"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
廃道探索 ~トンネルズ編~ [Wessay]
前回、”つづく”と書いたのは、途中までしか書かなかったからという理由ではなく、
きっとまた来るぞ、I shall return ! という気持ちがあったからだったのです。
1週間経ってやっと、筋肉痛の余韻が消えてくれたので、昨日リトライしてきました。
結果は本編をご覧になっていただきたいのですが、昨夜はとても記事を書ける状態ではありませんでした。
ただ、本編は長くなります。というよりも大量の写真の羅列になると思います。
なぜなら、また今度行くときのガイド用記事にしたいからです。
そういう特殊な内容となりますのであしからず。
今回も保台ダムに着いたのは朝10時前でした。
前回よりも気温は5度ほど低めですが、天気はよく、風もおだやかです。
廃道入口のガマズミの赤い実が青空に映えて気持ちもよく、意気揚々と出発・・・・ ・・・ ・・ ・ ・
最初の三叉路は左です。
道がなくなっているように見えて、すぐに開けます。
前回は気がつきませんでしたが、ここも切り通しになっているようです。
石積みの石も大きい。歩いている道自体も石垣の上だったことに気がつきました。
ただ、山肌が崩れていたり、倒木や落石のために道が塞がれている所も多く、沢の中も歩かなくてはいけません。
水際には動物の足跡が。
観察しながら写真を撮るという余裕ももちろんこの時点ではありました。
ほんの少し沢の水かさも増えていて、水の中に入らないといけない箇所もありましたが、長靴ではないため、
倒木を移動させて橋にして渡っていきます。
周りの様子の写真も撮っていきます。
上の写真、前方に杉木立が見えるのがわかりますか? これも覚えておいてください。
特に迷うような分岐もなく、20分程進むと一升瓶沢に着きました。
よく見るとここにも丸い形の石垣跡があったので、少しだけ一升瓶を動かしてなお分かりやすくしておきました。
さあ、この一升瓶沢の分岐を右に進んだことで、前回は失敗したのでした。
だから左です。沢を遮断するように太い杉が倒れていますが、それを乗り越えていきます。
沢の幅も狭くて土砂や倒木でここまでと比べて進みづらいステージですが、間もなく左手に小さな切り通しのようなところが見えました。
ちょっと覗いてみると、そこは歩きやすそうな道が。
なんだ、となりの沢はこんな歩きやすかったんだ、ちゃんと道になっているし、ここを進んでいこう。
しかも石垣の上にある道じゃないか、これなら大丈夫。
どんどん進みますが・・・
あれ?この木は・・・・(動揺してブレています!)
そういえばさっきの杉木立も・・・ いつの間にか逆戻りしていました。
道理で沢の流れに逆らって歩いていたのに、切り通しを抜けてからは流れが逆になっているなぁと思ってはいたのです。
それにしてもキツネにつままれたようでしたが、きびすを返すことにしました。
するとやはりというか、当然・・・
つまりこういうことです。
一升瓶沢を左に曲がると、元の沢と並行して進むことになる、その途中の切り通しを抜けると元の沢に出る。
ではもう一度やり直しです。
左に曲がって、太い杉の倒木を乗り越え、しばらく進むと、切り通しが見える。
これをやり過ごしてそのまま今いる沢を進む。 さあ、ここからが本当の第2ステージです。
すると、少し開けてきました。
石垣の上の道も現れました。
いくつめかの丸い石垣も。
今度こそ安心して進めそうです。(キツネかタヌキがいなければね)
この円形石垣はかなり形がのこっていますが、それでも何のための構造物なのかはわかりません。
沢の中の大きな畳石の上を歩きます。これも目印です。
そしてこれも目印。
と名づけました。 某ディズニーの有名なネズミに見えませんか?
