"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
いないはずの虫といてほしい虫 [探虫行]
また記事ネタがたまってきましたが、順番をムシして、直近のことを書きます。
7月24日、都内の公園で探虫をしました。
見つけたいのはクマゼミとある甲虫。
クマゼミは郷里高知にはアブラゼミと同じくらいの比率で観察できるセミです。
以前は関東にはいなかったのですが、数年前からチバでも観察できるようになりました。
とはいえまだお江戸では生息地が限られているため、普通種になる前にお目にかかっておこうと。
ちょっとワケあって具体的な場所は書けないのですが、まずはクマゼミのポイントで待ち合わせ。
クマゼミの抜け殻はすぐ見つかりました。
朝8時。 そこではもうセミたちが競って鳴いていました。
基調音はアブラゼミ。 ジリジリジリジリと鍋で油が煮えているようでうるさい。
メロディー担当は関東では代表格のミンミンゼミ。 ちょっと芝居がかっているように聞こえなくもない。
その上へかぶせて声を響かせるのがクマゼミ。 シャンシャンシャワシャワと負けてない。
それらの合唱の隙間を埋めるのがニイニイゼミ。 聞き分けられるかは別問題。
でもやはり、ミンミンゼミとクマゼミの声が混じって聞こえるのは、ソバとウドンを一緒に食べるような気分。
そのうちに聞き慣れてしまうのかもしれないけれど。
ソバもウドンも高い梢で鳴いていましたが、一匹だけやや低いところに止まっていて撮影することができました。
一つ目の目的はクリアできたので、二つ目を探しに移動します。
そこは広い都立公園で、ボランティアの観察指導員がいます。
もう十数年もそこで指導員をしている、ファーブル会の会員でもあるTさんと一緒に園内を散策しました。
梢に陽を遮られてほの暗い林の中の道はやぶ蚊だらけでしたが、この子を見つけてスイッチが入りました。
HFでよくみかけるのはこの仲間のオオアオイトトンボですが、ここではアオイトトンボだけしかいないとのこと。
HFではオオアオしかいません。 混生はしない(できない)のかもしれません。
この蝶も数年前までは東京にいなかったはずですが、今や普通種といってもいいほどいます。
この蝶はクマゼミのように東進・北進し分布範囲を拡げたのではなく、そもそも日本の在来種ではありません。
1997年に神奈川県(カマクラ)ではじめて観察されたあと、急速に関東一円に分布を拡大しているのです。
美しい蝶ですが、中国産の個体を放虫したのではないかといわれています。(虫に罪はないけどダメです)
この個体を観察するまでにもう何頭か見かけていましたが、この子は近づいても大丈夫な子でした。
ひょっとしてと思い、指を近づけてみると・・
手乗りになってくれました。 (カワイイけれど本来いてはいけない子なので複雑・・)
さて、もう一つのお目当ての虫も本来ここにいるはずのない子なのでした。
それはハナムグリの仲間。
シロテンハナムグリ(下)と比べて二回りほど大きく、カナブンと見間違っても不思議ではありません。
たいていはこのように樹液を吸いにきているのを観察できるそうですが、ときどき変なところにとまっています。
この子は一応国産ですが、その名の通り、本来は沖縄や南西諸島に分布する甲虫です。
それがやはり放虫されてこの公園に定着してしまったのだそうです。
緑色、銅色、黄金色、それぞれの中間色、そして黒色と、七色ならぬ八色もいるそうです。
色は違えどどれも名前の通りツヤツヤしているそうです。 黒色を見たかったけど見つかりませんでした。
このあと、湿地と田んぼがあるエリアに移動したときに撮影したのが扉の写真なのですが、実はトンボが写っているのです。(黒いゴミのような点々がそうです)
チョウトンボの編隊飛行なのでした。 Tさんがいうにはこの倍くらい飛んでいることもあるとのことですが、
それはそれは見事な群飛で、しばらく空を見上げたまま見惚れていました。
この子たちはずっとここで繁殖してほしいし、もっと増えてほしい。(害はない筈)
チョウトンボといえばこのブログの”夏の課題虫”でもあるので、もう一度ちゃんと撮影にきたいとも思いました。
