"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
令和初のホリ納め [オサムシ]
令和元年12月29日、久しぶりに師匠のTさんとヤマナシへ遠征してきました。
もちろんオサホリが目的だったのですが、まるっきり完全にボウズでした。
陽だまりでお弁当を食べていたときに近くに舞い降りてきてくれた子。
これから越冬するチョウです。(2頭観察)
というわけで、もう一度年内にホリ納めをしようとボウソウへ向かいました。
目的地は中房方面にしたので、ルートは久しぶりにうぐいすラインを選択しました。
昨年の台風で通行止めになっていたのですが・・なんと、まだ復旧していませんでした。
うぐいすラインはチバからボウソウへ向かう際、裏道とは言えないくらいの知られたルートかと。
やはり県道ではないので優先順位が下がるのでしょうけど、なかなか予算と手が回らないのでしょう。
前回は茂原街道方面へ迂回したので、今回は逆方向の市原茂原線方面からまわることに。
牛久から清澄養老ラインをひたすら南下し、房総半島のど真ん中あたりを目指します。
中房は未明まで雨が降ってたようで路面が濡れていて注意しながらゆっくり走行。
農道でも山道でもないけど舗装された狭い道を山へ向けてしばらく進むと目的地の入口に到着。
想定はしていましたが。
歩いては通れそうでしたがこんな感じ。
当分の間は入れないでしょう。
まだ朝といっていい渓谷は朝靄がかかっていましたが、だんだん陽が射してきました。
するとすぐにコンチューターが反応。
着地地点を見逃しませんでした。
めずらしいチョウではありませんが、前出のテングチョウと同様に成虫で越冬します。
それでも冬の地味な色調の風景の中で見るとうれしいもの。(ということでタイトルバナーに)
他の実績のあるポイントをあたることにして、ベニシジミ号にまたがり山道に入りました。
ピンポイントの場所なのですが、数年ぶりなのであまり自信がない。
周りの様子もちょっと違う気もするけど見覚えがある気もする。
だけど結果がすべてを物語る。
スジアオの親分がお出ましになり少し安心。
そして間もなく本日の本命が出ました。
この名前は通称で、正確にはルイスオサムシの南房総亜種となります。
ルイスオサムシの分布はおもしろくて、主産地は伊豆半島を中心として静岡県東部、神奈川県西部、そして山梨県南部。(タイプ産地は箱根)
ですが、房総半島の南部にも分布しているのです。
これは何を意味しているか・・伊豆半島と房総半島は大昔つながっていたというのが単純な仮説。
少なくとも房総半島は本州(関東東部)とは元々つながっていなかったとされています。
君の祖先はどこにいたの?
掘り崩して落ちた土砂に採り忘れがいることがよくあるので時々足元を確認します。
案の定。
この小崖はアワカズサマンションだったようですが、つばなれしないように気を付けて採集。
採集したアワカズサは前記事で書いたオサ部の部会のときに子供たちにすべて配付しました。
山を越えて行く途中、展望台のようなところがあります。
でも木と木の枝が邪魔でまったく見晴らしがよくない。隙間からもだめなので写真も断念。
そこから少し下っていくと突然、今度はとても見晴らしがよくなりました。
しかし、まったくいい景色ではない。
大きな谷全体が掘削されていて、採石場かと思いましたが産業廃棄物の最終処分場でした。
ニンゲンはどれだけゴミを出すのでしょうね。
久留里街道まで降りてそのまま南下。
お腹が空いてきたので房総スカイラインでカモガワへまっしぐら。
令和最初の大みそかの関東地方は異常な高温でしたが、この時のカモガワの気温はなんと20度。
関東地方で大みそかに20度を超えたのは観測史上初だそうです。
さて、まんぼうで出てきた本日のスペシャルはこれ。
もう、まさに春です。
ごまだれが茹でた菜の花にとてもよくあって、極めてさっぱりした醤油味でした。
少しお客さんがはけてからマスターと地元の常連さんとおぼしき方と三人でおしゃべりしていると・・
イノシシ、シカ、サルの増加の話になり、サルは柵や覆いをしても意味がないので大変という話になり、
長狭街道から南には野生のサルがいないという話になりました。(はぐれ猿はたまにいるが)
この長狭街道は、外房のカモガワと内房のホタを結ぶルートで中房と南房の境界線でもあるのです。
この境界地帯は地質学的には「嶺岡帯」といわれていて、三浦半島の「葉山帯」と同じ地質だそうで、
あわせて「葉山-嶺岡帯」と呼ばれ、新第三紀以降の地層が主体の地質帯なのです。(図解はこちら)
とすると、房総半島は三浦半島と地続きだったかもしれません。
また、嶺岡帯(鴨川保田ライン)を境に昆虫相も変わります。
サルとは逆に、アオオサムシの南房総亜種、通称”アカオサムシ”がいるのは嶺岡帯以南なのです。
さて、その方のご自宅はまさに長狭街道方面で、近所の山はスギヒノキ林ではないのこと。