順調なので、こんな写真も撮りながら。
これはまたくっきりと。
立派な角の牡鹿を想像しながら進みます。
しっかりした石垣の道があるかと思えば、
バリケードのようなところもあります。
さらに10分ほど進むと。(ミニ切り通しからは40分)
分岐です。
左は、
進めなくもなさそうですが、けっこう狭い。
右は、
どうやらこちらがよさそうです。
少し進むとこんなものが落ちていました。
ウサギの糞にしてはちょっと大きいような気もしますが、心の安寧のためにかわいい野ウサギの落し物ということに。
ただ、道は少し険しくなってきました。
10分ほど進むと梢の間から光が射してきたので・・
こういう人工物もありました。
あとで分かったのですが、これがルートの目印だったのです。
これは今までの丸いのとは違って、四角い形の石垣で、下部に穴が開けられています。
でもやっぱり何なのかはまったくわかりません。
そこから5分ほど進むとまたもや分岐でした。
左は、やや高い位置にさっきの四角い石垣と似たものが。こっちか?
右は・・
まるで苔むした石が並べられた花道のようです。
沢の広さも同じくらいだったのでちょっと迷いましたが、穴より花を選びました。
しかし・・・
右は(写っていませんが)とても狭い沢、左はやや広いものの見上げるほどの急な沢。
行き止まりじゃないの? やっぱりさっきの分岐は左が正解だったのか・・と写真に写っている苔むした木
を伝って向こう岸に渡って、来た方向を振り返ってみると・・
わかりますか?
右手、上に向かって・・・これは明らかに道ですよね。
これはすごい!と第3ステージに入っていくのでした。
(この苔むした倒木のことはしっかり頭に入れたつもりだったのですが・・・)
第3ステージ入口の坂を登ると、すぐに何か見えてきました。
なんだろう、今までとは明らかに違う様子が近づいているのがわかります。
それは、
正真正銘の切り通しでした。(写真は一旦通過して反対側から撮ったもの)
どうやら沢に別れを告げてこれからは山に沿っていくようです。
しかし眼下の谷はかなり急。
落ちても死ぬことはないでしょうけど、這い上がってくることはできないように思います。
しかしそんな不安も吹っ飛ぶような光景が現れるのです。
何やら岩山か岩壁のようなものが前方に立ちはだかっているように思いましたが、そこには・・・
手掘りの隧道です。
チバは古隧道が多いことで(一部マニアには)大変有名ですが、こんなところででくわすとは思いませんでした。
トンネルの途中、何かがさえぎっているようにも見えますが、とにかく突入です。
壁や天井は鍬や鑿などの掘削痕が不規則についています。
中は真っ暗なので、太陽電池式のLEDライトで足元を確かめながらゆっくり進みます。
ちょうどトンネルの半ばくらいの位置に、遮るように見えていた影は天井から落下したと思われる大きな岩でした。
その天井を見上げると・・・
鈴なりになっていました。
今はお昼寝の時間なのでしょう、ライトを当ててもフラッシュを炊いても、彼らは目が見えないのでまったく反応しません。
将棋の駒のような形のトンネルを出たところからは、久しぶりに空が見えました。
さらにサプライズは続きます。
続いて、
へのアプローチはちょっと急な山肌を通らないと行けません。
分かりづらいと思いますが、ちょうど頭の高さに斜面から木の幹が突き出ていて、そこに赤いペンキが。
ここに頭ぶつけると谷に落ちますよ、という印。
慎重にかわして、第3隧道通過。
その次が結果的には最大の難所でした。
この幅10センチほどの岩の足がかりを伝っていかなくてはなりません。
谷は相変わらず深くて急です。(この場所は垂直に近い)
ザイルなどの登山具は何も持っていないし、ここまでにしようかと躊躇しましたが、頭上から垂れ下がっている太い蔓が使えることに気がつきました。
その蔓を握り、蔓と岩肌の間に体を入れながら、下を見ないようにしてそろりそろりと渡りました。
ずっと谷側は急なのですが、そこからしばらくは歩きやすい道が続きました。
もう隧道はないのかなと思った矢先。
ちょっと入口が狭いように見えますが・・
通れるのかなと思いましたが、意外と立って歩いて進めました。
さらに連続して見えてきます。
ここは砲弾形でした。
次はまた駒形。
次は、
これはこれまでとはちょっと変わった形。
一番高いところが丸くなっていて、銅鐸の頭の部分のようです。
このあとは、落ち葉の降り積もった細い山道を延々と進みます。
ちょっとした隘路もあります。
これはミニ切り通しではなくて、太い木が根こそぎ周りの土とともに倒れたせいです。
分岐もないので迷うことはないのですが、景色が見晴らせるわけでもないので単調です。
15分ほど歩くと久しぶりに単調でないものが現れてくれて、また気持ちをリフレッシュすることができました。
そして最終ステージは、
こういうの、半洞門というのでしたっけ?
