"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
夏の終わりのハーモニー [探虫行]
前々記事で少し書きましたが、虫友のH君に誘われて、一緒に去り行く夏を惜しみに行ってきました。
集合は9月4日金曜日の夜10時。
ちょっと早めに出ようと、8時前にベニシジミ号のシートカバーをはずして荷物を積み込みました。
しかしその直後、想定外のゲリラ雷雨。
雨雲レーダーを見てみると、次々と南から線状の雨雲がやってくるようで、雨はやみそうにない。
現地(カワサキ市某所)はどうかなと確認すると、雨雲はないし、これからも降りそうにない。
H君に電車で行ってもいいかなとメールすると、「じゃあ駅まで車で迎えに行くよ」とのこと。

週末ではありましたが、上りの電車は空いていました。
1時間半ほどで待ち合わせの駅に到着。
コンビニに寄って夜戦の食糧と飲物を買い出ししてさっそく現地へ。
そこは郊外の住宅地の一角をなす小さな森でした。(一応公園ではあります)
しかし、森へのアプローチは地元民ではないと分からないのではないかと思うほど難しい。
H君は地元民ではないものの、この森が気になってあちこち歩いて入口を見つけたとのこと。
森の中は真っ暗なので、ヘッドランプと懐中電灯で足元を照らしながら散策路を登っていきます。
まずは予め仕掛けておいたオサトラップの様子を確認しましたが、何も入ってなかったので一旦退却。
散策路を登り、森を出て、丘の上にあるベンチで星を見上げながらビールでカンパイ。
周りの草陰や森から聞こえてくる、扉の写真のササキリやコオロギの声は夏の終わりのハーモニー。
だからというわけではありませんが、音楽の話に花が咲いて、いつの間にかビールはなくなりました。

もうそろそろ日付が変わる時刻になったので、もう一度トラップを見に行きました。
そしたらなんと、仕掛けた4つのトラップは全部なくなっていたのです。

辺りを探してもプラスチックカップは見当たりません。
トラップの周りの土を足で掻いたような形跡があるのでニンゲンの仕業ではない。
ベイトはサナギ粉とすしの粉と焼酎。野良犬かタヌキか、あるいはアライグマかハクビシンか。
分かりませんが、もう一度トラップをセットすることにしました。
ただし、今度のベイトはすしの粉と焼酎のみ。
ということで、森の中の探虫に出かけました。

小さいけどクヌギの幹に群れていた子たちがまず目につきました。

体長6.5ミリ。サンプルをお連れしようとするも、なかなかすばしっこくて確保するのが大変でした。
樹液が出ているクヌギを見つけたので、そっと近寄って樹皮をライトで舐め回すと・・いました。

※写真のクオリティが悪くて不満足ですが、証拠写真としてアップしておきます。(以下同文)
メスもいました。

樹液が出ているクヌギとくれば、今シーズンのマイブームのあの子もいるのでは・・
樹皮の隙間も丹念にライトで照らしていくと・・見込みは的中。

この木は御神木のようで、H君もブリードチャレンジしてはと、オスメス複数個体お連れできました。
この子は一見ダニかと思いましたが、そうではなく・・しかし誰だか分からず。


森を出て少し休憩。コーヒーを飲みながらしばらくおしゃべり。
徹夜はとても苦手なのですが、虫話をしていると全然眠くならないし、あっという間に時間が過ぎる。
そろそろいいかなと、もう一度トラップの確認をしに真夜中の森へ向かいました。
ところが、今度はちゃんと埋められたままではありましたが、中身がほぼ空っぽ。
どのカップもわずかにアリやダンゴムシが入っているだけでした。 がっかりするH君。
カップを回収して、また森の中を散策することに。
するとすぐ近くのクヌギの幹が分かれるところに主役級の子が。

下半分に写っている白い物体はH君が持ってきた洗面器。(これが何かと役に立つ)
ぽろっと落ちたところを受け止めました。

通称”直線ノコ”は二人とも大好き。

歩きながら、倒木や朽木があれば近くに寄ってよく観察します。
これも未同定。目視ですが体長20ミリ弱。

ナガゴマフかカタジロゴマフか・・
この子は写真では分かりませんが現地で同定できたゴミムシ。

この子は一見キマワリに見えますが、コンチューターは違うという。

体長は16ミリ前後。とてもよく似ていますが、足に黄色い毛が生えています。
そしてこれはチバでは見たことがなくて、一気に目が覚めました。体長約26ミリの大きな子。

どちら様もお連れして同居してもらっています。


また森を後にして、別の場所で仮眠をとることにしました。
そしたらその建物内のトイレでなんとセアカヒラタゴミムシを捕まえてしまいました。
(場所が場所だけに写真なし)
仮眠したりおしゃべりしたり、1時間余り経つとうっすらと明るくなりはじめたので再突入。
まだ歩いていないルートを選んで、もう一度さっきの御神木へ向かいました。
御神木にはケシキスイやコメツキやワラジムシたちが集まっていましたが観察するだけ。

