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"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。

アオヘリモドキ [探虫行]

啓蟄も過ぎてオサホリシーズンも終盤戦。

いつもと比べて今シーズンは精力的に動いているとは思っています。(当社比)

空白を埋めろシリーズも続けたいところですが、他にもミッションは多数あります。

その中のいくつかお題をかかえてボウソウしてきたら変な子に出会いました。

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親分には見えないのが問題です。(当社比)

精力的に動いているのは記事のバッログが溜まり気味ということで自覚できます。
(記事化するしないは本人の勝手ですが)

さすがに疲れも溜まり気味で、季節の変わり目のマイ風物詩である腰痛でも自覚できます。

さて、3月7日は朝から曇ってはいたものの、ボウソウの降水確率は低い。

寝坊したわけではないけれど、時間稼ぎのために君津ICまで高速でバビューン。

一つ目のお題は、前々回の議事で、「対岸にはちょっと怪しい崖が見えました」と書いたここ。

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忘れないうちに再訪しておこうということです。

と、その前に。

その時は時間が押して寄れなかった林道へ。

結局、有望な崖は見つからなかったのですが、こんな場所がありました。

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元は杉林で、木材はもう搬出済み。

ソーラーパネルを設置するにしては、伐採した枝を集めて等間隔に並べてあるように見える。

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一体どうなるのか、何なのか。森林事業に詳しい人なら分かるのかしら。

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とっとと見切りをつけて目的地に到着。

近くで見るとまさに理想的な、長さも十分な小崖でした。

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ただ乾燥している部分が多くて、上部を崩すと大きな土塊が転がり落ちてしまう。

休耕田ではなさそうなので、あぜ道を土隗だらけにするのは躊躇われる。

なので手あたり次第ではなく、湿気のある、中腹より低いところを選んで試掘していきます。

意外に指標虫がとても少なく、たまに出るのはスジアオの親分だけという時間が過ぎていました。

ちょっと寂しいなと思った頃、賑やかな部屋をノックしてしまいました。

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ミイデラマンション


また寂しい時間が経過しましたが、やはりミイデラはこの子の指標虫という気がします。

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コキベリアオゴミムシ ツヤキベリアオゴミムシ (オサムシ科)

(※後日実測したところ体長約16.5mm )

寝た子を起こしたので体全体の写真はありません。

キベリマンションはないかとカニ歩きすることしばし。

最初にお尻が見えたときは、また親分かと思ったのですが、コンチューターが何か違うと。

ピンセットでほじり出してみると、親分にしてはずいぶん小柄で細身です。

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コスジアオゴミムシ ?


親分なら体長は22~23mmなのですが、この子は連れ帰って実測したら19.5mmでした。

しかし、あこがれのアオヘリにしては大きい。(アオヘリは体長17mm前後)

オオアオヘリアオゴミムシ という種がいたらいいのに。

さらにしばらく粘りましたが、コガシラアオが出たくらいでアオオサムシも出ず。

この子が出たところで掘り止めとしました。

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オオアオモリヒラタゴミムシ (オサムシ科)


体長約12mm。全体に光沢があり、前胸の縁が反り返っていて、足が赤いのが特徴。

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次のお題は数年前にトライするも、通行止めで引き返した林道を走破しつつのポイント探し。

君津ICまで戻って高速に乗りなおし、富津富岡ICまで行くつもりでしたが・・

富津中央ICの手前で、すぐ左手に小さな溜池が見え、0.5秒ほど考えて高速を降りました。

R127を少しだけ引き返し、高速側へ戻るように細い道を進み、農地に出たところで現在地確認。

池の場所を確認し、トラクターとすれ違いながらしばらく進むと行き止まりにありました。

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「ここで遊んではいけません」という看板はともかく、柵があって池には近づけず。

がっかりして引き返しましたが、R127に出る手前でちょっといい風景に出くわしました。

護岸していない小川。

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通りがかったときは、ご近所の方と思しき家族が土手でのんびりしていました。

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写真を撮っているとカワセミも横切っていったし、また近くに来たときは寄り道したいと思います。

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コンビニに寄って海苔巻きを買って再出発。R127を南下し、湊川を渡ったところで山に突入。

内房の山間をUの字に巡る林道で、今回は書き順とは逆の東側からアプローチしました。

林道の入口には通行止めなどの表示がなく、安心して順調に進行します。

ただし、ポイント探しも目的なので、ゆっくりトコトコと。

序盤は路面も荒れてなくてまったく問題なし。(でも崖や支線もなし)

中盤に差し掛かると道幅が狭くなり、隧道は当たり前に狭い。

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反対側からの景観も。

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道も荒れてきた、いや、正確にはやっと修復が終わったところでしょう。

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支線じゃないものの、沢があったので、そこで休憩がてらお昼にしました。

沢の入口の両側にちょっとだけ土が露出している部分があったので、食後に試掘しましたが成果なし。

再出発して中間地点に着くまでは支線も沢も見当たらず。

廃屋のある分岐点で北に戻ります。

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その後も有望そうな崖はまったくなくて寂しい気分が増すばかり。

林道沿いの小崖は試掘していきましたが、唯一出たのは親分一匹という始末。

何も被写体がないので、ちょっと珍しいと思われる、ボウソウ名物の木製ガードレールを。

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もう、どこも朽ちかけているので崩れて消えるのも時間の問題でしょう。

開通して周回できるのは分かりましたが、採集ポイントはなさそうなことも分かりました。

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次のお題は、アオオサムシのフッツラベルの追加を得ること。

