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"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。

スーパーにゃんデー [探虫行]

2022年2月22日は、巷では”超猫日”と称されていました。

そうでなくても、こんな特異日のラベルの標本が欲しいと思うのは特異なことではないと思います。

なので種は問わずに探虫しにボウソウしてきました。

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種を問わずとは言え、この季節はオサゴミ狙いとなります。

空白を埋めろミッションでもあるのですが、第一目標はキサラヅラベルです。

キサラヅ方面は昨年の一時期ゴミムシ探しに通ったり、トンボ探しに行ったりと訪問回数は少なくない。

でも今回空白地を確認していて、アオオサムシは採ったことがない。

ただキサラヅは田舎であり都会。

湾岸エリアは工業地帯、平野は商業地域、住宅地が広がり、郊外にはアカデミアパークもあります。

要するにオサゴミの分布しやすい谷津田が比較的少ない。

逆に言うとエリアは絞れるので、目的地設定はあまり迷う必要がない。

とまれ(ちょっと寝坊したので)木更津北ICまで高速でバビューン。

まだ突入したことのない谷津田に入ろうとしたのですが、入れませんでした。

シカ柵が張り巡らされているのです。

以前より敷設率が高くなっていて(というか見た限り100%)、シカの増加の程がうかがえます。

ただ一か所だけ、柵が少し奥に敷設されているため、手前側だけ入れる場所を知っていました。

しかも、なんとそこには小崖があるのです。

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ここは各種ゴミムシを採った実績があるのですが、アオオサは未採集でした。

とにかく他に入れる場所がないので、20メートルほどの崖の一番奥から取りついてみました。

が、どこも乾燥して壁面がひび割れている部分が多い。

湿り気のある部分を探して試掘しますが、何か変だなとすぐに感じました。

以前(おそらく2~3年前)来たときは、ミイデラゴミムシなどゴミムシ類がわらわらと出た記憶が。

ところが指標虫すらほとんど出なくて、ゴミムシも出てこない。

15分くらい掘り続けてやっと出た虫は。

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オオズケゴモクムシ (オサムシ科)


体長14mm強。これも貴重なラベルになるので確保。

日向部分からですが、やっと常連のゴミムシも。

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コガシラアオゴミムシ (オサムシ科)


さらに15分ほど掘り続けたところでスジアオの親分が出たので何とか心折れずに継続。

もっとも手前(ベニシジミ号を停めた場所)付近を掘っていたら、ミイデラマンションを発掘。

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ミイデラゴミムシ (オサムシ科)


リリースしましたがプープー虫はあの子の指標虫でもあるのでマンションの奥もチェック。

すると、期待通り。

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コキベリアオゴミムシ (オサムシ科)


幸運にも2頭入っていて、もう一つは16mmのビッグサイズでした。(普通は15mm以下)

これで気は晴れたし周りたい場所はまだまだあるので撤収しようとしたその時。

ぽろっとタナボタならぬガケボタが落ちてきました。

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アオオサムシ ♀ (オサムシ科)


思わず「いたー」と叫んでしまいましたが、メスだったのでオスも掘り出したくなりました。

もうほとんど掘る場所はなかったのですが、落穂ひろいをしつつ、もう一巡したものの・・

何も出ませんでした。

とにかく前回よりも虫の数が激減していることに驚きましたが、本命を得られて満足。

予定外にかなり時間を使ってしまったので焦りつつ次の場所へと移動しました。

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そこも一昨年、池巡りをしに来たことがあるエリアですが、未踏の谷津田へ突入することに。

