"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
ミルフィーユ試掘 [オサムシ]
昨年7月にチバ郊外の調整池の近くで偶然見つけたミルフィーユ崖。
いよいよシーズンインしてから、いつ行こうかと思っているうちに年が明け・・
引きこもりスイッチがオフになった勢いで、1月11日に行ってきました。

今度こそ誰にも会うことなく。
出発したのは前日と同じ10時頃。天気はドン曇り。
ところが、気温は前の日と大きく違って、なんと11℃でした。(前日は0℃)
「一般道」設定しているのに、なぜか高速道へ誘導するナビと闘いながら安全運転で目的地を目指す。
(後で確認したら高速へ乗せようとしていたわけではなく、並行する道があったようです)
最短コースを辿らなかったことと、前日と同様に空いてはいなかったこともあり、予定より遅着。

なんだか随分、調整池の景色が変わって、スッキリして見通しがよくなっていました。
それはそれとして、まずはミルフィーユがどうなっているのか心配なので、反対側の森へ突入。
崖へと続く藪も、夏とは違ってとても歩きやすく、難なくすぐに現着。

特にお変わりないようで、おいしそうにそびえていました。

さっそく試掘開始しましたが、まさに岩盤で、崩れるときは大きな塊で崩壊してしまいます。
間隙があるところからはムカデやゲジなどの指標虫が出るので、コンディションは良好そうですが。
最初の発掘は誤曝。ニホントカゲの幼体でした。

どうやって岩盤の裏の間隙に潜るのか、何度見ても不思議ですが、別の間隙へ引越してもらいました。

なるべく小規模に崩せる、適度な湿度の粘土質の所を選んでしばらく掘っているとやっとゴミムシが。

スジアオの親分と同様、チバでは普通種ですが、美麗だし大きな部類なのでお気に入りです。
同じく普通の子ですが、(扉の写真のように)頭部をアップにするとなかなか美形なゴミムシ。


後が続かないので、ミルフィーユの端の方へ移動しました。
10分ほどあちこち試掘して、最初に出てきたのは”煙”でした。
連写ではなく、偶然撮れたガス噴射。

よく出てくる(名前が覚えづらい)ヘッビリ虫。

ミイデラゴミムシより一回り小さくて体長15mmくらい。
それからまたしばらく何も出ず、やっと何かいたと思ったらなんと。

アブは土からではなく、朽木の中にいることの方が多いと思いますが。
小さなハチといいアブといい、よくこんな柔らかい身体で固い土の中へ入れるものだと感心します。
前記事でも紹介したので詳細は省略しますが、やっと大物がでました。

この後もう一匹追加があるも、期待外れの成果にテンションが下がってしまい、気持ちは撤収モード。
土の固さに腕も疲れてきたので、最後に、手前にすでに崩落している大きな土塊の一角を叩くと。
ひょっこり出たのが最近縁のある子。

これで俄然やる気を持ち直すことができ、もう一頭追加と念じながら掘っているとやっとこさ。

これで気が済んで打ち止めにしました。

大きさはオオスナハラと同じくらいですが、体全体に艶があり、頭部が幅広いという特徴があります。

ベニシジミ号へ戻ったところで、やっぱり調整池が気になりました。
ひょっとして周回できるようになっているのでは?と右側の入口から反時計回りに歩いてみることに。
倒木でぐにゃりと潰れた柵はそのままですが、倒木自体は処分され、藪も刈られてとても歩きやすい。
林縁側にはいくつか枯れ木が転がっていました。
こんなカワラタケが密生している倒木はクワガタが入っていそうですが、残念ながらカチカチでした。

左側の入口の民家脇に倒れていた大木も整理されていて、問題なく周回できました。

ということであれば、また暖かくなったら様子を見に来ようと思います。

お昼の燃料補給をした後、午後もう一か所、今度は新規開拓に向かいました。
南へ30分ほど市原市郊外の里地を走っていると、目的地に着く前によさそうな谷津田がたくさん。
でも寄り道はせずに目的地に着いてみると、そこには適当なアプローチがありませんでした。
なので、来た道をしばらく戻り、さっき気になった谷津田の一つに突入。

