"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
選虫交代 [探虫行]
前記事のとおり、オオセンチコガネがなかなか十分な収獲を上げられない。
しつこいですが行くしかない。
通勤定期とは言わないまでも、回数券が欲しいなと思ったり・・公共交通機関では行けないけれど。
何十年後かには空飛ぶバイクで行けるかなと思ったり・・間に合わないだろうけれど。
虫たちはそれまでずっと命をつないでいて欲しいものですが。
4月23日、前回と同様にキサラヅのポイントはスルーして、山の中の草原へ直行しました。
第二ポイントは午後よりも午前の方が採れる数が多いという実績もあるので少し早起きもしました。
でも早朝はまだまだ気温が低いので、頃合いを見計らい、現地に到着したのは9時過ぎ。
曇り気味だったものの、陽が覗くと暖かい。
もう定位置と言っていいくらいの場所にサクサクとトラップ設置。
例によって時間稼ぎも兼ねて林道の散策へ出発。
歩き始めてすぐに気が付きました。
前回まであんなに大勢いたニワハンミョウたちがいない。
全くいないというわけではないけれど、選手交代とばかりにわらわらと舞い立つのはこの子たち。
こんなにクッキリ入れ替わるのは、そもそも両種の個体数が多いということも言えると思います。
二本目の橋に着くまでに、(つばなれしないように)十分採れたので復路は脇目も降らず。
だったのですが、こいつはスルーできなかった。
2メートルはあろうかという立派な成体でしたが、そういえば近年シマヘビ見ないなぁと。
トラップを仕掛けているときから気になっていたのですが、下草を低く飛ぶ青いコガネムシが多数。
見回りをはじめる前にちょっと観察。
体長は10mmちょっと。鞘翅に深い筋があることと、毛深いことが特徴です。
元々は西日本に分布していたコガネムシですが、芝生を食害するので芝生と一緒に拡散したのでしょう。
チバはゴルフ場だらけなので、真っ先に移入してきたかもしれません。
さて、一巡目の見回りで捕獲したのが扉の写真の個体でした。
まずは1点取れたのでよしとし、また周辺の散策に。
シカ糞やイノシシ糞が落ちていないか見て回ると、前回は皆無だったのに今回はぽつぽつありました。
ただし、自然トラップに寄ってきている本命を見つけることはできませんでした。
(近くの土中に潜っている可能性は高いが掘りはしません)
15分経過して2回目の見回りで追加得点をあげられました。
この個体は現地ではメスだと思ったのですが、持ち帰ってから確認するとオスでがっかり。
外道ですが、お久しぶりの糞虫も一つ。
ここでまた気が付きました。
そういえば前回までトラップに多数かかっていたクロマルエンマコガネが全くいない。
エンマコガネも選手交代したのでしょう。
また15分ほど置いて3回目。
これはトラップにきたわけではないですが、近くの地面をのそのそと歩いていたのでピックアップ。
(先日の記事でオスを紹介したのでメスの写真も載せます)
体液はカンタリジンという猛毒を含んでいますので良い子はマネをしないように。
また得点(メス!)はしたのですが、写真がダメダメだったので割愛。
さらに15分後に4回目。
残念ながら無得点でしたが、またトラップの近くを歩いている不審者を発見。
見つけた瞬間はアオゴミムシだと思いましたが、見覚えのない方だったので職務質問。
それともう一種、これもお久しぶりの方が入っていらっしゃいました。
体長は約10mm。黒光りしてカッコイイ。
撤収モードに移行しようとした時、ふと覗いた草むらの中にカメを見つけました。
野生の個体を見たのはいつ以来でしょう。
人為的に草むらから出てきてもらいました。
チバでは初めて見たかもと思い、チバ県RDBを確認すると、最重要保護生物とされていました。
せっかくなので身体検査を。
川辺まで運んで放すと、あわてて泳ぎ去っていきましたが、途中でこっちを振り返ってくれた。
魚漁りの人たちも訪れるので、見つからないようにと祈りながら見送りました。
カメの恩返しを期待しながら。
今回もまた少し不満足な結果でしたが、帰り支度を整えてベニシジミ号発進。
林道の入口に向かって走っていると、突然コンチューターの針が振り切れました。
後輪が軽くロックしたほど緊急停止し、あわてながらも慎重に歩いて後戻り。
すぐには見つけられず、気のせいだったかと思いかけたけど、コンチューターは正しかった。
これがカメの恩返しだったのかな?
