"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
アオゴミムシたちの集団越冬 [オサムシ]
年が明けてしまいましたが、内容は昨年のことです。
世間ではクリスマスイブといわれる12月24日、利根川方面を新規開拓すべくベニシジミ(春型)号を走らせました。
狙いは河川敷などに生息する(冬眠している)マイマイカブリ。
ただ、例によってグーグルマップを眺めて今回目的地に選んだのは河川敷ではなく、とある沼の畔でした。
オスはその名のごとく立派なヒゲを持っていますが、メスは普通のコメツキムシ。
(オスの写真はこちらの記事にあります)
そう、結果を先に書くと、お目当ての虫は見つからずでした。
でも、普通は春~夏にしか観察できないコメツキムシに会えました。
ナビに連れられて当初の目的地である沼へは問題なくたどり着きました。
それほど大きくはない(とはいっても東西に2kmくらいある)沼ですが、グーグルアースで見ると東端の一角が灌木の林か草原のようで、しかも細い道がついていて近くまで行けそうだったのです。
ところが行ってみるとそのエリアは辺り一面の葦原でした。灌木はまったくなし。
これでは目当ての虫は期待できず、そもそも枯れた背の高い葦が密集していて入れそうにありません。
この日も遅い出発で、もうお昼もとっくに過ぎていたこともあり、さっさと諦めて現地を後にしました。
さて、どうするか・・実は、そこへ行く途中、雰囲気のいい谷津田の脇を通過していたのです。
新規開拓が目的ですからそこの様子を見に行くことにしました。
道路側からはわからなかったのですが、そこは意外にも大きな谷津田でした。
しかも周りが(杉が多いですが)林に囲まれていて、林縁にそって低い斜面が延々と続いていたのです。
適度に湿り気がありそうなところに見当をつけて試掘しながら歩きました。
指標虫であるミミズやムカデやカメムシが出ないので、期待外れかと思っていたら、いきなりヒゲコメツキが出土したのです。
先日の富士山の記事でも紹介しましたが、マイマイカブリ狙いで倒木などを掘っていると、コメツキムシの仲間の幼虫はよくでてきます。
でも、成虫が土の中から出てくるとは驚きでした。(恥ずかしながら成虫でも越冬することを今回知りました)
谷津田はどこまでも続くようでした。
しかし目ぼしい虫がでてきません。指標虫もたまに小さなムカデなどが出てくるだけ。
大体様子がわかったので、そろそろ打ち切りにしようかと思った矢先に目の前にこんな光景が現れたのです。
これはまるで、ファーブルがツチスガリを観察した南仏カルパントラの切通のようではありませんか。(大げさか)
あいにく崖は南西向きのため陽当たりがよく、土が乾いていました。
それでも、乾燥していても平気な指標虫(ムカデやゲジ)はたくさん出てきました。
これは期待できるぞとオーバーハングしていたり、木の枝の影になっていてカラカラではないところを掘りました。
すると間もなく・・
大きなおしり。
大型のゴミムシ、スジアオくんでした。
俄然、心も奮い立ってきました。
こんなポイントも狙い目です。
ビンゴでした。
おや?今度は集団のようです。
しかも、色んなおしりが見えています。
名前は室内で撮影した写真で紹介します。
まずは基本の緑色の子。
少し黒っぽい子。
キベリの子。
少し大きくて、おしりに模様のある子。
そして最初に単独で出た、一番大きい子。
さて、彼らの共通点はおわかりでしょうか。
そうですね、皆、”アオゴミムシ”の仲間です。
だからもめることもなく一緒に越冬できるのでしょうか?
