"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
北総パトロール [探虫行]
1月10日。ついに、引きこもり袋の緒が切れて出かけてきました。
遠出はせず、高速も使わず、単独行動で、最近足を向けていない北総方面を目指すことにしました。
インザントラの崖のゴミムシたちの様子を見に行こうと思ったのですが気が変わりました。
GoogleMapを見ていたら、印西市の隣町の小さな谷津田が気になったのです。
なんとなく。
土崖を掘っていると時々出てくるハチです。
寝坊したわけではなく、天気予報で気温が下がることがわかっていたので、出発したのは10時頃。
それでもスマホが表示する気温は0℃でした。
道路は空いていましたが、前回の緊急事態宣言発出時ほどではありません。
それでもとにかく安全運転でトコトコと。
初訪の地なので途中一度曲がるところを間違えましたが、なんなく目的地とした地点に到着。
なんとそこには赤土の小崖がありました。
(GoogleMapの航空写真でもさすがに崖の有無はわからないのでこんなことは珍しい)
ここまで来る間に手指はガチガチに悴んでいましたが、さっそく目の前の崖の試掘を開始。
すぐ出てきたのが扉の子で、立て続けに何頭も出してしまい、わらわらと飛び立っていきました。
次に出た集団はこの子たち。
体長は約7.5mm。ごく普通種ですが、記事に掲載したことがなかったようです。おそらく。
とにかく、いきなり次々と何か出てきてうれしいと思っているとまた出た。
カメムシも別種が一緒に越冬しますが、このコンビははじめて見ました。
それからはハチしか出てこないので河岸を変えることに。
谷津田の奥へ向けて歩くとすぐにまた崖が現れました。しかもやや大きな崖。
それに幅もある。
これはザックザクかと期待しましたが、意外にも土が岩かと思うほど固くてなかなか掘れない。
崩れるときは大きな岩のような塊で落ちるので掘ること自体が躊躇されました。
たまにぽろぽろと現れるのはこの子だけ。
体長は約11mm。鞘翅に短い毛が密集している、”ケ”ゴモクムシの仲間です。
ここは早々に見限ることにしました。
なぜなら、すぐ先に、また別の小崖が見えていたからです。
なんていいフィールドなんだろうと、キツネにつままれているような気もしつつ崖に取り付きました。
こちらは固さも湿度も申し分なかったのですが、南向きというのが難点でした。
だからか、コンディションの割にゴミムシさえ出ないのでがっかりしていたら縦向きの間隙に。
田んぼ周辺ではお馴染みのミイデラくんの集団でした。
ちょっと試しにこの子の必殺技を繰り出してもらおうとピンセットでつついてみました。
なかなかタイミングを合わすことが難しかったのですが、数匹に協力してもらってついにその瞬間が。
撮れました。
プシッという音とともに、100℃にも達するようなガスを噴出します。
ミイデラゴミムシは体内に、過酸化水素とハイドロキノンを蓄える器官を持っていて。
この二つを化学反応させることで高温のガスを発生・噴射させるのです。
しかも、単発ではなく、一匹が3発くらいは発射でき、そのことから”屁っ放り虫”という異名も。
取材協力に感謝し、彼らは土の中へ埋め戻しておきました。(1~2匹は足元へ落ちて見失ったけど)
アオオサムシが出てくれることを期待したのですが、どうやら出ないようなので谷津田の奥へ。
まだ先がありましたが、葦の湿地で行き止まりになったので、下流方面の様子を撮影。
田んぼ脇の日陰にある水路というか、小さな疏水はカチンカチンに凍っていました。
ここの様子は大体わかったので、もう一か所、近くに目を付けたポイントへ行ってみることに。
ナビにセットした地点へはすぐに着いたのですが、アプローチが見つかりません。
スマホでGoogleMapを開いてナビに表示されない道を確認して脳内マップに入力。
宅地を抜け、畑を突き抜けると谷津田にでました。
写真奥が谷津田の突き当り。つまり、いきなり最奥部へ来たということで早速田んぼの脇を進むと。
幸運なことにここにも小崖が。高さはありませんが、幅は20mほど。
全体を眺めて、土のコンディションが良さそうな場所を試掘してみると・・すぐに。
お尻を向けているので、スジアオの親分かと思いきや・・ピンセットで顔を出してもらうと。
実はすぐには同定できず、最近なぜか縁のあるオオゴミ君と思ったのですが、ケースに入れて判明。
前胸や鞘翅にオオゴミムシのような艶がないことと、オオアゴの形で分かります。