その他に目立った子は・・
カメムシのチビッコ集団ですが・・
中学生くらいになるとこんな様子。
オトナになると・・
HFで観察した子を以前紹介したことがありますが、ニーハイソックスをはいているようなデザインがグッド。
この子もちょっと似たデザインでした。
中学生のクチブトカメムシかなと思います。
最後にちょっと変わったハムシを見つけました。
体長は5~6ミリ。
見たことのないハムシだなと思いましたが、翅の色が個体変異しているのではとハンドブックで調べると・・
わかりました。
別名”カワリクビボソハムシ”というとおり、斑紋の変異が多い虫のようです。
このあとTさんとお別れして公園もあとにして皆でファミレスでゆっくり昼食休憩して、もう一度クマゼミポイントへ行ってみたのですが、クマゼミの声は朝よりも明らかに少なく、しかも梢の高いところからしか聞こえませんでした。
これはもう観察できる時間帯ではないと判断し、解散となりました。
これまた具体的に書けませんが、この日は色々な意味で思い出深い日となりました。
久しぶりに虫友のKさんと一緒に探虫できたこと。
指だけ登場してもらいます。
二人並んでチョウトンボの群飛を見上げたとき、”ずっと見てられるね”と意見が一致。
”ナウシカにでてくる飛行機みたい”とも。
この日、Kさんが持ってきてくれた虫。
前々日に新潟でKさんが採集したときに写メを送ってきたので、見たいと言ったら連れてきてくれたのでした。
ツシマカブリモドキを小さくしたような美麗種。 生きているのははじめて見たので撮影させていただきました。
今年のオサ部の目標に決定です。
今日の湯加減
奥本先生の記念講演会は7月31日(日)に高知県立牧野植物園にて。 無料で予約も不要ですが、先着120名だそうです。お近くの方はぜひ!
7月24日、都内の公園で探虫をしました。
見つけたいのはクマゼミとある甲虫。
クマゼミは郷里高知にはアブラゼミと同じくらいの比率で観察できるセミです。
以前は関東にはいなかったのですが、数年前からチバでも観察できるようになりました。
とはいえまだお江戸では生息地が限られているため、普通種になる前にお目にかかっておこうと。
ちょっとワケあって具体的な場所は書けないのですが、まずはクマゼミのポイントで待ち合わせ。
クマゼミの抜け殻はすぐ見つかりました。
朝8時。 そこではもうセミたちが競って鳴いていました。
基調音はアブラゼミ。 ジリジリジリジリと鍋で油が煮えているようでうるさい。
メロディー担当は関東では代表格のミンミンゼミ。 ちょっと芝居がかっているように聞こえなくもない。
その上へかぶせて声を響かせるのがクマゼミ。 シャンシャンシャワシャワと負けてない。
それらの合唱の隙間を埋めるのがニイニイゼミ。 聞き分けられるかは別問題。
でもやはり、ミンミンゼミとクマゼミの声が混じって聞こえるのは、ソバとウドンを一緒に食べるような気分。
そのうちに聞き慣れてしまうのかもしれないけれど。
ソバもウドンも高い梢で鳴いていましたが、一匹だけやや低いところに止まっていて撮影することができました。
クマゼミ ♂ (セミ科)
一つ目の目的はクリアできたので、二つ目を探しに移動します。
そこは広い都立公園で、ボランティアの観察指導員がいます。
もう十数年もそこで指導員をしている、ファーブル会の会員でもあるTさんと一緒に園内を散策しました。
梢に陽を遮られてほの暗い林の中の道はやぶ蚊だらけでしたが、この子を見つけてスイッチが入りました。
アオイトトンボ ♂ (アオイトトンボ科)
HFでよくみかけるのはこの仲間のオオアオイトトンボですが、ここではアオイトトンボだけしかいないとのこと。
HFではオオアオしかいません。 混生はしない(できない)のかもしれません。
この蝶も数年前までは東京にいなかったはずですが、今や普通種といってもいいほどいます。
アカボシゴマダラ (マダラチョウ科)
この蝶はクマゼミのように東進・北進し分布範囲を拡げたのではなく、そもそも日本の在来種ではありません。
1997年に神奈川県(カマクラ)ではじめて観察されたあと、急速に関東一円に分布を拡大しているのです。
