"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
センチ開幕 [探虫行]
何度も書いていますが、今春のチバは虫たちの出現が遅い。
4月になっても気温が低い日や雨の日が多いのが大きな理由でしょうけど。
トンボもチョウもレギュラーたちの姿がほとんど見られないのは寂しいかぎり。
とはいえ、前々記事のおさらいとなりますが、しつこくトラップ採集に行ってきました。

ボウズではなかったのですが・・
前回から2週間後の4月10日、前回と同様、まずは第一ポイントのキサラヅ方面へ。
前日も20℃超えで、この日はそれ以上に上がる予報だし、天気もまずまずなので不安はなし。
余裕をかまして、現地に着いたのは10時過ぎ。

田んぼの畔の草刈りに来た農家の方がいて、挨拶すると話しかけられました。
「この堰も携帯か何かで見るとわかるのかい?」
「えぇ、パソコンやスマホで地図を開くと出ますね」
「昔はこの用水路沿いにシジミを採りに来る車がずらっと並んでたこともあるよ」
「へぇ、シジミが採れたんですか」
「それかフナ釣りかだったけれど、今は何とかいう外来魚がいてダメだね」
「あぁ、この堰にもバスがいるんですねー」
ちょっと悲しい話でしたが、ここはウシガエルのオタマやザリガニは湧いていないのでまだマシかと。
立ち話もそこそこに、ちゃっちゃと、かつ前回より多めにトラップを仕掛けて、さっさと離脱。

第二ポイントも前回と同じく、ボウソウの山の中の草原へ。

ここでもさっさと仕掛け終わり、コンビニで買って来たおにぎりを食べながら休憩。
30分ほど経過したところで、トラップの様子を見に行ったら、もう来訪者がいました。
本命ではありませんでしたが。

このまま現場で張り込んでいようかとも思いましたが、一旦離脱することにしました。
以前から存在は知っていたものの、未踏の廃道が比較的近くにあるのです。
大体の場所しか分かりませんでしたが、行ってみたらあっさり辿り着きました。
入口に着いただけで、本当にここかはこの時点では分かりませんでしたが。

ここでした。
100メートルも進むと、ちょっと変わった形の、手掘りと思われる隧道が出現。

奇妙に縦長なのが特異的で、隧道を抜けて反対側から見るとこんな様子。
左の穴は何のためなのか不明。

穴よりも、近くにあったこの小崖に興味が湧きました。
明らかに人工的に削られているのですが、何のためなのかは全く不明。

この小崖の脇に細い林道が続いていたので、入ってみるとすぐに倒木で通せんぼでした。

歩いて突入するのさえ難しそうだし、時間の余裕もないので探索はここで終了。
草原へ引き返しました。

戻ってきて、またトラップを巡回したところ、エンマコガネはいくつか入っていました。

しかし本命の姿はゼロ。
もう少し時間をおくため、草原の奥の林道の探索へ。
本命の姿は見えないけれど、この子たちは(やっと)たくさん発生していました。

歩いていく先の地面からわらわらと舞い上がります。
黒い子も。

この林道は何度も突入して様子は分かっているのですが、川の中から隧道を眺められる所がありました。
これも手掘りで、いわゆる川廻しのために作られたのだと思います。

すぐ下流のこの隧道も変わった形。

そろそろ頃合いかと草原へ戻る途中、やっとこの子にも会えました。
このフィールドにはたくさんいるはずですが、今春は発生が遅かったようで。

捕獲したかったのですが、写真を撮っているうちに逃げられて見失ってしまいました。

トラップポイントに停めたベニシジミ号まで戻ってきたら、シートの上にこんな子が座ってました。
(シートの上にいる写真は撮りそこねた)

体長は25mmくらいで、アミメカゲロウの仲間。
さて、トラップの成果はというと、ここでも前回より多めにかけたというのに本命はボウズでした。
(エンマコガネたちは多数でしたがリリース)
トラップを全部回収して、第一ポイントへ移動です。

堰まで戻ってきたのは午後4時頃。
今度はさすがにいるだろうとトラップの回収へ。
堰に沿って、手前からかけていったので、回収は一番奥からということにしました。
湿地の水際まで辿り着き、せっかくなので周辺を探虫すると、これも春を象徴する虫。

その他、小型のゴミムシの仲間が歩いているのを観察したあと、トラップを見て回りました。
かかっていたのも小型のゴミムシやアオゴミムシくらいでしたが、ちょっとうれしい外道も。

ルイスオサムシエサキオサムシ ♀ (オサムシ科)
記事投稿時はルイスオサムシとしていましたが、体長を計測しなおしたら約23.5mm。
ルイスオサムシは最大22mm。
クロオサムシの関東北西部亜種でボウソウに飛び地的に分布する本種に訂正します。
いずれにしてもキサラヅラベルは初。
結局、トラップには一頭も本命は入ってなかったのですが、回収しているとすぐそばの下草に。

