SSブログ

"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。

空白を埋めろ Chal.4 [オサムシ]

しつこいですがシリーズ第四弾です。(自分のログなのであしからず)

前回、「市街地や商工業地域などは採集不可能です」と言いましたが。

逆に言うと、都市近郊でも里地が残っていれば分布しているかもしれなくて。

採れるかどうかは別として、そのような場所がないか探してみようじゃないかと思い立った次第。

TG20220212_046.jpg


GoogleMapの衛星写真モードでじっくり研究しました。
(平野部では地形図モードは役に立たない)

2月12日、今回は前回とは反対のお江戸寄りのエリアにチャレンジしました。

お江戸に接しているのは、ノダ、ナガレヤマ、マツド、イチカワ、ウラヤスの各市。

この中でノダラベルは一応所持しており、ナガレヤマは何度かトライしたことがあります。(全敗)

ウラヤスは半分は埋め立て地ですし、そもそも海岸エリアなのでまずムリかなと。
(閉鎖環境になって久しいネズミーランドの中にはいたりして)

いう訳で、マツド、イチカワに絞ることにしました。

平野部の市街地では、衛星写真モードで標高差は分かりませんが川や池は分かる。

池や堰がつぶされ、川がなくなっていても、区画整備のされ方で元の地形が分かる場合もあります。

それで目標エリアを決めたら、エリア内の適当な公園や事業所などの住所をナビに登録して突撃。

目標地点に到着したら現場合わせで探索。

というのがいつものやり方です。

scarabe.gif


今回第一目的地にした場所はまさに川はないけれど、元は谷地だったであろう地形のエリア。

その最下流だと思われる場所にある会社の住所をナビに設定してベニシジミ号でGO!

到着した地点は小さな森の入口でしたが、もちろん森の中には入りません。

その脇の細い下り坂がおそらく元谷地へ降りていく道だと踏み、ゆっくり下って行きました。

下ったところから右に先の森の東側に沿っていく道があったので入ってみることに。

右側の林縁に注意しながら徐行していきますが、掘れそうな場所は見つからない。

やがて道は元谷地の反対側へと続きました。

今度は左側に低い丘陵があるようで、やはりここは谷地だったのだと確信しました。
(谷地内には休耕田や畑地はなく、空き地か何かの事業所の敷地や建材置き場などになっていました)

左側は斜面林で、途中に二か所ほどかなり急な階段もありました。

階段は登れませんが、林の中に崖地がないか注意しながら、散歩中の人とすれ違いながらトレース。

しかし、とうとう谷地は終点となり、表通りに出てしまいました。

ただ、左手に見た林の上部が気になったので、左折して坂を上り、さらに左折して住宅地に突入。

間もなく住宅地を抜けると果樹園がありました。

なるほど、台地の上にある果樹園の谷地側の斜面にもし崖があればいるかもしれない。

戻って、さっき通ってきた道をもう一度トレースしてみることにしました。

すると途中、台地の上へと向かう階段ではなく、ただの坂道を発見。(来るときも気にはなっていた)

TG20220212_001.jpg


一応チェックするべく、ベニシジミ号を路肩に停めて突入してみました。

意外なことに何故か道は行き止まりで、なんとそこには小崖ではないものの赤土が露出している所が。

これは試掘してみなければと、ちょっとした藪をくぐって取りつきました。

TG20220212_002.jpg


しばらくして最初に根回りからヒラタゴミムシの仲間が出ました。

TG20220212_004.jpg

クロモリヒラタゴミムシ (オサムシ科)


体長約12mmでヒラタゴミムシの中では大きい部類。

根っこが邪魔で掘れる部分が少ないものの、時々小さいムカデも出るので淡い期待が湧きます。

と、また根回りに集合住宅を発見。

TG20220212_007.jpg


果樹園では害虫でしょうね。

TG20220212_017.jpg

オオホシカメムシ (オオホシカメムシ科)


奥にいた居候さん(オオアトボシアオゴミムシ)も見逃しませんでしたが写真は撮らず。

scarabe.gif


一旦右端の部分に移動して掘るも何も出なかったので、また戻ってきて根っこの脇を崩していると。

ポロリと本命が落ちてきて、思わず「いた!」と声が出てしまった。

TG20220212_021.jpg


幸い無傷のオスでした。

TG20220212_025.jpg

アオオサムシ ♂ (オサムシ科)


