"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
雨上がりのビオトープ [自然]
最近のチバは(チバだけではありませんが)春の嵐というのが生易しいと思うほどの暴風が多い。
4月になってから毎週、台風並みの風が吹く日がありました。
14日から15日にかけても猛烈な嵐でした。(雨はそれほどでもありませんでしたが)
大分県の耶馬渓の山崩れの原因も雨だけではなく、強風の影響があったとのことです。
元々緩んでいた崖の木々が風に揺らされ、振動が土砂に伝わって崩壊したとか。
さて、せっかくの土日も出かけられず仕舞いかと諦めていたのですが、日曜日はお昼前には雨も上がり薄日すら射しはじめ、風もウソのように収まってきました。
念のため天気予報サイトの雨雲レーダーを確認すると、夕方からまた雨雲が近づいてくる模様。
ならば近場の偵察にということで、護岸工事が気になっていたS川へ向かうことに。

虫の名前は本篇にて。
S川の上流(とはいっても山でも何でもなく郊外の住宅地エリア)にはビオトープがあります。
元々S川は農村地帯や田園地帯ということでもない里山に沿って流れ、周辺は穏やかな環境だったのではないかと簡単に想像ができるほど、のどかで静かな雰囲気があふれています。

ここは川沿いの小規模な沼や湿地だったのでしょう。夏にはホタルも飛ぶのです。
ずいぶん前からボランティアの方たちがコツコツと整備して、散策もできるほどになりました。
最初にここを訪れたのは6年前だと思うのですが、その頃と比べても見違えるようです。
そう、ビオトープ内は見違えるように整備されても何ら問題はないのですが、川の護岸は話が違う。
氾濫が危惧されることがない川を護岸工事する理由は何か。まったく想像できません。

ビオトープの散策の前にあえて周辺(外縁)の観察をすることにしました。
雨は上がったとはいえ、暴風が吹いていた直後なので期待はしていなかったのです。
というイイワケは不要でした。
最初に見つけたのは意外にも。

体長はわずか3ミリ。クズノキチビタマムシかな。
とまっていた葉は風で揺れていましたが、さっきまでの強風の時は一体どこにしがみついていたのかと。
答えはしてくれないまま林の中へ飛び去って行きました。
チビタマが現れるくらいなら他にも観察できるぞと丹念に葉の上などを探すと・・
この子も越冬明けでしょうか。

驚かせなければ匂い攻撃はしてこないのですが、本気にさせたら悶絶コース行きの四天王の一人。
ちなみにあと三人(種)は、クサギカメムシ、マルカメムシ、アオクサカメムシ。(個人の感想です)
最後の子は子供の頃にうっかり掴んでくらってしまった匂いの記憶がいまだにあります。
ということで、なるべく刺激しないように気を付けてさようなら。
(カメムシは臭くない種の方が多いのですが四天王には気を付けましょう)
次に見つけたのは、ひと目はテントウムシに見えました。

体長5~6ミリ。名前のとおりフジの葉を食べるようです。
この子は風が当たらない場所に避難していて撮りにくかったのでちょっとつついて撮影しました。
見かけない蛾は同定するのが大変なので(嫌いではなく)あまり撮影しないようにしているのですが、
この子は装いがたわやかで色合いもすみやかだったのでつい撮ってしまいました。

まるで和装にファーマフラーをまとったセレブのようです。
ヤガの仲間だと思っていたので、案の定あとで同定するのにとても苦労しました。

林縁の端まで来てしまったのでビオトープへ出ることに。

何かいないかなと、今度は腰をかがめて畦沿いに生える草を丹念にチェック。
まず見つけたのはこれも春の定番虫。

体長約10ミリ。毎回書きますが、”ヒゲナガ・ハナノミ”ではなく、”ヒゲ・ナガハナノミ”です。

まあ本人は気にしていないでしょうけど。
それからもっともたくさん観察できたのが扉の虫だったのです。

スゲハムシは水辺が好きなようでビオトープはまさにおあつらえ向きの観察ポイント。
体色の個体変異が際立つことでも知られています。


ふと見上げると畦に立つ細い灌木の梢に鳥の巣があるのを見つけ、しばらくぼぉっと眺めていると・・
「それはヒヨドリの巣です」と上品なマダムに声をかけられました。
フィールドノートらしきものとエンピツを持っていたので、ここの関係者だとすぐわかりました。
怪しまれないように「こちらはずいぶんきれいに整備されましたね」と一見でないことを伝えると。
このビオトープの植生を説明してくれました。
下流で絶えかけていたフジバカマを移植したら増えてくれてアサギマダラが来るようになったとか。
こちらは虫の観察が目的で、実はシオヤトンボが出てないかと見に来ましたと話をしていると・・
お呼びですかと林縁の方からこちらへ羽化したての柔らかい翅をキラキラときらめかせて・・

