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"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。

掘り納め~堀り初め [オサムシ]

ムシブロも8年目に突入しました。今年もゆるゆる続けていければいいなと思っています。

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探虫行の相棒、ベニシジミ(春型)号で今年も房総を駆け巡ります。

さて、暖冬とはいえ冬はオサホリシーズンですので、もう何回かでかけています。

ということで、時は去年に遡りますが、まずはファーブル会オサ部ででかけた日のことから。



12月26日、場所は三浦半島の葉山と逗子にまたがる山の中。

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森戸川の流域でした。

この日ははじめての参加者も多く、総勢9名というオサ部活としては大所帯でした。

こんな感じで小崖を掘って探虫します。

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しかし大勢で探したにもかかわらず、まったくといっていいほどお目当ての虫が見つかりませんでした。

代わりにこんな子を掘り当てたり、

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コガタスズメバチ (スズメバチ科)


T師匠はこんなのを掘りだしたり、

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とゴミムシすら出てこないという状況でしたが、執念で・・

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アオオサムシ (オサムシ科)


三浦半島のアオオサはキレイな緑色をしていて、鞘翅がさらに明るいグリーンで縁どられています。

その後2時間ちかく皆で探虫しましたが、採れたオサムシはなんとこの一匹だけでした。

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その他に観察した虫としては、集団越冬態勢のチョウチョたち。

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ムラサキツバメ (シジミチョウ科)


それと、帰り支度をしていたらリュックに舞い降りてきてくれたお見送り虫。

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アミメクサカゲロウ (クサカゲロウ科)


という結果でしたので、このあと皆で大ザンネン会をして盛り上がったのでした。

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そのリベンジということではありませんが、今度はひとりで大晦日に掘り納めに行ってきました。

場所はチバ市の東の果て、もうすぐ先は九十九里というロケーションの谷津田。

隣接する森には年に一回くらい訪れるのですが、この谷津田は新規開拓フィールドでした。

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林縁に沿った道は未舗装ですが崖がほとんどなく、あっても乾いていてあまり環境がよくありませんでした。

しかし谷津田の反対側、支線をたどり、休耕田の周りは格好の小崖だらけでした。

一見オサホリには理想的な風景が広がって、ついつい歩調が速まってしまったほど。

赤土でしたが、掘ってみると湿り気や固さがちょうどいい状態。

ウキウキして鼻歌すらでながら探虫したのですが、何もでてこない。
(越冬中のカマドウマの幼虫は多数でた)

1時間以上あちこち探しましたが、三浦の再現のようにゴミムシすら出て来ませんでしたので移動することに。

数百メートル上流へ移動したところの林縁に、そこも赤土系でしたが、狭いながらもいい崖がありました。

少し掘ってみると、土塊に混じって何かでてきました。

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冬眠中のハムシの仲間だと思いますが未同定。

3ミリくらいしかなくて、ピンセットでつかもうとしたらポトリと落として見失ってしまいました。ザンネン。

続いて出たのは5ミリくらい。

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ヨシボシハムシ (ハムシ科)


ゴミムシもでました。

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コキベリアオゴミムシ (オサムシ科)


14ミリくらい。その名の通り黄色い縁取りがチャームポイントですね。

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ルイスオオゴミムシ (オサムシ科)


胸が真鍮のようにきらめいていて美しいゴミムシです。

さらに美麗種も。

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クビアカヒラタゴミムシ (オサムシ科)


8ミリくらいしかないのでペンダントヘッドにするには少し小さすぎるでしょうか。(もちろんしませんが)

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さらに少し移動しました。この崖へ来る途中に目星を付けていて、最後にとっておこうと思っていた場所へ。

さっきの崖よりももっと小さくて狭いのですが、田んぼの脇でプンプン匂うのです。
(臭いわけではありませんよ)

マルガタゴミムシばかりやたらと出てきたのですが、ついに。

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こんな風に発掘できることはあまりないので慎重に周りの土をどかしていきます。

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オサムシは土の中、外界側に頭を向けています。

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すっかり前半身がでてきましたが、まだ気が付いていません。

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アオオサムシ (オサムシ科)


完全に掘り出してもしばらく起きなかったので、ゆっくり撮影できました。

”アカオサムシ”と呼ばれるアオオサムシの房総亜種よりももっと赤みが強くみえる個体でしたが、
写真でもわかるとおり、少し角度を変えると緑色にみえますので房総亜種ではありません。