もう一回高速に乗りなおして、ノコギリ山方面を目指します。

ここも実績ありポイントですが、もうかれこれ5年ぶり。

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半舗装の山道に面した高さのある崖。

ノコギリ山周辺は岩山なので、土の崖は貴重です。

しばらく掘っても指標虫すら出ないので超猫日の再現かと不安な心持ちがし始める。

中腹まで登ったところで、一旦降りて低いところを試掘しようかと足元を見降ろしました。

でもふと、降りるのはイヤだな、と独り言が口を突いて出た。

それが表目と出て、さらに登ったところからヒット。

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アオオサムシ ♂ (オサムシ科)


フッツ、キミツ、キサラヅはこのような緑と銅色が混ざったような個体が多い。

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同上


メスも得たいと、同じ高さをカニ歩き。(滑りながら)

出たのは親分のみで、崖の端まできて後がなくなったときにやっと追加。

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同上


残念ながらメスではありませんでした。

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同上


逆側へ移動しながら、少し高さも上げつつ、さらに粘りました。

すると、ぽこっと部屋の窓が開き、顔が見えました。

アオオサにしては小さい。

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うっかり存在を忘れていました。

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アワカズサオサムシエサキオサムシ ♂(オサムシ科)


記事投稿時はルイスオサムシの南房総亜種アワカズサオサムシとしていましたが訂正します。

クロオサムシの亜種で、ボウソウに飛び地的に分布するオサムシです。

ここではアワカズサが多く採れた記憶があるので思い込みがありました。

ただ、このときはアワカズサは採れませんでした。

せっかくなので崖を登り詰めてみました。

崖の上は少し平らな場所と段差のある場所がありました。

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根回りに土がついているところもありましたが、掘りづらくてすぐにやめました。

崖の向こうは真っ逆さまの谷。

滑落しないように崖を降りてベニシジミ号へ戻りました。

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実はこの山道も周回ルートなので、ぐるっと回る予定でした。

峠に向けて再出発し、ガタゴト道をしばらく登ると踊り場草原にたどり着きました。

この草原にもたくさんのオサムシたちが生息しているでしょう。

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このルートも支線がなく、尾根道が多いので沢もありません。

一か所だけ道端にほんの小さな、竈のような崖があったので試掘しましたが親分が出ただけ。

とうとう峠に到達したのですが・・行く手を阻まれました。

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歩いて峠の向こう側へ進み、反対側(南房総方面)を撮影。

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仕方なくUターンして下山しました。

下りきる手前にこんなところがあって気になったので停車。

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裂け目の向こうは急な谷でしたが、荒れた尾根道のようなのがあったので潜入してみることに。

掘れそうなのは木の根周りに土が付いているところくらいでしたが全く何も出ませんでした。

あまり深入りはせず、ベニシジミ号へ戻り、休憩しつつ帰り支度。

まだ陽は傾いてはいなかったですが、HPが足りなくなったので帰路につきました。




オマケ


舘野鴻 原画展「がろあむし ~描かれた相模原の自然~」を見に行ってきました。

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超巨大なタペストリーにプリントされた原画も。(こんなサイズの原画は見たことない)

ガロアムシの生息する地中にいるような気分になれます。

相模原市立博物館(最寄り駅はJR横浜線 淵野辺)にて6月5日まで。(入場無料)

博物館の向いにはJAXAの相模原キャンパスがあります。




今日の湯加減

その後も日によって寒暖差が強烈な今年のチバ。
実は昨日、センちゃんたちが動き始めているかもと、トラップ仕掛けに行ったのですが。
積算温度がまだ足りなくて、まだ春が来ていないと彼らは判定しているのか、ボウズでした。
エンマコガネは出ていたのですが・・そのお話(きっと短編)はまたいつか。
それにしても今日訪れた淵野辺は遠かった。

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高和です。

月刊むし誌上にて玉稿を拝読しました。センちゃんのお世話というと、高和は昆虫塾のO母娘が忘れられません。一番の問題は「ごはん」の調達だったようで、糞係のママの奮闘記には心底頭が下がりました。さて、ホームゲレンデ探索記・空白を埋めろ、野趣あふれる風景にため息ばかりです。それでも団地のヤンマ池でアオサギにあえたのは、望外の幸せでした。
ゼフさんのニンマリ顔が画面に現れる日が遠くないことを切に祈ります。
by 高和です。 (2022-03-27 09:06) 

山健父

いつもながら、きちっと本命を掘り出すコンチュータの性能には驚かされます。
ご指導を元にちょっとトライしたのですが、丸坊主でめげました(汗)
大都市近郊にも貴重な自然が思いのほか残っており、驚いています。
私のフィールドでも、河口の葦原やウマノスズクサ群生など、意外なモノが残っていたりするので、コツコツと観察を続けたいと思います。
by 山健父 (2022-03-27 10:59) 

響

隧道が一杯な地質もオサホリに適してるのでしょうね。
カワセミが見れるのもいいな。
by (2022-03-27 11:31) 

ぜふ

>高和です。さん
空白を埋めきることはもう叶わないとはいえ、やってみるしかないと思います。
池にはカエルも増えるといいですね。

>山健父さん
ボウズも慣れれば大丈夫です^^
虫がニッチに適応する、そのニッチを探すのも楽しいし意義がありますね。ぜひ続けてください。

>響さん
カワセミブルーは懐かしいですね~♪
by ぜふ (2022-03-27 22:44) 

sakamono

アワカズサオサムシ? ああ、安房上総ってことか、と思いました^^;。
いろいろ動き回って踏破していく、その風景を見るのも楽しです。
それとこの隧道、なんか崩れそうですね^^;。
by sakamono (2022-03-31 21:12) 

ぜふ

>sakamonoさん
房総の山道をすべて踏破することはムリかもしれませんが、怪しい道は努めて突入したいです^^
この隧道は、前後が崩れていましたね。
修復したてというところでした^^;
by ぜふ (2022-04-01 22:41) 

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