"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
リリィ [自然]
台風21号"BUALOI"でまた被害が拡大してしまったチバですが、あらためて被災された方へ謹んでお見舞い申し上げます。
メディアで伝えられているとおり、大災害となった中南部に比べて北西部は比較的軽度でした。
でも実は(心配で見に行ったのですが)北西部でも利根川河川敷などはかなり荒廃していました。
(各所の調整池が機能したともいえます)
就中心配だった利根川の御神木は・・残念ながらその姿を確認できませんでした・・。
さて、わがHFもチバ北西部ではあるので、根拠はないけれど少し楽天的に想像していました。
というよりむしろ怖くて見に行けていませんでした。
でもいずれは行かねばと。
恐る恐る様子を見に行ったのは、観察会が開催されるはずの10月20日。
最前の予想は、外れていたり、当たっていたり。
まず現地に着くなり出端をくじかれました。
観察会どころか、ロープが張られていました。
HFでもっとも気になるのは言うまでもなくハンノキ林。
入口から遠目に見る限りでは、傾いた木があるものの大きな被害はなさそうで少し胸をなでおろしました。
それはともかく、手前の田んぼを見ておどろきました。
HFの田んぼは実習田なのですが、手前に植えられているのは古代米。
稲穂がチカラシバのような黒っぽい紫色をしています。
その穂がほとんど倒れていないのです。
現代のブランド米のおいしさは、いずれもこの逞しさと引き換えなんだろうなと。
今まで何度か説明してきましたが、HFの正面入口から谷津田へ向かって少し進むと杉林があります。
その辺りはまるで伐採作業が終わったあとの林のようでした。
これは予想していなかった惨状でした。
まあ、苦しく前向きに考えれば、明るい林床が現れて下草がたくさん生えてくれそうだなと。
さて、度重なる暴風雨に荒らされたフィールドに棲む虫たちや如何にというところですが・・
畦道を歩いていて、ちらっと姿が見えたのが扉の子。
どこでどう難を逃れていたのでしょうか、たくましくサバイブしていたものだと驚嘆歓喜するばかり。
リターの中から出てきた姿は生命力を誇示するかのような艶をたたえた輝きがありました。
水路沿いの草むらにも何かいました。
わかりますか?
どうしてこんなにうまく周囲にまぎれるのかと感心するしかありません。
ところで、この記事のタイトル「リリィ」はクロマニヨンズの新アルバムの中の曲名です。
♪ 落ち葉についた ゴマダラが トンボに化けた 俺に気付いた ♪
”ゴマダラ”を”クロコノマ”に変えたら、まさにこの時トンボになっていたのかと空想すると楽しい。
接写しようとしたら飛び立って、目立つ場所にとまってくれました。
翅も傷んでいないようなので、羽化したのは台風のあとか。
それともどこかでうまく体を守っていたのか、実態は分かりませんが、脆そうなチョウもたくましい。
この子も秋のHFの定番の子。
利根川の河川敷の偵察時に観察できたのもこの子だった。
すぐ側にも、こんなときだからかもしれないけれど存在感を主張するカップルがいました。
そうだね、失礼なことに、ちゃんと興味を持って撮影したこともないかもしれない。
よく観察すると、雨風で傷んだ様子が見られないことに、再び失礼をおわびしつつ敬服しました。
とはいえ、さすがに虫影の薄い林縁を歩いていると、俄かに緊張感のある光景が視界に。
ゆっくり近づきつつ、テレコンを装着してなるべく距離をとって撮影。
巣があるようには見えなかったのですが好奇心に負けて、刺激しないようにさらに近づく。
小さな洞があって、その中にも入っていましたが、何をしようとしているのかは分かりませんでした。
いずれにしても彼らもまた暴風雨をサバイブしてこれから王国の再建をするのでしょう。
警戒して哨戒しにきた個体。
復興のジャマをしないように静かに回れ右をしました。
帰り際、見送ってくれた子もスレのないきれいな状態でした。
木々はかなりのダメージがあり、観察会再開にむけて整備をされる方々はこれから大変だと思います。
一方でしなやかに風に耐えたイネや土の下に潜行したり藪の奥に隠れたりしてやりすごした虫たちも。
畏敬という意味で予想外に、小さな動物たちはそれぞれたくましく生き残っていました。
家からバイクで10分ちょっとの場所にJAの直売所があります。
チバ産のものが多いけど、地産地消の拠点かというとそうではなくて、全国の農産物が並んでいます。
そこへ先週、お遣い物の品を買いに行き、発送伝票を書いて店を出ようとした時。
出入り口脇の棚に飼育ケースが並んでいました。
ここではよく、珍しいメダカが売られていることは知っていました。
農家の方かJAの関係者がブリードしているのを委託販売しているのだと思います。
いっぱい並んでいるメダカケースに紛れて、無視できないラベルのついた虫カゴがありました。
ひとつだけ。
これもまさにブリードされた個体ですが、こういう店では買い手が少ないのでしょう。
とても魅力的な値札が付いていたので、思わず手が伸びてしまいました。