なんとか一頭とれたので、これで2015年の掘り納めとしました。

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年が明けたら、今度は掘り初めです。

まるで春のようなポカポカ陽気の1月3日、攻めの姿勢は崩さず、またしても新規開拓にチャレンジ。

茂原街道沿線から探っていくことにして、最初に訪れたのは市津湖(しづこ)。

ダム湖の周りの様子を確認しながらぐるっと回り、試掘もしてみましたが、ポイントは少なそうでした。
(扉の写真はダム湖を見下ろす高台で撮ったもの)

次に訪れたのは、以前から気になっていた、市津湖からはすぐ近くの場所。

ここも予備知識はなかったので、とにかく林の奥へ奥へとダートを突き進みました。

すると森の中に小規模の畑があり、それに沿った道を進むと小崖を見つけることができました。

倒木も多々あり、探せる範囲は広くはありませんでしたが・・

まずはこの子。

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スジアオゴミムシ (オサムシ科)


前出のルイスオオゴミムシにそっくりですが、大きさが1.5倍くらいあります。(2匹とれました)

土の質が柔らかすぎて、期待はできそうにないなと思っていたら・・

出ました。

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この子はアオオサムシらしいアオオサムシでした。

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アオオサムシ (オサムシ科)


少し周囲も探索しましたが、この場所は早々に見切って移動することにしました。

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次に目指したのは笠森鶴舞自然公園。

しかし、三が日ということもあって、笠森観音への参拝客でしょう、付近の道路は渋滞していました。

参拝が目的ではないので、裏道から山の中へ入ろうと、Googleマップとにらめっこしながらルートを探しましたが、人家の庭先を突っ切っていかなければならないような小道ばかり。

こんなところも通りました。

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一周したところで突入はあきらめ次の場所を目指している途中、貯水池へ繋がる農道を偶然見つけました。

農道を数百メートル進んだところの貯水池の周りは丘に囲まれて、しかも崖ばかり。

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とてもいい環境に見えたのですが、その丘はすべて岩山なのでした。

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掘ろうとするとガチンと岩にぶつかります。

表層についたわずかな土にコケなどが繁茂していて、その下にオサムシが越冬していることもあるのですが、
ここもゴミムシすらでてこないという結果でした。

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次に目指したのは長南町。 去年一度訪れたのですが、藪にはばまれて途中で引き返した場所。

そう見込んで行ってみたわけではありませんが、藪が枯れて通れるようになっていました。

行きどまりまで進んでみましたが、よさそうな場所はあまりありませんでした。

ここも岩山エリアだったのです。

土の崖も少しだけあったので掘ってみたら、こんな子が隠れてました。

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まだ眠っていなかったのか、それともこの日の陽気で中途覚醒したのか、元気に動き回っていました。

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アオゴミムシ (オサムシ科)


15ミリくらいですが、シルクのような光沢のある美しい鞘翅の持ち主です。

まだ時間は午後二時でしたが、アオオサと、その他にも何種類かとれたので、これで掘り初め終了としました。

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この場所を後にして県道に出る直前、畔道の上をひらひらと飛ぶものが。

まさに陽気に誘われたのでしょう。

キチョウが元気よく舞っていました。

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キタキチョウ (シロチョウ科)





オマケ


2匹のアオオサムシを比べてみましょう。

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採集地は直線距離で5~6キロしか離れていないのですが、こんなに色が違うのです。
(見る角度にもよりますが)

こういう地域変異がみられるところがアオオサムシの大きな魅力です。


オマケ ハチュ


掘り納めの日、ゴミムシたちのたまり場ではこんな子もお休み中でした。

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ニホントカゲ


先日、御宿から連れて帰った子がすぐ☆になってしまったので、この子はそっと埋めなおしておきました。

掘り初めの日、土の中へと潜っていくアオゴミムシを追いかけていたら・・

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まだ寝ていましたが、アオゴミムシを確保しているうちに目を覚ましてしまいました。

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カナヘビ


帰路につくまでずっと、どうしようか迷いましたが、結局連れて帰ることにしました。

冬眠からは覚めてしまったようですが、今のところ元気にしています。 カナコちゃん。


オマケ クワ


3日は早めに引き上げたので帰り道に地元の昆虫ショップに用品を買いに寄りました。

新春クジ(無料)をひいたら、なんと特別賞(特賞ではない)が当たりました。

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ホウデンフタマタクワガタ (フィリピン ミンドロ島)


おみくじだとしたら 虫吉(ちゅうきち) ?