ここを通過すると何やら奇妙なものが前方に見えてきました。
赤茶けた四角いものがあります。
これでした。
幸い、エモノは入ってなかったですが、なかなか生々しくて迫力がありました。
そしてそして、ついにそのすぐ先は。
その遊歩道脇の木にはこんな注意喚起表が・・
”ワナ”というのは、さっきのオリのことではなく、見た目にわからない、トラバサミのようなもののことかと。
今まで歩いてきた、落ち葉の一杯積もった道からちょっと脇に入ると仕掛けてあるんでしょうね・・・
ということで、途中不意に後戻りした時間も含めて、約3時間半の道のりでした。(小休止も含む)
イノシシのオリの脇の切り株に腰を下ろして、休憩していると目の前の葉の上に。
この後どうしたか気になりますか?
遊歩道を清澄養老ライン(県道81号線)まで出ても路線バスはありません。(たしか)
(※後日訂正:鴨川市コミュニティバスの清澄ルートというのがあり、安房天津までは行けます)
歩いて下ってぐるりと鴨川経由で保台ダムまで戻るとゆうに30キロはあるでしょう。
なので、選択肢はひとつ。 廃道を戻りました。
帰りはほぼ下りだし、もう道に迷うようなこともないだろうと高をくくっていたのですが・・・
道を間違えてしまいました。
そうです、あの第3ステージ入口の苔むし木の分岐。 木に気がつかずそのまままっすぐ進んでしまいました。
また例によって沢が少しずつ少しずつ狭く、急になり、とうとう登れなくなりました。
分岐点があったと思ってない=一本道だと思い込んでいるものだからこうなってしまうんですね。
それにしてもこんな急なところは通らなかったと、冷静になって逆戻り。
急なくだりの途中、こんなものが落ちてたりして。
こんな想像をしていたわけではなかったんだけど・・・何やら不吉な予感がしてきました。
今記憶を辿ってもわかりませんが、また別の間違った沢を進んでしまったのです。
山側も藪で行き止まりになり、沢に下りて進んでいくと、
オーバーハングしていて通行止め状態。
まさに進退行き詰ったかとさすがに不安にかられました。
少し逆戻りして、山側の斜面、木の根を掴みながらならなんとか登れる場所を発見してよじ登りました。
それから藪の中を少し登っていくと・・
例の円形石垣ですが、錆びてボロボロになっていますが鉄板のようなものが内側に張られています。
これは来る途中に見たものではない。もし見ていたら写真にも撮っているはず、とカメラをチェック。
やっぱりこんな鉄板が写っているのはない。
引き返しました。
日も傾いてきて、林の中はかなり暗くなり、体力消耗で足の踏ん張りもきかなくなってしまって、
踏んだ石が動いて足をくじきそうになったり、ちょっとした斜面の濡れ落ち葉で滑ったり、
ミニ滑落もしながら進むこと小1時間くらいでしょうか。
例の苔むし木が目の前に現れたときは胸をなでおろしました。
日没までには出口にたどり着かなくてはとそれからさらに小1時間。
もう、ネズミ石も畳石もあったものではありません。
でもこれを見つけて、もうキツネにつままれることはないと安心しました。
ミニ切り通しは見逃さず、一升瓶沢をショートカット。
今日3回目となる、例の杉木立を抜け、倒木の橋を渡ってついに。。
迷わなければ2時間もかからなかったでしょうけど、費やした時間はちょうど3時間。
歩く速さは朝10時のときと比べて5分の1くらいになりました。
振り返ると、山からは「ウギャーウギャー」とサルの声が心なしかさみしげに聞こえてきます。
また来いよと言っているのか、もう二度と来るなよと言っているのか・・・
今日の湯加減
勝浦タンタンメンは辛すぎて食べられないけど、これは疲れて冷えた身体がほかほかと温まる程度
また生き返らせてもらいました
