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"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。

トンボ対決とセミ採り [トンボ]

近頃どういう訳かトンボづいていまして。

最近の記事でも紹介したとおり、近所で初観察のトンボに出くわしたり、採集してしまったり。

折しも標本教室の夏季集中講座を開催中で、恒例のセミ・トンボ編も企画されていました。

その教材集めという目的もあり、トンボとセミの採集に行きました。

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ギンヤンマ ♂ (ヤンマ科)


これはローソンの前ではありません。


たまたま虫友のHくんから虫採りに行きたいという連絡があったので、トンボ採りに誘いました。

都内某所で待ち合わせて、久しぶりの、ベニシジミ号とキイロトラカミキリ号のツーショット。

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おみやげ虫を持ってきてくれたのですが、セミ・トンボではないので割愛します。

二人で戦闘態勢を整えて、いざ決戦のポイントへ。

着くなりショウジョウトンボのオスを見つけたのですが、湿地の真ん中にとまっていて網が届かない。

肩慣らしにこの子と勝負。

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チョウトンボ ♂(トンボ科)


ひらひらと優雅に飛ぶ印象ですが、身のかわし方は意外に俊敏。

また、体がとてももろくて柔らかいので、ネットのフレームに当たったりすると壊れてしまいます。

とても可憐であり、ネットインしただけでも少し弱ってしまうほど華奢なトンボです。

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同上


そこへギンヤンマが現れ、にわかに色めき立つ二人。

ネットをなるべく見せないように低く構え、追いかけずにじっとして待ち伏せ式で勝負します。

時々近くを通りがかるのですが、どういう訳か、ネットが届く範囲にはギリギリ入ってきません。

まるで棹の長さをちゃんと知っているかのようです。

それでもたまに、射程内の空域に入るので、それっと、居合い抜きよろしく網を振ります。

が、最小限のパワーで急加速・急転回してフレームのわずか5センチ先をかわしていきます。

もっと余裕をもってかわせるのに、わざとギリギリでかわすことを楽しんでいるかのように。

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三振続きでしたが、10打席目くらいにやっとヒットしたのが扉の写真。

場所を変えて池の畔でも勝負したのですが、完封されたので場を鎮めるために、休憩がてら林の方へ。

梢からはアブラゼミのバックコーラスにミンミンゼミの大合唱。

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ミンミンゼミ (セミ科)


ミンミンとアブラはすでに教材確保済みのためスルーですが、この子は未採集。

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ニイニイゼミ (セミ科)


めずらしく、ニイニイゼミが群がる木がありました。

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ところで、梅雨明けが遅かったせいか今年はニイニイとアブラとミンミンが同時期に鳴きだしました。

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ニイニイゼミ と アブラゼミ


そこへ、一週間もたたないうちにクマゼミとツクツクボウシの声がしはじめました。

さみしいことに、セミたちの声による夏の移ろいはもう感じることはできません。

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いつの間にかお昼を過ぎていたのでお弁当を食べ、また池の畔に戻って第二試合を申し込みました。

じっと待っていると、今度はなんと、葦の葉の上に着陸しました。

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これがまた、網がギリギリ届かないところ。

あと10センチほどなので、棹の柄の先っちょを片手で持ち、えいやと振りました。

するとまた例によってからかうようにひらりと身をかわされたのですが、なんとそこでハプニングが。

飛び上がったはいいものの、そこにはもう一つの網があったのです。

上の写真をよく見ると分かると思いますが、とまっている右上にコガネグモがいます。

その網にひっかかってしまったのです。

振動を感じて、クモはすぐにトンボに近づいていきます。これはクモの餌食か・・

すると相棒が、「棹を継ぎ足すことができるけど間に合わないかなぁ」

「わかった、じゃあ、とりあえずクモを追っ払うよ」

クモの網の端には網がなんとか届くので、網で網をつついてクモを近づけさせないようにしました。

時間稼ぎをしているスキに棹を長くした相棒が、網にかかったトンボを捕獲。

一匹のクモと二匹のヒトの連携プレイというか、クモはいい迷惑というか・・

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ギンヤンマ (ヤンマ科)


