"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
エレガントな定規 [トンボ]
先月、一年ぶりにトンボの新規フィールドが開拓できました。
まだその嬉しさは新鮮なままですが、心の内の興奮が冷めやらぬうちに、
前記事で”改めて紹介します”と予告したトンボたちをフィーチャーします。
特にうれしかったのがこのトンボに会えたこと。
その種名をよく表していると思うのがこのアングルです。
トンボという種の枠を超えて、生き物としての美しさをエレガントに体現しているように感じます。
5月25日にセンチトラップを仕掛け、放置時間に目星を付けていたエリアの探索をしたわけですが。
谷津田の奥まで行ってみると、こういう小さな湿地を見つけたわけです。
その中に足を踏み入れた瞬間、半日陰になっている湿地の縁に止まっているトンボを発見しました。
これはひょっとしてと思いつつ、気持ちを鎮めるのに少し時間が必要でした。
冷静になれたところで、刺激しないようそっと近づいて接写すると、やはりそうでした。
チバで見たのは何年ぶりでしょう。(チバでなくても何年も見ていない)
周囲を見回すと、発生初期なのでしょう、ミゾソバの群落の葉の上に集団でいるのが分かりました。
メスの方が多いような気がしましたがオスにも近づいてみた。
オスを真上から撮ったのが扉の写真ですが、実物の大きさはこれくらい。
ひと目盛り5~6mmですね。
これはまた改めて来ようということで、この日は前記事のとおり、他のトンボを少し撮影して退散。
一眼レフを抱えて出直したのは5月29日。天気も上々。
さっそくニコニコ顔で出迎えてくれた子がいました。
笑顔もいいけど、小柄でキュートな個体でした。
さて、さっそくメイン会場の湿地に突入です。
この日も湿地の縁のミゾソバには群れがいました。
ニコニコ顔とはいえないものの、やっぱりキュートな顔つきです。
オスは爽やかで涼し気な色合いなのですが、この手前の子はちょっと違う。
胸が水色ではなく、やや薄茶色なのでメスに見えるのですが。
前掲の写真と比べると分かりますが、肢の色が違うのでこれは未成熟のオスだと思います。
カップルもいたので、オスとメスの違いが分かるかと。(肢の色に注目)
その後もカブリツキでたくさん撮ったあと、湿地の水辺の方にも行ってみました。
一見何もいないように思えましたが、立ち止まってじっと目を凝らしていると見えてきました。
手持ちのレンズではフルズームでこれが限界。(解像度も低いのでトリミングもできず)
湿地の中に入っているのですが、かなり泥濘んでいてトレッキングシューズでは近寄れない。
トンボたちもなかなか水辺の際には止まってくれません。
じっと粘っていると、産卵場所選びのペアが畔に近いところに止まることも。(少しトリミング)
ほとんどがクロイトでしたが、時々視界を横切っていく別種の姿を見かけます。
パトロール中でなかなか止まってくれなくて、これも遠くてトリミング不可です。
別の個体かもしれませんが、お嫁さんを見つけて無事ラブ虫になったペアも。(かなりトリミング)
次々とペアが成立していきます。
トレッキングシューズもかなりドロドロになってきたので、もう気にせずに可能な限り近寄りました。
それでもさすがに水の中には入れなくてこれが限界。(かなりトリミング)
実はこの時点でオオイトトンボだとはっきり同定できていたわけではありませんでした。
なのでもっと大きい写真を撮りたくて、靴を半分泥の中に埋めながらひたすら待ちました。
都合一時間くらい粘り、接写は叶わなかったものの、拡大すればなんとか判定可。(少しトリミング)
これは長靴持参でリベンジするしかないと思いつつ、深みにはまらないようゆっくり水辺から離れました。
ベニシジミ号へと戻る途中、農道脇に葦の繁みがあることに気が付きました。
それを掻き分けて覗いてみると、小さな池があったのです。
