"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
あいまいな季節の採集会 [ファーブル会]
9月も半ばとなり、夏はほぼ過ぎ去るも、例年通り残暑きびしい日が続いていました。
季節の変わり目といえばその通りなのでしょうけど、毎年この時期は季節感があいまいです。
そんな、気持ちと身体の整理がつかない頃に恒例なのが秋型アゲハの採集会。
9月13日、三浦半島の某所へ赴きました。

この正体は本編で。
チバから集合場所の駅までは東京湾を半周しなくてはならないので時間がかかる。
ボート(高速艇)があれば便利なのに、といつも浅はかに思ってしまいます。
さらにトラップの仕込みをするとなると、かなりの早起きをしなくてはなりません。
前夜夜更かししたこともあり、今回はやめようと思っていたのですが、たまたま目が覚めてしまった。
ならばとトラップの準備をして(道具やベイトは常備してある)休日早朝の上り電車に乗りました。

駅に着くと、スタッフが一人先着していたので、トラップ仕掛けに行きますと告げて先に出発。
採集会の会場である公園に着き、いつものトラップポイントへまっしぐら・・・
とその前に、ヤマトシジミと掃除をはじめていた公園のスタッフにご挨拶。

しかし、そこへ向かう獣道の途中が一部崩れかかっていました。
森の急な斜面を巻いていく、幅30センチほどしかない小道で、足を滑らせると崖下に落ちる危険が。
これはオプションツアーでゲストを案内するのはできないと判断。
なので、トラップを仕掛けるのもやめようかなと思いましたが、確認のため少しだけかけてみました。

公園内の集合場所へ行くと、まもなく引率スタッフとゲストたちも到着しました。
今回の本命はアゲハなのですが、こどもは目の前の虫に飛びつきます。
広場の地面を走っていた小さなゴミムシを見つけて手でとろうとする。
手のひらに乗せることはできても、子供の指でもつかむことはむずかしく、すぐに逃げられる。
逃げまどうのを捕まえ、また逃げられ、また捕まえ、また逃げられ・・どちらもあきらめません。
しかし、とうとう子供の方が根負けして追いかけるのをあきらめました。
ほっとしたのか、疲れたのか、動きがとまったゴミムシくん。
いや、正確にはゴミムシではなく、ゴモクムシでした。

体長は約8ミリ。肉眼では分かりませんが、胸側や体側に黄色い毛がたくさん生えています。
それはともかく、目の前の虫に飛びつくのは子供だけではないですね。
ゴモクムシを撮っていると、目の前のアカバナユウゲショウに。

じゃないかと思いますが自信なし。ただ、この個体は腹部第一背板まで赤い。
それと、同じ原っぱにはバッタもいて、這いつくばり続けながら追いかけ回しました。
追いかけ回した理由は、この子の特徴の赤い足を写したかったから。


陽射しがなく、まだ気温も上がらないので、アゲハたちがなかなか現れない。
はじめてチョウチョの採集をする子は他のチョウで練習。

ベテランの子はアゲハの蝶道で待ち伏せて他のチョウには見向きもしない。

ダイミョウセセリがいるよと教えても一目見て、いらないと言いました。
一方、甲虫が好きだという子がいて、持っている網もどうみても蝶の採集には向かない小さな代物。
オサムシを探しに行ってみる?と誘うと、一瞬、目の色が変わったのが分かりました。

トラップを仕掛けた公園の裏側(北側)は陽当たりが悪く、斜面も急で、遊歩道も獣道のように細い。
その遊歩道の入口付近には丘の裏側から表側へ雨水を誘導するためのU字溝が敷設されています。
でも、低木の枝葉が覆いかぶさっていて、存在に気が付くのはオサムシ・ゴミムシ探しする輩くらい。
まったく整備されていないその溝は、まさに落ち葉や枯れ枝やゴミムシたちの”たまり場”なのです。
そこへ彼を案内して、この辺の落ち葉をひっくり返してごらん、と言いつつ自分も熊手で掘りました。
すると何かが落ち葉の下でサササッと動いた瞬間、逃がすものかと頭で考える前に手が出ていました。
つまんで彼の捕虫網の中へ放り込んであげると、うれしそうに手に乗せてくれました。

