"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
教室博物館 [日記]
先週末の前夜のこと。
明日はどこへ行こうかと悩んでいました。
虫屋にとって端境期といえるこの季節、”何を探しに”というと、かなりターゲットは限られるのです。
と、たまたまその日に県博から届いたメルマガにボウソウの教室博物館のことが書いてありました。
現在は月2回、第二と第四金曜日のみ開館しているとのこと。
あ、明日はちょうど第二金曜日じゃないか。
行先と目的が決まりました。
11月12日、11時開館なのでゆっくり出発。
しかし平日なので市街地を抜けるまでは混雑。抜けてからは俄然スムースに進行しました。
ところがこの日のボウソウはとてつもない強風。
ゆっくり走っていても、もろに横風を食らうとハンドルをとられるほど。
通りなれたK24久留里街道をひた走り、久留里の町はR410でバイパスしてK93で鹿野山方面へ。
探虫目的ではないと言いつつ、天気もいいのでちょっとオオセンチフィールドに寄り道しました。
周囲を見ると、山側からイネ科の背の高い草が蔓延ってきていて、草原の面積が縮小していました。
下草も折り重なるようになっていて、シカの糞も見つけにくい。
川の反対側の草っぱもパトロールしましたが、イノシシの糞がまったく見つからず。
ざっと探しただけですが、オオセンチの姿を確認することはできませんでした。
昨年は11月下旬でも採れたのに・・
さて、そろそろ11時なので目的地に向けて出発。
一昨年の5月に県博の山の学校に参加したとき以来の訪問となりました。(その時の記事はこちら)
その時はコロナ前で、この小学校も閉校前でした。(2020年3月に閉校)
まだ廃墟感はないし、校庭もきれいです。
さて、教室博物館はというと、本校舎の裏手に建つ平屋の別棟にあります。
この中の確か工作家庭科室(要は実技教室)が県立博物館のミニサテライトになっているのです。
扉の写真の入口に靴が一足脱いであったので、誰かいると思いながら「こんにちは」と中を覗くと・・
「こんにちは」と返事してくれたのは、なんと県博のS先生でした。
「あ、S先生、ご無沙汰しています」
「今ちょっと作業していますが、どうぞお入りください」
「まさか先生がいらっしゃるとは思いませんでした」
「今日は当番なのですが、10人くらいで回しているので、本当に偶然ですね」
近く清和地区公民館で開催される文化祭のための展示パネルを作成しているところとのことでした。
「何を見てもらうというわけでもないので、適当にそこらにあるものをご覧ください」
作業台の上には、鳥の巣やヘビの抜け殻やヒキガエルの標本も並べてありました。
この収納庫に昆虫標本もあるのでご覧くださいとのことで、標本箱をテーブルの上に出しました。
何故かカメムシの箱が多かったのですが、やはり甲虫類をチョイス。
タマムシやカミキリムシなど、この地域で採集されたもののようでした。
県博の方の採集品だけでなく、地元の方が採って提供されたものも少なからずありました。
オサムシの箱も見つけました。
オサムシの話をしていて、先日のTKさんのオンラインセミナーの話になり。
先生も「どうして急にアオヘリアオゴミムシが採れるようになったのでしょうね」との疑問がおあり。
セミナーでの環境変動の考察を紹介し、しばし楽しいオサムシ談義。
先生はカミキリ屋さんですが、オサホリもされるようで、ちょっとうれしく思いました。
見させていただいた標本の中には、いくつも貴重なものがありましたが、就中目を惹いたのは。
コガネムシに似ていますが全く別科。生態がまだよく分かっていなくて、幼虫のエサも不明。
ボウソウ某所には分布するようなので、いつか生体を見てみたい。
それと、何といってもこの標本を一目見た瞬間にコンチューターがピピッと反応。
ラベルには”キベリアオゴミムシ”とありましたが、まず間違いなくツヤキベリ。
やっぱり”ツヤ”があるなぁ。
ところで文化祭には標本も展示するそうで、3箱用意しなくてはならないとのこと。