そこは別のトンボたちのサンクチュアリのようでした。
アオモンイトトンボらしき姿もあったのですが、水際には近づけず、早々に断念して撤収しました。
ところで、時間が前後しますが、この日の午前中はトラップ回収をして廻ったのでした。
まずはキサラヅの某谷津田の奥にある休耕田。
昨冬のオサホリからヘビロテで通っています。
設置ポイントまで細い農道を歩いていると、路傍の草の上に小さいながらもちょっと目立つのが。
食草はアマチャヅルとのことですが、乗っかっていたのは違う草でした。
こちらはヨモギの葉の上にいたのを見つけた瞬間に裏に隠れられたのでひっくり返したところ。
別名ヨモギカメノコハムシというようにヨモギにつきます。
ここでもオヤツにありつけました。
熟した実をいくつか摘まんで食べていると、見下ろした葉の上で食事中の方を発見。
ところでトラップはどうだったかというと、半分以上が何物かに引っこ抜かれていました。
ベイトは入れなかったのですが、前回入れたベイトの匂いが残っていたのかもしれません。
ゴミムシ狙いなのでピットフォールでもいいのですが、本命は採れませんでした。
ミイデラがいるということはこの子もいるということで。
新しいプラカップに変えておきました。
この後、トンボ湿地に向かい、トンボたちの観察・撮影をしたというわけです。
ともかく、泥濘の中で転ばないようにバランスを取りながらじっと立っていたこともあって。
ちょっとバテてしまったので早い時間に帰路についたのですが、ちょっとだけ途中の田んぼに寄り道。
ここでも特に収獲はなかったものの、ハラビロトンボが送迎してくれました。
雌雄に見えますが・・こちらもオス。
成熟すると胴体がもっと真っ黒になります。
以上がこの日の記録ですが、長靴をはいてリベンジもしたので、また続編を書こうと思います。
特に収獲はなしと書きましたが、唯一(ザンネンながら生きてませんが)特筆すべきものが。
体長約16mm。ツヤキだと思います。
昨日の湯加減
まだその嬉しさは新鮮なままですが、心の内の興奮が冷めやらぬうちに、
前記事で”改めて紹介します”と予告したトンボたちをフィーチャーします。
特にうれしかったのがこのトンボに会えたこと。
その種名をよく表していると思うのがこのアングルです。
モノサシトンボ ♂ (モノサシトンボ科)
トンボという種の枠を超えて、生き物としての美しさをエレガントに体現しているように感じます。
5月25日にセンチトラップを仕掛け、放置時間に目星を付けていたエリアの探索をしたわけですが。
谷津田の奥まで行ってみると、こういう小さな湿地を見つけたわけです。
その中に足を踏み入れた瞬間、半日陰になっている湿地の縁に止まっているトンボを発見しました。
これはひょっとしてと思いつつ、気持ちを鎮めるのに少し時間が必要でした。
冷静になれたところで、刺激しないようそっと近づいて接写すると、やはりそうでした。
モノサシトンボ ♀ (モノサシトンボ科)
チバで見たのは何年ぶりでしょう。(チバでなくても何年も見ていない)
周囲を見回すと、発生初期なのでしょう、ミゾソバの群落の葉の上に集団でいるのが分かりました。
メスの方が多いような気がしましたがオスにも近づいてみた。
同上 ♂
オスを真上から撮ったのが扉の写真ですが、実物の大きさはこれくらい。
ひと目盛り5~6mmですね。
これはまた改めて来ようということで、この日は前記事のとおり、他のトンボを少し撮影して退散。
一眼レフを抱えて出直したのは5月29日。天気も上々。
さっそくニコニコ顔で出迎えてくれた子がいました。
ハラビロトンボ ♀ (トンボ科)
笑顔もいいけど、小柄でキュートな個体でした。
さて、さっそくメイン会場の湿地に突入です。
この日も湿地の縁のミゾソバには群れがいました。
ニコニコ顔とはいえないものの、やっぱりキュートな顔つきです。
モノサシトンボ ♂ (モノサシトンボ科)