谷津田への入口が分からずにちょっとウロウロし、アプローチを見つけたものの分岐点でストップ。

V字に分かれていてどっちが正解か不明。

スマホを出してGoogleMapを起動していると、ベニシジミ号の右側に軽トラが横付けしました。

助手席側の窓が開いていて、スキンヘッドの運転手のおじさんが「どこへ行きたいの?」と。

「えーと、キミツの方なんですけど、何て言ったらいいのか、市街地じゃない方です」

用事があるのは谷津田ですが、谷津田に行きたいというと話が長くなるので困りました。

Mapで見ると谷津田を抜けた先にメガソーラーがあったので、「多分メガソーラーがある方です」と。

すると、わざわざ車を降りてきて、どれどれとスマホを覗き込むおじさん。

「それなら右の道を行ったらいいよ、左を行っても行き止まりだから」

え?それなら行先は関係ないじゃないか!と思ったのですが・・

どうやら市街地へ行くならUターンした方がいいということのようでした。

「これ、ヤマハのバイク?250?オフロードなの?」

「オフロードではないですが、砂利道くらいの非舗装路なら難なく走れますね」

「オレもホンダのCB250R乗ってて、昔はドカティ乗ってて、でも維持費がかかるしトシだから」

「250CCはいいですよね」

「うん、やっぱり日本車はいいね、外車は車検にお金かかるし」

ベニシジミ号がとても気になったようでしたが、お礼を言って暇乞いをし、右の道を進みました。

間もなくあっさり谷津田に出たので、上流に向けて細い農道をゆっくりトレースします。

同じ市内なのに、この谷津田はシカ柵がない。

と、左手に杉林の奥へと向かう支道が見えた瞬間、何かピンとくるものがありました。

もし後ろからさっきのおっちゃんが来たら、また説明が大変かもしれないので、少し奥に停車。

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杉林の林縁に沿ってせいぜい高さ50センチくらいの低い土の段が続いていました。

ヘルメットをかぶったまま、キャリアからバチツルを出して試掘してみることに。

陽当たりの悪い支道で水分を多く含んだ土ですが、びしょびしょというわけではない固さ。

ならば出る、いゃ出てしまえ、とつぶやきながら3回ほどバチツルを振ったら出たのが扉の子。

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アオオサムシ ♂ (オサムシ科)


さっきのポイントとは大違いでこれは話が早い。

メスも出ろ、出て、と念じながら2メートルほどカニ歩きしたら出ました。

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同上 ♀


1ペア揃ったし消費時間のリカバリーのためにも、もうこれで離脱することにしました。

ただ、他に良さそうな支道は見当たらないまま、谷津田の最上流まで来てしまった。

対岸にはちょっと怪しい崖が見えましたが、先を急ぐことにしました。

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また別途試掘に来ようということで備忘のための写真です。

scarabe.gif


今回の目的は、超猫日(22-2-22)ラベルの昆虫を採集すること。

なので昆虫種は問わないのですが、本命はアオオサムシということにしたい。

ただなるべく多く採りたいので、この後は新規開拓ではなく実績地を周ることにしていました。

内房方面にしようかとも思いましたが、ちょっとご無沙汰しているのでカモガワ方面へ。

怪しい林道があっても寄り道はせず、とあるダム湖までまっしぐら。

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ここもおそらく2年ぶりか3年ぶり。

実はそのときは採れなかったのですが、それ以前はコンスタントに複数採れていたのです。

ダム湖の奥にあるポイントはまず誰も来ないと思われるし、大きくはありませんが崖はそのまま。

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状態もよいままだったので、安心して掘り始めたのですが・・

出ない。

指標虫も出ない。

いくらカニ歩きしても出ない。

ちょっとだけ離れた別の崖に取りついてみましたが出ない。

1時間以上粘りましたが、ゴミムシすら出ないのでさすがにあきらめることにしました。

ダム湖の入口まで戻る途中、ちょっと良さそうな小崖を見つけたので一応確認と試掘してみることに。

木の根が多くて掘れる部分は少なく、本命は出なかったのですが、ちょっとうれしい姿が現れた。

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ハンミョウ (オサムシ科)


