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オサムシについてのメモ [オサムシ]
オサムシ記事の区切りとして、そもそもオサムシとは何かということをメモしておきます。
どんな虫なのかはこれまでの記事でだいたいお分かりかと思います。
さて、まずは何故”オサムシ”というのでしょう。

奥本大三郎 訳 『ファーブル昆虫記 ”ツチハンミョウのミステリー”』 から引用
オサムシのほとんどは翅が退化していて飛べません。
そのかわり歩くのは得意で、同じ大きさの他の甲虫に比べるとすばしっこくて漢字だと「歩行虫」と書くが、もうひとつ別に「筬虫」とも書きます。
この”筬(オサ)”とは何かというと、昔の機織(はたおり)の道具のひとつです。
(鶴の恩返しでツルが使うやつ)

そのどの部分がオサかというと、これです。

櫛の目状の隙間に経糸(たていと)が通され、これを手前にとんとんと引くことで左右に通した緯糸(よこいと)を経糸にしっかり織り込ませる道具。
(織るものによってこのオサを変えることができます)
どうですか? 似てますか?
どうみても似てませんよね。 今回は似てないと思った方が正解です。
では何故、「筬虫」になったのか。
機織道具には “杼(ひ)”という道具もあって、オサムシはこの形によく似ています。
それはこれ。

どうですか?似てますよね?
どう使うかもだいたい想像つきますよね?
そうです、経糸(たていと)を上下に分けた隙間に緯糸(よこいと)を通す道具です。
織物の世界でこれは通常は”ひ”と呼ぶのだそうです。 (一般には”とち”、”ちょ”と読む)
この“杼”は“梭”とも書き、“梭”は“オサ”とも読めるので、もともとは「梭虫」であり、それがいつのまにか「筬虫」にすりかわったのではないかと思います。
そう思いたくなるほどオサムシは筬より杼に似ています。

どうでしょうか。
ところで、オサムシ科にはたくさんの亜科が分類されています。
全部はわからないので少しだけ列挙すると。
アオゴミムシ亜科 ・・・スジアオゴミムシ、ムネビロアトボシアオゴミムシなど
オサムシ亜科 ・・・アオオサムシ、アカオサムシ、マイマイカブリなど
クビナガゴミムシ亜科 ・・・フタモンクビナガゴミムシ、ハネアカクビナガゴミムシなど
ゴモクムシ亜科 ・・・ゴミムシ、ケゴモクムシ、ウスアカクロゴモクムシ、オオクロツヤゴモクムシなど
ナガゴミムシ亜科 ・・・ノグチナガゴミムシ、クロナガゴミムシ、マルガタナガゴミムシなど
ヒョウタンゴミムシ亜科 ・・・ナガヒョウタンゴミムシ、オオヒョウタンゴミムシなど
マルクビゴミムシ亜科 ・・・マルクビゴミムシ、オオマルクビゴミムシ、ヒメマルクビゴミムシなど
亜科はもっと他にもありますがこれくらいにして。
さて、上の亜科に属する名前の中でひとりだけ分類が間違っているのでは?と思うものがありませんか?
ここで気がついた方は人並みはずれた集中力の持ち主かと思いますが、何も気にならなかった方は、
「ゴミムシ」をもう一度探してみてください。
そうなんです。
ゴミムシは○○ゴミムシ亜科ではなく、ゴモクムシ亜科に分類されているのです。
昆虫に限らず、分類は日々改訂されるので、ゴミムシ君も過去どこかの時点で分類変更されたんでしょうね。
前回紹介した、うちのオオクワ夫婦が意外と評判よかったので、勝手にアンコール。

「あなた、ちょっと背中がかゆいからかいてくれへん~」
「おぅ、どこやどこや」
佐倉の帰りに川美に寄ったらこんなのが咲いてました。

今日の湯加減
どんな虫なのかはこれまでの記事でだいたいお分かりかと思います。
さて、まずは何故”オサムシ”というのでしょう。

アオオサムシ (オサムシ科) 2013.5.5 撮影
奥本大三郎 訳 『ファーブル昆虫記 ”ツチハンミョウのミステリー”』 から引用
オサムシはすがたも形も美しい甲虫です。これは雑木林に多い虫ですが、たんぼのあぜ道や、大きな庭や公園などにも住んでいます。
夏に山道をいくと、地面をあたふたと歩いているオサムシに出会うことがあります。
漢字では「歩行虫」と書いてオサムシと読むのですが、それは地面を歩き回る、こんな習性からきたものです。
オサムシのほとんどは翅が退化していて飛べません。
そのかわり歩くのは得意で、同じ大きさの他の甲虫に比べるとすばしっこくて漢字だと「歩行虫」と書くが、もうひとつ別に「筬虫」とも書きます。
この”筬(オサ)”とは何かというと、昔の機織(はたおり)の道具のひとつです。
(鶴の恩返しでツルが使うやつ)

