはみなそうですね。
チョウトンボは本州以南に広く分布していますが、環境に条件がありますね。
by ぜふ (2022-08-04 22:30)