SSブログ

"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。

西風MAX ~ハンノキ林は大賑わい~ [ゼフィルス]

台風が発生したこともあり、ついに梅雨らしいシトシト模様になってきたチバですが、

それを見越して一昨日また観察に行ってきたのでした。

朝寝坊さんの妖精たちであることも見越してホームフィールドに着いたのは午前8時ちょっと過ぎ。

例によってぐるっとハンノキ林の周りを巡回してみると、いきなり全開の子が樹上に一頭いました。

2013_06_10 08_37_46.jpg

ミドリシジミ ♂ (シジミチョウ科)


ちょっと遠かったのですが、あえてズームレンズに付け替えずに「おはよう」とまずはご挨拶代わりに撮影。


2周めの巡回をしてみると、下草に舞い降りてくる子が見え始めました。

2013_06_10 08_47_33.jpg

ミドリシジミ ♀ B型 (シジミチョウ科)


O型といってもいいかもしれませんが、よく見るとかすかに青い模様が確認できます。

*


さて、前記事に ”青いのにミドリシジミとはこれ如何に” というとても良い質問をいただきましたので、
今回は"構造色"について少し触れておくことにします。

"構造色"の詳しい解説は、ウィキペディアなどを見ていただきたいのですが、
簡単にいうと、構造色とは、光の干渉や屈折や拡散などによって生じる色です。
玉虫色で有名なタマムシも実は構造色なのです。

赤い絵の具で塗ったキャンパスはどの角度からながめても赤く見えますね。
それはキャンパス自体に赤い色が付いたからです。(正確には、赤い光を反射する物質が付いた)
それに比べて構造色を発するものは見る角度によって色が変わります。

タマムシの背中(正確には前翅表面)もあの金緑色が付いているわけではありません。
表面の細かな凹凸によって金緑色がキラキラと反射されているだけなのです。

だからタマムシも角度を変えると青くも見えます。(さまざまな色に変化することを玉虫色と言いますよね)

また、赤いペンキは色褪せますが、構造色はそれ自体に色が付いているわけではないので色褪せません。
だからタマムシの翅を集めて作られた、玉虫の厨子(ずし)は何百年経っても光り輝いているわけです。

それと、凹凸だけが構造色の構造ではありません。シャボン玉の虹色も構造色なんです。

光の波長よりも短い微細な構造(凸凹や層)による発色のことを構造色と呼ぶということです。

ミドリシジミに話を戻しましょう。

2013_06_10 08_56_52.jpg

ミドリシジミ ♂ (シジミチョウ科)


表翅の色がちらりと見えていますね。男の子です。

それでは、いよいよ名前の由来の”ミドリ”色の翅をお見せしましょう。

2013_06_10 08_59_19.jpg

ミドリシジミ ♂ (シジミチョウ科)


どうですか? これはまさに”ミドリ”シジミでしょ?

さらに角度による変化をお見せします。(連続です)

2013_06_10 09_13_27.jpg


2013_06_10 09_13_53.jpg


2013_06_10 09_14_14.jpg


2013_06_10 09_14_35.jpg


見る角度や光の当たり方によってこんなに違うんですね。

色もさることながら、やっぱりこのつんつん顔も魅力です。

2013_06_10 09_10_25.jpg


ディズニーのキャラクターにもいそうな感じのアニメ顔。今にも何か喋り出しそう。

それと今回もカワトンボとのツーショットにチャレンジしました。

2013_06_10 09_16_23.jpg


かなり絞りましたが、これが限界でした。(カワトンボくん、ごめん)

そうそう、撮影スタイルを少しお話すると、昆虫撮影は基本的に手持ちです。
相手は動く(あるいは飛ぶ)ので三脚は使いません。(一脚は携帯していて場合によっては使います)

自然光で撮りたいのでフラッシュも基本的に使いませんが、簡易マクロライトは場合によって使います。

撮影者も自然(お気楽)でいたいので、とにかく動きやすい機材と撮影スタイルを心がけています。

また少し話を戻しましょう。

このおっぴろげの子ですが、順光で撮ると、

2013_06_10 09_16_54.jpg


こういう青緑色に見えますが、やや逆光でかつ後方から撮ると・・

2013_06_10 09_17_58.jpg


まるで別人です。(同一個体なんですよ)

というわけで、構造色とミドリシジミが何故”緑”なのかについてお分かりいただけたでしょうか?

(まあ、翠(みどり)という色は青に近いということもありますが、それはここでは棚上げさせてもらいました)




オマケ


この後2時間ばかり、次から次へと舞い降りてきて、あっちでぱかー、こっちでもぱかーっと、
ゼフィルスファンのためのファン感謝デーのようなお祭り騒ぎでした。

2013_06_10 10_08_19.jpg


これは昆虫塾のある大先輩に見せたら、「絞りが緩すぎるねー」と言われること間違いなしですが・・・
T先輩、すみません。




今日の湯加減

この日まで雨が降らなかったこともあり、みんな翅がピカピカで新鮮でした。
今年は色々な意味でアタリ年だとおもいます。
撮ったその日にアップしたかったのですが、実はこの後、別のフィールドにも行きまして、
そこでもまた色々観察できてしまいました。(ゼフィルスではありませんが)
それはまた別途記事にと考えていますが、これではまったく追いつきそうにありません。
うれしい悲鳴といえばそうですが、所詮は自己満足で書いているわけですからマイペースになると思います。
それよりも、また「ミドリシジミ 多」と書けたということが真にうれしいことです。