すぐ近くの木を見上げたH君が「何かいる」と見上げると・・さっきのより大きな子がいました。

樹液が出ているクヌギはあるし、御神木もそうでしたが、洞が開いている木も多い。
これはきっとあの子がいるよとH君に予言しながら探虫を継続。
そして丘の上にたどり着き、胸の高さあたりで切られているクヌギの幹をチェックしていると。
やっぱりいました。
幹にとまっているところを撮ろうとしたら、落下スイッチが入ってしまいましたが、そこは又でした。

予想が当たるとうれしい。

とうとう夜が明け、この夏のお見送り探虫もクロージング。
丘の上の畑に沿って歩いていると、白いキノコがてんこ盛りの切り株がいくつかありました。

近づいてみると、キノコにかぶりつく虫も大盛でした。これもはじめて観察。

体長は約7ミリ。名前のとおり、背中は瑠璃色の光沢があります。
現地同定できなかったので、サンプルを1匹お連れして同定しました。
手元の図鑑では春発生と書いてありますが、夏まで生きているようです。

都市郊外のベッドタウンエリアということで、あまり期待はしていなかった今回の夜間観察会。
しかし、想定外の多様さにも驚いたし、ボウソウとはかなり違う昆虫相が観察できました。
ゴミムシダマシは複数種いるのにキマワリが見当たらないというのもフシギでした。
とにかく楽しく、良い思い出になりました。
実はコカブトは現地では雌雄がはっきりしなかったのですが(コカブトはオスとメスがよく似ている)、
お連れして、うちのコカブト(♂)のケースにセットしたら、すぐに判定できました。

すぐにおっぱじまったので。
ブリード用セットにするため、仮眠後にさっそくショップへマットとほだ木を買い出しに行きました。
せっかくなので、オスとメスの違いがわかる写真も。
小さくて分かりにくいですが、オスにはかわいい角があります。

実はメスにもトゲのような角があるのですが、それこそ写真では分からないかな。

がんばって産んでおくれ~
今日の湯加減
集合は9月4日金曜日の夜10時。
ちょっと早めに出ようと、8時前にベニシジミ号のシートカバーをはずして荷物を積み込みました。
しかしその直後、想定外のゲリラ雷雨。
雨雲レーダーを見てみると、次々と南から線状の雨雲がやってくるようで、雨はやみそうにない。
現地(カワサキ市某所)はどうかなと確認すると、雨雲はないし、これからも降りそうにない。
H君に電車で行ってもいいかなとメールすると、「じゃあ駅まで車で迎えに行くよ」とのこと。

ササキリ (キリギリス科)
週末ではありましたが、上りの電車は空いていました。
1時間半ほどで待ち合わせの駅に到着。
コンビニに寄って夜戦の食糧と飲物を買い出ししてさっそく現地へ。
そこは郊外の住宅地の一角をなす小さな森でした。(一応公園ではあります)
しかし、森へのアプローチは地元民ではないと分からないのではないかと思うほど難しい。
H君は地元民ではないものの、この森が気になってあちこち歩いて入口を見つけたとのこと。
森の中は真っ暗なので、ヘッドランプと懐中電灯で足元を照らしながら散策路を登っていきます。
まずは予め仕掛けておいたオサトラップの様子を確認しましたが、何も入ってなかったので一旦退却。
散策路を登り、森を出て、丘の上にあるベンチで星を見上げながらビールでカンパイ。
周りの草陰や森から聞こえてくる、扉の写真のササキリやコオロギの声は夏の終わりのハーモニー。
だからというわけではありませんが、音楽の話に花が咲いて、いつの間にかビールはなくなりました。

