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"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。

メタリックブルーの謎 [トンボ]

先週は久しぶりにホームフィールドの観察会に参加してきました。

時折曇る程度のいいお天気で、気温も20度をちょっと越えたくらいのちょうど良い暖かさ。

少し風が強かったものの、観察会には絶好の日和でした。

色々な生き物を探すのがテーマでしたが、まさに多種多様いました・・・虫がね。

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ニホンカワトンボ ペア (カワトンボ科)


花の撮影に来ていたカメラマンの方が見つけてくれました。

横向きだけど、ハートマークになってまさに愛虫(ラブチュウ)。

多くのトンボはラブチュウ状態(タンデムといいます)になるとしばらくこのままの態勢になります。
(1時間以上このままのこともあるし、タンデムのまま飛行することもありますよね)

さあ、いよいよ本格的に虫シーズンに突入したフィールドから色々ご紹介いたします。


まずは引き続きカワトンボを。

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ニホンカワトンボ ♂ (カワトンボ科)


次はメスです。違いを見つけてください。

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ニホンカワトンボ ♀ (カワトンボ科)


わかりましたか?

ひと目でわかるポイントがありますね。

そうです。翅にある紋の色です。

オスは赤っぽくて、メスは白っぽいんです。(ただし、オスも未成熟だと白っぽい)

カワトンボのオスはこの模様でメスを見分けているそうですので、色がわかるということなんでしょうね。
(メスの紋の色を違う色に塗るとオスの行動が変わるのだそうです)

ところでもうひとつ気になったことがありませんか?

そうですね。扉の写真の褐色の翅のは何だ?ってことですね。

前にも書いたと思いますが、カワトンボのオスの翅は、大きくいうと褐色タイプと透明タイプに分かれます。

そして問題はこの青い子。

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アサヒナカワトンボ ?(未成熟) ♀ (カワトンボ科)


前出の子たちの胴体の色は”緑がかった金色”という感じですが、この子はまさに”メタリックブルー”。

なぜ”?”かを説明する前に、カワトンボそのものについて少し説明します。

カワトンボ科カワトンボ属は数年前まで、

A ヒガシカワトンボ
B ニシカワトンボ
C オオカワトンボ

の3種類に分類されていましたが、DNA解析した結果、2種類だということになり、AとCは”ニホンカワトンボ”とされ、Bは”アサヒナカワトンボ”とされました。

(ミヤマカワトンボというトンボもカワトンボ科ですが、カワトンボ属ではなくアオハダトンボ属)

ニホンカワトンボは主に関東以北、アサヒナカワトンボは主に関東以西に生息しているということです。

つまり、関東では2種類が混生している場所もあるということ。

ところがこの2種は見た目で区別することはほとんど不可能なのだそうです。
(アサヒナは縁紋がやや細長いという話もありますが)

さて、このメタリックブルーの子はアサヒナカワトンボだと思い込んでいたのですが、実は、未成熟個体はどちらもこのような色をしていることを知りました。

しかし、この子は目も黒くなっているし、よく見るとわかりますが、すでに足が3本も欠損しているので、未成熟とはいえ、羽化直後でもないと思います。

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同一個体


成熟した途端に色が変わるとは思えないので、メタリックブルーと金緑色の中間色の子も見てみたいです。

というわけで、ここで紹介したカワトンボは全部ニホンカワトンボかもしれませんし、すべてアサヒナカワトンボである可能性もあります。

(またもや頭が混乱するような説明になってしまったかもしれませんね・・ごめんなさい)

さあ、カワトンボはこのくらいにして、その他の昆虫も紹介します。

この子達も同定がむずかしいのですが・・

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ヒゲナガハナノミ ♂ (ナガハナノミ科)


タマムシ、コメツキムシ、ホタル、クシヒゲムシなどの仲間はよく似ていてひと目ではわかりません。

いつか紹介したいですが、”コメツキダマシ”や”ホタルモドキ”などという種もいます。

ということで大抵は帰宅してから図鑑で同定しますが、次の子も同じ虫なんですよね。

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ヒゲナガハナノミ ♀ (ナガハナノミ科)