きっとまた来るぞ、I shall return ! という気持ちがあったからだったのです。
1週間経ってやっと、筋肉痛の余韻が消えてくれたので、昨日リトライしてきました。
結果は本編をご覧になっていただきたいのですが、昨夜はとても記事を書ける状態ではありませんでした。
ただ、本編は長くなります。というよりも大量の写真の羅列になると思います。
なぜなら、また今度行くときのガイド用記事にしたいからです。
そういう特殊な内容となりますのであしからず。
*
今回も保台ダムに着いたのは朝10時前でした。
前回よりも気温は5度ほど低めですが、天気はよく、風もおだやかです。
廃道入口のガマズミの赤い実が青空に映えて気持ちもよく、意気揚々と出発・・・・ ・・・ ・・ ・ ・
最初の三叉路は左です。
道がなくなっているように見えて、すぐに開けます。
前回は気がつきませんでしたが、ここも切り通しになっているようです。
石積みの石も大きい。歩いている道自体も石垣の上だったことに気がつきました。
ただ、山肌が崩れていたり、倒木や落石のために道が塞がれている所も多く、沢の中も歩かなくてはいけません。
水際には動物の足跡が。
これはシカかな
これはタヌキかな
これはさっきのシカの足跡よりも少し小さい・・小鹿?イノシシ?
観察しながら写真を撮るという余裕ももちろんこの時点ではありました。
ほんの少し沢の水かさも増えていて、水の中に入らないといけない箇所もありましたが、長靴ではないため、
倒木を移動させて橋にして渡っていきます。
(この写真を覚えておいてください)
周りの様子の写真も撮っていきます。
上の写真、前方に杉木立が見えるのがわかりますか? これも覚えておいてください。
特に迷うような分岐もなく、20分程進むと一升瓶沢に着きました。
よく見るとここにも丸い形の石垣跡があったので、少しだけ一升瓶を動かしてなお分かりやすくしておきました。
さあ、この一升瓶沢の分岐を右に進んだことで、前回は失敗したのでした。
だから左です。沢を遮断するように太い杉が倒れていますが、それを乗り越えていきます。
沢の幅も狭くて土砂や倒木でここまでと比べて進みづらいステージですが、間もなく左手に小さな切り通しのようなところが見えました。
ちょっと覗いてみると、そこは歩きやすそうな道が。
なんだ、となりの沢はこんな歩きやすかったんだ、ちゃんと道になっているし、ここを進んでいこう。
しかも石垣の上にある道じゃないか、これなら大丈夫。
どんどん進みますが・・・
あれ?この木は・・・・(動揺してブレています!)
そういえばさっきの杉木立も・・・ いつの間にか逆戻りしていました。
道理で沢の流れに逆らって歩いていたのに、切り通しを抜けてからは流れが逆になっているなぁと思ってはいたのです。
それにしてもキツネにつままれたようでしたが、きびすを返すことにしました。
するとやはりというか、当然・・・
つまりこういうことです。
一升瓶沢を左に曲がると、元の沢と並行して進むことになる、その途中の切り通しを抜けると元の沢に出る。
ではもう一度やり直しです。
左に曲がって、太い杉の倒木を乗り越え、しばらく進むと、切り通しが見える。
これをやり過ごしてそのまま今いる沢を進む。 さあ、ここからが本当の第2ステージです。
すると、少し開けてきました。
石垣の上の道も現れました。
いくつめかの丸い石垣も。
今度こそ安心して進めそうです。(キツネかタヌキがいなければね)
この円形石垣はかなり形がのこっていますが、それでも何のための構造物なのかはわかりません。
沢の中の大きな畳石の上を歩きます。これも目印です。
そしてこれも目印。
ネズミ石
と名づけました。 某ディズニーの有名なネズミに見えませんか?