翅にクモの網がからまっているのが分かると思います。

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このあと2点ずつとったのですが、特記すべきものがあります。

水路脇でギンヤンマが来るのをじっと待っていたとき、流れに沿って向こうから黒い影が。

ヤンマをとる時、進行方向から網を振っても間違いなくかわされるので。

目の前を通過する瞬間、飛び去る相手の尻尾へ向けて、下に構えた網を振り上げます。

一撃で仕留めたのはなんと。

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ネアカヨシヤンマ (ヤンマ科)


思わぬ収獲というか、このフィールドにいるとは知りませんでした。

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もう、ヤンマとは十分遊べたので、他のトンボたちをゆっくり観察することにしました。

実は池の畔の試合中、足元にオスがいたのですが撮影モードに切り替えているうちに逃げられた。

これはメス。

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ベニイトトンボ ♀ (イトトンボ科)


オスはとうとう再登場してくれませんでした。

この子はアジアトンボと瓜二つ。

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アオモンイトトンボ ♂(イトトンボ科)


両種ともに昨年この場所で観察して以来。

こちらはメスを見つけることができませんでしたが、暑さをこらえてじっくり観察。

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同上


葦の根元のほの暗いところなのに明るすぎて、露出が変で、汗が目に染みてピントが定まらず。

これが限界でした。

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そんなところでこの日の試合は早めに終了。

ベニシジミ号とキイロトラカミキリ号に乗り、相棒の行きつけのお店でお茶をして帰りました。

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別の日に中房方面へカワトンボ類を探しに行ってみることにしました。

チバニアンの河床と河岸はハグロトンボとハンミョウの楽園だったのですが・・

今はこんなビジターセンターまでできて足が向かなくなりました。

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ならばと、チバニアンの反対側の河岸に行けないかと周囲を探索。

やっとのことでアプローチを見つけましたが、もう少しのところで行き止まりでした。

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川岸に降りられるところがないので断念。

ハグロトンボを狙って、月崎の旧市民の森の方へ向かうことにしました。

駐車場へ入ると管理事務所の前のテーブルとベンチでスタッフ4、5人が茶話会をしていました。

(いつもは観察と撮影だけなのですが今日は採集が目的なので)
こんにちはと声をかけ、「園内で昆虫採集できるところはありますか?」と尋ねると。

「ここは採集禁止なんだよね、何を採るの?」

「トンボを採りたいんです」

「トンボを採るなら朝晩がいいんじゃないの?昼間は飛ばないんじゃない?」

「種類によりますよね、ヤンマやカワトンボは昼間でも飛んでいると思います」

「ここから少し戻ったところに休耕田があるからそっちに行ってみれば?」

「そこはトンボや水生昆虫いますかね?」

「休耕田だらけだから(笑)通行止めだけどバイクなら入っていけるよ」

このあとしばらく虫談義に花が咲いてしまい、おやつの梨までご馳走になってしまいました。

じゃあ行ってみますとお別れしましたが、実は4月初旬に訪れていて、道を聞かなくてもわかる場所。

湿地化した小川に沿ってゆっくりベニシジミ号を走らせました。

時折り目に入るトンボはオオシオカラトンボばかり。一度オニヤンマとすれ違いましたが。

流れがないのでカワトンボやハグロトンボは望めそうにありませんでした。

そうこうしているうちに例の素掘りの隧道まで到達。

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幅の狭い斜面に掘られたフシギなトンネルです。

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ここで行き止まりなのでUターンし、復路も注意深く周囲を見ながら走行。

途中、車一台分くらい開けたところがあったので何気なく一旦バイクを降りて周囲をチェック。

しかしトンボはおろか虫の気配がしなかったので再出発しようとしたとき。

目の前の地面を横切っていくものが。

路面が焼けていて熱いからか、猛スピードで通り過ぎていくので写真は断念。即逮捕しました。

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アオオサムシ (オサムシ科)


月崎ラベルは濃い緑色の個体でした。

別の休耕田に今度は歩いて入り、しばらくオオシオカラばかりを眺めていたら、想定外の子が。

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キイトトンボ (イトトンボ科)