これで俄然やる気が出ましたが、あいにくもうほとんど掘るところがない。

このあたりでお終いかなと思ったところ、追加を得ることができました。

しかもメス。

TG20220212_029.jpg

同上 ♀


これでもう満足と、林を抜けた先の様子を見に行ったら、やはりそこは果樹園でした。

引き返してきて、念のため落穂ひろいをと、掘った場所の地面の上をチェックしていると・・

なんと。

TG20220212_037.jpg

同上 ♂


危なかった、というか貴重な予備個体を得ることができました。

scarabe.gif


それにしても、アタリを付けた場所で本命が採れるというのはとても気分がいい。
(ボウズが多ければなおさら)

ベニシジミ号でマツド方面へと向かう道すがら、アタリを付けていたラーメン屋さんにピットイン。
(特筆することがないのでラーメンレポなし)

次のエリアも現場合わせでしたが、ナビに設定した地点に着いてみると、そこは線路の近くでした。

線路を渡ったり、住宅地の中に入ったりしつつ、しばらくウロウロしてやっと森を見つけました。

TG20220212_039.jpg


運動場くらいの小さな森で、入口の看板を見ると、地域のボランティアで整備しているようでした。

中には入らず、周囲の様子だけ見てみようと南側の道を進むと、森の端のところが坂道に。

やや急な坂を降りて森の西側へ回り込んだところに木の根下がえぐれているところがありました。

TG20220212_049.jpg


大部分が乾燥しているか、例によって杉の細かい根回りはサラサラのふわふわ。

でも、太い根の周りに一部湿気のある赤土がついているところもある。

そういうところをピンポイントでコツコツ掘っていたら出たのが扉の子でした。

TG20220212_047.jpg

アオオサムシ ♀ (オサムシ科)


オスも得たいところでしたが、何せ掘る場所がなくて早々にあきらめました。

でも森の周囲に別のポイントがないかと先に進んでいきましたが、北側へは回り込めず。

ベニシジミ号に乗って、少し周辺を探索しましたが、他に適当な緑地は見つけられませんでした。

第三の場所へ向かうことに。

scarabe.gif


第三の場所はマツドにある「21世紀の森と広場」という、ものすごく広い公園。

採集ではなく、せっかくこっちまで来たので園内を散策してみようと、まずは西口からエントリー。

TG20220212_050.jpg


園内北の谷津に行きたかったのですが入れないようで、自然観察舎の中をちょっと見て一旦退散。

ベニシジミ号に乗って1キロ近く離れた南口へ向かいました。

再エントリーして(入場無料)南側をのんびり歩きましたが散策路がぬかるんでいて歩きにくい。

そのためか人が少なく、風もなくて存分に開放感は味わえた。

陽射しも暖かく、林縁を歩いていると久しぶりにコンチューターが反応。

着地点を見逃さず、久しぶりにテレコンを付けて撮りました。(シャッターを押した瞬間に飛んだ)

TG20220212_051.jpg

テングチョウ (テングチョウ科)


市立博物館にも寄りたいところでしたが、靴がドロドロなので自粛し、南側を半周して退場。

scarabe.gif


さあ、予めアタリを付けておいた最後のエリアへ向かいます。

そこは谷地や里山ではないものの、森が南北に1キロほどつながっていて周囲に畑や市民農園がある。

しかしナビに設定した地点に着いてみると、そこは墓地でした。

いくら現場合わせでも墓地の周辺で探索はムリなので、まずは少し先へ進んでみることに。

森に沿った道は舗装はされているものの、視界に住宅は入らず、人気がなくて車の往来も少なそう。

ただし、片側の畑地はもちろん、森も平坦で、採集場所がありそうな雰囲気ではありませんでした。

ところがしばらく進むと、右手前方の藪の奥に赤い土の色がちらりと見えた。

ベニシジミ号を緊急停止させて藪の奥を覗くと・・理想郷でした。

TG20220212_054.jpg


小崖というには大きくて、幅は10メートル以上あったと思います。

崖の上は畑、これは期待していいのではとワクワクしながら垂直面に取りつくと。

あっさり、いきなり本命が出ました。

TG20220212_057.jpg

アオオサムシ ♀ (オサムシ科)