ちょっと遠かったのでこれがせいぜい。
羽化したてなので雌雄の区別もつきませんが、マダムがオスとわかる個体も出てましたよと。
ほどなく見つけられました。

もっと大勢いたのですが散らしてしまいました。

オスはシオカラトンボとそっくりですが、これが一瞬で見分けられればトンボ博士。
次に見つけた虫はいったん捕まえてマダムにお見せしました。
ついでにステージに立ってもらってモデル撮影を。




以上は連続写真ではなく、何度も飛び立ちそうになったところを撮ったものです。
他のコメツキムシとは違い翅に光沢がなく、鉄のサビの色に似ているのが名前の由来。
漢字だと”錆樵”と書きます。(”錆木樵”とも)

この後もう一人、ボランティアで整備・保全活動をされている方が現れ、しばらく3人で立ち話。
護岸工事のこともやはり危惧されていましたが、チョウトンボが絶滅していないことが分かり安堵。
HFの観察員の方など、共通の知り合いがいることも分かりました。
うれしい虫も見つけました。(チバ市内で観察したのははじめてかも)

そろそろタイムアップということでビオトープを後にして、少し下流の土手の様子を見に行きました。
途中またちょいちょい虫を見つけてなかなか前に進めない。
ピン君もいました。

この子たちはあまり匂わないかと。

まだここの土手は無事でした。

帰り道にビオトープの上にかかる橋の上から。

実は1か月ほど前、前述の林の中へゴミホリに来ていたのです。その時に同じところから撮った写真。

その日のレポートを記録として少し。
林の中はやはり乾燥していて、崖は広くあるものの唖然とするほどゴミムシ類は出ませんでした。

早々に見切って移動。GoogleMapでは手つかずの森のように見える市原市永吉というエリアへ。
結果的にはいいポイントは見つからず、唯一いい様子の小崖で試掘するも。

出たのはこの子だけでした・・

手つかずの森に囲まれた草原はちょっと変わった畑でした。

南西諸島へ行ってきたスタッフからおみやげ虫をもらいました。

みんな仲良くストローをゼリーに刺して、ちうちうちう。
名前にナナホシと付いていますが、写真のとおり個体変異があり、6星だったり8星だったり・・
あ、臭くはありません。
今日の湯加減
4月になってから毎週、台風並みの風が吹く日がありました。
14日から15日にかけても猛烈な嵐でした。(雨はそれほどでもありませんでしたが)
大分県の耶馬渓の山崩れの原因も雨だけではなく、強風の影響があったとのことです。
元々緩んでいた崖の木々が風に揺らされ、振動が土砂に伝わって崩壊したとか。
さて、せっかくの土日も出かけられず仕舞いかと諦めていたのですが、日曜日はお昼前には雨も上がり薄日すら射しはじめ、風もウソのように収まってきました。
念のため天気予報サイトの雨雲レーダーを確認すると、夕方からまた雨雲が近づいてくる模様。
ならば近場の偵察にということで、護岸工事が気になっていたS川へ向かうことに。

虫の名前は本篇にて。
S川の上流(とはいっても山でも何でもなく郊外の住宅地エリア)にはビオトープがあります。
元々S川は農村地帯や田園地帯ということでもない里山に沿って流れ、周辺は穏やかな環境だったのではないかと簡単に想像ができるほど、のどかで静かな雰囲気があふれています。

ここは川沿いの小規模な沼や湿地だったのでしょう。夏にはホタルも飛ぶのです。
ずいぶん前からボランティアの方たちがコツコツと整備して、散策もできるほどになりました。
最初にここを訪れたのは6年前だと思うのですが、その頃と比べても見違えるようです。
そう、ビオトープ内は見違えるように整備されても何ら問題はないのですが、川の護岸は話が違う。
氾濫が危惧されることがない川を護岸工事する理由は何か。まったく想像できません。