どういうのがいいですかね?といきなり訊ねられて困惑しつつも嬉しくなる単純さ。
インタバルをとるべくトイレに行ってきますと体育館の方へ行く途中、渡り廊下に佇んでいたのは。
こんな山の中にも分布するようになったんですねーと二人でプチ感慨ムード。
ところで、タマムシの仲間の箱はマストとして。
別の収納庫にセンチコガネやオオセンチが入っている箱があるのを見つけたのでお勧めしました。
オオセンチの標本を見ていたS先生。
「オスメスはどう見分けるんですかね?」
これはお手の物なので同定ポイントをいくつかお教えすると・・標本を再確認しはじめた先生。
「開眼しました」
さすがの観察眼というか虫目。
このあと、雌雄に分別されていたセンチコガネの標本をチェックしていた先生が。
「これはオスではなくてメスではないですかね」
確かにその通りでした。さすがです。
ついでに全頭、雌雄の確認をして差し上げて、さらに展示箱の提案もさせていただきました。
お会いできたこと自体幸運だったし、少しお手伝いもさせていただき望外の光栄に浴しました。
気が付いたら2時間以上経っていて、これ以上長居をするとさすがに迷惑と思い暇乞いをしました。
さて、もうお昼はもうとっくに過ぎていたのですが、どこで食べるかは決定済み。
営業時間ギリギリかもしれないとR410を急いで南下しました。
急いではいたものの、道中の近くだったので、一瞬だけ寄り道。
ソテツにはクマソの影も形もありませんでした。
でも、ここも小さいながらもイノシシ浴場なんだよなぁと思いつつ再出発。
結局、なんとか間に合いました。
ちょうどマスターもお腹がすいて、味噌ラーメンを作って食べたところだったのだそうで。
あと、最近、皮も自家製にしたというギョウザも試食。
厚みがあるけれど、歯ざわりはカリッとしていて、噛むともっちりする好みの食感でした。
しかも大きいので大満腹になりつつも、この日は夕方用事があって、マスターとのおしゃべりはナシ。
さっさとお勘定をしてまんぼうを後にし、午後は少し風も収まったので高速を使って帰りました。
カモガワまで行っても、お昼を食べてすぐ戻ってくれば余裕だと思っていたのですが。
思わぬ偶然で楽しい時間を過ごしたためケツカッチンになりました。
実はこの日の夕方、猫カフェの予約をしていたのです。
高速を使って、お店に着いたのは予約時刻の5分前。
入店前の検温で手首を出したら、冷たすぎて測定不能でしたが、猫たちに会えて心も温まりました。
特にこの子に会うのを楽しみにしていました。
保護猫と里親とのマッチングもしているカフェですが、店長は当面お仕事優先のようです。
今日の湯加減
リンク:三島小 教室博物館
明日はどこへ行こうかと悩んでいました。
虫屋にとって端境期といえるこの季節、”何を探しに”というと、かなりターゲットは限られるのです。
と、たまたまその日に県博から届いたメルマガにボウソウの教室博物館のことが書いてありました。
現在は月2回、第二と第四金曜日のみ開館しているとのこと。
あ、明日はちょうど第二金曜日じゃないか。
行先と目的が決まりました。
11月12日、11時開館なのでゆっくり出発。
しかし平日なので市街地を抜けるまでは混雑。抜けてからは俄然スムースに進行しました。
ところがこの日のボウソウはとてつもない強風。
ゆっくり走っていても、もろに横風を食らうとハンドルをとられるほど。
通りなれたK24久留里街道をひた走り、久留里の町はR410でバイパスしてK93で鹿野山方面へ。
探虫目的ではないと言いつつ、天気もいいのでちょっとオオセンチフィールドに寄り道しました。
周囲を見ると、山側からイネ科の背の高い草が蔓延ってきていて、草原の面積が縮小していました。
下草も折り重なるようになっていて、シカの糞も見つけにくい。
川の反対側の草っぱもパトロールしましたが、イノシシの糞がまったく見つからず。
ざっと探しただけですが、オオセンチの姿を確認することはできませんでした。
昨年は11月下旬でも採れたのに・・
さて、そろそろ11時なので目的地に向けて出発。