集団越冬する虫はいわゆる集合フェロモンを出して仲間を呼び寄せ合います。
アオゴミムシはフェロモンもさることながら、特有の強烈な匂いを発するので、仲間でないと耐えられないのか。
それは分かりませんが、このように混成チームで集団越冬することもあるということです。
(スジアオくんだけはでかすぎて仲間に入れてもらえなかったのかしら)
ともかく、必要十分条件を満たしている、ゴミホリ(ゴミムシ掘りの略)の好ポイントを見つけることができました。
あまり荒らしたくないので、これで打ち止めとしましたが、せっかくなので一番奥まで行ってみることに。
すると谷津田の一番奥は新興住宅街の端。 その手前に小さな貯水池がありました。
図らずもこれで、先日の大不発ゴミホリのリベンジを果たせました。
また来シーズン、様子を見に来たいと思いますが、どうかこのまま条件を満たした環境でありますように。
しかし、まだオサホリ(オサムシ掘りの略)の掘り納めができていません。
なので、暮れも押し迫った30日、外房へ出かけてきました。
前記事で報告した、トンボの沼に寄ってから御宿へ。
狙いはズバリ、御宿ラベルのアオオサムシ。
とあるポイントへ二度三度アタックするも、いつも出るのはアワカズサばかり。
アオオサがまったくいないとは思えない場所なので、なんとかひとつでも掘り当てたい。
一年ぶりに訪れたのですが、ポイントの沢の場所が分からなくて行ったり来たり。
やっと見つけて掘り出すも、やはり出てくるのはアワカズサ。
このブログでは何度も紹介していますが、アオオサよりも小柄なルイスオサムシの房総半島南部亜種。
ところが、今回はアワカズサすらなかなか出てきませんでした。
前回よりもかなり沢の奥まで入ってみましたが出てくるのは・・
アオガエルくんや・・(埋め戻しました)
セミの幼虫(埋め戻しました)など。
踵を返して沢を下りながらローラーしなおしたら帰ろう、と入口近くまで降りてきたとき。
宝を掘りあてました。
よく見るとわかると思いますが、もう少しでクラッシュさせるところでした。
バチツルの切っ先の跡がちょうどオサムシの左右ギリギリのところに入っていました。
(映っている道具は慎重に掘り出すために持ち変えた熊手です)
一見、アワカズサと見間違うような赤っぽい色をしていますが、接写してみるとアオオサらしさがはっきりと。
これでやっと気持ちよく掘り納めができました。
(実は性懲りもなくこの翌日もポイント探しに行ったのですが、その話は割愛します)
このあと、ちょっと遠回りでしたが、食べ納めもしにカモガワにカレー味噌ラーメンを食べに行ったのでした。
年が明けて元日。
暖かかったので今度は掘り初めに行こうかとも思いましたが、まずは初詣に行くことにしました。
目指すはいつか偶然訪れた、虫屋のための神社「六社神社」(ろくしゃじんじゃ)。
と思ったのですが、その場所はやや遠いため躊躇しました。
そこでふと、他にもあるのでは?とネットで調べたところ、やはり六社神社という神社は全国にありました。
同じ由来の「六所神社」という神社もあるようですが、やはりここは”むしや”でなければ。
つぶさに調べるとチバにはもう一軒だけ「六社神社」があることがわかりました。
しかもなんと、HFの比較的近くに。
ということでお参りに。
もちろんHFにも立ち寄ったのですが、そのことはまた次回にでも。
今日の湯加減
世間ではクリスマスイブといわれる12月24日、利根川方面を新規開拓すべくベニシジミ(春型)号を走らせました。
狙いは河川敷などに生息する(冬眠している)マイマイカブリ。
ただ、例によってグーグルマップを眺めて今回目的地に選んだのは河川敷ではなく、とある沼の畔でした。
ヒゲコメツキ ♀ (コメツキムシ科)
オスはその名のごとく立派なヒゲを持っていますが、メスは普通のコメツキムシ。
(オスの写真はこちらの記事にあります)
そう、結果を先に書くと、お目当ての虫は見つからずでした。
でも、普通は春~夏にしか観察できないコメツキムシに会えました。
ナビに連れられて当初の目的地である沼へは問題なくたどり着きました。
それほど大きくはない(とはいっても東西に2kmくらいある)沼ですが、グーグルアースで見ると東端の一角が灌木の林か草原のようで、しかも細い道がついていて近くまで行けそうだったのです。
ところが行ってみるとそのエリアは辺り一面の葦原でした。灌木はまったくなし。
これでは目当ての虫は期待できず、そもそも枯れた背の高い葦が密集していて入れそうにありません。
この日も遅い出発で、もうお昼もとっくに過ぎていたこともあり、さっさと諦めて現地を後にしました。