ハンミョウ自体は珍しくないのですが、土中越冬しているのを掘り出すことは滅多にありません。

また、掘り当てると大抵、複数頭で集団越冬しているのですが、この子はお一人様でした。

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同上


寝ぼけているうちにブロマイド写真を撮影。

scarabe.gif


もうとっくにお昼も過ぎていたので、早くラーメン食べに行きたいところですが。

もっと状況を調べるためにダム湖の反対側へも行ってみることにしました。

林道の入口まで辿り着くと、崖の崩落があったようで半分塞がっていましたが通行は可能でした。

TG20220222_062.jpg


林道に入って、過去に掘り出したことがあるポイントで試掘開始。

掘れる箇所が少なくなってはいましたが、やはり指標虫すら出ませんでした。

もっと奥まで進み、木の根周りの土なども試掘してみたけれど何も成果なし。

元々ゴミムシ類は出ない場所ではあるものの、スジアオの親分すら出ないというのはおかしい。

毎年同じ崖を掘ると、採集ポイントとしてすぐに潰れてしまうので、そういうことはしません。

この4~5年の間に何かが起きたのでしょうか。

それとも、元々潰れかけていたポイントにとどめを刺してしまったのか。

広範囲に試掘してみて採れなかったので、その可能性は低いとは思いますが。

今度はトラップを仕掛けてみて、分布自体を確かめてみるつもりです。

そんなことを考えながらダム湖を離脱し、まんぼうへ急ぎました。

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もうとっくにお昼のピークは過ぎていたので来店客はなし。

本日の一杯はこれでした。

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ガザミと白菜のペペロン麺


たまたまマスターがワタリガニを食べたくて冷蔵庫に入っていたそうです。

あっさり塩味スープにガザミの出汁が出て、ほのかにニンニクの風味が加わったR25の味わい。

白菜の甘味と菜花のほんのり苦味が春のメロディーを奏でていました。

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今日の採集目的とカモガワではボウズだということをマスターに伝えて後半戦に向けて出発。

予定としては、カツウラを周って中房を北上していくつもりでしたが、時間が全く足りない。

カツウラはカットして真っすぐナガラ町のとある堰を目指しました。

ここもエリアとしては採集実績ありなのですが、そのラベルでは詳細ポイントが不明でした。

なので逆に今回はしっかりとしたラベル情報を得たくて訪れたのですが。

まず途中で道を間違って(目的地を辿る順番も間違えていた)、その堰になかなか辿り着けず。

やっと着いた景色は見覚えがありませんでした。

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うわ、ここじゃないな。でも周辺に崖はないかなと様子を確認するも、全くなさそうでした。

ショックを受けながらも次の目的地をナビにセットしたら、現在地のはるか南でした。

まあ仕方がないとルートを逆戻り。

かなり時間をロスしたので、辿り着いた頃にはだいぶ陽が傾いていました。

ここも実績地で、やはり4~5年ぶり。

ポイントの林道の入口に立っていたドレミの杉は1本だけになっていました。

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装備を整えて林道に突入しようとしたら、軽トラが降りてきて窓が開いた。

「初めて入ったんですが、民家が見えるとこまで行くと、何か通行しづらい感じで戻ってきました」

こちらからは何も質問していないのに、進入した理由を話す30代と思しき男性運転手。

これから突入しようとしているライダーに、行く先の様子を伝えてあげたかったのでしょう。

でも、こちらは入ったことがあるので。

「向こうのダムまでつながっていると思うんですが」

「ああ、そうかもしれないですね、まあ、バイクなら大丈夫でしょう」

結局彼の目的は不明でしたが、お礼を言って見送ったあと、バイクではなく歩いて突入しました。

少し登ると、林道が切通のようになり、コケやシダに覆われた崖が現れます。

切通なので崖は岩盤なのですが、所々に土が付いていて植物が着生しているのです。

時間に余裕がないので、そういう部分を見つける片端から掘っていきました。

しかし。

何も出ません。

ここももちろん過去に実績があり、けっして数は多くないものの、コンスタントに採れたのですが・・

10分ほど掘ってやっと一頭だけ親分が出たので気持ちが折れずにすみ、その後すぐにゴミムシが。

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アトボシアオゴミムシ (オサムシ科)


やけに小さかった(体長12.5mm)ので、別種かと思いましたが、普通サイズの追加もありました。

しかし、肝心の本命が出ないし、そもそも他のゴミムシすら出ません。

手元が暗くなってきて、坂の途中の崖で状態のいい箇所はもう掘り尽くしたように思いました。

坂の上まで行けば、別の崖があることは分かっていますが、もう時間がない。

それならばと、林道を戻って降りて、ベニシジミ号で登りなおしました。

坂の上は頭上が開けていて少し明るさも残っていますが、もう間もなく陽が暮れる。

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ヘッドライトを持ってくればよかったと後悔しましたが、とうとう日没サスペンデッド。

結局、採れたのはアトボシ3頭のみ。

いつもはリリースするところですが、今回は貴重なラベルになるためキープ。

scarabe.gif

それにしても。

後半戦がこれほど惨憺たる結果になるとは思っていませんでした。(新規開拓ではなかったので)

実はもう一か所行きたいポイントがあったのですが、それもムリだったし。

それにしても、それにしても。

各地での虫の減りように愕然としたというか、空恐ろしい気持ちになりました。

杞憂であることを確認するために、実績地の再訪をする必要があるかもしれません。




オマケ


数年前にこの虫を撮影したときは、まったく思いもしなかった世の中になりました。

今は国旗の色にしか見えません。

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ハグロハバチの幼虫 (ハバチ科)