オスは爽やかで涼し気な色合いなのですが、この手前の子はちょっと違う。
胸が水色ではなく、やや薄茶色なのでメスに見えるのですが。
前掲の写真と比べると分かりますが、肢の色が違うのでこれは未成熟のオスだと思います。
カップルもいたので、オスとメスの違いが分かるかと。(肢の色に注目)
その後もカブリツキでたくさん撮ったあと、湿地の水辺の方にも行ってみました。
一見何もいないように思えましたが、立ち止まってじっと目を凝らしていると見えてきました。
手持ちのレンズではフルズームでこれが限界。(解像度も低いのでトリミングもできず)
クロイトトンボ ♂ (イトトンボ科)
湿地の中に入っているのですが、かなり泥濘んでいてトレッキングシューズでは近寄れない。
トンボたちもなかなか水辺の際には止まってくれません。
じっと粘っていると、産卵場所選びのペアが畔に近いところに止まることも。(少しトリミング)
クロイトトンボ ペア (イトトンボ科)
ほとんどがクロイトでしたが、時々視界を横切っていく別種の姿を見かけます。
パトロール中でなかなか止まってくれなくて、これも遠くてトリミング不可です。
オオイトトンボ ♂ (イトトンボ科)
別の個体かもしれませんが、お嫁さんを見つけて無事ラブ虫になったペアも。(かなりトリミング)
同上 ペア
次々とペアが成立していきます。
同上
トレッキングシューズもかなりドロドロになってきたので、もう気にせずに可能な限り近寄りました。
それでもさすがに水の中には入れなくてこれが限界。(かなりトリミング)
オオイトトンボのペアとクロイトトンボの♂
実はこの時点でオオイトトンボだとはっきり同定できていたわけではありませんでした。
なのでもっと大きい写真を撮りたくて、靴を半分泥の中に埋めながらひたすら待ちました。
都合一時間くらい粘り、接写は叶わなかったものの、拡大すればなんとか判定可。(少しトリミング)
オオイトトンボ ペア (イトトンボ科)
これは長靴持参でリベンジするしかないと思いつつ、深みにはまらないようゆっくり水辺から離れました。
ベニシジミ号へと戻る途中、農道脇に葦の繁みがあることに気が付きました。
それを掻き分けて覗いてみると、小さな池があったのです。
そこは別のトンボたちのサンクチュアリのようでした。
ショウジョウトンボ ♂ (トンボ科)
アオモンイトトンボらしき姿もあったのですが、水際には近づけず、早々に断念して撤収しました。
ところで、時間が前後しますが、この日の午前中はトラップ回収をして廻ったのでした。
まずはキサラヅの某谷津田の奥にある休耕田。
昨冬のオサホリからヘビロテで通っています。
設置ポイントまで細い農道を歩いていると、路傍の草の上に小さいながらもちょっと目立つのが。
アトボシハムシ (ハムシ科)
食草はアマチャヅルとのことですが、乗っかっていたのは違う草でした。
こちらはヨモギの葉の上にいたのを見つけた瞬間に裏に隠れられたのでひっくり返したところ。
ヒメジンガサハムシ (ハムシ科)
別名ヨモギカメノコハムシというようにヨモギにつきます。
ここでもオヤツにありつけました。
モミジイチゴ
熟した実をいくつか摘まんで食べていると、見下ろした葉の上で食事中の方を発見。
ヨコヅナサシガメ (サシガメ科)
ところでトラップはどうだったかというと、半分以上が何物かに引っこ抜かれていました。
ベイトは入れなかったのですが、前回入れたベイトの匂いが残っていたのかもしれません。
ゴミムシ狙いなのでピットフォールでもいいのですが、本命は採れませんでした。
ミイデラゴミムシ (オサムシ科)
ミイデラがいるということはこの子もいるということで。
ケラ (ケラ科)
新しいプラカップに変えておきました。
この後、トンボ湿地に向かい、トンボたちの観察・撮影をしたというわけです。
ともかく、泥濘の中で転ばないようにバランスを取りながらじっと立っていたこともあって。