本命ですが、残念ながらオスでした。
陽が傾くのとシンクロして首も項垂れ、とぼとぼとベニシジミ号へと引き返しました。

でも何か、何故か納得がいかなくて、というか諦めがつかず。
もう一度戻って、トラップをかけた場所を見て回ってから帰ることに。
トラップを仕掛けたエリアのちょうど真ん中辺りまで来たときでしょうか。
どこからかブーンという羽音が聞こえ、目の前に舞い降りてきたのです。本命が。

これが扉の子で、何とか1ペア確保。
という訳で一応、センチコガネのシーズンスタートと言いたいですが、開幕戦は惜敗というところ。
先週、お昼の買い物に行こうと家を出たら、すぐ前の歩道の上に黒くて丸い物体が。

羽ばたいても地面を転がるだけ。どうやら羽が一枚折れていて飛べないみたい。
手に乗せると「助けて」と見つめられたので、踵を返して家へ連れ戻りました。
翌日からは気温も下がるし、雨も降るし、きびしい天候だったので余生を過ごすにはよかったかも。
今日も元気にしています。

クマバチの恩返し・・ないかな・・
今日の湯加減
4月になっても気温が低い日や雨の日が多いのが大きな理由でしょうけど。
トンボもチョウもレギュラーたちの姿がほとんど見られないのは寂しいかぎり。
とはいえ、前々記事のおさらいとなりますが、しつこくトラップ採集に行ってきました。

センチコガネ (センチコガネ科)
ボウズではなかったのですが・・
前回から2週間後の4月10日、前回と同様、まずは第一ポイントのキサラヅ方面へ。
前日も20℃超えで、この日はそれ以上に上がる予報だし、天気もまずまずなので不安はなし。
余裕をかまして、現地に着いたのは10時過ぎ。

田んぼの畔の草刈りに来た農家の方がいて、挨拶すると話しかけられました。
「この堰も携帯か何かで見るとわかるのかい?」
「えぇ、パソコンやスマホで地図を開くと出ますね」
「昔はこの用水路沿いにシジミを採りに来る車がずらっと並んでたこともあるよ」
「へぇ、シジミが採れたんですか」
「それかフナ釣りかだったけれど、今は何とかいう外来魚がいてダメだね」
「あぁ、この堰にもバスがいるんですねー」
ちょっと悲しい話でしたが、ここはウシガエルのオタマやザリガニは湧いていないのでまだマシかと。
立ち話もそこそこに、ちゃっちゃと、かつ前回より多めにトラップを仕掛けて、さっさと離脱。

第二ポイントも前回と同じく、ボウソウの山の中の草原へ。

ここでもさっさと仕掛け終わり、コンビニで買って来たおにぎりを食べながら休憩。
30分ほど経過したところで、トラップの様子を見に行ったら、もう来訪者がいました。
本命ではありませんでしたが。

クロマルエンマコガネ (コガネムシ科)
このまま現場で張り込んでいようかとも思いましたが、一旦離脱することにしました。
以前から存在は知っていたものの、未踏の廃道が比較的近くにあるのです。
大体の場所しか分かりませんでしたが、行ってみたらあっさり辿り着きました。
入口に着いただけで、本当にここかはこの時点では分かりませんでしたが。

ここでした。
100メートルも進むと、ちょっと変わった形の、手掘りと思われる隧道が出現。

奇妙に縦長なのが特異的で、隧道を抜けて反対側から見るとこんな様子。
左の穴は何のためなのか不明。

穴よりも、近くにあったこの小崖に興味が湧きました。
明らかに人工的に削られているのですが、何のためなのかは全く不明。

この小崖の脇に細い林道が続いていたので、入ってみるとすぐに倒木で通せんぼでした。

歩いて突入するのさえ難しそうだし、時間の余裕もないので探索はここで終了。
草原へ引き返しました。

戻ってきて、またトラップを巡回したところ、エンマコガネはいくつか入っていました。

同上
しかし本命の姿はゼロ。
もう少し時間をおくため、草原の奥の林道の探索へ。
本命の姿は見えないけれど、この子たちは(やっと)たくさん発生していました。

ニワハンミョウ (オサムシ科)
歩いていく先の地面からわらわらと舞い上がります。
黒い子も。

同上
この林道は何度も突入して様子は分かっているのですが、川の中から隧道を眺められる所がありました。
これも手掘りで、いわゆる川廻しのために作られたのだと思います。

すぐ下流のこの隧道も変わった形。

そろそろ頃合いかと草原へ戻る途中、やっとこの子にも会えました。
このフィールドにはたくさんいるはずですが、今春は発生が遅かったようで。

ハンミョウ (オサムシ科)
捕獲したかったのですが、写真を撮っているうちに逃げられて見失ってしまいました。

トラップポイントに停めたベニシジミ号まで戻ってきたら、シートの上にこんな子が座ってました。
(シートの上にいる写真は撮りそこねた)