オオスナハラゴミムシはオオアゴの形が明らかに左右非対称なのです。(拡大します)
続々と出るかと思いきやあとはサッパリでした。
というのも、最初に目を付けた場所以外は土が乾いていたのです。
こういうケースに出くわすと、やはり虫たちは、一番いい所を選んで潜っているなと感じます。
どうして崖全体の様子が分かるのでしょうね。
崖はまだ先にもありました。
しかし、ここは日当たりが良すぎるのか、何もでなかったので、ほんとの一番奥まで行ってみると・・
竹に浸食されかかっていますが、その奥に大きな崖が。
土が露出しているところが高い位置にあり、それこそ竹につかまりながら崖に取り付きました。
しかし、見た目以上に土は固く、ここも崩すと大きな塊が落下するという感じだったので深入りせず。
様子が確認できたのでよしとしました。
早めに帰るつもりではあったものの、まだお昼を過ぎたところ。
せっかく北総まで来たので、少し足を延ばして利根川まで行ってみることにしました。
利根川と言っても、行ってみたい場所はピンポイント。
そう、一昨年の台風と大雨以来、訪れていない御神木の様子を確認したかったのですが・・
案の定というか、思っていた以上に御神木のエリアは荒れていました。
船がいくつも打ち上げられて放置され、枯れた葦や灌木やゴミが腰の高さくらい堆積しています。
御神木は大きな朽ちた倒木で、場所はしっかり分かっているのですが、残念ながら消失していました。
場所が変わっているかもしれないと、周辺を調べようと堆積物の中へ突入してみることに。
葦がゆるく積もっているところは踏み抜いてしまうかもしれないので慎重に進みました。
川岸の近くの竹藪まで行ってみるも、やはり御神木は見当たらず。
別の倒木というか流木もいくつかあり、中には少し朽ちかけたのもあったので叩いてみました。
すると、ある一本の倒木からお馴染みの顔が。
他のゴミムシたちや、マイマイカブリも、きっとこの堆積物の中のどこかで冬眠しているでしょう。
そしてまた別の御神木が現れることを祈りつつ帰路に着きました。
帰りはインザントラに寄ろうかと思い、利根川水郷道路を木下まで下り、印西方面へ向かいました。
その途中に酒屋さんを発見し、衝動的に立ち寄ってしまいました。
久保田の看板が出ていたので、ひょっとして元旦しぼりがないかなと期待しましたが生憎取扱いなし。
でもショーケースの中の日本酒を見て回るとなかなか面白い取り揃えでした。
その中で気になったのがこれ。
群馬県藤岡市の松屋酒造という蔵の「Melissa 流輝」というお酒。
精米歩合60%の純米酒で、酸味と甘味のバランスがよく、かなりキレがよい。アタリでした。
チョイスした理由は単にラベルが気に入ったからだったのですが・・
そう、Melissaとはギリシャ語で・・
今日の湯加減
遠出はせず、高速も使わず、単独行動で、最近足を向けていない北総方面を目指すことにしました。
インザントラの崖のゴミムシたちの様子を見に行こうと思ったのですが気が変わりました。
GoogleMapを見ていたら、印西市の隣町の小さな谷津田が気になったのです。
なんとなく。
土崖を掘っていると時々出てくるハチです。
寝坊したわけではなく、天気予報で気温が下がることがわかっていたので、出発したのは10時頃。
それでもスマホが表示する気温は0℃でした。
道路は空いていましたが、前回の緊急事態宣言発出時ほどではありません。
それでもとにかく安全運転でトコトコと。
初訪の地なので途中一度曲がるところを間違えましたが、なんなく目的地とした地点に到着。
なんとそこには赤土の小崖がありました。
(GoogleMapの航空写真でもさすがに崖の有無はわからないのでこんなことは珍しい)
ここまで来る間に手指はガチガチに悴んでいましたが、さっそく目の前の崖の試掘を開始。
すぐ出てきたのが扉の子で、立て続けに何頭も出してしまい、わらわらと飛び立っていきました。
次に出た集団はこの子たち。
コスナゴミムシダマシ (ゴミムシダマシ科)
体長は約7.5mm。ごく普通種ですが、記事に掲載したことがなかったようです。おそらく。
とにかく、いきなり次々と何か出てきてうれしいと思っているとまた出た。
マルカメムシ と シロヘリカメムシ(カメムシ科)
カメムシも別種が一緒に越冬しますが、このコンビははじめて見ました。
それからはハチしか出てこないので河岸を変えることに。
谷津田の奥へ向けて歩くとすぐにまた崖が現れました。しかもやや大きな崖。
それに幅もある。
これはザックザクかと期待しましたが、意外にも土が岩かと思うほど固くてなかなか掘れない。
