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"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。

朽木めぐり [探虫行]

2月11日朝、目が覚めた瞬間、手賀沼に行こうとひらめきました。

予定していたわけではなく、次回の探虫行の候補地として考えていたわけでもなく。

理由は不明ですが、探虫に行ったことがない場所ではありました。

冬の昆虫観察・採集というと、このブログでももうお馴染みの”オサホリ”ですが、今回の趣向は少し違います。

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はじめてのフィールドでしかも、思いつきで来てしまったため、下調べもなし。

まさに行き当たりばったりでしたが、沼の畔の公園の湿地というか葦原の様子を見ることからはじめました。

写真撮り忘れたのですが、あまり探虫にはよさそうな場所ではなく、コンチューターも反応せず。

野鳥撮影の方や鮒釣りの方たちのジャマになりそうだったので早々に別の場所へ移動することにしました。

そう、今回まず見つけたいのは立ち枯れの木や倒木などの朽木なのです。

そういう物件がありそうな場所をグーグルアースで探します。

それにしても便利な世の中になりました。

下調べをしていなくてもその場で衛星写真が見られるんですからね。(しかもタダで)

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いずれにしても沼に沿って探虫するのですが、どっち周りに進むかが問題です。

遠くの岸辺を遠目に見ても、グーグルアースで見ても南側がよさそうなので右手に進むことにしました。

その方向にある公園にまずは移動しようとしたのですが、その駐車場が満車で別の場所を探しながら進んでいるうちに沼を四分の一周くらいしてしまいました。
(これは結果的にラッキーでした)

やっと車をとめて土手にあがってみると、水辺の方向真正面に良さそうな物件がありました。

岸辺に降りられる道がないように見えましたが、釣り客たちが踏み固めた降り口がありました。

枯れた葦原の中を進み、物件にたどり着きました。

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これは半立ち枯れの木。

洞もあり、その中はフレーク状の木くずが詰まっていて、実物も優良物件でした。

生きている木は切ったり崩したりはできませんが、倒木などの朽木はこのような道具で発掘します。

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しかし、意外にもこの物件はアリとクモたちしかいませんでした。

あまりに優良そうに見えるのでなかなか立ち去りがたかったのですが、別の物件を探すことに。

葦原が深いのでそのまま畔を辿っていくことはできないので一旦土手にあがって先に進みました。

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次の物件(今度は倒木)を発掘していて出てきたのが扉の虫です。

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ツマグロオオヨコバイ (ヨコバイ科)


通称”バナナムシ”と呼ばれる虫ですが、成虫で越冬するんですね。

倒木の皮の裏にはこんな子がぽつりと。

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クロイネゾウムシ(クロイネゾウモドキ) (ゾウムシ科)


さらに次の物件へ。

水路の出口に具合のよさそうな倒木がありました。

これはかなりの優良物件でした。

まず掘り出したのは、

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オオクチキムシ (クチキムシ科)


大きくはゴミムシダマシの仲間。 よく見かけるキマワリもゴミムシダマシの仲間です。

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樹皮の下で集団越冬しています。

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木の下側を掘削すると、まるでパチンコで大当たりしたようにボロボロと次から次へ出てきました。
(その辺に落ちていたお菓子の袋を下に敷いて受け皿にしたほど)

上の写真の右側にちらっと写っていますが、別の団体さんもいました。

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これもゴミムシダマシの仲間なのですが、地味なクチキムシと違って・・

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ナガニジゴミムシダマシ (ゴミムシダマシ科)


こんな彩りのゴミムシは日本にいないので、何をダマシているのかわかりませんが、ゴミムシダマシなのです。

キマワリもそうですが、ゴミムシダマシの中の特徴は複眼が大きいこと。

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黒くてちょっとわかりづらいですかね。。 それと弓なりの足。

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確認できただけで、この倒木にはオオクチキムシが20匹、ナガニジが10匹以上いました。