たまたま林縁に小崖があり、試掘してみるも、杉の根がはびこっていて掘れる場所がほとんどない。
それでも指標虫がぽつぽつ出るので期待して掘っていると・・また誤曝してしまった。

適当な穴へ埋め戻し、先へ進んでみることに。
林縁に沿ってベニシジミ号で少し走ると、やがて丘の上へとカーブして登る坂になりました。
その坂の途中に見事な崖が現れたのです。
写真では分かりづらいと思いますが、これがなかなか急坂で、無理せずに途中停車。

すぐに崖に取り付きたい気持ちを抑えて、まずは歩いて坂の上までの様子を確認。
しかし、丘の上に出ると舗装路になり、何かの会社の大きなセンターがあって風景が一変しました。
ならば戻って試掘開始です。
しかし、ここも見た目よりはるかに土が固くて掘りにくい。
指標虫も出てこなくて期待外れ感だけが高まりつつも、クモは時々出ました。(写真なし)
ここでだけではなく、こういう物体がたまに出るのですが、これもクモの巣なのではないかと。
きれいに掘り出せたので記録として載せておきます。

土の塊の中央の穴にクモが収まっていました。まるで糞虫の糞玉のようです。


さて、固くても周りの環境はいいので、見掛け倒しとは思えないなと、あきらめかけた気持に喝入れ。
上部にアタックしたいのですが、切り立っていて困難。(高さは3メートル以上ある)
それでも、露出している木の根に手を伸ばし、ぶら下がるようにしながら壁をよじ登りました。
逆シュワッチもしつつ、何度も取り付き粘ることしばし。
根性で出しました。

実はここは市原市の最北部。ルイスならば高緯度の自己新記録となります。
分布が北上しているなら、いっそチバ市ラベルも得たいですが、環境劣化との競争になるか・・。
結局、ゴミムシは一切出ず、収獲はまさにこの一頭だけ。
時間はまだ早かったものの、見掛け倒しではないのを確認できたことに満足して帰路に着きました。
早めに帰宅したので、お連れしてから再撮影したものを。
まずは最後の貴重な収獲。

黒い子たち。

この写真では全て同じに見えると思いますが、各個体は明らかな違いがあります。
大きなオオスナハラゴミムシと小さなオオゴミムシは違いが分かりやすいので同種と思うことはない。

同じような大きさの個体でも、本編でも書いたとおり、艶と頭幅の違いで区別ができます。

ただ両種とも体長にかなり個体差があり、別種かもしれないと、しばらく図鑑とにらめっこしたほど。

ちなみに黒い4頭の体長は、
小さいオオゴミムシ 約20mm
小さいオオスナハラ 約21mm
大きいオオゴミムシ 約23mm
大きいオオスナハラ 約24mm
でした。
今日の湯加減

いよいよシーズンインしてから、いつ行こうかと思っているうちに年が明け・・
引きこもりスイッチがオフになった勢いで、1月11日に行ってきました。

今度こそ誰にも会うことなく。
出発したのは前日と同じ10時頃。天気はドン曇り。
ところが、気温は前の日と大きく違って、なんと11℃でした。(前日は0℃)
「一般道」設定しているのに、なぜか高速道へ誘導するナビと闘いながら安全運転で目的地を目指す。
(後で確認したら高速へ乗せようとしていたわけではなく、並行する道があったようです)
最短コースを辿らなかったことと、前日と同様に空いてはいなかったこともあり、予定より遅着。

なんだか随分、調整池の景色が変わって、スッキリして見通しがよくなっていました。
それはそれとして、まずはミルフィーユがどうなっているのか心配なので、反対側の森へ突入。
崖へと続く藪も、夏とは違ってとても歩きやすく、難なくすぐに現着。

特にお変わりないようで、おいしそうにそびえていました。

さっそく試掘開始しましたが、まさに岩盤で、崩れるときは大きな塊で崩壊してしまいます。
間隙があるところからはムカデやゲジなどの指標虫が出るので、コンディションは良好そうですが。
最初の発掘は誤曝。ニホントカゲの幼体でした。