機織機 (佐倉ふるさと館展示)
そのどの部分がオサかというと、これです。

筬
櫛の目状の隙間に経糸(たていと)が通され、これを手前にとんとんと引くことで左右に通した緯糸(よこいと)を経糸にしっかり織り込ませる道具。
(織るものによってこのオサを変えることができます)
どうですか? 似てますか?
どうみても似てませんよね。 今回は似てないと思った方が正解です。
では何故、「筬虫」になったのか。
機織道具には “杼(ひ)”という道具もあって、オサムシはこの形によく似ています。
それはこれ。

杼(梭)
どうですか?似てますよね?
どう使うかもだいたい想像つきますよね?
そうです、経糸(たていと)を上下に分けた隙間に緯糸(よこいと)を通す道具です。
織物の世界でこれは通常は”ひ”と呼ぶのだそうです。 (一般には”とち”、”ちょ”と読む)
この“杼”は“梭”とも書き、“梭”は“オサ”とも読めるので、もともとは「梭虫」であり、それがいつのまにか「筬虫」にすりかわったのではないかと思います。
そう思いたくなるほどオサムシは筬より杼に似ています。

筬と杼
どうでしょうか。
*
ところで、オサムシ科にはたくさんの亜科が分類されています。
全部はわからないので少しだけ列挙すると。
アオゴミムシ亜科 ・・・スジアオゴミムシ、ムネビロアトボシアオゴミムシなど
オサムシ亜科 ・・・アオオサムシ、アカオサムシ、マイマイカブリなど
クビナガゴミムシ亜科 ・・・フタモンクビナガゴミムシ、ハネアカクビナガゴミムシなど
ゴモクムシ亜科 ・・・ゴミムシ、ケゴモクムシ、ウスアカクロゴモクムシ、オオクロツヤゴモクムシなど
ナガゴミムシ亜科 ・・・ノグチナガゴミムシ、クロナガゴミムシ、マルガタナガゴミムシなど
ヒョウタンゴミムシ亜科 ・・・ナガヒョウタンゴミムシ、オオヒョウタンゴミムシなど
マルクビゴミムシ亜科 ・・・マルクビゴミムシ、オオマルクビゴミムシ、ヒメマルクビゴミムシなど
亜科はもっと他にもありますがこれくらいにして。
さて、上の亜科に属する名前の中でひとりだけ分類が間違っているのでは?と思うものがありませんか?
ここで気がついた方は人並みはずれた集中力の持ち主かと思いますが、何も気にならなかった方は、
「ゴミムシ」をもう一度探してみてください。
そうなんです。
ゴミムシは○○ゴミムシ亜科ではなく、ゴモクムシ亜科に分類されているのです。
昆虫に限らず、分類は日々改訂されるので、ゴミムシ君も過去どこかの時点で分類変更されたんでしょうね。
オマケ
前回紹介した、うちのオオクワ夫婦が意外と評判よかったので、勝手にアンコール。

