"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
バグヤードツアー [日記]
令和初の天皇誕生日(の振り替え休日)。
めずらしく(ここのところはいつもですが)朝起きられなくて、ぐずぐずしていました。
前日までは南房へ行くつもりでいたのです。
しかしもう、出発すべき時刻はとっくに過ぎています。
どうしようかなぁ、近場でピンとくるところはあるかなぁとGoogleMapをぼんやり眺めていました。
天気はよかったです。
Mapをドラッグしながら見ていると、中央博物館のピンにコメント表示されていることに気付きました。
「生命のにぎわいフォーラム」
このコメントが付いていた理由は、千葉県生物多様性センターが主催する「生命のにぎわい調査団」にメンバー登録していて、来月そのフォーラムが開催される予定だったからです。(中止になりましたが)
なのでその時、開催日付を確認したくて、中央博物館のピンをクリックしたのです。
開いたHPの内容を見ていて目に付いた文字列が・・「バックヤードツアー 昆虫標本」。
何?いつ?とおどろき、詳細を確認したら、開催日はなんと今日(2/24)でした。
開始時刻は・・11:00。
時計を見ると・・10:10。
なんとか間に合うと思った瞬間、やっと目が覚め、だらけていた体に力が入りました。
急いで顔を洗って着替え、ベニシジミ号に飛び乗りました。
千葉県立中央博物館へ行くのに普通は高速を使うことはありませんが、時間がないので仕方なく。
家を出て約20分で到着。開始10分前に入館して集合場所に並べました。
ところが他に並んでいる人がいない。
と、そこへ現れたのは学芸員のSAさん。
このブログで何度か記事化している、博物館主催のフィールドミュージアムで初めてお会いしたのはもうかれこれ10年ほど前。
そのときに聴かせていただいた話が面白くて、お名前を忘れたことはありませんでした。
それからもセミナーやインセクトフェアなどで何度かお見かけはしていたのですが。
先方は覚えてらっしゃらないだろうと思い、名刺を渡してあらためてご挨拶。
カメラはOKだけど、カバンと上着は持ち込み不可とのことで、ロッカーに入れてきました。
いつもは少なくとも10人以上、かつ子供が多いとのことですが、このときは結局大人4人だけ。
やはりコロナウイルス禍の影響でしょうけど催行していただけてバックヤードツアーへいざ出発。
まずは1Fに降りて、建物の裏側に位置するトラックヤードを通過して収蔵庫へ。
倉庫のシャッターのようなドアを入ったここは前室です。
資料や標本などの保管庫には、害虫やカビなどの侵入を防ぐために、緩衝域としての前室があります。
カバンや上着が持ち込み禁止なのも、なるべく標本虫やカビを持ち込まないようにするためなのです。
ところでちょっと脱線しますが、”標本虫”について補足します。
ここでいう”標本虫”とは、昆虫標本を食べてしまう虫たちをまとめて指しています。
代表的なものとして、ヒョウホンムシ科、カツオブシムシ科、シバンムシ科、チャタテムシ科など。
最も小さいのは、ヒョウホンムシ科のセマルヒョウホンムシやカバイロヒョウホンムシで2~3ミリ。
カツオブシムシは動物性タンパク質ならなんでも食べるのでセーターなど衣類の害虫でもあります。
シバンムシは”死番虫”と書き、動物質だけでなく乾燥植物も食べる恐ろしくも厄介なやつ。
家にある米や小麦粉や乾麺など、貯蔵穀物の害虫でもあり、材木や書物(紙)を食べる種類もいます。
子供の頃(まだ名前は知りませんでしたが)家の床材に穴をあけているやつを見たときから嫌いです。
とにかく、標本虫が標本箱の中に入ったら最後、ほっとくと標本は粉と消え、残るは針とラベルだけ。
さて、いよいよ収蔵庫に潜入します。
大小あわせて6つほどある中で、このときは一番手前の大きい部屋へ入らせていただきました。
ここには昆虫標本だけでなく、動物標本や化石も収蔵されているようでした。
昆虫標本を見たことのない人や子供を想定しているため、いつもはこんな標本をまず見せるようです。
外国産の大きくて派手で美しい昆虫たち。
このときは大人4名だったからか、SA先生が出してきてくださったのはこれ。
標本とはどういうものか、どのようにして作るか、基本を教えてくださいました。
(吸虫管の説明はなかった)
そのあと、SA先生から「どんな標本を見たいですか」との問いかけがありましたが・・
大人たちはふと悩んでしまって即答できず。
「子供たちはすぐに色々名前があがりますけどね」
そこで、大人っぽく、こんなリクエストをしてみました。
「チバで見つかった新種はありますか?」