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2、3匹ずつ採集して、あとは倒木ごと元に戻しておきました。

あ、それとこんな子もでました。

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コクワガタの幼虫 (クワガタムシ科)


各物件でぽつぽつと出たのですが、この個体は伸ばせば50ミリくらいあるのではないかと思われるほどビッグ。

ヒラタクワガタだったらいいなと希望的観測にとらわれていましたが、体側のシワの形状がやはりドルクスですね。
(コクワガタとオオクワガタは近縁種なのです)

土手をもう少し先に進んでみましたが、よさそうな物件が見当たらず、もう午後2時を過ぎていたのでここは撤収。

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遅いお昼のあと、移動した先は利根川の河川敷。

そういえば、この日は見事な日本晴れでしかもほぼ無風。

こういうスポーツをする人にとっては最高の祝日だったでしょう。

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手賀沼とは違い、利根川は広大な河川敷が拡がっています。

エンジン付きのパラグライダーが発着するためには十分すぎるほどの広さの飛行場がありますし、飛行空域も充分広くて安全でしょうね。

さて、それだけ広いので、土手を越えてから川岸にたどり着くまでもかなりの距離がありました。

T字路のどんつきにたどり着き、右に行くか左に行くか思案しましたがコンチューターに従って左に進むことに。

5分ほど進んだところでいよいよ川縁に向かって進入し、見た目がよさそうな冬枯れの木に向かって一直線。

立ち枯れではなく生きた木でしたが、根元近くに枯れて折れた太い枝があったのでそこを発掘すると・・

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マイマイカブリ (オサムシ科)


いきなりビンゴ!

本命を発掘することができました。 (ペアでした)

これは幸先いいぞと次の物件を探すも、ここも立ち枯れの木はまったくなく、倒木もほとんどありませんでした。

ぽつぽつと転がっている枯れ木の中で比較的太いものを選んで探虫しましたがなかなか本命は出ず。

でも、こんな団体さんを掘り当てました。

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ゼグロアシナガバチ (スズメバチ科)


とても大きいハチなので出た瞬間はスズメバチだと思いました。(アシナガバチの中では国内最大だそうです)

いずれにしてもキケンな虫なのでそっとして別の物件を探しに。

するとまた別の団体さんを掘り当てたのですが、この子たちの様子がとてもおもしろかった。

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アオゴミムシ (オサムシ科)


集団越冬の様子なのですが、みな同じ方を向いているんですね。

おしりしか見えていませんが、全体像はこちら。(以前アップした写真)

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からだ全体の色合いもいいし、特にムネの部分が見る角度によってエメラルドグリーンから磨いた真鍮のような色に変化して美しい虫です。

が、ひとつだけ難があります。

くさい。

手に持っていじったので、次の日になっても右手はアオゴミムシの思い出に浸ったままでした。

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そもそもこの場所に到着した時点で、もうあまり時間がなかったのですが、このあたりで日没となりました。

今度は川縁に歩いて戻り、土手に向かって方向を変えると、西の空はトワイライト。

パラグライダーはもう一機も見えませんでした。

と、薄暗がりの広場の隅にごろりと転がっていた倒木にコンチューターが反応しました。

一本は固かったのですが、もう一本は良いコンディションだなぁと思いながら、ざくっとしてみたら。

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ビンゴ!!