順調なので、こんな写真も撮りながら。
これはまたくっきりと。
立派な角の牡鹿を想像しながら進みます。
しっかりした石垣の道があるかと思えば、
バリケードのようなところもあります。
さらに10分ほど進むと。(ミニ切り通しからは40分)
分岐です。
左は、
進めなくもなさそうですが、けっこう狭い。
右は、
どうやらこちらがよさそうです。
少し進むとこんなものが落ちていました。
ウサギの糞にしてはちょっと大きいような気もしますが、心の安寧のためにかわいい野ウサギの落し物ということに。
ただ、道は少し険しくなってきました。
10分ほど進むと梢の間から光が射してきたので・・
一脚を杖代わりに
こういう人工物もありました。
黄色いビニールテープ
あとで分かったのですが、これがルートの目印だったのです。
これは今までの丸いのとは違って、四角い形の石垣で、下部に穴が開けられています。
でもやっぱり何なのかはまったくわかりません。
そこから5分ほど進むとまたもや分岐でした。
左は、やや高い位置にさっきの四角い石垣と似たものが。こっちか?
右は・・
まるで苔むした石が並べられた花道のようです。
沢の広さも同じくらいだったのでちょっと迷いましたが、穴より花を選びました。
しかし・・・
右は(写っていませんが)とても狭い沢、左はやや広いものの見上げるほどの急な沢。
行き止まりじゃないの? やっぱりさっきの分岐は左が正解だったのか・・と写真に写っている苔むした木
を伝って向こう岸に渡って、来た方向を振り返ってみると・・
わかりますか?
右手、上に向かって・・・これは明らかに道ですよね。
これはすごい!と第3ステージに入っていくのでした。
(この苔むした倒木のことはしっかり頭に入れたつもりだったのですが・・・)
第3ステージ入口の坂を登ると、すぐに何か見えてきました。
なんだろう、今までとは明らかに違う様子が近づいているのがわかります。
それは、
正真正銘の切り通しでした。(写真は一旦通過して反対側から撮ったもの)
どうやら沢に別れを告げてこれからは山に沿っていくようです。
しかし眼下の谷はかなり急。
落ちても死ぬことはないでしょうけど、這い上がってくることはできないように思います。
しかしそんな不安も吹っ飛ぶような光景が現れるのです。
何やら岩山か岩壁のようなものが前方に立ちはだかっているように思いましたが、そこには・・・
手掘りの隧道です。
チバは古隧道が多いことで(一部マニアには)大変有名ですが、こんなところででくわすとは思いませんでした。
トンネルの途中、何かがさえぎっているようにも見えますが、とにかく突入です。
壁や天井は鍬や鑿などの掘削痕が不規則についています。
中は真っ暗なので、太陽電池式のLEDライトで足元を確かめながらゆっくり進みます。
ちょうどトンネルの半ばくらいの位置に、遮るように見えていた影は天井から落下したと思われる大きな岩でした。
その天井を見上げると・・・
鈴なりになっていました。
今はお昼寝の時間なのでしょう、ライトを当ててもフラッシュを炊いても、彼らは目が見えないのでまったく反応しません。
将棋の駒のような形のトンネルを出たところからは、久しぶりに空が見えました。
さらにサプライズは続きます。
第2隧道出現(さっきの駒形のは第1隧道と呼ぶことにします)
続いて、
第3隧道
へのアプローチはちょっと急な山肌を通らないと行けません。
分かりづらいと思いますが、ちょうど頭の高さに斜面から木の幹が突き出ていて、そこに赤いペンキが。
ここに頭ぶつけると谷に落ちますよ、という印。
慎重にかわして、第3隧道通過。
その次が結果的には最大の難所でした。
この幅10センチほどの岩の足がかりを伝っていかなくてはなりません。
谷は相変わらず深くて急です。(この場所は垂直に近い)
ザイルなどの登山具は何も持っていないし、ここまでにしようかと躊躇しましたが、頭上から垂れ下がっている太い蔓が使えることに気がつきました。
その蔓を握り、蔓と岩肌の間に体を入れながら、下を見ないようにしてそろりそろりと渡りました。
ずっと谷側は急なのですが、そこからしばらくは歩きやすい道が続きました。
もう隧道はないのかなと思った矢先。
第4隧道
ちょっと入口が狭いように見えますが・・
通れるのかなと思いましたが、意外と立って歩いて進めました。
さらに連続して見えてきます。
第5隧道
ここは砲弾形でした。
次はまた駒形。
第6隧道
次は、
第7隧道
これはこれまでとはちょっと変わった形。
一番高いところが丸くなっていて、銅鐸の頭の部分のようです。
このあとは、落ち葉の降り積もった細い山道を延々と進みます。
ちょっとした隘路もあります。
これはミニ切り通しではなくて、太い木が根こそぎ周りの土とともに倒れたせいです。
分岐もないので迷うことはないのですが、景色が見晴らせるわけでもないので単調です。
15分ほど歩くと久しぶりに単調でないものが現れてくれて、また気持ちをリフレッシュすることができました。
第8隧道
そして最終ステージは、
こういうの、半洞門というのでしたっけ?