後半戦、どこに行こうか悩んでいたので、これも何かの縁ということでカモガワからさらに南下。
高鶴山の登山口は民家の脇道という感じ。
アプローチの仕方を聞いていなければ絶対に分からなかったでしょう。
Uターン不可の急な坂を登りつめましたが、山頂へのルートは見つけられず下り坂に。
いずれにしても崖があるようなロケーションではなかったので先を急ぎました。
実は地図で高鶴山の向こう側に貯水池があるのを見つけていたのです。
地図には名前が出ていなかったのですが、現地に着くとその堰の表示がありました。
さっきのラーメンのようにあっさりしたネーミング。
ちょっと様子を見に突入すると、ゆるい上り坂に沿って崖がありました。
ただ、試掘してみると木の根がびっしりはびこっていてムリでした。
溜池はこんな様子。
池の縁に沿って歩いてみると、所々ニホンスイセンが咲いていて、なんとこんな花も。
大みそかだよね。
やっぱり南房は春でした。
畑のせきを後にしてK89号鴨川富山線に出ましたが、突っ切って北上してみることにしました。
県道でもない細い道を登りきるとそこは見覚えのあるところでした。
嶺岡ラインはまさに尾根にそった道。その途中にあるハングライダーの発進場なのでした。
ここから北側へ駆け下りた頃、風が強くなってきて急に気温が下がり始めました。
そういえば、まんぼうの常連さんが、これから「北風が吹いて寒くなる」と言っていました。
あんなに暖かかったので聞き流していましたが、さらに北上するにつれてその通りになってきた。
房総スカイラインに乗ろうとしてルートを間違えてしまったのもあり、心が折れて家路をまっしぐら。
帰り着いた頃は体が芯まで冷えて、歯がガチガチいうほど。
熱いお風呂に長らく浸かって解凍しました。
師匠との遠征は省略しましたが、ちょっとだけ写真をアップしておきます。
林内の倒れた朽木をいったい何本叩いたかわかりませんが、とにかくオサムシは何もでませんでした。
たまに出てくるのはクチキムシの仲間とゴミダマの幼虫と、そして触角の模様と形が秀逸なこの子。
それと登山口まで詰め切ったとき、標識の上にいた子。
集団で越冬するはずですが仲間とはぐれたのか・・はやく越冬場所を探しなよと声をかけときました。
今日の湯加減
もちろんオサホリが目的だったのですが、まるっきり完全にボウズでした。
陽だまりでお弁当を食べていたときに近くに舞い降りてきてくれた子。
テングチョウ (テングチョウ科)
これから越冬するチョウです。(2頭観察)
というわけで、もう一度年内にホリ納めをしようとボウソウへ向かいました。
目的地は中房方面にしたので、ルートは久しぶりにうぐいすラインを選択しました。
昨年の台風で通行止めになっていたのですが・・なんと、まだ復旧していませんでした。
うぐいすラインはチバからボウソウへ向かう際、裏道とは言えないくらいの知られたルートかと。
やはり県道ではないので優先順位が下がるのでしょうけど、なかなか予算と手が回らないのでしょう。
前回は茂原街道方面へ迂回したので、今回は逆方向の市原茂原線方面からまわることに。
牛久から清澄養老ラインをひたすら南下し、房総半島のど真ん中あたりを目指します。
中房は未明まで雨が降ってたようで路面が濡れていて注意しながらゆっくり走行。
農道でも山道でもないけど舗装された狭い道を山へ向けてしばらく進むと目的地の入口に到着。
想定はしていましたが。
歩いては通れそうでしたがこんな感じ。
当分の間は入れないでしょう。
まだ朝といっていい渓谷は朝靄がかかっていましたが、だんだん陽が射してきました。
するとすぐにコンチューターが反応。
着地地点を見逃しませんでした。
ムラサキシジミ (シジミチョウ科)
めずらしいチョウではありませんが、前出のテングチョウと同様に成虫で越冬します。
それでも冬の地味な色調の風景の中で見るとうれしいもの。(ということでタイトルバナーに)
他の実績のあるポイントをあたることにして、ベニシジミ号にまたがり山道に入りました。
ピンポイントの場所なのですが、数年ぶりなのであまり自信がない。
周りの様子もちょっと違う気もするけど見覚えがある気もする。
だけど結果がすべてを物語る。
スジアオの親分がお出ましになり少し安心。
スジアオゴミムシ (オサムシ科)
そして間もなく本日の本命が出ました。
アワカズサオサムシ (オサムシ科)
この名前は通称で、正確にはルイスオサムシの南房総亜種となります。
ルイスオサムシの分布はおもしろくて、主産地は伊豆半島を中心として静岡県東部、神奈川県西部、そして山梨県南部。(タイプ産地は箱根)
ですが、房総半島の南部にも分布しているのです。
これは何を意味しているか・・伊豆半島と房総半島は大昔つながっていたというのが単純な仮説。
少なくとも房総半島は本州(関東東部)とは元々つながっていなかったとされています。
君の祖先はどこにいたの?