クロセンブリ (センブリ科)
体長は25mmくらいで、アミメカゲロウの仲間。
さて、トラップの成果はというと、ここでも前回より多めにかけたというのに本命はボウズでした。
(エンマコガネたちは多数でしたがリリース)
トラップを全部回収して、第一ポイントへ移動です。

堰まで戻ってきたのは午後4時頃。
今度はさすがにいるだろうとトラップの回収へ。
堰に沿って、手前からかけていったので、回収は一番奥からということにしました。
湿地の水際まで辿り着き、せっかくなので周辺を探虫すると、これも春を象徴する虫。

ヒメツチハンミョウ ♂(ツチハンミョウ科)
その他、小型のゴミムシの仲間が歩いているのを観察したあと、トラップを見て回りました。
かかっていたのも小型のゴミムシやアオゴミムシくらいでしたが、ちょっとうれしい外道も。

記事投稿時はルイスオサムシとしていましたが、体長を計測しなおしたら約23.5mm。
ルイスオサムシは最大22mm。
クロオサムシの関東北西部亜種でボウソウに飛び地的に分布する本種に訂正します。
いずれにしてもキサラヅラベルは初。
結局、トラップには一頭も本命は入ってなかったのですが、回収しているとすぐそばの下草に。

センチコガネ ♂ (センチコガネ科)
本命ですが、残念ながらオスでした。
陽が傾くのとシンクロして首も項垂れ、とぼとぼとベニシジミ号へと引き返しました。

でも何か、何故か納得がいかなくて、というか諦めがつかず。
もう一度戻って、トラップをかけた場所を見て回ってから帰ることに。
トラップを仕掛けたエリアのちょうど真ん中辺りまで来たときでしょうか。
どこからかブーンという羽音が聞こえ、目の前に舞い降りてきたのです。本命が。

センチコガネ ♀ (センチコガネ科)
これが扉の子で、何とか1ペア確保。
という訳で一応、センチコガネのシーズンスタートと言いたいですが、開幕戦は惜敗というところ。
オマケ
先週、お昼の買い物に行こうと家を出たら、すぐ前の歩道の上に黒くて丸い物体が。

羽ばたいても地面を転がるだけ。どうやら羽が一枚折れていて飛べないみたい。
手に乗せると「助けて」と見つめられたので、踵を返して家へ連れ戻りました。
翌日からは気温も下がるし、雨も降るし、きびしい天候だったので余生を過ごすにはよかったかも。
今日も元気にしています。

キムネクマバチ (ミツバチ科)
クマバチの恩返し・・ないかな・・
今日の湯加減
今日のチバは夏日でした。
暖かくなって、もうさすがに寒の戻りはなさそうですが、ううらかな春はなかったですね。
夏日になってからストーブをしまうというのは何か違う気がします。
とにかく毎年毎年、変な春が続きます。
虫たちも調子狂っているかもしれません。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
>ヒメツチハンミョウ
触角の途中に拳のようなものがついていますが、これは標準装備なのでしょうか?
by アヨアン・イゴカー (2022-04-24 11:05)
こんにちは^^
ハンミョウって綺麗ですね♪
出会ったことはないのですが...。
クマバチの恩返し、あると思います^^
by いろは (2022-04-24 14:36)
ツチハンミョウの存在はジュニア版で知りました。猛毒なんですね。なかなかシックな出で立ちです。お会いしたいものです。怖いもの見たさです。素直に彫りのトンネル。不思議な存在です
?
by 高和です。 (2022-04-24 20:01)
>アヨアン・イゴカーさん
まさにオスメスの同定ポイントで、オスの特徴です。
蛾の触角と同様にオスは広がっていますが、広がり方が独特ですね^^
>いろはさん
国産の昆虫とは思えない色柄ですよね。
子供の頃からの遊び仲間でもあります^^
クマバチはまだ元気です♪
>高和です。さん
触るだけなら大丈夫です。
毒もそうですが、生態の特異さが興味深いですよね。
by ぜふ (2022-04-25 20:40)
最後の最後で、ぶーんと飛んできて舞い降りたセンチコガネ♀
これは今シーズンを予感させる吉兆^^;?
キムネクマバチ、写真のポーズがかわいいですね。
黄色い胸の部分がフェルトのようでさわり心地がよさそう。
by sakamono (2022-04-27 21:12)
魅力的な隧道がいっぱいです。
たしかに人工的な崖が気になりますね。
飛べないクマバチはいい人に見つけてもらえてよかった。
by 響 (2022-04-28 09:52)
>sakamonoさん
吉兆であるようにと願っています^^
名前のとおり黄色い胸が特徴的で、実際の触り心地もいいですよ♪
>響さん
人工的な崖がなぜ廃道の入口にあるのか・・
崖ではなく、入口を広げようして途中で止めたのかもしれません。
クマバチくんも元気にしています♪
by ぜふ (2022-04-29 18:09)