あいにく大物はこの一匹だけでしたが、いてくれて内心ホッとしたというところ。

引き続き、一緒にいた別の親子とともに南側の斜面の側溝を見て回ることにしました。
こちらは手入れがされているのか、落ち葉はあまり溜まっていなくて、目でチェックしていけます。
あいにくゴミムシなどは見つけられませんでしたが、別の徘徊性昆虫がいました。

このフィールドでは何度か観察しています。
分布は局地的な虫のようですが、生息地では集団で観察されます。(毒があるので注意)

お昼の時間になったので、最初の原っぱに戻りました。
お弁当を食べようと、東屋の方へ行ってみると、その脇の植え込みにアザミが咲いていました。
この時期この公園は、とにかく花が少ないので、アゲハたちもここに寄ってきていたようです。
寄ってきたのはアゲハだけではなく。

お昼を過ぎると気温も少し上がり、モンキアゲハやナガサキアゲハなどがちらほらと出てきました。
このアザミにもやってきて、無事この日のターゲットを採ることができた子もいました。
さて、トラップはどうしたかというと、やはりゲストを案内するのはリスクがあるので自粛しました。
解散してから一人で回収に行ってきたのですが、あいにく収獲はゼロ。
ゴミムシすら入っていなかった。(5個しかかけなかったということもありますが)
しかし、転んでもただは起きぬというか、帰りの駄賃というか、獣道でコンチューターが反応。
サトキマダラちゃんがクヌギの幹から飛び立ったので、その周辺をチェックしてみたら。
何かいますね。

クワガタ掘り出し棒でほじほじしてご対面。

メスも一緒でした。

東屋まで戻ったら、まだ何組がゲストの家族がいたので、ブリードしてみたいという子に進呈。
そして、そろそろスタッフも撤収しようかと、東屋のベンチに座って荷造りしていると・・
リュックの上に舞い降りてきた(のかトラップ回収の帰りについた)のが扉の写真の子だったのです。
形はツノゼミに似ているなと思いましたが、何か分からなかったのでお連れしました。
図鑑やネットで調べてみた結果、これはミミズクの幼虫だと判断しました。

その名の通り、この虫には耳状突起というミミズクのような特徴があるはずが、幼虫にはないのです。
要するに、幼虫は初めて見たので分からなかったということ。
そのうち”耳”が出てくるはず、と楽しみにしていましたが、成虫になる前に★になってしまいました。
ざんねんでしたが、じっくり観察できてよかった。
花がないと止まってはくれないのでアゲハの写真はナシとなりました。(ゲストが採った写真はある)
その代わり、(チョウチョですらありませんが)この日いっぱいいたやつを記録として。

それともう一種記録として、帰り道の途中、坂の脇のカラムシの葉の上に。

今日の湯加減
季節の変わり目といえばその通りなのでしょうけど、毎年この時期は季節感があいまいです。
そんな、気持ちと身体の整理がつかない頃に恒例なのが秋型アゲハの採集会。
9月13日、三浦半島の某所へ赴きました。

この正体は本編で。
チバから集合場所の駅までは東京湾を半周しなくてはならないので時間がかかる。
ボート(高速艇)があれば便利なのに、といつも浅はかに思ってしまいます。
さらにトラップの仕込みをするとなると、かなりの早起きをしなくてはなりません。
前夜夜更かししたこともあり、今回はやめようと思っていたのですが、たまたま目が覚めてしまった。
ならばとトラップの準備をして(道具やベイトは常備してある)休日早朝の上り電車に乗りました。

駅に着くと、スタッフが一人先着していたので、トラップ仕掛けに行きますと告げて先に出発。
採集会の会場である公園に着き、いつものトラップポイントへまっしぐら・・・
とその前に、ヤマトシジミと掃除をはじめていた公園のスタッフにご挨拶。

ヤマトシジミ (シジミチョウ科)
しかし、そこへ向かう獣道の途中が一部崩れかかっていました。
森の急な斜面を巻いていく、幅30センチほどしかない小道で、足を滑らせると崖下に落ちる危険が。
これはオプションツアーでゲストを案内するのはできないと判断。
なので、トラップを仕掛けるのもやめようかなと思いましたが、確認のため少しだけかけてみました。