ピンセットで大事にほじほじすると、ぽろりと落ちて、木の根にひっかかった。

TG20220212_061.jpg

同上


今日はついてるから次はオスだなという願いが通じ、すぐまた出ました。

奥に居候の姿も見えますね。

TG20220212_067.jpg

同上 ♂


この子は居候ではなかったようですが、巣穴から落っこちそうなのが。

TG20220212_072.jpg

オオアトボシアオゴミムシ (オサムシ科)


ゴミムシよりもオサムシの方が多く出るという状況で、またしても本命が顔を出す。

TG20220212_074.jpg

アオオサムシ (オサムシ科)


オスメス判定できなかったので、ほじほじすると・・メスでした。

TG20220212_076.jpg

同上 ♀


この子の寝室もキレイな仕上がりだったので掲載しておきます。

TG20220212_078.jpg


制作過程を見てみたいものです。

scarabe.gif


乾燥していない箇所も少なくなってきて、ムカデ掘り大会の様相を呈してきました。

でももう一頭オスが出れば2ペアになる、と欲が出て試掘継続。

しかしオオスナハラが一頭出ただけで、あとが続かなくなりました。

なるべく大きくは崩さないようにしながら、しばらく粘ってやっと。

TG20220212_082.jpg

同上 ♀


残念ながら2ペアにはなりませんでしたが、残る乾いた部分には手を付けないことに。

最後に乾いたアゴの部分を崩していると、やはり出たのはヒラタゴミムシでした。

TG20220212_086.jpg


垂直面にひっかかっています。

TG20220212_084.jpg

オオヒラタゴミムシ (オサムシ科)


前胸の後角が丸まっているので、だと思いますが、くやしいことにロストしてしまいました。

ともあれ、マツドラベルとイチカワラベルを得るというミッションが果たせました。

この日は巡回するだけでボウズの可能性大と思っていたので、まさに望外の成果です。




オマケ


最後のポイントで出したオスの個体、現地でも赤いなぁと感じていたのですが。

展肢して眺めると、まるで南房亜種のように見える色合いです。

TG20220212_099.jpg

アオオサムシ ♂ (オサムシ科)


ごく浅い角度で見ると緑色が乗っているのが分かるのですが。




今日の湯加減

今日も元気にボウソウしてきましたが、陽射しが強くてぽかぽかでした。
天気予報ではチバの最高気温は14℃とのことでしたが、もっとあったように思います。
なにせいっぱい汗かいて、休憩するときに日陰に入ったほど。
ところが陽が暮れた途端、風が出てきたこともあり、ひゅーんと音が聞こえてきそうなほど急降下。
結局、凍えながら帰ってきましたが、また明日は暖かくなりそう。
ところで春一番はどうした?

nice!(15)  コメント(5) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 15

コメント 5

響

良い森を見つけましたね。
本当に綺麗な寝床の穴を作るもんだなーと
感心いたします。
by (2022-03-01 11:24) 

高和です。

ダメもとでの大当たりでしたね。ウハウハのゼフさんの顔が目に浮かびます[exclamation]?
アオオサムシのボーソー半島の南限はどの辺りなんですか?
by 高和です。 (2022-03-02 01:43) 

ぜふ

>響さん
ニンゲンでも道具なしで素手ではこうはできないと思います。
オサムシは素手です^^

>高和さん
南房総市にもいます。
海岸には分布しないと思いますが。
by ぜふ (2022-03-02 22:07) 

sakamono

初めの方に出てきた、オオホシカメムシ。縁が淡いピンク色で、体も
白黒グレイのグラデーションで、なんかキレイ、と思いました。
最後の写真、赤銅色ですね。質感も金属っぽいです^^;。
特に前胸のあたりなんか。
by sakamono (2022-03-03 14:48) 

ぜふ

>sakamonoさん
思えばオオホシカメムシの集団越冬ははじめて観察しました。
赤いアオオサムシは青いアオオサムシよりも渋いですね。
by ぜふ (2022-03-04 22:04) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。

そろそろ帰ろう ~ぜふのムシブロ~ - にほんブログ村