一昨年の5月に県博の山の学校に参加したとき以来の訪問となりました。(その時の記事はこちら)
その時はコロナ前で、この小学校も閉校前でした。(2020年3月に閉校)
まだ廃墟感はないし、校庭もきれいです。
さて、教室博物館はというと、本校舎の裏手に建つ平屋の別棟にあります。
この中の確か工作家庭科室(要は実技教室)が県立博物館のミニサテライトになっているのです。
扉の写真の入口に靴が一足脱いであったので、誰かいると思いながら「こんにちは」と中を覗くと・・
「こんにちは」と返事してくれたのは、なんと県博のS先生でした。
「あ、S先生、ご無沙汰しています」
「今ちょっと作業していますが、どうぞお入りください」
「まさか先生がいらっしゃるとは思いませんでした」
「今日は当番なのですが、10人くらいで回しているので、本当に偶然ですね」
近く清和地区公民館で開催される文化祭のための展示パネルを作成しているところとのことでした。
「何を見てもらうというわけでもないので、適当にそこらにあるものをご覧ください」
作業台の上には、鳥の巣やヘビの抜け殻やヒキガエルの標本も並べてありました。
この収納庫に昆虫標本もあるのでご覧くださいとのことで、標本箱をテーブルの上に出しました。
何故かカメムシの箱が多かったのですが、やはり甲虫類をチョイス。
タマムシやカミキリムシなど、この地域で採集されたもののようでした。
県博の方の採集品だけでなく、地元の方が採って提供されたものも少なからずありました。
オサムシの箱も見つけました。
オサムシの話をしていて、先日のTKさんのオンラインセミナーの話になり。
先生も「どうして急にアオヘリアオゴミムシが採れるようになったのでしょうね」との疑問がおあり。
セミナーでの環境変動の考察を紹介し、しばし楽しいオサムシ談義。
先生はカミキリ屋さんですが、オサホリもされるようで、ちょっとうれしく思いました。
見させていただいた標本の中には、いくつも貴重なものがありましたが、就中目を惹いたのは。
クチキクシヒゲムシ (クシヒゲムシ科)
コガネムシに似ていますが全く別科。生態がまだよく分かっていなくて、幼虫のエサも不明。
ボウソウ某所には分布するようなので、いつか生体を見てみたい。
それと、何といってもこの標本を一目見た瞬間にコンチューターがピピッと反応。
ラベルには”キベリアオゴミムシ”とありましたが、まず間違いなくツヤキベリ。
やっぱり”ツヤ”があるなぁ。
ところで文化祭には標本も展示するそうで、3箱用意しなくてはならないとのこと。
どういうのがいいですかね?といきなり訊ねられて困惑しつつも嬉しくなる単純さ。
インタバルをとるべくトイレに行ってきますと体育館の方へ行く途中、渡り廊下に佇んでいたのは。
アオマツムシ (コオロギ科)
こんな山の中にも分布するようになったんですねーと二人でプチ感慨ムード。
ところで、タマムシの仲間の箱はマストとして。
別の収納庫にセンチコガネやオオセンチが入っている箱があるのを見つけたのでお勧めしました。
オオセンチの標本を見ていたS先生。
「オスメスはどう見分けるんですかね?」
これはお手の物なので同定ポイントをいくつかお教えすると・・標本を再確認しはじめた先生。
「開眼しました」
さすがの観察眼というか虫目。
このあと、雌雄に分別されていたセンチコガネの標本をチェックしていた先生が。
「これはオスではなくてメスではないですかね」
確かにその通りでした。さすがです。
ついでに全頭、雌雄の確認をして差し上げて、さらに展示箱の提案もさせていただきました。
お会いできたこと自体幸運だったし、少しお手伝いもさせていただき望外の光栄に浴しました。
気が付いたら2時間以上経っていて、これ以上長居をするとさすがに迷惑と思い暇乞いをしました。
さて、もうお昼はもうとっくに過ぎていたのですが、どこで食べるかは決定済み。
営業時間ギリギリかもしれないとR410を急いで南下しました。
急いではいたものの、道中の近くだったので、一瞬だけ寄り道。
