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"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。

子供の日 [探虫行]

5月5日の子供の日。

ボウソウできないならいっそのこと北へ行こうと思い、向かったのはイバラキ。

人のいない山がいいと思ったのですが、関東平野は広くて、もっとも近い山は筑波山。

それでも南房までの距離と同じくらいです。

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この写真を撮った瞬間、もう帰ろうかと思いました。

くわしくは本編で。

つくば方面へ行くのは、なんとベニシジミ号でははじめて。つまり、はじめてナビで向かいます。

どういうルートになるのかと不安に思いつつもまずは示されたままに進みました。

まずチバ街道で西(東京方面)へ向かうのは想定内ですし、いつものような混雑がなく何も問題無し。

船橋を過ぎ、市川に入り・・これは国府台からK1号線に乗るコースかなと思いました。

しかし、市川駅の手前で広くて新しい道路との交差点が現れました。

これ、ナビは知らないけど、延伸した外環道じゃないの?とナビを無視して右折。

見込みは正しく、広くて空いた新道を通り、松戸からR6に乗りました。

あとはひたすら北上。柏を過ぎ、利根川を渡って取手、竜ケ崎・・牛久駅の先でR408へ左折。

つくば学園都市に入り、長い長い並木道を抜けたところから筑波山方面へは向かわず直進しK53へ。

筑波山麓の一番南の山塊を目指すのです。

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ところが、ナビに従って走ると朝日トンネルに入り、山塊の反対側へ出てしまいました。

ナビを終了し、引き返す形でフルーツラインに入ったのですが、山へ入る前にお弁当を買うことに。

スマホで周辺のコンビニを探してみると・・近くにはコンビニどころか店が何もない。

仕方がないので最寄だと表示された店へ向かうことにしました。

しばらく走って着いたのはコンビニというより、部落の中のまさにスーパーという感じの食料品店。

店に入って探すと、お弁当の類はハンバーグ弁当と焼きそばと助六寿司くらいしかない。

水筒の中は日本茶だったので助六寿司を買って店の前に止めたベニシジミ号へ・・とその時。

コンチューターの針が折れんばかりに振り切れました。

もう一人、ベニシジミ号へ向かっている子がいたのです。

これは捕まえる前に写真だと思い、あわててカメラを出したのですが、スタスタとタイヤの影へ。

助六寿司はその辺に投げ出し、地面に這いつくばって探すとバイクの後方へ向けて逃亡をはかるやつ。

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職務質問しようとしましたが、応じる様子がないので逮捕。

「怪しいものではありません、通りすがりのイバラキマイマイというものです。」

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マイマイカブリ (オサムシ科)


怪しくはありませんが、任意同行をお願いしました。

店を出るのがあと1分早くても、1分遅くても出会わなかったと思います。

あまりの幸運に小躍りしたくなったと同時に、もう今から帰路についてもいいかなと思うほどでした。
(店の前で急に踊りだすと通報されるのでガマンしました)

子供の頃、数キロ離れた最寄の山へ行き、はじめて一人でカブトムシを採ったとき、それを手に持ったまま走って家に帰ったことを思い出しました。

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さて、一旦心を落ち着かせたところで、家には帰らずに山へ向かうことにしました。

目的地は筑波山塊の東南端に位置する雪入山というところ。

そこにふれあいの里という公園があるのです。

公園へ北側からアプローチする道路は通らず、南側から林の中を歩いて行きました。

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トレイルランの女性二人の後に続いて林に入ってまもなく出迎えてくれたこの子は今年初見。

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サトキマダラヒカゲ (タテハチョウ科)


近寄っても逃げないよいこでしたが、まだまだ道のりは長いので先へ。

次に出くわしたのはお馴染みの道案内虫。

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ニワハンミョウ (オサムシ科)


まあ一本道と思われるので深追いはせずに先へ。

意外にもアップダウンがかなりある細い散策路をしばらく進むと沢沿いになりました。

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沢が道路にぶつかって開けた場所に出たとき、振りそそぐ陽の光を浴びて煌めく子たちがいました。

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ニホンカワトンボ ♂ 未成熟(カワトンボ科)


少なくとも3頭いましたがどれも未成熟個体でした。

ただ、チバの子たちと比べるとどの子もとっても青い。グリーンではなく明らかにブルー。

これは帰り道に撮った写真ですが、成熟したオスもいました。

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同上 成熟


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少しだけ道路を歩きましたが、再度林の中の登り路へ突入します。

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金鉱山跡という標識に思わず足が向いてしまいそうなのをガマンして先へ。

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ここから先はずっと杉林の中で何にも会うこともなくひたすら歩く。

やっと視界が開けそうなところへ出る手前に(山の中腹だと思いますが)源流を発見。

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ちなみに桜沢という川は検索しても出てきませんでした・・さっきの沢の源流ということ?