美しい蝶ですが、中国産の個体を放虫したのではないかといわれています。(虫に罪はないけどダメです)
この個体を観察するまでにもう何頭か見かけていましたが、この子は近づいても大丈夫な子でした。
ひょっとしてと思い、指を近づけてみると・・
手乗りになってくれました。 (カワイイけれど本来いてはいけない子なので複雑・・)
さて、もう一つのお目当ての虫も本来ここにいるはずのない子なのでした。
それはハナムグリの仲間。
シロテンハナムグリ(下)と比べて二回りほど大きく、カナブンと見間違っても不思議ではありません。
たいていはこのように樹液を吸いにきているのを観察できるそうですが、ときどき変なところにとまっています。
リュウキュウツヤハナムグリ (コガネムシ科)
この子は一応国産ですが、その名の通り、本来は沖縄や南西諸島に分布する甲虫です。
それがやはり放虫されてこの公園に定着してしまったのだそうです。
緑色、銅色、黄金色、それぞれの中間色、そして黒色と、七色ならぬ八色もいるそうです。
色は違えどどれも名前の通りツヤツヤしているそうです。 黒色を見たかったけど見つかりませんでした。
このあと、湿地と田んぼがあるエリアに移動したときに撮影したのが扉の写真なのですが、実はトンボが写っているのです。(黒いゴミのような点々がそうです)
チョウトンボの編隊飛行なのでした。 Tさんがいうにはこの倍くらい飛んでいることもあるとのことですが、
それはそれは見事な群飛で、しばらく空を見上げたまま見惚れていました。
この子たちはずっとここで繁殖してほしいし、もっと増えてほしい。(害はない筈)
チョウトンボといえばこのブログの”夏の課題虫”でもあるので、もう一度ちゃんと撮影にきたいとも思いました。
その他に目立った子は・・
カメムシのチビッコ集団ですが・・
中学生くらいになるとこんな様子。
オトナになると・・
キバラヘリカメムシ (カメムシ科)
HFで観察した子を以前紹介したことがありますが、ニーハイソックスをはいているようなデザインがグッド。
この子もちょっと似たデザインでした。
中学生のクチブトカメムシかなと思います。
最後にちょっと変わったハムシを見つけました。
体長は5~6ミリ。
見たことのないハムシだなと思いましたが、翅の色が個体変異しているのではとハンドブックで調べると・・
わかりました。
アカクビボソハムシ (ハムシ科)
別名”カワリクビボソハムシ”というとおり、斑紋の変異が多い虫のようです。
このあとTさんとお別れして公園もあとにして皆でファミレスでゆっくり昼食休憩して、もう一度クマゼミポイントへ行ってみたのですが、クマゼミの声は朝よりも明らかに少なく、しかも梢の高いところからしか聞こえませんでした。
これはもう観察できる時間帯ではないと判断し、解散となりました。
オマケ
これまた具体的に書けませんが、この日は色々な意味で思い出深い日となりました。
久しぶりに虫友のKさんと一緒に探虫できたこと。
指だけ登場してもらいます。
アオバハゴロモ (アオバハゴロモ科)
二人並んでチョウトンボの群飛を見上げたとき、”ずっと見てられるね”と意見が一致。
”ナウシカにでてくる飛行機みたい”とも。
オマケ2
この日、Kさんが持ってきてくれた虫。
セアカオサムシ (オサムシ科)
前々日に新潟でKさんが採集したときに写メを送ってきたので、見たいと言ったら連れてきてくれたのでした。
ツシマカブリモドキを小さくしたような美麗種。 生きているのははじめて見たので撮影させていただきました。
今年のオサ部の目標に決定です。
今日の湯加減
明日(30日)から高知行なので予約投稿していきます。
半年以上前から決まっていた日程ですが、なんだかあっという間に明日になりました。
そんなものでしょうね。
先生の講演会がおわったら一緒に四万十方面にも出かける予定です。
昆虫採集はできるかどうかわかりませんが、何か特別な虫との出会いがありますように。
修学旅行の前夜の気分。
奥本先生の記念講演会は7月31日(日)に高知県立牧野植物園にて。 無料で予約も不要ですが、先着120名だそうです。お近くの方はぜひ!