同上
掘り崩して落ちた土砂に採り忘れがいることがよくあるので時々足元を確認します。
案の定。
同上
この小崖はアワカズサマンションだったようですが、つばなれしないように気を付けて採集。
採集したアワカズサは前記事で書いたオサ部の部会のときに子供たちにすべて配付しました。
山を越えて行く途中、展望台のようなところがあります。
でも木と木の枝が邪魔でまったく見晴らしがよくない。隙間からもだめなので写真も断念。
そこから少し下っていくと突然、今度はとても見晴らしがよくなりました。
しかし、まったくいい景色ではない。
大きな谷全体が掘削されていて、採石場かと思いましたが産業廃棄物の最終処分場でした。
ニンゲンはどれだけゴミを出すのでしょうね。
久留里街道まで降りてそのまま南下。
お腹が空いてきたので房総スカイラインでカモガワへまっしぐら。
令和最初の大みそかの関東地方は異常な高温でしたが、この時のカモガワの気温はなんと20度。
関東地方で大みそかに20度を超えたのは観測史上初だそうです。
さて、まんぼうで出てきた本日のスペシャルはこれ。
菜の花ラーメン
もう、まさに春です。
ごまだれが茹でた菜の花にとてもよくあって、極めてさっぱりした醤油味でした。
少しお客さんがはけてからマスターと地元の常連さんとおぼしき方と三人でおしゃべりしていると・・
イノシシ、シカ、サルの増加の話になり、サルは柵や覆いをしても意味がないので大変という話になり、
長狭街道から南には野生のサルがいないという話になりました。(はぐれ猿はたまにいるが)
この長狭街道は、外房のカモガワと内房のホタを結ぶルートで中房と南房の境界線でもあるのです。
この境界地帯は地質学的には「嶺岡帯」といわれていて、三浦半島の「葉山帯」と同じ地質だそうで、
あわせて「葉山-嶺岡帯」と呼ばれ、新第三紀以降の地層が主体の地質帯なのです。(図解はこちら)
とすると、房総半島は三浦半島と地続きだったかもしれません。
また、嶺岡帯(鴨川保田ライン)を境に昆虫相も変わります。
サルとは逆に、アオオサムシの南房総亜種、通称”アカオサムシ”がいるのは嶺岡帯以南なのです。
アカオサムシ (オサムシ科)
さて、その方のご自宅はまさに長狭街道方面で、近所の山はスギヒノキ林ではないのこと。
後半戦、どこに行こうか悩んでいたので、これも何かの縁ということでカモガワからさらに南下。
高鶴山の登山口は民家の脇道という感じ。
アプローチの仕方を聞いていなければ絶対に分からなかったでしょう。
Uターン不可の急な坂を登りつめましたが、山頂へのルートは見つけられず下り坂に。
いずれにしても崖があるようなロケーションではなかったので先を急ぎました。
実は地図で高鶴山の向こう側に貯水池があるのを見つけていたのです。
地図には名前が出ていなかったのですが、現地に着くとその堰の表示がありました。
さっきのラーメンのようにあっさりしたネーミング。
ちょっと様子を見に突入すると、ゆるい上り坂に沿って崖がありました。
ただ、試掘してみると木の根がびっしりはびこっていてムリでした。
溜池はこんな様子。
池の縁に沿って歩いてみると、所々ニホンスイセンが咲いていて、なんとこんな花も。
大みそかだよね。
タチツボスミレ
やっぱり南房は春でした。
畑のせきを後にしてK89号鴨川富山線に出ましたが、突っ切って北上してみることにしました。
県道でもない細い道を登りきるとそこは見覚えのあるところでした。
嶺岡ラインはまさに尾根にそった道。その途中にあるハングライダーの発進場なのでした。
ここから北側へ駆け下りた頃、風が強くなってきて急に気温が下がり始めました。
そういえば、まんぼうの常連さんが、これから「北風が吹いて寒くなる」と言っていました。
あんなに暖かかったので聞き流していましたが、さらに北上するにつれてその通りになってきた。
房総スカイラインに乗ろうとしてルートを間違えてしまったのもあり、心が折れて家路をまっしぐら。
帰り着いた頃は体が芯まで冷えて、歯がガチガチいうほど。
熱いお風呂に長らく浸かって解凍しました。
オマケ
師匠との遠征は省略しましたが、ちょっとだけ写真をアップしておきます。
林内の倒れた朽木をいったい何本叩いたかわかりませんが、とにかくオサムシは何もでませんでした。
たまに出てくるのはクチキムシの仲間とゴミダマの幼虫と、そして触角の模様と形が秀逸なこの子。
ニイクニヒメバチ (ヒメバチ科)
それと登山口まで詰め切ったとき、標識の上にいた子。