ちょっとバテてしまったので早い時間に帰路についたのですが、ちょっとだけ途中の田んぼに寄り道。
ここでも特に収獲はなかったものの、ハラビロトンボが送迎してくれました。
ハラビロトンボ 未成熟♂ (トンボ科)
雌雄に見えますが・・こちらもオス。
ハラビロトンボ 半成熟♂ (トンボ科)
成熟すると胴体がもっと真っ黒になります。
以上がこの日の記録ですが、長靴をはいてリベンジもしたので、また続編を書こうと思います。
オマケ
特に収獲はなしと書きましたが、唯一(ザンネンながら生きてませんが)特筆すべきものが。
体長約16mm。ツヤキだと思います。
昨日の湯加減
九州よりも早く梅雨入りした関東地方。
じめじめむしむしというより、むしろ肌寒い日が続いています。
今日の日中は降らなかったのですが、フィールドワークはせずにホームワークしていました。
仮展肢していたオサゴミの標本作りと同定などなど。
あ、それと、とうとう昨日クマゴロウおじさんが★になってしまいました。
約2か月間、飼育観察できました。
展翅版の上にいます。(おっさん座りはさせてません)
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
こんにちは^^
モノサシトンボのペアが...と思って拝見していましたら、
この時期は繁殖の時期で、色々なトンボが見られるのですね♪
物差しと言われるだけあって几帳面に?くぎられていて、名前の由来が分かる気がしました。
ハラビロトンボはしっかりした体ですね^^
この時期にショウジョウトンボも見られるのですね。
(何も知らないものですから...)^^
by いろは (2022-06-12 16:19)
モノサシトンボの上からの写真、素敵です!
by 山健父 (2022-06-13 08:21)
モノサシトンボ、、、まさに!まさに!
自然が作り出す形の面白さには、感心してしまいやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2022-06-13 09:12)
ジョウギトンボにならずにモノサシトンボって名になって
良かったですね。
本当に均等に線が入ってて自然界って面白い。
オケラさんは最近全然見ないなー。
by 響 (2022-06-13 19:32)
>いろはさん
トンボはオスもメスも体色が変化するものが少なくないです。
でもモノサシの未熟個体はだまされるところでした^^;
>山健父さん
近寄らせてくれる個体だったので、さまざまなアングルで撮らせてくれました。
ただ足元がゆるくて大変でした^^;
>ぼんぼちぼちぼちさん
デザイナーは一体だれなのでしょうね?^^
>響さん
この均等感が美しいですよね。
定規では奥ゆかしさが・・^^
ケラは田んぼに通えば見られると思いますけど、減りましたね。
by ぜふ (2022-06-13 22:17)
キイチゴ、おいしそうですね。拙宅の近くに大きなクワがあり、しばらく楽しめました。いよいよトンボの季節!団地のヤンマ池も活気づいてきました。毎年1種類ずつ湧いてきます。どこから来るのか不思議です。
by 高和です。 (2022-06-14 18:51)
モノサシトンボ、ホントに目盛りが等間隔ですね。
実物大写真を見ると、結構小さいんですね。
イトトンボをたくさん見たせいか、ハラビロの胴が異様に
太く見えました^^;。
靴をどろどろにしての撮影、おつかれさまでした。
by sakamono (2022-06-16 18:01)
>高和です。さん
トンボは比較的移動能力が高いので、自然分布拡大の可能性が高いですね。
でも、環境が気に入られなければ定着はしてくれないでしょう。
定着種が増えますように。
>sakamonoさん
目盛りにはもしかしたら意味があるのかもしれませんね。
ほぼ同じ大きさのハラビロトンボとはシルエットが違いすぎですね^^;
by ぜふ (2022-06-16 22:39)