"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
ヤマナシ遠征 ~後編~ [ファーブル会]
ヤマナシでのオオムラサキ採集会のあと、スタッフ数名で清里へ合宿に。
とはいえ、初日は移動と買い出しをしてプチバーベキューして酒盛りをしただけ。
翌日は朝から山へ出かけて、午前中の探虫行は前々記事に書きました。
過去の栄華は何処へという清里駅近くの蕎麦屋へお昼を食べに行ったのですが・・
時節柄もあってか、お店も貸し切り状態でした。
店を出ると小雨が降っていたものの、空はやや明るいくらいで、予定通りの行動にうつりました。

目立った花はあまりなく、チョウチョはオナガアゲハと後述の子を見たくらいでした。
散策路沿いのクマザサで出迎えてくれたのは平地でも見られるカミキリムシ。

翌日に撮った写真ですがペアも。

こちらは少し目立つ色の子。

実は細かく伐採された倒木が散策路の外縁に積まれていて、カミキリムシポイントになっていました。
それともう一種、小さい甲虫ですが、よく見るととても煌びやかなのがたくさん観察できました。

ドロノキなどの葉っぱでハマキのような体の割に巨大な揺籃を作るオトシブミたちです。
もっとも目立ったのは其処此処に落ちている獣糞に集まる子たち。

多いと一つの糞に20頭くらいの集団ができていました。

ところで、訪れたのは2年前にロケハンをしていた八ヶ岳の麓のとある森。
小道は当時、台風の被害で倒木が何本も放置されたままで、散策路という様相ではなく。
その時は天気が悪く探虫はしなかったのですが、周りの様子がよくて、再訪を心に期していたのです。

それが今回叶ったわけで、しかもオサムシトラップをかけることにしていたのです。
でも同行者はオサムシにはあまり興味のないスタッフばかり。
こんな所にいるの?という顔で皆いぶかっていました。
スタッフの一人は北海道に赴任していた頃の記憶として、地元のオサ屋は笹を避けてたよと。
それは狙う種類によっても違うし、このフィールドには”いる”とコンチューターを信じるしかない。
でも散策路上はガレていて、トラップを仕掛けるのには適した土質ではないのでした。
それでも、しばらく歩いて、狭いながらも良さそうなポイントを見つけました。

オサムシには興味なくても、トラップ設置には興味を持ってくれて、みんなで手伝ってくれました。
いつも一人でやるので、これは大変に楽でした。
やり方を説明して、この場所の設置は任せて、一人で先の様子を見に行くことに。
結局、散策路の先はどんどんガレて、適当な場所がなさそうだったので草々に引き返しました。

戻ってくるともう設置は終わっていたのでさっさと退却開始。
他に観察した虫たちは。

残念ながらオスの鳴き声はしませんでした。

設置後はスタッフの一人が様子を見に行きたいフィールドがあるということで東へ移動。
野辺山経由で川上村方面へ。
高原野菜を運ぶ何台もの大型トラクターとすれ違いつつ、辿り着いたのは都内某自治体の保養施設。
誰もその自治体の住民ではないので、念のため管理棟で侵入許可を得て、敷地内の森の中へ。
そのスタッフによると、15年くらい前は森の中にオオムラサキが乱舞していたとのこと。
しかし、オオムラサキどころか虫の気配がしない森でした。(鳥の声もしないし)
出会ったのは管理棟の前にいたミドリヒョウモン(写真なし)とこの子だけ。
ヒオドシチョウだと思っていたのですが、別のスタッフに一応写真撮っておいてと頼みました。
これは後で送ってもらった写真ですが。

高山蝶に分類される種でした。(スルーしたので捕獲もせず)
それと苦し紛れにその辺りに転がっていた倒木を叩いてゴミムシが一匹。

触角が褐色で前胸が細いのが特徴。
森の奥へ行っても期待薄と判断し、車で山を下りている途中、行く手をまた蝶が横切りました。
ちょうど渓流にかかる橋の近くだったので、この辺りで再度探虫してみましょうということに。
散開して探虫した結果、コムラサキが採れました。(写真なし)
山の向こうに遠雷が聞こえたので撤収開始。車を発進させた瞬間、ざっと雨が降り始めました。