さて、どうするか・・実は、そこへ行く途中、雰囲気のいい谷津田の脇を通過していたのです。
新規開拓が目的ですからそこの様子を見に行くことにしました。
道路側からはわからなかったのですが、そこは意外にも大きな谷津田でした。
しかも周りが(杉が多いですが)林に囲まれていて、林縁にそって低い斜面が延々と続いていたのです。
適度に湿り気がありそうなところに見当をつけて試掘しながら歩きました。
指標虫であるミミズやムカデやカメムシが出ないので、期待外れかと思っていたら、いきなりヒゲコメツキが出土したのです。
同上
先日の富士山の記事でも紹介しましたが、マイマイカブリ狙いで倒木などを掘っていると、コメツキムシの仲間の幼虫はよくでてきます。
でも、成虫が土の中から出てくるとは驚きでした。(恥ずかしながら成虫でも越冬することを今回知りました)
谷津田はどこまでも続くようでした。
しかし目ぼしい虫がでてきません。指標虫もたまに小さなムカデなどが出てくるだけ。
大体様子がわかったので、そろそろ打ち切りにしようかと思った矢先に目の前にこんな光景が現れたのです。
これはまるで、ファーブルがツチスガリを観察した南仏カルパントラの切通のようではありませんか。(大げさか)
あいにく崖は南西向きのため陽当たりがよく、土が乾いていました。
それでも、乾燥していても平気な指標虫(ムカデやゲジ)はたくさん出てきました。
これは期待できるぞとオーバーハングしていたり、木の枝の影になっていてカラカラではないところを掘りました。
すると間もなく・・
大きなおしり。
大型のゴミムシ、スジアオくんでした。
スジアオゴミムシ (ゴミムシ科)
俄然、心も奮い立ってきました。
こんなポイントも狙い目です。
ビンゴでした。
おや?今度は集団のようです。
しかも、色んなおしりが見えています。
ゴミムシの仲間の集団越冬
名前は室内で撮影した写真で紹介します。
まずは基本の緑色の子。
アオゴミムシ (ゴミムシ科)
少し黒っぽい子。
コガシラアオゴミムシ (ゴミムシ科)
キベリの子。
コキベリアオゴミムシ (ゴミムシ科)
少し大きくて、おしりに模様のある子。
オオアトボシアオゴミムシ (ゴミムシ科)
そして最初に単独で出た、一番大きい子。
スジアオゴミムシ (ゴミムシ科)
さて、彼らの共通点はおわかりでしょうか。
そうですね、皆、”アオゴミムシ”の仲間です。
だからもめることもなく一緒に越冬できるのでしょうか?
集団越冬する虫はいわゆる集合フェロモンを出して仲間を呼び寄せ合います。
アオゴミムシはフェロモンもさることながら、特有の強烈な匂いを発するので、仲間でないと耐えられないのか。
それは分かりませんが、このように混成チームで集団越冬することもあるということです。
(スジアオくんだけはでかすぎて仲間に入れてもらえなかったのかしら)
ともかく、必要十分条件を満たしている、ゴミホリ(ゴミムシ掘りの略)の好ポイントを見つけることができました。
あまり荒らしたくないので、これで打ち止めとしましたが、せっかくなので一番奥まで行ってみることに。
すると谷津田の一番奥は新興住宅街の端。 その手前に小さな貯水池がありました。
図らずもこれで、先日の大不発ゴミホリのリベンジを果たせました。
また来シーズン、様子を見に来たいと思いますが、どうかこのまま条件を満たした環境でありますように。
しかし、まだオサホリ(オサムシ掘りの略)の掘り納めができていません。
なので、暮れも押し迫った30日、外房へ出かけてきました。
前記事で報告した、トンボの沼に寄ってから御宿へ。
狙いはズバリ、御宿ラベルのアオオサムシ。
とあるポイントへ二度三度アタックするも、いつも出るのはアワカズサばかり。
アオオサがまったくいないとは思えない場所なので、なんとかひとつでも掘り当てたい。
一年ぶりに訪れたのですが、ポイントの沢の場所が分からなくて行ったり来たり。
やっと見つけて掘り出すも、やはり出てくるのはアワカズサ。
アワカズサオサムシ (オサムシ科)
このブログでは何度も紹介していますが、アオオサよりも小柄なルイスオサムシの房総半島南部亜種。
ところが、今回はアワカズサすらなかなか出てきませんでした。
前回よりもかなり沢の奥まで入ってみましたが出てくるのは・・
アオガエルくんや・・(埋め戻しました)
セミの幼虫(埋め戻しました)など。
踵を返して沢を下りながらローラーしなおしたら帰ろう、と入口近くまで降りてきたとき。
宝を掘りあてました。
よく見るとわかると思いますが、もう少しでクラッシュさせるところでした。
バチツルの切っ先の跡がちょうどオサムシの左右ギリギリのところに入っていました。
(映っている道具は慎重に掘り出すために持ち変えた熊手です)