ビオトープの散策の前にあえて周辺(外縁)の観察をすることにしました。
雨は上がったとはいえ、暴風が吹いていた直後なので期待はしていなかったのです。
というイイワケは不要でした。
最初に見つけたのは意外にも。

チビタマムシの仲間 (タマムシ科)
体長はわずか3ミリ。クズノキチビタマムシかな。
とまっていた葉は風で揺れていましたが、さっきまでの強風の時は一体どこにしがみついていたのかと。
答えはしてくれないまま林の中へ飛び去って行きました。
チビタマが現れるくらいなら他にも観察できるぞと丹念に葉の上などを探すと・・
この子も越冬明けでしょうか。

チャバネアオカメムシ (カメムシ科)
驚かせなければ匂い攻撃はしてこないのですが、本気にさせたら悶絶コース行きの四天王の一人。
ちなみにあと三人(種)は、クサギカメムシ、マルカメムシ、アオクサカメムシ。(個人の感想です)
最後の子は子供の頃にうっかり掴んでくらってしまった匂いの記憶がいまだにあります。
ということで、なるべく刺激しないように気を付けてさようなら。
(カメムシは臭くない種の方が多いのですが四天王には気を付けましょう)
次に見つけたのは、ひと目はテントウムシに見えました。

フジハムシ (ハムシ科)
体長5~6ミリ。名前のとおりフジの葉を食べるようです。
この子は風が当たらない場所に避難していて撮りにくかったのでちょっとつついて撮影しました。
見かけない蛾は同定するのが大変なので(嫌いではなく)あまり撮影しないようにしているのですが、
この子は装いがたわやかで色合いもすみやかだったのでつい撮ってしまいました。

アオスジアオリンガ (コブガ科)
まるで和装にファーマフラーをまとったセレブのようです。
ヤガの仲間だと思っていたので、案の定あとで同定するのにとても苦労しました。

林縁の端まで来てしまったのでビオトープへ出ることに。

ノイチゴ
何かいないかなと、今度は腰をかがめて畦沿いに生える草を丹念にチェック。
まず見つけたのはこれも春の定番虫。

ヒゲナガハナノミ ♂(ナガハナノミ科)
体長約10ミリ。毎回書きますが、”ヒゲナガ・ハナノミ”ではなく、”ヒゲ・ナガハナノミ”です。

同上
まあ本人は気にしていないでしょうけど。
それからもっともたくさん観察できたのが扉の虫だったのです。

スゲハムシ (ハムシ科)
スゲハムシは水辺が好きなようでビオトープはまさにおあつらえ向きの観察ポイント。
体色の個体変異が際立つことでも知られています。

同上

ふと見上げると畦に立つ細い灌木の梢に鳥の巣があるのを見つけ、しばらくぼぉっと眺めていると・・
「それはヒヨドリの巣です」と上品なマダムに声をかけられました。
フィールドノートらしきものとエンピツを持っていたので、ここの関係者だとすぐわかりました。
怪しまれないように「こちらはずいぶんきれいに整備されましたね」と一見でないことを伝えると。
このビオトープの植生を説明してくれました。
下流で絶えかけていたフジバカマを移植したら増えてくれてアサギマダラが来るようになったとか。
こちらは虫の観察が目的で、実はシオヤトンボが出てないかと見に来ましたと話をしていると・・
お呼びですかと林縁の方からこちらへ羽化したての柔らかい翅をキラキラときらめかせて・・

シオヤトンボ (トンボ科)
ちょっと遠かったのでこれがせいぜい。
羽化したてなので雌雄の区別もつきませんが、マダムがオスとわかる個体も出てましたよと。
ほどなく見つけられました。

もっと大勢いたのですが散らしてしまいました。

シオヤトンボ ♂ (トンボ科)
オスはシオカラトンボとそっくりですが、これが一瞬で見分けられればトンボ博士。
次に見つけた虫はいったん捕まえてマダムにお見せしました。
ついでにステージに立ってもらってモデル撮影を。

サビキコリ (コメツキムシ科)



以上は連続写真ではなく、何度も飛び立ちそうになったところを撮ったものです。
他のコメツキムシとは違い翅に光沢がなく、鉄のサビの色に似ているのが名前の由来。
漢字だと”錆樵”と書きます。(”錆木樵”とも)