翌日、前日よりも早起きしたのですが、夜半に降った気配もなく、曇ってはいるものの雨の匂いなし。
まったり朝食をとって、二宿二飯の恩義で邸内の掃除をしました。
集積所にゴミを捨てて別荘地を後にしましたが、まずはお楽しみのトラップ回収に。
車をとめて、前日の散策路に入っていくと、朝食中のヒカゲチョウの群れが迎えてくれました。

この群れは糞に集っているのではなく、土留めのゴムの表面を舐めています。
おそらく何か獣がおしっこをしたのだと思われますが、さすがに何かはわかりません。
美しいハムシもいました。

体長は5ミリほど。先を急いていたので痛恨のピンボケですが記録として。
瑠璃色の個体しか見たことがないけれど、このように金緑色などの変異があるようです。
図鑑では平地では4~6月が出現期とありますが、ここは標高があるので7月でもいるのでしょう。
クマササにまぎれてというか、浮き立つように目立つ花。

でいいのでしょうか、お花の先生。(よしころんさん、ありがとうございました)
それに似た色のガ。


さて、いよいよトラップの確認。
一つ目、二つ目はゴミムシしか入ってなかったのですが、三つ目でヒット。しかも。

これは想定外のうれしい収獲でした。
先に中を覗いていたスタッフの挙動で分かってしまいましたが、もう一種ヒット。

クロオサムシ ホソアカガネオサムシ (オサムシ科)
現地で見たときはオオオサムシ(以下 オオオサ)だと思っていました。
オオオサは本州(中部)から九州まで分布していますが、オサムシ図説によると、本州中部亜種のサイズは27~39ミリとなっています。(種としては23~41ミリ)
ところがこの個体のサイズは25.5ミリなのでオオオサにしては小さい。
クロオサムシだとすると山梨長野亜種になりますが、この亜種のサイズは17~23ミリとなっている。
(種としては17~26ミリ)
しかし、鞘翅の鎖状紋が3列に見えるのでクロオサムシとしておきます。
※後日訂正
知り合いのオサ屋さんに同定していただいたところ、これはホソアカガネオサムシとのこと
(ここにはこんな黒い個体がいるのですね)

トラップの中身のベイトを近くの石の上にばらまくと、チョウのトラップになりました。

結局、7個のトラップでオサムシ2頭。打率は3割を超えました。
ほくほく顔で車に戻る途中、ちょっとめずらしいセミが見送ってくれました。

翅がやや緑がかっているので羽化して間もない個体だったがゆえにこんな低いところにいたのかと。

東京へ向けて戻りがてら、どこかに寄り道をしようということになり、まずは韮崎方面へ行くことに。
オオムラサキの御神木があるというので拝みに行ったのですが、想像以上のパワーのある木でした。

カナブンやスズメバチも大勢来ていましたが、オオムラサキが次から次へと、常時10頭くらいいる。
採ろうと思えばいくらでも採れるので、まずはしばらく皆で生態観察と撮影タイムとしました。

カブトムシやクワガタも来ていたのでしょうけど、朝のうちに誰かが回収したのだと思います。
この時、木の根元にいたコクワガタを踏まれないよう移動させようと摘まんだら指を挟まれたのです。
(その分身が前記事のコクワガタではないかと・・)

中央道に乗って、途中のPAでお昼にし、直帰組と寄り道組に分かれることになりました。
寄り道組は勝沼方面へ。
今年は催行できなかったのですが、採集会で何度か訪れたことのあるフィールド。
いつもは麓に車を止めて皆で歩いていくところを、今回は二人だけなのでシカゲートまで車で突入。
支度を整えて山道を登り始めてすぐ、路面にミヤマカラスアゲハを発見しましたがすぐ逃げられた。
でも、これは先が期待できると、悠々と山道を辿りましたが、ぱたりと虫の気配がしなくなりました。
時々、登山道の脇の沢の上を飛ぶカワトンボの姿が見えるくらい。
それでも、途中でまた路面で吸水しているカラスアゲハを見つけ、何度か振り逃がしつつもようやく。

次のゲートまでたどり着いたときにやっとこんな子を発見しました。

13ミリはありそうなので、オバボタルではなく、オオオバボタルとしました。

これ以上登って行く気力がなく、引き返したのですが、帰り道もミヤマカラスたちを見ただけ。
ちょっと期待外れでがっかりしつつ、車を止めたところに近づいてきてしまいました。
ふと何気なく、登山道から脇にそれ、沢側の林の中を歩いてみました。
すると足元にぽつぽつとシカの糞が落ちていることに気が付き、しゃがんで観察していると・・
何か小さな黒いものが目の前に舞い降りました。
ハエかと思いながらも目を凝らすとそれは。