するとすかさず、こんな箱を持ってきてくれました。
チバ産のものだけではなく、外国産の貴重な標本も。
無造作に出していただきましたが、赤いラベルが付いている標本はホロタイプです。
”ホロタイプ(HOLOTYPE)”とは、その種の基準となる世界で唯一の標本。
それが失われると困るので、予備的なものはパラタイプ標本と呼ばれます。
(正確には、原記載の際に提示された標本の中でホロタイプ指定されなかったもの)
ただし、一個体しか採集されていない昆虫もたくさんあります。
一つひとつゆっくり拝見したいところですが、バックヤードツアーの時間は30分しかありません。
SA先生の専門がカミキリムシだということは知っていましたが敢えて。
「実はオサムシが好きなのでオサムシの標本を見せていただけますか?」
とお願いすると、収納棚を開けてくれました。
オサムシの標本は少なく、はっきりいって弱い分野ですとのことでした。
でも、この表示がついている箱をしっかり確認。
クロオサムシの関東北西部亜種の俗名で、タイプ産地は高尾なのですが、飛地的に房総中西部に分布。
これと思しき子に遭ったことがあるので、近いうちにあらためて採集に行きたいと思いました。
他の参加者のリクエストにも応えてくださり、それぞれが好きな種類の標本を見せていただきました。
こちらはオサムシのキャビネに一人かじりつきっぱなし。
大人向けの特別サービスか、30分の予定がいつの間にか1時間も経っていてびっくり。
ぜひ昆虫館にも遊びに来てくださいとSAさんにご挨拶して解散となりました。
解散後、せっかくなので久しぶりに常設展示も見て行くことにしました。
ツアー参加者も少なかったですが、そもそも来館者が少なく、館内はほぼ貸し切り状態。
まるでナイトミュージアムのようでした。
昆虫標本のコーナーも。
春の企画展示「うめ・もも・さくら」が開催されていました。
よくある、”因んだもの展示”なのですが、その中に虫もありました。
ウメチビタマムシという種は知りませんでした。今度探してみよう。
常設展示の中にチバの谷津田を紹介するコーナーがあります。
ふとその中にジオラマ化された八街のオカダという地が目に止まりました。
これも何かの縁、午後もフィールドワークすることにし、目的地をそこに設定することに。
(詳細はまた次回)
とその前に。
博物館からはちょうどHFの方向なので寄っていくことにしました。
やはり気になるのはニホンアカガエルの卵。
前回紹介したときの標識の色は青だけだったので、それ以外の色はその後に増えた卵塊ということ。
谷津田全体をみてもそれほど増えてはいませんでしたが、絶対数として今年は多い方だと思います。
しかも、もうほとんどオタマになっていました。
ということで、オタマの田んぼの畦に日向ぼっこをしに舞い降りてきたのが扉の子なのでした。
博物館内にはこんな展示もありました。
周辺から発掘された化石の展示も。
地球磁場逆転について世界ではじめて提唱した、地球物理学者・古地磁気学者の松山基範の紹介も。
チバニアン認定を記念した展示ですが、いずれ常設展示になるのではないかと思います。
今日の湯加減
めずらしく(ここのところはいつもですが)朝起きられなくて、ぐずぐずしていました。
前日までは南房へ行くつもりでいたのです。
しかしもう、出発すべき時刻はとっくに過ぎています。
どうしようかなぁ、近場でピンとくるところはあるかなぁとGoogleMapをぼんやり眺めていました。
ルリタテハ (タテハチョウ科)
天気はよかったです。
Mapをドラッグしながら見ていると、中央博物館のピンにコメント表示されていることに気付きました。
「生命のにぎわいフォーラム」
このコメントが付いていた理由は、千葉県生物多様性センターが主催する「生命のにぎわい調査団」にメンバー登録していて、来月そのフォーラムが開催される予定だったからです。(中止になりましたが)
なのでその時、開催日付を確認したくて、中央博物館のピンをクリックしたのです。
開いたHPの内容を見ていて目に付いた文字列が・・「バックヤードツアー 昆虫標本」。
何?いつ?とおどろき、詳細を確認したら、開催日はなんと今日(2/24)でした。
開始時刻は・・11:00。
時計を見ると・・10:10。
なんとか間に合うと思った瞬間、やっと目が覚め、だらけていた体に力が入りました。
急いで顔を洗って着替え、ベニシジミ号に飛び乗りました。
千葉県立中央博物館へ行くのに普通は高速を使うことはありませんが、時間がないので仕方なく。
家を出て約20分で到着。開始10分前に入館して集合場所に並べました。
ところが他に並んでいる人がいない。