nice!(29)  コメント(19) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 29

コメント 19

Silvermac

ミドリシジミ、神秘的なチョウですね。
by Silvermac (2013-06-13 06:22) 

mimimomo

おはようございます^^
なるほどね~ 良く分かりました。
by mimimomo (2013-06-13 06:31) 

g_g

文句なくミドリシジミは綺麗ですね
山を歩いていて偶には撮ろうと思いますが
そんな時はまず止まってくれない(T_T)
by g_g (2013-06-13 07:35) 

yakko

お早うございます。
玉虫色についてよく分かりました ! 
ミドリシジミは神秘のゼフィルスですね〜一度で良いから観てみたい !
by yakko (2013-06-13 08:34) 

aidesu

やはりDFAいいですね。
寄れるDFAか明るいDA55かでも悩みます。
とにかく雨の日でも使えるレンズが欲しいです^^
by aidesu (2013-06-13 08:37) 

engrid

構造色のお話、なるほどと
読まさせていただきました、
玉虫厨子の未だ美しい事もりかいできました、
ありがとうございます。
観察する角度によって、あんなにも違いが出るなんて
説明を受けても,驚きです。
by engrid (2013-06-13 10:25) 

路渡カッパ

ああ、いい勉強をさせてもらいました。
構造色についても、撮影法についても。
よい写真を撮るにはやはり昆虫の特徴を知ることも必要なんですね。
by 路渡カッパ (2013-06-13 11:07) 

さとし

綺麗ですね。

私も撮りたい、っていうかまずは出会うことが大切ですね。
by さとし (2013-06-13 19:14) 

kazykaz

右を向いても左を向いても、上から下まで緑の翅がご開帳ですね♪

いや~、とても素敵なお写真堪能させていただきました\(^-^)/
by kazykaz (2013-06-13 21:53) 

ぜふ

>Silvermacさん
ほかのチョウたちとはまったく別に感じます。思い入れが違うからですけどね^^

>mimimomoさん
わかっていただけて良かったです♪ ほっとしました。

>g_g さん
移動しながらはかなりきびしいでしょうね。
ポイントを調べて、撮るときは、じっくり待つ”のが一番かと・・

>yakkoさん
ミドリシジミの翅のこともわかってもらえたでしょうか?

>aidesuさん
DFAは50mmも持っていますが、WRじゃないので、デフォルトは100mmを装填しています^^;

>engridさん
角度によってはジミ過ぎて目立たないくらいというのがナゾですね・・^^;

>路渡カッパさん
特徴や生態を知っていると格段に撮りやすくなりますね♪
撮影法は我流です^^;

>さとしさん
そちらにはきっといるはずです。会えるといいですね、期待しています^^

>kazykazさん
お祭りでしたからね♪^^
雑にならないように撮影しましたがさてさて・・


by ぜふ (2013-06-13 23:14) 

めもてる

私も勉強になりました。
by めもてる (2013-06-14 12:38) 

ぼんぼちぼちぼち

ミドリシジミの美しさをしみじみ実感しやした(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2013-06-14 14:04) 

うえいぱうわ

ゼフィルスさんの羽の美しさに見とれてしまいますね。
こういう色って、よく出せるモノだなあと。
by うえいぱうわ (2013-06-14 22:34) 

ぜふ

>めもてるさん
書いてる本人も調べながらです・・^^;

>ぼんぼちぼちぼちさん(タイプミスしてないですかね・・)
美しさをご理解いただけて何よりです^^ ホンモノはさらにですよ♪

>うえいぱうわさん
ここまでの美しさは不要と思いますし、
単に目立つようにするためなら構造色じゃなくてもいいわけで・・
やっぱり妖精なんですよ。やっぱり^^



by ぜふ (2013-06-14 22:44) 

sakamono

実に分かり易い説明で勉強になりました。
写真付きなので、とても分かり易いです^^;。
玉虫の厨子というモノも、見てみたいです。
by sakamono (2013-06-15 15:47) 

ぜふ

>sakamonoさん
それはよかったです。
顕微鏡写真もあればもっとわかりやすいんですけどね^^;
玉虫厨子はタマムシの翅自体がほとんどなくなっているそうです。
いくら構造色でもモノ自体がなくなると色も失われますね。
by ぜふ (2013-06-15 19:40) 

albireo

ミドリシジミの翅の色も、構造色なのですか。
カワセミやカルガモの羽根の青い色と、同じだった訳ですね。
タマムシは、何となく解るような気もしますが、ミドリシジミの翅までとは
知りませんでした。
玉虫厨子の本物を、一度見たことがありますが、確かに翅が失われて
くすんだような色だった記憶があります。
何年か前に造られた、レプリカの厨子は、見事なものでしたが。
by albireo (2013-06-18 00:15) 

ぜふ

>albireoさん
玉虫厨子の実物見てみたいです。
全国からタマムシを集めたんですよね。たしか2万匹分だったとか・・
by ぜふ (2013-06-18 06:09) 

ラブスコール

なんて美しいんでしょう。。。
この色合い。。。もうウットリしまくりです*^^*
by ラブスコール (2013-06-18 18:00) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。

そろそろ帰ろう ~ぜふのムシブロ~ - にほんブログ村