公園内の集合場所へ行くと、まもなく引率スタッフとゲストたちも到着しました。
今回の本命はアゲハなのですが、こどもは目の前の虫に飛びつきます。
広場の地面を走っていた小さなゴミムシを見つけて手でとろうとする。
手のひらに乗せることはできても、子供の指でもつかむことはむずかしく、すぐに逃げられる。
逃げまどうのを捕まえ、また逃げられ、また捕まえ、また逃げられ・・どちらもあきらめません。
しかし、とうとう子供の方が根負けして追いかけるのをあきらめました。
ほっとしたのか、疲れたのか、動きがとまったゴミムシくん。
いや、正確にはゴミムシではなく、ゴモクムシでした。

カラカネゴモクムシ (オサムシ科)
体長は約8ミリ。肉眼では分かりませんが、胸側や体側に黄色い毛がたくさん生えています。
それはともかく、目の前の虫に飛びつくのは子供だけではないですね。
ゴモクムシを撮っていると、目の前のアカバナユウゲショウに。

ミカドジガバチ (アナバチ科)
じゃないかと思いますが自信なし。ただ、この個体は腹部第一背板まで赤い。
それと、同じ原っぱにはバッタもいて、這いつくばり続けながら追いかけ回しました。
追いかけ回した理由は、この子の特徴の赤い足を写したかったから。

ヒナバッタ (バッタ科)

陽射しがなく、まだ気温も上がらないので、アゲハたちがなかなか現れない。
はじめてチョウチョの採集をする子は他のチョウで練習。

ヒメウラナミジャノメ (ジャノメチョウ科)
ベテランの子はアゲハの蝶道で待ち伏せて他のチョウには見向きもしない。

ダイミョウセセリ (セセリチョウ科)
ダイミョウセセリがいるよと教えても一目見て、いらないと言いました。
一方、甲虫が好きだという子がいて、持っている網もどうみても蝶の採集には向かない小さな代物。
オサムシを探しに行ってみる?と誘うと、一瞬、目の色が変わったのが分かりました。

トラップを仕掛けた公園の裏側(北側)は陽当たりが悪く、斜面も急で、遊歩道も獣道のように細い。
その遊歩道の入口付近には丘の裏側から表側へ雨水を誘導するためのU字溝が敷設されています。
でも、低木の枝葉が覆いかぶさっていて、存在に気が付くのはオサムシ・ゴミムシ探しする輩くらい。
まったく整備されていないその溝は、まさに落ち葉や枯れ枝やゴミムシたちの”たまり場”なのです。
そこへ彼を案内して、この辺の落ち葉をひっくり返してごらん、と言いつつ自分も熊手で掘りました。
すると何かが落ち葉の下でサササッと動いた瞬間、逃がすものかと頭で考える前に手が出ていました。
つまんで彼の捕虫網の中へ放り込んであげると、うれしそうに手に乗せてくれました。

スジアオゴミムシ (オサムシ科)
あいにく大物はこの一匹だけでしたが、いてくれて内心ホッとしたというところ。

引き続き、一緒にいた別の親子とともに南側の斜面の側溝を見て回ることにしました。
こちらは手入れがされているのか、落ち葉はあまり溜まっていなくて、目でチェックしていけます。
あいにくゴミムシなどは見つけられませんでしたが、別の徘徊性昆虫がいました。

マメハンミョウ (ツチハンミョウ科)
このフィールドでは何度か観察しています。
分布は局地的な虫のようですが、生息地では集団で観察されます。(毒があるので注意)

お昼の時間になったので、最初の原っぱに戻りました。
お弁当を食べようと、東屋の方へ行ってみると、その脇の植え込みにアザミが咲いていました。
この時期この公園は、とにかく花が少ないので、アゲハたちもここに寄ってきていたようです。
寄ってきたのはアゲハだけではなく。

ヒメクロホウジャク (スズメガ科)
お昼を過ぎると気温も少し上がり、モンキアゲハやナガサキアゲハなどがちらほらと出てきました。
このアザミにもやってきて、無事この日のターゲットを採ることができた子もいました。
さて、トラップはどうしたかというと、やはりゲストを案内するのはリスクがあるので自粛しました。
解散してから一人で回収に行ってきたのですが、あいにく収獲はゼロ。
ゴミムシすら入っていなかった。(5個しかかけなかったということもありますが)
しかし、転んでもただは起きぬというか、帰りの駄賃というか、獣道でコンチューターが反応。
サトキマダラちゃんがクヌギの幹から飛び立ったので、その周辺をチェックしてみたら。
何かいますね。