どうやって岩盤の裏の間隙に潜るのか、何度見ても不思議ですが、別の間隙へ引越してもらいました。

ニホントカゲ
なるべく小規模に崩せる、適度な湿度の粘土質の所を選んでしばらく掘っているとやっとゴミムシが。

ルイスオオゴミムシ (オサムシ科)
スジアオの親分と同様、チバでは普通種ですが、美麗だし大きな部類なのでお気に入りです。
同じく普通の子ですが、(扉の写真のように)頭部をアップにするとなかなか美形なゴミムシ。

コガシラアオゴミムシ (オサムシ科)

後が続かないので、ミルフィーユの端の方へ移動しました。
10分ほどあちこち試掘して、最初に出てきたのは”煙”でした。
連写ではなく、偶然撮れたガス噴射。

よく出てくる(名前が覚えづらい)ヘッビリ虫。

オオホソクビゴミムシ (オサムシ科)
ミイデラゴミムシより一回り小さくて体長15mmくらい。
それからまたしばらく何も出ず、やっと何かいたと思ったらなんと。

アブの仲間
アブは土からではなく、朽木の中にいることの方が多いと思いますが。
小さなハチといいアブといい、よくこんな柔らかい身体で固い土の中へ入れるものだと感心します。
前記事でも紹介したので詳細は省略しますが、やっと大物がでました。

オオスナハラゴミムシ (オサムシ科)
この後もう一匹追加があるも、期待外れの成果にテンションが下がってしまい、気持ちは撤収モード。
土の固さに腕も疲れてきたので、最後に、手前にすでに崩落している大きな土塊の一角を叩くと。
ひょっこり出たのが最近縁のある子。

オオゴミムシ (オサムシ科)
これで俄然やる気を持ち直すことができ、もう一頭追加と念じながら掘っているとやっとこさ。

これで気が済んで打ち止めにしました。

同上
大きさはオオスナハラと同じくらいですが、体全体に艶があり、頭部が幅広いという特徴があります。

ベニシジミ号へ戻ったところで、やっぱり調整池が気になりました。
ひょっとして周回できるようになっているのでは?と右側の入口から反時計回りに歩いてみることに。
倒木でぐにゃりと潰れた柵はそのままですが、倒木自体は処分され、藪も刈られてとても歩きやすい。
林縁側にはいくつか枯れ木が転がっていました。
こんなカワラタケが密生している倒木はクワガタが入っていそうですが、残念ながらカチカチでした。

左側の入口の民家脇に倒れていた大木も整理されていて、問題なく周回できました。

ということであれば、また暖かくなったら様子を見に来ようと思います。

お昼の燃料補給をした後、午後もう一か所、今度は新規開拓に向かいました。
南へ30分ほど市原市郊外の里地を走っていると、目的地に着く前によさそうな谷津田がたくさん。
でも寄り道はせずに目的地に着いてみると、そこには適当なアプローチがありませんでした。
なので、来た道をしばらく戻り、さっき気になった谷津田の一つに突入。

たまたま林縁に小崖があり、試掘してみるも、杉の根がはびこっていて掘れる場所がほとんどない。
それでも指標虫がぽつぽつ出るので期待して掘っていると・・また誤曝してしまった。

ニホントカゲ
適当な穴へ埋め戻し、先へ進んでみることに。
林縁に沿ってベニシジミ号で少し走ると、やがて丘の上へとカーブして登る坂になりました。
その坂の途中に見事な崖が現れたのです。
写真では分かりづらいと思いますが、これがなかなか急坂で、無理せずに途中停車。

すぐに崖に取り付きたい気持ちを抑えて、まずは歩いて坂の上までの様子を確認。
しかし、丘の上に出ると舗装路になり、何かの会社の大きなセンターがあって風景が一変しました。
ならば戻って試掘開始です。
しかし、ここも見た目よりはるかに土が固くて掘りにくい。
指標虫も出てこなくて期待外れ感だけが高まりつつも、クモは時々出ました。(写真なし)
ここでだけではなく、こういう物体がたまに出るのですが、これもクモの巣なのではないかと。
きれいに掘り出せたので記録として載せておきます。

土の塊の中央の穴にクモが収まっていました。まるで糞虫の糞玉のようです。

クモの土巣?

