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"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。

緑色の兵士 [探虫行]

梅雨入りが足踏みしてくれているおかげで、毎週、新規開拓を目論んでFWできています。

ただ、今回は訳あって大事なミッションがありました。

それはセンチコガネを採集することでしたが、ふとあらためて考えてみると。

センチコガネを狙って探虫しに行ったことは、そう言えばないなぁと気付いて頭を抱えました。

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さて、どこにいたっけ。

どこにでもいるけど、どこにいるのかは分からない。

こういう時は「そろそろ帰ろう」の記事をエゴサーチ・・・なんと70記事以上がヒットしました。
(10記事に1回以上ということに我ながら驚嘆)

しかし、”オオセンチコガネ”についての記述が多く、”センチコガネ”は比較的少ない。

逆に少ないので全部確認できましたが、やはりチバに多産地らしき場所はなさそうなのです。

糞虫だから、牧場の近くにいそうですが、家畜たちには駆虫剤などが使われるので逆にいない。

途方にくれましたが、奈良の大仏へ行ったときに偶然見つけた谷津田を目指すことにしました。

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この谷津田には昨年二度訪れているのですが、まずは田んぼではなく、こちらの丘の上へ。

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奥の林の中へ行ってみようと思ったのですが、崖や藪に阻まれて侵入が困難でした。

期待薄とはいえ、ロケハンしている時間はないので、林縁にトラップをいくつかセットしました。

ベニシジミ号へ戻りつつ、やっぱり写真の貯木の山が気になります。

ぜんぶ杉ですが、何かいるんじゃないかとぐるっと一周。

周りの水溜まりにルリシジミやテングチョウが吸水にきていましたが、いて欲しいのは当然甲虫。

先を急ごうかと思ったものの、微妙にコンチューターが反応するので二周目に突入。

と、何か小さな光る物体が貯木材の山の向こう側へ飛んでいきました。

誰なのか確認したくて裏側へ回りましたが、見つけることができず。

最後にもう一周だけと、再度ローラーしはじめてすぐに容疑者を発見。

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マスダクロホシタマムシ (タマムシ科)


接写しようと近寄ろうとしていたら、斜め後ろに人の気配を感じました。

振り返ってみると、鎌らしきものと手提げ袋を持ったおじさんが。
(そういえば、この土場への道の途中に軽トラが一台止まっていました)

ちょっと緊張しながらも会釈すると、向こうから

「すみません、ちょっといいですか」

「何でしょう」

「フキを採っていいですか」

「いや、ここの管理者ではありませんので」

「すみません、じゃあ少し採らせてもらいます」

こちらの話は聞いていないようで、すたすたと林の方へ歩き去りました。

フキおじさんのおかげで容疑者に逃げられてしまいましたが、少しカニ歩きすると共犯者を発見。

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同上


これは高尾の記事で紹介した Golden Woodborer タイプの子。

接写していたら、第一容疑者も逮捕することができてしまいました。

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同上


かなり大きさが違いますが、実際このとおり、体長と体色に差があるのです。

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さあ、トラップ設置を急がなければと本命のポイントへベニシジミ号を走らせます。

が、谷津田の林縁にこんな様子の沼地を発見して緊急停止。

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実はこの少し手前で扉の子が横切ってくれたので気が付いたのでした。

ところが、岸辺に近寄って、水辺や周囲を見回しても他のカワトンボは一頭も確認できず。

ここにもオオフサモが繁茂していましたが、クレソンの花にモンシロチョウがきていました。

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トンボたちはこれからたくさん現れるのだろうということにして、本命地点へ移動しました。

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昨年センチコガネも観察した、イノシシ罠が複数設置してある場所へ向かいトラップを多数設置。

あとは待つのみ。

近辺を探虫して過ごししてもいいのですが、中房の未踏のエリアの様子を見に行くことにしました。

まずは長柄町を縦断して、茂原のGoogleMapでちょっと気になった堰へ。

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周りに田んぼもありましたが、住宅地の中でもありました。

ちょっとだけ土手を歩き、田んぼの縁も歩いてみましたがシオカラトンボすらいない。

こりゃダメだと早々に離脱しようとしたら、この子も池から畑の方へ移動中でした。

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近くにもう一つ、さらに規模の大きい溜池があり、一応行ってみましたがカメすらいませんでした。

さらに南下して長南町へ向かっていると、道沿いに「まごころ食堂」という看板が。

こういうネーミングに弱くて、お昼もとっくに過ぎていたので反射的にピットイン。

ラーメンを食べたかったわけではなかったけど、メニューを見てつい頼んでしまいました。

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野菜マーボーメン


タンメンと麻婆麺が合体した欲張りな一杯ですが、別々に食べるものだということが分かりました。

お腹いっぱいになって再出発。

茂原サーキットを過ぎ、長南町の中央を流れる埴生川の支流に沿ったK27を南下していきました。

通ったことがあるかもしれないのですが、その途中に畜産場があることに前日Mapで気付いたのです。

その少し手前から、県道から田んぼの中の農道に突入してみて、川沿いの様子を確認していきます。

しかし、あまり期待していた環境ではなく、虫の姿もほとんど見えませんでした。

また県道に戻って走っていると突然、ベニシジミ号のETCの上に着地してきた美麗な子が。

お願い飛ばないでと念じつつ、ゆっくりと路肩に停車してベルトポーチからカメラを出しました。

何が気に入ったのか分かりませんが、そのままじっとしてくれていたのでエンジンも切って撮影。

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コガタミズアブ (ミズアブ科)


逆光だし、明るすぎて露出が合わず、かといって降りてアングルを変えるわけにもいかず。

なるべく本物の色に近づけるために露出とカラー調整してもこれが限界。(実物とかなり違います)