と、そこへ現れたのは学芸員のSAさん。
このブログで何度か記事化している、博物館主催のフィールドミュージアムで初めてお会いしたのはもうかれこれ10年ほど前。
そのときに聴かせていただいた話が面白くて、お名前を忘れたことはありませんでした。
それからもセミナーやインセクトフェアなどで何度かお見かけはしていたのですが。
先方は覚えてらっしゃらないだろうと思い、名刺を渡してあらためてご挨拶。
カメラはOKだけど、カバンと上着は持ち込み不可とのことで、ロッカーに入れてきました。
いつもは少なくとも10人以上、かつ子供が多いとのことですが、このときは結局大人4人だけ。
やはりコロナウイルス禍の影響でしょうけど催行していただけてバックヤードツアーへいざ出発。
まずは1Fに降りて、建物の裏側に位置するトラックヤードを通過して収蔵庫へ。
倉庫のシャッターのようなドアを入ったここは前室です。
資料や標本などの保管庫には、害虫やカビなどの侵入を防ぐために、緩衝域としての前室があります。
カバンや上着が持ち込み禁止なのも、なるべく標本虫やカビを持ち込まないようにするためなのです。
ところでちょっと脱線しますが、”標本虫”について補足します。
ここでいう”標本虫”とは、昆虫標本を食べてしまう虫たちをまとめて指しています。
代表的なものとして、ヒョウホンムシ科、カツオブシムシ科、シバンムシ科、チャタテムシ科など。
最も小さいのは、ヒョウホンムシ科のセマルヒョウホンムシやカバイロヒョウホンムシで2~3ミリ。
カツオブシムシは動物性タンパク質ならなんでも食べるのでセーターなど衣類の害虫でもあります。
シバンムシは”死番虫”と書き、動物質だけでなく乾燥植物も食べる恐ろしくも厄介なやつ。
家にある米や小麦粉や乾麺など、貯蔵穀物の害虫でもあり、材木や書物(紙)を食べる種類もいます。
子供の頃(まだ名前は知りませんでしたが)家の床材に穴をあけているやつを見たときから嫌いです。
とにかく、標本虫が標本箱の中に入ったら最後、ほっとくと標本は粉と消え、残るは針とラベルだけ。
さて、いよいよ収蔵庫に潜入します。
大小あわせて6つほどある中で、このときは一番手前の大きい部屋へ入らせていただきました。
ここには昆虫標本だけでなく、動物標本や化石も収蔵されているようでした。
昆虫標本を見たことのない人や子供を想定しているため、いつもはこんな標本をまず見せるようです。
外国産の大きくて派手で美しい昆虫たち。
このときは大人4名だったからか、SA先生が出してきてくださったのはこれ。
標本とはどういうものか、どのようにして作るか、基本を教えてくださいました。
(吸虫管の説明はなかった)
そのあと、SA先生から「どんな標本を見たいですか」との問いかけがありましたが・・
大人たちはふと悩んでしまって即答できず。
「子供たちはすぐに色々名前があがりますけどね」
そこで、大人っぽく、こんなリクエストをしてみました。
「チバで見つかった新種はありますか?」
するとすかさず、こんな箱を持ってきてくれました。
チバ産のものだけではなく、外国産の貴重な標本も。
無造作に出していただきましたが、赤いラベルが付いている標本はホロタイプです。
”ホロタイプ(HOLOTYPE)”とは、その種の基準となる世界で唯一の標本。
それが失われると困るので、予備的なものはパラタイプ標本と呼ばれます。
(正確には、原記載の際に提示された標本の中でホロタイプ指定されなかったもの)
ただし、一個体しか採集されていない昆虫もたくさんあります。
一つひとつゆっくり拝見したいところですが、バックヤードツアーの時間は30分しかありません。
SA先生の専門がカミキリムシだということは知っていましたが敢えて。
「実はオサムシが好きなのでオサムシの標本を見せていただけますか?」
とお願いすると、収納棚を開けてくれました。
オサムシの標本は少なく、はっきりいって弱い分野ですとのことでした。
でも、この表示がついている箱をしっかり確認。
エサキオサムシ
クロオサムシの関東北西部亜種の俗名で、タイプ産地は高尾なのですが、飛地的に房総中西部に分布。
これと思しき子に遭ったことがあるので、近いうちにあらためて採集に行きたいと思いました。
他の参加者のリクエストにも応えてくださり、それぞれが好きな種類の標本を見せていただきました。
こちらはオサムシのキャビネに一人かじりつきっぱなし。
大人向けの特別サービスか、30分の予定がいつの間にか1時間も経っていてびっくり。
ぜひ昆虫館にも遊びに来てくださいとSAさんにご挨拶して解散となりました。
解散後、せっかくなので久しぶりに常設展示も見て行くことにしました。