上はオス、下はメスです。 交尾してくれていたら分かりやすいんですが、別々にいると分からなくなります。

そして最後はちょっと変わった子。

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ジンガサハムシ (ハムシ科)


あまり写りがよくないですが、実物はもっときれいです。 クリアタイプのてんとう虫という感じ。

もっと他にもいたのですが、また時間がなくなりました。続きは次回に。




オマケ


冬の間、ずっと探していたのに結局一匹も見つからなくて、生息を危惧していた子にやっと会えました。

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ホソミオツネントンボ (アオイトトンボ科)


田んぼの中にいたのであまり近づけませんでした。




今日の湯加減

ホソミオツネントンボを写した田んぼは田植え中でした。
大学生が毎年修学(実地体験)をしている田んぼや近隣の小学校の体験田もあります。
いつもの観察指導員の方たちの内の何人かも一緒に作業をされていました。
もちろん機械は一切使わず、全部手植えです。
経験者じゃないとわからない苦労もありますが、逆に泥にまみれる気持ちよさもあります。
田植えの指導をしていた博物館の先生がこんな虫を見つけてとてもよろこんでました。
蝶類が専門かな?


タケカレハの幼虫

(大丈夫な方はクリックして見てください)


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コメント 22

Silvermac

牧野植物園南園が整備されて、トンボが減りました。
by Silvermac (2013-05-26 05:58) 

g_g

昆虫類も随分難しいんですね、分からない我々にとっては
菜っ葉一絡げで括ってしまいそうです。
by g_g (2013-05-26 07:47) 

mimimomo

おはようございます^^
一枚目のお写真、綺麗ですね~面白いです^^ ♡型
一番最後の虫は、あの形に葉を食べるのですか? ポコポコ葉に穴があいているわ。
by mimimomo (2013-05-26 08:27) 

sakamono

以前に宮崎でキレイなメタリックブルーの細いトンボを見つけて、
調べてみたらカワトンボ、というコトが分かりました。
宮崎だから、アサヒナカワトンボだったのかもしれませんね。
by sakamono (2013-05-26 14:10) 

masao。

愛のハートマーク素敵ですね(^^)
トンボの仲間は、難しくて。。。
今年は、ハッチョウトンボをみに行こうかな?
なんて計画しています。
by masao。 (2013-05-26 17:10) 

ぜふ

>Silvermacさん
それはトンボたちにとっては整備じゃないですね。
甲虫園じゃないのだからしょうがないですけど^^;

>g_gさん
菜っ葉一絡げ ・・植物は詳しくないので、まさにそれを地でいってますね^^;

>mimimomoさん
いいところに気がつきましたね♪
ジンガサハムシは丸くかじるので、この食痕はこの子の可能性大です^^

>sakamonoさん
宮崎ならそうでしょうね。
色はまったく同じだったでしょうか? どうしても気になります^^;

>masao。さん
カワトンボやイトトンボの仲間特有ですよね。 いつ見ても癒されます^^
ハッチョウトンボですか、いいですね♪ いっしょに行きたいです^^

by ぜふ (2013-05-26 22:10) 

sasasa

トンボは沢山種類があって、見分けも難しいですよね(>_<)
by sasasa (2013-05-26 22:11) 

うえいぱうわ

ああ、成程、そういえば、合体して飛んでいるトンボを
見たことがあります。
当時は、連結したらスピードが上がるのかなあとか
考えてましたが(笑)
by うえいぱうわ (2013-05-26 22:26) 

ぜふ

>さささん
ハチやガと比べると種類は少ないんですけどね。
捕まえないとわからないものは多いです・・^^;

>うえいぱうわさん
連結したらスピードが上がる・・楽しい発想♪
ツインエンジンってことですね^^
by ぜふ (2013-05-27 06:39) 

engrid

頭がこんがらがったかなカワトンボの分類、見分け方
むつかしいですね
でも、美しく繊細な美しさ。
クリアなてんとう虫、なんだかすごい感じがします

by engrid (2013-05-27 15:43) 