公園入口前の道路に出る手前の道端のセンニンソウと思しき草にはこのハムシたちが湧いていました。

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オオキイロマルノミハムシ オオアカマルノミハムシ (ハムシ科)


体長は約5ミリでハムシとしてはむしろ大きい方だけれど、丸っこいので撮影しづらい虫です。

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さあ、やっと公園にたどり着きました。しかしネイチャーセンターは例によって閉館中。

これは少し登ってから撮影した写真。

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公園自体は閉鎖されていないようだったので、園内の道をさらに登っていきました。

整備された道なので歩きやすくはあるものの、もう結構歩いてきている身にはきつい登り坂。

普通は開けた景色の方を眺めながら歩くのでしょうけど、逆に山側の側溝の中を覗きながら進みます。

と、その側溝に落ちかけているチョウが。

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カラスアゲハ ♀ (アゲハチョウ科)


左の翅に大問題をかかえていますが、これは何かにぶつかったり鳥につつかれたわけではなく。

サナギから羽化するときに何か障害があって、翅が伸び切らなかった、いわゆる羽化不全の個体。

でも片方の翅はまったく傷んでいないので、この日に羽化したのではないかと思いました。

とはいえ飛べないため、このままではアリなどのエサになるしかありませんがそれも自然の摂理。

ではあるけど飛べないのをいいことに、しばらく手乗りになってもらって美しい翅の色を愛でました。

側溝には結局何もいませんでしたが、しばらく登ると池の標識が。

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「月の池」ということですが、池の水面は見えず、さしずめ新月というところでした。

さらに登り、やっと公園のメインエリア(といっても山の中腹なので狭い)に辿り着きました。

そこにもまた池が。

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「風の池」ということですが、見晴らしも風通しもあまりよくありませんでした。

少し先に展望台があるようなのでゴール前のムチを入れて少し歩くと・・

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「花の池」ということですが、それはこんなに水が赤いからなのかな?と思い、近くへ行ってみると。

なんと、赤く見えたのは水草でした。

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この水草に花が咲いたら、まさに花の池になるだろうに。

あとで気が付いたのですが、月、風、花ときたら鳥がある・・一番奥にあったけど見過ごしました。

まあその代わりに虫たちを愛でたから、花虫風月ということで。

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展望台もそれほど見晴らしがよいわけではありませんでしたが、こここそ気持ちのいい風の通り道。

これまで人影はまったく見ていませんので、あの木陰のベンチも独り占めできるでしょう。

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マイマイマーケットで買ったお弁当を食べて水分補給をし、吹く風にしばらく汗を乾かしていました。

いっそ昼寝でもしようかと思っていると視界の隅に何かチラチラと飛ぶ影が。

ベニシジミ号色をしたイトトンボ。アジアかなと思いつつカメラを構えて忍び寄りました。

吹き通る風に加え、かなり敏感な子で、なかなか思うように撮らせてくれません。

もし周りに人眼があったらあきらめていたかも知れませんが何しろ貸し切りなのでとことん粘った。

めずらしいトンボではないですが、美人さんに撮れたのでタイトルバナーになってもらいました。

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アジアイトトンボ ♀ 未成熟 (イトトンボ科)


成熟するとメスは橙色の補色である緑色になりますがどちらも可憐な色あいです。

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ベニシジミ号まで距離があるのでそろそろ降りることにします。

坂道を下る途中からの景色の方がよかったのでこちらを。

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石岡方面を望む


戻りは少し時間を気にして歩いたせいか、先のカワトンボ以外ででくわした目ぼしい虫はこの子だけ。

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クモヘリカメムシ (ホソヘリカメムシ科)


ベニシジミ号に乗ってからは、あの子供の日と同じ気持ち。

誰に見せて自慢するわけではないけれど、走ってではないけれど、家へ向かって一目散でした。





オマケ というか第二部


前記事で少し触れましたが、これより前の日にも北関東方面へでかけました。

ある場所の景色を眺めることとツーリングで気分転換することが主たる目的でしたが。

この風景を見てどこかわかる方もいると思います。

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周辺をベニシジミ号で回遊し、帰り道にふと気になる道に突入してみたらいい様子の小道が。

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これは寄り道するしかないなと自己説得して歩いていきました。

延々と続く遊歩道の両側はこの草が延々と咲いていました。

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カラスノエンドウ


その路上をすばやく這う物体にコンチューターがピピッと反応しました。

路側の草の根から一瞬飛び出したところを捕まえようとしましたが失敗。

あっという間に落ち葉や土の中へ逃げていきました。

あー貴重なチャンスを逃したなと悔しい思いで先に進んでいると2匹目のドジョウが出てきました。

こちらに気が付いた瞬間、踵を返して草むらに逃げ込むところを土下座して手でブロック。

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ゴミムシの仲間ということは分かりますが、現地では同定できせんでした。