もうそろそろ日付が変わる時刻になったので、もう一度トラップを見に行きました。
そしたらなんと、仕掛けた4つのトラップは全部なくなっていたのです。

辺りを探してもプラスチックカップは見当たりません。
トラップの周りの土を足で掻いたような形跡があるのでニンゲンの仕業ではない。
ベイトはサナギ粉とすしの粉と焼酎。野良犬かタヌキか、あるいはアライグマかハクビシンか。
分かりませんが、もう一度トラップをセットすることにしました。
ただし、今度のベイトはすしの粉と焼酎のみ。
ということで、森の中の探虫に出かけました。

小さいけどクヌギの幹に群れていた子たちがまず目につきました。

ハギキノコゴミムシ (オサムシ科)
体長6.5ミリ。サンプルをお連れしようとするも、なかなかすばしっこくて確保するのが大変でした。
樹液が出ているクヌギを見つけたので、そっと近寄って樹皮をライトで舐め回すと・・いました。

コクワガタ ♂ (クワガタムシ科)
※写真のクオリティが悪くて不満足ですが、証拠写真としてアップしておきます。(以下同文)
メスもいました。

同上 ♀
樹液が出ているクヌギとくれば、今シーズンのマイブームのあの子もいるのでは・・
樹皮の隙間も丹念にライトで照らしていくと・・見込みは的中。

ヨシボシケシキスイ (ケシキスイ科)
この木は御神木のようで、H君もブリードチャレンジしてはと、オスメス複数個体お連れできました。
この子は一見ダニかと思いましたが、そうではなく・・しかし誰だか分からず。

未同定

森を出て少し休憩。コーヒーを飲みながらしばらくおしゃべり。
徹夜はとても苦手なのですが、虫話をしていると全然眠くならないし、あっという間に時間が過ぎる。
そろそろいいかなと、もう一度トラップの確認をしに真夜中の森へ向かいました。
ところが、今度はちゃんと埋められたままではありましたが、中身がほぼ空っぽ。
どのカップもわずかにアリやダンゴムシが入っているだけでした。 がっかりするH君。
カップを回収して、また森の中を散策することに。
するとすぐ近くのクヌギの幹が分かれるところに主役級の子が。

下半分に写っている白い物体はH君が持ってきた洗面器。(これが何かと役に立つ)
ぽろっと落ちたところを受け止めました。

ノコギリクワガタ ♂ 単歯型(クワガタムシ科)
通称”直線ノコ”は二人とも大好き。

歩きながら、倒木や朽木があれば近くに寄ってよく観察します。
これも未同定。目視ですが体長20ミリ弱。

ゴマフカミキリの仲間 (カミキリムシ科)
ナガゴマフかカタジロゴマフか・・
この子は写真では分かりませんが現地で同定できたゴミムシ。

アトワアオゴミムシ (オサムシ科)
この子は一見キマワリに見えますが、コンチューターは違うという。

ルリゴミムシダマシ (ゴミムシダマシ科)
体長は16ミリ前後。とてもよく似ていますが、足に黄色い毛が生えています。
そしてこれはチバでは見たことがなくて、一気に目が覚めました。体長約26ミリの大きな子。

ユミアシオオゴミムシダマシ (ゴミムシダマシ科)
どちら様もお連れして同居してもらっています。

アトワアオゴミとルリゴミとユミアシオオゴミ

また森を後にして、別の場所で仮眠をとることにしました。
そしたらその建物内のトイレでなんとセアカヒラタゴミムシを捕まえてしまいました。
(場所が場所だけに写真なし)
仮眠したりおしゃべりしたり、1時間余り経つとうっすらと明るくなりはじめたので再突入。
まだ歩いていないルートを選んで、もう一度さっきの御神木へ向かいました。
御神木にはケシキスイやコメツキやワラジムシたちが集まっていましたが観察するだけ。

ヨツボシケシキスイ (ケシキスイ科)
すぐ近くの木を見上げたH君が「何かいる」と見上げると・・さっきのより大きな子がいました。

コクワガタ (クワガタムシ科)
樹液が出ているクヌギはあるし、御神木もそうでしたが、洞が開いている木も多い。
これはきっとあの子がいるよとH君に予言しながら探虫を継続。
そして丘の上にたどり着き、胸の高さあたりで切られているクヌギの幹をチェックしていると。
やっぱりいました。
幹にとまっているところを撮ろうとしたら、落下スイッチが入ってしまいましたが、そこは又でした。