ここを通過すると何やら奇妙なものが前方に見えてきました。
赤茶けた四角いものがあります。
これでした。
幸い、エモノは入ってなかったですが、なかなか生々しくて迫力がありました。
そしてそして、ついにそのすぐ先は。
清澄山遊歩道 (だと思います)
その遊歩道脇の木にはこんな注意喚起表が・・
”ワナ”というのは、さっきのオリのことではなく、見た目にわからない、トラバサミのようなもののことかと。
今まで歩いてきた、落ち葉の一杯積もった道からちょっと脇に入ると仕掛けてあるんでしょうね・・・
ということで、途中不意に後戻りした時間も含めて、約3時間半の道のりでした。(小休止も含む)
林からわずかに垣間見えた鴨川の田園風景
*
イノシシのオリの脇の切り株に腰を下ろして、休憩していると目の前の葉の上に。
オオハラナガツチバチ
「おつかれ~」
オマケ (帰りみち)
この後どうしたか気になりますか?
(※後日訂正:鴨川市コミュニティバスの清澄ルートというのがあり、安房天津までは行けます)
歩いて下ってぐるりと鴨川経由で保台ダムまで戻るとゆうに30キロはあるでしょう。
なので、選択肢はひとつ。 廃道を戻りました。
帰りはほぼ下りだし、もう道に迷うようなこともないだろうと高をくくっていたのですが・・・
道を間違えてしまいました。
そうです、あの第3ステージ入口の苔むし木の分岐。 木に気がつかずそのまままっすぐ進んでしまいました。
また例によって沢が少しずつ少しずつ狭く、急になり、とうとう登れなくなりました。
分岐点があったと思ってない=一本道だと思い込んでいるものだからこうなってしまうんですね。
それにしてもこんな急なところは通らなかったと、冷静になって逆戻り。
急なくだりの途中、こんなものが落ちてたりして。
牡鹿の頭蓋骨
こんな想像をしていたわけではなかったんだけど・・・何やら不吉な予感がしてきました。
*
今記憶を辿ってもわかりませんが、また別の間違った沢を進んでしまったのです。
山側も藪で行き止まりになり、沢に下りて進んでいくと、
オーバーハングしていて通行止め状態。
まさに進退行き詰ったかとさすがに不安にかられました。
少し逆戻りして、山側の斜面、木の根を掴みながらならなんとか登れる場所を発見してよじ登りました。
それから藪の中を少し登っていくと・・
例の円形石垣ですが、錆びてボロボロになっていますが鉄板のようなものが内側に張られています。
これは来る途中に見たものではない。もし見ていたら写真にも撮っているはず、とカメラをチェック。
やっぱりこんな鉄板が写っているのはない。
引き返しました。
日も傾いてきて、林の中はかなり暗くなり、体力消耗で足の踏ん張りもきかなくなってしまって、
踏んだ石が動いて足をくじきそうになったり、ちょっとした斜面の濡れ落ち葉で滑ったり、