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同上


ちなみにミズアブは英語で Soldier Fly というようです。

大きさは12~13mm。小さくて美しい兵隊さんに敬礼。

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まもなく目的地周辺に辿り着いたので、また農道へ入って田んぼの奥まで行ってみると。

突き当りの小山の斜面が崩落していました。

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左右の林縁に沿った小道は荒れていて暗く、突入する気になれなかったので田んぼの縁を歩くことに。

時折、シオヤトンボやシオカラトンボが目の前を横切っていきますがスルー。

この子が横切ったときはコンチューターが反応しました。

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ハラビロトンボ (トンボ科)


かがんだ姿勢でいると、畜産場特有の強烈な匂いがしてきました。

近くまで来ていたのかなと周囲を確認すると、匂いの元は目の前に。

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休耕田を家畜の下肥の廃棄場所にしているのでしょう。

堆肥にすることが多いと思うのですが、仮置き場なのでしょうか・・

とにかく、ここはやたらとアブが目立ちました。

しかも何種類かいるようで、多数派はこれ。

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シマハナアブ (ハナアブ科)


同定に自信がありませんが、体長12~13mmとやや小型。

よく似ていますが一回り大きいのはこの子。

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ナミハナアブ (ハナアブ科)


この子は独特の趣があるので、ある意味目立ちます。

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アリスアブ (ハナアブ科)


名前のとおり、成虫になるまでアリの巣の中で育つという、生態も独特なアブです。

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川沿いに南へ行きたかったのですが道がなく、一旦県道まで出て、もう一度農道へ入りました。

すると、畑の脇に隠れた水源を発見。

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まさに「名水 かくれ水」という看板が立っているので、飲んでみないわけにはいかない。

麻婆豆腐の余韻のせいか、味がよく分かりませんでしたが、間違いなく軟水でした。

止まったついでにちょっと散策しようと、目の前の栗畑の梢を眺めるとベニシジミ号カラーの子が。

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あちこちに葉巻ができていました。

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ゴマダラオトシブミ (オトシブミ科)


目的地付近の様子は大体わかったので、いっそもう少し上流まで行ってみようと発進。

県道をゆっくりと走っていきましたが、4~5キロ進み、大多喜町に入ったところで川は消えました。

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そろそろいい時間になってきたので、長楽寺川沿いに北上してトラップ回収に向かいました。

1時間ほどでイノシシポイントまで戻り、トラップを確認していきましたが・・

豈図らんや収獲はたったの一頭でした。

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センチコガネ (センチコガネ科)


センチコガネは夕方以降に活性が高くなるので、覚悟はしていたのですが・・がっくり。

土場も見事にボウズでした。

実はこの後に用事があったので早目に回収せざるを得なかったのです。

それはバイク屋さんに行くこと。

ベニシジミ号のカスタムパーツの取り付けとタイヤ交換の予約をしていたのです。

新兵器(強化パーツ)はこれです。

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POWER BOX by SP忠男


パワーやトルクは体感できるほどではありませんが、明らかにアクセルレスポンスが良くなりました。




オマケ


写真をアップしませんでしたが、前々記事の日にお連れした方たち。

数日前に★になってしまいましたが、元気なころのお姿を。

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カドマルエンマコガネ (コガネムシ科)


エンマコガネの仲間の中では比較的大型で、動きが速いので観察していて楽しい糞虫です。

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同上





今日の湯加減

昨日は虫の日でしたが、あいにくの荒天で台風のような風が吹いていました。
そして今日は二十四節気の芒種だそうで、昔は稲や麦の種を植える頃だったそう。
現代はもう、種どころか苗がとっくに植え終わり、ぐんぐん伸び始めていますね。
今月は珍しくちょっと忙しいのですが、梅雨に突入する前にボウソウしてきてしまいました。
すでにあちこちから西風の便りが届いているのですが、昨日の今日なので回避することにして。
その代わりに何か所か新規開拓をしてきました。
某種を求めて・・



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コメント 6

高和です。

アリスアブさん、ゴマシジミのようなアブがいるとは驚きです。生活史を解明された方には脱帽しかことばはありません。
by 高和です。 (2021-06-06 04:46) 

リュカ

コガタミズアブ、綺麗!!
実際の色が再現できないなんて……本物が見たくなります^^
by リュカ (2021-06-07 08:19) 

ぜふ

>高和です。さん
好蟻性昆虫は続々と発見が続きますね。
クワガタの仲間が見つかったときはさすがに驚きました。

>リュカさん
HFでも一度だけ見たことがあるのですが、なかなかいないのです。
次回は必ずや本当の姿を撮ってアップします!^^
by ぜふ (2021-06-07 23:37) 

ぼんぼちぼちぼち

クロホシタマムシ、派手でオシャレないでたちでやすなあ。
ステージ衣装みたい〜
by ぼんぼちぼちぼち (2021-06-10 14:52) 

sakamono

Soldier Flyってカッコいい名前ですね。色もいいと思ったのですが、
これはだいぶ実物と色合いが違う? それとなんでこのアブがアリス?
と不思議に思いましたが、蟻巣でしたか^^;。
タンメンの白湯スープ(?)とマーボーの取り合わせは、
今ひとつ、といったところだったのでしょうか。
何となく味の想像ができます^^;。
by sakamono (2021-06-10 22:50) 

ぜふ

>ぼんぼちぼちぼちさん
煌めいているので見つけることができたとも言えます。
フィギュアスケートの衣装みたいでもありますね^^

>sakamonoさん
この色ではないんです。申し訳ない思いです・・
誤解が多いのか、アリスアブはアリノスアブとも呼ばれます。
塩味の麻婆豆腐を想像するとわかると思います^^;
by ぜふ (2021-06-11 22:18) 

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