崩れるときは大きな岩のような塊で落ちるので掘ること自体が躊躇されました。
たまにぽろぽろと現れるのはこの子だけ。
ウスケゴモクムシ (オサムシ科)
体長は約11mm。鞘翅に短い毛が密集している、”ケ”ゴモクムシの仲間です。
ここは早々に見限ることにしました。
なぜなら、すぐ先に、また別の小崖が見えていたからです。
なんていいフィールドなんだろうと、キツネにつままれているような気もしつつ崖に取り付きました。
こちらは固さも湿度も申し分なかったのですが、南向きというのが難点でした。
だからか、コンディションの割にゴミムシさえ出ないのでがっかりしていたら縦向きの間隙に。
ミイデラゴミムシ (オサムシ科)
田んぼ周辺ではお馴染みのミイデラくんの集団でした。
ちょっと試しにこの子の必殺技を繰り出してもらおうとピンセットでつついてみました。
なかなかタイミングを合わすことが難しかったのですが、数匹に協力してもらってついにその瞬間が。
撮れました。
同上
プシッという音とともに、100℃にも達するようなガスを噴出します。
ミイデラゴミムシは体内に、過酸化水素とハイドロキノンを蓄える器官を持っていて。
この二つを化学反応させることで高温のガスを発生・噴射させるのです。
しかも、単発ではなく、一匹が3発くらいは発射でき、そのことから”屁っ放り虫”という異名も。
同上
取材協力に感謝し、彼らは土の中へ埋め戻しておきました。(1~2匹は足元へ落ちて見失ったけど)
アオオサムシが出てくれることを期待したのですが、どうやら出ないようなので谷津田の奥へ。
まだ先がありましたが、葦の湿地で行き止まりになったので、下流方面の様子を撮影。
田んぼ脇の日陰にある水路というか、小さな疏水はカチンカチンに凍っていました。
ここの様子は大体わかったので、もう一か所、近くに目を付けたポイントへ行ってみることに。
ナビにセットした地点へはすぐに着いたのですが、アプローチが見つかりません。
スマホでGoogleMapを開いてナビに表示されない道を確認して脳内マップに入力。
宅地を抜け、畑を突き抜けると谷津田にでました。
写真奥が谷津田の突き当り。つまり、いきなり最奥部へ来たということで早速田んぼの脇を進むと。
幸運なことにここにも小崖が。高さはありませんが、幅は20mほど。
全体を眺めて、土のコンディションが良さそうな場所を試掘してみると・・すぐに。
お尻を向けているので、スジアオの親分かと思いきや・・ピンセットで顔を出してもらうと。
オオスナハラゴミムシ (オサムシ科)
実はすぐには同定できず、最近なぜか縁のあるオオゴミ君と思ったのですが、ケースに入れて判明。
前胸や鞘翅にオオゴミムシのような艶がないことと、オオアゴの形で分かります。
オオスナハラゴミムシはオオアゴの形が明らかに左右非対称なのです。(拡大します)
同上
続々と出るかと思いきやあとはサッパリでした。
というのも、最初に目を付けた場所以外は土が乾いていたのです。
こういうケースに出くわすと、やはり虫たちは、一番いい所を選んで潜っているなと感じます。
どうして崖全体の様子が分かるのでしょうね。
崖はまだ先にもありました。
しかし、ここは日当たりが良すぎるのか、何もでなかったので、ほんとの一番奥まで行ってみると・・
竹に浸食されかかっていますが、その奥に大きな崖が。
土が露出しているところが高い位置にあり、それこそ竹につかまりながら崖に取り付きました。
しかし、見た目以上に土は固く、ここも崩すと大きな塊が落下するという感じだったので深入りせず。
様子が確認できたのでよしとしました。
早めに帰るつもりではあったものの、まだお昼を過ぎたところ。
せっかく北総まで来たので、少し足を延ばして利根川まで行ってみることにしました。
利根川と言っても、行ってみたい場所はピンポイント。
そう、一昨年の台風と大雨以来、訪れていない御神木の様子を確認したかったのですが・・
案の定というか、思っていた以上に御神木のエリアは荒れていました。
船がいくつも打ち上げられて放置され、枯れた葦や灌木やゴミが腰の高さくらい堆積しています。
御神木は大きな朽ちた倒木で、場所はしっかり分かっているのですが、残念ながら消失していました。
場所が変わっているかもしれないと、周辺を調べようと堆積物の中へ突入してみることに。
葦がゆるく積もっているところは踏み抜いてしまうかもしれないので慎重に進みました。
川岸の近くの竹藪まで行ってみるも、やはり御神木は見当たらず。
別の倒木というか流木もいくつかあり、中には少し朽ちかけたのもあったので叩いてみました。