まだ陽は高かったので、前回断念したフィールドへ寄ってみることに。
荒れた細い林道へ入ってから、こんなに遠かったかと感じたほど山の奥へ。
手掘りの隧道を何本か通過し、林道の終点に広がる小さな亜空間に到着。
沢の下流側を確認すると、その空間は砂防ダムによって堰き止められた場所であることが分かりました。
ここにもハンミョウやニワハンミョウもちらほら見られましたが、証拠写真も撮らせてくれず。
イノシシの落とし物を見つけたのでひょっとしてと思い、注意深く辺りをチェックすると。
いました。
林道を戻り、途中の分岐点から前回は突入しなかったルートで北進。
また変な形の素掘り隧道を抜けると、無事に小湊鉄道の駅にたどり着き、そのまま北上して帰りました。
これがタイムトラベルの入口だったらなぁと思いつつ。
本編のアカガネアオゴミムシ、実は現地では同定不能だったのでお連れしました。
手元の図鑑で調べると載っていたのですが、そこには”エビアカガネゴミムシ”とある。
そんな名前は聞いたことがないのでGoogle先生に聞いてみたけど知らんとおっしゃる。
どういうこと? ひょっとして希少種、あるいはチバ初発見?
恐る恐るチバ県レッドデータブックにあたってみたところ、その種名は掲載されていない。
どういうこと? 県博の知り合いの先生に聞いてみようと思ったのですが・・
たまたまその日、ツイッターに虫屋さんが同じゴミムシの写真を投稿しているのを偶然見たのです。
種名は投稿していなかったのですが、投稿者はチバ在住と知っていたので、冷静になって再調査。
そしたら、エビアカガネゴミムシとアカガネアオゴミムシの学名は同じであることが分かりました。
(Chlaenius abstersus)
つまり、いつからか和名が変わっていたけど、手元の図鑑には昔の名前が書かれていたということ。
問い合わせなくてよかった・・
うちのクマゴロウおじさんはまだ元気に暮らしています。
座り方が・・ね?
今日の湯加減
福音館書店から、月刊たくさんのふしぎ6月号『うんこ虫を追え』(舘野鴻 著)が発刊されました。
しつこいですが行くしかない。
通勤定期とは言わないまでも、回数券が欲しいなと思ったり・・公共交通機関では行けないけれど。
何十年後かには空飛ぶバイクで行けるかなと思ったり・・間に合わないだろうけれど。
オオセンチコガネ ♂(センチコガネ科)
虫たちはそれまでずっと命をつないでいて欲しいものですが。
4月23日、前回と同様にキサラヅのポイントはスルーして、山の中の草原へ直行しました。
第二ポイントは午後よりも午前の方が採れる数が多いという実績もあるので少し早起きもしました。
でも早朝はまだまだ気温が低いので、頃合いを見計らい、現地に到着したのは9時過ぎ。
曇り気味だったものの、陽が覗くと暖かい。
もう定位置と言っていいくらいの場所にサクサクとトラップ設置。
例によって時間稼ぎも兼ねて林道の散策へ出発。
歩き始めてすぐに気が付きました。
前回まであんなに大勢いたニワハンミョウたちがいない。
全くいないというわけではないけれど、選手交代とばかりにわらわらと舞い立つのはこの子たち。
ハンミョウ ♂(オサムシ科)
こんなにクッキリ入れ替わるのは、そもそも両種の個体数が多いということも言えると思います。
二本目の橋に着くまでに、(つばなれしないように)十分採れたので復路は脇目も降らず。
だったのですが、こいつはスルーできなかった。
シマヘビ
2メートルはあろうかという立派な成体でしたが、そういえば近年シマヘビ見ないなぁと。
トラップを仕掛けているときから気になっていたのですが、下草を低く飛ぶ青いコガネムシが多数。
見回りをはじめる前にちょっと観察。
ヒラタアオコガネ (コガネムシ科)
体長は10mmちょっと。鞘翅に深い筋があることと、毛深いことが特徴です。
元々は西日本に分布していたコガネムシですが、芝生を食害するので芝生と一緒に拡散したのでしょう。
チバはゴルフ場だらけなので、真っ先に移入してきたかもしれません。