ミニ滑落もしながら進むこと小1時間くらいでしょうか。
例の苔むし木が目の前に現れたときは胸をなでおろしました。
日没までには出口にたどり着かなくてはとそれからさらに小1時間。
もう、ネズミ石も畳石もあったものではありません。
でもこれを見つけて、もうキツネにつままれることはないと安心しました。
来るときに積んでおいた石
ミニ切り通しは見逃さず、一升瓶沢をショートカット。
今日3回目となる、例の杉木立を抜け、倒木の橋を渡ってついに。。
迷わなければ2時間もかからなかったでしょうけど、費やした時間はちょうど3時間。
歩く速さは朝10時のときと比べて5分の1くらいになりました。
振り返ると、山からは「ウギャーウギャー」とサルの声が心なしかさみしげに聞こえてきます。
また来いよと言っているのか、もう二度と来るなよと言っているのか・・・
今日の湯加減
まんぼうのラーメンは遅めの昼食 というのがルーティーンなのですが
今回はちょっと早めの夕食になってしまいました
ガラガラと入口の戸を開いて長テーブルの端っこに腰掛けようとすると
「このあいだはどうも」と厨房から顔を覗かせて大将が声をかけてくれました
今日はおかみさん不在でひとりでやってるようでした
「収獲はあったの?」と聞かれて、まったくなし、それどころか・・とかいつまんで話すと
意外なことに大将も3、4年前に廃道を歩いたことがあるとのこと
「あそこは大変だよ、ひとりで行くところじゃないね」
なんとお住まいは保台ダムの麓だそうでした
坦々麺
勝浦タンタンメンは辛すぎて食べられないけど、これは疲れて冷えた身体がほかほかと温まる程度
また生き返らせてもらいました
ゆっくり休んでから帰りなよということで、食べ終わってからしばらく四方山話
探している蝶の話題から蛾の話題になったところで唐突にでた大将の質問
「ところで蛾ってのはどうして生まれてくるんだろね?」
素朴すぎる質問に0.5秒ほど思考が空回りしましたが、
そんなこと言ったらニンゲンだって何のために生まれてくるのかわからないですよ(笑)
"Wessay"とはWeb Essayを約めたオリジナルの造語です。
色んな動物たちの足跡をみると、
彼等がそこに来ていた事が想像できて、
楽しくなりますね(^_^)
by sasasa (2012-11-04 21:57)
>さささん
リスやウサギやシカならいっしょに遊びたいですね^^
イノシシやサルは・・ちょっとコワイです・・
by ぜふ (2012-11-05 06:18)
ワクワクしながら読みました。
帰り迷った際はかなり焦りますよね。
また新たなレポート期待しております^^
by aidesu (2012-11-05 08:19)
お早うございます。
ぜふさんは冒険家ですね〜 獣道ばかり・・・
お一人でしょ。スゴいです。強靱な精神力 !! \(◎o◎)/!