身体は小さい(♂で10ミリ前後)けれど、その名の通り、相対的に長くて大きなツノ。

カブトムシのオスの相対サイズよりも長いでしょう。
もう一匹いましたが、とうとうメスは見つけられず。

同じ糞の近くにいたこれが一瞬メスかと思ったのですが違いました。

これもその名の通り、胸と背中が艶々でツルツルしていていますが、虫メガネでないと分からない。
ツノコガネよりも小さく、体長は6~7ミリ。

この子も同じような大きさですが、名前に異論あり。

どう見ても”モンキ(紋黄)”ではなく紋赤ですが、仲間のオオモンキゴミムシダマシは黄色なんです。

実は、この日と翌日も長野県内の民宿を予約していて、遠征を続ける予定でした。
毎年のように訪れている中信の高原巡りをしつつ探虫したかったのですが・・
今回は以降の天気がかなり怪しかったこともあり、時節柄ということもあり断念しました。
もう少し、色々と落ち着いたら、今シーズン中にでもまた遠征するつもりでいます。
ということで、勝沼の山の中で今年はじめてのヒグラシの声を聴きながら今回の旅を終えました。

7月26日、この日は都内某所での採集会の予定でしたが、天気予報がはずれて中止となりました。
ぽっかり一日空いてしまったので、翌週に予定されていた採集会開催地の下見に行くことに。
そのときのことも記事にするかもしれませんが、それはそれとして。
下見の後、北総の某自然公園へ久しぶりに行くことになりました。
そこで別のイベントの準備をしていたスタッフと落ちあい、園内をちょっと案内してもらうことに。
そのときに観察したのがこの子です。

ウンカの仲間なので、近づくとピョーンと跳ねるのですが、翅が長いので飛翔能力もあるようです。
跳躍してそのままひらひらと飛びます。
ここには多数いて、いくつかの集団を形成していました。

今日の湯加減
とはいえ、初日は移動と買い出しをしてプチバーベキューして酒盛りをしただけ。
翌日は朝から山へ出かけて、午前中の探虫行は前々記事に書きました。
過去の栄華は何処へという清里駅近くの蕎麦屋へお昼を食べに行ったのですが・・
時節柄もあってか、お店も貸し切り状態でした。
店を出ると小雨が降っていたものの、空はやや明るいくらいで、予定通りの行動にうつりました。

キバナノヤマオダマキとマルハナバチ
目立った花はあまりなく、チョウチョはオナガアゲハと後述の子を見たくらいでした。
散策路沿いのクマザサで出迎えてくれたのは平地でも見られるカミキリムシ。

ヒメヒゲナガカミキリ (カミキリムシ科)
翌日に撮った写真ですがペアも。

同上
こちらは少し目立つ色の子。

ハンノアオカミキリ (カミキリムシ科)
実は細かく伐採された倒木が散策路の外縁に積まれていて、カミキリムシポイントになっていました。
それともう一種、小さい甲虫ですが、よく見るととても煌びやかなのがたくさん観察できました。

ドロハマキチョッキリ (オトシブミ科)
ドロノキなどの葉っぱでハマキのような体の割に巨大な揺籃を作るオトシブミたちです。
もっとも目立ったのは其処此処に落ちている獣糞に集まる子たち。

ヒカゲチョウ (タテハチョウ科)
多いと一つの糞に20頭くらいの集団ができていました。

ところで、訪れたのは2年前にロケハンをしていた八ヶ岳の麓のとある森。
小道は当時、台風の被害で倒木が何本も放置されたままで、散策路という様相ではなく。
その時は天気が悪く探虫はしなかったのですが、周りの様子がよくて、再訪を心に期していたのです。

それが今回叶ったわけで、しかもオサムシトラップをかけることにしていたのです。
でも同行者はオサムシにはあまり興味のないスタッフばかり。
こんな所にいるの?という顔で皆いぶかっていました。
スタッフの一人は北海道に赴任していた頃の記憶として、地元のオサ屋は笹を避けてたよと。
それは狙う種類によっても違うし、このフィールドには”いる”とコンチューターを信じるしかない。
でも散策路上はガレていて、トラップを仕掛けるのには適した土質ではないのでした。
それでも、しばらく歩いて、狭いながらも良さそうなポイントを見つけました。