コカブト ♀ (コガネムシ科)
予想が当たるとうれしい。

同上
とうとう夜が明け、この夏のお見送り探虫もクロージング。
丘の上の畑に沿って歩いていると、白いキノコがてんこ盛りの切り株がいくつかありました。

近づいてみると、キノコにかぶりつく虫も大盛でした。これもはじめて観察。

ルリオオキノコムシ (キノコムシ科)
体長は約7ミリ。名前のとおり、背中は瑠璃色の光沢があります。
現地同定できなかったので、サンプルを1匹お連れして同定しました。
手元の図鑑では春発生と書いてありますが、夏まで生きているようです。

都市郊外のベッドタウンエリアということで、あまり期待はしていなかった今回の夜間観察会。
しかし、想定外の多様さにも驚いたし、ボウソウとはかなり違う昆虫相が観察できました。
ゴミムシダマシは複数種いるのにキマワリが見当たらないというのもフシギでした。
とにかく楽しく、良い思い出になりました。
オマケ
実はコカブトは現地では雌雄がはっきりしなかったのですが(コカブトはオスとメスがよく似ている)、
お連れして、うちのコカブト(♂)のケースにセットしたら、すぐに判定できました。

コカブト ペア (コガネムシ科)
すぐにおっぱじまったので。
ブリード用セットにするため、仮眠後にさっそくショップへマットとほだ木を買い出しに行きました。
せっかくなので、オスとメスの違いがわかる写真も。
小さくて分かりにくいですが、オスにはかわいい角があります。

同上 ♂
実はメスにもトゲのような角があるのですが、それこそ写真では分からないかな。

同上 ♀
がんばって産んでおくれ~
今日の湯加減
オオセンチコガネについて一緒に研究・実験している方のところでミニ合宿してきました。
実験の成果としては、今回はまったくの不発。完封負けというところ。
でも、ある特異的なフィールドの観察とプチ調査ができて、大変有意義な合宿でした。
運よく研究題材の追加採集もできたし、それ以外にも初採集の虫もいくつか。
くわしくはまた、番外編的に別途記事にしようと思っています。
ということで、今日のチバは天気も悪く、お家にこもって自習の日にしようと。
もちろん虫たちの世話も。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
もう、楽しそうですね
トラップを仕掛けて、巡回して?
夜明けまで、、多様な子たちが生息してるのは、なんだか嬉しいですよね、、森が小さな公園として、存続はいいな、、散策路が分かりにくいのも幸いにで、昆虫たちの活動の場ですね
by engrid (2020-09-23 22:17)
わたしもまっすぐなノコギリクワガタ大好きです。
コカブトの角が可愛いくてびっくりです。
探してみたい。
by 響 (2020-09-24 07:45)
昆虫相、樹相の違いは、武蔵野から千葉に行っても感じます。三浦半島なんか外国みたいです。ノコさんは、韮崎市のポイントで一蹴りで大・中・小がセットで落ちてきました。今は伐採されてルリボシカミキリのポイントです。コカブトさんは、なかなかご縁に恵まれません。来シーズンこそ。ゼフさんの論文、近所の図書館で拝読します。
by 高和です。 (2020-09-24 16:37)
トラップに入れる虫のエサに、焼酎も混ぜるのでしたか。
虫もアルコールに惹かれるのかなぁ。
コカブトとという昆虫を初めて知りました。オスに小さな角が
ありますね。カブトムシの仲間なのでしょうか。
徹夜で昆虫観察とは、スゴイです^^;。
by sakamono (2020-09-24 22:29)
>engridさん
このエリアも数十年前はただの里山だったのだと思います。
斜地なのでなんとか残っているのかもしれませんが貴重ですね。
>響さん
バッファロー(牛角)もカッコイイですけど直線ノコいいですね♪
コカブトは洞を探しまくってください^^
>高和です。さん
三浦半島と房総半島は昔つながっていたという話もありますよね。
コカブトは狙って見つけるのはむずかしいですね。
>sakamonoさん
レシピはそれぞれだと思います。
カブトムシ採りにも焼酎つかいますよ^^
コカブトはカブトムシの仲間だからやはり好きかもしれませんね。
by ぜふ (2020-09-26 00:22)
ほんとだ!!!
コカブトのオスにはツノがある!!
これは肉眼では分からないですーw
写真でここまでアップにしてくれたから分かる^^
by リュカ (2020-09-26 08:44)
>リュカさん
実はメスにもツノがある!^^
眼では分からないですが、触ると分かります♪
by ぜふ (2020-09-26 14:34)