ツアー参加者も少なかったですが、そもそも来館者が少なく、館内はほぼ貸し切り状態。
まるでナイトミュージアムのようでした。
昆虫標本のコーナーも。
春の企画展示「うめ・もも・さくら」が開催されていました。
よくある、”因んだもの展示”なのですが、その中に虫もありました。
ウメチビタマムシという種は知りませんでした。今度探してみよう。
常設展示の中にチバの谷津田を紹介するコーナーがあります。
ふとその中にジオラマ化された八街のオカダという地が目に止まりました。
これも何かの縁、午後もフィールドワークすることにし、目的地をそこに設定することに。
(詳細はまた次回)
とその前に。
博物館からはちょうどHFの方向なので寄っていくことにしました。
やはり気になるのはニホンアカガエルの卵。
前回紹介したときの標識の色は青だけだったので、それ以外の色はその後に増えた卵塊ということ。
谷津田全体をみてもそれほど増えてはいませんでしたが、絶対数として今年は多い方だと思います。
しかも、もうほとんどオタマになっていました。
ということで、オタマの田んぼの畦に日向ぼっこをしに舞い降りてきたのが扉の子なのでした。
オマケ
博物館内にはこんな展示もありました。
周辺から発掘された化石の展示も。
地球磁場逆転について世界ではじめて提唱した、地球物理学者・古地磁気学者の松山基範の紹介も。
チバニアン認定を記念した展示ですが、いずれ常設展示になるのではないかと思います。
今日の湯加減
新型コロナウイルス(COVID-19)はもはや国難ですね。
2月27日の夕刻になって突然、全国の小中高の臨時休校の要請が首相から発表されました。
もちろん、厚労省・文科省では想定していたことでしょう(そう信じたい)けど唐突感があります。
ドタバタ感がにじみ出ていることで、却って危機感が伝わることになったと思いもしますが。
それにしても、セーフティネットと併せて発表しないと余計に不安をあおることにもなります。
”措置に伴って生じる課題は政府が責任を持って対応する”とのことでしたが抽象的すぎて意味不明。
先立って休校方針を出していたチバ市長も批判的で、”市で考えていたことが吹っ飛んだ”とコメント。
国民の不安や不信はトイレットペーパーなどの買い占めという愚かな行為に現れました。
もう誰も信用できないから自衛するしかないという気持ちは分かりますが、周りに流されては何にもなりません。
日本人は、一見クールでシラケているのに実は簡単にパニックに陥るという国民性なのでしょう。
(2/29 18時の総理記者会見前に書きました)
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
今年の武蔵野は暖かく、ほとんど霜柱を踏まずに春になってしまいました。昨日はセイヨウタンポポ、今日は目を覚ましたアリさん。気が付けば啓蟄まじかです。
中央博物館の収蔵品、素晴らしいですね。写真撮影可というのもまた潔い、というか懐が深い。知事さんとはだいぶん程度が違いますね(笑)。
おたま!ヤゴのご飯が・・・育ちすぎてしまうのでは?
by 高和です。 (2020-03-01 17:21)
博物館に行けないのでつまらないです。
おとなしく本でも読むか〜って思ったら
図書館も出入り出来なくなっちゃいました。あうあうww
by リュカ (2020-03-02 11:26)
>高和です。さん
そういえば霜柱は近所では一度か二度しかみなかったですね。
ここは冬みず田んぼなのでヨコエビやヌマエビなどヤゴのごはんは豊富です^^
>リュカさん
紙製品の買いだめはしませんが、本の借りだめはしました^^
博物館も軒並みですね~ ここも3日から休館となるようです T_T
by ぜふ (2020-03-03 00:03)
はくぶつかん優劣はバックヤードの充実度で決まると聞いたことがありますがここは凄いですね。
オタマジャクシの成長楽しみ。
by 響 (2020-03-05 19:51)
カバンや上着が持ち込み禁止なコトに、そんな理由があったとは。
標本を食べてしまう虫なんて、いるんですねぇ。
オサムシのキャビネにかじりつきっぱなし、というところが、
なんとも微笑ましい気がしました^^;。
by sakamono (2020-03-05 22:25)
>響さん
”イッカク”と書かれた箱もあってビビりました^^;
オタマたちは順調に育っております♪
>sakamonoさん
いますよー、何度イタイ目にあったか^^;
信用してかじりつかせていただけたことに感謝しています。
by ぜふ (2020-03-05 23:28)