オオクワガタ ペア
「あなた、ちょっと背中がかゆいからかいてくれへん~」
「おぅ、どこやどこや」
オマケ 2
佐倉の帰りに川美に寄ったらこんなのが咲いてました。

十月桜(冬桜)
今日の湯加減
今日12月21日は、ジャン・アンリ・ファーブルの誕生日。
ファーブル先生が生まれたのは1823年、今から190年前、勝海舟と同い年です。
シーボルトが日本にやってきた年でもあるそうです。
190年も前ともいえますが、たった190年の間に地球環境(自然)はどれほど変わったでしょう。
ファーブル先生が見たら何と言うでしょうね・・
過去を書き替えることはできませんが、環境破壊に歯止めはかけないといけませんね。
それとまだ残っている自然(日本では特に里地・里山)を保全すること。
そのためにはまず自然に目を向けること、自然に目を向ける次世代を育むことが大切だと思っています。
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
「サムシ」だったかもなのですねー。
日本人って「お」を付けるのがスキだから(お味噌汁とかお仏壇とかw)「おサムシ」なのか?とも思っちゃいました(笑)
オオクワガタかわいいです。ほんとはうちも飼いたいです^^
by リュカ (2013-12-21 23:24)
博士。勉強になりました^^
by aidesu (2013-12-22 03:02)
おはようございます^^
この類の甲虫は飛べないのですね~それを聞いて安心^^
あの飛ぶ音とこちらに突進してくるような感じが嫌いなのです。
by mimimomo (2013-12-22 07:37)
キレイなモスグリーン、
パタゴニアのモスGのフリースに飛んできて欲しい。
って、飛べないんでしたね(^^;)
by barbie (2013-12-22 07:57)
>リュカさん
実はそれも考えました、そうかもしれないですよね~^^
クワガタの飼育もたのしいですよ~(とあおる^^)
>aidesuさん
いやいや、全然調査が足りないので今日またロケに行ってきます^^
成果があれば記事に付け足すかも・・^^;
>mimimomoさん
はい、安心してください。臆病な虫なので突進もしてきません^^
>barbieさん
ブローチにぴったりですかね^^ しかも見る角度によって色がかわるんですよ♪
歩いていくってことでよいですか^^
by ぜふ (2013-12-22 08:13)
なるほど甲虫は飛ばないんですか!色が奇麗ですね。
by g_g (2013-12-22 13:39)
確かに、筬よりも杼のほうが似てる感じですね!
それにしても奥が深いなぁ・・・。
by sasasa (2013-12-23 20:33)
オサムシ関連記事、纏めて拝見しました。
普通に見掛ける虫ではありませんが、色々と突き詰めて行くと、なかなか面白そうですね。
ファーブル先生は、牧野博士と並んで、子供の頃の僕にとっては、憧れだった人です。
手元にある「江戸時代年表」を見ると、1823年(文政6年)は、シーボルト先生が、出島にオランダ商館医として着任した年でした…
by albireo (2013-12-23 22:11)
>g_gさん
甲虫ではなくオサムシですが、飛べる種類もいます。ほとんどが飛べませんが^^;
>さささん
というよりも、どう見ても筬には似てないですよね^^;
>albireoさん
突き詰めるのはかなり勇気のいる分野だということがわかりました^^;
なので深入りはせずに広く色々なオサムシを観察したいと思います。
飼育(冬眠)中の子たちも含めて^^
牧野富太郎博士は同郷なので親しみがあります。
by ぜふ (2013-12-24 06:54)
やっと咳が止まりました。
by Silvermac (2013-12-26 10:33)
すごいぜふさん博物記ですね。オサムシの名前の由来よーく分かりました。ファーブルは190年前の人なんだ。
もっと古い時代かと思っていましたが、幕末の頃なんですね。
そうですね、この190年で、地球はすごく変わりました。何より人の数が増え、温暖化など、昔では考えられない問題が起きています。
昆虫たちも暮らしにくくなっているのでしょうね。
by moz (2013-12-27 06:14)
綺麗な色していますねぇ~。
つい最近掘ったけどゴキブリみたいなやつしか出てこなかったです(汗)
オオクワガタは自然のなかで一回は見てみたいです。
by 響 (2013-12-27 23:54)
>Silvermacさん
油断せず、引き続きお大事に・・
>mozさん
そうですか、子どもの頃から親しみがあったせいか、何故か最近(おじいちゃんの世代)の人のような印象がありました^^
温暖化は虫にとってはむしろいい面もありますが、とにかく急激な環境変動はあらゆる生き物にとってマイナスですね。
>響さん
それ、オオゴキブリじゃなかったですか? だとすると欲しがる人いっぱいですよ^^
野生のオオクワは最高!マーベラスですね♪
by ぜふ (2013-12-28 00:37)
オサムシの考察、
面白く読まさせていただきました
いろいろに考えられるのですね
by engrid (2013-12-28 01:05)
>engridさん
以前からあたためていたネタでしたが、まだまだ考察が足りないですね。
もっと勉強しますが、楽しんでもらえてよかったです^^
by ぜふ (2013-12-28 07:26)
お早うございます。
「歩行虫」と書いてオサムシと読むんですか(@_@;)
綺麗な虫ですね。いろいろご存じでぜふさんは昆虫博士ですね !
by yakko (2013-12-28 08:48)
伝聞の中で名称が変わっていくコトは、十分ありそうな話ですね。
そういえば、歩いてばかりであまり飛ばない虫って見たコトがあります。
あれはオサムシだったのかもしれません。
by sakamono (2013-12-29 17:01)
ぜふさん、お詳しいですね~
興味深く読ませていただきました
今年も気まぐれブログにお付き合いくださって
ありがとうございます
来年がぜふさんにとって
素敵な年でありますように^^
良い年をお迎えください
by ☆marilyn (2013-12-30 22:14)
>yakkoさん
「筬虫」とも書きます。実物はもっとキレイですよ♪
あたふた歩く姿もおもしろいです^^
>sakamonoさん
音便や訛りもありますしね。
歩いてばかりというのはまさに「歩行虫」ですね^^
>malilynさん
まだまだ考察不足ですが楽しめてもらえたらよかったです。
来年も(楽しめる記事を書くよう努めますので)よろしくお願いします^^
by ぜふ (2013-12-31 00:28)