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
こんにちは^^
一番いい時期ですかね~あちこち飛び回っていらっしゃいますね^^
セミの声、ツクルクホーシくらいしか聞き分けられない(=。=
by mimimomo (2016-07-30 18:00)
本来ここにいないはずのもの、
昆虫に限らず動物でも増えていますね。
それも人間が原因ではと言われているものもありますね。
その虫や動物には罪はないですが、
その子がいる事によって生態系が変化して、
本来そこにいたものが住めなくなる事もありますね。
by sasasa (2016-07-31 16:08)
クマゼミだらけの九州ですが
8月が近くなるとアブラゼミの方が
多くなります。
しかしカメムシっ子は奇抜な色ですね。
by 響 (2016-07-31 16:35)
神奈川県では誰が放蝶したのか分かりませんが、アカボシゴマダラはすっかり市民権を獲得しています。それからカナブンと思ってたムシがもしかしたら違うかもと言うほうがちょっとショックです。
by アサギいろ (2016-07-31 23:21)
抜けガラたくさんーーー^^
わたしも週末公園で、葉っぱの裏についてる
抜け殻たくさん見ました♪
木の幹に、わらわらと黒と金色に光った虫が集まってて
写真撮ろうと思ったけど、わらわら具合が気持ち悪くて
やめました^^;
by リュカ (2016-08-01 10:52)
アカボシゴマダラっていうんですね
先日荒川自然公園で撮ってきました
記事載せてぜふさんに教えていただこうかと
思っていた矢先でした^^
by shino* (2016-08-01 13:07)
こんにちは。
アカボシゴマダラ 、綺麗ですね。でも中国産?
カメムシも種類が多いですね。やっとブログを再開出来ました〜
by yakko (2016-08-01 14:04)
私の暮らすあたりは、(名古屋) クマゼミが幅をきかせています
年々、、ニイニイゼミはほとんど見かけなくなりました、淋しい、、
本来いない子、、その子に罪はないのに、でも生態系には、問題が発生するのでしょうね、、
by engrid (2016-08-01 18:26)
>mimimomoさん
セミのシーズンはピークかもしれませんね。
ところで、ツクツクホーシの本名は”ツクツクボウシ”です^^
>sasasaさん
いないはずのものがいるのはニンゲンのしわざですね。
>響さん
クマゼミは東に勢力拡大中です! キバラヘリカメはビビッドですね。
>アサギいろさん
もう地域によっては普通種ですね^^;
リュウツヤも普通種になるのでしょうか・・
>リュカさん
黒と金ですか、なんでしょうね・・いっぱいいたということはやはりカメムシかな?
>shino*さん
東京東部にも進出していますか・・ 見栄えのする蝶なんですけどね・・
>yakkoさん
カメムシは種類が多くて、しかも似たものが多いので困ります^^;
>engridさん
名古屋はすでに制空しているんですね^^;
ニンゲンが持ち込むと急激に変化するのが問題ですね。
by ぜふ (2016-08-04 14:02)
抜け殻でも、セミの種類が分かってしまうんですね。さすがです^^;。
リュウキュウツヤハナムグリ、つやつやですねぇ~。
こういうキレイな虫、観賞したいです。
by sakamono (2016-08-04 23:18)
>sakamonoさん
クマゼミの抜け殻は実はわかりやすいんです^^
by ぜふ (2016-08-05 07:31)