よく見ると複数いました。おそらく都合10頭くらいいたと思います。

周りは葦や蒲が生い茂る休耕田。トンボの楽園になるところでしょうけど多様性が乏しいのが残念。

教材用に2頭だけ採集してベニシジミ号まで戻り、再出発しようとした時、バイクがやって来ました。

「いたぁ?」

さっき虫談義したおじさんでした。

「教えていただいた所はあまりトンボがいませんでしたが、ここでイトトンボが採れました」

「あ、そう、よかったねー、また来てね」

トコトコと走り去るスーパーカブを見送って、カワトンボを探しにこちらも出発。

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次のポイントというか、とある集落へたどり着いた時、今度はねこ(手押し車)のおじいさん出現。

「通れないよ」

「バイクでもだめですか?」

「30メートルくらい道路が崩れちゃってるからね」

「この下の川へ降りたいんですけど、どこか降りられる場所はありますか?」

「それならそこの橋のところ」

と、これから行く方向だったようですが、案内してくれました。

小さな橋の袂から5メートルほど真下の河原を見下ろすと、ちょうどハグロトンボがいるのが見えた。

ナイスと思い、川に降りていける詳しい場所を尋ねてみました。

おじいさんは親切に教えてくれながら、カワトンボのいる川面に向けて手押し車に積んだ雑草を投下。

ありゃーと心の中で叫びながらもお礼を言って、教えてもらった方へ歩を進めました。

U字の鉄筋が梯子のように打ってある護岸を降り、砂地の川岸へ着地。

網を準備していると目の前をギンヤンマが横切りました。

君じゃなくてもいいんだけど・・勝負するか。ハグロトンボの姿もないし。

バッターボックスの足元を固め、網が水に浸からないよう極力低く構えて、相手の投球を待ちます。

どうやら2頭いるようでした。

下流方向からやって来たストライクの球は一度だけ。見事に空振り。

上流方向からの球も三球三振したあと、ぱったり飛んでこなくなりました。

さっきから足元にはずっとオオシオカラがとまっていますが、勝負相手ではないので無視。

暑さに耐えられなくなったので、網を担いで上がることにしました。

すると、来るときは気が付かなかったのですが、耕作放棄地の向こうに溜池があることに気が付いた。

なんだ、川じゃなくて溜池にいるんだな。

見込みは的中。コシアキトンボとテリトリー争いをしている相手は仕留めやすい。

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ギンヤンマ ♂(ヤンマ科)


まもなくタンデムのペアがやってきたので、ツーランホームランも打てました。

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同上 ♀


もうそろそろお昼になるので、午前中の試合はこれにて終了。

ベニシジミ号に戻って出発の支度をしていると、すぐ近くでツクツクボウシの声がしました。

めずらしく木の根元にとまっていたので、小さい網を取り出して・・

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ツクツクボウシ ♂(セミ科)


教材になってもらいました。

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牛久方面まで戻り、以前から気になっていたお店で、気になっていた品を試してみました。

2013年に開発された、市原のご当地ラーメン。

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いちはらーめん


市原産の大根を使うという条件の他に「豆造(とうぞ)」を使うのがレギュレーションのようです。

が、この豆造(味噌を作る際に出る大豆の煮汁を発酵させたもの)が苦手でした。

だからというわけではなく、休憩しても暑さによるダメージが解消されないので撤収モードに移行。

とはいえ、夏の様子を確認したかった場所へちょっとだけ寄り道することに。

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イドクボンガ はナゾのまま


斧を投げ入れたくなるような沼はハスが繁茂してこんな感じになっていました。

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沼の近くのぬかるみで集団吸水するチョウを見かけました。

3頭いたのですが散らしてしまい、しばらく待ってみましたが戻ってきたのは1頭だけ。

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キチョウ (シロチョウ科)


この奥の森にカブクワの御神木でもないかなと期待していたのですが見つからず。

真昼間から鳴くヒグラシを何匹か採集し、暑さから逃げるように森を出ました。

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鄙びた趣のアジサイ


もう帰路につこうと思いつつも、帰りの駄賃だとばかり、根性で教材採集。

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ショウジョウトンボ ♂ (トンボ科)