一見、アワカズサと見間違うような赤っぽい色をしていますが、接写してみるとアオオサらしさがはっきりと。
アオオサムシ ♀ (オサムシ科)
これでやっと気持ちよく掘り納めができました。
(実は性懲りもなくこの翌日もポイント探しに行ったのですが、その話は割愛します)
このあと、ちょっと遠回りでしたが、食べ納めもしにカモガワにカレー味噌ラーメンを食べに行ったのでした。
オマケ
年が明けて元日。
暖かかったので今度は掘り初めに行こうかとも思いましたが、まずは初詣に行くことにしました。
目指すはいつか偶然訪れた、虫屋のための神社「六社神社」(ろくしゃじんじゃ)。
と思ったのですが、その場所はやや遠いため躊躇しました。
そこでふと、他にもあるのでは?とネットで調べたところ、やはり六社神社という神社は全国にありました。
同じ由来の「六所神社」という神社もあるようですが、やはりここは”むしや”でなければ。
つぶさに調べるとチバにはもう一軒だけ「六社神社」があることがわかりました。
しかもなんと、HFの比較的近くに。
ということでお参りに。
六社神社
もちろんHFにも立ち寄ったのですが、そのことはまた次回にでも。
今日の湯加減
昨日は昆虫館で新年早々でしたが、F会スタッフ会議がありました。
今年も東京スカイツリータウンで「大昆虫展」が開催されるのですが、その企画準備の打ち合わせ。
それが終わったら当然新年会に突入。新しいスタッフ候補の方々も参加し虫談義は尽きず。
めずらしく帰宅が午前様となってしまい、昨日はブログの更新ができませんでした。
今日のチバは今冬一番の寒さでしかも雨。絶好のブログ日和ですが、それにしても寒い。
オサムシやゴミムシたちに交じって春まで冬眠したい。。
2017-01-08 17:00
nice!(22)
コメント(11)
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
集団越冬、同じ香り?匂いで。。面白いですね
仲間意識で安心なのかしら
アオガエルさん、迷惑そうな顔してます
六社神社に初詣ですまされて、活動開始ですね
by engrid (2017-01-09 00:25)
おはようございます^^
しっかりいろんな虫を見つけられましたね。
その中でもやはり「オサホリ」さんらしい、アオオサムシ?^^
今年も虫運があると良いですね。
by mimimomo (2017-01-09 06:52)
おはようございます。
最終的には目的を達成する根性が凄いです。
自分には細かく観察しても同定できそうも無いです・・・
by g_g (2017-01-09 10:03)
お早うございます。
ヒゲコメツキ ♂ ! 立派なヒゲですね〜(@_@;)
冬眠中のアオガエルくんを初めて見ました。
by yakko (2017-01-09 10:05)
なんとも眠たそうなアオガエルくんがキュート❤
ぜふさんのおかげで山道でも64たちに目を向けるようになりました。
ますます前に進みませんけど~(笑)
by よしころん (2017-01-09 21:52)
>engridさん
親戚同士というとろでしょうかね^^
六社神社に初詣したご利益がありますように♪
>mimimomoさん
アオオサムシはお気に入りなんです♪
六社神社は”泉”の近くですよ^^
>g_gさん
根性も必要ですが、虫運も必要ですね^^
>yakkoさん
オスの記事を見ていただけたのですね。
ヒゲかツノかはわかりませんが^^;
>よしころんさん
まったく起きませんでした^^;
今年もめずらしい虫みつけたらアップよろしくお願いします♪
虫でも花でも撮りたいのを見つけたら前には進めませんよね^^
by ぜふ (2017-01-10 22:26)
六社で「むしゃ」「むしゃ」・・「むしや」ですね。
わたしの近くにあるのかな。ネットで調べよう。
by アサギいろ (2017-01-11 00:45)
ページを開いた時、ハチ(?)のアップの写真に、少々ドッキリしました^^;。
こんなに毛むくじゃらなんですねぇ。
やっぱり、掘り納めとか掘り初めとかが、あるんですね^^;。
by sakamono (2017-01-14 09:39)
>アサギいろさん
ぜひ行ってらしてください!^^
>sakamonoさん
コマルハナバチです♪ かわいいでしょ?^^
by ぜふ (2017-01-14 10:39)
冬でも こんなにたくさんいるんですね〜
by ねこじたん (2017-01-14 11:43)
アオガエルくんかわいすぎだ~
こんな風に冬眠してるの?
by shino* (2017-01-15 10:33)