今度は3頭出ました。

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はじめてのフィールドでしたが、色々な種類も観察できて、大満足の探虫行となりました。




オマケ


今日の関東地方は春一番・・・というよりも、春大一番・・・というよりも、午前中は春の嵐でした。

午後は一転、春なんか飛び越えて初夏のような陽気。

ファーブル館へ歩いて行く途中、あまりに暑くて上着を脱ぎましたが、それでも着いたときには汗だく。

そんな高い気温におどろいて飛び起きたのでしょうか。

ずっと砂の中にもぐっていた、うちのオオヒョウタンくんが顔を出していました。

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オオヒョウタンゴミムシ (オサムシ科)





今日の湯加減

今日はファーブル館で「昆虫ストラップ作成教室」を開催しました。
プラスチックの板に好きな昆虫の絵を描いて、それをオーブンで加熱して収縮させて作品にします。
いわゆる”プラバン”は手芸店などで売っている”フロスト板”を使うと便利です。
加熱すると大きさが四分の一くらいになり、色も濃くなるので彩色は色鉛筆がちょうどいいです。
はじめての企画でしたが盛況でした。


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マイマイカブリのストラップ


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子供たちの作品



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コメント 14

sasasa

ナガニジゴミムシダマシ、キラキラしていて綺麗ですね!
by sasasa (2016-02-14 21:16) 

アヨアン・イゴカー

アオゴミムシの様子が可愛らしいですね。
>プラスチックの板に好きな昆虫の絵を描いて、それをオーブンで加熱して収縮させて作品にします。
いわゆる”プラバン”は100円ショップで売っている”フロスト板”を使うと便利です。
これ、面白そうですね。


by アヨアン・イゴカー (2016-02-14 21:34) 

mimimomo

おはようございます^^
随分いろいろの昆虫を掘り当てられましたね~
特に本命の発掘、おめでとうございます♪ 
by mimimomo (2016-02-15 07:15) 

ぜふ

>さささん
背中に虹をしょっている子です^^

>アヨアン・イゴカーさん
すみません、プラバンは100円ショップで売ってますが、フロスト板はクラフトショップでの購入でした。(記事訂正しました)
アオゴミのおしりは面白かったです^^

>mimimomoさん
さまざまな集団越冬を観察するのも冬の探虫行の目的なのでよかったです♪

by ぜふ (2016-02-15 07:22) 

響

お宝を掘る感覚ですね。
レインボーカラーのダマシさんは
見つけるとラッキーと想ってましたが
10匹も?
by (2016-02-15 11:28) 

barbie

バナナムシがかわいい。
倒木の下からこんなキラキラしたんが出てきたんですね。
ちょっと宝くじに当たった気分d(≧▽≦*d)
by barbie (2016-02-15 13:06) 

マリー

子供たちに交じって「ストラップ」作ったら楽しいでしょうね~♪
by マリー (2016-02-15 13:19) 

ぜふ

>響さん
虹虫は、もっといたと思います^^
でもみんな掘り返すのはためらわれましたので・・

>barbieさん
バナナムシは昨日、都内でも飛んでいたとのことです^^
虹虫はシアワセの虫ですねー クチキムシには申し訳ないけど^^;

>マリーさん
楽しかったですよ♪ オトナもはまります^^
by ぜふ (2016-02-15 21:19) 

sakamono

枯れ木に洞があって、フレーク状の木くずが詰まっているモノが、
優良物件なんですね。見かけたら、ちょっとほじってしまいそうです^^;。
by sakamono (2016-02-15 23:33) 

ねこじたん

枯れた木が 優良物件なんだ〜
そいうとこが おもしろいね〜
by ねこじたん (2016-02-18 09:38) 

ぜふ

>sakamonoさん
変なものがでるかもしれないので素手はよしたほうがいいですよ^^;

>ねこじたんさん
そう、生きている木は傷つけられないからね。
そして、築年数は古いほうがいいんですねー^^

by ぜふ (2016-02-18 22:24) 

shino*

優良物件ww
私も良い物件に巡りあえました^^
by shino* (2016-02-20 16:16) 

g_g

冬の時期は倒木の中に越冬していることが多いんですね。
良いこと教えて頂きました。
by g_g (2016-02-21 18:37) 

ぜふ

>shino*さん
ビバ!優良物件!
センサー働きましたか?^^

>g_gさん
スズメバチなどもいますので注意してくださいね。

by ぜふ (2016-02-21 19:45) 

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