もう集中力がエンプティで何度も逃げられましたが、やっとのことでメスも。

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同上 ♀


帰りの道中は冷たいシャワーのことだけで頭の中がいっぱいでした。




オマケ


前記事のローソンギンヤンマと本編のネアカヨシヤンマは自分用の記念標本にしました。

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昆虫館に持って行って、教室が終わってから作成したのですが、展翅していると先生が通りがかり・・

「ん?それは何?」

「ネアカヨシヤンマです!」

「そんなの採れたの?」

その後も展翅板の前を通るたびにじっとヤンマを睨めつけていく先生。

果たして無事持って帰ることはできるのか・・・




今日の湯加減

暑さ指数情報というものを毎日スマホで受け取っています。
地域指定ができて、指数25以上は警戒、28以上は厳重警戒、そして31以上は危険。
猛暑日でも暑さ指数が32を超えることはなかったと思いますが、昨日のチバはなんと33。
外に出ること自体が危ない状況。体調が不安な場合はStay homeするべきです。
ちなみにお江戸の熱中症による死亡者数は8月だけで約150人とか。
熱中症は感染しませんが、死亡者数は新型コロナによる数をはるかに超えています。
それでも過行く夏を惜しんで、今日も元気にフィールドに出てきました。(半日だけ)
いゃぁ、息苦しいと感じるほどの暑さでした・・



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よしころん

すごーい!トンボデーだったのですね^^v
ネアカヨシヤンマ、無事お持ち帰り出来ますように…^^;

あの斧をもった女神さまがいらっしゃいそうな池、ハスに繁殖されちゃったのですね。
女神さまがいらっしゃいそうな池といえば、栃木のおしらじの滝、すっかり有名になって以来時折亡くなる方がいるのですが、先日男性2人が滝に飛び込んでそのまま沈んでしまったようで…
女神さまに足を引っ張られたのだと思っています…
by よしころん (2020-08-22 21:43) 

よしころん

あ、ヒョウモンチョウはウジャウジャいましたー^^;
by よしころん (2020-08-22 21:44) 

高和です。

ニイニイで梅雨が明け、アブラカナカナミンミンと続き、ツクツクで「シュクダイマダカ」が夏のセミ定食でしたね。
ネアカヨシヤンマ、自慢したいのはわかるけど、相手が悪すぎ[exclamation]?トンボ屋の先生の目の前でこれ見よがしに展翅を始めるなんて、贈呈しますって言ってるようなものでしょう(笑)。
by 高和です。 (2020-08-23 08:23) 

ぜふ

>よしころんさん
相変わらず近寄ることはできない池ではありました。
おしらじの滝は立ち入り禁止なんですよね・・合掌。
やっぱりヒョウモン祭りでしたか♪ シシウドが目に浮かぶ^^

>高和です。さん
宿題から解放されて長らく経ちますが相変わらず聞こえますね。
先生はギンヤンマ以外興味ないかと思っていましたが・・
今度ギン採りにお連れして勘弁してもらおうかな^^;
by ぜふ (2020-08-24 22:23) 

sakamono

前にも見せていただきましたが、チョウトンボってフォルムが
ユニークな上にキレイですね。
ミンミンゼミって、こんなキレイな色をしているんですね。
よく見るのはアブラゼミばかりで。他のセミも翅の透明な
ところがどことなく涼しげ^^;。
網でのトンボ捕りを野球に例えてるところがおもしろかった。
結構難しいんですね^^;。
by sakamono (2020-08-27 22:54) 

リュカ

ふと気づくと、セミの声も少なくなってました。
でもまだまだ暑いから、熱中症には気をつけなくちゃですよねっ
by リュカ (2020-08-28 08:05) 

ぜふ

>sakamonoさん
ミンミンゼミはうるさいですがよく見ると涼しい色ですね^^
チョウトンボは優雅な姿の割に球はキレます。
ヤンマにノーヒットノーランされなくてよかったです。

>リュカさん
もうミンミンは店じまい、ツクツクボウシの声が耳につきますね。
なのにこの暑さは何なのでしょう?? 気を付けましょう。
by ぜふ (2020-08-28 20:08) 

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