ソテツにはクマソの影も形もありませんでした。
でも、ここも小さいながらもイノシシ浴場なんだよなぁと思いつつ再出発。
結局、なんとか間に合いました。
まかない味噌ラーメン & 自家製ギョウザ
ちょうどマスターもお腹がすいて、味噌ラーメンを作って食べたところだったのだそうで。
あと、最近、皮も自家製にしたというギョウザも試食。
厚みがあるけれど、歯ざわりはカリッとしていて、噛むともっちりする好みの食感でした。
しかも大きいので大満腹になりつつも、この日は夕方用事があって、マスターとのおしゃべりはナシ。
さっさとお勘定をしてまんぼうを後にし、午後は少し風も収まったので高速を使って帰りました。
オマケ
カモガワまで行っても、お昼を食べてすぐ戻ってくれば余裕だと思っていたのですが。
思わぬ偶然で楽しい時間を過ごしたためケツカッチンになりました。
実はこの日の夕方、猫カフェの予約をしていたのです。
高速を使って、お店に着いたのは予約時刻の5分前。
入店前の検温で手首を出したら、冷たすぎて測定不能でしたが、猫たちに会えて心も温まりました。
特にこの子に会うのを楽しみにしていました。
りりぃ店長
保護猫と里親とのマッチングもしているカフェですが、店長は当面お仕事優先のようです。
今日の湯加減
教室博物館でのエピソードをもう一つ。
何がきっかけだったか忘れましたが、チバのローカルな話になり、入口で靴を履きながら最後に。
不躾だとは思いつつ、初対面でもないので、お住まいはどの辺ですかと尋ねたら・・
なんとなんと、同じ市内どころか、同じ町内在住ということが判明し、お互いびっくり。
つくづく、縁のある方とは不思議な繋がりや共通点があるものです。
リンク:三島小 教室博物館
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
オオセンチコガネには会えなくても先生と偶然に会えてよかったですね。
りりい店長凛々しい。
by 響 (2021-11-21 11:59)
廃校転用の博物館、よい試みだと思いますが、ふと余計なことを考えてしまいました。博物館として利用されているうちはまだしも、維持できなくなって取り壊わされたら、所蔵の貴重な標本はどうなるのでしょうか。
by 高和です。 (2021-11-22 08:56)
>響さん
ほんとに幸運でした(こちらにとっては^^;)
こう見えて店長、超ツンデレなんですよ^^
>高和です。さん
廃校前から県博のサテライトでしたので有効活用が目的ではないです。
即ち、取り壊しになっても標本は県博に行くと思うので安心です♪
by ぜふ (2021-11-22 21:18)
ツヤキベリ、ほんとにツヤツヤで綺麗でやすね!
by ぼんぼちぼちぼち (2021-11-23 19:01)
オオセンチのオスメスの同定ポイントを聞いて、すぐに
「開眼しました」と答えるあたりのエピソードに、
達人という言葉が浮かんできました^^;。
猫カフェ! 行ったことはないのですが、1度行ってみたいなぁ、
と思います。
by sakamono (2021-11-25 23:44)
>ぼんぼちぼちぼちさん
見る角度によっても変わりますが艶があるように見えますよね^^
>sakamonoさん
しかもすぐに応用されていたし、さすがだなと思いました。
猫カフェいいですよ!ぜひ推しニャンを見つけてください^^
by ぜふ (2021-11-26 22:36)
廃校利用、面白いですね。
しかし利用するにも、必要となるのは人材ですかね。
持続可能な形にするには、イベントを企画維持する人がいて、それをきっかけに訪問する人が絶えず循環し、お金も循環する形にしないと。
なかなか大変そうです。
by 山健父 (2021-11-29 08:09)
>山健父さん
廃校になる前から県博のサテライトでしたが、この場所を選んだのはほんとに先見の明があったように思います。(廃校云々は関係なく)
営利運営ではないので当面は大丈夫だと思いますし。
by ぜふ (2021-11-29 19:58)