今日の湯加減

長い記事になりましたが実はこの他にもいくつか回っています。
でも房総でもなかなかオサホリができるようなフィールドがありません。
少子化、縮小経済の世の中でも開発は進んでいきます。里地・里山が増えることはありません。
そんな中で昆虫採集すると虫がいなくなるのではと心配されそうですが、個人レベルの採集で虫が減ることはないといわれています。
ニッチを見つけるのは小昆虫のお手の物ですので、環境が丸ごとなくならないかぎり生き延びている筈です。
今年も虫多き一年でありますように。





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コメント 16

響

初掘りお疲れ様でした。
しかしこんなのが?って言う虫が出て来る物ですね。
わたしも掘ってみたいけど
いったいどんな場所を掘ればいいのか見当もつきません。
あの素掘りのトンネルは素敵すぎ。
走ってみたいです。
by (2016-01-09 19:16) 

マリー

「手塚治虫(本名:治)のペンネームは、幼少時から昆虫少年で昆虫採集愛好家でもあった彼が、愛するオサムシを織り込んだものである。本人は「てづかおさむし」と訓読することを強く希望していたが、編集者や読者の違和感が大きく、また「氏」をつけたときに「おさむしし」となり「し」が重なって読みにくいので、「おさむ」と訓読することとした」ですって
オサムシは大人気ですね!
by マリー (2016-01-09 19:32) 

ぜふ

>響さん
そちらはきっとポイントがたくさんあるでしょうねー、掘りに行きたいです^^
トンネルは神社の脇にありました。
抜けた先は民家の庭先でした。 生活道らしかったですが、荒れてました^^;

>マリーさん
虫仲間の親友にも諭されたとか^^
中学生時代の甲虫標本画を見たことありますが、神業でした。
by ぜふ (2016-01-10 09:00) 

ねこじたん

あら 思ったよりたくさんいるのですね
残念会の お皿 かわいいですね
by ねこじたん (2016-01-10 09:30) 

yakko

お早うございます。
ベニシジミ号で颯爽と ! カッコ良いですね。
by yakko (2016-01-10 10:03) 

リュカ

8年目に突入なのですね^^
今年もよろしくです!
ルイスオオゴミムシの輝き、ほんと綺麗ですね!

虫吉おめでとうですww
by リュカ (2016-01-10 14:27) 

よしころん

今年も虫多き1年でありますようお祈りしています~^^
by よしころん (2016-01-10 18:22) 

shino*

ベニシジミ号カッコイイな^^
私も今年は攻めの姿勢で行きたいです
色の個体差は何なのか興味が湧きました
by shino* (2016-01-10 19:38) 

mimimomo

こんばんは^^
掘り納めと初掘り、結構良い成果では? 虫吉?^^
by mimimomo (2016-01-10 19:55) 

るぐっちぃ

ホント!
アオオサムシの色が全然違う!
なかなか興味深いですね♪
本年もよろしくお願いいたします♪( ´▽`)
by るぐっちぃ (2016-01-10 22:16) 

テリー

すごいですね。
こんなに、虫が地中に潜っているんですね。
ついでに、蛇まで、掘り出すなんて、怖いです。
by テリー (2016-01-11 15:52) 

ぜふ

>ねこじたんさん
お皿の文字と絵は店員さん作です^^

>yakkoさん
心強い相棒です^^

>リュカさん
スジアオとルイスの胸の色は気に入ってます♪

>よしころんさん
虫三昧の年にしたいです。いつものように^^

>shino*さん
何事も失敗をおそれないことですね^^
アオオサの色について今年は一歩踏み込むつもりです♪

>mimimomoさん
ゼロでなかっただけ幸運でしたが、3回連続一匹というのは・・^^;

>るぐっちぃさん
角度によってもまた変わるという不思議な虫なのです。

>テリーさん
冬の昆虫採集です♪
ヘビじゃなくてトカゲですよ^^
by ぜふ (2016-01-11 22:51) 

g_g

今年もまだ見ぬ昆虫の勉強をさせて下さい(^^)
by g_g (2016-01-13 10:47) 

sakamono

やっぱり、掘り納め、堀り初めという恒例行事があるのですね^^;。
いろんな種類の昆虫が冬眠しているコトに驚きました。
特に、カマドウマとスズメバチ!
by sakamono (2016-01-16 09:56) 

engrid

色に地域差、個体差があるのですね、びっくり
掘り納めに、掘り始め、オサムシたちに、あけましてえきましたね
チュウキチも、出ましたし、良きとし始め
かなこちゃんもお仲間入り、、
いろいろに増えていきますね、、
by engrid (2016-01-16 18:11) 

ぜふ

>g_gさん
まだ見ぬものが多すぎますが、その中でもたくさん会えることを願っています。

>sakamonoさん
3日とおかずでしたが^^;
カマドウマの越冬ははじめてみました。

>engridさん
できればもう少し大勢に挨拶できればよかったですが・・^^;
でもチュウキチで幸先のいい年明けとなりました!^^
by ぜふ (2016-01-17 07:57) 

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