オサムシには興味なくても、トラップ設置には興味を持ってくれて、みんなで手伝ってくれました。
いつも一人でやるので、これは大変に楽でした。
やり方を説明して、この場所の設置は任せて、一人で先の様子を見に行くことに。
結局、散策路の先はどんどんガレて、適当な場所がなさそうだったので草々に引き返しました。

戻ってくるともう設置は終わっていたのでさっさと退却開始。
他に観察した虫たちは。

ナキイナゴ ♀ (バッタ科)
残念ながらオスの鳴き声はしませんでした。

設置後はスタッフの一人が様子を見に行きたいフィールドがあるということで東へ移動。
野辺山経由で川上村方面へ。
高原野菜を運ぶ何台もの大型トラクターとすれ違いつつ、辿り着いたのは都内某自治体の保養施設。
誰もその自治体の住民ではないので、念のため管理棟で侵入許可を得て、敷地内の森の中へ。
そのスタッフによると、15年くらい前は森の中にオオムラサキが乱舞していたとのこと。
しかし、オオムラサキどころか虫の気配がしない森でした。(鳥の声もしないし)
出会ったのは管理棟の前にいたミドリヒョウモン(写真なし)とこの子だけ。
ヒオドシチョウだと思っていたのですが、別のスタッフに一応写真撮っておいてと頼みました。
これは後で送ってもらった写真ですが。

エルタテハ (タテハチョウ科)
高山蝶に分類される種でした。(スルーしたので捕獲もせず)
それと苦し紛れにその辺りに転がっていた倒木を叩いてゴミムシが一匹。

コクロツヤヒラタゴミムシ (オサムシ科)
触角が褐色で前胸が細いのが特徴。
森の奥へ行っても期待薄と判断し、車で山を下りている途中、行く手をまた蝶が横切りました。
ちょうど渓流にかかる橋の近くだったので、この辺りで再度探虫してみましょうということに。
散開して探虫した結果、コムラサキが採れました。(写真なし)
山の向こうに遠雷が聞こえたので撤収開始。車を発進させた瞬間、ざっと雨が降り始めました。

翌日、前日よりも早起きしたのですが、夜半に降った気配もなく、曇ってはいるものの雨の匂いなし。
まったり朝食をとって、二宿二飯の恩義で邸内の掃除をしました。
集積所にゴミを捨てて別荘地を後にしましたが、まずはお楽しみのトラップ回収に。
車をとめて、前日の散策路に入っていくと、朝食中のヒカゲチョウの群れが迎えてくれました。

ヒカゲチョウ (タテハチョウ科)
この群れは糞に集っているのではなく、土留めのゴムの表面を舐めています。
おそらく何か獣がおしっこをしたのだと思われますが、さすがに何かはわかりません。
美しいハムシもいました。

バラルリツツハムシ (ハムシ科)
体長は5ミリほど。先を急いていたので痛恨のピンボケですが記録として。
瑠璃色の個体しか見たことがないけれど、このように金緑色などの変異があるようです。
図鑑では平地では4~6月が出現期とありますが、ここは標高があるので7月でもいるのでしょう。
クマササにまぎれてというか、浮き立つように目立つ花。

ホソバノキリンソウ
でいいのでしょうか、お花の先生。(よしころんさん、ありがとうございました)
それに似た色のガ。

キスジホソマダラ (マダラガ科)

さて、いよいよトラップの確認。
一つ目、二つ目はゴミムシしか入ってなかったのですが、三つ目でヒット。しかも。

マイマイカブリ (オサムシ科)
これは想定外のうれしい収獲でした。
先に中を覗いていたスタッフの挙動で分かってしまいましたが、もう一種ヒット。

現地で見たときはオオオサムシ(以下 オオオサ)だと思っていました。
オオオサは本州(中部)から九州まで分布していますが、オサムシ図説によると、本州中部亜種のサイズは27~39ミリとなっています。(種としては23~41ミリ)
ところがこの個体のサイズは25.5ミリなのでオオオサにしては小さい。
クロオサムシだとすると山梨長野亜種になりますが、この亜種のサイズは17~23ミリとなっている。
(種としては17~26ミリ)
※後日訂正
知り合いのオサ屋さんに同定していただいたところ、これはホソアカガネオサムシとのこと
(ここにはこんな黒い個体がいるのですね)