家にお連れして入居記念の撮影を。
オサムシでいうとマークのような鞘翅の条刻が特異的で魅力的です。
ペアでした。
南西諸島に分布するクワガタで、この子たちは徳之島産ルーツ。
メイティングのため同居させていましたが、そろそろ別居してもらいます。
今日の湯加減
メディアで伝えられているとおり、大災害となった中南部に比べて北西部は比較的軽度でした。
でも実は(心配で見に行ったのですが)北西部でも利根川河川敷などはかなり荒廃していました。
(各所の調整池が機能したともいえます)
就中心配だった利根川の御神木は・・残念ながらその姿を確認できませんでした・・。
さて、わがHFもチバ北西部ではあるので、根拠はないけれど少し楽天的に想像していました。
というよりむしろ怖くて見に行けていませんでした。
でもいずれは行かねばと。
恐る恐る様子を見に行ったのは、観察会が開催されるはずの10月20日。
最前の予想は、外れていたり、当たっていたり。
まず現地に着くなり出端をくじかれました。
観察会どころか、ロープが張られていました。
HFでもっとも気になるのは言うまでもなくハンノキ林。
入口から遠目に見る限りでは、傾いた木があるものの大きな被害はなさそうで少し胸をなでおろしました。
それはともかく、手前の田んぼを見ておどろきました。
HFの田んぼは実習田なのですが、手前に植えられているのは古代米。
稲穂がチカラシバのような黒っぽい紫色をしています。
その穂がほとんど倒れていないのです。
現代のブランド米のおいしさは、いずれもこの逞しさと引き換えなんだろうなと。
今まで何度か説明してきましたが、HFの正面入口から谷津田へ向かって少し進むと杉林があります。
その辺りはまるで伐採作業が終わったあとの林のようでした。
これは予想していなかった惨状でした。
まあ、苦しく前向きに考えれば、明るい林床が現れて下草がたくさん生えてくれそうだなと。
さて、度重なる暴風雨に荒らされたフィールドに棲む虫たちや如何にというところですが・・
畦道を歩いていて、ちらっと姿が見えたのが扉の子。
どこでどう難を逃れていたのでしょうか、たくましくサバイブしていたものだと驚嘆歓喜するばかり。
リターの中から出てきた姿は生命力を誇示するかのような艶をたたえた輝きがありました。
セアカヒラタゴミムシ (オサムシ科)
水路沿いの草むらにも何かいました。
わかりますか?
どうしてこんなにうまく周囲にまぎれるのかと感心するしかありません。
ところで、この記事のタイトル「リリィ」はクロマニヨンズの新アルバムの中の曲名です。
♪ 落ち葉についた ゴマダラが トンボに化けた 俺に気付いた ♪
クロコノマチョウ (タテハチョウ科)
”ゴマダラ”を”クロコノマ”に変えたら、まさにこの時トンボになっていたのかと空想すると楽しい。
接写しようとしたら飛び立って、目立つ場所にとまってくれました。
同上
翅も傷んでいないようなので、羽化したのは台風のあとか。
それともどこかでうまく体を守っていたのか、実態は分かりませんが、脆そうなチョウもたくましい。
この子も秋のHFの定番の子。
コバネイナゴ (バッタ科)
利根川の河川敷の偵察時に観察できたのもこの子だった。
同上
すぐ側にも、こんなときだからかもしれないけれど存在感を主張するカップルがいました。
そうだね、失礼なことに、ちゃんと興味を持って撮影したこともないかもしれない。
オンブバッタ ペア (バッタ科)
よく観察すると、雨風で傷んだ様子が見られないことに、再び失礼をおわびしつつ敬服しました。
とはいえ、さすがに虫影の薄い林縁を歩いていると、俄かに緊張感のある光景が視界に。
ゆっくり近づきつつ、テレコンを装着してなるべく距離をとって撮影。
巣があるようには見えなかったのですが好奇心に負けて、刺激しないようにさらに近づく。
小さな洞があって、その中にも入っていましたが、何をしようとしているのかは分かりませんでした。
いずれにしても彼らもまた暴風雨をサバイブしてこれから王国の再建をするのでしょう。
警戒して哨戒しにきた個体。
ムモンホソアシナガバチ (スズメバチ科)
復興のジャマをしないように静かに回れ右をしました。
帰り際、見送ってくれた子もスレのないきれいな状態でした。
アカタテハ (タテハチョウ科)
木々はかなりのダメージがあり、観察会再開にむけて整備をされる方々はこれから大変だと思います。
一方でしなやかに風に耐えたイネや土の下に潜行したり藪の奥に隠れたりしてやりすごした虫たちも。
畏敬という意味で予想外に、小さな動物たちはそれぞれたくましく生き残っていました。
オマケ
家からバイクで10分ちょっとの場所にJAの直売所があります。
チバ産のものが多いけど、地産地消の拠点かというとそうではなくて、全国の農産物が並んでいます。
そこへ先週、お遣い物の品を買いに行き、発送伝票を書いて店を出ようとした時。
出入り口脇の棚に飼育ケースが並んでいました。
ここではよく、珍しいメダカが売られていることは知っていました。
農家の方かJAの関係者がブリードしているのを委託販売しているのだと思います。