ぜふ

>engridさん
未成年の青い子の登場でこんがらがってしまいましたね^^;
またいつか分かりやすく整理します。
ジンガサハムシはユニークでしょ。飛ぶんですよ♪^^

by ぜふ (2013-05-27 22:24) 

響

カワトンボの種類を見分けるのは難しいです。
スケルトンなハムシは見てみたい。
by (2013-05-28 11:02) 

アサギいろ

房総半島のアサヒナカワトンボの繁栄を祈っております。
脱、絶滅危惧・・・
by アサギいろ (2013-05-28 23:09) 

albireo

中間的な位置に生息する場合は、結局DNA解析をしなければ解らないと言うことなのですね…
これから、温暖化の影響で、昆虫の生息域も変化するでしょうし…
色々と、厄介なことですね。
ホソミオツネントンボは、ブログを始めた頃の秋に、枯葉色の個体を撮って記事にしたことがありますが、越冬後の青い個体は見たことがありません。
by albireo (2013-05-29 06:32) 

ぜふ

>響さん
ここではちょくちょく見られますが、数は少ないですね。
明るいところにいてくれるととてもキレイです。

>アサギいろさん
もし時間に余裕があったら、試験採集するなどしてきちっと調べたいですね。
混生しつつ両方ともにもっともっと増えて欲しいです♪

>albireoさん
別種だとされていたのが同種だったり、同じにしか見えないけど解析したら別種だったりというのはままありますが、
普通に観察・採集して楽しむには解析結果はあまり重要じゃない気がします。
うちの塾長も、虫の解釈は人それぞれにあってよいということを御本に書いてらっしゃいました。
なのでここではアサヒナと表示しました。そのほうが楽しいですしね♪
by ぜふ (2013-05-29 06:58) 

mimimomo

こんにちは^^
再びお邪魔しま~す~
いよいよ入梅だそうですが、まだ降らないですね今日は^^
by mimimomo (2013-05-30 13:54) 

ぜふ

>mimimomoさん
再訪ありがとうございました^^
ちょっと発表を早まりましたかね? でも蒸し暑くなくていいですね。
by ぜふ (2013-05-31 06:42) 

mimimomo

おはようございます^^
ご連絡ありがとうございました♪
結構早くから準備がされていたのですね。わたくしは何度かその場所を通っているはずですが、気づきませんでしたよ(--;
ワリンゴも三種植えてあるのですね。高坂とリンキは分かりましたが・・・もう一つは多分お花が無かったのでしょうね。そう言う場合大体素通りしてしまって(^^ゞ
by mimimomo (2013-05-31 08:37) 

yakko

お早うございます。
羽の茶色のがカワトンボだとばかり思っていました f(^ー^;
胴体がメタリックブルーもカワトンボなんですね〜
ハートマークの愛虫(ラブチュウ)素敵です !!
最後の大きな芋虫は蝶ですか???
by yakko (2013-05-31 08:43) 

ぜふ

>mimimomoさん
和リンゴ自体はじめて知りました^^; しかも種類があるとはおどろきでした。
いつか行って見たいです。

>yakkoさん
茶色の翅はオスです。メタリックブルーのは未熟の子です。
最後のはタケカレハという蛾の幼虫です。成虫より大きいですが^^

by ぜふ (2013-06-01 09:14) 

sakamono

気になって、自分の過去記事を見直してみたら、体はメタリックブルー
でしたが、羽が黒かったので違うトンボかもしれません。
勘違いしていました^^;。
http://sakamono.blog.so-net.ne.jp/archive/20111007
by sakamono (2013-06-01 11:45) 

ぜふ

>sakamonoさん
ハグロトンボのオスの胴体はメタリックブルーに近いですね。
(メタリックグリーンといった方がいいかもしれませんが)
by ぜふ (2013-06-02 07:45) 

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