トラップの中身のベイトを近くの石の上にばらまくと、チョウのトラップになりました。

クロヒカゲ(タテハチョウ科)
結局、7個のトラップでオサムシ2頭。打率は3割を超えました。
ほくほく顔で車に戻る途中、ちょっとめずらしいセミが見送ってくれました。

コエゾゼミ (セミ科)
翅がやや緑がかっているので羽化して間もない個体だったがゆえにこんな低いところにいたのかと。

東京へ向けて戻りがてら、どこかに寄り道をしようということになり、まずは韮崎方面へ行くことに。
オオムラサキの御神木があるというので拝みに行ったのですが、想像以上のパワーのある木でした。

カナブンやスズメバチも大勢来ていましたが、オオムラサキが次から次へと、常時10頭くらいいる。
採ろうと思えばいくらでも採れるので、まずはしばらく皆で生態観察と撮影タイムとしました。

オオムラサキ ♂ (タテハチョウ科)
カブトムシやクワガタも来ていたのでしょうけど、朝のうちに誰かが回収したのだと思います。
この時、木の根元にいたコクワガタを踏まれないよう移動させようと摘まんだら指を挟まれたのです。
(その分身が前記事のコクワガタではないかと・・)

中央道に乗って、途中のPAでお昼にし、直帰組と寄り道組に分かれることになりました。
寄り道組は勝沼方面へ。
今年は催行できなかったのですが、採集会で何度か訪れたことのあるフィールド。
いつもは麓に車を止めて皆で歩いていくところを、今回は二人だけなのでシカゲートまで車で突入。
支度を整えて山道を登り始めてすぐ、路面にミヤマカラスアゲハを発見しましたがすぐ逃げられた。
でも、これは先が期待できると、悠々と山道を辿りましたが、ぱたりと虫の気配がしなくなりました。
時々、登山道の脇の沢の上を飛ぶカワトンボの姿が見えるくらい。
それでも、途中でまた路面で吸水しているカラスアゲハを見つけ、何度か振り逃がしつつもようやく。

カラスアゲハ (アゲハチョウ科)
次のゲートまでたどり着いたときにやっとこんな子を発見しました。

オオオバボタル (ホタル科)
13ミリはありそうなので、オバボタルではなく、オオオバボタルとしました。

これ以上登って行く気力がなく、引き返したのですが、帰り道もミヤマカラスたちを見ただけ。
ちょっと期待外れでがっかりしつつ、車を止めたところに近づいてきてしまいました。
ふと何気なく、登山道から脇にそれ、沢側の林の中を歩いてみました。
すると足元にぽつぽつとシカの糞が落ちていることに気が付き、しゃがんで観察していると・・
何か小さな黒いものが目の前に舞い降りました。
ハエかと思いながらも目を凝らすとそれは。

ツノコガネ (コガネムシ科)
身体は小さい(♂で10ミリ前後)けれど、その名の通り、相対的に長くて大きなツノ。

同上
カブトムシのオスの相対サイズよりも長いでしょう。
もう一匹いましたが、とうとうメスは見つけられず。

同上
同じ糞の近くにいたこれが一瞬メスかと思ったのですが違いました。

ツヤエンマコガネ (コガネムシ科)
これもその名の通り、胸と背中が艶々でツルツルしていていますが、虫メガネでないと分からない。
ツノコガネよりも小さく、体長は6~7ミリ。

同上
この子も同じような大きさですが、名前に異論あり。

モンキゴミムシダマシ (ゴミムシダマシ科)
どう見ても”モンキ(紋黄)”ではなく紋赤ですが、仲間のオオモンキゴミムシダマシは黄色なんです。

実は、この日と翌日も長野県内の民宿を予約していて、遠征を続ける予定でした。
毎年のように訪れている中信の高原巡りをしつつ探虫したかったのですが・・
今回は以降の天気がかなり怪しかったこともあり、時節柄ということもあり断念しました。
もう少し、色々と落ち着いたら、今シーズン中にでもまた遠征するつもりでいます。
ということで、勝沼の山の中で今年はじめてのヒグラシの声を聴きながら今回の旅を終えました。