いっぱい並んでいるメダカケースに紛れて、無視できないラベルのついた虫カゴがありました。
ひとつだけ。
これもまさにブリードされた個体ですが、こういう店では買い手が少ないのでしょう。
とても魅力的な値札が付いていたので、思わず手が伸びてしまいました。
家にお連れして入居記念の撮影を。
スジブトヒラタクワガタ (クワガタムシ科)
オサムシでいうとマークのような鞘翅の条刻が特異的で魅力的です。
ペアでした。
同上 ♀
南西諸島に分布するクワガタで、この子たちは徳之島産ルーツ。
メイティングのため同居させていましたが、そろそろ別居してもらいます。
今日の湯加減
前記事で”詳しくは次回”と書きましたが、予定を変更しました。
やっぱりHFのことも記録(ログ)として残しておきたくて。
台風被災地の方には申し訳ないですが、10月はほとんどフィールドワークできませんでした。
関東各地の10月の雨の日はどこも20日以上。東京も雨の日が24日もあったとか。
これからの晩秋はどうぞ穏やかでありますように。
そして迎える冬も長く厳しくないことを無責任に願うばかりです。
”黄金虫”という歌詞もありました
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
アシナガハチにも、このような色の薄い(脱色したような)種類があるのですね。滅多にないですが、こんな風にハチが沢山ぶら下がっているのを見たことがあります。
蟻君は、巣が決壊すると、すぐに補修しますね。
>伐採作業が終わったあとの林のよう
それにしても、海水温の上昇をなんとかしないと(できるものやら分かりませんが)、巨大台風が毎年のように来襲して、住宅建築、土木、治水、損害保険など諸々に大きな見直しが必要になってしまいそうです。
by アヨアン・イゴカー (2019-11-03 10:08)
大変な10月でした。
台風が2発と半分。半分というのは21号崩れ、尤もこいつもくわせものでした。
小生がアドバイザーをお願いしているAさんの世田谷のご実家が床上浸水に見舞われました。多摩川が逆流して内水氾濫を起こし、一階は胸の高さまで泥水が入り込んだとのこと。人的被害はなかったらしく、ご両親もご無事、2階においてあった彼の標本も難を逃れたとメールで返信がありました。
彼の職場は相模原で、F会もしばしば採集観察会を催行させていただいていますが、そちらが気になっていたところに、被災の知らせ(それも第三者経由で)。
足元をすくわれました!
by 高和です。 (2019-11-03 15:33)
>sakamonoさん
彼らもサバイバーだと思いますが、よく群れを保てたものだと。
結局は温暖化を止めないといけないということでしょうね。
>高和さん
高層住居の停電とか地下部分の冠水とか水害による火災とか・・
どこに災害の原因があるかわかりませんね。
by ぜふ (2019-11-04 23:52)
逞しいなーと思いながら写真見ました。
ほんとに、温暖化をなんとかしないと
これからも被害は出てきそうです。
今日は洗濯物を干していたら蜂が一匹飛んでました。
洗濯物をばんばん振って、シワをのばしてから干してたのですが
刺激しちゃだめかなって思って、そーーーっと干しました(笑)
by リュカ (2019-11-05 18:04)
森がばっさりと倒れてて心が痛みます。
やはり植林された樹は弱いですね。
アシナガバチの大群はやはり巣があるのかな?
by 響 (2019-11-06 14:06)
10月って雨が多かった印象がありましたが、やっぱりそうでしたか。
あらためて、日数を聞いて驚きました。
ハチは、クッキリとした黄色と黒の縞々のイメージでしたが、
このアシナガバチは、薄い色の縞模様ですね。
こんな色合いのハチを初めて見ました。
by sakamono (2019-11-07 22:28)
>リュカさん
まずは省エネ。フードマイレージも大事ですね。
今は巣作りのシーズンですからね。
お気遣いいただきありがとうございます^^
>響さん
そういう意味では全国のスギヒノキ林は弱いですね。
これはたぶん巣作りではなくて越冬場所の調査ではないかと。
>sakamonoさん
関東地方などは今年は梅雨が2度あった感じですね。
このハチはほんと脱色したかのような色合いですが、これでも警戒色になっているのでしょうか・・
by ぜふ (2019-11-07 23:54)
逞しいです。木々の傷んでいるのは、悲しいです、それでも再生、活性への道のり、兆しへと、切り替えて考えていかないと、
気候の変数が高すぎ、予想を超えています、掲示ですよね、お気楽に便利にかまえていられない、、
お連れした子、立派なこと、楽しみが増えましたね
by engrid (2019-11-08 17:15)
>engridさん
北西部も場所によっては大きな被害がでていることがわかりました。
しばらく観察会はできないと思いますが、きっと再開はします。
スジブトたちとの出会いは運命だったかも^^
by ぜふ (2019-11-08 20:49)