さて、一巡目の見回りで捕獲したのが扉の写真の個体でした。
まずは1点取れたのでよしとし、また周辺の散策に。
シカ糞やイノシシ糞が落ちていないか見て回ると、前回は皆無だったのに今回はぽつぽつありました。
ただし、自然トラップに寄ってきている本命を見つけることはできませんでした。
(近くの土中に潜っている可能性は高いが掘りはしません)
15分経過して2回目の見回りで追加得点をあげられました。
オオセンチコガネ ♂ (センチコガネ科)
この個体は現地ではメスだと思ったのですが、持ち帰ってから確認するとオスでがっかり。
外道ですが、お久しぶりの糞虫も一つ。
カドマルエンマコガネ ♂ (コガネムシ科)
ここでまた気が付きました。
そういえば前回までトラップに多数かかっていたクロマルエンマコガネが全くいない。
エンマコガネも選手交代したのでしょう。
また15分ほど置いて3回目。
これはトラップにきたわけではないですが、近くの地面をのそのそと歩いていたのでピックアップ。
(先日の記事でオスを紹介したのでメスの写真も載せます)
ヒメツチハンミョウ ♀ (ツチハンミョウ科)
体液はカンタリジンという猛毒を含んでいますので良い子はマネをしないように。
また得点(メス!)はしたのですが、写真がダメダメだったので割愛。
さらに15分後に4回目。
残念ながら無得点でしたが、またトラップの近くを歩いている不審者を発見。
見つけた瞬間はアオゴミムシだと思いましたが、見覚えのない方だったので職務質問。
アカガネアオゴミムシ (オサムシ科)
それともう一種、これもお久しぶりの方が入っていらっしゃいました。
ヤマトエンマムシ (エンマムシ科)
体長は約10mm。黒光りしてカッコイイ。
撤収モードに移行しようとした時、ふと覗いた草むらの中にカメを見つけました。
野生の個体を見たのはいつ以来でしょう。
人為的に草むらから出てきてもらいました。
ニホンイシガメ
チバでは初めて見たかもと思い、チバ県RDBを確認すると、最重要保護生物とされていました。
せっかくなので身体検査を。
同上
川辺まで運んで放すと、あわてて泳ぎ去っていきましたが、途中でこっちを振り返ってくれた。
魚漁りの人たちも訪れるので、見つからないようにと祈りながら見送りました。
カメの恩返しを期待しながら。
今回もまた少し不満足な結果でしたが、帰り支度を整えてベニシジミ号発進。
林道の入口に向かって走っていると、突然コンチューターの針が振り切れました。
後輪が軽くロックしたほど緊急停止し、あわてながらも慎重に歩いて後戻り。
すぐには見つけられず、気のせいだったかと思いかけたけど、コンチューターは正しかった。
アオオサムシ (オサムシ科)
これがカメの恩返しだったのかな?
まだ陽は高かったので、前回断念したフィールドへ寄ってみることに。
荒れた細い林道へ入ってから、こんなに遠かったかと感じたほど山の奥へ。
手掘りの隧道を何本か通過し、林道の終点に広がる小さな亜空間に到着。
沢の下流側を確認すると、その空間は砂防ダムによって堰き止められた場所であることが分かりました。
ここにもハンミョウやニワハンミョウもちらほら見られましたが、証拠写真も撮らせてくれず。
イノシシの落とし物を見つけたのでひょっとしてと思い、注意深く辺りをチェックすると。
いました。
オオセンチコガネ ♂(センチコガネ科)
林道を戻り、途中の分岐点から前回は突入しなかったルートで北進。
また変な形の素掘り隧道を抜けると、無事に小湊鉄道の駅にたどり着き、そのまま北上して帰りました。
これがタイムトラベルの入口だったらなぁと思いつつ。
オマケ
本編のアカガネアオゴミムシ、実は現地では同定不能だったのでお連れしました。
手元の図鑑で調べると載っていたのですが、そこには”エビアカガネゴミムシ”とある。
そんな名前は聞いたことがないのでGoogle先生に聞いてみたけど知らんとおっしゃる。
どういうこと? ひょっとして希少種、あるいはチバ初発見?