ヒグラシ (セミ科)
オマケ
7月26日、この日は都内某所での採集会の予定でしたが、天気予報がはずれて中止となりました。
ぽっかり一日空いてしまったので、翌週に予定されていた採集会開催地の下見に行くことに。
そのときのことも記事にするかもしれませんが、それはそれとして。
下見の後、北総の某自然公園へ久しぶりに行くことになりました。
そこで別のイベントの準備をしていたスタッフと落ちあい、園内をちょっと案内してもらうことに。
そのときに観察したのがこの子です。

アカハネナガウンカ (ハネナガウンカ科)
ウンカの仲間なので、近づくとピョーンと跳ねるのですが、翅が長いので飛翔能力もあるようです。
跳躍してそのままひらひらと飛びます。
ここには多数いて、いくつかの集団を形成していました。

同上
今日の湯加減
8月1日にチバもやっと梅雨が明け、翌日はチバでの採集会を開催することができました。
そのときのことはまたあらためて記事にしますが、とにかく暑かった。
さて、今日からは夏休み集中講座ならぬ集中標本教室がはじまりました。
時節柄、参加人数を絞りましたが、その代わりに回数を多くして、例年よりも延べ募集数は増加。
それでも募集開始と同時に応募が殺到し、もうすでに標本教室は全回満員。
さらにキャンセル待ちの希望者もあるほどです。
今年は夏休みが短縮されてしまっている小学校も多いでしょうし、子供たちも色々大変ですね。
催行する側も人数を絞ったり、換気をしたりと色々工夫して対応しています。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
いろいろな虫さんが歓迎(?)してくれたみたいですね。
ハンノアオカミキリはよいですね。高和のあこがれの種です。
エルタテハは季節による姿形や斑紋の変化は少ないですが、裏の変化が多く、楽しめます。裏展で一箱作りたいほどです。
オサムシ、そしてオオムラサキ、一軒のバーに10頭集まっているとは壮観ですね。願わくばその光景の写真を拝見しとうございます。
全編アドレナリン出まくりですね。中身が濃い合宿だったことがよく分かります。
by 高和です。 (2020-08-09 07:02)
おはようございます。
充実した遠征だった様子なによりです^^
オオムラサキのご神木があるなんて!!
多分エルタテハに会いましたが、用心深いのかな…
望遠でなんとか証拠写真を1枚^^;
毎度64の名前をありがとうございます^^
シジミチョウも同定が難しいのですね…先生が分からないとなるともうお手上げですぅ。
ルリシジミ、オオルリシジミにいつか会ってみたいです♪
黄色いお花はホソバノキリンソウでしょうか…
先日Y湿原にも咲いていました^^
by よしころん (2020-08-11 07:38)
ツノコガネが可愛い。
探しても見つからないのでうらやましです。
ミヤマカラスの怪しいダークブルーが美しいですね。
by 響 (2020-08-11 09:19)
>高和です。さん
エルだと分かっていれば採っていたと思います^^;
御神木はまさに拝みたくなるような様子でした。
肩に力を入れないゆるい合宿でしたが虫遠征は楽しいですね♪
>よしころんさん
エルの証拠写真をぜひ!^^
あの3種のシジミはとても似ているのです。
ホソバかどうか迷っていましたが確信できました。
あ、コメントのタイプミスがあったので訂正しておきました^^;
>響さん
探すだけではなく、シカの糞とにらめっこする必要があります^^;
ミヤカラの翅は角度によって色が変わる怪しい美しさですね。
by ぜふ (2020-08-11 19:56)
バラルリツツハムのつやつやしたムネに、撮影者(ぜふさん?)の
シルエットが写っているように見えて^^;。
タマムシのような色のオトシブミがキレイですが、
ツノコガネにも驚きました。角の生え方がおもしろい。
by sakamono (2020-08-13 20:45)
ツノコガネ!はじめて見ました〜
本当にカブトムシのツノみたいに立派でびっくり。
あ、さすがにベランダの殺人的な暑さに
カブトムシは室内に入れました(笑)
by リュカ (2020-08-14 07:05)
>sakamonoさん
気が付きませんでしたが写っていますね^^
もっとちゃんと時間をかけて撮影するべきでした。
ツノコガネのツノはオスだけなのですよね・・例によって。
>リュカさん
それはよかった。
ベランダでは蒸し焼きならぬ虫焼きになってしまったかも^^;
by ぜふ (2020-08-14 21:30)