カメノコテントウ (テントウムシ科)
集団で越冬するはずですが仲間とはぐれたのか・・はやく越冬場所を探しなよと声をかけときました。
今日の湯加減
毎年この時期はオサホリに勤しんではいるものの、本来は寒がりなので実はかなり辛いのです。
逆に言えば、オサホリというモチベーションのおかげでフィールドに出られるとも言えます。
よく1月頃の湯加減に”春まで冬眠したい”と書いているのは本音なのです。
でもこの冬はちょっと・・いや、かなり違いますね。
本編のとおり、大みそかは別格だったとしても、普段手がかじかむこともほとんどないし。
だいたい手袋がいらないし、そういえば息が白くなったこともあんまりない気がします。
全国的に暖冬のようですが・・”暖冬”なんて悠長な言葉を使っていてはいけないと思い始めました。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
雨がよく降りますね。武蔵野台地もどこか暖かい。近所の臘梅が香ってきます。カイの仇をアワで討つ、ですか?紅いオサムシ、カッコいい。それにしても師走のスミレ、違う国みたいです。
by 高和です。 (2020-01-12 09:09)
中根(1962)やIM76でオサムシを学んだ世代なのでアワカズサオサ=ルイスオサと書いていただき、あぁなるほどと膝を叩いた次第です。旧い記憶はなかなか上書きされません。暖かい房総の虫捜しのお話をとても愉しく拝見いたしました。
by 通りすがり2 (2020-01-14 11:50)
通りすがり2さん、はじめまして。貴兄の「旧い記憶はなかなか上書きされません」に御意でございます。横山図鑑世代の小生も、最近の「ウスバアゲハ」なる呼び名がどうしてもなじめず往生しております(笑)。
by 高和です。 (2020-01-14 19:34)
ヤマナシ遠征は残念でしたね。
あと少し北上される際はぜひお声かけてくださいませ^^
今朝は久し振りに10センチ程度の新雪が積もりました♪
が、日が差すと途端に屋根の雪がドカンドカンと落ちて…
標高の高い場所でもそんな具合ですので、今年の雪不足は色々な弊害を巻き起こしているようです。
孫台風がようやく去り通常に戻りつつあります^^;
大変遅くなりましたが今年もどうぞよろしくお願いいたします。
by よしころん (2020-01-15 10:08)
>高和さん
アカオサをはじめて採ったときはその色合いに感動しました。
ウスバアゲハはやはりちょっと違和感がありますね^^;
>通りすがり2さん
やはりルイスオサがしっくりきますかね^^
あまり成果はあがりませんが愉しんでいただけたら幸いです。
>よしころんさん
こちらこそよろしくお願いします。ぜひおじゃましたいです。
やはり少雪なのですね・・エンジェルたちにはよかったかもですが。
ぜふ台風もよろしくお願いします^^
by ぜふ (2020-01-15 23:20)
大晦日、とても暖かかったコトを思い出しました。
20度もあったのですか!? ダウンジャケットで暑かったハズです。
菜の花ラーメンなんて、いいですね。菜の花、大好きです^^;。
by sakamono (2020-01-16 23:19)
>sakamonoさん
昼間は陽春でしたが、夕方からは厳冬でしたね^^;
菜の花はおいしいしヘルシーですね♪
by ぜふ (2020-01-17 23:01)
チバニアン認定おめでとうございます。
「伊豆半島と房総半島は大昔つながっていた」?
いま、千葉県は本州と陸続きではありません。江戸に入府後、水害の連続に手を焼いた徳川家康が旧利根川の水を銚子に流すようにしたため、本州と陸続きではなくなりました(笑)。
by 高和です。 (2020-01-18 14:51)
カールした触覚が男爵っぽくてかわいい。
パラグライダーの場所の見晴らしはすばらしい。
by 響 (2020-01-18 16:25)
>高和さん
チバニアンについては次記事で。
利根川はやはり縫い目ですね^^
>響さん
カールくんというキャラがあるような気がしますが・・それですね^^
発進場だから急斜面なので見晴らしがよいです♪
by ぜふ (2020-01-18 19:45)
今年は手袋を忘れて外出しても平気だし
ダウンコードは着てないし。
やっぱり気候が変わってるって思っちゃいます><
ニイクニヒメバチ、くるりんとした触覚が可愛い!
by リュカ (2020-01-20 13:00)