クワガタ掘り出し棒でほじほじしてご対面。

スジクワガタ ♂ 小歯型(クワガタムシ科)
メスも一緒でした。

スジクワガタ ♀ (クワガタムシ科)
東屋まで戻ったら、まだ何組がゲストの家族がいたので、ブリードしてみたいという子に進呈。
そして、そろそろスタッフも撤収しようかと、東屋のベンチに座って荷造りしていると・・
リュックの上に舞い降りてきた(のかトラップ回収の帰りについた)のが扉の写真の子だったのです。
形はツノゼミに似ているなと思いましたが、何か分からなかったのでお連れしました。
図鑑やネットで調べてみた結果、これはミミズクの幼虫だと判断しました。

ミミズクの幼虫 (ヨコバイ科)
その名の通り、この虫には耳状突起というミミズクのような特徴があるはずが、幼虫にはないのです。
要するに、幼虫は初めて見たので分からなかったということ。
そのうち”耳”が出てくるはず、と楽しみにしていましたが、成虫になる前に★になってしまいました。
ざんねんでしたが、じっくり観察できてよかった。
オマケ
花がないと止まってはくれないのでアゲハの写真はナシとなりました。(ゲストが採った写真はある)
その代わり、(チョウチョですらありませんが)この日いっぱいいたやつを記録として。

クロウリハムシ (ハムシ科)
それともう一種記録として、帰り道の途中、坂の脇のカラムシの葉の上に。

キマダラカメムシの幼虫 (カメムシ科)
今日の湯加減
毎年のことながら、秋分の日を過ぎてしまうと、どうしてもテンションが下がりはじめます。
夏が過ぎ去り、涼しくなることもさることながら、これから夜の方が長くと思うとどうしても。
ときに、台風の影響がなかったことは良かったと思いますが、連休以来、チバは天気が良くない。
今日は最寄のポイントへトラップを仕掛けに行こうと思いましたが、小雨が降りだしたので断念。
というわけで、引きこもって本を読んだり音楽を聴いたり映画を見たり。
ところで、宣伝になりますが、はずかしながら「月刊むし」10月号に共著の報文が掲載されました。
どの報文かは読んでいただければ分かる・・かも(笑)
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
ミミズクってどんな生き物?って検索してきました!
ほんとにミミズクみたいに、耳がでてるのですね(笑)
うちに残ったカブトムシの幼虫ちゃん、1匹、めっちゃデカくなってる艶男の子が居ます。もっと大きくなるようにお世話しなくちゃだわ^^
by リュカ (2020-09-27 09:09)
ミミズクさま、お初にお目にかかります。お名前も初めて耳にいたしました。クロウリハムシさま、しばしばフィールドでお目にかかりますが、今回初めてお名前とお姿が一致しました。ゼフさんのおかげでいろいろな昆虫を紹介いただけるので、毎号楽しみにしております。今年はミヤマさまの幼虫がかなりお生まれになりました。これからいかなる道をたどるか、見ものでございます。
by 高和です。 (2020-09-27 19:29)
>リュカさん
ミミズクといいますが、猫耳ともいえると思います^^
栄養いっぱいのマットで育てて、ギネスを目指してください!
>高和です。さん
ミミズクはなかなか見られませんね・・
クロウリハムシはウリハムシよりも普通種だと思います。
でもこんな大集団はめずらしかったかなと。
by ぜふ (2020-09-29 21:49)
「月刊むし」10月号掲載おめでとうございます!
by よしころん (2020-09-30 22:08)
私もミミズクといえば鳥しか知らなかったので、検索して
しまいました。なるほどカワイイ。成虫になっても幼虫の頃の
感じがありますね。先日、彼岸花を見に行った時、大きくて
まっ黒なアゲハがたくさん飛んでいました。今が季節だったのですね。
by sakamono (2020-10-01 21:51)
>よしころんさん
ライフワークです^^
>sakamonoさん
”ミミズクムシ”ではないところがいいです^^
彼岸花はアゲハたちの大好物ですね♪
by ぜふ (2020-10-01 22:44)