すると、ある一本の倒木からお馴染みの顔が。
アオゴミムシ (オサムシ科)
他のゴミムシたちや、マイマイカブリも、きっとこの堆積物の中のどこかで冬眠しているでしょう。
そしてまた別の御神木が現れることを祈りつつ帰路に着きました。
オマケ
帰りはインザントラに寄ろうかと思い、利根川水郷道路を木下まで下り、印西方面へ向かいました。
その途中に酒屋さんを発見し、衝動的に立ち寄ってしまいました。
久保田の看板が出ていたので、ひょっとして元旦しぼりがないかなと期待しましたが生憎取扱いなし。
でもショーケースの中の日本酒を見て回るとなかなか面白い取り揃えでした。
その中で気になったのがこれ。
群馬県藤岡市の松屋酒造という蔵の「Melissa 流輝」というお酒。
精米歩合60%の純米酒で、酸味と甘味のバランスがよく、かなりキレがよい。アタリでした。
チョイスした理由は単にラベルが気に入ったからだったのですが・・
そう、Melissaとはギリシャ語で・・
今日の湯加減
緊急事態宣言の発出期間は2月7日までとのことですが、これは単なる目安でしょうね。
昨年発出されたときも延長されたし、収束どころか他県に拡大中ですし。
昨日、ある医師が「コロナ、お前すげーわ」とツイートしたのがメディアで取り上げられていました。
苦労や嘆きや畏れなど、様々な思いが込められているとのことですが、違和感を禁じえません。
それよりも、この疫病が乳幼児たちの間ではほとんど感染拡大しないということに救いを感じます。
小さい子たちは、マスクはできない、黙ってることもできない、離れているわけにもいかない。
一方で、もうビフォアコロナの世の中には戻らないと指摘されることには違和感がありません。
どのような世の中になるにしても、ニンゲンの良心と思いやりが堆積物の中から復活しますように。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
おお!このラベルは惹かれますね。
ミツバチなのかな?
バランスがよくキレが良いのはいいな♪♪
by リュカ (2021-01-17 16:29)
凄い機能?を体内に内蔵するミイデラくん、びっくりです、生きる術に、長い間に獲得してきたのかな、生き抜く技なのかな、、人としてのわきまえを、大切です、時々ニュースとか見たり、読んだりすると悲しくなります
by engrid (2021-01-17 20:32)
ラベル買いしちゃうことってありやすよね〜
虫の描かれたラベルって珍しいでやすね。
アタリで何よりでやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2021-01-17 22:10)
>リュカさん
流輝は”ルカ”と読みます。おしい^^
>engridさん
攻撃ではなく防御能力なのでしょうけど、必殺技ですね^^
ニンゲンは防御の必殺技を何も持ってないですね・・
>ぼんぼちぼちぼちさん
お酒に限らず、飲食物にはなかなかないですね。
でもふしぎとアタリが多いです^^
by ぜふ (2021-01-17 22:42)
自然な崖がいっぱい!
北総は見所いっぱいですね。羨ましい。
それにしても「呆れることのみ多かりき」の昨今ですが、今週の湯加減も多少熱めか。そこで・・・
再度の緊急事態宣言発出も、国民は、ゼイタク(外出)は(素)敵を決め込んでいる。国家(医療機関)総動員令、学徒(看護学性)出陣と、考えること、支配のありようは為政者もメディアも大衆も80年前と変わらない。そして国の組織を破壊し、ウィルスを攪拌させた責任者(T元総務大臣、N永田町の幹事長)は素知らぬ顔だ。
冬至からはやひとつき、啓蟄もまもなく。
個人的には宣言そっちのけで「虫たち」との会瀬をかさねたい。
by 高和です。 (2021-01-18 15:53)
>高和です。さん
ちょっと熱めの湯加減でしたね^^;
チバは意外と田舎なので谷津田や耕作放棄地がたくさんあります。
人に会わないでいることもむずかしくないですね^^
by ぜふ (2021-01-22 22:21)
ミイデラゴミムシ噴射の瞬間の連続写真、スゴイです!
こんなふうになるんですね。100℃のガスってキケンですね。
こんなコトができちゃう昆虫って不思議です。
by sakamono (2021-01-23 11:57)
>sakamonoさん
撮影しようしようと思いつつ、なかなか面倒で・・^^;
体内に2種類のタンクがあるというのが面白いです。
実は次記事にもでてきます^^
by ぜふ (2021-01-23 15:49)