この後もう一人、ボランティアで整備・保全活動をされている方が現れ、しばらく3人で立ち話。
護岸工事のこともやはり危惧されていましたが、チョウトンボが絶滅していないことが分かり安堵。
HFの観察員の方など、共通の知り合いがいることも分かりました。
うれしい虫も見つけました。(チバ市内で観察したのははじめてかも)

カメノコテントウ (テントウムシ科)
そろそろタイムアップということでビオトープを後にして、少し下流の土手の様子を見に行きました。
途中またちょいちょい虫を見つけてなかなか前に進めない。
ピン君もいました。

ヤブキリの幼虫 (キリギリス科)
この子たちはあまり匂わないかと。

ナガメ (カメムシ科)
まだここの土手は無事でした。

帰り道にビオトープの上にかかる橋の上から。

4/15 撮影
実は1か月ほど前、前述の林の中へゴミホリに来ていたのです。その時に同じところから撮った写真。

3/18 撮影
その日のレポートを記録として少し。
林の中はやはり乾燥していて、崖は広くあるものの唖然とするほどゴミムシ類は出ませんでした。

早々に見切って移動。GoogleMapでは手つかずの森のように見える市原市永吉というエリアへ。
結果的にはいいポイントは見つからず、唯一いい様子の小崖で試掘するも。

出たのはこの子だけでした・・

ニホントカゲの幼体
手つかずの森に囲まれた草原はちょっと変わった畑でした。

オマケ
南西諸島へ行ってきたスタッフからおみやげ虫をもらいました。

ナナホシキンカメムシ (カメムシ科)
みんな仲良くストローをゼリーに刺して、ちうちうちう。
名前にナナホシと付いていますが、写真のとおり個体変異があり、6星だったり8星だったり・・
あ、臭くはありません。
今日の湯加減
今日は一年ぶりに千葉県立中央博物館主催のフィールドミュージアムに行ってきました。
観察会は午後からだったのですが、朝から出かけて現地入り。
房総も夏日の予想でしたが、風がやや強かったのが幸いし、ツーリングの湯加減としてはベスト。
そんな貴重な日和の一日でした。(詳細は次記事にて)
さあ、明日はファーブル会の採集会の開幕戦。
天気予報では気温はさらにヒートアップするとのことですが、参加者の方たちの意気込みもいかほどかと。
早く寝なきゃ。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
おはようございます
雲のフィルターが64たちの美しさを引き立てているようです^^
スゲハムシの2枚は特に見入ってしまいました。
羽化したてのシオヤトンボ はゴールド仕様なのですね~(゚Д゚)
しかし、それにしても暑すぎる…(><)
by よしころん (2018-04-22 07:15)
カメムシたちが出始めているんですね、今年はまだ出会ってません
シオヤトンボを見たら、昔の記憶からシオカラトンボと思ってしまいます。はっきりした違いを覚えなければ行けませんね。
by g_g (2018-04-22 07:23)
こんにちは^^
さすがにここまで暖かくなるといろんな昆虫がお出ましですね
by mimimomo (2018-04-22 12:57)
>よしころんさん
この日もそうですが、いつも時間に余裕がなく、手抜き撮影ばかり。
スゲハムシはFD使ってフラッシュ撮影しましたが、たまたま露出が○^^;
>g_gさん
カメムシたちは越冬するのが多いのでもう活動開始しているでしょう。
この時期はまださすがにシオカラトンボは出てないですね。
>mimimomoさん
花も早いですよね。
みんな一緒にまわってますね。
by ぜふ (2018-04-23 23:54)
コメツキムシの飛び立つ瞬間凄い!
何度もチャンスをくれるなんて
親切な子だ。
by 響 (2018-04-26 18:26)
カメムシといえば臭い虫、というイメージしかありませんでしたが、
実は臭くない種の方が多い? カメムシにもたくさんの種類がいる
んでしたね^^;。1枚目のシオヤトンボの写真、金色に見えます。
by sakamono (2018-04-26 22:04)
>響さん
ほんとに注文どおりのいいモデルさんでした。
そもそも飛ぶのは得意ではない虫ですけどね^^
>sakamonoさん
臭くない子が多いですが、臭い子は個体数が多いという・・^^;
シオヤトンボはまさに輝いていました♪
by ぜふ (2018-04-26 23:21)