またしばらく歩いていると道の真ん中にキレイなゴミムシせんべいが落ちていました。

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こんな色のゴミムシは図鑑でも見たことがありませんが、ひしゃげて構造色が変化したのでしょう。

さっきのゴミムシと同じだと思いました。

そしてやっとそのような色に撮ることができました。

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コガシラナガゴミシ (オサムシ科)


体長は個体差があって10ミリ内外。

キンナガゴミムシとそっくりですが前胸前角が尖っていることを判別点としました。

なぜこんなに頻繁に路上へ出てくるのか不思議に思い、また土下座して観察してみると。

どうやらこの虫たちを捕食しているようでした。

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未同定


カメムシの仲間だと思いますが、3~4ミリほどの超小型。

散策路はまだまだ先が見えなかったので、10頭目のゴミムシを観察したところで回れ右しました。




今日の湯加減

今年もOBC(オオセンチコガネ・ブリード・チャレンジ)をしています。
昨年9月にセットした飼育ケースから3月ついに新成虫が一頭出たのですが昨日☆になってました。
3/28の記事で紹介したミドリ色の個体です)
その2日前は(やや弱っていましたが)元気に動いていたのに。
また、今年3月にセットした飼育ケースを暴いてみたところ、計10頭の幼虫が出ました。
それらはプリンカップの個室に移し、あらたに飼育ケースのセットをしはじめました。
成虫は昨日、とある場所で手に入れてきました。雌雄で約20頭。
今日は土が足りなくなり、半分しかセットできませんでしたので残りはまた明日。
それとまたエサをもらいに行かなくちゃ。


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よしころん

流石ぜふさん、持ってますねぇ^^v
筑波山、意外と近いですよね。
なるほど今はそのルートで行けるのだな…と。
ひしゃげると色も変化するのですね。せつない…

ホソミイトトンボありがとうございました!
手前にいたこもちゃんと撮っておけばよかったですね。
気を付けます^^;
by よしころん (2020-05-17 08:59) 

お名前(必須)

ナイスショット?
もう帰ってもいいと思いました。
ゼフさん御意?
高和も奥多摩でメスアカミドリシジミの新品を二塁打で仕留めたとき、島々谷でキベリを初ネットインしたとき。本当にネットを畳みました。あ、弥彦での初ギフも。
カワトンボ、ゴミムシ、このブログで嵌まってしまいそうです。
by お名前(必須) (2020-05-17 19:42) 

リュカ

そうですよねー。みんながみんな綺麗に羽化できるわけではないのですよね。
うちの蛹ちゃん、がんばってー!(笑)

通りすがりのイバラキマイマイ、焦ってますねww
by リュカ (2020-05-18 12:10) 

よしころん

60㎜マクロ、D7100の頃から一番長いこと使っているレンズですよぉ。
残念ながらそげな余裕はありません^^;
by よしころん (2020-05-18 18:59) 

ぜふ

>よしころんさん
北総を縦断するいいルートがないんですよね、木下街道は混むし>_<
他にも踏まれている子がいましたがこれは目を引く美しさでした。
あ、そうでしたか!良いレンズですね。こちらはつい・・^^;

>Tさん
その瞬間、充足感がピークに達するのですね。
しばらくすると元に戻りますが^^;
この季節はトンボを追っかけますね、次記事も・・・

>リュカさん
自然はきびしいですが、箱入りの子たちはまずヘイキでしょう。
イバマイはコンビニ前のポストに郵便を出しに来たようでした^^
by ぜふ (2020-05-18 21:15) 

響

カワトンボのメタリックカラーが美しい。
池は地面だと思って歩いちゃうかもと心配になるくらい
水草がびっしりですね。
金鉱山跡はたぶん昔掘った間歩と呼ばれる穴しかないパターンかな?
by (2020-05-19 11:45) 

sakamono

花の池、この水面全部に花が咲いたら、極楽みたいな
感じになりそうです。
「花虫風月」、いいですね。1文字しか違わないし^^;。
輝く甲虫、やっぱり美しいです。
小さな虫、食べてたんだ^^;。
by sakamono (2020-05-22 00:05) 

ぜふ

>響さん
そういえば翡翠色ですね♪
たしかに舗装されているようにもみえますね^^
金鉱山跡は穴以外に何かあったらみんな行ってしまいますね・・

>sakamonoさん
咲いたら必ず見に行きます!^^
花虫風月は負け惜しみです・・
ゴミムシもとても美麗な種がいますねー、再認識しました♪
by ぜふ (2020-05-22 23:07) 

hirokou

オレンジ色のヘルメット、ベニシジミ号にピッタリですね!
マイマイカブリはまだ見たことがありません。
あぁ、羨ましい!
センニンソウにいたのは、触覚と脚が黒いのでオオアカマルノミハムシではないでしょうか。
by hirokou (2020-05-27 01:17) 

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