恐る恐るチバ県レッドデータブックにあたってみたところ、その種名は掲載されていない。
どういうこと? 県博の知り合いの先生に聞いてみようと思ったのですが・・
たまたまその日、ツイッターに虫屋さんが同じゴミムシの写真を投稿しているのを偶然見たのです。
種名は投稿していなかったのですが、投稿者はチバ在住と知っていたので、冷静になって再調査。
そしたら、エビアカガネゴミムシとアカガネアオゴミムシの学名は同じであることが分かりました。
(Chlaenius abstersus)
つまり、いつからか和名が変わっていたけど、手元の図鑑には昔の名前が書かれていたということ。
問い合わせなくてよかった・・
オマケ その2
うちのクマゴロウおじさんはまだ元気に暮らしています。
キムネクマバチのクマゴロウ
座り方が・・ね?
今日の湯加減
新緑の季節となりました。
眼には青葉ですが、眼には青空と言える日はまだ2~3日しかありません。
今日もチバは曇り。
午前中に資材を買いにベニシジミ号で出かけたら、途中で土砂降りに遭ってしまいました。
雨雲レーダーを見たら、いわゆる線状降水帯が、普通とは向きが逆で、東から西へと通過中でした。
そんなこともあるんですね。
福音館書店から、月刊たくさんのふしぎ6月号『うんこ虫を追え』(舘野鴻 著)が発刊されました。
主人公の"うんこ虫"は本編にも登場するオオセンチコガネです。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
こんにちは^^
オオセンチコガネ、艶々ですね。
ヒラタアオコガネは本当に毛深いですね^^
亀の恩返し、竜宮城からご招待があるかも知れませんね^^
最近、ご近所の方から、柚に虫がついて困ると伺い、早速幼虫を頂きに行き、ケースで飼育中です。
青虫になって可愛くなりました^^
by いろは (2022-05-08 15:24)
連れ帰る衝動をおさえるのが大変って、お連れしなかったんですか?
ボーソー半島は「タイムトンネル」が多いですね。潜る度に50年ずつスリップできたら楽しいでしょうね。昔は分布していた種類に会えるかもしれない?
by 高和です。 (2022-05-09 19:11)
>いろはさん
玉手箱はいらないので珍しい虫に会わせてほしいです^^
”ゆず坊”。アゲハの幼虫はそう呼ばれます。
かわいいですよね。
>高和です。さん
本編のとおり、お別れしました。
50年前には戻ってみたいですが・・いや、100年前もいいですね。
by ぜふ (2022-05-10 23:19)
見られる虫たちが、パタッと変わるっておもしろいですね。
ヒメツチハンミョウは真っ黒い大きなアリに見えました。
ハンミョウというと派手な色のイメージがありました。
クマゴロウおじさん、かわいい写真ですね^^;。
by sakamono (2022-05-11 17:29)
クマゴロウおじさん、ほんとに座り方がおじさんでやすね!
おじさん座り、哺乳類ではよく見るけど、虫でもこんな座り方するとは、びっくりでやす!
by ぼんぼちぼちぼち (2022-05-12 10:05)
>sakamonoさん
虫たちはまさに二十四節気で季節に沿って活動しているように見えます。
近年はそれも乱れがちですが。
ハンミョウの仲間は地味なタイプが圧倒的に多数派ですね。
クマさんはだんだんと親近感が増してきました^^
>ぼんぼちぼちぼちさん
虫が座ること自体、なかなか見られないと思うのですが・・
飼育下ゆえではありますが、クマさんはたまにこうしています^^
by ぜふ (2022-05-12 23:21)