戦争や紛争は環境も破壊します。




今日の湯加減

昨年の波は小さくて、いつもに比べて楽に過ごせたブルーマーチ。
今年もそうかなと思っていたら、気温の上昇とともに大波が押し寄せました。



彼方の国では多数市民の犠牲者が出る、ブルーどころかレッドマーチであるのに成す術なし。

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山健父

コロナといいロシア侵攻といい継続中の温暖化といい、先が読み難い世の中になってきました。
都市化が進む中にもまだまだ生き残っているものですね。
今年は近所にカラスアゲハが生息してそうなので、生息状況を観察してみたいと思っています。
by 山健父 (2022-03-13 00:59) 

高和です。

ミュンヘン体制(第1次大戦後、結果的にヒトラーの跋扈を許した英米の優柔不断な外交姿勢)を想起させますね。それをどこのメディアも口にしないのは、できないのかそれとも無知なのか?あるいは思い出したくないのか?
都市化が進む環境ゆえに幅を利かせつつある種も存在するみたいですね、ギンヤンマのように。
by 高和です。 (2022-03-13 12:07) 

ぜふ

>山健父さん
まだ生き残っていますが減る一方でギリギリかもしれませんね。
とにかく時間の問題でしょう(だから焦っています^^;)

>高和です。さん
都市環境に適応性の有無は確実にありますね。
まさにギンヤンマもそうですし、いくつかの国内外来種も。
国内外来種とは言えないと思いますがツマヒョウもそうかと。
by ぜふ (2022-03-14 20:41) 

山健父

気がつくと実家のタマムシがいた雑木林が分譲住宅地になっていました。
首都圏となると、より環境変化が顕著かと思います。
そう考えますと、今回の標本は本当に貴重な証拠と思いました。
〉高和さま
私は隊長ブーリバという15世紀のウクライナコサックの物語を昔良く読んでいたのですが、今回の戦争で戦うウクライナの人たちをみて、かつて祖国を守るために命がけで戦ったコサックの姿が重なりました。

by 山健父 (2022-03-14 21:27) 

高和です。

ツマヒョウ(っていうんですね。初耳です)はガーデニングの悪影響が強いですね。メディアはとかく温暖化につなげたがりますが(それもあるでしょうが)、実際はパンジーだと思います。年中あるし、おいしいのでしょう。アオスジアゲハもそうですね。街路樹にクスノキが多用されるようになって急に数が増えました。

山健父さま、
隊長ブーリバ、記憶にありますね。ウクライナ軍の奮戦はやはりDNAなのかもしれません。詳細は別のところに引っ越しますね。
ゼフさん、雰囲気を乱して済みませんでした。
by 高和です。 (2022-03-15 19:13) 

ぜふ

>山健父さん
その雑木林はザンネンでしたね。
でも、まさにタマムシも都市適応性があると思っています。
都市近郊のオサムシ標本は貴重さが増すばかり・・焦ります^^;

>高和です。さん
イシガケチョウももう間もなくでしょうか・・
自分で買いておいて何ですが、
彼の国の話は長くなるのでここでは触れないことにします。
by ぜふ (2022-03-15 21:47) 

響

掘り当て名人になりましたね。
ハグロハバチの幼虫はウクライナカラーだ。
戦争するなんて悲しすぎます。
by (2022-03-16 14:37) 

sakamono

前半と後半で虫の写真の量が全然違いますものね。
採集ポイントも、同じところを続けて掘るようなことをしないのですね。
やっぱり根こそぎ捕ってしまうと、いなくなってしまうのでしょうか。
それにしても「ガザミと白菜のペペロン麺」うまそうですね!
カニの出汁ってうまいものなぁ。白菜と菜の花もいい感じ。
by sakamono (2022-03-17 22:21) 

ぜふ

>響さん
ニンゲンの愚行によって環境も生き物も破壊されます。(彼の国も)
ハグロハバチが平和の象徴の一つになればいいのですが・・
悲しいですね。

>sakamonoさん
採集圧の軽減に努めていますが、まったくの予想外でした。
(大規模開発でないと”根こそぎ”はできないと思いますけど)
マスターがカニ食べたい日に当たってラッキーでした^^

by ぜふ (2022-03-17 22:33) 

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