by yakko (2012-11-05 09:20)
お疲れ様でした♪
達成感、充実感そして安堵感の一日だったでしょうね。
ゆっくりと疲れを癒してくださいね(*^^*)
by kazykaz (2012-11-05 09:26)
年寄り危うきに近づかず、です。
すごい道ですね。
by Silvermac (2012-11-05 09:33)
自分も里山で迷った事も何回もあるので
楽しく(失礼)読ませて貰いました、迷ったら
戻るのがセリーなのかな?こんな山旅もいいですね。
by g_g (2012-11-05 10:24)
こんにちは^^
暗くなる前に戻られて良かったですね。
往きと帰りは何故だか同じ道でも違って見えるし、
凄い冒険だったと思います。
大将のおっしゃるように一人歩きは少々危険かも~
by mimimomo (2012-11-05 10:28)
無事に帰還されてなにより。
こういう道もあるんですね。
私だったら、迷いまくってる予感が。
でも面白そう(笑)
by うえいぱうわ (2012-11-05 11:38)
そして、そして、その先はとどんどん読みました
トンネル、またトンネル、、
読んでる私は、探検談でわくわくでしたが、大変でしたね
でも、冷静な状況分析が、さすがです
おつかれさまでした
by engrid (2012-11-05 15:50)
凄いところですね、私では無理というまえに、行きませんね。
by めもてる (2012-11-05 18:17)
>aidesuさん
帰りに迷うのは想定外でした。慢心していたわけじゃないんですけどね・・・
あらたなレポートは・・また来年くらいかな?^^;
>yakkoさん
まさに文字通りのケモノミチでしたね。
イノシシに出くわさずにすんでよかったです^^;
>kazykazさん
体力の消耗度合いはむしろサバイバル編のほうが大きかったかもしれないです。
でもおっしゃるとおり、達成感は断然今回のほうが!^^
>Silvermacさん
キケンなことがすきなわけでもなく、それほどキケンとも思ってなかったのですが・・
想像以上の険しさでした^^;
>g_gさん
そうですか、楽しんでいただけて良かった?です^^;
セオリーではないかもしれませんが、前回の反省からですね。
>mimimomoさん
ゴールしたときはかなり暗くなっていました。ギリギリでした。
暗い森の中でサルに吠えられたら・・・^^;
>うえいぱうわさん
子どもの頃から放浪癖があって、方向感覚はいい方だと思います。
でもこういうところは別次元だということが身に沁みてわかりました^^;
結果的には面白かったです^^
>engridさん
楽しんでもらえたようでよかったです。
あまり悲壮感が出ないように書きましたが、実際は本人ドキドキでした^^;
日没になってしまっていたら冷静さを保てたかどうか、自信はありません。
>めもてるさん
前回、アタリをつけていたから踏破できましたが、いきなりはムリというか、
キケンですね^^;
by ぜふ (2012-11-05 21:57)
相変わらず、スゴイですね。何がすごいってここにもう一度行こうって
ガッツと言いましょうか、執念と言いましょうか(笑)
かなりハラハラしながら読ませていただきました。よくお一人で・・・
しかもご無事で良かったです。この牡鹿の頭蓋骨、ゾクゾクします。
動物の足跡見ながら歩いてるってだけでも、出てきたら・・・って
ここはいったい何の廃道なんでしょうね?資源になるなにかを
掘っていたとか?それにしても健脚です、羨ましい。暗くなる前に
本道に戻れて良かった。え?昆虫編がある?こんな中でも
撮れちゃうってものすごい精神力(笑)
by miya_gon (2012-11-06 07:05)
>miya_gonさん
そもそもは廃道探索が目的ではなかったのですが、ロケハンをした結果、
そこがあまりにいい場所だったので再訪しました。カモガワはいいとこです!
今回も虫探しはしたんですが・・お目当ての子には会えず仕舞でした・・^^;
でも別の子たちを紹介するつもりです、お楽しみに♪ (あ、宣言しちゃった^^;)
by ぜふ (2012-11-07 06:18)
こんなに一度に隧道が見れるなんて
穴ポコマニアにはたまらないルートですね。
(わたくしは違いますケロ)
秘境のような探検をゾクゾクしながら楽しませて頂きました。
by 響 (2012-11-07 11:50)
>響さん
わたくしも穴ポコマニアではないのですがこれだけいっぱいあると興奮しますね^^
でも用事があるのは沢なので、第3ステージから先はもう行かないかも・・
ターザンごっこもコワイし^^;
by ぜふ (2012-11-08 06:28)
スゴイ!ホントに探検ですね^^。山などへ行っても、きちん整備された
道しか歩いたコトがないので、ホントにスゴイと思いました。
たくさんのトンネルに驚きました。
by sakamono (2012-11-10 14:01)
>sakamonoさん
このシリーズはトクベツです^^;
でもある虫に会うためにはこういうところに行くしかないんです・・・
トンネルは楽しかったですね^^
by ぜふ (2012-11-10 21:13)
お猿さんたちが、別の場所に石を積んだりして(笑)
いたずらされなくてよかったですね(^_-)-☆
by barbie (2012-11-13 13:44)