さて、固くても周りの環境はいいので、見掛け倒しとは思えないなと、あきらめかけた気持に喝入れ。
上部にアタックしたいのですが、切り立っていて困難。(高さは3メートル以上ある)
それでも、露出している木の根に手を伸ばし、ぶら下がるようにしながら壁をよじ登りました。
逆シュワッチもしつつ、何度も取り付き粘ることしばし。
根性で出しました。

ルイスオサムシ (オサムシ科)
実はここは市原市の最北部。ルイスならば高緯度の自己新記録となります。
分布が北上しているなら、いっそチバ市ラベルも得たいですが、環境劣化との競争になるか・・。
結局、ゴミムシは一切出ず、収獲はまさにこの一頭だけ。
時間はまだ早かったものの、見掛け倒しではないのを確認できたことに満足して帰路に着きました。
オマケ
早めに帰宅したので、お連れしてから再撮影したものを。
まずは最後の貴重な収獲。

ルイスオサムシ (オサムシ科)
黒い子たち。

この写真では全て同じに見えると思いますが、各個体は明らかな違いがあります。
大きなオオスナハラゴミムシと小さなオオゴミムシは違いが分かりやすいので同種と思うことはない。

同じような大きさの個体でも、本編でも書いたとおり、艶と頭幅の違いで区別ができます。

ただ両種とも体長にかなり個体差があり、別種かもしれないと、しばらく図鑑とにらめっこしたほど。

体長差のあるオオゴミムシ 2頭
ちなみに黒い4頭の体長は、
小さいオオゴミムシ 約20mm
小さいオオスナハラ 約21mm
大きいオオゴミムシ 約23mm
大きいオオスナハラ 約24mm
でした。
今日の湯加減
大寒が過ぎ、ちょっとだけ陽が長くなってきたことが、重苦しい日常の中のささやかな救いです。
とはいえ、冬らしい寒さの日が続くと思えば、急に春の陽気になる不安定な気候のチバです。
今日は雨ですが明日の関東地方は平野部でも10センチくらい積雪することが予想されています。
そういうわけで、たまには標本の整理をと、おとなしくステイホームしています。
展足していた昨年暮れの探虫旅の虫たちを標本箱に並べました。

"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
地層を見ると化石を探してしまいそうですが
こんなに良いベッドになってるのですね。
普通なら動きが早くてじっくり遊べないトカゲも見れて楽しそう。
by 響 (2021-01-26 11:17)
ニホントカゲかわいいなあ〜〜〜
なでなでしてみたいです(笑)
ほんと、どうやって岩盤の裏の間隙に潜るんだろうなあ
by リュカ (2021-01-27 10:25)
午前便が迷子みたいなので、再度の送信です。
オオと付いても20ミリそこそこのサイズなのに、咀嚼から排泄まで、生きるための器官が全て備わっている。虫を眺めていると、感心を通り越して呆れるほどです。
by 高和です。 (2021-01-27 20:01)
>響さん
フランスベッドくらいの成果を期待していましたが肩透かしでした。
いや、もっと大胆に掘れば出たのかもしれません。
トカゲは目の保養ですね♪
>リュカさん
ねぼけてる子がほとんどなので、なでなでできますよ^^
幼体でも岩盤の中に潜るのはあっぱれだと思います。
>高和です。さん
2~3ミリの昆虫も膨大にいる、というか多数派だと思いますから、20mmというのは巨大な部類なのでしょうね。
消化管に加えて、ガス発射器官まで備えてるのもいるし^^
by ぜふ (2021-01-27 22:25)
またガス噴射の写真が、こちらに尻を向けているので臨場感があります^^;。
クモが土の中に、こんな巣を作るんですねぇ。おもしろい。
最後のゴミムシの写真、コメントを読んで、違いを見つけながら眺めました。
by sakamono (2021-01-28 20:34)
爬虫類好きなので、ニホントカゲに目が釘付けでやす〜
by ぼんぼちぼちぼち (2021-01-28 20:50)
>sakamonoさん
ガスの色もちょっと違うのがわかりました。
クモの土巣は外殻まで作ったのかどうかは不明ですが面白いです。
>ぼんぼちぼちぼちさん
ニホントカゲの幼体は見かけよりも力が強いのでしょうね。
寝ぼけているので尻尾を切ることもなく安心です^^
by ぜふ (2021-01-28 22:18)